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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】遮光層積層型基板
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240909BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240909BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240909BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240909BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
G09F9/30
G09F9/00
H01L33/62
H10K50/10
H10K59/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020142957
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038445
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】西出 雅彦
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-330853(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167966(WO,A1)
【文献】特開2008-003380(JP,A)
【文献】特開2003-262856(JP,A)
【文献】特開2015-225144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 33/62
H10K 50/10
H10K 59/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する基板と、
前記第1面上における一辺側の端縁部に積層される第1金属遮光層と、
前記第1金属遮光層上、および前記第1面上における前記第1金属遮光層から露出する部位に、積層される第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に積層され、前記第1金属遮光層に重ならない非重畳部位を含む、第2金属遮光層と、
前記第2金属遮光層上、および前記第1絶縁層上における前記第1金属遮光層に重なる部位に、積層される第2絶縁層と、を備え、
前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層は、電気的にフローティングとされている遮光層積層型基板。
【請求項2】
前記第1金属遮光層は複数あり、それぞれの前記第1金属遮光層は、前記端縁部に前記一辺に平行な方向において互いに間隔をあけて積層されており、
前記第2金属遮光層は、前記第1絶縁層上における隣接する前記第1金属遮光層間の部位に積層されている請求項1に記載の遮光層積層型基板。
【請求項3】
前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層は、平面視で一連となっている請求項1または2に記載の遮光層積層型基板。
【請求項4】
前記第2金属遮光層は、前記第1金属遮光層に重なる重畳部位を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項5】
前記重畳部位は、前記第2面の側から入射した光が前記第1金属遮光層の端で回折した回折光が、前記第2絶縁層に到達しない長さを有している請求項4に記載の遮光層積層型基板。
【請求項6】
前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層は、光反射性を有している請求項1~5のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項7】
前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層は、光散乱性を有している請求項1~5のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項8】
前記第1絶縁層は、光散乱性粒子を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項9】
前記第1絶縁層は、無機材料から成る請求項1~8のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項10】
前記第2絶縁層は、有機材料から成る請求項1~9のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項11】
前記第1面の前記端縁部から前記基板の側面を経て前記第2面の側かけて位置する側面配線を備え、
前記側面配線は、前記第1金属遮光層および/または前記第2金属遮光層に重なる位置にある請求項1~10のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【請求項12】
前記第1面上に、発光素子と、前記発光素子を駆動制御する薄膜トランジスタと、前記発光素子と前記薄膜トランジスタとを接続する配線層と、を備え、
前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層の少なくとも一方は、前記配線層と同じ材料から成る請求項1~11のいずれか1項に記載の遮光層積層型基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の側面同士を結合(タイリング)して複合型表示装置を作製するのに好適に用いられる遮光層積層型基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示パネルを複数枚、横に並べてタイリングし、マルチディスプレイまたはタイリングパネルとも呼ばれる一つの大型の複合型表示装置を製造する方法が知られている。複合型表示装置を構成する複数の表示パネルは、有効表示領域の外側の非表示領域となる額縁部を、極力小さくするか、なくす必要がある。また、個々の表示パネルは、発光素子を表面側に搭載するための基板と、基板の裏面側に設置される駆動部と、発光素子と駆動部を電気的に接続し、基板の側面に配置される側面配線と、を備える場合がある。この場合、基板の表面上の端縁部に、側面配線に接続される表面側の側面配線パッドが位置し、基板の裏面上の端縁部に、側面配線に接続される裏面側の側面配線パッドが位置している。
【0003】
また、各表示パネルは、大面積の母基板にレーザ光を照射して個々の基板に分割する、いわゆるレーザカット法によって形成された基板を用いて作製される。レーザ光を母基板に照射すると、レーザ光の照射部、即ち切断部である基板の端縁部において発生した熱によって、基板上であって基板の端縁部付近にある絶縁層、特に有機樹脂等から成る有機質の絶縁層が昇華し、基板上に付着していた。この付着を防止することができる技術が求められている。
【0004】
このような付着を防止するための従来技術は、例えば特許文献1に記載されている。この従来技術では、発光素子が素子基板と対向基板とに挟まれた構成であり、対向基板側に遮光層が設けられる。遮光層において、画素領域に設けられる遮光層と、画素領域の外周の周辺領域に設けられる遮光層とは、熱抵抗が異なるので、周辺領域の遮光層をフレキシブル基板に接続し、フレキシブル基板から熱を外部に放熱する構成が提案されている。
【0005】
また、有機層を備えた基板をレーザ光によって切断する基板の製造方法が、例えば特許文献2に記載されている。この従来技術は、一方の主面側に配置された有機層と、他方の主面側に設けられる仮想切断線とを有する基板を、レーザ光によって切断する基板の製造方法であって、有機層は仮想切断線位置から離間して配置されており、他方の主面側、あるいは有機層と他方の主面との間にレーザ遮光層を設け、他方の主面側からレーザ光を仮想切断線に向けて照射させ、レーザ遮光層によって有機層への熱ダメージを緩和させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-234841号公報
【文献】特開2019-179175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に記載される従来技術では、タイリングパネル作製時のレーザ光照射によって基板を切断する際の切断位置、即ち予め設定された切断線に対する切断位置のばらつきによって、正常状態では絶縁層に覆われているはずの、Mo等の金属から成る金属遮光層の端面が、露出する可能性がある。その場合、上記の側面配線を、基板の表面上の端縁部にある側面配線パッドから基板の側面を経て基板の裏面上の端縁部にある側面配線パッドにかけて形成すると、側面配線が金属遮光層の露出部に接触し、その露出部を介して異なる信号を伝送する側面配線パッド同士が電気的に短絡するおそれがある。また、金属遮光層が絶縁性の基板の全周に繋がってパターン形成されているため、治具等の外部の導電性部材等が近づいたときに、導電性部材等との間で大容量のコンデンサを形成しやすくなる。そして、金属遮光層に発生した静電気(電荷)が導電性部材等に放電される場合があり、その場合、表示装置の誤動作の原因となる静電気放電(Electro Static Discharge:ESD)が発生する。
【0008】
したがって、従来から、タイリングパネル作製時のレーザ光照射による母基板の分割時に、レーザ光の照射部に発生する熱の影響を抑えて、レーザ光照射による昇華物質の周囲の配線等への付着を抑えることができる技術が求められている。また、レーザ光による切断位置のばらつきによって、側面配線が金属遮光層の露出部を介して異なる信号を伝送する側面配線パッド同士が短絡することを抑えることができる技術が求められている。また、静電気放電が発生しにくい構成の金属遮光層が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の遮光層積層型基板は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する基板と、前記第1面上における一辺側の端縁部に積層される第1金属遮光層と、
前記第1金属遮光層上、および前記第1面上における前記第1金属遮光層から露出する部位に、積層される第1絶縁層と、前記第1絶縁層上における前記第1金属遮光層に重ならない部位に積層される第2金属遮光層と、前記第2金属遮光層上、および前記第1絶縁層上における前記第1金属遮光層に重なる部位に、積層される第2絶縁層と、を備え、前記第1金属遮光層および前記第2金属遮光層は、電気的にフローティングとされている
【発明の効果】
【0010】
本開示の遮光層積層型基板によれば、第1金属遮光層と、その上方に第1金属遮光層に重ならない部位に位置する第2金属遮光層と、を備えることから、タイリングパネル作製時のレーザ光照射による母基板の分割時に、レーザ光の照射部に発生する熱の絶縁層への影響を効果的に抑えることができる。その結果、レーザ光照射による絶縁層の昇華物質が周囲の配線等に付着することを抑えることができる。また、レーザ光の照射部に発生する熱の影響によって、側面配線が第1金属遮光層の露出部を介して異なる側面配線パッド同士が短絡することを抑えることができる。また、金属遮光層が第1金属遮光層と第2金属遮光層とに分割されていることから、静電気放電が発生しにくい構成の金属遮光層となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態の遮光層積層型基板の構成を模式的に示す一部の平面図である。
図2図1の遮光層積層型基板を切断面線II-IIから見た拡大断面図である。
図3図1の遮光層積層型基板を切断面線III-IIIから見た拡大断面図である。
図4図1に示す遮光層積層型基板の第1面側の回路構成を模式的に示すブロック回路図である。
図5】遮光層積層型基板の第2面側の回路構成を模式的に示すブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本開示の遮光層積層型基板の実施形態について説明する。
【0013】
図1は本開示の実施形態の遮光層積層型基板1の構成を模式的に示す一部の平面図であり、図2図1の遮光層積層型基板1を切断面線II-IIから見た拡大断面図であり、図3図1の遮光層積層型基板1を切断面線III-IIIから見た拡大断面図である。なお、図2および図3において、図解を容易にするため、基板2の第2面2b側の回路構成は省略している。本実施形態の遮光層積層型基板1は、母基板をレーザ光照射によって裏面側から切断し、複数層の金属遮光層を具備した、タイリング用の狭額縁の複数の表示装置用基板として実現される。母基板の切断用のレーザ光としては、高出力のCO2レーザまたはYAGレーザ等を採用することができる。レーザ光L(図3に示す)のビーム径は、5μm~5mm程度である。なお、符号「~」は、「乃至」を意味する。
【0014】
遮光層積層型基板1は、第1面2aと、第1面2aとは反対側の第2面2bとを有する基板2と、第1面2a上における一辺側の端縁部Wに積層される第1金属遮光層31と、第1金属遮光層31上、および第1面2a上における第1金属遮光層31から露出する部位2a1に、積層される第1絶縁層31iと、第1絶縁層31i上における第1金属遮光層31に重ならない部位2a1に積層される第2金属遮光層32と、第2金属遮光層32上、および第1絶縁層31i上における第1金属遮光層31に重なる部位23aに、積層される第2絶縁層32iと、を備えている構成である。この構成により、以下の効果を奏する。第1金属遮光層31と、その上方に第1金属遮光層31に重ならない部位2a1に位置する第2金属遮光層32と、を備えることから、タイリングパネル作製時の母基板の裏面側からのレーザ光照射による母基板の分割時に、レーザ光の照射部に発生する熱の絶縁層(特に第2絶縁層32i)への影響を効果的に抑えることができる。その結果、レーザ光照射による絶縁層の昇華物質が周囲の配線等に付着することを抑えることができる。また、レーザ光による切断位置のばらつきによって、側面配線10が第1金属遮光層31の露出部を介して異なる信号を伝送する側面配線パッド同士が短絡することを抑えることができる。また、金属遮光層が第1金属遮光層31と第2金属遮光層32とに分割されていることから、静電気放電が発生しにくい構成の金属遮光層となる。
【0015】
また遮光層積層型基板1は、基板2の第1面2a上にマトリックス状に配列された画素部3と、基板2の第2面2b上に位置する電源供給回路7と、基板2の第1面2a上の端縁部W付近に位置し、側面配線10に電気的に接続される複数の第1配線パッド(第1側面配線パッド)8と、基板2の第2面2b上の端縁部W付近に位置し、側面配線10に電気的に接続される複数の第2配線パッド(第2側面配線パッド)9と、複数の側面配線10と、を備えていてもよい。第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の幅は、例えば50μm~200μm程度である。
【0016】
レーザ光Lの遮光層としての第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の材料は、アルミニウム、クロム、モリブデン、あるいはこれら金属の合金であってもよい。また第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、それぞれ単層であってもよいが、複数層を積層した積層構造であってもよい。第1および第2金属遮光層31,32の材料が、反射率の高いアルミニウムである場合、第1および第2金属遮光層31,32のレーザ光Lの照射側に、透明な絶縁層を設けてもよい。この場合、第1および第2金属遮光層31,32によって反射率が低下することなくレーザ光Lが反射されるとともに、透明な絶縁層によって熱吸収が低減される。その結果、レーザ光Lは、基板2の第2面2b側の外部へ、熱吸収を抑えて効率的に反射される。従って、第2絶縁層32iおよび有機絶縁層24,26等への熱的ダメージを低減する効果が大きくなる。
【0017】
また、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の材料は、より好適にはモリブデンなどであってもよい。モリブデンは、レーザ光を効率的に吸収し伝熱するため、反射光の強度を抑えることができるとともに、遮光層積層型基板1の温度上昇を抑えることができる。即ち、第1および第2金属遮光層31,32で反射された反射光の2次反射および吸収による熱的ダメージの低減効果を大きくすることができる。
【0018】
また、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、「Mo/Al/Mo」、「MoNd/AlNd/MoNd」等から成る構成であってもよい。ここで、「Mo/Al/Mo」は、Mo層上にAl層が積層され、Al層上にMo層が積層された積層構造を示す。
【0019】
また、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の材料は、黒色を呈する酸化クロムであってもよい。即ち、レーザ光Lを吸収して減衰する層であってもよい。
【0020】
また遮光層積層型基板1は、図1に示すように、第1金属遮光層31は複数あり、それぞれの第1金属遮光層31は、端縁部Wに一辺(例えば、第2辺2ab)に平行な方向において互いに間隔をあけて積層されており、第2金属遮光層32は、第1絶縁層31i上における隣接する第1金属遮光層31間の部位2a1に積層されている構成であってもよい。なお、部位2a1は、上記の第1金属遮光層31に重ならない部位でもある。この場合、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32が、より細かく分割されて、それぞれより小面積とされていることから、静電気放電がより発生しにくい構成の金属遮光層となる。
【0021】
第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、平面視で一連となっていてもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射した光(レーザ光)が第2絶縁層32iに到達することをより抑えることができる。その結果、第2絶縁層32iがレーザ光の照射による熱の影響を受けることを、より効果的に抑えることができる。
【0022】
第2金属遮光層32は、平面視において第1金属遮光層31に重なる重畳部位(オーバーラップ部位)LWを有していてもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射した光(レーザ光)が第2絶縁層32iに到達することをさらに抑えることができる。その結果、第2絶縁層32iがレーザ光の熱の影響を受けることをさらに効果的に抑えることができる。重畳部位LWの長さは5μm~500μm程度であってもよい。
【0023】
また重畳部位LWは、基板2の第2面2bの側から入射した光(レーザ光)が第1金属遮光層31の端で回折した回折光が、第2絶縁層32iに到達しない長さを有していてもよい。この場合も上記と同様の効果を奏する。この場合の重畳部位LWの長さは20μm~700μm程度である。
【0024】
第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、光反射性を有している構成であってもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射した光(レーザ光)が第1金属遮光層31および第2金属遮光層32で反射されることから、第2絶縁層32iがレーザ光の熱の影響を受けることを、さらに効果的に抑えることができる。第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、例えば可視光の光反射率が高い、金属材料、合金材料等から成っていてもよい。金属材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、錫(Sn)等がある。また、合金材料としては、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金であるジュラルミン(Al-Cu合金、Al-Cu-Mg合金、Al-Zn-Mg-Cu合金)等がある。これらの材料の光反射率は、アルミニウムが90%~95%程度、銀が93%程度、金が60%~70%程度、クロムが60%~70%程度、ニッケルが60%~70%程度、白金が60%~70%程度、錫が60%~70%程度、アルミニウム合金が80%~85%程度である。従って、光反射性を有する、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の好適な材料として、アルミニウム、銀、金、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0025】
第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、光散乱性を有している構成であってもよい。この場合、一般に、薄膜の表面、基板の表面が光学的な鏡面となる表面粗さは、算術平均粗さで使用波長の10分の1程度である。従って、人の目の感度が最も高い550nmの波長の光であれば、算術平均粗さが55nm以下の表面は光学的な鏡面となりやすい。そこで、算術平均粗さが55nm以上の表面は光散乱面となりやすいことから、光散乱性を有している、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の各表面は、55nm~10μm程度の算術平均粗さであってもよい。好適には1μm~10μm程度、より好適には2μm~7μm程度であってよい。
【0026】
第1絶縁層31iは、光散乱性粒子を含む構成であってもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射した光(レーザ光)が第1絶縁層31iに含まれる光散乱性粒子によって散乱され、第2絶縁層32iがレーザ光の照射による熱の影響を受けることを効果的に抑えることができる。光散乱性粒子は、例えば、金属材料、合金材料、ガラス材料、セラミック材料、金属酸化物材料等から成る。金属材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、錫(Sn)等がある。また、合金材料としては、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金であるジュラルミン(Al-Cu合金、Al-Cu-Mg合金、Al-Zn-Mg-Cu合金)等がある。ガラス材料としては、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等が挙げられる。セラミック材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等が挙げられる。金属酸化物材料としては、酸化チタン等が挙げられる。光散乱性粒子は、ガラス材料、金属酸化物材料等の透明材料から成る場合、基板2の第2面2bの側から入射したレーザ光を散乱および屈折させて、第2絶縁層32iの側へ到達しにくくすることができる。また光散乱性粒子は、金属材料、合金材料等の金属光沢色等の光反射性を有する場合、基板2の第2面2bの側から入射したレーザ光を反射および散乱させて、第2絶縁層32iの側へ到達しにくくすることができる。
【0027】
光散乱性粒子の平均粒径は、55nm~10μm程度であってもよい。好適には1μm~10μm程度、より好適には2μm~7μm程度であってよい。
【0028】
第1絶縁層31iは、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si34)等の無機材料から成る構成であってもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射したレーザ光が、第2絶縁層32iよりも先に入射する第1絶縁層31iの耐レーザ性が向上する。
【0029】
第2絶縁層32iは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機材料から成る構成であってもよい。この場合、基板2の第2面2bの側から入射したレーザ光の熱の影響を受けにくい第2絶縁層32iが、厚みの厚い平坦化層等を構成することができる。
【0030】
また第2絶縁層32iは、黒色化樹脂いわゆるブラックマトリックス等から成る遮光層であってもよい。この場合、遮光層積層型基板1を用いて表示装置を作製した際に、遮光層が黒色の背景色となり、表示画像のコントラストを向上させる。
【0031】
基板2の第1面2aの端縁部Wから基板2の側面を経て第2面2bの側にかけて位置する側面配線10を備え、側面配線10は、第1金属遮光層31および/または第2金属遮光層32に重なる位置にある構成であってもよい。この場合、隣接する側面配線10同士が第1金属遮光層31の露出部および/または第2金属遮光層32の露出部を介して短絡することを抑えることができる。側面配線10は、Ag、Cu、Al、ステンレススチール等の導電性粒子、未硬化の樹脂成分、アルコール溶媒および水等を含む導電性ペーストを、基板2の第1面2aから側面および第2面2bにかけての所望の部位に塗布した後、加熱法、紫外線等の光照射によって硬化させる光硬化法、光硬化加熱法等の方法によって形成することができる。側面配線10は、メッキ法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によっても形成することができる。また、基板2の第1面2aと側面と第2面2bとにおける側面配線10を形成する部位に、溝を予め形成しておいてもよい。これにより、側面配線10と成る導電性ペーストが、基板における所望の部位に配置されやすくなる。
【0032】
第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、電気的にフローティング(浮遊状態)とされている構成であってもよい。即ち、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、アノード電位部、カソード電位部等の特定の電位部に非接続の状態であってもよい。この場合、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32における、特定の電位部との接続部からその反対側の端部に発生する電位勾配によって、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32に電蝕による劣化が発生することを防ぐことができる。
【0033】
また第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、基板2の全周にわたって配置されていてもよい。例えば、基板2が矩形状である場合、全ての辺(4辺)がレーザ切断される辺であれば、全ての辺に第1金属遮光層31および第2金属遮光層32が配置されていてもよい。なお、基板2がレーザ切断される辺とレーザ切断されない辺とを有する場合、少なくともレーザ切断される辺に第1金属遮光層31および第2金属遮光層32が配置されていてもよい。
【0034】
基板2の第1面2a上に、発光素子61と、発光素子61を駆動制御するTFTと、発光素子61とTFTとを接続する後述のゲート信号線4およびソース信号線5等の配線層と、を備え、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32の少なくとも一方は、配線層と同じ材料から成る構成であってもよい。この場合、工程数を削減することができる。
【0035】
図4図1に示す遮光層積層型基板の第1面2a側の回路構成を模式的に示すブロック回路図であり、図5は遮光層積層型基板の第2面2b側の回路構成を模式的に示すブロック回路図である。基板2は、例えば、透明または不透明なガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板等である。基板2は、第1面2a、第1面2aとは反対側の第2面2b、および第1面2aと第2面2bとを接続する第3面(以下、側面ともいう)2cを有している。基板2は、その形状が、三角形板状、矩形板状、台形板状、円形板状、楕円形板状、六角形板状等であってもよく、その他の形状であってもよい。基板2の形状が、三角形板状、矩形板状、六角形板状等の形状である場合には、複数の遮光層積層型基板1をタイリングして、複合型かつ大型の表示装置(以下、マルチディスプレイともいう)を作製することが容易になる。本実施形態では、例えば図1,2に示すように、基板2は、矩形板状の形状を有しており、第1面2aは、第1辺2aa、および第1辺2aaに連なる第2辺2abを有している。
【0036】
画素部3は、基板2の第1面2a上に、複数のものが所定のピッチでマトリックス状に配置されている。複数の画素部3は、複数のゲート信号線4と複数のソース信号線5との交差部に対応して配置され、各画素部3は発光素子6を有している。複数のゲート信号線4は、所定方向(図1における左右方向であり、例えば行方向)に沿って配置されている。複数のソース信号線5は、所定方向と交差する方向(例えば列方向)に複数のゲート信号線4と交差して配置されている。
【0037】
複数の画素部3の各々は、発光素子6および電極パッド62を有している。発光素子6は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザ素子等の自発光型の素子である。本実施形態では、発光素子6として、LED素子を用いる。発光素子6は、マイクロLED素子であってもよい。発光素子6がマイクロLED素子である場合、発光素子6は、第1面2a上に配置された状態で、一辺の長さが1μm程度以上100μm程度以下あるいは3μm程度以上10μm程度以下である矩形状の平面視形状を有していてもよい。
【0038】
発光素子6は、アノード端子およびカソード端子を有し、電極パッド62は、アノードパッド62aおよびカソードパッド62bを有している。発光素子6のアノード端子およびカソード端子は、例えば、導電性接着剤、はんだ等の導電性接合材を介して、アノードパッド62aおよびカソードパッド62bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0039】
各画素部3は、複数の発光素子6、複数のアノードパッド62a、およびカソードパッド62bを有していてもよい。複数のアノードパッド62aには、複数の発光素子6の複数のアノード端子がそれぞれ電気的に接続され、複数のカソードパッド62bには、複数の発光素子6の複数のカソード端子が電気的に接続される。複数の発光素子6は、赤色光を発光する発光素子61R、緑色光を発光する発光素子61G、および青色光を発光する発光素子61Bであってもよい。この場合、各画素部3は、カラーの階調表示が可能になる。各画素部3は、赤色光を発光する発光素子61Rの代わりに、橙色光、赤橙色光、赤紫色光、または紫色光を発光する発光素子を有していてもよい。また、各画素部3は、緑色光を発光する発光素子61Gの代わりに、黄緑色光を発光する発光素子を有していてもよい。
【0040】
電源供給部としての電源供給回路7は、例えば図5に示すように、第2面2b上に配置されている。電源供給回路7は、複数の画素部3に供給される第1電源電圧VDDおよび第2電源電圧VSSを生成する。電源供給回路7は、第1電源電圧VDDを出力するVDD端子と、第2電源電圧VSSを出力するVSS端子とを有している。第1電源電圧VDDは、例えば10V~15V程度のアノード電圧である。第2電源電圧VSSは、第1電源電圧VDDよりも低電圧であり、例えば0V~3V程度のカソード電圧である。電源供給回路7は、例えば、フレキシブル回路基板(Flexible Circuit Board:FPC)によって構成されていてもよい。電源供給部は、電源電圧制御用のIC,LSI等の半導体素子を備えた回路モジュールであってもよい。さらに電源供給部は、電源供給回路7と、発光素子6の発光、非発光、発光強度等を制御する制御信号を生成するための、ICチップによって構成された発光制御素子と、を有していてもよい。
【0041】
また、駆動回路部13が第2面2b上に配置されている。駆動回路部13は、第2面2b上に配置された第2ソース信号線17(図3図5に示す)を介して第1面2a上に配置されたソース信号線5に電気的に接続されている。駆動回路部13と電源供給回路7は、それらの動作の同期をとるために電気的に接続されていてもよい。
【0042】
複数の第1配線パッド8は、例えば図4に示すように、第1面2a上における第1辺2aa側の端縁部Wに配置されている。端縁部Wは、第1辺2aaに沿った辺縁部であり、第1面2a上における第1辺2aaから第1面2aの中央側に向かって10μm~500μm程度の幅を有する部位であるが、この幅の値に限らない。複数の第1配線パッド8は、複数の第1パッド81と複数の第2パッド82とを有している。第1パッド81は、複数の画素部3に第1電源電圧VDDを供給するための配線パッドであり、第2パッド82は、複数の画素部3に第2電源電圧VSSを供給するための配線パッドである。第1配線パッド8は、1辺の長さが50μm~500μm程度、好適には70μm~300μm程度の矩形状であるが、1辺の長さはこれらの値に限らず、形状も5角形状等の多角形状、台形状、円形状、楕円形状等の種々の形状であってもよい。以下、配線パッドについて同様の構成を採り得る。
【0043】
遮光層積層型基板1は、例えば図4に示すように、第1引き回し配線11aおよび第2引き回し配線11bを有している。第1引き回し配線11aおよび第2引き回し配線11bは、第1面2a上に位置している。第1引き回し配線11aおよび第2引き回し配線11bは、例えば、「Mo/Al/Mo」、「MoNd/AlNd/MoNd」等から成る。ここで、「Mo/Al/Mo」は、Mo層上にAl層が積層され、Al層上にMo層が積層された積層構造を示す。その他についても同様である。第1引き回し配線11aは、発光素子6のアノード端子と複数の第1パッド81とを接続している。第2引き回し配線11bは、発光素子6のカソード端子と複数の第2パッド82とを接続している。
【0044】
複数の第2配線パッド9は、第2面2b上に位置している。複数の第2配線パッド9は、例えば図5に示すように、第1辺2aa側の端縁部に配置されていてもよい。この端縁部は、上述した端縁部Wと同様の構成を有していてもよい。複数の第2配線パッド9は、複数の第3パッド91と複数の第4パッド92とを有している。第3パッド91は、複数の画素部3に第1電源電圧VDDを供給するための配線パッドであり、第4パッド92は、複数の画素部3に第2電源電圧VSSを供給するための配線パッドである。
【0045】
遮光層積層型基板1は、複数の第1パッド81の個数と複数の第3パッド91の個数とが等しく、複数の第2パッド82の個数と複数の第4パッド92の個数とが等しい構成である。複数の第1パッド81と複数の第3パッド91とは、平面視において、すなわち、第1面2aに直交する方向から見たときに、それぞれ重なっていてもよい。複数の第2パッド82と複数の第4パッド92とは、平面視において、それぞれ重なっていてもよい。
【0046】
遮光層積層型基板1は、第3引き回し配線12を有している。第3引き回し配線12は、第2面2b上に位置している。第3引き回し配線12は、例えば、「Mo/Al/Mo」、「MoNd/AlNd/MoNd」、Ag等から成る。例えば図5に示すように、第3引き回し配線12は、電源供給回路7のVDD端子と複数の第3パッド91とを接続し、電源供給回路7のVSS端子と複数の第4パッド92とを接続している。
【0047】
複数の側面配線10は、基板2の側面である第3面2cを介して、第1面2a上から第2面2b上にかけて配置されている。本実施形態では、例えば図4,5に示すように、複数の側面配線10は、第1面2a上から、第3面2cおよび第2面2b上にかけて配置されている。複数の側面配線10は、複数の第1配線パッド8と複数の第2配線パッド9とをそれぞれ接続している。複数の側面配線10は、複数の第1パッド81と複数の第3パッド91とをそれぞれ接続し、複数の第2パッド82と複数の第4パッド92とをそれぞれ接続している。
【0048】
遮光層積層型基板1は、複数の側面配線10の代わりに、第1面2aから第2面2bにかけて貫通し、複数の第1配線パッドと複数の第2配線パッドとをそれぞれ接続する複数の貫通導体を有する構成であってもよい。また、複数の側面配線10を有するとともに複数の貫通導体を有する構成であってもよい。本実施形態の遮光層積層型基板1は、好適には少なくとも複数の側面配線10を有する構成であってよい。
【0049】
遮光層積層型基板1は、第1面2a上から第2面2b上にかけて配置され、複数のゲート信号線4と電源供給回路7の制御素子とを接続するゲート配線を有している。ゲート配線は、例えば図4,5に示すように、第5配線パッド18、第6配線パッド19、第1ゲート配線20、第2ゲート配線21、および第3ゲート配線22を有している。
【0050】
第5配線パッド18は、例えば図4に示すように、第1面2a上における第1辺2aa側の端縁部に配置されている。第6配線パッド19は、例えば図5に示すように、第2面2b上における第1辺2aa側の端縁部に配置されている。第5配線パッド18と第6配線パッド19とは、平面視において、重なっていてもよい。第1ゲート配線20は、例えば図4に示すように、第1面2a上に配置され、複数のゲート信号線4と第5配線パッド18とを接続している。第2ゲート配線21は、例えば図5に示すように、第2面2b上に配置され、電源供給回路7の制御素子と第6配線パッド19とを接続している。第3ゲート配線22は、例えば図4,5に示すように、第1面2a上から、第3面2c上および第2面2b上にかけて配置され、第5配線パッド18と第6配線パッド19とを接続している。
【0051】
第1配線パッド8および第2配線パッド9は、導電性材料から成っている。第1配線パッド8および第2配線パッド9は、単一の金属層から成っていてもよく、複数の金属層が積層されて成っていてもよい。第1配線パッド8および第2配線パッド9は、例えば、Al、「Al/Ti」、「Ti/Al/Ti」、Mo、「Mo/Al/Mo」、「MoNd/AlNd/MoNd」、Cu、Cr、Ni、Ag等から成っていてもよい。
【0052】
図3に示すように、第1配線パッド8は2層の導体層8a,8bを積層して成る。導体層8aはAl、「Al/Ti」、「Ti/Al/Ti」、Mo、「Mo/Al/Mo」、「MoNd/AlNd/MoNd」、Cu、Cr、Ni、Ag等から構成されていてもよく、導体層8a上の導体層8bはITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等から成る透明導電層から構成されていてもよい。また、第1配線パッド8における第1面2aの内方側の端部に絶縁層25,26が配置されていてもよい。これにより、第1配線パッド8が第1面2aの内方側に配置された配線導体等と短絡することを抑制できる。絶縁層25,26は、例えばSiO2、Si34、アクリル樹脂等のポリマー材料等から成る。第2配線パッド9の表面は、ITO、IZO等から成る透明導電層によって被覆されていてもよい。
【0053】
各画素部3は、基板2上に、発光素子6のそれぞれに発光信号を入力するためのスイッチ素子としての第1の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)と、発光制御信号のレベル(電圧)に応じた、正電圧(アノード電圧:10V~15V程度)と負電圧(カソード電圧:0V~3V程度)の電位差(発光信号)によって発光素子6を電流駆動するための駆動素子としての第2の薄膜トランジスタと、を含む。
【0054】
第1および第2のTFTは、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3端子を有する構成である。また第1および第2のTFTは、双方ともnチャネル型TFTである構成、双方ともpチャネル型TFTである構成、一方がnチャネル型TFTで他方がpチャネル型TFTである構成を採用できる。そして、ゲート電極に所定電位の電圧(2.5V~3.5V程度)を印加することにより、ソース電極とドレイン電極の間の半導体膜(チャンネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。基板2がガラス基板から成り、駆動素子は、LTPSから成る半導体膜を有するTFTを用いて構成された駆動回路である場合、基板2上にTFTをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって直接的に形成することができる。
【0055】
本実施形態によれば、複数の遮光層積層型基板1をタイリングして複合型表示装置を作製する場合、それぞれの遮光層積層型基板1の表面側と裏面側を、Ag等から成る側面配線10によって電気的に接続する。従来のように、基板2の側面配線10の形成部位に、レーザ光を遮光する単層の金属遮光層を配置した場合、隣接する側面配線10同士が金属遮光層を介して短絡するおそれがあったが、本実施形態では、金属遮光層が、積層方向において異なる位置にある、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32に分離されていることから、隣接する側面配線10同士が第1金属遮光層31を介して短絡することを防ぐことができる。また本実施形態では、平面視において、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32が一連となるように、重畳部位LWを有している場合、基板2の第2面2bの側からレーザ光を照射しても、第2絶縁層32i等がレーザ光の熱の影響を受けることを効果的に抑えることができる。また、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32が電気的にフローティング(浮遊状態)とされている場合、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32に電蝕による劣化が生じることを防ぐことができる。また、金属遮光層が第1金属遮光層31と第2金属遮光層32とに分割されていることから、静電気放電が発生しにくい構成の金属遮光層となる。
【0056】
また、図2に示すように、第1金属遮光層31および第2金属遮光層32は、第2絶縁層32iのみならず厚みが厚い平坦化層等としての有機層である絶縁層(有機絶縁層)24,26よりもレーザ光Lに近い側に位置するので、第2絶縁層32iのみならず有機絶縁層24,26に対するレーザ光Lの熱の影響も抑えることができる。即ち、有機絶縁層24,26がレーザ光Lの熱によって昇華し、その後固化して第1面2a上の配線等に異物として付着することを抑えることができる。
【0057】
第1金属遮光層31および第2金属遮光層32のそれぞれの厚みは、50nm~1μm程度であるが、第1金属遮光層31の厚みを第2金属遮光層32の厚みよりも厚くしてもよい。この場合、レーザ光Lに近い側の第1金属遮光層31がレーザ光の熱を効率的に吸収し、第2金属遮光層32がレーザ光の熱の影響を受けにくくすることができる。第1金属遮光層31の厚みが、第2金属遮光層32の厚みの1倍を超え5倍以下程度としてもよいが、この値に限らない。5倍を超えると、遮光層積層型基板1の薄型化を阻害する傾向がある。
【0058】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示の遮光層積層型基板は、LED表示装置、有機EL表示装置等の発光表示装置および液晶表示の表示装置として構成し得る。また本開示の遮光層積層型基板は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、複合型かつ大型の表示装置(マルチディスプレイ)、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチなどがある。
【符号の説明】
【0060】
1 遮光層積層型基板
2 基板
2a 第1面
2b 第2面
2c 第3面(側面)
2aa 第1辺
2ab 第2辺
3 画素部
4 ゲート信号線
5 ソース信号線
6 発光素子
61R 赤色発光素子
61G 緑色発光素子
61B 青色発光素子
62 電極パッド
7 電源供給回路
8 第1配線パッド
81 第1パッド
82 第2パッド
9 第2配線パッド
91 第3パッド
92 第4パッド
10 側面配線
11a 第1引き回し配線
11b 第2引き回し配線
12 第3引き回し配線
18 第5配線パッド
19 第6配線パッド
20 第1ゲート配線
21 第2ゲート配線
22 第3ゲート配線
24,25,26 絶縁層
31 第1金属遮光層
31i 第1絶縁層
32 第2金属遮光層
32i 第2絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5