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特許7551359印刷システム、その制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】印刷システム、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240909BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240909BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240909BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240909BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B41J29/393 101
B41J29/38
G03G21/00 510
H04N1/00 002Z
H04N1/00 567C
G06F3/12 303
G06F3/12 359
G06F3/12 360
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020111727
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010930
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 弘也
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-033658(JP,A)
【文献】特開2020-082613(JP,A)
【文献】特開2013-171570(JP,A)
【文献】特開2016-061659(JP,A)
【文献】特開2019-089279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0046889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷処理されたシートにおける印刷欠陥の有無を、当該シートの読取画像に基づき検査することが可能な検査システムであって、
シート上の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて読み取られたシート上の画像を、前記検査における正解画像として登録する登録手段と、
前記正解画像の登録に用いたシートの排紙設定を保持する保持手段と、
前記印刷処理における排紙設定を取得し、当該取得した排紙設定と前記保持手段にて保持された排紙設定とに基づき、前記登録手段に登録された前記正解画像を用いて、前記印刷処理が施されたシートの検査を行う検査手段と、
を備え、
前記登録手段は、表面又は裏面のいずれかを表すシート面と対応付けて前記正解画像を登録し、
前記検査手段は、前記印刷処理されたシートにおける検査対象面が前記正解画像に対応付けられたシート面と一致しない場合、表面と対応付けて登録されている前記正解画像を裏面の正解画像として、裏面と対応付けて登録されている前記正解画像を表面の正解画像として、前記検査を行う、
ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記検査システムは、複数の排紙先を有し、
前記排紙設定には、前記複数の排紙先のうち使用する排紙先を特定する情報を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項に記載の検査システム。
【請求項3】
前記複数の排紙先それぞれについて、排出時にシートの反転処理を伴うか否かを示すフラグ情報を保存する保存手段をさらに備え、
前記検査手段は、前記使用する排紙先として前記排紙設定により特定される排紙先のフラグ情報に基づき、前記印刷処理されたシートにおける検査対象面が前記正解画像に対応付けられたシート面と一致するかどうかを判定して、前記検査を行う、
ことを特徴とする請求項に記載の検査システム。
【請求項4】
前記検査システムは、排紙方法として、シートの表面を上向きで排紙するフェースアップとシートの表面を下向きで排紙するフェースダウンの双方に対応しており、
前記排紙設定には、排紙する際のシートの向きとして前記フェースアップまたは前記フェースダウンのいずれか一方を特定する排紙面の情報をさらに含み、
前記検査手段は、前記排紙設定により特定される排紙面に基づき、前記印刷処理されたシートにおける検査対象面が前記正解画像に対応付けられたシート面と一致するかどうかを判定して、前記検査を行う、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記検査手段は、前記印刷処理における排紙設定をシート単位で取得する、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記登録手段は、前記読取手段にて読み取られたシートの排紙設定を含む、前記正解画像の登録を指示する第1のジョブに従って前記登録を行い、
前記第1のジョブでは、印刷処理されていないシートに対して印刷処理を行って前記登録を行うか、既に印刷処理がなされたシートを取り込んで前記登録を行うかが指定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記印刷処理における排紙設定は、前記検査を伴う前記印刷処理の実行を指示する第2のジョブに含まれ、
前記検査手段は、前記第2のジョブに従って印刷処理されたシートに対して、前記検査を行う、
ことを特徴とする請求項に記載の検査システム。
【請求項8】
印刷処理されたシートにおける印刷欠陥の有無を、当該シートの読取画像に基づき検査することが可能な検査システムの制御方法であって、
前記検査システムは、シート上の画像を読み取る読取手段を備え、
前記読取手段にて読み取られたシート上の画像を、前記検査における正解画像として登録する登録ステップと、
前記正解画像の登録に用いたシートの排紙設定を保持する保持ステップと、
前記印刷処理における排紙設定を取得し、当該取得した排紙設定と前記保持ステップにて保持された排紙設定とに基づき、前記登録ステップにて登録された前記正解画像を用いて、前記印刷処理が施されたシートの検査を行う検査ステップと、
を含み、
前記登録ステップでは、表面又は裏面のいずれかを表すシート面と対応付けて前記正解画像を登録し、
前記検査ステップでは、前記印刷処理されたシートにおける検査対象面が前記正解画像に対応付けられたシート面と一致しない場合、表面と対応付けて登録されている前記正解画像を裏面の正解画像として、裏面と対応付けて登録されている前記正解画像を表面の正解画像として、前記検査を行う、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷結果の検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷結果を検査しながら印刷出力可能な、インライン方式の検査装置を組み込んだ印刷システムがある。このような印刷システムでは、照合のために登録した評価基準となる画像(正解画像)と、印刷物を光学的に読み取って得られた画像(読取画像)とを比較することで、印刷欠陥の有無を判定している。そして、特許文献1には、正解画像と読取画像とのページ順の整合を取るために、複数ページ印刷、片面印刷、両面印刷などの印刷設定を考慮した検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-171570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷システムがタイプの異なる複数の排紙先を備えていたりすると、使用する排紙先に応じて検査装置での画像読取面を設定し直す必要が生じ得る。この点、排紙先毎に画像読取面を考慮して正解画像を登録したり、検査装置内の搬送経路を考慮して各種設定を行って印刷することは、印刷オペレータにとって煩雑かつ困難な作業である。また、上記特許文献1は、このようなケースを想定しておらず、使用する排紙先等に応じて画像読取面を適切に制御することまでは対応できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る印刷システムは、印刷処理されたシートにおける印刷欠陥の有無を、当該シートの読取画像に基づき検査することが可能な印刷システムであって、シート上の画像を読み取る読取手段と、前記読取手段にて読み取られた見本となるシート上の画像を、前記検査における正解画像として予め登録する登録手段と、前記見本となるシートの排紙設定を保持する保持手段と、前記印刷処理における排紙設定を取得し、当該取得した排紙設定と前記保持手段にて保持された排紙設定とに基づき、前記登録手段に登録された前記正解画像を用いて、前記印刷処理が施されたシートの検査を行う検品手段と、を備え、前記登録手段は、表面又は裏面のいずれかを表すシート面と対応付けて前記正解画像を登録し、前記検品手段は、前記正解画像に対応付けられたシート面と前記印刷処理されたシートにおける検査対象面とを一致させて前記検査を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、印刷処理されたシートの印刷欠陥を検査することが可能な印刷システムにおいて、ユーザに対し煩雑な作業を強いることなく、正解画像登録時と検品処理時とでシート面の不整合が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷システムの構成の一例を示す図。
図2】印刷システムを構成する画像形成装置、外部コントローラ及びクライアントPCの内部構成を示すブロック図。
図3】画像形成装置のメカ断面図。
図4】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図5】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図6】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図7】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図8】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図9】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図10】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図11】画像形成装置(検品モジュール)のUI画面の一例を示す図。
図12】登録ジョブを生成して画像形成装置に投入するまでの処理の流れを示すフローチャート。
図13】登録ジョブに従って正解画像が登録されるまでの処理の流れを示すフローチャート。
図14】検品ジョブが投入された画像形成装置における一連の処理の流れを示すフローチャート。
図15】画像形成装置内のシートの搬送を説明する図。
図16】画像形成装置内のシートの搬送を説明する図。
図17】検品結果を表示するUI画面の一例を示す図。
図18】検品結果を表示するUI画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示に係る検査システムは、印刷処理されたシートにおける印刷欠陥の有無を、当該シートの読取画像に基づき検査することが可能な検査システムであって、シート上の画像を読み取る読取手段と、前記読取手段にて読み取られたシート上の画像を、前記検査における正解画像として登録する登録手段と、前記正解画像の登録に用いたシートの排紙設定を保持する保持手段と、前記印刷処理における排紙設定を取得し、当該取得した排紙設定と前記保持手段にて保持された排紙設定とに基づき、前記登録手段に登録された前記正解画像を用いて、前記印刷処理が施されたシートの検査を行う検査手段と、を備え、前記登録手段は、表面又は裏面のいずれかを表すシート面と対応付けて前記正解画像を登録し、前記検査手段は、前記印刷処理されたシートにおける検査対象面が前記正解画像に対応付けられたシート面と一致しない場合、表面と対応付けて登録されている前記正解画像を裏面の正解画像として、裏面と対応付けて登録されている前記正解画像を表面の正解画像として、前記検査を行う、ことを特徴とする。
【0009】
[実施形態1]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示す図である。印刷システム100は、画像形成装置101と外部コントローラ102を備える。画像形成装置101と外部コントローラ102は、内部LAN105とビデオケーブル106を介して通信可能に接続されている。また、外部コントローラ102は、外部LAN104を介してクライアントPC103と通信可能に接続されている。
【0010】
クライアントPC103には、印刷処理の対象となる画像データを外部コントローラ102で処理可能なページ記述言語(PDL)に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。印刷を行いたいユーザは、各種アプリケーションからプリンタドライバを介して印刷指示を行うことができる。プリンタドライバは、ユーザからの印刷指示に基づいて、PDLデータを外部コントローラ102に対して送信する。外部コントローラ102は、PC103からPDLデータを受け取ると、PDL解析やラスタライズ処理を行って画像形成装置101で処理可能な印刷データ(以下、「印刷ジョブ」と呼ぶ。)を生成し、画像形成装置101に投入する。
【0011】
次に画像形成装置101について説明する。画像形成装置101は、印刷モジュール107、インサータ108、検品モジュール109、スタッカ110、フィニッシャ111を備える。以下、各モジュールについて説明する。
【0012】
印刷モジュール107は、印刷ジョブに従い、給紙部230から搬送される記録媒体としてのシート(用紙)に対して、記録剤としてのトナーを用いて画像を形成する。この印刷モジュール107の構成及び動作原理は次のとおりである。印刷ジョブで指定された画像に応じて変調されたレーザ光をポリゴンミラー等の回転多面鏡により反射して走査光として感光ドラムに照射する。このレーザ光により感光ドラム上に形成された静電潜像はトナーによって現像され、転写ドラムに貼り付けられた用紙に、トナー像が転写される。この一連の画像形成プロセスを、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーに対して順次実行することにより、シート上にフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写ドラム上のシートは定着器へ搬送される。定着器は、ローラーやベルト等を含み、ローラー内にハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、フルカラー画像を形成しているシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解してシートに定着させる。
【0013】
インサータ108は、印刷モジュール107で印刷処理が施されて搬送されてきたシート群に対して、例えば任意の位置で区切るための仕切りシート等を挿入する装置である。
【0014】
検品モジュール109は、搬送されてきた印刷処理済みシートの画像を読み取り、予め登録された正解画像(或いは「基準画像」とも呼ばれる。)と比較することで当該シート上に形成された画像が正常かどうかを、すなわち、印刷欠陥の有無を判定する。
【0015】
スタッカ110は、印刷処理済みシートを積み重ねておくことが可能な大容量の集積装置である。フィニッシャ111は、ステイプルやパンチ、中綴じ製本といった各種のフィニッシング処理機能を持つ後処理装置である。搬送されてきた印刷処理済みシートに対して予め選択・設定されたフィニッシング処理を加える。フィニッシング処理後のシートは、排紙トレイに排紙される。
【0016】
なお、図1で説明した印刷システムでは、外部コントローラ102を介して印刷ジョブが投入される構成としているが、例えば外部コントローラ102を省略する構成も可能である。すなわち、画像形成装置101を外部LAN104に接続し、クライアントPC103から、画像形成装置101にPDLデータを送信する構成でもよい。この場合、画像形成装置101においてPDL解析やラスタライズ処理を行って印刷ジョブを生成した上で、印刷処理を実行することになる。また、図1の例では、外部コントローラ102と画像形成装置101は内部LAN105とビデオケーブル106とで接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよい。例えば、内部LAN105とビデオケーブル106のいずれか一方のみで接続されていてもよい。
【0017】
<印刷システムの内部構成>
図2は、印刷システム100を構成する画像形成装置101、外部コントローラ102、及びクライアントPC103の内部構成を示すブロック図である。以下、順に説明する。
【0018】
≪画像形成装置の内部構成≫
まず画像形成装置101の印刷モジュール107の内部構成について説明する。印刷モジュール107は、主に制御に関わる構成要素として、通信I/F217、LANI/F218、ビデオI/F220、HDD221、CPU222、メモリ223、操作部224、ディスプレイ225を有する。さらに、印刷モジュール107は、主に画像形成に関わる構成要素として、原稿読取部226、レーザ露光部227、作像部228、定着部229、給紙部230を有する。それぞれの構成要素はシステムバス231を介して接続されている。通信I/F217は、通信ケーブル254を介して、インサータ108、検品モジュール109、スタッカ110、及びフィニッシャ111と接続され、それぞれの装置を制御するための通信が行われる。LANI/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102と接続され、印刷データなどの通信が行われる。ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102と接続され、画像データなどの通信が行われる。HDD221は、プログラムやデータが保存された記憶装置である。CPU222は、HDD221に保存されたプログラム等に基づいて、印刷モジュール107を統括的に制御する。メモリ223は、CPU222が各種処理を行う際に必要となるプログラムや、画像データが記憶され、ワークエリアとして動作する。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける。ディスプレイ225は、印刷処理に関わる各種設定情報や印刷ジョブの処理状況などを表示する。原稿読取部226は、コピー機能やスキャン機能を使用する際に原稿を光学的に読み取るスキャナ装置である。ユーザが載置したシートに対して露光ランプを照らしながらCCDカメラで画像を撮影することで原稿上の画像を光学的に読み取って画像データを生成する。レーザ露光部227は、レーザ光を照射するための一次帯電やレーザ露光を行う装置である。レーザ露光部227は、まず感光ドラム表面を均一なマイナス電位に帯電させる一次帯電を行う。次にレーザードライバーによってレーザ光を、ポリゴンミラーで反射角度を調節しながら感光ドラムに照射する。これにより照射した部分のマイナス電荷が中和され、静電潜像が形成される。作像部228は、シートに対してトナーを転写するための装置である。作像部228は、不図示の現像ユニット、転写ユニット、トナー補給ユニット等により構成され、感光ドラム上のトナーをシートに転写する。現像ユニットは、現像シリンダーからマイナスに帯電したトナーを感光ドラム表面の静電潜像に付着させ、可視像化する。転写ユニットは、一次転写ローラーにプラス電位を印可し感光ドラム表面のトナーを転写ベルトに転写する一次転写、二次転写外ローラーにプラス電位を印可し転写ベルト上のトナーをシートに転写する二次転写を行う。定着部229は、シート上のトナーを熱と圧力でシートに溶解固着するための装置であり、不図示の加熱ヒーター、定着ベルト、加圧ベルト等で構成される。給紙部230は、印刷処理に供されるシートを給紙するための装置である。給紙部230は、不図示のローラーや各種センサーにより、シートの給紙動作、搬送動作を行う。
【0019】
次に画像形成装置101のインサータ108の内部構成について説明する。インサータ108は、通信I/F232、CPU233、メモリ234、給紙制御部235で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス236を介して接続される。通信I/F232は、通信ケーブル254を介して印刷モジュール107と接続され、シートの挿入制御に必要な通信を行う。CPU233は、メモリ234に格納された制御プログラムに応じて、インサータ108全体を制御する。メモリ234は、制御プログラムが保存された記憶装置である。給紙制御部235は、CPU233からの指示に基づき、不図示のローラーやセンサーを制御しながら、トレイ321に載置されたシートの取り込み、不図示の給紙部からの給紙、印刷モジュール107から搬送されてくるシートの搬送を制御する。
【0020】
次に画像形成装置101の検品モジュール109の内部構成について説明する。検品モジュール109は、通信I/F237、CPU238、メモリ239、撮影部240、表示部241、操作部242で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス243を介して接続される。通信I/F238は、通信ケーブル254を介して印刷モジュール107と接続され、印刷処理済みシートの検査等の制御に必要な通信を行う。CPU238は、メモリ239に格納された制御プログラムに応じて、検品モジュール109全体を制御する。メモリ239は、制御プログラムの他、各種設定情報や画像データを保存する記憶装置である。撮影部240は、CPU238の指示に基づき、搬送されてくる印刷処理済みシート上の画像を撮影により読み取る。なお、本実施形態ではカメラで撮影することによってシート上の画像を読み取っているが、例えばインラインスキャナなどで読み取ってもよい。CPU238は、撮影部240によって得られた検査対象となる撮影画像と、メモリ239に予め保存した正解画像とを比較し、印刷結果に欠陥がないかどうかを判断する。表示部241は、検品結果や設定画面などが表示される。操作部242は、ユーザによって操作され、検品モジュール109の設定変更や正解画像の登録などの指示を受け付ける。
【0021】
次に画像形成装置101のスタッカ110の内部構成について説明する。スタッカ110は、通信I/F244、CPU245、メモリ246、排紙制御部247で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス248を介して接続される。通信I/F244は、通信ケーブル254を介して印刷モジュール107と接続され、シートの集積・排紙制御に必要な通信を行う。CPU245は、メモリ246に格納された制御プログラムに応じて、スタッカ110全体を制御する。メモリ246は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部247は、CPU245からの指示に基づき、搬送されてきたシートを、スタックトレイ、エスケープトレイ、または後続のフィニッシャ111に搬送するための制御を行う。
【0022】
次に画像形成装置101のフィニッシャ111の内部構成について説明する。フィニッシャ111は、通信I/F249、CPU250、メモリ251、排紙制御部252、フィニッシング処理部253で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス254を介して接続される。通信I/F249は、通信ケーブル254を介して印刷モジュール107と接続され、フィニッシング処理の制御に必要な通信を行う。CPU250は、メモリ251に格納された制御プログラムに応じて、フィニッシャ111全体を制御する。メモリ251は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部252は、CPU250からの指示に基づき、シートの搬送や排紙を制御する。フィニッシング処理部253は、CPU250からの指示に基づき、ステイプルやパンチ、中綴じ製本等の処理を実行する。
【0023】
≪外部コントローラの内部構成≫
次に外部コントローラ102の内部構成について説明する。外部コントローラ102は、CPU208、メモリ209、HDD210、キーボード211、ディスプレイ212、LANI/F213、LANI/F214、ビデオI/F215で構成され、システムバス216を介して接続されている。CPU208は、HDD210に保存されたプログラムやデータに基づいて、クライアントPC103からのPDLデータの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷ジョブの送信などの処理を実行する。メモリ209は、CPU208が各種処理を行う際に必要なプログラムやデータを記憶し、ワークエリアとして動作する。HDD210は、PDL解析やRIP処理などの動作に必要なプログラムやデータを記憶する。キーボード211は、外部コントローラ102に対してユーザが各種操作・指示を入力するための入力デバイスである。ディスプレイ212には、外部コントローラ102が実行中のアプリケーション等の情報が静止画や動画で表示される。LANI/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103と接続され、PDLデータの受信などが行われる。LANI/F214は、内部LAN105を介して画像形成装置101と接続され、印刷ジョブの送信などが行われる。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して画像形成装置101と接続され、画像データの送受信などを行う。
【0024】
≪クライアントPCの内部構成≫
次にクライアントPC103の内部構成について説明する。クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、HDD203、キーボード204、ディスプレイ205、LANI/F206で構成され、システムバス207を介して接続されている。CPU201は、HDD203に保存された文書作成プログラム等に基づいて、印刷処理の対象となる画像データの作成や印刷指示を実行する。またCPU201は、システムバス207に接続される各デバイスを包括的に制御する。メモリ202は、CPU201が各種処理を行う際に必要となるプログラムやデータを記憶し、ワークエリアとして動作する。HDD203は、印刷処理などの動作に必要なプログラムやデータを記憶する。キーボード204はクライアントPC103に対してユーザが各種操作・指示を入力するための入力デバイスである。ディスプレイ205には、クライアントPC103が実行中のアプリケーション等の情報が静止画や動画で表示される。LANI/F206は、外部LAN104と接続されており、PDLデータの送信などが行われる。
【0025】
なお、図2に示すメモリ202、メモリ209、メモリ223、メモリ234、メモリ239、メモリ246、メモリ251はそれぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。たとえば、揮発性のRAM、不揮発性のROM、内蔵HDD、外付けHDD、USBメモリなどで代替した構成でもよい。
【0026】
<画像形成装置の搬送系>
続いて、画像形成装置101の搬送系について説明する。図3は、画像形成装置101のメカ断面図である。以下、図3に沿って説明する。
【0027】
印刷モジュール107は、給紙デッキ301及び302を備えている。各給紙デッキ301/302には、各種シートを収容しておくことが可能である。給紙デッキ301/302は、収容されたシートのうち最も上にあるシート一枚のみを分離し、シート搬送パス303へ搬送する。現像ステーション304~307は、それぞれY、M、C、Kの有色トナーを用いてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、まず中間転写ベルト308に一次転写される。そして、中間転写ベルト308は図3において時計回りに回転し、二次転写位置309にて、シート搬送パス303から搬送されてきたシートへとトナー像が転写される。表示装置225には、印刷ジョブの処理状況や各種設定のための情報が表示される。定着ユニット311は、加圧ローラーと加熱ローラーを備え、各ローラーの間をシートが通過させてトナーを溶融・圧着することでシートにトナー像を定着させる。定着ユニット311を抜けたシートは、シート搬送パス312を通って、シート搬送パス315へと搬送される。シート種が定着のためにさらに溶融・圧着を必要とするシート種である場合は、定着ユニット311を通過した後、シート搬送パス312の上にあるシート搬送パス312’を通って第二定着ユニット313へと搬送される。第二定着ユニット313にて追加の溶融・圧着が施されたシートは、シート搬送パス314を通ってシート搬送パス315へと搬送される。ここで、印刷モードの設定が両面印刷に設定されている場合は、シート反転パス316へとシートが搬送され、シートを反転させた後、両面搬送パス317へと搬送される。そして、二次転写位置309にて2面目の画像転写が行われる。
【0028】
シート搬送パス315を通ってインサータ108に搬送されてくるシートが所定枚数に達すると、インサータ108は、シート搬送パス322を通じて給紙された仕切りシートを搬送パスへ合流させる。これにより、印刷モジュール107から搬送されてくる一連のシート群に、任意のタイミングで仕切りシートを割り込ませて後続の装置へと搬送させることが可能となる。インサータ108を通過したシートは、検品モジュール109へ搬送される。検品モジュール109内には第1カメラ331と第2カメラ332が対向する形で配置されている。第1カメラ331がシートの上面を撮影し、第2カメラ332がシートの下面を撮影する。検品モジュール109は、シート搬送パス333に搬送されてきたシートが所定位置に到達したタイミングで、第1カメラ331と第2カメラ332を用いてシート両面の画像を読み取り、検査対象面の読取画像に欠陥がないかを検査する。表示装置241には、検品モジュール109によって行われた検品結果などが表示される。検査を終えたシートはスタッカ110へと搬送される。
【0029】
スタッカ110は、シート積載用のスタックトレイ341を有する。検品モジュール109を通過したシートはシート搬送パス344を通ってスタッカ110に搬送されてくる。シート搬送パス344からシート搬送パス345を経由して搬送されてきたシートはフリップしながら、スタックトレイ341に積載される。スタックトレイ341は昇降トレイ342とイジェクトトレイ343から構成される。さらにスタッカ110は、排紙トレイとしてエスケープトレイ346を有する。エスケープトレイ346は、検品モジュール109によって印刷欠陥(画像不良)ありと判定されたシートを排出するための排紙トレイである。エスケープトレイ346に排出する場合は、シート搬送パス344からシート搬送パス347を経由してエスケープトレイ346へとシートが搬送される。なお、スタッカ110の後段のフィニッシャ111へシートを搬送する場合には、シート搬送パス348を経由して搬送される。反転部349は、検品モジュール109における検品結果に応じてシートの排出先を切り替える場合に必ず使用される。これは、2つのカメラ331及び332によってシート上の画像を読み取り、読み取った画像を検査し、シート搬送パス345或いは348へと搬送パスを切り替えるための時間を稼ぐためである。なお、検品を行わない場合は、スタックトレイ341への積載時にシートをフリップさせるときのみ反転部349が使用されることになる。検品モジュール109での検査の結果、画像不良が検出されなかったシートはフィニッシャ111へと搬送される。
【0030】
フィニッシャ111では、搬送されてきたシートに対し、ステイプル(1個所/2箇所綴じ)やパンチ(2穴/3穴)や中とじ製本といったフィニッシング処理を行う。フィニッシャ111は、2つの排紙トレイ351及び352を備える。シート搬送パス353を経由して搬送されたシートは排紙トレイ351に排出される。ただし、シート搬送パス353ではステイプル等のフィニッシング処理を行うことはできない。ステイプル等のフィニッシング処理を行う場合は、シート搬送パス354を経由して処理機構355にシートが搬送される。そして、処理機構355において、ユーザが指定したフィニッシング機能が実行された後、排紙トレイ352へ排出される。排紙トレイ351及び352は、それぞれ昇降することが可能である。また、排紙トレイ351を下降させ、第一処理機構355にてフィニッシング処理が施されたシートを排紙トレイ351へ積載するように動作させることも可能である。また、フィニッシング機能のうち中とじ製本が指定された場合には、第二処理機構356にて、シート中央にステイプル処理をした後、当該シートを二つ折りにして、シート搬送パス357を経由して中とじ製本トレイ358へ排出される。中とじ製本トレイ358はベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ358上に積載されたシート束(中とじ製本束)は左側へ搬送される構成となっている。
【0031】
<検品モジュールの詳細>
続いて、検品処理の開始前にユーザが検品モジュール109に対して行うべき各種設定作業など、検品モジュール109の使用方法について詳しく説明する。検品モジュール109は、予め設定された検査項目に従い、搬送されてきた印刷処理済みシートを検査する。検査は、印刷処理済みシートを撮影して得られたシート両面の読取画像のうち検査対象面に対応する読取画像(以下、「検査画像」と呼ぶ。)と、表面又は裏面の何れかを示すシート面と対応付けて予め登録された正解画像とを比較して行われる。画像の比較方法には、両画像における対応する位置毎に画素値を比較する方法、エッジ検出によってオブジェクトの位置を比較する方法、文字認識処理(OCR:Optical Character Recognition)による認識結果を比較する方法などがある。以下、図4図10に示す各種UI画面を参照しつつ、検品モジュール109の事前の準備・設定について説明する。
【0032】
図4は、検品モジュール109の起動時に表示部241に表示されるUI画面(以下、「検品メニュー画面」と呼ぶ。)の一例である。なお、この検品メニュー画面を含む各種UI画面の表示制御は、検品モジュール109内のCPU238によって行われる。
【0033】
図4に示す検品メニュー画面400において、左側上部にあるメッセージ欄401には、正解画像が未登録である旨と検品処理開始に先立って正解画像の登録が必要である旨のメッセージが表示されている。起動時点で正解画像が登録済みの場合は、検品処理が開始可能である旨のメッセージが表示されることになる。メッセージ欄401の下は、正解画像が表示される画像表示領域402である。図4の例では、正解画像が未登録のため、「未登録」の文字列が表示されている。検品メニュー画面400の右側には4つのボタン403~406が並んでいる。ボタン403は、正解画像の登録を行うためのUI画面を呼び出すためのボタンである。正解画像は、検査画像に欠陥がないかどうかを判断する際の基準となる画像である。本実施形態では、予め目視等により正常に印刷されていると判断された印刷処理済みシートをユーザの指示に基づき撮影部240で撮影し、得られた読取画像を正解画像として用いることとしている。ボタン404は、検品時の条件を設定するためのUI画面を呼び出すためのボタンである。ユーザは、検品目的に応じて検査項目や検査精度を設定する。ここで、検査項目には、印刷位置のずれ、画像の色合い、画像の濃度、スジやカスレ、印刷抜けなどがある。また、検査精度は、正解画像との差異がどの程度であれば欠陥ありと判断するのかを決める指標であり、例えば1%以内といった数値で規定される。ボタン405は、検品結果を確認するためのUI画面を呼び出すためのボタンである。ユーザは、検品結果確認画面によって、過去の検品内容や検品結果を確認することができる。ボタン406は、検品の開始を指示するためのボタンである。ボタン406の押下が検知されると、検品モジュール109は、順次搬送されてくる印刷処理済みシートの検査を開始する。なお、図4に示す検品メニュー画面400の構成は一例であって、上述した以外の情報、例えば、仕切りシート設定などの検品の設定に関わる情報などを表示するように構成してもよい。続いて、上記3つのUI画面呼び出しボタン403~405が押下された場合に表示されるそれぞれのUI画面とその操作について説明する。
【0034】
≪正解画像の登録≫
上述の検品メニュー画面400において、ユーザがボタン403を押下すると、図5に示すような正解画像を登録するためのUI画面(以下、「画像登録画面」と呼ぶ。)が、まず表示部241に表示される。図5に示す画像登録画面500には、2つの設定領域501及び502と1つのボタン503が存在する。設定領域501は、検品を伴う印刷ジョブ(以下、「検品ジョブ」と呼ぶ。)の1部あたりのシート枚数を設定するための領域である。ユーザは、設定領域501内のスピンボタンを操作して所望の枚数を指定できる。この場合において、1部あたり2枚以上を指定する場合、つまり、1部が複数のシートで構成される印刷物を検品する場合には、シート毎に正解画像を登録することができる。設定領域502は、シートの検査対象面を設定するための領域である。検査をシートの両面に対して行うのか、片面に対してのみ行うのか(その際は、表面のみか、裏目のみか)を設定することができる。なお、印刷は片面に対してだけ行われる場合であっても、非印刷面にゴミが付着していないことを検査するために、両面の検査を行うよう検品条件を設定する場合もある。ボタン503は、見本となるシートから画像を読み取って、正解画像として登録する処理を開始するためのボタンである。ユーザは、上記2つの設定領域501及び502の設定を行った後、ボタン503を押下する。すると、まず画像登録画面500から、図6に示すような、画像の読み取りスタンバイ中であることを示すUI画面(以下、「読取中画面」と呼ぶ。)600へと遷移する。そして、ボタン503の押下後に搬送されてきた見本となる印刷処理済みシートの両面が撮影部240によって撮影され、上述の設定領域502における設定内容に基づき、表面又は裏面の何れかを示すシート面の情報と対応付けて正解画像が登録されることになる。
【0035】
なお、正解画像の登録時においては、第1カメラ331が撮影するシート上面が“表面”、第2カメラ332が撮影するシート下面が“裏面”となるような、固定の装置構成になっているものとする。例えば、インサータ108のインサータトレイ321には例えば「原稿表向き」といったように特定の向きで見本シートを載置することが指定され、検品モジュール109を通過する際にシート上面が必ず表面となるよう設計されているものとする。ただし、このような固定の装置構成とする代わりに、例えばUI設定によって、第1カメラ331が撮影するシート上面の読取画像を“裏面”の正解画像として登録できてもよい。いずれにしても、正解画像はシート面と対応付けて登録されることになる。 上記読取中画面600の表示は、設定領域501及び502の設定内容に従った画像の読み取りが完了するまで継続する。読取中画面600内のボタン601は、画像の読み取り中止を指示するためのボタンである。ボタン601が押下された場合には、画像の読み取りが中止され、上述の検品メニュー画面400に表示が戻ることになる。そして、設定された枚数分のシートについての画像の読み取りが無事に完了すると、読取中画面600から、図7に示すような正解画像の登録と関連事項の設定を促すUI画面(以下、「登録処理画面」と呼ぶ。)へと遷移する。登録処理画面700の左側には、読み取った画像が表示される画像表示領域701が存在し、さらにその下に、1部が複数シートで構成される場合における表示するシートを切り替えるためのボタン702と、シートの表面と裏面のいずれを表示するのかを切り替えるためのボタン703が存在する。なお、画像登録画面500で設定した1部当たりのシート枚数が1枚のときにはボタン702の表示を行わないようにしてもよい。同様に、画像登録画面500で設定した検査対象面が片面のみのときにはボタン703の表示を行わないようにしてもよい。登録処理画面700の右側には、3つのボタン704~706が並んでいる。ボタン704は、正解画像のうち検査画像との比較を行わない領域(検品スキップエリア)を設定するためのボタンである。この検品スキップエリア設定は、検査の対象領域を限定する場合に使用する。例えば、1部毎にシート内の特定エリアについて印刷内容を変えるバリアブル印刷(VDP:Variable Data Printing)の場合、1部毎に異なるIDを付して印刷する場合、住所や名前の部分だけを1部毎に変えて印刷するような場合がユースケースとして挙げられる。ボタン704が押下されると、登録処理画面700から、図8に示すような検品スキップエリアの設定用UI画面(以下、「エリア設定画面」と呼ぶ。)へと遷移する。図8に示すエリア設定画面800において、画像表示領域701内の破線の矩形801は、設定されることになる検品スキップエリアを示している。ユーザは、位置変更ボタン802で検品スキップエリア801の位置を変更したり、大きさ変更ボタン803でその大きさを変更したりすることができる。検品スキップエリア801の位置及び大きさを決定したユーザはボタン804を押下する。これにより、設定された検品スキップエリア801が、画像表示領域701に表示中の正解画像と紐づけて登録される。検品スキップエリアの登録完了後は、登録処理画面700に表示が戻る。ボタン805は、ある検品スキップエリアを登録した後、同一の正解画像に対しさらに別の検品スキップエリアを登録するためのボタンである。ボタン806は、検品スキップエリアの設定をキャンセルするためのボタンである。ボタン806が押下された場合には検品スキップエリアの設定が中止され、登録処理画面700に表示が戻る。登録処理画面700の説明に戻る。ボタン705は、画像表示領域701に表示中の読取画像を、正解画像として登録するためのボタンである。ボタン705が押下されると、画像表示領域701に表示された読取画像が、該当するシート番号(例えば1/10枚目)及びシート面(表面或いは裏面)と関連付けて正解画像として登録される。登録完了後は、登録処理画面700から検品メニュー画面400へと表示が戻る。ボタン706は、正解画像の登録をキャンセルする場合のボタンである。ボタン706が押下された場合には登録処理を中止し、検品メニュー画面400へと表示が戻る。
【0036】
≪検品条件の設定≫
上述の検品メニュー画面400において、ユーザがボタン404を押下すると、図9に示すような検品条件を設定するためのUI画面(以下、「条件設定画面」と呼ぶ。)が、表示部241に表示される。条件設定画面900には、2つの設定領域901及び902とOKボタン903が存在する。設定領域901は、検品を行う際の欠陥の検知レベルを設定するための領域である。ユーザは、設定領域901内のスピンボタンを操作して所望の検品レベルを設定することができる。ここでは、設定される検品レベルが高い(数値が大きい)ほど、正解画像と検査画像との僅かな違いでも欠陥画像と判断されることになる。設定領域902は、検査項目(検品種別)を設定するための領域である。ユーザは、検品目的に応じどのような観点で検査を行うのかを、チェックボックスにて選択することができる。図9の例では、位置、色合い、濃度、スジ、抜けの5項目が用意されており、位置、色合い、スジ、抜けの4つの項目にチェックが入っている。この場合、位置、色合い、スジ、抜けは検査の対象となるが、濃度は検査の対象外となる。OKボタン903が押下された場合には検品条件の設定が完了し、上述の検品メニュー画面400に表示が戻ることになる。
【0037】
≪検品結果の確認≫
上述の検品メニュー画面400において、ユーザがボタン405を押下すると、図10に示すような検品結果を確認するためのUI画面(以下、「結果確認画面」と呼ぶ。)が、表示部241に表示される。結果確認画面1000には、検品結果の詳細を表示する結果表示領域1001、表示対象の検品ジョブを切り替えるためのボタン1002及びOKボタン1003が存在する。いま、結果表示領域1001には、履歴が保存されている9個の検品ジョブのうち、1ジョブ目についての、検品実行日時、対象となった検品ジョブの名称、検品の実行枚数、実行枚数のうち合格だった枚数と不合格だった枚数、の各情報が表示されている。そして、ユーザは、左右のスピンボタン1002を操作することによって、表示対象の検品ジョブを切り替えることができる。検品結果を確認したユーザがOKボタン1003を押下すると、上述の検品メニュー画面400に表示が戻る。
【0038】
<外部コントローラの詳細>
続いて、外部コントローラ102の使用方法について詳しく説明する。検品モジュール109に対して上述した各種事前設定を行ったユーザは、外部コントローラ102を用いて正解画像登録のためのジョブ(以下、「登録ジョブ」と呼ぶ。)や上述の検品ジョブを生成し、画像形成装置101に投入する。図11は、外部コントローラ102のディスプレイ212に表示される、登録ジョブ及び検品ジョブにおける動作条件を設定するためのUI画面(以下、「ジョブ設定画面)と呼ぶ。)の一例である。なお、このジョブ設定画面の表示制御は、外部コントローラ102内のCPU208によって行われる。ジョブ設定画面1100には、2つの設定領域1101及び1102と5つのボタン1103~1107が存在する。設定領域1101は、検品ジョブにおける印刷部数を設定するための領域である。図11の例では、1000部の印刷を指定する検品ジョブが生成されることになる。設定領域1102は、登録ジョブや検品ジョブに従って処理されたシートの排紙先を設定するための領域である。図11の例では、基本の排紙先としてスタッカ110が選択され、印刷欠陥の発見時(すなわち、検品処理でNG判定された場合)の排紙先としてエスケープトレイ346が選択されている。ユーザは、正解画像の登録時には直ちに印刷結果を確認できるようエスケープトレイ346に排紙し、検品処理を伴う大量印刷時にはスタッカ110に排紙するなど、用途に合わせて排紙先を選択できる。また、基本及び欠陥発見時それぞれについて複数の排紙先を設定可能に構成してもよい。ボタン1103は、排紙先以外の印刷条件を設定するためのボタンである。ボタン1103の押下によりポップアップ画面(不図示)が表示され、ユーザは、面付け設定、印刷品質設定、フィニッシング設定、排紙面設定などを行うことができる。ここで、面付け設定は、例えば両面印刷や2in1印刷などを指定する設定である。印刷品質設定は、例えば印刷時に品質を優先するか処理速度を優先するかを指定する設定である。フィニッシング設定は、ステイプルやパンチ穴といった後処理の内容を指定する設定である。排紙面設定は、選択した排紙先に、フェースアップ(表面を上向き)で排紙するのかフェースダウン(表面を下向き)で排紙するのかを指定する設定である。
【0039】
ジョブ設定画面1100の右上に並ぶ2つのボタン1104と1105は、正解画像を登録する際に使用するボタンである。まず左側のボタン1104は、見本となるシートを印刷してから当該シート上の画像を読み取って正解画像として登録する場合の指示ボタンである。ボタン1104が押下されると、印刷モジュール107に対する1部のシートの印刷、検品モジュール109に対する当該シートの画像読取と読み取った画像の登録を指示する登録ジョブが生成され、画像形成装置101に投入される。そして画像形成装置101にて、当該登録ジョブに従った一連の処理が実行されて正解画像が登録される。また、右側のボタン1105は、印刷処理が済んでいる見本となるシートをインサータから給紙して読み取り、読み取った画像を正解画像として登録する場合の指示ボタンである。この右側のボタン1105は、印刷処理と正解画像の読取・登録を連続的に行うのではなく、ユーザの目視により正常に印刷されていると判断したシート(見本シート)から画像を読み取って、正解画像として登録する際に使用する。ボタン1105を押下する前にユーザは、見本シートをインサータ108のトレイ321に載置する。これにより見本シートが取り込まれ、検品モジュール109内部へ搬送されて、見本シート上の画像が読み取られ、正解画像として登録される。ここで、見本シートは、印刷モジュール107の給紙部230から給紙してもよいが、そうすると定着機ユニット311や第二定着機ユニット313を通ることになり加圧や加熱によって見本シートの画像が変形・変質してしまうことがある。そのため、印刷処理済みの見本シートを使って正解画像の登録を行う場合にはインサータ108から給紙を行うことが望ましい。なお、本実施形態において、ユーザは、ボタン1104又は1105の押下に先立って、検品モジュール109にて正解画像の登録開始を指示(前述の画像登録画面500のボタン503を押下)しておくものとする。
【0040】
画面下部にあるボタン1106は、検品を伴う印刷処理の実行開始を指示するためのボタンである。ボタン1106が押下されると、外部コントローラ102は、ジョブ設定画面1100でなされた設定内容に基づき検品ジョブを生成して印刷モジュール107に投入する。なお、本実施形態において、ユーザは、ボタン1106の押下に先立って、検品モジュール109にて検品ジョブの印刷開始を指示(前述の検品メニュー画面400のボタン406を押下)しておくものとする。外部コントローラ102から検品ジョブが投入されると、印刷モジュール107にて指定された部数の印刷処理が実行され、印刷処理されたシートが検品モジュール109に順次搬送され、事前に設定された検品条件に従って検査されることになる。ボタン1107は検品に関する設定作業をキャンセルするためのボタンであり、押下によってジョブ設定画面1100はクローズする。
【0041】
<正解画像の登録処理>
続いて、正解画像を登録する際の具体的な処理の流れについて説明する。図12は、前述のジョブ設定画面1100においてボタン1104または1105が押下された場合に外部コントローラ102が所定の登録ジョブを生成して画像形成装置101に投入するまでの処理の流れを示すフローチャートである。そして、図13は、画像形成装置101において、外部コントローラ102から投入された登録ジョブに従って正解画像が登録されるまでの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図12及び図13のフローチャートにおける記号「S」はステップを意味する。
【0042】
≪外部コントローラ側の処理≫
図12に示すフローチャートのS1201は、表示中のジョブ登録画面1100に対するユーザによるボタン操作を監視する処理である。いずれかのボタン操作が検知された場合にS1202に進む。S1202では、ボタン操作の内容に応じて処理の振り分けがなされる。検知されたボタン操作が、「1部印刷」のボタン1104の押下であった場合はS1203へ進み、「見本シートをインサータから給紙」のボタン1105の押下であった場合はS1204へ進む。検知されたボタン操作がそれ以外のボタンの押下であった場合は本処理を抜ける。
【0043】
S1203では、1部だけ印刷処理を行った上で、その印刷処理済みシートを読み取って得た画像を、正解画像として登録することを指示する登録ジョブが生成される。この場合の登録ジョブには、印刷対象となる画像データや給紙先等の情報が含まれる。一方、S1204では、画像不良がないことを確認済みの見本となる印刷物(見本シート)をインサータ108から取り込み、当該見本シートを読み取って得た画像を、正解画像として登録することを指示する登録ジョブが生成される。S1203で生成される登録ジョブとは異なり、印刷処理を伴わないので、この場合の登録ジョブには画像データや給紙先等の情報は含んでいなくてもよい。ただし、S1203で生成される登録ジョブとS1204で生成される登録ジョブのいずれにも、前述のジョブ設定画面1100でなされた排紙設定の内容(すなわち、排紙先及び排紙面の情報)が含まれる。
【0044】
S1205では、S1203又はS1204にて生成された正解画像の登録ジョブがLANI/F214を介して画像形成装置101に送信される。
【0045】
以上が、正解画像を登録する際の外部コントローラ102側の処理の流れである。
【0046】
≪画像形成装置側の処理≫
図13のフローチャートが示す一連の処理は、外部コントローラ102から送信された登録ジョブを画像形成装置101の印刷モジュール107が受信したことに応答して開始する。
【0047】
まずS1301では、印刷モジュール107が、外部コントローラ102から受信した登録ジョブを解析する。そして、印刷モジュール107は受信した登録ジョブの内容に応じて、通信ケーブル254を介してインサータ108、検品モジュール109、スタッカ110、フィニッシャ111を制御する。ジョブ解析の結果、正解画像を読み取るために1部だけの印刷処理を行うのか見本シートを取り込むのかによって、制御内容が変わることになる。また、本ステップでは、登録ジョブから抽出された排紙設定の情報を、検品モジュール109に通知する処理も併せてなされる。そしてS1302では、上記判定結果に従って処理の振り分けがなされる。具体的には、登録ジョブにおいて1部印刷が指定されていればS1303に進み、見本シートの取り込みが指定されていればS1304に進む。
【0048】
S1303では、印刷モジュール107が、S1301にて受信した登録ジョブに含まれる画像データを用いて1部だけの印刷処理を行う。この印刷処理に使用するシートは登録ジョブにて指定された給紙先から供給される。印刷処理を終えた後のシートは検品モジュール109に搬送される。
【0049】
S1304では、インサータ108が、印刷モジュール107からの指示に従って、トレイ321に載置された見本シートを取り込む。取り込んだ見本シートは、検品モジュール109へと搬送される。S1305以降は、検品モジュール109における処理である。
【0050】
S1305では、検品モジュール109が、ユーザが画像登録画面500で設定した正解画像登録時の動作条件の設定値(すなわち、1部当たりのシート枚数及び検査対象面を規定する値)を取得する。取得した設定値はメモリ239に保存される。なお、本ステップは、S1301にて登録ジョブの受信後にS1303やS1304と並行して実行しておいてもよい。次のS1306では、印刷モジュール107から通知された排紙設定の情報を受け取って、メモリ239に保存する処理がなされる。
【0051】
続くS1307は、搬送されてくるシート(印刷モジュール107で印刷処理されたシート或いはインサータ108で取り込まれた見本シート)の検知処理である。シートが検知されればS1308に進む。そして、S1308では、まず、搬送されてきたシートが撮影部240によって撮影されて、当該シートの両面の画像が読み取られる。そして、読み取られた画像は、メモリ239に保存されると共に前述の登録処理画面700における画像表示領域701に表示される。なお、画像の読み取りが完了したシートは、印刷モジュール107から通知された排紙設定に従って排出される。そして、登録処理画面700内のボタン705が押下されたことに応答して、S1309に進む。そしてS1309では、S1308にて読み取られ保存中の読取画像のうち検査対象面に対応する読取画像が、正解画像としてメモリ239に保存・登録される。この際、S1305にて取得した設定値が参照され、例えば「1枚目の表面」といったように、何枚目のシートのどちらのシート面に対する正解画像であるのかを示す情報と共に登録されることになる。なお、本実施形態においては、前述のとおり、第1カメラ331で撮影されるシート上面が表面となり、第2カメラ332で撮影されるシート下面が裏面となる。
【0052】
S1310では、S1305で取得した設定値で規定される枚数分のシートに対する画像の読み取り及び正解画像の登録が完了したかどうかが判定される。完了していなければS1307に戻って次のシートに対する処理を続行する。一方、完了していれば本処理を終了する。
【0053】
以上が、本実施形態の画像形成装置101における、正解画像を登録する際の処理の内容である。
【0054】
<検品を伴う印刷処理>
次に、検品を伴った印刷処理を行う際の具体的な処理の流れについて説明する。外部コントローラ102は、前述のジョブ設定画面1100内の「印刷開始」ボタン1106の押下に応答して前述の検品ジョブを生成して、画像形成装置101に投入し、検品を伴う印刷処理の実行を指示する。なお、前述のとおり本実施形態においては、検品モジュール109の検品メニュー画面400にて「検品開始」ボタン406の押下が、ジョブ設定画面1100内の「印刷開始」ボタン1106の押下に先立って行われているものとする。
【0055】
図14は、検品ジョブが投入された画像形成装置101における一連の処理の流れを示すフローチャートである。図14のフローチャートが示す一連の処理は、外部コントローラ102から送信された検品ジョブを画像形成装置101の印刷モジュール107が受信したことに応答して開始する。なお、図14のフローチャートにおける記号「S」はステップを意味する。
【0056】
S1401~S1404の各処理は印刷モジュール107において実行される。まずS1401では、外部コントローラ102から受信した検品ジョブが解析される。そして、印刷モジュール107は受信した検品ジョブの解析結果に応じて、通信ケーブル254を介してインサータ108、検品モジュール109、スタッカ110、フィニッシャ111を制御する。ここでは、検品モジュール109に対して、印刷処理済みシートの検品処理が指示されることになる。そして、S1402では、検品ジョブで指定された部数のうち未処理分(処理開始直後は1部目)の印刷処理が実行される。続くS1403では、印刷処理が施されたシートの排紙設定、詳細には排紙先と排紙面の情報が検品モジュール109に対して通知される。なお、ここでの「排紙先」は、検品処理でOK(印刷欠陥なし)と判定された場合の排紙先として設定された基本の排紙先であり、以下では「基本排紙先」と表記することとする。そして、S1404では、検品ジョブで指定された全部数の印刷処理が完了したか否かが判定され、完了していなければS1402に戻って残りの部数の印刷処理が続行される。一方、完了していれば印刷モジュール107における処理は終了する。
【0057】
次のS1405~S1418の各処理は、検品モジュール109において、印刷モジュール107からの検品処理の実行指示に応答して開始し、印刷モジュール107における印刷処理(S1402~S1404)と並列で実行される。まずS1405では、検品処理終了のタイミングであるかどうかが判定される。例えば、後述の図17及び図18に示すUI画面内の「検品終了」ボタン1703が押下された場合や、検品ジョブで指定された全部数についての検品処理が完了した場合が、検品終了のタイミングとなる。検品終了のタイミングでなければ次のS1406に進み、搬送されてくる印刷処理済みシートの検知処理が実行される。そして、シートが検知されればS1407に進む。S1407では、検知された印刷処理済みシートについての基本排紙先と排紙面の通知を印刷モジュール107から受け取る。次のS1408では、検知された印刷処理済みシートの上面と下面それぞれが、第1カメラ331および第2カメラ332によって撮影される。この際、前述の登録ジョブにおいて指定された検査対象面とは関わりなく、シートの上面及び下面の画像が読み取られることになる。そして、得られたそれぞれの読取画像は、上面及び下面のいずれの面に対応しているのかを示す情報が付加されてメモリ239に保存される。さらに、これら読取画像は検品中のシートのステイタスを示すUI画面(検品ステイタス画面)1700内の画像表示領域1701に表示される。
【0058】
次のS1409~S1411は、検品モジュール109内を搬送される印刷処理済みシートが、正解画像登録時と同じ向き(フェースアップ又はフェースダウン)で通過するかどうかを判定する処理である。同じ向きで通過する場合はS1412へ進み、異なる向きで通過する場合はS1413へ進む。ここで具体例を挙げて説明する。図15は、スタッカ110のスタックトレイ341にフェースダウンで排紙する場合のシートの搬送状況を示した図である。また、図16は、フィニッシャ111の排紙トレイ351/352またはスタッカ110のエスケープトレイ346にフェースダウンで排紙する場合のシートの搬送状況を示した図である。そして、両図中の黒三角のマークはシートの印刷面(表面)を表している。検品モジュール109内を通過するシートの印刷面が、図15においてはシート1501が示すように下を向いており(フェースダウン)、図16においてはシート1601が示すように上を向いている(フェースアップ)。図15のケースと図16のケースとでは、異なる向きで検品モジュール109内をシートが通過することになるのでS1413に進むことになる。以下、通過時のシート面を判定する処理について詳しく説明する。
【0059】
まずS1409では、S1407にて通知された基本排紙先と、正解画像の登録時に保存(前述のS1306を参照)した排紙先とについて、それぞれの反転フラグが同じ内容(フラグ値)であるかどうかが判定される。ここで、反転フラグとは、各排紙先においてシートを排出する際に反転処理を伴うかどうかを示すフラグであって、反転処理を伴う場合に「1(ON)」、伴わない場合に「0(OFF)」の値を持つ。以下の表1は、本実施形態の画像形成装置101に存在する排紙先毎の反転フラグを示している。
【0060】
【表1】
【0061】
上記表1に示すように、スタッカ110のスタックトレイ341はシートをフリップしながら積載するため、反転フラグの値は反転処理が有ることを表す“1”になっている。これに対し、その他の排紙先は排出時に反転させないため、反転フラグの値は反転処理が無いことを表す“0”になっている。ここで、本実施形態のスタッカ110はフリップしながらスタックトレイ341に積載しているが、シートの表面と裏面とが入れ替わればよく、反転手法は任意である。なお、排紙先毎の反転処理の有無は、画像形成装置の機構によって予め決まるものであるため、上記表1に示すような排紙先毎の反転フラグの情報は不揮発のHDD221に記憶しておけばよい。そして、印刷モジュール107の起動時にCPU222が反転フラグの情報を読み出して、通信I/F217、237を介して検品モジュール109に通知し、検品モジュール109内のメモリ239に一時保存されて利用されるものとする。通知された基本排紙先の反転フラグ値と正解画像登録時における排紙先の反転フラグ値とが同じであった場合はS1410に進む。一方、双方の反転フラグ値が異なる場合はS1411に進む。
【0062】
S1410とS1411では、S1407にて通知された排紙面が、正解画像の登録時に保存(前述のS1306を参照)した排紙面と同じであるかどうかが判定される。例えば、通知された排紙面がフェースアップであり、正解画像登録時の排紙面もフェースアップであった場合には、排紙面が同じであると判定されることになる。これに対し、いずれか一方の排紙面がフェースアップで、他方の排紙面がフェースダウンであった場合には、排紙面が異なると判定されることになる。S1410において、排紙面が同じと判定された場合はS1412に進み、排紙面が異なると判定された場合はS1413に進む。また、S1411において、排紙面が同じと判定された場合はS1413に進み、排紙面が異なると判定された場合はS1412に進む。例えば、正解画像の登録時はエスケープトレイ346にフェースダウンで排紙し(前述の図16を参照)、検品を伴う印刷時にはスタックトレイ341にフェースダウンで排紙したとする(前述の図15を参照)。この場合、スタックトレイ341へのシートの積載はフリップを伴うのに対し、エスケープトレイ346への排紙はフリップを伴わない(前述の表1を参照)。よって、S1409の判定では“NO”となる。そして、スタックトレイ341にもエスケープトレイ346にもフェースダウンで排紙されるので、S1411の判定では“YES”となる。こうして、正解画像登録時はエスケープトレイ346にフェースダウン排紙、検品を伴う印刷時はスタックトレイ341にフェースダウン排紙というケースでは、S1413へと進むことになる。
【0063】
検品モジュール109内を通過する時のシートの向きが正解画像登録時と一致する場合のS1412では、登録されている正解画像とS1408で読み取った画像とがそのまま比較される。つまり、搬送されてきたシートの上面を読み取った画像は、表面の正解画像として登録されている画像と比較され、搬送されてきたシートの下面を読み取った画像は、裏面の正解画像として登録されている画像と比較されることになる。これに対し、検品モジュール109を通過する時のシートの向きが正解画像登録時と一致しない場合のS1413では、表面の正解画像と裏面の正解画像とを入れ替えて、S1408で読み取った画像との比較が行われる。つまり、搬送されてきたシートの上面を読み取った画像は裏面の正解画像として登録されている画像と比較され、搬送されてきたシートの下面を読み取った画像は表面の正解画像として登録されている画像と比較されることになる。なお、S1412及びS1413にて比較される項目は、前述の検品条件設定画面900で設定された検品レベルや検品種別に従う。
【0064】
次のS1414では、S1412またはS1413における正解画像を用いた比較処理の結果に基づき、シートの読取画像が正常画像と欠陥画像のどちらであったかによって処理が振り分けられる。
【0065】
シートの読取画像が正常画像(すなわち、検品OK)と判定された場合にはS1415に進み、検品結果に問題がなかったことを示す「OK」の文字列が、図17に示す検品ステイタス画面1700内の結果表示領域1702に表示される。なお、この検品結果の表示は自動で行ってもよいし、前述の図4に示す検品メニュー画面400内の「検品結果確認」ボタン406が押下されたときにだけ行うようにしてもよい。なお、検品ステイタス画面1700内のボタン1703を押下することで検品を終了させることができる。ボタン1703が押された場合には、検品モジュール109は検品処理を終了し、図4の検品メニュー画面400に表示を戻す。また、検品ステイタス画面1700内のボタン1704を押下することで、検品ジョブ全体の検品結果を確認可能な前述の図10に示す結果確認画面1000を表示させることができる。検品結果を表示後はS1416に進む。S1416では、検品モジュール109は印刷モジュール107に対して、検品ジョブで指定された基本排紙先にシートを排紙するよう指示する。そして、印刷モジュール107の制御によって指定された基本排紙先に、検品OKと判定された印刷処理済みシートが排出される。シート排出後は、S1405に戻って処理が続行される。
【0066】
シートの読取画像が欠陥画像(すなわち、検品NG)と判定された場合にはS1417に進み、検品結果に問題があることを示す「NG」の文字列が、検品ステイタス画面1700内の結果表示領域1702に表示される(図18を参照)。また、図18の例では、「NG」の文字列表示に加え、欠陥画像と判定された要因(ここでは“スジ”)を特定する情報1801やその位置を示すマーク1802が表示されている。検品結果を表示後はS1418に進む。S1418では、検品モジュール109は印刷モジュール107に対して、検品ジョブで指定された検品NG時の排紙先にシートを排紙するよう指示する。そして、印刷モジュール107の制御によって指定された検品NG時の排紙先に、検品NGと判定された印刷処理済みシートが排出される。シート排出後は、S1405に戻って処理が続行される。
【0067】
以上が、本実施形態の画像形成装置101における、検品を伴う印刷処理の内容である。上述のとおり、本実施形態によれば、ジョブで指定された排紙先におけるシート反転の有無とジョブで指定された排紙面の双方を考慮して、シートの読取画像と正解画像との比較がなされる。これにより、正解画像登録時と検品を伴う印刷処理時とで、排紙先や排紙面が異なっているケースでも、正解画像と対応付けられているシート面と印刷処理済みシートの検査対象面とを整合させることが可能となる。つまり、ユーザは、種類の異なる様々な排紙先が存在する場合においても使用する排紙先に合わせて正解画像を登録する手間が省ける。
【0068】
<変形例1>
上述の実施形態においては、検品条件の設定を検品モジュール109にて行い、検品ジョブの生成を外部コントローラ102にて行っていたが、いずれか一方の装置で両方を行うような構成でもよい。さらには、検品条件の設定や検品ジョブの生成を、印刷モジュール107やクライアントPC103などで行えるような構成でもよい。
【0069】
<変形例2>
また、上述の実施形態においては、シート単位で排紙先の通知(S1403)を行い、当該通知結果に基づきシート単位で通過時の向きの判定(S1409~S1411)を行っているが、これに限定されない。例えば、検品ジョブにて複数の排紙先が選択されている場合において、同じ排紙先が継続する間は上記通知や判定をスキップして同じ処理を繰り返し行い、排紙先が切り替わるタイミングで上記通知や判定を改めて行うようにしてもよい。
【0070】
<変形例3>
また、上述の実施形態においては、検品モジュール109において排紙先・排紙面に関する判定(S1409~S1411)を行っているが、外部コントローラ102や印刷モジュール107或いはクライアントPC103で代わりに行ってもよい。この場合、検品モジュール109は、判定結果を他の装置から受け取って、受け取った判定結果に従って上述のS1412以降の処理を行えばよい。
【0071】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
図1
図2
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図5
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図10
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図18