(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20240909BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20240909BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/087 325
G03G9/087 331
G03G9/093
(21)【出願番号】P 2020152278
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 憲一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 直也
(72)【発明者】
【氏名】塩足 吉彬
(72)【発明者】
【氏名】久島 浩史
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-003367(JP,A)
【文献】特開2012-150172(JP,A)
【文献】特開2016-080886(JP,A)
【文献】特開2020-027276(JP,A)
【文献】特開2018-031867(JP,A)
【文献】特開2017-156542(JP,A)
【文献】特開2008-224939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子及び該トナー粒子の表面上のシリカ粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が存在し、
該トナー粒子が、コア粒子及び該コア粒子の表面上に形成されているシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子であり、
該コア粒子が、ポリエステル樹脂を含み、
該シェルが、スチレン-アクリル系樹脂を含み、
該トナー粒子の表面に該コア粒子に含まれる該ポリエステル樹脂の一部が露出していることで、該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂で形成されている面が存在し、
該シリカ粒子の個数平均粒径が、15nm以上60nm以下であり、
該シリカ粒子の平均細孔径が、5.0nm以上20.0nm以下であり、
該シリカ粒子の全細孔容積が、0.20cm
3/g以上1.50cm
3/g以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記トナー粒子の表面の全面積のうち、前記スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及び前記ポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積の割合が90面積%以上であり、
前記スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及び前記ポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積のうち、前記スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積の割合が、40面積%以上80面積%以下である請求項
1に記載のトナー。
【請求項3】
前記シリカ粒子の個数平均粒径が15nm以上40nm以下である請求項1
又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記シリカ粒子が、湿式シリカである請求項1~
3のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項5】
前記シリカ粒子の疎水化度が、40%以上75%以下である請求項1~
4のいずれか1項に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法のような方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置などに用いられる電子写真技術は、装置の発展とともに利用者からの要求も年々厳しくなっている。近年の動向では、市場の拡大により使用される環境が広がったことから、環境に依存しない安定した画像品質が得られること、また、コンパクトな設計でありながら長期に亘って印刷が可能であることが強く求められるようになっている。
上記要求を満足させるためには、電子写真プロセスとして耐久使用を通して(1)現像性が変化しないこと、(2)記録媒体上に潜像を乱さず転写すること、が必要である。そのため、トナーとしては耐久使用を通して帯電量が変化しないことが求められており、前記課題を解決すべく数多く改良が行われている。
トナーの物性値を維持する観点においては、トナーに100nm位の比較的大きな外添剤を添加して、スペーサー効果でトナーの耐久劣化を抑える技術が知られている。
例えば、特許文献1では、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂をシェル層に設けた母体粒子に50nm~150nmの単分散球状粒子を外添して、平滑化した母体粒子表面と外添粒子との接着力を均一化して遊離を抑え、耐久性を更に高めた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記トナーは確かに耐久性の向上が認められるが、耐久使用の終盤には外添粒子の埋め込みや脱離が進み、トナー粒子表面で機能する外添粒子の減少を避けることができず、帯電量が変化して現像性や転写性が低下する課題を有することがわかった。上記問題は、特に高温高湿環境や低温低湿環境といった過酷な環境下での使用時に顕著に現れる。
また、高印字率画像の連続出力等で、現像機内トナーの外添剤量が一時的に増加する場合においても帯電量の変動が生じ、画像濃度の安定性低下やカブリ発生という課題を有することがわかった。
すなわち、これらの問題は耐久使用や使用条件により現像機内トナーの外添剤量が変化した場合に、帯電量を維持する術が未だないことに起因するものである。市場が要求する画質安定性を得るためには、依然として帯電量を一定に維持できるトナーが待ち望まれている。
本開示は、使用環境によらず耐久使用に伴う帯電量の変動を抑えることで、長期に亘る印刷においてもカブリを抑制し、濃度の安定性やハーフトーン品質に優れたトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
トナー粒子及び該トナー粒子の表面上のシリカ粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が存在し、
該トナー粒子が、コア粒子及び該コア粒子の表面上に形成されているシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子であり、
該コア粒子が、ポリエステル樹脂を含み、
該シェルが、スチレン-アクリル系樹脂を含み、
該トナー粒子の表面に該コア粒子に含まれる該ポリエステル樹脂の一部が露出していることで、該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂で形成されている面が存在し、
該シリカ粒子の個数平均粒径が、15nm以上60nm以下であり、
該シリカ粒子の平均細孔径が、5.0nm以上20.0nm以下であり、
該シリカ粒子の全細孔容積が、0.20cm3/g以上1.50cm3/g以下であることを特徴とするトナー。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、使用環境によらず耐久使用に伴う帯電量の変動を抑えることで、長期に亘る印刷においてもカブリを抑制し、濃度の安定性やハーフトーン品質に優れたトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
以下に、本開示を具体的に説明する。
【0009】
本開示は、トナー粒子及び該トナー粒子の表面上のシリカ粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が存在し、
該シリカ粒子の個数平均粒径が、15nm以上60nm以下であり、
該シリカ粒子の平均細孔径が、5.0nm以上20.0nm以下であり、
該シリカ粒子の全細孔容積が、0.20cm3/g以上1.50cm3/g以下であるトナーに関する。
【0010】
上記シリカ粒子は、特定の平均細孔径と全細孔容積を有する多孔質シリカ粒子である。該シリカ粒子は、トナー粒子表面がポリエステル樹脂かスチレン-アクリル系樹脂かの違いにより、シリカ粒子の添加量に対する帯電量の変化が逆の傾向を示すユニークな特性を有している。トナー粒子表面がポリエステル樹脂の場合は、シリカ粒子の添加量を増やしていくと、帯電量の絶対値が減少傾向を示すのに対し、トナー粒子表面がスチレン-アクリル系樹脂の場合は、帯電量の絶対値が増加傾向を示す。
この特性を活かすべく鋭意検討を行った結果、トナー粒子表面にポリエステル樹脂で形成されている面とスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面を有するトナー粒子に該シリカ粒子を添加すると、耐久使用を通して帯電量が略一定に維持できる帯電緩衝効果を発現することを見出した。
帯電緩衝効果が働くメカニズムは以下のように推定している。
【0011】
特定の細孔径を有する多孔質シリカ粒子は、毛細管現象の働き、及び細孔内に残存シラノール基を有する場合は残存シラノール基の働きにより、環境を問わず細孔内に水を保持する傾向が見られる。また、ポリエステル樹脂はスチレン-アクリル系樹脂と比較して吸水率が高い特性を有している。
トナー粒子表面で、該シリカ粒子がポリエステル樹脂と接触して摩擦する機会においては、シリカ粒子の細孔の保持水とポリエステル樹脂との親和性が高いため、保持水を通じて摩擦帯電により生じた電荷がリークする傾向を有する。
一方、トナー粒子表面で、該シリカ粒子がスチレン-アクリル系樹脂と接触して摩擦する機会においては、スチレン-アクリル系樹脂が疎水性を示すため、細孔内の保持水の移
動は起こりにくく、摩擦による帯電量の蓄積効果が働く。
【0012】
トナー粒子表面に、シリカ粒子との帯電傾向が真逆の樹脂部分が共存する場合においては、トナー粒子表面におけるシリカ粒子の存在量が増減しても、帯電量の総和が略一定量に収束して維持されるため、帯電量緩衝効果が働くものと推定している。
従って、プリンターや複写機において、繰り返しの印刷で現像機内におけるトナー表面のシリカ粒子の存在量が変化しても、帯電量が一定に維持されるため、耐久使用を通して安定した現像性と転写性が実現でき、高品質な画像出力の高寿命化が達成できたと考えている。
【0013】
シリカ粒子は細孔を有する多孔質シリカ粒子であり、平均細孔径が5.0nm以上20.0nm以下であり、全細孔容積が0.20cm3/g以上1.50cm3/g以下である。
平均細孔径及び全細孔容積は、BJH法により算出した値である。
全細孔容積は、細孔径が1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される全細孔容積のことをいう。
【0014】
シリカ粒子の平均細孔径を5.0nm以上にすることで、細孔内に取り込まれた保持水を良好に吸脱着することができ、トナー粒子表面における接触摩擦時に、樹脂種に応じた電荷の蓄積とリーク機能を発現できる。
平均細孔径を20.0nm以下にすることで、低温低湿環境下においても、細孔内に取り込まれた保持水を維持することが可能となる。
シリカ粒子の平均細孔径は、好ましくは7.0nm以上15.0nm以下である。
【0015】
シリカ粒子の全細孔容積を0.20cm3/g以上にすることで、シリカ粒子の細孔内に取り込まれた保持水による、帯電量緩衝機能が良好に発揮できる。
全細孔容積を1.50cm3/g以下にすることで、高温高湿環境下においてもシリカ粒子が取り込む保持水量が過多になることがなく、帯電量の低下を防止でき、安定した帯電量を維持することができる。
シリカ粒子の全細孔容積は、好ましくは0.40cm3/g以上1.20cm3/g以下である。
【0016】
シリカ粒子の個数平均粒径は、15nm以上60nm以下であり、好ましくは15nm以上49nm以下であり、より好ましくは15nm以上40nm以下である。
シリカ粒子の個数平均粒径を15nm以上にすることで、トナーが現像器内で受けるストレスによる、シリカ粒子の埋め込みが抑制され、環境特性と耐久特性が維持できる。
シリカ粒子の個数平均粒径を60nm以下とすることで、シリカ粒子による摩擦帯電特性が損なわれることなく、耐久使用を通して帯電量の低下を抑制でき、一定の帯電量に維持することが可能となる。
【0017】
シリカ粒子の平均細孔径は、湿式のシリカの製造方法においては反応時の温度やpHにより制御できる。
また、シリカ粒子の全細孔容積は、湿式のシリカの製造方法においては反応時のpHや添加物(例えば、ジメチルホルムアルデヒドやホルムアルデヒド等の触媒)、さらには熟成・乾燥の条件により制御できる。
シリカ粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上5.0質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
【0018】
シリカ粒子は、湿式法により得られるゾルゲル法シリカ粒子、ゲル法シリカ粒子、気相
法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子、爆燃シリカ粒子などが挙げられる。
その中でも、残存シラノール基が豊富で保持水の吸脱着特性に特に優れる観点から、シリカ粒子は、ゾルゲル法シリカ粒子やゲル法シリカ粒子などの湿式シリカであることが好ましい。
【0019】
シリカ粒子の疎水化度は、40%以上75%以下であることが好ましく、43%以上70%以下であることがより好ましく、45%以上60%以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、シリカ粒子の細孔内に取り込まれる保持水の吸脱着特性に優れ、過酷な環境下においても帯電量を適度に維持することができ、転写性や、かぶり抑制及び濃度安定性といった現像特性に優れる。
シリカ粒子の疎水化度は、シリカ粒子表面の疎水化処理によって調整することができる。
【0020】
疎水化処理に用いられる処理剤は、特段の制限はなく、従来公知のシラン又はシラザン化合物を用いることができる。具体例としては、以下のものが挙げられる。
ジメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、β-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1-ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2~12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサン等。
【0021】
正帯電性を示すシラン化合物としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメト
キシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン等があげられ
る。
これらは1種又は2種以上の混合物で用いられる。
これらの中でも、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。シリカ粒子はヘキサメチルジシラザンで表面処理されていることが好ましい。ヘキサメチルジシラザンを用いて湿式で疎水化処理したシリカ粒子は、処理が均一に行き届き、環境安定性に優れるためより好ましい。
【0022】
上記以外の疎水化処理剤として、シリコーンオイル等で処理されていてもよく、上記シランまたはシラザン化合物と併せてシリコーンオイル処理されてもよい。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0023】
シリコーンオイル処理の方法は以下の方法が挙げられる。シリカ粒子又はシランカップリング剤で処理されたシリカ粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーのような混合機を用いて直接混合する方法。ベースとなるシリカ粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ粒子を加え混合し、溶剤を除去する方法が好ましい。
【0024】
疎水化処理剤としては、具体的に、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類;テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のシラザン類;ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルのシリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類;脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸等の長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウム等の金属との塩が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、ストレートシリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
本開示のトナーは、トナー粒子表面に、ポリエステル樹脂で形成されている面とスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が存在することで、特定の平均細孔径及び全細孔容積を有するシリカ粒子との摩擦帯電による帯電量緩衝効果を発現できる。
トナー粒子表面に存在するポリエステル樹脂は特に制限されず、公知のものを使用することができる。
【0027】
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸との縮重合体であることが好ましい。
ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸、その酸無水物若し
くはその低級アルキルエステルを好適に使用できる。ポリエステル樹脂は、より好ましくは2価アルコール、2価カルボン酸及び3価カルボン酸(その酸無水物又はその低級アルキルエステル)の縮重合体である。
【0028】
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の、付加モル数は、好ましくは1.0モル~10.0モルであり、より好ましくは1.0モル~4.0モルである。
【0029】
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
【0030】
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
【0031】
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はその低級アルキルエステルが挙げられる。
【0032】
2価のアルコールはビスフェノール類を含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、0.5mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることが好ましく、1.0mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは50℃~70℃であることが好ましい。
【0033】
トナー粒子表面に存在するスチレン-アクリル系樹脂は特に制限されず、公知のものを使用することができる。
スチレン-アクリル系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル系モノマーとの共重合体である。スチレン-アクリル系樹脂を合成するためには、例えば以
下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマーを好適に使用できる。
【0034】
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α-メチルスチレン、p-エチルスチレン、又は4-tert-ブチルスチレン等)、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α-クロロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、又はp-クロロスチレンが挙げられる。
【0035】
アクリル系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、又は(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが挙げられる。
スチレン-アクリル系樹脂は、スチレン及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマーの共重合体であることが好ましい。
【0036】
トナー粒子は、該トナー粒子表面の全面積のうち、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積の割合(St-Ac+PES面積率)が90面積%以上であることが好ましく、95面積%以上であることがより好ましい。上限は、100面積%以下であることが好ましい。
また、トナー粒子表面において、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積のうち該スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積の割合(St-Ac面積率)が40面積%以上80面積%以下であることが好ましく、45面積%以上75面積%以下であることがより好ましい。
トナー粒子表面に、スチレン-アクリル系樹脂とポリエステル樹脂以外に、その他の成分で形成されている面が存在してもよい。その他の成分で形成されている面は特に制限されないが、好ましくはトナー粒子表面の全面積のうち10面積%以下とすることで、帯電量緩衝効果をより良好に発揮できる。
【0037】
St-Ac面積率を40面積%以上80面積%以下にすることで、環境によらず、耐久使用を通して帯電量をさらに安定させることができる。
通常のプリント使用条件においては、現像器内のトナーは耐久使用が進むにつれ、トナー粒子表面に存在するシリカ粒子は摺擦部材から受けるストレスにより、トナー粒子への埋め込みや脱離が進み、トナー粒子表面で機能するシリカ粒子の量が減少する傾向を示す。
【0038】
トナー粒子表面で機能するシリカ粒子が減少しても、St-Ac面積率を40面積%以上にすることで、帯電緩衝作用の働きにより、低温低湿環境下においてもチャージアップを抑える効果に優れる。
また、St-Ac面積率を80面積%以下にすることで、帯電緩衝作用が機能し、高温高湿環境下における帯電量の低下を抑制できる。
【0039】
一方、高印字画像の連続出力を行った場合は、一時的に現像器内にシリカ粒子が蓄積され、トナー粒子表面に存在するシリカ粒子の量が増える傾向が見られる。
トナー粒子表面で機能するシリカ粒子が増加しても、St-Ac面積率を40面積%以
上にすることで、帯電量の低下を抑えることができ、St-Ac面積率を80%面積以下にすることで、チャージアップを抑制することができる。
St-Ac面積率は、トナー粒子表面に湿式又は外添で固着させる、樹脂微粒子の粒径や添加量の調整により制御できる。
スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面が占める合計の面積のうち該ポリエステル樹脂で形成されている面の面積の割合(PES面積率)が20面積%以上60面積%以下であることが好ましく、25面積%以上55面積%以下であることがより好ましい。
【0040】
本開示のトナーは、多孔質シリカ粒子と、トナー粒子表面のポリエステル樹脂及びスチレン-アクリル系樹脂の各々と、の間での、細孔内保持水の作用に起因する特徴ある摩擦帯電特性の違いにより帯電緩衝効果を発現する。トナーは、負帯電性トナーであってもよいし、正帯電性トナーであってもよい。
正帯電性、負帯電性への制御は、トナー粒子表面の樹脂組成や、帯電制御剤の添加、外添剤の表面処理剤の選択により制御することができる。
【0041】
トナー粒子表面において、ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が明確に単独で存在することが必要である。
好ましい形態としては、トナー粒子がコアシェル構造を有し、コア部の組成とシェル部の組成をスチレン-アクリル系樹脂とポリエステル樹脂から各々選択し、シェル部を完全に被覆せず、コアの一部を露出させることで2つの面を存在させる方法が挙げられる。
具体的には、コア粒子にコア粒子と組成の異なる樹脂微粒子を添加してシェルを形成する方法や、添加した樹脂微粒子を更に機械的衝撃を加えて固定化する方法や、添加した樹脂微粒子を加熱処理等により膜化する方法等が適用できる。
【0042】
これらの中でも、シェルを形成する樹脂粒子がお互いに、またコア粒子と融着した状態で存在する形態が、シリカ粒子とトナー粒子表面の接触機会が安定に保てるため、帯電量緩衝効果に優れ好ましい。
コアシェル構造のコア成分が、ポリエステル樹脂であっても、スチレン-アクリル系樹脂であっても、コアの露出部分が存在すれば、シリカ粒子との摩擦により、帯電量緩衝効果が得られる。
【0043】
トナー粒子は、コア粒子及び該コア粒子の表面に形成されたシェルを有するコアシェル構造を有することが好ましい。
そして、コア粒子がポリエステル樹脂を含み、シェルがスチレン-アクリル系樹脂を含み、トナー粒子の表面にコア粒子に含まれるポリエステル樹脂の一部が露出していることで、トナー粒子の表面にポリエステル樹脂で形成されている面が存在していることが好ましい。より好ましくは、コア粒子に含まれる樹脂成分がポリエステル樹脂であり、シェルに含まれる樹脂成分がスチレン-アクリル系樹脂である。シェルの樹脂成分がスチレン-アクリル系樹脂のみからなることがさらに好ましい。
また、コア粒子がスチレン-アクリル系樹脂を含み、シェルがポリエステル樹脂を含み、トナー粒子の表面にコア粒子に含まれるスチレン-アクリル系樹脂の一部が露出していることで、トナー粒子の表面にスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面が存在していることも好ましい。より好ましくは、コア粒子に含まれる樹脂成分がスチレン-アクリル系樹脂であり、シェルに含まれる樹脂成分がポリエステル樹脂である。シェルの樹脂成分がポリエステル樹脂のみからなることがさらに好ましい。
コア粒子がポリエステル樹脂を含み、シェルがスチレン-アクリル系樹脂を含む形態が、帯電量の絶対値を高く維持でき、現像安定性がより高まる傾向にあり好ましい。
【0044】
コア粒子は、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、及び乳化重合凝集法により作製した粒
子を用いることができる。
これらの中でも、粉砕法により得られた粒子をコアに用いた場合、シェル層の形成工程でコア樹脂を露出させやすく、明確にコア樹脂の存在する面を形成することができ好ましい。
【0045】
シェルを形成する樹脂粒子は、一次粒子の個数平均粒径10nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上200nm以下であることがより好ましい。個数平均粒径が10nm以上の樹脂粒子は、コア粒子の表面に均一で安定した面を形成しやすい。また、個数平均粒径が500nm以下の樹脂粒子は、樹脂粒子により形成される部分の層厚を斑なく一定に制御することができる。
シェルの量は、コア粒子100質量部に対し、好ましくは0.20質量部以上7.00質量部以下であり、より好ましくは0.50質量部以上2.00質量部以下であり、
【0046】
以下、トナー粒子の構成成分について説明する。
[結着樹脂]
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。
トナー粒子は、その表面に、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面が存在するため、トナー粒子は、スチレン-アクリル系樹脂及び/又はポリエステル樹脂を結着樹脂として有することが好ましい。トナー粒子は、結着樹脂としてその他の樹脂を含有してもよい。
その他の結着樹脂は特段限定されず、例えば、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等、従来公知のものを用いることができる。
【0047】
[架橋剤]
結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
ビニル系樹脂の場合、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。
【0048】
ポリエステル樹脂の場合、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを添加できる。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4-メタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
架橋剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部以上10.000質量部以下であることが好ましい。
【0049】
[ワックス]
トナー粒子はワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコーン樹脂が挙げられる。好ましくは炭化水素ワックスやエステルワックスである。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。なお、ワックスの含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して2.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
【0050】
[着色剤]
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤は特に限定されず、公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180、185、193。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
【0051】
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
【0052】
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白
、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
【0053】
[磁性体]
トナーは、磁性トナーとして用いることも可能であり、その場合には、以下に挙げられる磁性体が用いられる。
マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような酸化鉄、または他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Ca、Mn、Se、Tiのような金属との合金、及びこれらの混合物。
より具体的には、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ-Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で又は2種類以上を組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ-三二酸化鉄の微粉末である。
【0054】
これらの磁性体は、平均粒径が0.1μm以上2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがさらに好ましい。795.8kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力(Hc)が1.6kA/m以上12kA/m以下(20エルステッド以上150エルステッド以下)、飽和磁化(σs)が5Am2/kg以上200Am2/kg以下であり、好ましくは50Am2/kg以上100Am2/kg以下である。残留磁化(σr)は、2Am2/kg以上20Am2/kg以下のものが好ましい。
磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
【0055】
[荷電制御剤]
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電量の立ち上がるスピードが速い荷電制御剤が、適度な帯電量での維持特性に優れるため好ましい。
【0056】
トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物又は上記芳香族カルボン酸の金属化合物を有する重合体又は共重合体;
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体;
アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;
ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等。
【0057】
スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体としては、以下のものを用いることができる。
スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン
酸等のスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体あるいは結着樹脂の項に示したビニル系単量体と上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体等。
【0058】
トナー粒子を正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。
樹脂系荷電制御剤としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、スルホンアミド樹脂、ポリイミド樹脂、又はこれら樹脂の誘導体が挙げられる。
【0059】
これら荷電制御剤は単独で又は2種類以上組み合わせて含有することができる。荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10
.0質量部以下であることが好ましい。
ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、電荷制御剤を含有させる必要はない。
【0060】
[外添剤]
トナーは、上記シリカ粒子の他に、流動性、クリーニング性などを満足するために、いわゆる外添剤として流動化剤、クリーニング助剤などを含有してもよい。
外添剤としては特段の制限なく従来公知の外添剤を用いることができる。具体的には、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、又はチタン酸バリウム、ハイドロタルサイト等)等の無機微粒子、ビニル系樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子、及び有機無機複合微粒子が挙げられる。
【0061】
これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、外部添加剤は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、高級脂肪酸、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独で用いても、併用してもよい。
【0062】
[トナー粒子の製造方法]
以下、トナー粒子表面にスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面とポリエステル樹脂で形成されている面を形成する好ましい形態の一例として、コアシェル構造を有するトナー粒子の製造方法について説明する。
【0063】
(コア粒子の準備)
トナーのコア粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法及び粉砕法によりコア粒子を製造することができる。
【0064】
懸濁重合法においてコア粒子を得る場合には、まず、結着樹脂を構成する重合性単量体、必要に応じてワックス及び着色剤などを混合し、重合性単量体組成物を調製する。
次に、分散安定剤を含む水系媒体を調製し、高剪断力を有する撹拌機を設置した撹拌槽に投入し、ここに重合性単量体組成物を添加し、撹拌することによりこれを分散させ、重合性単量体組成物の液滴を形成する。続いて、重合性単量体組成物の液滴中の重合性単量体を重合し、結着樹脂が生成されコア粒子を得る。
【0065】
溶解懸濁法においてコア粒子を得る場合には、有機溶媒に、結着樹脂、並びに必要に応じてワックス、極性樹脂、着色剤、及び荷電制御剤等その他材料を均一に溶解又は分散して樹脂溶液を調製する。得られた樹脂溶液を水系媒体中に分散して造粒し、造粒された粒
子中に含有される有機溶媒を除去して、所望の粒径を有するコア粒子を得る。
【0066】
乳化凝集法によってコア粒子を得る場合には、まず結着樹脂の微粒子や着色剤などの材料の微粒子を、分散安定剤を含有する水系媒体中で分散混合する。水系媒体中には、界面活性剤が添加されていてもよい。その後、凝集剤を添加することによって所望のコア粒子の粒径となるまで凝集させ、その後又は凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行う。さらに必要に応じて、熱による形状制御を行って、コア粒子を得る。
【0067】
粉砕法でコア粒子を製造する場合は、結着樹脂と、必要に応じて着色剤、離型剤、及び電荷制御剤等の成分を混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕し、得られた粉砕物を分級する。その結果、所望の粒子径を有するコア粒子が得られる。
【0068】
(シェルの形成)
次に、得られたコア粒子の表面にシェルを形成する。以下、シェルの形成方法の好適な例について説明する。
pHを調整した水系媒体に、コア粒子と、シェルを形成する樹脂微粒子の分散液を添加する。
樹脂微粒子は水系媒体中でコア粒子の表面に付着する。コア粒子の表面に樹脂微粒子を均一に付着させるためには、樹脂微粒子を含む水系媒体中に、コア粒子を高度に分散させることが好ましい。そのためには、界面活性剤の添加や、攪拌力の強化が有効である。
【0069】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。
具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルのようなアニオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンのようなアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムのような四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体のようなノニオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムベタインのような両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
なお、シェルを形成する樹脂微粒子の添加量は、コア粒子が露出する所望の被覆率となるように、適宜調整した量を添加する。
続けて、コア粒子と樹脂微粒子を含む水系媒体を攪拌しながら、0.1℃/分以上3℃/分以下の速度で、50℃以上85℃以下の温度まで昇温する。
【0071】
さらに、シェルの形成を良好に進行させるために、30分以上8時間以下の保持時間を設けることが好ましい。
水系媒体の温度を高温に保持している間に、コア粒子の表面に樹脂微粒子の固定化、又は溶融による膜化が進行する。
シェルの形成は、樹脂微粒子が2次元的に連なった粒状感のある形態であっても、溶解により膜状の形態であってもどちらも適用可能である。また、樹脂微粒子の付着状態は、コア粒子の溶融による付着であっても、樹脂微粒子の溶融による付着であっても、どちらも適用可能である。
【0072】
続けて、コアシェル粒子の分散液を中和した後、常温まで冷却する。
冷却したコアシェル粒子の分散液は、ろ過と洗浄を行った後乾燥して、コア粒子が一部露出したコアシェル構造を有するトナー粒子が得られる。
【0073】
シェルの形成方法として、乾式で行う別の例を説明する。
コア粒子と、樹脂微粒子を、混合機(例えばFMミキサー(日本コークス工業株式会社製))を用いて混合して、トナーコア粒子の表面に樹脂微粒子を付着させてシェルを形成することができる。
さらに必要に応じて、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)等を用いて、シェルの表面処理を行うこともできる。
【0074】
[トナーの製造方法]
トナー粒子に、上記シリカ粒子と必要に応じてその他外添剤を添加してトナーを得ることができる。
外添装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー(カワタ社製)、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリタイザー(奈良機械製作所社製)、ナウターミキサー、メカノハイブリッドなどを用いることができる。
【0075】
トナーは、一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15μm以上100μm以下のものが好ましく、25μm以上80μm以下のものがより好ましい。
【0076】
以下、各種物性の測定方法について説明する。
シリカ粒子が外添されたトナーから、シリカ粒子やトナー粒子の物性を測定する場合は、トナーからシリカ粒子や他の外添剤を分離して測定することができる。
トナーをメタノールに超音波分散させてシリカ粒子や他の外添剤を分離して、24時間静置する。沈降したトナー粒子と上澄み液に分散したシリカ粒子や他の外添剤とを分離、回収し、十分に洗浄・乾燥させることで、トナー粒子を単離することができる。また、上澄み液を、遠心分離法を利用して、繰り返し遠心分離を行うことで、シリカ粒子とその他の外添剤を単離することができる。
【0077】
<シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径>
シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡「JEM-2800」(日本電子株式会社)を用いて行う。シリカ微粒子が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個のシリカ粒子の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、シリカ粒子の大きさによって適宜調整する。
なお、トナーの外添剤から、シリカ粒子を区別する方法としては、STEM-EDS測定より行うことができる。測定条件は以下の通りである。
JEM2800型透過電子顕微鏡:加速電圧200kV
EDS検出器:JED-2300T(日本電子、素子面積100mm2)
EDSアナライザー:Noran System7(サーモフィッシャーサイエンティフ
ィック社)
X線保存レート:10000~15000cps
デッドタイム:20%~30%になるよう電子線量を調整し、EDS分析(積算回数100回or測定時間5min)を実施。
【0078】
<シリカ粒子の疎水化度>
シリカ粒子の疎水化度は、粉体濡れ性試験機「WET-100P」(レスカ社製)によって測定する。
直径5cm及び厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に、フッ素樹脂コーティングされた長さ25mm及び最大胴径8mmの紡錘型回転子を入れる。上記円筒型ガラス容器中にメタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mlを入れた後、シリカ粒子0.5gを添加し、粉体濡れ性試験機にセットする。
マグネティックスターラーを用いて、回転数3.3回/秒で撹拌しながら、上記粉体濡れ性試験機を通して、メタノールを0.8mL/分の速度で液中に添加する。波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%に達した時のメタノールの体積百分率(=(メタノールの体積/混合物の体積)×100)により表される値を疎水化度とする。試料の疎水化度に応じて、最初のメタノールと水の体積比率は適宜調整する。
【0079】
<シリカ粒子の平均細孔径及び全細孔容積>
シリカ粒子の平均細孔径及び全細孔容積は、細孔分布測定装置Tristar3000(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させるガス吸着法により測定する。測定方法は、島津製作所社発行の操作マニュアルに従う。
まず、試料管にサンプル約0.5gを入れ、100℃で24時間真空引きを行う。真空引きが終了した後、サンプル質量を精秤し、サンプルを得る。得られたサンプルから、上記細孔分布測定装置を用いて、BJH法により、平均細孔径及び細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲における全細孔容積を求めることができる。測定に必要な密度の値には、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定される真密度の値を用いる。
【0080】
<ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の確認、並びにトナー粒子表面の全面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積の割合>
St-Ac+PES面積率は、トナー粒子をルテニウムにより染色して、染色されたトナー粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察画像を解析することで求めることができる。
走査型電子顕微鏡は「JSM-7800F」(日本電子株式会社製)を用い、染色されたトナー粒子の反射電子像を解析した。
樹脂の種類によってルテニウムの染色されやすさが異なる。例えば、ポリエステル樹脂とスチレン-アクリル系樹脂とでは、ルテニウム染色の進行速度が大きく異なる。このため、得られたトナー粒子表面の反射電子像においては、ポリエステル樹脂で形成されている面スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面との間に輝度の差が生じ、ポリエステル樹脂で形成されている面及びスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の各々を認識することが可能になる。
【0081】
画像解析は、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、各画素の輝度値に基づく2値化処理を行って、2値化画像を得る。得られた2値化画像において、トナー粒子表面におけるスチレン-アクリル系樹脂に帰属できる面の全面積(以下、面積St-Acと記載する)と、ポリエステル樹脂に帰属できる面の全面積(以下、面積PESと記載する)とを計測する。
トナー粒子表面に、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面とポリエステル樹脂で形成されている面以外のその他の樹脂で形成されている面が存在する場合は、輝度の違
いにより、その他の樹脂で形成されている面を判別することが可能である。
その場合、その他の樹脂に帰属できる輝度値の閾値を設定することで、トナー粒子表面の全面積における、その他の樹脂で形成されている面の占める面積割合を計測することができる。
【0082】
下記式より、トナー粒子表面の全面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積の割合を求める。
なお、面積割合の算出は、トナー粒子100個に対してそれぞれ行い、それらの平均値を採用する。
トナー粒子表面の全面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面が占める合計の面積割合(%)=「面積St-Ac+面積PES」/「トナー粒子表面の全面積」×100
トナー粒子表面に存在する樹脂がスチレン-アクリル系樹脂とポリエステル樹脂のみからなる場合は、トナー粒子表面の全面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面とポリエステル樹脂で形成されている面が占める合計の面積割合は100%となる。
【0083】
<スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積の割合>
上記で説明した、トナー粒子のルテニウム染色、及び染色されたトナー粒子表面の画像解析を行い、下記式よりSt-Ac面積率を求める。
なお、面積割合の算出は、トナー粒子100個に対してそれぞれ行い、それらの平均値を採用する。
スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積割合(%)=「面積St-Ac」/「面積St-Ac+面積PES」×100
【0084】
<トナー粒子の粒径の測定>
トナー粒子の粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」と、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定及び算出することができる。
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
【0085】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)
の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0086】
<酸価の測定>
樹脂等の酸価は、以下の操作により求める。酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。基本操作はJIS K0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解した。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
【0087】
<樹脂などのガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度及び融解ピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂などの試料3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30~180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30~100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、以下の処方において部数は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0089】
<シリカ粒子1の製造例>
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール500部、10質量%アンモニア水を用いてpHを8.3に調整した水70部を添加して混合し、触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を40℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)100部と1.0質量%アンモニア水20部とを、同時に60分かけて滴下して、親水性のシリカ粒子分散液を得た。
その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR-ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮してシリカ粒子分散液を得た。
濃縮したシリカ粒子分散液250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)40部を添加し、130℃で2時間反応させた後、冷却した後、噴霧乾燥により乾燥し、シリカ粒子1を得た。得られたシリカ粒子1の物性を表1に示す。
【0090】
<シリカ粒子2の製造例>
シリカ粒子1の製造例において、触媒溶液に添加するアルカリ水溶液のpHを5.6に、触媒溶液の調整温度を30℃に変更し、滴下するTMOSと1.0質量%アンモニア水に加えてジメチルホルムアミド(DMF)20部を同時に100分かけて滴下する以外は同様の工程を行い、シリカ粒子2を得た。得られたシリカ粒子2の物性を表1に示す。
【0091】
<シリカ粒子3~9の製造例>
シリカ粒子1の製造条件の一部を表1に示す条件に変更した以外はシリカ粒子1と同様
にしてシリカ粒子3~9を作製した(なお、DMFを用いた例はシリカ粒子2と同様に作製した)。物性を表1に示す。なお、触媒溶液に添加する水のpHは、10質量%アンモ
ニア水及び10質量%塩酸を使用して調整した。
【0092】
<シリカ粒子10の製造例>
シリカ粒子1の製造例において、疎水化処理剤として添加するヘキサメチルジシラザン(HMDS)を、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)に変更する以外は同様の工程を行い、シリカ粒子10を得た。得られたシリカ粒子10の物性を表1に示す。
【0093】
<シリカ粒子11、12の製造例>
シリカ粒子1の製造条件の一部を表1に示す条件に変更した以外はシリカ粒子1と同様
にしてシリカ粒子11、12を作製した(なお、DMFを用いたシリカ粒子11はシリカ粒子2と同様に作製した)。物性を表1に示す。なお、触媒溶液に添加する水のpHは、
10質量%アンモニア水及び10質量%塩酸を使用して調整した。
【0094】
<シリカ粒子13の製造例>
個数平均粒径が12nmの未処理のヒュームドシリカ100部を反応槽に入れ、窒素雰囲気下、水2部を添加し、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)20部を加えて、200℃で1時間加熱撹拌し、メタノールを除去した後に冷却した。続いて、衝突式解砕装置を用いて解砕処理を行い、シリカ粒子13を得た。得られたシリカ粒子13の物性を表1に示す。
【0095】
<シリカ粒子14の製造例>
シリカ粒子1の製造例において、触媒溶液に添加するアルカリ水溶液のpHを6.6に、触媒溶液の調整温度を30℃に変更し、滴下するTMOSと1.0質量%アンモニア水に加えてホルムアルデヒド30部を同時に30分かけて滴下し、疎水化処理剤のヘキサメチルジシラザン(HMDS)を3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)に変更する以外は同様の工程を行い、シリカ粒子14を得た。得られたシリカ粒子14の物性を表1に示す。
【0096】
【表1】
表中の略称は、以下の通り。
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
APTMS:3-アミノプロピルトリメトキシシラン
【0097】
<ポリエステル樹脂1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、テレフタル酸 47モル部、フマル酸 35モル部、ドデセニルコハク酸 15モル部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物 60モル部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物 40モル部を入れた後、触媒としてジブチル錫オキサイドをモノマー総量100部に対して0.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃到達時に無水トリメリット酸 1モル部を加え、反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
【0098】
<ポリエステル樹脂2、3の製造>
ポリエステル樹脂1の製造例に記載のモノマー組成を表2に記載のモノマー組成に変更する以外は同様に行いポリエステル樹脂2、3を得た。物性を表2に示す。
【0099】
<スチレン-アクリル樹脂1の製造>
還流冷却管、撹拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、キシレン100.0部、スチレン80.0部、n-ブチルアクリレート20.0部、ヘキサンジオールジアクリレート0.3部及びパーブチルO(10時間半減期温度72.1℃(日本油脂製))
2.0部を加え、80℃に加熱して6時間攪拌した。
さらに、100℃に加熱して6時間溶媒を留去させてコア樹脂用のスチレン-アクリル樹脂1を得た。得られたスチレン-アクリル樹脂1のガラス転移点Tgは60℃であった。
【0100】
<スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1の製造>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物: 500部
・テレフタル酸: 154部
・フマル酸: 45部
・ジブチル錫オキサイド: 3部
還流冷却管、撹拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、上記材料を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行い、さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却した。
次に、温度160℃の状態でアクリル酸10部を投入、混合させて20分間保持した後、下記化合物の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。
・スチレン: 315部
・n-ブチルアクリレート: 65部
・重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド): 9部
温度160℃を維持した状態で1時間の付加重合反応を行った後、200℃に昇温させ、10kPaで1時間保持して、スチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が35質量%のスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1を作製した。
得られたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1のガラス転移点Tgは60℃であった。
【0101】
【表2】
表中の略称は、以下の通り。
BPA-PO:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物
BPA-EO:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物
【0102】
<コア粒子1の製造>
ポリエステル樹脂1: 100部と、炭化水素ワックスHNP-9(日油精蝋社製、融点74℃)5部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)5部とを、FMミキサー(日本コークス工業(株)社製)を用いて回転速度2500rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機((株)池貝社製「PCM-30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、ターボミル(フロイント・ターボ(株)社製)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業(株)社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子1が得られた。
【0103】
<コア粒子2の製造>
コア粒子1の製造において、添加するポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2に変更する以外は同様にして、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子2を得た。
【0104】
<コア粒子3の製造>
コア粒子1の製造において、添加するポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂3に変更する以外は同様にして、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子3を得た。
【0105】
<コア粒子4の製造>
コア粒子1の製造において、添加するポリエステル樹脂1をスチレン-アクリル樹脂1に変更する以外は同様にして、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子4を得た。
【0106】
<コア粒子5の製造>
乳化重合凝集法により、コア粒子5の分散液を調整した。
(ポリエステル粒子分散液の調製)
・ポリエステル樹脂1 200.0部
・イオン交換水 500.0部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部とイオン交換水297.0部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル粒子分散液を得た。
このポリエステル粒子分散液の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるポリエステル粒子分散液の個数平均粒径は、0.25μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0107】
(ワックス粒子分散液の調製)
・イオン交換水 500.0部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:80℃)
250.0部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1N炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくする。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0質量部とイオン交換水245.0質量部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散を行った。このワックス粒子分散液に含まれるワックス粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるワックス粒子の個数平均粒径は、0.35μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0108】
(着色剤粒子分散液の調製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 100.0部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5.0部
・イオン交換水 400.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液に含まれる着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の個数平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0109】
(コア粒子分散液の製造)
・ポリエステル粒子分散液 500.0部
・着色剤粒子分散液 50.0部
・ワックス粒子分散液 50.0部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5.0部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂粒子分散液1、ワックス粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに着色剤粒子分散液を均一に混合しておき、これを撹拌しながら反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を固形分として0.5部、滴下し凝集粒子を形成させた。
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。
その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて40℃になるまで冷却を行い、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子5の分散液を得た。
【0110】
<コア粒子6の製造>
溶解懸濁法により、コア粒子6の分散液を調整した。
・ポリエステル樹脂1 100.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン) 5.0部
・エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル:融点72℃) 15.0部
・メチルエチルケトン 100.0部
・酢酸エチル 100.0部
上記材料を、アトライター(三井金属社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得
た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水300.0部にリン酸三カルシウム1.8部
を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。
その後、TK式ホモミキサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して分散液から溶剤を除去し、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子6の分散液を調製した。
【0111】
<コア粒子7の製造>
コア粒子1の製造において、添加するワックスや着色剤に加えて荷電制御剤 BONTRON P-51(オリヱント化学工業(株)社製)0.7部を添加する以外は同様にして、重量平均粒径(D4)が6μmのコア粒子7を得た。
【0112】
<シェル用樹脂粒子1の調製>
攪拌装置、還流冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えたガラス製の容器をウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水500部と、アニオン性界面活性剤 ネオゲ
ンRK(第一工業製薬(株)社製)28.3部とを入れた。その後、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ3時間かけて滴下した。
第1の液は、スチレン84部と、アクリル酸ブチル16部との混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、シェル用樹脂粒子1を含む分散液が得られた。得られたシェル用樹脂粒子1は、一次粒子の個数平均粒径は50nm、Tgは70℃であった。
【0113】
<シェル用樹脂粒子2の調製>
シェル用樹脂粒子1の調整において、アニオン性界面活性剤 ネオゲンRK(第一工業製薬(株)社製)の添加量を16.7部に変更し、第1の液として添加するモノマー組成を、スチレン73.5部、アクリル酸ブチル24.5部、アクリル酸2部に変更する以外は同様にして、シェル用樹脂粒子2を含む分散液を得た。得られたシェル用樹脂粒子2は、一次粒子の個数平均粒径が72nm、Tgが61℃であった。
【0114】
<シェル用樹脂粒子3、4の調製>
シェル用樹脂粒子1の調整において、アニオン性界面活性剤 ネオゲンRK(第一工業製薬(株)社製)の添加量と、モノマー組成を表3に示す量に変更する以外は同様にして、シェル用樹脂粒子3、4を含む分散液を得た。得られたシェル用樹脂粒子3、4の物性を表3に示す。
【0115】
<シェル用樹脂粒子5の調製>
・ポリエステル樹脂1 200部
・イオン交換水 500部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部とイオン交換水297部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
このポリエステル樹脂粒子分散液の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるポリエステル樹脂粒子の個数平均粒径は24
0nmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0116】
<シェル用樹脂粒子6の調製>
シェル用樹脂粒子5の調整において、添加するポリエステル樹脂1をスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1に変更する以外は同様にして、シェル用樹脂微粒子分散液6を得た。得られたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂粒子の個数平均粒径は250nmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0117】
【表3】
表中の略称は、以下の通り。
St:スチレン
BA:n-ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2-HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
【0118】
<トナー1の製造>
(コアシェル粒子の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。そして、フラスコ内にイオン交換水100部を入れて、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に10質量%塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内に、先に調整したシェル用樹脂粒子1を含む分散液を、固形分が1.00部となる量を添加した。続けて、前述の手順で作製したコア粒子1: 100部をフラスコ内に添加し、フラスコ内容物を十分攪拌した。その結果、フラスコ内にコア粒子1とシェル用樹脂粒子1の分散液が得られた。
フラスコ内にイオン交換水100部を追加し、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら1.0℃/分の速度で50℃まで昇温させた。
フラスコ内の温度が50℃になった時点で、アニオン性界面活性剤 ネオゲンRK(第
一工業製薬(株)社製) 0.5部を加え、続けて炭酸水素ナトリウムを加えてpHを7に調整した。
さらに、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら1.0℃/分の速度で85℃になるまでフラスコ内容物の昇温を続け、85℃で2時間保持した。その後、フラスコ内容物を室温まで冷却してトナー粒子1を含む分散液が得られた。
得られたトナー粒子1を含む分散液のろ過(固液分離)を行い、イオン交換水を用いて
再分散とろ過を繰り返して洗浄した。その後、フラッシュジェットドライヤーを用いて乾燥を行い、トナー粒子1が得られた。
トナー粒子1は、コア粒子の一部が露出したコアシェル構造を有しており、トナー粒子表面はポリエステル樹脂で形成されている面とスチレン-アクリル樹脂で形成されている面よりなっていた。
トナー粒子1のトナー粒子表面の全面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計の面積割合は100(面積%)であり、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計の面積のうちスチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積割合は60(面積%)であった。
【0119】
(外添工程)
得られたトナー粒子1: 100.0部に対して、シリカ粒子1: 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM-10型)で混合して、ネガ帯電性を示すトナー1を得た。物性を、表4に示す。
【0120】
<トナー2の製造>
トナー1の製造において、シェル用樹脂粒子1を含む分散液の添加量を固形分が0.75部となる量に変更し、(外添工程)で添加するシリカ粒子1をシリカ粒子2に変更する以外は同様にして、ネガ帯電性を示すトナー2を作製した。なお、トナー粒子2のSt-Ac+PES面積率は100(面積%)であり、St-Ac面積率は50(面積%)であった。物性を表4に示す。
【0121】
<トナー3~17、20~25の製造>
トナー1の製造において、添加するコア粒子とシェル用樹脂粒子の種類と添加量と、外添工程で添加するシリカ粒子を表4に示すものに変更する以外は同様にして、トナー3~17及びトナー20~25を作製した。物性を表4に示す。
なお、トナー15及び16の製造で添加するコア粒子5及び6の分散液の添加量は、固形分が100部となる量を添加した。
【0122】
<トナー18の製造>
トナー1の製造において、シェル用樹脂粒子1を含む分散液の添加時に、メチロールメラミン水溶液(昭和電工(株)社製 ミルベンレジンSM-607)0.084部を更に加える以外は同様にして、ポジ帯電性を示すトナー18を作製した。
なお、トナー粒子18のSt-Ac+PES面積率は90(面積%)であり、St-Ac面積率は60(面積%)であった。物性を表4に示す。
【0123】
<トナー19の製造>
トナー18の製造において、メチロールメラミン水溶液(昭和電工(株)社製 ミルベンレジンSM-607)の添加量を0.140部に変更する以外は同様にして、ポジ帯電性を示すトナー19を作製した。
なお、トナー粒子19のSt-Ac+PES面積率は88(面積%)、St-Ac面積率は60(面積%)であった。物性を表4に示す。
【0124】
【0125】
表中、PESはポリエステル樹脂を、St-Acはスチレンアクリル系樹脂を、St-Ac変性PESはスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を示す。
St-Ac+PES面積率:トナー粒子表面の全面積のうち、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計面積の割合
St-Ac面積率:トナー粒子表面において、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面及びポリエステル樹脂で形成されている面の合計の面積のうち、スチレン-アクリル系樹脂で形成されている面の面積の割合
【0126】
<画像評価>
画像形成装置として、ヒューレットパッカード製のカラーレーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise Color M652n)を用い、プロセススピードが300mm/secとなるように改造を施した。カートリッジとして、HP 656X純正LaserJetトナーカートリッジ(シアン)を用いた。カートリッジ内部から製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価するトナーを300g充填した。
詰め替えたトナーカートリッジを、シアンステーションに装着し、他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、下記の画像出力試験を実施した。なお、ポジトナー(トナー17~19、24、25)の評価は、正帯電性トナーの現像が可能になるよう、各
種電位設定を変更して同様に評価した。
【0127】
<トナーの帯電量の測定>
画像出力試験の結果とトナー帯電量の関係を確認するため、下記各耐久試験前後の現像容器内のトナーを抜き取り、以下の方法でトナー帯電量の測定を行った。
50mLポリエチレン容器に帯電量測定用キャリア(F81-2535 パウダーテック社製)を9.4g秤量する。次に、測定するトナーを0.6g前述のキャリアの入ったポリエチレン容器に秤量し、キャップを閉める。次に、振とう器(Model-YS-LD:(株)ヤヨイ製)に上記容器をセットし、150回/分の振とう条件で2分間振とうする。
その後1分以内に、
図1に示す、底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に前記の振とう済試料約0.4gを入れ金属製のフタ4をする。この時の測定容器2全体の質量を測定し、その値をW1(g)とする。次に、この時点での電位計9の電位を0V(ボルト)とする。
次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調整して10秒以内に真空計5の圧力を2.5kPa(±0.1kPa)とする。なお、W1を測定してから吸引開始までの時間は30秒以内とする。その後3分間吸引し、トナー粒子を吸引除去する。この時の電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。
次に、吸引後の測定容器全体の質量を秤り、このときの値をW2(g)とする。この試料のトナー帯電量(mC/kg)は下式で算出される。
帯電量(mC/kg)=C×V/(W1-W2)
帯電量は、後述する低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH:LL環境)、高温高湿環境下(温度30℃/湿度80%RH:HH環境)及び常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH:NN環境)での耐久試験前後の現像容器内のトナーを抜き取ったものを測定サンプルとし、測定した。
なお、正帯電性トナーの評価は、帯電量測定用キャリアを(F81-2535 パウダーテック社製)から(F-150 パウダーテック社製)に変更する以外は同様にして測定を行った。
【0128】
〔ハーフトーン画像再現性〕
低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、印字率が1%となる画像を2枚出力する毎に一旦停止させる間欠動作を繰り返して、計30000枚のプリントアウト試験を行った。
プリントアウト試験の終了後に、30hと80hとC0hのオリジナルハーフトーン画像を出力して、各画像を目視にて観察し、ドットの再現性を以下の基準で評価した。
なお、ハーフトーン画像における30hとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)となる制御をかけた画像を示す。
A:全てのハーフトーン画像のドットが精度良く再現できており、ムラの無い均一な画像レベル。
B:一部のハーフトーン画像でわずかなドットの乱れが確認されるが、濃度ムラは気にならないレベル。
C:一部のハーフトーン画像でドットの乱れが確認され、濃度のムラが見られるが、実用画像上ではムラが目立たないレベル。
D:全てのハーフトーン画像でドットの再現性が悪く、ガサつきやムラが発生するレベル。
【0129】
〔カブリ評価〕
高温高湿環境下(温度30℃/湿度80%RH)において、印字率が1%となる画像を
2枚出力する毎に一旦停止させる間欠動作を繰り返して、計30000枚のプリントアウト試験を行った。
プリントアウト試験終了後、ベタ白画像を出力して、ベタ白画像の反射率(%)をREFLECTOMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)で測定した。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準グロス紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて評価した。
数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。べた白画像の出力は、グロス紙モードで、グロス紙(HP Brochure Paper 200g , Glossy、HP社製、200g/m2)を用いて行った。
(評価基準)
A:差し引いた数値が0.5%未満
B:差し引いた数値が0.5%以上1.5%未満
C:差し引いた数値が1.5%以上3.0%未満
D:差し引いた数値が3.0%以上
【0130】
〔画像濃度及び画像濃度安定性〕
常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)において、印字率が1%となる画像を5000枚連続で出力した後、印字率が25%となる高印字率画像を5000枚連続で出力して、計10000枚のプリントアウト試験を行った。
プリントアウト試験の初期及び終了後の各タイミングで、20mm四方のベタ黒画像が紙面の4隅と中央に印字されたサンプル画像をGF-C081(キヤノンマーケティングジャパン社製、81.4g/m2)に出力しした。X-Rite 500シリーズ(ビデ
オジェット・エックスライト(株)製)を用いて反射濃度の測定を行い、5点の画像濃度の平均値を算出した。
画像濃度の評価基準は以下のとおりである。
A:初期画像濃度と耐久後画像濃度の両方が1.40±0.10未満
B:初期画像濃度と耐久後画像濃度の両方が1.40±0.10以上0.15未満
C:初期画像濃度と耐久後画像濃度の両方が1.40±0.15以上0.20未満
D:初期画像濃度と耐久後画像濃度の両方が1.40±0.20以上
画像濃度安定性の評価基準は以下のとおりである。
A:初期画像濃度と耐久後画像濃度の絶対差が0.10未満
B:初期画像濃度と耐久後画像濃度の絶対差が0.10以上0.15未満
C:初期画像濃度と耐久後画像濃度の絶対差が0.15以上0.20未満
D:初期画像濃度と耐久後画像濃度の絶対差が0.20以上
【0131】
実施例1~19では、トナーとして、トナー1~19をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。尚、実施例10及び12は参考例として上記評価を行った。
【0132】
〔比較例1~6〕
比較例1~6では、トナーとしてトナー20~25をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。
【0133】