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特許7551398電池モジュール、電池モジュールの使用方法及び電池セルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池モジュールの使用方法及び電池セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240909BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20240909BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240909BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0583
H01M50/211
H01M50/46
H01M50/466
H01M10/052
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140635
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036429
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】松村 直則
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204064(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210897521(CN,U)
【文献】特開2012-028187(JP,A)
【文献】国際公開第2011/126047(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/39
H01M 50/20-50/298
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部材と、
前記収容部材に収容された複数の電池セルと、
鉛直方向に直交する方向の前記複数の電池セルの各々の両側の少なくとも一方に位置するリードと、
を備え、
前記複数の電池セルの各々は、第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を有しており、
前記複数の電池セルのいずれにおいても、前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の上側部分を覆っている、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1電極が正極電極であり、前記第2電極が負極電極である、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項3】
収容部材と、前記収容部材に収容され、第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を有する複数の電池セルと、鉛直方向に直交する方向の前記複数の電池セルの各々の両側の少なくとも一方に位置するリードと、を備える電池モジュールの使用方法であって、
前記複数の電池セルのいずれにおいても、前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の上側部分を覆う状態で、前記電池モジュールを使用する工程を備える、電池モジュールの使用方法。
【請求項4】
第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を外装材によって包む工程と、
前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の上側部分を覆う状態で、前記外装材の内部のガスを抜く工程と、
を備える、電池セルの製造方法。
【請求項5】
収容部材と、
前記収容部材に収容された複数の電池セルと、
を備え、
前記複数の電池セルの各々は、第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、前記第1電極、前記第2電極及び前記セパレータを包む外装材と、を有しており、
前記複数の電池セルのいずれにおいても、前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の上側部分を覆っている、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール、電池モジュールの使用方法及び電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池セル等の非水電解質電池セルが開発されている。電池セルは、正極電極、負極電極及びセパレータを備えている。例えば特許文献1に記載されているように、セパレータは、隣り合う正極電極と負極電極との間を通過して折り返しながら延伸している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-190548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セパレータが隣り合う正極電極と負極電極との間を通過して折り返しながら延伸している場合、セパレータの折り返し部分が正極電極、負極電極等の電極の端部を覆っている。この場合、電極から発生したガスが、電極のうちセパレータの折り返し部分で覆われている端部の近傍に滞留する場合がある。滞留したガスによって、正極電極と負極電極との間での電池の反応が阻害される場合がある。これによって、電池の容量が低下し得るとともに、Li析出等によって電池の発火のリスクが生じ得る。また、ガスによって押し上げられた金属等の汚染物質が電極の端部に付着して析出する場合がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、電極から発生するガスをセパレータから抜けやすくすることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
収容部材と、
前記収容部材に収容された複数の電池セルと、
を備え、
前記複数の電池セルの各々は、第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を有しており、
前記複数の電池セルのいずれにおいても、前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の同じ側の部分を覆っている、電池モジュールである。
【0007】
本発明の他の一態様は、
収容部材と、前記収容部材に収容され、第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を有する複数の電池セルと、を備える電池モジュールの使用方法であって、
前記複数の電池セルのいずれにおいても、前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の同じ側の部分を覆う状態で、前記電池モジュールを使用する工程を備える、電池モジュールの使用方法である。
【0008】
本発明のさらに他の一態様は、
第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータと、を外装材によって包む工程と、
前記セパレータの折り返し部分が前記第2電極の上側部分を覆う状態で、前記外装材の内部のガスを抜く工程と、
を備える、電池セルの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記一態様によれば、電極から発生するガスをセパレータから抜けやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2図1に示した収容部材に収容された複数の電池セルの斜視図である。
図3図2に示した電池セルの平面図である。
図4図3のA-A´断面図である。
図5】比較例に係る電池セルの断面図である。
図6】実施形態に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
図7】変形例に係る電池セルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池モジュール20の斜視図である。図2は、図1に示した収容部材200に収容された複数の電池セル10の斜視図である。図3は、図2に示した電池セル10の平面図である。図4は、図3のA-A´断面図である。
【0013】
図1図4において、第1方向Xは、電池セル10の長さ方向を示している。第1方向Xを示す矢印によって示される方向である第1方向Xの正方向は、後述する正極リード112から負極リード122に向かう方向である。第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向である第1方向Xの負方向は、負極リード122から正極リード112に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xに交差、具体的には直交しており、電池セル10の厚み方向を示している。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に交差、具体的には直交しており、電池セル10の幅方向及び電池モジュール20の高さ方向を示している。第3方向Zを示す矢印によって示される方向である第3方向Zの正方向は、鉛直方向の上方向を示している。第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向である第3方向Zの負方向は、鉛直方向の下方向を示している。また、図3において、第2方向Yを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第2方向Yの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第2方向Yの負方向であることを示している。図4において、第1方向Xを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第1方向Xの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第1方向Xの負方向であることを示している。後述する図5図7においても同様である。
【0014】
図1及び図2を用いて、電池モジュール20について説明する。
【0015】
電池モジュール20は、複数の電池セル10及び収容部材200を備えている。複数の電池セル10は、収容部材200に収容されている。また、複数の電池セル10は、一方向、具体的には第2方向Yに並んでいる。収容部材200は、例えば、金属又は樹脂からなる筐体である。図2に示すように、各電池セル10は、正極リード112、負極リード122、外装材140及び複数の固定部材150を有している。正極リード112及び負極リード122は、電池セル10の第1方向Xの両側に設けられている。なお、正極リード112及び負極リード122は、双方とも、電池セル10の第1方向Xの正方向側又は負方向側の端部に設けられていてもよい。外装材140は、後述する図4に示す正極電極110、負極電極120及びセパレータ130を含む積層体100を電解液とともに包んでいる。外装材140のうちの第1方向Xに延伸する両辺には、例えば絶縁テープ等の固定部材150が設けられている。
【0016】
図3及び図4を用いて、電池セル10について説明する。本実施形態において、電池セル10は、リチウムイオン二次電池である。
【0017】
電池セル10は、積層体100を有している。積層体100は、複数の正極電極110、複数の負極電極120及びセパレータ130を含んでいる。本実施形態において、正極電極110は、第1電極となっており、負極電極120は、第1電極より面積が大きい第2電極となっている。各正極電極110及び各負極電極120は、第2方向Yに厚みを有している。なお、正極電極110又は負極電極120の面積とは、正極電極110又は負極電極120を第2方向Yの正方向又は負方向から見たときの面積である。
【0018】
図4に示すように、複数の正極電極110及び複数の負極電極120は、上記一方向、具体的には第2方向Yに沿って交互に並んでいる。セパレータ130は、隣り合う正極電極110と負極電極120との間を通過して折り返しながら延伸している。セパレータ130の折り返し部分は負極電極120の同じ側の部分を覆っている。具体的には、セパレータ130の折り返し部分は負極電極120の上側部分を覆っている。
【0019】
外装材140は、積層体100を第2方向Yの正方向側から覆う部分と、積層体100を第2方向Yの負方向側から覆う部分と、を有している。外装材140のこれらの部分は、積層体100の第1方向Xの正方向側及び負方向側の2辺と、第3方向Zの正方向側及び負方向側の2辺と、に沿って互いに貼り合わされて封止部142が形成されている。また、積層体100の第3方向Zの正方向側の1辺と、積層体100の第3方向Zの負方向側の1辺と、に沿って複数の固定部材150が設けられている。
【0020】
図5は、比較例に係る電池セル10Kの断面図である。比較例に係る電池セル10Kは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル10と同様である。
【0021】
電池セル10Kは、積層体100Kを有している。積層体100Kは、複数の正極電極110、複数の負極電極120及びセパレータ130Kを含んでいる。電池セル10Kでは、セパレータ130Kの折り返し部分が正極電極110の上側部分を覆っている。
【0022】
図4に示した実施形態において、正極電極110及び負極電極120からガスが発生した場合を検討する。当該ガスは、例えば充電等、電池セル10の使用によって発生する。正極電極110から発生したガスは浮力によって電解液内を上昇する。正極電極110の上側部分はセパレータ130によって覆われていない。このため、ガスはセパレータ130を透過する必要なく正極電極110の上方へ抜けていくことができる。これに対して、負極電極120から発生したガスが負極電極120の上方へ抜けていくためには、破線で囲まれた領域α等、セパレータ130のうち負極電極120の上側部分を覆う折り返し部分を透過する必要がある。実施形態では、セパレータ130のうち負極電極120の上側部分を覆う折り返し部分の第2方向Yの両側は、正極電極110によって覆われていない。したがって、セパレータ130のうち負極電極120の上側部分を覆う折り返し部分の第2方向Yの両側が正極電極110によって覆われている場合と比較して、負極電極120から発生したガスは、セパレータ130のうち負極電極120の上側部分を覆う折り返し部分を透過しやすくなっており、セパレータ130の当該折り返し部分の上方へ抜けやすくなっている。
【0023】
図5に示した比較例において、正極電極110及び負極電極120からガスが発生した場合を検討する。負極電極120から発生したガスは浮力によって電解液内を上昇する。負極電極120の上側部分はセパレータ130Kによって覆われていない。このため、ガスはセパレータ130Kを透過する必要なく負極電極120の上方へ抜けていくことができる。これに対して、正極電極110から発生したガスが正極電極110の上方へ抜けていくためには、破線で囲まれた領域β等、セパレータ130Kのうち正極電極110の上側部分を覆う折り返し部分を透過する必要がある。しかしながら、比較例では、セパレータ130Kのうち正極電極110の上側部分を覆う折り返し部分の第2方向Yの両側が負極電極120によって覆われている。したがって、セパレータ130Kのうち正極電極110の上側部分を覆う折り返し部分の第2方向Yの両側が負極電極120によって覆われていない場合と比較して、正極電極110から発生したガスは、セパレータ130Kのうち正極電極110の上側部分を覆う折り返し部分を透過しにくくなっており、セパレータ130Kの当該折り返し部分の上方へ抜けにくくなっている。
【0024】
図5に示した比較例においては、上述したように、正極電極110から発生したガスが、セパレータ130Kのうち正極電極110の上側部分を覆う折り返し部分の上方へ抜けにくくなっている。したがって、比較例においては、正極電極110から発生したガスが正極電極110の上側部分の近傍に滞留して正極電極110と負極電極120との間における電池セル10Kの反応が阻害されるおそれがある。これによって、電池セル10Kの容量が低下し得るとともに、Li析出等によって電池セル10Kの発火のリスクが生じ得る。また、比較例においては、金属等の汚染物質が正極電極110から発生したガスによって押し上げられて正極電極110の表面に付着して析出するおそれがある。これに対して、図4に示した実施形態においては、上述したように、負極電極120から発生したガスが、セパレータ130のうち負極電極120の上側部分を覆う折り返し部分の上方へ抜けやすくなっている。したがって、実施形態では、比較例と比較して、負極電極120から発生したガスが正極電極110と負極電極120との間における電池セル10の反応を阻害することや、金属等の汚染物質が負極電極120の上側部分の表面に析出することを抑制することができる。
【0025】
実施形態においては、図2に示した複数の電池セル10のいずれにおいても、図4に示すように、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の同じ側の部分を覆っている。具体的には、複数の電池セル10のいずれにおいても、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の上側部分を覆っている。したがって、複数の電池セル10のいずれにおいても、負極電極120から発生したガスがセパレータ130から抜けやすくなっている。
【0026】
図6は、実施形態に係る電池セル10の製造方法の一例を説明するための図である。
【0027】
まず、正極電極110と、負極電極120と、隣り合う正極電極110と負極電極120との間を通過して折り返しながら延伸するセパレータ130と、を外装材140によって包む。
【0028】
具体的には、外装材140は、積層体100を第2方向Yの正方向側から覆う部分と、積層体100を第2方向Yの負方向側から覆う部分と、を有している。外装材140のこれらの部分は、積層体100の第3方向Zの負方向側の1辺と、積層体100の第1方向Xの負方向側の1辺及び当該1辺から第3方向Zの正方向側に向けて延伸する領域と、積層体100の第1方向Xの正方向側の1辺及び当該1辺から第3方向Zの正方向側に向けて延伸する領域と、に沿って互いに貼り合わされて、封止部142が形成されている。次いで、外装材140の内部に電解液を注入する。次いで、外装材140のうち積層体100の第3方向Zの正方向側の1辺から離れた部分に、溶着等の貼り合わせによって第1封止部142aを形成する。これによって、積層体100が外装材140によって封止される。
【0029】
次いで、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の上側部分を覆う状態で、外装材140の内部のガスを抜く。
【0030】
具体的には、まず、初期充電を行うことで外装材140の内部に発生するガスを、第1封止部142aよりも第3方向Zにおいて積層体100の近傍に形成された第1孔144aから抜く。第1孔144aは、第1封止部142aが形成された後に形成される。具体的には、第1孔144aは、ガスを抜きたいタイミング、例えば、初期充電によってガスが発生した後に形成される。しかしながら、第1孔144aが形成されるタイミングはこの例に限定されない。次いで、外装材140のうち第1孔144aよりも第3方向Zにおいて積層体100の近傍に、溶着等の貼り合わせによって第2封止部142bを形成する。次いで、エージングを行うことで外装材140の内部に発生するガスを、第2封止部142bよりも第3方向Zにおいて積層体100の近傍に形成された第2孔144bから抜く。第2孔144bは、第2封止部142bが形成された後に形成される。具体的には、第2孔144bは、ガスを抜きたいタイミング、例えば、エージングによってガスが発生した後に形成される。しかしながら、第2孔144bが形成されるタイミングはこの例に限定されない。次いで、積層体100の第3方向Zの正方向側の1辺に沿って、溶着等の貼り合わせによって第3封止部142cを形成する。次いで、切取線146に沿って外装材140を切り取る。これによって、電池セル10が製造される。
【0031】
第1孔144a又は第2孔144bから外装材140の内部のガスを抜く場合、図4を用いて説明したように、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の上側部分を覆うようにすることができる。これによって、初期充電又はエージングによって負極電極120から発生したガスをセパレータ130から抜けやすくすることができる。
【0032】
図7は、変形例に係る電池セル10Aの平面図である。変形例に係る電池セル10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル10と同様である。
【0033】
外装材140Aは、積層体100の第3方向Zの負方向側で折り返している。また、外装材140Aのうち積層体100を第2方向Yの正方向及び負方向の双方から覆う部分が溶着等によって互いに貼り合わせられて、積層体100のうちの第3方向Zの正方向側の1辺及び第1方向Xの正方向及び負方向側の2辺に沿って封止部142Aが形成されている。本変形例においても、実施形態と同様にして、負極電極120から発生したガスがセパレータ130から抜けやすくなっている。
【0034】
変形例に係る電池セル10Aの製造方法においても、図6を用いて説明した例と同様にして、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の上側部分を覆う状態で、外装材140の内部のガスを抜くことができる。この場合、ガスを抜いた後に電池セル10Aにロールプレスを行ってもよい。ロールプレスによって、ガスを積層体100の周囲の余剰空間に追い出すことができる。また、外装材140Aに形成された孔を介してガスをさらに抜いてもよい。
【0035】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0036】
例えば、実施形態では、負極電極120の面積が正極電極110の面積より大きくなっている。しかしながら、正極電極110の面積が負極電極120の面積より大きくてもよい。この場合、正極電極110から発生したガスをセパレータ130から抜けやすくすることができる。
【0037】
また、実施形態に係る電池モジュール20は、複数の電池セル10のいずれにおいても、セパレータ130の折り返し部分が負極電極120の同じ側の部分、例えば負極電極120の上側の部分を覆う状態で、使用されてもよい。この場合、電池セル10の使用によって発生するガスをセパレータ130から抜けやすくすることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 電池セル
10A 電池セル
10K 電池セル
20 電池モジュール
100 積層体
100K 積層体
110 正極電極
112 正極リード
120 負極電極
122 負極リード
130 セパレータ
130K セパレータ
140 外装材
140A 外装材
142 封止部
142A 封止部
142a 第1封止部
142b 第2封止部
142c 第3封止部
144a 第1孔
144b 第2孔
146 切取線
150 固定部材
200 収容部材
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7