(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240909BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240909BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240909BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/30 338
G09F9/33
H01L29/78 612Z
H01L29/78 619B
(21)【出願番号】P 2020123528
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-061103(JP,A)
【文献】特開2015-211089(JP,A)
【文献】特開2018-101067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241005(US,A1)
【文献】特開2005-181422(JP,A)
【文献】特開2003-084687(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0069709(KR,A)
【文献】特開2017-188522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/33
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、
前記絶縁基材に配置された発光素子と、
前記絶縁基材の厚さ方向において前記絶縁基材と前記発光素子の間に配置され、前記発光素子を駆動する第1トランジスタを含む画素回路と、
前記画素回路の一部を遮光する第1シールドと、
前記画素回路に映像信号を供給する映像線と、
前記発光素子を発光させるための電源が供給される電源線と、
前記映像線と前記電源線の間に配置され、前記画素回路にリセット信号を供給するリセット配線と、を備え、
前記第1トランジスタは、第1半導体層と、前記厚さ方向において前記絶縁基材と前記第1半導体層の間に配置され前記第1半導体層と交差する第1ゲート電極と、を有し、
前記第1シールドは、前記厚さ方向において前記絶縁基材と前記第1ゲート電極の間に配置され、前記第1半導体層と前記第1ゲート電極が交差するチャネル領域と重なって
おり、
前記画素回路は、前記発光素子に接続された第2半導体層と、前記第2半導体層と交差する第2ゲート電極と、を有する第2トランジスタをさらに含み、
前記第1半導体層は、前記第2ゲート電極に接続され、
前記第1半導体層は、前記第2ゲート電極および前記映像線に接続され、
前記第2半導体層は、前記発光素子および前記電源線に接続され、
前記第1シールドは、前記リセット配線の一部と重なっており、
前記第1ゲート電極に制御信号が供給された場合、前記映像線の前記映像信号が前記第1半導体層を介して前記第2ゲート電極に供給され、これにより前記映像信号に応じた電圧が前記第2半導体層を介して前記電源線から前記発光素子に供給される、表示装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、前記第1半導体層と交差する一対の前記第1ゲート電極を有し、
前記第1シールドは、前記第1半導体層と前記一対の第1ゲート電極がそれぞれ交差する一対の前記チャネル領域の双方と重なっている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1シールドは、前記第1半導体層の全体と重なっている、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1半導体層を介して前記第1シールドと対向する第2シールドをさらに備え、
前記第2シールドは、前記チャネル領域と重なっている、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1シールドは、前記映像線の一部と重なっている、
請求項
1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1シールドは、前記第2ゲート電極の一部と重なっている、
請求項
1乃至
5のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記リセット配線は、前記電源線に向けて突出した屈曲部を有し、
前記第1シールドは、前記屈曲部と重なっている、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた表示装置が知られている。近年では、マイクロLEDと称される微小な発光ダイオードをアレイ基板に実装した表示装置も開発されている。この種の表示装置は高品位の画像表示が可能であり、次世代の表示装置として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-52154号公報
【文献】特開2020-52155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロLED等の自発光型の表示素子においてその視野角が大きい場合、表示装置の裏面方向に向かった光やその反射光が表示素子を駆動するための画素回路にも照射される。このような光に起因して画素回路に含まれるトランジスタに光リーク電流が発生すると、表示装置の輝度が低下する。
【0005】
本開示の一態様における目的は、高輝度化が可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、絶縁基材と、前記絶縁基材に配置された発光素子と、前記絶縁基材の厚さ方向において前記絶縁基材と前記発光素子の間に配置され、前記発光素子を駆動する第1トランジスタを含む画素回路と、前記画素回路の一部を遮光する第1シールドと、前記画素回路に映像信号を供給する映像線と、前記発光素子を発光させるための電源が供給される電源線と、前記映像線と前記電源線の間に配置され、前記画素回路にリセット信号を供給するリセット配線と、を備えている。前記第1トランジスタは、第1半導体層と、前記厚さ方向において前記絶縁基材と前記第1半導体層の間に配置され前記第1半導体層と交差する第1ゲート電極と、を有している。前記第1シールドは、前記厚さ方向において前記絶縁基材と前記第1ゲート電極の間に配置され、前記第1半導体層と前記第1ゲート電極が交差するチャネル領域と重なっている。前記画素回路は、前記発光素子に接続された第2半導体層と、前記第2半導体層と交差する第2ゲート電極と、を有する第2トランジスタをさらに含む。前記第1半導体層は、前記第2ゲート電極に接続されている。前記第1半導体層は、前記第2ゲート電極および前記映像線に接続されている。前記第2半導体層は、前記発光素子および前記電源線に接続されている。前記第1シールドは、前記リセット配線の一部と重なっている。前記第1ゲート電極に制御信号が供給された場合、前記映像線の前記映像信号が前記第1半導体層を介して前記第2ゲート電極に供給され、これにより前記映像信号に応じた電圧が前記第2半導体層を介して前記電源線から前記発光素子に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る表示装置の概略的な回路図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る副画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る表示パネルの概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る表示パネルの他の概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る画素に含まれる要素の概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る画素に含まれる他の要素の概略的な平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る画素に含まれるさらに他の要素の概略的な平面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した画素回路を拡大した概略的な平面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る副画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る副画素の等価回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0009】
各実施形態においては一例として、LED素子を備える自発光型の表示装置を開示する。ただし、各実施形態は、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子のような他種の表示素子を有する表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の概略的な斜視図である。以下の説明においては、図示したように第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。これら方向X,Y,Zは互いに直交しているが、90°以外の角度で交わってもよい。本実施形態においては、第3方向Zに沿って表示装置1やその構成要素を見ることを平面視と呼ぶ。また、第3方向Zを上と呼び、第3方向Zの反対方向を下と呼ぶことがある。
【0011】
表示装置1は、表示パネル2と、第1回路基板3と、第2回路基板4と、コントローラ5とを備えている。
図1の例において、表示パネル2は、第1方向Xと平行な短辺EXと、第2方向Yと平行な長辺EYとを有した矩形状である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。
【0012】
表示パネル2は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周りの非表示領域NDA(周辺領域)とを有している。非表示領域NDAは、短辺EXに沿う端子領域MTを含む。本実施形態においては表示領域DAが矩形状であるが、表示領域DAが他の形状であってもよい。表示領域DAには、第1方向Xおよび第2方向Yにおいてマトリクス状に並ぶ複数の画素PXが配置されている。
【0013】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第2回路基板4は、第1回路基板3と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブル回路基板(FPC)である。第2回路基板4は、例えばプリント回路基板(PCB)である。コントローラ5は、例えば集積回路(IC)である。
図1の例においては、第1回路基板3の上にコントローラ5が実装されている。ただし、コントローラ5は、第1回路基板3の下や非表示領域NDA、または第2回路基板4に実装されてもよい。
【0014】
コントローラ5は、例えば第2回路基板4を介して制御基板(図示せず)と接続されている。コントローラ5は、制御基板から出力される映像信号に基づいて複数の画素PXを駆動する。
【0015】
図2は、本実施形態に係る表示装置1の概略的な回路図である。表示パネル2は、非表示領域NDAにおいて、映像ドライバXDRと、第1走査ドライバYDR1と、第2走査ドライバYDR2とを備えている。映像ドライバXDRは、第1方向Xに延びている。走査ドライバYDR1,YDR2は、第2方向Yに延びている。表示領域DAは、走査ドライバYDR1,YDR2の間に位置している。
【0016】
表示パネル2は、表示領域DAにおいて複数種類の配線を備えている。これら配線は、複数の走査線Gsg,Grg,Gbgと、複数の映像線VLと、複数の電源線PL1と、複数の電源線PL2と、複数のリセット配線SRとを含む。
【0017】
走査線Gsg,Grg,Gbgは、第1方向Xに延びており、走査ドライバYDR1,YDR2に接続されている。例えば、第2方向Yに並ぶ画素PXのうち、偶数番目の画素PXを駆動するための走査線Gsg,Grg,Gbgが第1走査ドライバYDR1に接続され、奇数番目の画素PXを駆動するための走査線Gsg,Grg,Gbgが第2走査ドライバYDR2に接続されている。他の例として、例えば走査線Gsg,Grgが全て第1走査ドライバYDR1に接続されるとともに走査線Gbgが全て第2走査ドライバYDR2に接続されるなど、走査線Gsg,Grg,Gbgのいずれかが第1走査ドライバYDR1に接続され、残りが第2走査ドライバYDR2に接続されてもよい。
【0018】
映像線VL、電源線PL1,PL2およびリセット配線SRは、第2方向Yに延びている。映像線VLは、映像ドライバXDRに接続されている。映像線VLには、映像ドライバXDRから映像信号Vsigと初期化信号Viniが供給される。電源線PL1には、コントローラ5から高電位Pvddが供給される。電源線PL2には、コントローラ5から高電位Pvddよりも低い低電位Pvssが供給される。リセット配線SRには、コントローラ5からリセット信号Vrstが供給される。
【0019】
コントローラ5は、走査ドライバYDR1,YDR2にスタートパルス信号STVやクロック信号CKVも出力する。走査ドライバYDR1,YDR2は複数のシフトレジスタ回路を含んでおり、クロック信号CKVに応じてスタートパルス信号STVを次段のシフトレジスタ回路に順次転送し、各走査線Gsg,Grg,Gbgに制御信号を順次供給する。
【0020】
図3は、画素PXに含まれる副画素SPの等価回路の一例を示す図である。副画素SPは、発光素子10と、発光素子10を駆動する画素回路PCとを備えている。本実施形態においては、発光素子10がマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)である場合を想定する。すなわち、表示装置1は、マイクロLED表示装置である。
【0021】
一例として、マイクロLEDである発光素子10においては、最長の一辺の長さが100μm以下である。ただし、発光素子10は、例えば最長の一辺の長さが100μmより大きく300μm未満のミニLEDであってもよい。また、発光素子10は、最長の一辺の長さが300μm以上のLEDであってもよい。
【0022】
画素回路PCは、映像線VLに供給される映像信号Vsigに応じて発光素子10を制御する。このような発光素子10の駆動を実現するために、本実施形態における画素回路PCは、画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、リセットトランジスタRST、保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。補助容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要となることもある。画素選択トランジスタSSTは第1トランジスタの一例であり、駆動トランジスタDRTは第2トランジスタの一例である。
【0023】
画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTは、例えばNチャネル型のTFTにより構成できるが、これらの少なくとも1つがPチャネル型のTFTにより構成されてもよい。
【0024】
本実施形態において、画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTは、同一工程かつ同一層構造で形成され、半導体層に多結晶シリコンを用いたボトムゲート構造を有している。他の例として、画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTは、トップゲート構造を有してもよい。なお、半導体層としては、酸化物半導体や多結晶GaN半導体などを用いてもよい。
【0025】
画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTは、第1端子、第2端子および制御端子を有している。
図3の説明においては、第1端子をソース電極、第2端子をドレイン電極、制御端子をゲート電極と呼ぶ。
【0026】
駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTは、電源線PL1と電源線PL2の間で発光素子10と直列に接続されている。電源線PL1に供給される高電位Pvddは例えば10Vに設定され、電源線PL2に供給される低電位Pvssは例えば1.5Vに設定されている。
【0027】
出力トランジスタBCTのドレイン電極は、電源線PL1に接続されている。出力トランジスタBCTのソース電極は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極に接続されている。出力トランジスタBCTのゲート電極は、走査線Gbgに接続されている。出力トランジスタBCTは、走査線Gbgから供給される制御信号BGによりオン、オフされる。ここで、オンは導通状態を表し、オフは非導通状態を表す。出力トランジスタBCTは、制御信号BGに基づき発光素子10の発光時間を制御する。
【0028】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、発光素子10の一方の電極(ここでは陽極)に接続されている。発光素子10の他方の電極(ここでは陰極)は、電源線PL2に接続されている。駆動トランジスタDRTは、映像信号Vsigに応じた駆動電流を発光素子10に出力する。
【0029】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像線VLに接続されている。画素選択トランジスタSSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。画素選択トランジスタSSTのゲート電極は、信号書き込み制御用のゲート配線として機能する走査線Gsgに接続されている。画素選択トランジスタSSTは、走査線Gsgから供給される制御信号SGによりオン、オフされ、画素回路PCと映像線VLの接続および非接続を切り替える。すなわち、画素選択トランジスタSSTがオンされることにより、映像線VLの映像信号Vsigまたは初期化信号Viniが駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
【0030】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット配線SRに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのソース電極および発光素子10の陽極に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御用ゲート配線として機能する走査線Grgに接続されている。リセットトランジスタRSTは、走査線Grgから供給される制御信号RGによりオン、オフされる。リセットトランジスタRSTがオンに切り替えられることにより、駆動トランジスタDRTのソース電極および発光素子10の陽極の電位をリセット配線SRのリセット信号Vrstにリセットすることができる。すなわち、リセット配線SRは、発光素子10の電圧をリセットするための配線である。
【0031】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極の間に接続されている。補助容量Cadは、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL2の間に接続されている。
【0032】
以上のような構成においては、走査線Gsg,Grg,Gbgに供給される制御信号SG,RG,BGによって画素回路PCが駆動され、映像線VLの映像信号Vsigに応じた輝度で発光素子10が発光する。
【0033】
制御信号SG,RG,BGは、走査ドライバYDR1,YDR2が上述のスタートパルス信号STVおよびクロック信号CVKに基づいて、各ライン(第1方向Xに並ぶ一連の副画素SP)の走査線Gsg,Grg,Gbgに対し順次供給する。また、
図2に示したコントローラ5から供給される信号に基づいて、映像ドライバXDRが各映像線VLに映像信号Vsigおよび初期化信号Viniを順次供給する。映像信号Vsigの供給に伴い保持容量Csに保持された電荷は、初期化信号Viniの供給に伴い初期化される。
【0034】
図4および
図5は、表示パネル2の概略的な断面図である。
図4には、画素PX(副画素SP)を構成する要素のうち、駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTを含む構造が示されている。
図5には、画素PXを構成する要素のうち、画素選択トランジスタSSTを含む構造が示されている。
【0035】
図4に示すように、表示パネル2は、絶縁基材20と、絶縁基材20の上に設けられた絶縁層21,22,23,24,25,26と、樹脂層27と、コーティング層28とを備えている。絶縁基材20は、例えばガラスであるが、ポリイミド等の可撓性を有した樹脂基板であってもよい。
【0036】
図5に示すように、絶縁基材20の上には、画素回路PCの一部を遮光する第1シールドSLD1が設けられている。第1シールドSLD1および絶縁基材20は、絶縁層21で覆われている。絶縁層21の上には、
図5に示す一対の第1ゲート電極GE1a,GE1b、
図4に示す第2ゲート電極GE2および第3ゲート電極GE3が設けられている。ゲート電極GE1a,GE1b,GE2,GE3および絶縁層21は、絶縁層22で覆われている。
【0037】
絶縁層22の上には、
図5に示す第1半導体層SC1および
図4に示す第2半導体層SC2が設けられている。半導体層SC1,SC2および絶縁層22は、絶縁層23で覆われている。絶縁層23の上には、
図5に示す第1電極E1および一対の第2シールドSLD2a,SLD2bと、
図4に示す第2電極E2および第3電極E3とが設けられている。例えば第1電極E1は映像線VLの一部であり、第2シールドSLD2aは第1電極E1と接続されている。
【0038】
第1電極E1は、絶縁層23を貫通するコンタクトホールh1を通じて第1半導体層SC1に接触している。第1半導体層SC1は、絶縁層22および絶縁層23に形成されたコンタクトホールh2において第2シールドSLD2bを通じて第2ゲート電極GE2に接触している。第2電極E2および第3電極E3は、それぞれ絶縁層23を貫通するコンタクトホールh3,h4を通じて第2半導体層SC2に接触している。
【0039】
第1ゲート電極GE1a,GE1bおよび第1半導体層SC1の一部は、画素選択トランジスタSSTを構成する。第2ゲート電極GE2および第2半導体層SC2の一部は、駆動トランジスタDRTを構成する。第3ゲート電極GE3および第2半導体層SC2の他の一部は、出力トランジスタBCTを構成する。
図4および
図5には示されていないが、上述のリセットトランジスタRSTも画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTと同様の層構成にて形成されている。
【0040】
第1電極E1、第2電極E2、第3電極E3、第2シールドSLD2a,SLD2bおよび絶縁層23は、絶縁層24で覆われている。
図4に示すように、絶縁層24の上には、導電層CL1が設けられている。導電層CL1および絶縁層24は、絶縁層25で覆われている。
【0041】
絶縁層25の上には、導電層CL2,CL3が設けられている。導電層CL2は、絶縁層24,25を貫通するコンタクトホールh5を通じて第3電極E3に接触している。導電層CL3は、絶縁層25を貫通するコンタクトホールh6を通じて導電層CL1に接触している。
【0042】
導電層CL2,CL3および絶縁層25は、絶縁層26で覆われている。絶縁層26の上には、画素電極PEおよびコンタクト電極CONが設けられている。画素電極PEは、絶縁層26を貫通するコンタクトホールh7を通じて導電層CL2に接触している。コンタクト電極CONは、絶縁層26を貫通するコンタクトホールh8を通じて導電層CL3に接触している。
【0043】
画素電極PEの上には接続層LA1が設けられ、コンタクト電極CONの上には接続層LA2が設けられている。発光素子10は、接続層LA1の上に設けられている。発光素子10は、陽極ANと、陰極CAと、陽極ANと陰極CAの間に配置された発光層LIとを有している。発光層LIは、陽極ANと陰極CAの電位差に応じて光を放つ。陽極ANは、接続層LA1の上面に接触している。
【0044】
樹脂層27は、画素電極PE、コンタクト電極CON、接続層LA1,LA2および絶縁層26を覆うとともに、複数の発光素子10の隙間を満たしている。陰極CAは、樹脂層27から露出している。
【0045】
樹脂層27は、共通電極CEで覆われている。共通電極CEは、樹脂層27に設けられたコンタクトホールh9を通じて接続層LA2に接触している。また、共通電極CEは、陰極CAにも接触している。共通電極CEは、コーティング層28で覆われている。
【0046】
絶縁層21,22,23,25は、例えばシリコン酸化物(SiO)やシリコン窒化物(SiN)などの無機絶縁材料で形成されている。絶縁層24,26は、感光性アクリル樹脂などの有機絶縁材料で形成されている。絶縁層24,26は、絶縁層21,22,23,25よりも厚く、平坦化層としての機能を有している。コーティング層28は、例えばパリレン(ポリパラキシリレン)あるいは無機のシロキサン結合を主鎖に持ち側鎖に有機結合をもつシリコンで形成されている。
【0047】
第1ゲート電極GE1a,GE1b、第2ゲート電極GE2、第3ゲート電極GE3、第1電極E1、第2電極E2、第3電極E3、第1シールドSLD1、第2シールドSLD2a,SLD2b、導電層CL2,CL3、画素電極PEおよびコンタクト電極CONは金属材料で形成され、遮光性を有している。第1シールドSLD1は、黒色樹脂などの金属以外の遮光材料で形成されてもよい。導電層CL1および共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電材料で形成されている。接続層LA1,LA2は、例えば半田で形成されている。
【0048】
第1電極E1には、上述の映像線VLを介して映像信号Vsigが供給される。第2電極E2には、上述の電源線PL1を介して高電位Pvddが供給される。この高電位Pvddは、出力トランジスタBCT、駆動トランジスタDRT、第3電極E3、導電層CL2、画素電極PEおよび接続層LA1を介して発光素子10の陽極ANに供給される。
【0049】
共通電極CEには、上述の電源線PL2を介して低電位Pvssが供給される。低電位Pvssは、共通電極CEに接触する発光素子10の陰極CAにも供給される。また、低電位Pvssは、接続層LA2、コンタクト電極CONおよび導電層CL3を介して導電層CL1にも供給される。導電層CL1は、導電層CL2等とともに上述の補助容量Cadを形成する。
【0050】
図4および
図5から分かるように、画素選択トランジスタSST、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTなどを含む画素回路PCの大部分は、第3方向Zにおいて発光素子10と絶縁基材20の間に配置されている。
【0051】
図6は、画素PXに含まれる要素の一部の概略的な平面図である。本実施形態においては、画素PXが3つの副画素SPa,SPb,SPcを含む場合を想定する。副画素SPaは赤色を表示し、副画素SPbは緑色を表示し、副画素SPcは青色を表示する。ただし、画素PXは、白色などの他の色を表示する副画素を含んでもよい。また、画素PXに含まれる副画素SPの数は3つに限られない。
【0052】
副画素SPa,SPb,SPcは、
図3乃至
図5に示した構造を有している。
図6においては、各副画素SPa,SPb,SPcの画素電極PE(PEa,PEb,PEc)、接続層LA1(LA1a,LA1b,LA1c)および発光素子10(10a,10b,10c)の形状と、コンタクト電極CONおよび接続層LA2の形状と、コンタクトホールh7,h8,h9の位置とを示している。
【0053】
図6の例においては、副画素SPaの画素電極PEaと副画素SPcの画素電極PEcが第1方向Xに並び、副画素SPbの画素電極PEbとコンタクト電極CONが第1方向Xに並んでいる。さらに、画素電極PEaと画素電極PEbが第2方向Yに並び、画素電極PEcとコンタクト電極CONが第2方向Yに並んでいる。例えば画素電極PEa,PEb,PEcおよびコンタクト電極CONは矩形状であるが、この例に限られない。
【0054】
副画素SPaの接続層LA1aは画素電極PEaの上に配置され、副画素SPbの接続層LA1bは画素電極PEbの上に配置され、副画素SPcの接続層LA1cは画素電極PEcの上に配置され、接続層LA2はコンタクト電極CONの上に配置されている。
【0055】
副画素SPaの発光素子10aは接続層LA1aの上に配置され、副画素SPbの発光素子10bは接続層LA1bの上に配置され、副画素SPcの発光素子10cは接続層LA1cの上に配置されている。発光素子10aは赤色の光を放つマイクロLEDであり、発光素子10bは緑色の光を放つマイクロLEDであり、発光素子10cは青色の光を放つマイクロLEDである。
【0056】
図7は、画素PXに含まれる他の要素の概略的な平面図である。この図においては、副画素SPa,SPb,SPcの導電層CL2(CL2a,CL2b,CL2c)の形状と、導電層CL3の形状と、コンタクトホールh5,h6,h7,h8の位置とを示している。
【0057】
副画素SPaの導電層CL2a、副画素SPbの導電層CL2b、および副画素SPcの導電層CL2cは、
図6に示した画素電極PEa,PEb,PEcの下にそれぞれ位置している。
【0058】
図7の例において、画素PXは、第1方向Xに延びる配線WLaと、第2方向Yに延びる配線WLbとをさらに備えている。これら配線WLa,WLbは互いに接続されており、導電層CL3で形成されている。
【0059】
図8は、画素PXに含まれるさらに他の要素の概略的な平面図である。この図においては、
図4および
図5における絶縁層21,22の間の第1層に配置される金属製の導電材料(ドット部分)、絶縁層22,23の間の第2層に配置される半導体材料(破線部分)、絶縁層23,24の間の第3層に配置される金属製の導電材料(斜線部分)、絶縁基材20と絶縁層21の間の第4層に配置される遮光材料(パターンが付されていない実線部分)、および、第1乃至第3層に通じるコンタクトホールを示している。
【0060】
第1層に配置される導電材料には、走査線Grg,Gbg,Gsgが含まれる。第2層に配置される半導体材料には、半導体層SC1,SC2が含まれる。第3層に配置される導電材料には、副画素SPa,SPb,SPcにそれぞれ映像信号Vsigを供給する映像線VL(VLa,VLb,VLc)、副画素SPa,SPb,SPcにそれぞれ高電位Pvddを供給する電源線PL1(PL1a,PL1b,PL1c)、副画素SPa,SPb,SPcにそれぞれリセット信号Vrstを供給するリセット配線SR(SRa,SRb,SRc)が含まれる。
【0061】
図8の例においては、映像線VLa、リセット配線SRa、電源線PL1a、映像線VLb、リセット配線SRb,電源線PL1b、映像線VLc、リセット配線SRcおよび電源線PL1cがこの順で第1方向Xに並んでいる。副画素SPaにおいて、リセット配線SRaと電源線PL1aの第1方向Xにおける間隔は、映像線VLaとリセット配線SRaの第1方向Xにおける間隔よりも大きい。他の副画素SPb,SPcにおいても同様である。
【0062】
図8の例において、映像線VLa,VLb,VLc、電源線PL1a,PL1b,PL1cおよびリセット配線SRa,SRb,SRcは、全体的に第2方向Yと平行に延びている。副画素SPaの画素回路PCaは、映像線VLaと電源線PL1aの間に配置されている。副画素SPbの画素回路PCbは、映像線VLbと電源線PL1bの間に配置されている。副画素SPcの画素回路PCcは、映像線VLcと電源線PL1cの間に配置されている。
【0063】
図9は、
図8に示した画素回路PCaを拡大した概略的な平面図である。以下、画素回路PCaの詳細な構造につき、
図9を参照して説明する。画素回路PCb,PCcの構造は、画素回路PCaと同様である。
【0064】
図9に示すように、走査線Gsgは、映像線VLaと電源線PL1aの間において、第1ゲート電極GE1a,GE1bを有している。また、走査線Gbg,Gsg、リセット配線SRaおよび電源線PL1aで囲われた領域内に第2ゲート電極GE2が配置されている。これら第1ゲート電極GE1a,GE1bおよび第2ゲート電極GE2は、
図5にも示した通り絶縁層21,22の間の第1層に配置されている。
【0065】
図9の例においては、走査線Gsgの近傍における映像線VLaの一部が第1電極E1に相当する。第1半導体層SC1は、第1方向Xに延びて第1ゲート電極GE1aと交差する部分と、第2方向Yに延びて第1ゲート電極GE1bと交差する部分とを有している。
【0066】
第1半導体層SC1の一端は、
図5に示したコンタクトホールh1を通じて第1電極E1に接続されている。第1半導体層SC1の他端は、
図5に示したコンタクトホールh2を通じて第2ゲート電極GE2に接続されている。第1ゲート電極GE1a,GE1bおよび第1半導体層SC1によって画素選択トランジスタSSTが構成されている。
【0067】
走査線Grg,Gbgの間において、第2電極E2が電源線PL1aからリセット配線SRaに向かって突出している。リセット配線SRaと電源線PL1aの間において、走査線Gbgは、第3ゲート電極GE3を有している。走査線Grg,Gsg、リセット配線SRaおよび電源線PL1aで囲われた領域内に島状の第3電極E3が配置されている。第2電極E2および第3電極E3は、
図4にも示した通り絶縁層23,24の間の第3層に配置されている。
【0068】
第2半導体層SC2は、リセット配線SRaと電源線PL1aの間に配置されている。第2半導体層SC2は、第1部分P1と、第1部分P1から第2方向Yに延出した第2部分P2および第3部分P3とを有している。
【0069】
第2部分P2は、第2ゲート電極GE2および第3ゲート電極GE3と交差している。第2部分P2の先端は、
図4にも示したコンタクトホールh3を通じて第2電極E2と接続されている。第2ゲート電極GE2および第2部分P2の一部によって駆動トランジスタDRTが構成されている。第3ゲート電極GE3および第2部分P2の他の一部によって出力トランジスタBCTが構成されている。
【0070】
走査線Grgは、リセット配線SRaと電源線PL1aの間において、2つの第4ゲート電極GE4a,GE4bを有している。リセット配線SRaは、第4電極E4を有している。第2半導体層SC2の第3部分P3は、第4ゲート電極GE4a,GE4bと交差している。第3部分P3の先端は、コンタクトホールh10を通じて第4電極E4に接続されている。コンタクトホールh10は、
図4に示した絶縁層23を貫通する。第4ゲート電極GE4a,GE4bおよび第3部分P3によってリセットトランジスタRSTが構成されている。
【0071】
第2半導体層SC2の第1部分P1は、
図4にも示したコンタクトホールh4を通じて第3電極E3に接続されている。第3電極E3は、第2ゲート電極GE2の大部分と対向し、第2ゲート電極GE2とともに
図3に示した保持容量Csを形成する。第3電極E3と第2ゲート電極GE2が重なる位置に、
図4および
図7にも示したコンタクトホールh5が設けられている。
【0072】
走査線Gsgを介して第1ゲート電極GE1a,GE1bに制御信号SGが供給された場合、映像線VLaの映像信号Vsigが第1半導体層SC1を介して第2ゲート電極GE2に供給される。これにより、映像信号Vsigに応じた電圧が電源線PL1aから発光素子10aに第2半導体層SC2等を介して供給される。
【0073】
第1半導体層SC1は、第1ゲート電極GE1a,GE1bと交差するチャネル領域R1a,R1bを有している。
図9の例においては、第1シールドSLD1が第1半導体層SC1よりも大きい幅を有し、かつ第1半導体層SC1と同様に屈曲してチャネル領域R1a,R1bを含む第1半導体層SC1の全体と重なっている。第1シールドSLD1は、コンタクトホールh1,h2、第1電極E1を含む映像線VLaの一部、リセット配線SRaの一部および第2ゲート電極GE2の一部とも重なっている。
【0074】
第1シールドSLD1は、少なくともチャネル領域R1a,R1bと重なっていれば、他の形状を有してもよい。例えば、チャネル領域R1a,R1bとそれぞれ重なる一対の第1シールドSLD1が間隔を空けて配置されてもよい。
【0075】
第1半導体層SC1の近傍には、
図5にも示した第2シールドSLD2a,SLD2bがさらに配置されている。第2シールドSLD2a,SLD2bは、遮光性を有しており、第1半導体層SC1を介して第1シールドSLD1と対向している。第2シールドSLD2aは、映像線VLaから第1方向Xに突出している。第2シールドSLD2bは、コンタクトホールh2の近傍において島状に設けられている。
【0076】
第2シールドSLD2aは、チャネル領域R1aの大部分と重なっている。第2シールドSLD2bは、チャネル領域R1bの大部分およびコンタクトホールh2と重なっている。第2シールドSLD2a,SLD2bは、それぞれチャネル領域R1a,R1bの全体と重なってもよい。
【0077】
リセット配線SRaは、第2シールドSLD2aを回避するように曲がった屈曲部Bを有している。屈曲部Bは、第1半導体層SC1および第1シールドSLD1と交差している。
【0078】
第2半導体層SC2の第2部分P2は、第2ゲート電極GE2と交差するチャネル領域R2と、第3ゲート電極GE3と交差するチャネル領域R3とを有している。
図9の例においては、チャネル領域R2の全体が第3電極E3と重なっている。また、チャネル領域R3の大部分が第3電極E3と重なっている。第3電極E3は、チャネル領域R3の全体と重なってもよい。
【0079】
第2半導体層SC2の第3部分P3は、第4ゲート電極GE4a,GE4bとそれぞれ交差するチャネル領域R4a,R4bを有している。第3部分P3の近傍には、リセット配線SRaから第1方向Xに突出する第3シールドSLD3a,SLD3bが配置されている。第4電極E4は、第3シールドSLD3aから突出している。第3シールドSLD3aは遮光性を有しており、チャネル領域R4aの大部分と重なっている。第3シールドSLD3bは遮光性を有しており、チャネル領域R4bの大部分と重なっている。第3シールドSLD3a,SLD3bは、それぞれチャネル領域R4a,R4bの全体と重なってもよい。
【0080】
本実施形態のようにマイクロLEDである発光素子10を用いた表示装置1は、広視野角かつ高輝度な表示を実現可能である。一方で、表示装置1が広視野角であると、発光素子10から絶縁基材20側(裏面方向)にも光が放たれ得る。このような光は、直接あるいは絶縁基材20の表面等で反射されて画素回路PCに含まれるトランジスタのチャネル領域に入射し、トランジスタに光リーク電流を生じさせる可能性がある。光リーク電流は、表示装置1の輝度を低下させる一因となる。
【0081】
特に本実施形態に係る画素回路PCにおいては、画素選択トランジスタSSTがオフされている間は当該トランジスタに接続された第2ゲート電極GE2がフローティングとなる。そのため、画素選択トランジスタSSTにおける光リーク電流が表示品位に影響しやすい。
【0082】
画素選択トランジスタSSTは、
図5に示したようにボトムゲート構造である。そのため、絶縁基材20の表面等での反射光の一部は、第1ゲート電極GE1a,GE1bで遮光される。しかしながら、発光素子10が広視野角かつ高輝度な光を放つと、その反射光の一部は第1半導体層SC1のチャネル領域R1a,R1bに到達し得る。
【0083】
この点に関し、本実施形態においては第1半導体層SC1と絶縁基材20の間に第1シールドSLD1が配置され、この第1シールドSLD1がチャネル領域R1a,R1bの双方と重なっている。これにより、反射光がチャネル領域R1a,R1bの裏面側に入射することに起因した光リーク電流を抑制でき、結果として表示装置1の高輝度化が可能となる。
【0084】
また、第1シールドSLD1は、第1半導体層SC1の全体と重なっている。仮に第1シールドSLD1が第1半導体層SC1の一部分と重なり、他の部分と重なっていない場合、第1シールドSLD1に起因した段差が第1半導体層SC1に生じ、第1半導体層SC1が損傷する可能性がある。これに対し、第1シールドSLD1が第1半導体層SC1の全体と重なっている場合には、第1シールドSLD1に起因した段差が第1半導体層SC1に生じない。
【0085】
本実施形態においては、チャネル領域R1a,R1bの上面側に第2シールドSLD2a,SLD2bが配置されている。これら第2シールドSLD2a,SLD2bにより、チャネル領域R1a,R1bの上面側への光の入射も抑制される。また、第2シールドSLD2a,SLD2bにより第1半導体層SC1の上方からの電位が遮蔽され、当該電位が画素選択トランジスタSSTの動作に与える影響を抑制できる。
【0086】
本実施形態においては、駆動トランジスタDRTのチャネル領域R2および出力トランジスタBCTのチャネル領域R3が第3電極E3と重なり、リセットトランジスタRSTのチャネル領域R4a,R4bが第3シールドSLD3a,SLD3bと重なっている。これらにより、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTにおいても上方からの電位や光を遮蔽することができる。
【0087】
以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては画素選択トランジスタSSTに対して第1シールドSLD1を設ける場合を例示した。しかしながら、第1シールドSLD1は、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTに対してさらに設けられてもよい。
【0088】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、画素回路PCが4つのトランジスタ(SST、DRT、BCT、RST)を含む場合を例示した。本実施形態においては、画素回路PCが5つのトランジスタを含む場合の構成を開示する。
【0089】
図10は、本実施形態に係る副画素SPの等価回路の一例を示す図である。この透過回路においては、画素回路PCが初期化トランジスタISTをさらに備えている。初期化トランジスタISTのゲート電極は、走査線Gigに接続されている。初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化配線SIに接続されている。初期化トランジスタISTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。本実施形態においては、初期化配線SIに初期化信号Viniが供給される。
【0090】
初期化トランジスタISTは、走査線Gigから供給される制御信号IGによりオン、オフされ、画素回路PCと初期化配線SIの接続および非接続を切り替える。すなわち、初期化トランジスタISTがオンされることにより、初期化配線SIの初期化信号Viniが画素回路PCに取り込まれ、駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
図10の例においては、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL1の間に補助容量Cadが設けられている。
【0091】
このような構成の画素回路PCにおいて、例えば
図10に示すように画素選択トランジスタSSTおよび初期化トランジスタISTに対し、第1実施形態と同様にチャネル領域と重なる第1シールドSLD1を設けてもよい。また、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTに対して第1シールドSLD1をさらに設けてもよい。本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
[第3実施形態]
第3実施形態においては、画素回路PCが2つのトランジスタを含む場合の構成を開示する。
【0093】
図11は、本実施形態に係る副画素SPの等価回路の一例を示す図である。この透過回路においては、画素回路PCが画素選択トランジスタSSTと駆動トランジスタDRTを備え、出力トランジスタBCT、リセットトランジスタRSTおよび初期化トランジスタISTを備えていない。また、リセット配線SR、走査線Grg、走査線Gigおよび補助容量Cadが設けられていない。
【0094】
このような構成の画素回路PCにおいて、例えば
図11に示すように画素選択トランジスタSSTに対し、第1実施形態と同様にチャネル領域と重なる第1シールドSLD1を設けてもよい。また、駆動トランジスタDRTに対して第1シールドSLD1をさらに設けてもよい。本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0096】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0097】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0098】
1…表示装置、2…表示パネル、10…発光素子、DA…表示領域、Gsg,Grg,Gbg…走査線、VL…映像線、PL1,PL2…電源線、Srst…リセット配線、PX…画素、SP…副画素、PC…画素回路、DRT…駆動トランジスタ、BCT…出力トランジスタ、SST…画素選択トランジスタ、RST…リセットトランジスタ、SC1…第1半導体層、GE1…第1ゲート電極、R1a,R1b…チャネル領域、SLD1…第1シールド、SLD2a,SLD2b…第2シールド。