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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240909BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20240909BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240909BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
H04N23/52
G03B17/55
G03B17/02
H04N23/51
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020124781
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021258
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】守矢 怜子
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-098301(JP,A)
【文献】特開2006-213324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90―23/959
G03B 17/48-17/55
G03B 17/02
G03B 17/22
H04N 7/18
B60R 1/00-1/04
B60R 1/08-1/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影窓を保持した筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記撮影窓を通して撮像を行う撮像ユニットと、
前記筐体の内部に配置され、前記撮影窓に接触するヒータと、
前記筐体の内部に配置され、前記ヒータへの通電を行うヒータ基板とを有し、
前記筐体は、前記撮像ユニットを保持する第1の筐体と、前記撮影窓および前記ヒータを保持して前記第1の筐体に組み合わされる第2の筐体とにより構成され、
前記ヒータ基板は、前記撮像ユニットに対して前記撮影窓とは反対側に配置され
前記ヒータ基板は、前記第2の筐体により保持されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記筐体の内部に、前記ヒータ基板を通じて前記ヒータへの通電を制御するヒータ制御基板が配置されており、
前記ヒータ制御基板は、前記第1の筐体により保持されていることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ヒータ基板および前記ヒータ制御基板のうち一方に弾性を有する電気接点が設けられており、
前記第2の筐体が前記第1の筐体に組み合わされることにより、前記電気接点が前記ヒータ基板および前記ヒータ制御基板のうち他方に設けられた導通部に接触することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の筐体から前記ヒータ制御基板に伝わる振動を減衰させる緩衝部材と、前記第2の筐体から前記ヒータ基板に伝わる振動を減衰させる緩衝部材とを有することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ヒータは、前記ヒータ基板に電気的に接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記ヒータから前記撮像ユニットの側方を通って前記ヒータ基板に延びていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ヒータと該ヒータを保持するホルダにより構成されるヒータユニットをさらに有し、前記ヒータユニットは、前記撮像ユニットによる撮像を可能とするヒータ開口部を有し、
前記撮像ユニットの被写体側の部分が、前記ヒータ開口部に入り込んでいることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮影窓を保持した筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記撮影窓を通して撮像を行う撮像ユニットと、
前記筐体の内部に配置され、前記撮影窓に接触するヒータと、
前記筐体の内部に配置され、前記ヒータへの通電を行うヒータ基板と、
前記ヒータと該ヒータを保持するホルダにより構成されるヒータユニットとを有し、
前記ヒータ基板は、前記撮像ユニットに対して前記撮影窓とは反対側に配置され、
前記ヒータユニットは、前記撮像ユニットによる撮像を可能とするヒータ開口部を有し、
前記撮像ユニットの被写体側の部分が、前記ヒータ開口部に入り込んでいることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置と、
該撮像装置により得られた撮像データを処理する処理装置とを有することを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータが搭載された撮像装置(カメラ)に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で用いられるカメラには、筐体内の撮像ユニットの前側に配置される撮影窓(前窓)から氷雪や結露を除去するために、前窓に接触したフィルム型またはリング型のヒータが設けられることがある。特許文献1には、ヒータの熱を熱伝導性のガスケットを通じて前窓に伝達するカメラが開示されている。また、特許文献2には、温度センサよる検出温度が所定値以下になると発熱するヒータを搭載した監視カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国公開2002/0170119号公報
【文献】特開2008-160777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたカメラでは、ガスケットとヒータとの間の接触熱抵抗によって熱損失が生じる。その結果、必要な熱量を得るためにヒータが大型化するおそれがある。また、特許文献2に開示されたカメラでは、温度センサが実装されたセンサ基板を前窓の近傍に配置するため、撮像ユニットを前窓に近づけて配置することができない。このため、前窓を大きくしてケラレを防止する必要がある。しかも、前窓より下側にセンサ基板が配置されると、前窓の位置が高くなり、その結果、前窓を保持する筐体が高さ方向に大型化する。
【0005】
本発明は、ヒータを備えた小型の撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮影窓を保持した筐体と、筐体の内部に配置され、撮影窓を通して撮像を行う撮像ユニットと、筐体の内部に配置され、撮影窓に接触するヒータと、筐体の内部に配置され、ヒータへの通電を行うヒータ基板とを有する。筐体は、撮像ユニットを保持する第1の筐体と、撮影窓およびヒータを保持して第1の筐体に組み合わされる第2の筐体とにより構成され、
ヒータ基板は、撮像ユニットに対して撮影窓とは反対側に配置され、ヒータ基板は、第2の筐体により保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒータを備えた小型の撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のカメラの外観斜視図。
図2】実施例のカメラの前窓とヒータユニットの分解斜視図。
図3】実施例のカメラの断面図。
図4】実施例におけるヒータと撮像ユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、実施例であるカメラ(撮像装置)100の外観を示している。カメラ100は、下カバー(第1の筐体)120と上カバー(第2のカバー)110により構成される筐体を有する。上カバー110と下カバー120はそれぞれ、金属やポリカーボネート等の樹脂により形成されている。上カバー110と下カバー120は、ねじやスナップフィット等によって互いに結合されている。
【0011】
上カバー110の前面には開口部が設けられている。上カバー110には、この開口部を塞ぐ前窓(撮影窓)130が接着等により固定されている。すなわち、筐体は前窓130を保持している。前窓130は、可視光を透過する透明なガラスまたはポリカーボネート等の樹脂により形成されている。
【0012】
図2は、前窓130とヒータユニット200を分解して示している。ヒータユニット200は、ヒータ210、ホルダ220およびヒータ基板230により構成されている。ヒータ210は、その中央に撮影用のヒータ開口部Aを有し、前窓130の内面に接触するように配置される。ホルダ220は、ヒータ210を保持して前窓130に接着等により固定される。ホルダ220も、その中央にヒータ開口部Aを有する。
【0013】
前窓130は、通電されて発熱したヒータ210によって周辺部から中心部に向かって加熱される。ヒータ210が前窓130に接触することで、ヒータ210と前窓130との間の接触熱抵抗以外の熱損失が生じないため、効率良く前窓130を加熱することができる。その結果、前窓130を加熱するために小型のヒータ210を用いることができる。ヒータ210はフレキシブルプリント基板(FPC)により形成されており、2つの接続部211を有する。
【0014】
2つの接続部211は、ヒータ基板230に実装されたコネクタに接続されている。これにより、ヒータ210とヒータ基板230とが電気的に接続される。ヒータ210は、前窓130と接触する発熱部分の抵抗値を接続部211よりも大きくすることで、該発熱部への電圧印加によって発熱するように構成されている。接続部211の抵抗値が発熱部分より小さいことで、電圧印加による接続部211の発熱が抑えられる。このため、ヒータ210への電圧印加によってヒータ基板230が加熱されることはない。
【0015】
ヒータ基板230は、ヒータ210への通電を行うための中継基板の役割を有する。このため、ヒータ基板230には金メッキ等で導通部が形成されている。本実施例におけるヒータ210はFPCにより形成されているが、シリコンラバーヒータ等、ヒータとして機能するものであればよい。また、ヒータ210とヒータ基板230とが接続されれば、接続部としてケーブルを用いてもよい。
【0016】
図3は、カメラ100の断面を示している。筐体の内部には、撮像ユニット300が収容されている。撮像ユニット300は、レンズホルダ340により保持されたレンズ310と、センサ基板320に実装された撮像素子330とにより構成された撮像部を有する。センサ基板320は、レンズホルダ340に固定されている。また撮像ユニット300は、撮像部を覆うカバーを構成するフロントカバー350とリアカバー360を有する。撮像ユニット300(フロントカバー350)は、下カバー120にビス等により固定されることで下カバー120により保持されている。カメラ100の外部の被写体からの光は前窓130とヒータ210の開口部を通ってレンズ310に入射し、レンズ310により形成された被写体像は撮像素子330により撮像(光電変換)される。
【0017】
さらに、筐体の内部には、メイン基板410、パワー基板420、基板支持部材430およびヒータ制御基板440が配置されている。メイン基板410は、カメラ100の撮像動作を制御したり、撮像ユニット300により得られた撮像データをネットワークNを介してサーバーやパーソナルコンピュータ等の処理装置Pに送信したりする。処理装置Pは、受信した撮像データに対して画像処理や解析処理を行ったり撮像データを保存したりする。カメラ100と処理装置Pにより撮像システムが構成される。
【0018】
パワー基板420は、メイン基板410、撮像素子330およびヒータ制御基板440への電源供給を行う。ヒータ制御基板440は、ヒータ基板230を通じてヒータ210に対する通電制御(温度制御等)を行う。
【0019】
メイン基板410とセンサ基板320はセンサケーブル450によって接続されており、撮像素子330によって取得された撮像データはメイン基板410に伝送される。メイン基板410は、下カバー120にビス等の固定部材によって固定されている。メイン基板410と下カバー120の間には緩衝部材500が配置されている。緩衝部材500は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材料により形成されており、メイン基板410と下カバー120とにより押圧されている。他の緩衝部材500も同様である。
【0020】
メイン基板410の上側にはパワー基板420が配置されており、メイン基板410とパワー基板420の間にも緩衝部材500が配置されている。メイン基板410とパワー基板420は、BtoBコネクタやケーブルコネクタ等を介して電気的に接続されている。
【0021】
基板支持部材430は、パワー基板420の上面に位置するように下カバー120に対して固定されている。基板支持部材430とパワー基板420の間にも緩衝部材500が配置されている。
【0022】
ヒータ制御基板440は、基板支持部材430に下カバー120側を向くように固定され、BtoBコネクタやケーブルコネクタ等を介してパワー基板420と電気的に接続されている。
【0023】
ヒータ制御基板440の上面には、ピン形状の電気接点441が実装されている。電気接点441は弾性を有する弾性構造体であり、上下方向にスライド可能なピンが弾性力により上方に付勢されている。電気接点441は、弾性構造体であれば、板バネやコイルバネ等で構成されてもよい。
【0024】
一方、ヒータ基板230は、上カバー110に形成されたリブ111に固定されている。上カバー110が下カバー120に対して組み合わされると、ヒータ基板230がヒータ制御基板440の上に位置し、ヒータ基板230の上述した導通部が電気接点441と接触する。これにより、電気接点441を通じてヒータ制御基板440からヒータ基板230へと電流が流れ、ヒータ210の発熱が行われる。なお、電気接点441をヒータ基板230の下面に設けて、ピンがヒータ制御基板440に設けられた導通部に接触するようにしてもよい。
【0025】
ヒータ基板230を、撮像ユニット300よりも後方(前窓130とは反対側)に配置することで、撮像ユニット300を前窓130に近接させて配置することができる。具体的には、図3に示すように、撮像ユニット300の前端部(被写体側の部分)を前窓130に隣接するヒータユニット200に設けられたヒータ開口部A内に入り込ませることができる。このため、撮像ユニット300に入射する光のケラレを回避しつつ、前窓130を小さくすることができる。また、ヒータ基板230を撮像ユニット300よりも後方に配置することで、筐体の高さを抑え、カメラ100を小型化することができる。仮に撮像ユニット300を前窓130に近づけた上で前窓130より下側にヒータ基板230やヒータ制御基板440を配置すると、筐体が高さ方向に大きくなるため、好ましくない。
【0026】
リブ111とヒータ基板230との間にも緩衝部材500が配置されている。前述したように、下カバー120、メイン基板410、パワー基板420および基板支持部材430(により支持されたヒータ制御基板440)の間にも緩衝部材500が配置されている。このため、車両の外側等にカメラ100を設置したときに車両の振動が下カバー120に伝わるが、メイン基板410、パワー基板420および基板支持部材430(ヒータ制御基板440)に伝わる振動は緩衝部材500によって減衰される。また、上カバー110と下カバー120は互いに結合されているため、下カバー120から上カバー110へも振動が伝わり、さらに上カバー110からヒータ基板230へも振動が伝わる。
【0027】
しかし、上カバー110に形成されたリブ111とヒータ基板230との間に緩衝部材500が配置されているため、上カバー110からヒータ基板230に伝わる振動も減衰される。このように、ヒータ制御基板440とヒータ基板230に伝わる振動が減衰されることで、電気接点441が振動しにくくなる。この結果、電気接点441やヒータ基板230が振動してヒータ基板230の導通部の金メッキが摩耗することによる導通不良の発生を防ぐことができる。また、電気接点441も弾性構造体により形成されているため、振動にピンの動きが追従することで、ヒータ210への通電が遮断されることを防ぐことができる。
【0028】
図4は、ヒータ210と撮像ユニット300を示している。ヒータ210の2つの接続部211は、撮像ユニット300の側方(図では上側方)の空間を通ってヒータ基板230まで延びている。このとき、2つの接続部211は互いに異なる側方空間を通る。接続部211を2つに分けてそれらの幅を1つの接続部とする場合の半分にすることで、各接続部211を側方空間を通すことを可能にしている。これにより、接続部211を撮像ユニット300の上側を通す必要がなく、筐体の高さを抑えることができる。しかも、接続部211が撮像ユニット300と上カバー110との間に挟み込まれるおそれもなくなる。
【0029】
以上説明したように、本実施例によれば、前窓130を小型のヒータ210により効率良く加熱することができるとともに、前窓130に撮像ユニット300が近接した小型で、かつ振動による動作不良が生じ難いカメラ100を実現することができる。
【0030】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
100 カメラ(撮像装置)
110 上カバー
120 下カバー
130 前窓(撮影窓)
200 ヒータユニット
210 ヒータ
230 ヒータ基板
300 撮像ユニット
図1
図2
図3
図4