(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】シート支持装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
(21)【出願番号】P 2020114231
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和宏
(72)【発明者】
【氏名】長崎 大二郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 肇
(72)【発明者】
【氏名】石田 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 武司
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250816(JP,A)
【文献】特開2000-025960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04、1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
シートの搬送方向に対して直交する幅方向において
前記シート支持部に収容されたシートの端部に当接する規制面を有し、前記シート支持部に対して前記幅方向に移動可能に設けられ、
前記シート支持部に収容されたシートを前記規制面の内方で規制する一対の規制部材と、を備え、
前記一対の規制部材の少なくとも一方は、前記規制面よりも前記幅方向の外方に凹
み、且つ上端が開放された凹部を有し、
前記一対の規制部材の少なくとも一方の前記規制面は、前記凹部における前記搬送方向の上流の端部よりも前記搬送方向の上流にある上流部分と、前記凹部における前記搬送方向の下流の端部よりも前記搬送方向の下流にある下流部分と、を含
み、
前記凹部は、前記幅方向の外方に凹む凹み形状が曲面で形成されている、
ことを特徴とするシート支持装置。
【請求項2】
前記一対の規制部材の少なくとも一方の前記規制面は、上下方向において、前記凹部の下端よりも下方に下方部分を含んでいる、
ことを特徴とする請求項
1に記載のシート支持装置。
【請求項3】
前記一対の規制部材の少なくとも一方は、前記凹部が、前記搬送方向において前記規制面の中央よりも上流に前記凹部の中央が位置するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のシート支持装置。
【請求項4】
前記一対の規制部材のそれぞれは、前記幅方向から視て重なる位置に前記凹部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項5】
前記一対の規制部材は、前記規制面の表面と前記凹部の表面との平均の明度が、第1明度であり、
前記シート支持部は、前記一対の規制部材が前記幅方向に移動する領域である可動領域の平均の明度が前記第1明度よりも低い第2明度である、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項6】
前記シート支持部
にシートを収容するカセッ
トを備え、
前記カセットは、収容したシートを搬送する装置の装置本体から引き出し可能となるように前記装置本体に設けられ、
前記カセットは、前記装置本体から引き出した場合において、上方に露出する露出面を有し、
前記露出面は、平均の明度が前記第2明度である、
ことを特徴とする請求項
5に記載のシート支持装置。
【請求項7】
前記シート支持部に収容されたシートの前記搬送方向における下流側の端部と当接する当接部を備え、
前記凹部は、前記搬送方向において前記当接部から148.5~210mmの範囲内に中央が位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項8】
シートを支持するシート支持部と、
シートの搬送方向に対して直交する幅方向において前記シート支持部に収容されたシートの端部に当接する規制面を有し、前記シート支持部に対して前記幅方向に移動可能に設けられ、前記シート支持部に収容されたシートを前記規制面の内方で規制する一対の規制部材と、を備え、
前記一対の規制部材の少なくとも一方は、前記規制面よりも前記幅方向の外方に凹み、且つ上端が開放された凹部を有し、
前記一対の規制部材の少なくとも一方の前記規制面は、前記凹部における前記搬送方向の上流の端部よりも前記搬送方向の上流にある上流部分と、前記凹部における前記搬送方向の下流の端部よりも前記搬送方向の下流にある下流部分と、を含み、
前記一対の規制部材の少なくとも一方は、前記凹部が、前記搬送方向において前記規制面の中央よりも上流に前記凹部の中央が位置するように配置されている、
ことを特徴とす
るシート支持装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート支持装置と、
前記シート支持装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを支持するシート支持装置及びシート支持装置に支持されたシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が備えるシート支持装置においては、シートの搬送方向と直交する幅方向においてシートと当接し、画像形成部に搬送されるシートが斜行してしまうことを規制するサイド規制板が設けられている。サイド規制板を有するシート支持装置にシート束をセットする場合においては、サイド規制板がシート束に干渉する虞があることから、サイド規制板の上部を回動させて退避させる構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート支持装置においては、サイド規制板の上部を予めユーザが回動させる必要があり、シート束をセットする際の作業性が低下してしまう。また、特許文献1に記載のシート支持装置のように、サイド規制板を動作可能に構成した場合においては、部品点数の増加に繋がり、製造コストが増加する虞があった。
【0005】
本発明は、ユーザの作業性を向上させるとともに製造コストを抑制可能なシート支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートを支持するシート支持部と、シートの搬送方向に対して直交する幅方向において前記シート支持部に収容されたシートの端部に当接する規制面を有し、前記シート支持部に対して前記幅方向に移動可能に設けられ、前記シート支持部に収容されたシートを前記規制面の内方で規制する一対の規制部材と、を備え、前記一対の規制部材の少なくとも一方は、前記規制面よりも前記幅方向の外方に凹み、且つ上端が開放された凹部を有し、前記一対の規制部材の少なくとも一方の前記規制面は、前記凹部における前記搬送方向の上流の端部よりも前記搬送方向の上流にある上流部分と、前記凹部における前記搬送方向の下流の端部よりも前記搬送方向の下流にある下流部分と、を含み、前記凹部は、前記幅方向の外方に凹む凹み形状が曲面で形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの作業性を向上させるとともに製造コストを抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
【
図2】本実施形態に係る給紙カセットの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る給紙カセットの上面図である。
【
図4】本実施形態に係る給紙カセットの断面図である。
【
図5】(a)は、本実施形態に係る給紙カセットに収容されたシートの搬送を開始した状態を示す図、(b)は、搬送が開始されたシートの後端が凹部を通過する状態を示す図である。(c)は、搬送が開始されたシートの後端が上流規制面を通過する状態を示す図である。
【
図6】サイドフェンスに凹部を有さず、規制面の一部に切欠き部を有する従来の給紙カセットにシート束を収容する状態を示す図である。
【
図7】(a)は、本実施形態に係る給紙カセットへのシート束の収容を開始した状態を示す図、(b)は、ユーザがシート束を手から離し、シート束が自重によって給紙カセットに収容されていく状態を示す図である。(c)は、給紙カセットへのシート束の収容が完了した状態を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る給紙カセットを構成する各部品の明度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態において、
図1~
図8を参照しながら詳細に説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、電子写真方式の画像形成装置100の正面図である。
【0010】
[画像形成装置]
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿の画像情報を読み取る画像読取部100Aと、記録材としてのシートPに画像形成を行う画像形成部100Bと、を備える。また、画像形成装置100は、画像形成部100BにシートPを供給する給紙部100Cと、を備える。
【0011】
画像読取部100Aは、原稿台11に載置された原稿の画像を光学的に読み取って画像情報のうち光学情報に変換する。画像形成装置100は、画像読取部100Aが変換した光学情報を用いて、画像形成部100Bの有する露光装置4の記録光の変調を行う。なお、画像形成装置100は、外部のコンピュータから送信される画像情報としてのデジタル情報に基づいて、露光装置4の記録光の変調を行うように構成されていてもよい。
【0012】
画像形成部100Bは、感光体である感光ドラム2の周囲に、感光ドラム2を一様に帯電する帯電装置3を有する。また、感光ドラム2の周囲には、画像読取部100Aが読み取った光学情報又は外部のコンピュータから送信されたデジタル情報に基づいて変調して記録光を出力し、感光ドラム2の表面を走査して静電潜像を形成する露光装置4が配設されている。また、感光ドラム2の周囲には、感光ドラム2の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して可視化(現像)し、トナー像を形成する現像装置5と、トナー像をシートPに転写する転写部6と、が配設されている。そして、感光ドラム2の周囲には、シートPにトナー像を転写した後に感光ドラム2上に残ったトナーを回収するクリーニング装置7が配設されている。
【0013】
感光ドラム2へのトナー像の形成動作に並行して、給紙部100Cから画像形成するためのシートPが搬送される。給紙部100Cには、収容したシートPを支持するシート支持装置として給紙カセット20(20a,20b)が、画像形成装置100の装置本体101の上側に2段配置されている。また、給紙部100Cには、給紙カセット20の下側に大容量のシートPを積載可能にしたペーパーデッキ40(40a,40b)が2列配置されている。
【0014】
給紙カセット20及びペーパーデッキ40に支持されているシートPは、ピックアップローラ31によって1枚ずつ搬送路32を通ってレジストレーションローラ対33へ向けて搬送され、レジストレーションローラ対33によって斜行が補正される。レジストレーションローラ対33は、感光ドラム2に形成されたトナー像の転写タイミングに合わせて、転写部6にシートPを搬送し、シートPにトナー像を担持させる。
【0015】
未定着のトナー像を担持したシートPは、搬送ベルト8によって定着装置9に搬送され、ローラ対によって挟持されて加熱及び加圧される。トナーがシートPに対して溶融及び固着して画像が定着したシートPは、シートPの片面に画像を形成する場合には、排出ローラ対12によって不図示の排出トレイへと排出される。一方、シートPの両面に画像を形成する場合には、定着装置9を通過したシートPが、反転搬送パス34を介してレジストレーションローラ対33に向けて再搬送される。その後、シートPには、表面に画像を形成された工程と同様の工程によってシートPの裏面に画像が形成され、排出トレイへと排出されて両面印刷が完了する。
【0016】
[給紙カセットの構成]
次に、本実施形態のシート支持装置及びカセットとしての給紙カセット20の詳細について、
図2~
図4を用いて説明する。
図2は、給紙カセット20の斜視図、
図3は、給紙カセット20の上面図、
図4は、
図2、
図3に示すA-A断面図である。本実施形態において、給紙カセット20に支持されるシートPは、
図1に示したピックアップローラ31によって、1枚ずつ
図2に示す搬送方向B1の方向に搬送される。
【0017】
図2に示すように、給紙カセット20は、設置された装置本体101(
図1参照)の手前側(
図2中矢印C方向)に引き出し可能に構成されている。給紙カセット20は、収容されたシートPを支持するシート支持部としてのベーストレー30上に、搬送方向B1と直交する幅方向B2においてシートPの端部に当接する一対の規制部材として、板状のサイドフェンス21,22を有する。サイドフェンス21,22は、それぞれ幅方向B2において、可動領域Arの範囲内で移動可能に設けられている。また、給紙カセット20は、搬送方向B1の上流側に、シートPの後端を規制する後端規制部材28を有する。後端規制部材28は、搬送方向B1に移動可能に設けられている。
【0018】
サイドフェンス21は、幅方向B2においてシートPの端部に当接する規制面23を有しており、規制面23の内方でシートPの幅方向B2の位置を規制している。また、サイドフェンス21は、上下方向の上方(開放部側)において規制面23よりも幅方向B2の外方に凹み、上下方向の下方において規制面23と幅方向B2の位置が同一となる凹み形状の第1凹部25を有している。つまり、第1凹部25の凹み形状は、上下方向の上方において規制面23よりも外側に膨らんだ曲面の形状になっている。
【0019】
規制面23は、第1凹部25の搬送方向B1の下流の端部25aよりも搬送方向の下流に下流部分としての下流規制面23aを含んでいる。また、規制面23は、第1凹部25の搬送方向B1の上流の端部25bよりも搬送方向の上流に上流部分としての上流規制面23bを含んでいる。
【0020】
また、
図4に示すように、規制面23は、上下方向において、第1凹部25の下端25cよりも下方に、下方部分としての下方規制面23cを有している。下方規制面23cは、
図2に示すように、搬送方向B1において、サイドフェンス21の上流側の端部近傍と下流側の端部近傍とに設けられており、搬送方向B1と平行な直線状に形成されている。また、下方規制面23cは、搬送方向B1の中央部よりも下流側に、切欠き部23dを有している。
【0021】
サイドフェンス22は、幅方向B2においてシートPの端部に当接する規制面24を有しており、規制面24の内方でシートPの幅方向B2の位置を規制している。また、サイドフェンス22は、上下方向の上方(開放部側)において規制面24よりも幅方向B2の外方に凹み、上下方向の下方において規制面24と幅方向B2の位置が同一となる凹み形状の第2凹部26を有している。つまり、第2凹部26の凹み形状は、上下方向の上方において規制面24よりも外側に膨らんだ曲面の形状になっている。
【0022】
規制面24は、第2凹部26の搬送方向B1の下流の端部26aよりも搬送方向の下流に下流部分としての下流規制面24aを含んでいる。また、規制面24は、第2凹部26の搬送方向B1の上流の端部26bよりも搬送方向の上流に上流部分としての上流規制面24bを含んでいる。
【0023】
また、
図4に示すように、規制面24は、上下方向において、第2凹部26の下端26cよりも下方に、下方部分としての下方規制面24cを有している。下方規制面24cは、
図2に示すように、搬送方向B1において、サイドフェンス22の上流側の端部近傍と下流側の端部近傍とに設けられており、搬送方向B1と平行な直線状に形成されている。また、下方規制面24cは、搬送方向B1の中央部よりも上流側に、切欠き部24dを有している。
【0024】
図3に示すように、給紙カセット20にシートPが収容される場合においては、シートPの長手方向が搬送方向B1と平行となるように収容される。また、給紙カセット20にシートPが収容される場合においては、搬送方向B1の下流側に設けられた給紙カセット20の内壁27にシートPの搬送方向B1の下流側の端面が当接する。この、内壁27が、本実施形態におけるベーストレー30に収容されたシートPの搬送方向B1における下流側の端部と当接する当接部を構成する。
【0025】
給紙カセット20は、後端規制部材28を搬送方向B1の方向に動かすことで、内壁27から後端規制部材28までの長さについて、279.4~431.8mmの範囲で変更可能に構成されている。これにより、給紙カセット20は、長手方向の長さが420mmのA3サイズのシートと、長手方向の長さが297mmのA4サイズのシートと、を収容することができる。また、給紙カセット20は、長手方向の長さが355.6mmのリーガルサイズのシートと、長手方向の長さが431.8mmのタブロイドサイズのシートと、についても収容可能に構成されている。
【0026】
第1凹部25、第2凹部26の形状について、詳細に説明する。なお、以下の説明における、サイドフェンス21,22の寸法と、規制面23,24の寸法と、第1凹部25、第2凹部26の寸法と、について、具体的な数値は、説明のために用いられる一例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
サイドフェンス21,22は、幅方向B2から視て重なる位置に第1凹部25、第2凹部26を有している。第1凹部25、第2凹部26の搬送方向B1における中央の位置は、給紙カセット20に収容されるシートの長手方向の長さに対応する位置となっている。
【0028】
搬送方向B1の下流側の端面が内壁27に当接するように給紙カセット20に収容される場合において、A3サイズのシートの長手方向の長さの中央の位置は、内壁27から210mmの位置(第1位置)である。また、搬送方向B1の下流側の端面が内壁27に当接するように給紙カセット20に収容される場合において、A4サイズのシートの長手方向の長さの中央の位置は、内壁27から148.5mmの位置(第2位置)である。
【0029】
これらより、第1凹部25、第2凹部26の搬送方向B1における中央の位置は、第1位置と第2位置との略中央の位置となる内壁27から179mmの位置となっている。このような構成により、給紙カセット20は、A3、A4サイズのいずれのシートを収容する場合にも、第1凹部25、第2凹部26の位置から下ろされてくることで、サイドフェンス21,22の上端の縁と干渉することがなく、シート束の毀損を防止できる。
【0030】
ここで、本実施形態のサイドフェンス21,22は、搬送方向B1の長さが、240mmから構成されている。また、給紙カセット20では、A4サイズのシートの幅方向B2の端面の40%以上に下流規制面23a,24aと上流規制面23b,24bとを当接させることで、収容されたシートPの斜行を良好に規制することができる。
【0031】
本実施形態の第1凹部25は、搬送方向B1の下流の端部25aから上流の端部25bまでの長さについて、110mmとなっている。つまり、サイドフェンス21は、第1凹部25が最も幅方向B2の外方に膨らみ、下流規制面23aと上流規制面23bとの長さが最も短くなる上下方向の上端付近において、合計で130mmの下流規制面23aと上流規制面23bとを有している。
【0032】
また、本実施形態の第2凹部26は、搬送方向B1の下流の端部26aから上流の端部26bまでの長さについて、110mmとなっている。つまり、サイドフェンス22は、第2凹部26が最も幅方向B2の外方に膨らみ、下流規制面24aと上流規制面24bとの長さが最も短くなる上下方向の上端付近において、合計で130mmの下流規制面24aと上流規制面24bとを有している。
【0033】
A4サイズのシートの長手方向の長さ(297mm)の40%となる寸法は、118.8mmである。このため、給紙カセット20は、サイドフェンス21,22によって、サイドフェンス21,22の上下方向の上端近傍まで積載されたシートPについても、40%以上の範囲で幅方向B2の位置を規制でき、十分に斜行を防止できる。
【0034】
また、サイドフェンス21,22は、第1凹部25、第2凹部26の搬送方向B1における中央の位置について、搬送方向B1における中央部よりも上流側に位置するように構成されている。つまり、サイドフェンス21,22は、下流規制面23a,24aの方が、上流規制面23b,24bよりも搬送方向B1の長さが長くなるように構成されている。
【0035】
第1凹部25、第2凹部26は、それぞれ幅方向B2に規制面23,24よりも7mm外方に凹む形状となっている。このため、給紙カセット20では、シート束を収容する際に、幅方向B2の中心からずれてシート束を収容していく場合であっても、第1凹部25、第2凹部26の凹み形状によってシート束が幅方向B2の中心に向けて案内されていく。
【0036】
本実施形態において、サイドフェンス21,22は、上下方向の高さが67mmとなっている。給紙カセットにシート束を収容する場合においては、500枚のパッケージから取り出した状態のシート束が収容された場合、シート束の厚みが45~50mmとなる。このため、第1凹部25、第2凹部26は、パッケージから取り出した500枚のシート束を収容する際に、シート束のすべてを案内した後に下方規制面23c,24cに収容可能にするために、上下方向の高さが45mmとなっている。
【0037】
[給紙カセットに収容されたシートの搬送]
図5(a)は、給紙カセット20に収容されたシートPの搬送を開始した状態を示す図である。また、
図5(b)は、搬送が開始されたシートPの上流側端部(後端)が第1凹部25、第2凹部26を通過する状態を示す図である。また、
図5(c)は、搬送が開始されたシートPの後端が下流規制面23a,24aを通過する状態を示す図である。
【0038】
図5(a)~(c)に示すように、サイドフェンス21,22は、シートPが搬送される給送口50の近傍に位置する下流規制面23a,24aが搬送方向B1と平行な直線状に形成されている。また、サイドフェンス21,22は、搬送方向B1の上流側の上流規制面23b、24bについても、搬送方向B1と平行な直線状に形成されている。
【0039】
給紙カセット20に積載されたシートPは、ピックアップローラ31(
図1参照)によって最上位のシートから1枚ずつピックアップされ、給送口50より搬送路32(
図1参照)に向けて搬送される。
【0040】
図5(a)に示すシートPの搬送が開始された状態において、シートPは、サイドフェンス21,22の下流規制面23a,24a及び上流規制面23b,24bによって幅方向B2の移動が規制される。また、
図5(b)に示すシートPの後端が第1凹部25、第2凹部26を通過している状態において、シートPは、サイドフェンス21,22の上流規制面23b,24bによって幅方向B2の移動が規制される。そして、
図5(c)に示すシートPの後端が第1凹部25、第2凹部26を通過した後の状態において、シートPは、サイドフェンス21,22の上流規制面23b,24bによって幅方向B2の移動が規制される。
【0041】
上述した通り、第1凹部25、第2凹部26は、それぞれ規制面23,24よりも外方に膨らんだ形状を有している。このため、給紙カセット20に収容されたシートPの幅方向B2の端面は、第1凹部25、第2凹部26と対向する位置において、幅方向B2の規制を受けない構成となっている。
【0042】
本実施形態のサイドフェンス21,22は、シートPの搬送開始時において、下流規制面23a,24a及び上流規制面23b,24bの2か所でシートPの幅方向B2の移動を規制するように構成されている。このような構成により、本実施形態の給紙カセット20では、シートPの搬送開始時にシートPが斜行することを防止できる。
【0043】
また、サイドフェンス21,22は、より詳しくは後述するが、第1凹部25、第2凹部26の中心が搬送方向B1の中央よりも上流側に位置するように、第1凹部25、第2凹部26を有している。つまり、サイドフェンス21,22では、上流規制面23b,24bよりも下流規制面23a,24aの方が搬送方向B1の長さが長くなるように構成されている。そして、給紙カセット20では、第1凹部25、第2凹部26をシートPの後端が通過する時点では、ピックアップローラ31によって安定したシートPの搬送が実行されている。
【0044】
このような構成により、給紙カセット20では、シートPの搬送の過程で、下流規制面23a,24aの1か所でシートPの幅方向B2の移動を規制する状態になるものの、シートPの幅方向B2の端面が下流規制面23a,24aと広範囲で当接する。このため、給紙カセット20は、下流規制面23a,24aによってシートPの幅方向B2の移動を十分に規制でき、シートPの斜行を防止し安定した搬送を実現することで、好適に画像形成部100B(
図1参照)にシートPを給送できる。また、給紙カセット20は、シートPの斜行を十分に防止することで、給紙ジャム等の発生を抑制することができる。
【0045】
[給紙カセットへのシートの収容]
図6は、サイドフェンス210に第1凹部25、第2凹部26を有さず、規制面の一部に切欠き部215を有する従来の給紙カセット200に、シート束を収容する状態を示す図である。
図6に示すシート束は、例えば、500枚のパッケージから取り出した状態のシート束から構成される。
【0046】
一般に、給紙カセットにシート束を収容する場合においては、シート束の長手方向両端部を把持し、給紙カセットの上方から略垂直に下ろしていくことで収容される。このような場合において、シート束は、長手方向の略中央部で下方に向けてたわむため、給紙カセットに収容される場合に、長手方向の略中央部より収容されていく。
【0047】
このため、サイドフェンス210に設けられた切欠き部215からずれた位置にシート束の長手方向の略中央部が位置した状態で給紙カセット200に収容される場合には、シート束がサイドフェンス210の上方の縁部210aに干渉してしまう。シート束がサイドフェンス210の上方の縁部210aに干渉した場合には、シート束を収容する作業に支障をきたすとともに、シートに折れや凹み等の毀損が生じる虞がある。
【0048】
図7(a)は、本実施形態の給紙カセット20へのシート束の収容を開始した状態を示す図、
図7(b)は、ユーザがシート束を手から離し、シート束が自重によって給紙カセット20に収容されていく状態を示す図である。そして、
図7(c)は、給紙カセット20へのシート束の収容が完了した状態を示す図である。
【0049】
上述したように、本実施形態の給紙カセット20は、サイドフェンス21,22の規制面23,24のうち、上下方向の上方に設けられた下流規制面23a,24aと上流規制面23b,24bが、搬送方向B1に平行な直線状に形成されている。また、給紙カセット20には、シートPの長手方向が搬送方向B1と平行となるように収容される。そのため、給紙カセット20に収容されるシート束についても、長手方向の略中央部が下方に向けてたわんだ状態で給紙カセット20に収容されていく。
【0050】
サイドフェンス21に形成された第1凹部25において、搬送方向B1の下流の端部25aは、搬送方向B1においてサイドフェンス21の略中央部よりも下流側に設けられている。また、第1凹部25において、搬送方向B1の上流の端部25bは、搬送方向B1においてサイドフェンス21の略中央部よりも上流側に設けられている。また、第1凹部25は、規制面23よりも外方に膨らんだ湾曲した形状を有している。
【0051】
サイドフェンス22に形成された第2凹部26において、搬送方向B1の下流の端部26aは、搬送方向B1においてサイドフェンス22の略中央部よりも下流側に設けられている。また、第2凹部26において、搬送方向B1の上流の端部26bは、搬送方向B1においてサイドフェンス22の略中央部よりも上流側に設けられている。また、第2凹部26は、規制面24よりも外方に膨らんだ曲面の形状を有している。
【0052】
このような構成により、給紙カセット20では、
図7(a)に示すように、シート束の略中央部の下方をサイドフェンス21,22の上方まで下ろした場合に、シート束の略中央部が第1凹部25、第2凹部26の近傍に位置することになる。このため、給紙カセット20にシート束を収容する場合においては、サイドフェンス21,22に干渉することなくサイドフェンス21,22内までシート束を下すことができる。
【0053】
また、上述したように、第1凹部25、第2凹部26は、上下方向の上方において、規制面23,24よりも幅方向B2の外方に膨らんだ形状である。そして、第1凹部25、第2凹部26は、上下方向の下端25c,26cが幅方向B2の位置が規制面23,24と同じ位置となるように、連続して幅方向B2の位置が変化する曲面の形状となっている。
【0054】
このような構成であることから、給紙カセット20では、
図7(b)に示すように、ユーザがシート束を手放し自重により落下する場合に、第1凹部25、第2凹部26に案内されて下方規制面23c,24c内に収容されていく。
【0055】
また、上述したように、サイドフェンス21,22の上下方向の下方に形成された下方規制面23c,24cは、搬送方向B1の上流側の端部近傍及び下流側の端部近傍において、搬送方向B1と平行な直線状に形成されている。また、下方規制面23c,24cは、幅方向B2においてシートPの幅と略同一の距離をもって対向しており、それぞれシートPの幅方向B2の端面の位置を規制するように構成されている。また、給紙カセット20では、シート束のうち下方規制面23c,24cよりも上方に位置するシートについて、下流規制面23a,24a及び上流規制面23b,24bによって幅方向B2の位置が規制される。
【0056】
つまり、給紙カセット20では、
図7(c)に示すように、自重落下したシート束のうち、第1凹部25、第2凹部26よりも下方のシートが、下方規制面23c,24cによって搬送方向B1に平行に揃えられる。また、給紙カセット20では、自重落下したシート束のうち、第1凹部25、第2凹部26と対向するシートが、下流規制面23a,24a及び上流規制面23b,24bによって搬送方向B1に平行に揃えられる。
【0057】
この構成により、本実施形態の給紙カセット20は、シート束の収容時にシート束が毀損されることなく容易にシート束を収容でき、画像形成部100B(
図1参照)にシートPを搬送する際に適正な位置にシート束を収容するユーザの作業性を向上できる。また、給紙カセット20は、規制面23,24よりも幅方向B2の外方に膨らむ第1凹部25、第2凹部26の簡易な形状によってユーザの作業性を向上でき、ユーザの作業性の向上のために別の部品を要することがなく、製造コストを抑制できる。
【0058】
[給紙カセットの明度]
一般に、画像形成装置100が画像を形成するために用いられる記録材は、白色等の明度が高い色のものが用いられる。このため、給紙カセットにシート束を収容する場合においては、給紙カセットを装置本体から引き出した際に露出する露出面を記録材よりも明度の低い色から構成することで、給紙カセットとシート束とをユーザに容易に識別させることができるようになる。また、サイドフェンスの内方を給紙カセットの露出面よりも高い明度の色にすることで、サイドフェンスに挟まれた明度の低い色の箇所が視認できないようにシート束を下すことでシート束を給紙カセットに収容可能になるとユーザに認識させることができる。
【0059】
図8は、本実施形態の給紙カセット20を構成する各部品の明度を示す図である。本実施形態において、サイドフェンス21,22は、規制面23,24の内方の表面及び上方の縁の一部と、第1凹部25、第2凹部26の表面と、が、第1明度の色としての白色に着色されている。また、給紙カセット20は、装置本体101(
図1参照)から引き出した際に露出するベーストレー30と、後端規制部材28と、を含む露出面60が、第1明度よりも低い第2明度の色としての黒色に着色されている。ベーストレー30においては、サイドフェンス21,22の内側の部分及びサイドフェンス21,22の幅方向B2の可動領域Arについても、第2明度の色としての黒色に着色されている。
【0060】
このような構成により、本実施形態の給紙カセット20は、シート材を収容する場合において、黒色の露出面60と、白色等の明るい色のシート材と、で明度の差が大きくなるため、シート材の位置をユーザに容易に視認させることができる。また、給紙カセット20は、規制面23,24の内方及び上方の縁の一部と、第1凹部25、第2凹部26と、が白色で構成され、サイドフェンス21,22の内側を含む露出面60が黒色で構成されている。このため、給紙カセット20は、露出面60のうちサイドフェンス21,22内の箇所を視認できない位置からシート材を下ろしていくことで、シート材を収容することができるため、ユーザに容易にシート材を収容させることができる。
【0061】
以上のように、本実施形態の給紙カセット20は、シート束が規制面23,24よりも外方に膨らむ第1凹部25、第2凹部26と対向する位置から収容されることで、シート束がサイドフェンス21,22の上方の縁と干渉することが防止される。これにより、給紙カセット20は、シート束を収容する際にシート束がサイドフェンス21,22に干渉し毀損されることを防止できる。
【0062】
また、給紙カセット20は、上下方向の上方において幅方向B2よりも外方に膨らみ、上下方向の下方において幅方向B2の位置が規制面23,24と同じ位置となる連続した曲面の形状を有する第1凹部25、第2凹部26によって、シート束を案内する。これにより、給紙カセット20は、シート束を収容させるユーザの作業性を向上できるとともに、画像形成部100B(
図1参照)にシートPを搬送する際に適正な位置にシート束を収容することができる。また、給紙カセット20は、規制面23,24よりも幅方向B2の外方に膨らむ第1凹部25、第2凹部26の簡易な形状によってユーザの作業性を向上でき、ユーザの作業性の向上のために別の部品を要することがなく、製造コストを抑制できる。
【0063】
[変形例]
なお、本実施形態において、給紙カセット20は、サイドフェンス21に第1凹部25を有し、サイドフェンス22に第2凹部26を有しているが、これに限定されない。給紙カセット20は、サイドフェンス21,22の少なくとも一方に、幅方向B2において規制面よりも外方に膨らむ凹部を有していればよい。給紙カセット20は、手前側のサイドフェンスに凹部を有していることが好ましい。また、給紙カセット20は、凹部を有しないサイドフェンスにおいて、内方の全面が規制面から構成されていてもよい。
【0064】
また、本実施形態において、給紙カセット20は、第1凹部25と第2凹部26とについて、凹み形状が曲面の形状から構成されているが、これに限定されない。給紙カセット20は、凹み形状が平面の斜面から構成されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態において、サイドフェンス21,22は、第1凹部25、第2凹部26の下方に下方規制面23c,24cを有しているが、これに限定されない。サイドフェンス21,22は、第1凹部25、第2凹部26の下方の下端25c,26cが、ベーストレー30に接続されるように構成されていてもよい。
【0066】
また、本実施形態において、サイドフェンス21,22は、第1凹部25、第2凹部26が、搬送方向B1において規制面23,24の中央よりも上流に第1凹部25、第2凹部26の中央が位置するように配置されているが、これに限定されない。サイドフェンス21,22は、例えば、第1凹部25、第2凹部26の中央と、規制面23,24の中央と、が略同一となるように配置されていてもよい。
【0067】
また、本実施形態において、サイドフェンス21,22は、幅方向B2から視て重なる位置に第1凹部25、第2凹部26を有しているが、これに限定されない。サイドフェンス21,22は、例えば、第1凹部25の中央と、第2凹部26の中央と、が幅方向B2から視て異なる位置に有していてもよい。
【0068】
また、本実施形態において、給紙カセット20は、規制面23,24の表面と、第1凹部25、第2凹部26の表面と、が第1明度の色から構成され、露出面60が第2明度の色から構成されているが、これに限定されない。給紙カセット20は、例えば、白色に着色された規制面23,24の表面の一部に黒色の文字が書かれていてもよく、規制面23,24の表面と、第1凹部25、第2凹部26の表面と、の平均の明度が第1明度の色から構成されていればよい。また、給紙カセット20は、露出面60の一部に白色の文字やロゴが形成されていてもよく、露出面60の平均の明度が第2明度の色から構成されていればよい。
【0069】
また、本実施形態において、給紙カセット20は、露出面60の全面が第2明度の色から構成されているが、これに限定されない。給紙カセット20は、例えば、サイドフェンス21,22が幅方向B2に移動可能な領域である可動領域Arが第2明度の色から構成され、他の部分について、第2明度の色とは異なる明度の色から構成されていてもよい。
【0070】
また、本実施形態において、サイドフェンス21,22は、板状の部材から構成されているが、これに限定されない。サイドフェンス21,22は、例えば、網目(メッシュ)状の部材から構成されていてもよい。
【0071】
また、本実施形態において、画像形成装置100は、シート支持装置として、給紙カセット20を有しているが、これに限定されない。画像形成装置100は、例えば、シート支持装置として手差しトレイを有し、該手差しトレイに設けられたサイドフェンスにおいて、規制面よりも幅方向の外側に膨らむ凹部を有するように構成されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態において、第1凹部25、第2凹部26の搬送方向B1における中央の位置は、A3、A4サイズのシートの長手方向の長さの中央の位置に基づき、内壁27から179mmの位置となっているが、これに限定されない。第1凹部25は、A4サイズのシートの長手方向の中央の位置である内壁27から148.5mmの位置からA3サイズのシートの長手方向の中央の位置である内壁27から210mmの位置までの範囲内に搬送方向B1における中央が位置すればよい。また、第2凹部26についても、同様に、内壁27から148.5~210mmの範囲内に搬送方向B1における中央が位置すればよい。
【符号の説明】
【0073】
20…シート支持装置、カセット(給紙カセット):21,22…規制部材(サイドフェンス):23,24…規制面:23a,24a…下流部分(下流規制面):23b,24b…上流部分(上流規制面):23c,24c…下方部分(下方規制面):25,26…凹部(第1凹部、第2凹部):25a,25b,26a,26b…端部:25c,26c…下端:30…シート支持部(ベーストレー):60…露出面:100…画像形成装置:100B…画像形成部:101…装置本体:Ar…可動領域:B1…搬送方向:B2…幅方向:P…シート