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特許7551427食用花栽培工場の制御方法及び食用花栽培工場
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】食用花栽培工場の制御方法及び食用花栽培工場
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240909BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20240909BHJP
   A01G 22/60 20180101ALI20240909BHJP
【FI】
A01G9/24 J
A01G9/20 B
A01G9/24 A
A01G22/60
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162114
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054865
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】中島 広志
(72)【発明者】
【氏名】冨貴 丈宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玄太
(72)【発明者】
【氏名】長幡 逸佳
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-282526(JP,A)
【文献】特開2013-153691(JP,A)
【文献】特開2014-103856(JP,A)
【文献】実開昭58-113344(JP,U)
【文献】特開2019-154274(JP,A)
【文献】特開昭63-119631(JP,A)
【文献】特開2016-140304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14- 9/26
A01G 22/00-22/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用花栽培工場の屋根に設けられた開放しない天窓と、前記天窓の内側を覆うことができる遮熱カーテン及び前記天窓の外側を覆うことができる断熱シャッターと、前記食用花栽培工場の室内温度を調整する空調設備と、を備える前記食用花栽培工場の制御方法であって、
前記遮熱カーテンは、前記断熱シャッターより日光を透過し、かつ、前記断熱シャッターより断熱性能が低く、
前記遮熱カーテンは、波長が400μm~700μmの日光を透過し、かつ、波長が700μmを超える日光を遮断し、
第1温度が食用花の栽培に適した温度範囲の下限に対応し、第2温度が食用花の栽培に適した温度範囲の上限に対応し、第3温度が前記第2温度よりも高く、かつ、前記空調設備により冷却する必要が生じる温度に対応し、
前記食用花栽培工場の外の気温及び日射量に基づいて、前記食用花栽培工場の所定時間後の室内温度を予測し、
予測された前記室内温度が前記第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により室内の空気を温め、
予測された前記室内温度が前記第1温度以上前記第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高い前記第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により前記室内の空気を冷却することを特徴とする、食用花栽培工場の制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記食用花栽培工場は、室内に複数配置された栽培棚と、前記栽培棚ごとに高さ方向に複数段設けられた棚板と、前記棚板ごとに対応して設けられた光量子計及び照明と、をさ
らに備え、
前記光量子計の測定結果に基づいて当該光量子計に対応する前記照明を調光することを特徴とする、食用花栽培工場の制御方法。
【請求項3】
食用花栽培工場の屋根に設けられた開放しない天窓と、前記天窓の内側を覆うことができる遮熱カーテン及び前記天窓の外側を覆うことができる断熱シャッターと、前記遮熱カーテンを開閉するカーテン駆動装置と、前記断熱シャッターを開閉するシャッター駆動装置と、前記カーテン駆動装置及び前記シャッター駆動装置の動作を制御する制御装置と、屋外の気温を測定する温度計と、屋外の日射量を測定する日射計と、前記食用花栽培工場の室内温度を調整する空調設備と、を備え、
前記遮熱カーテンは、前記断熱シャッターより日光を透過し、かつ、前記断熱シャッターより断熱性能が低く、
前記遮熱カーテンは、波長が400μm~700μmの日光を透過し、かつ、波長が700μmを超える日光を遮断し、
第1温度が食用花の栽培に適した温度範囲の下限に対応し、第2温度が食用花の栽培に適した温度範囲の上限に対応し、第3温度が前記第2温度よりも高く、かつ、前記空調設備により冷却する必要が生じる温度に対応し、
前記制御装置は、前記温度計及び前記日射計の測定結果に基づいて所定時間後の前記食用花栽培工場の室内温度を予測し、かつ、前記カーテン駆動装置及び/または前記シャッター駆動装置を動作させることにより、
予測された前記室内温度が前記第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により室内の空気を温め、
予測された前記室内温度が前記第1温度以上前記第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高い前記第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により前記室内の空気を冷却することを特徴とする、食用花栽培工場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用花を閉鎖系の植物工場で栽培する食用花栽培工場の制御方法及び食用花栽培工場に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、野菜や果物などを植物工場で栽培し、例えばいちごの安定した生産が実現している。植物工場は、閉鎖系または準開放系の空間において光、温度、湿度等の環境条件を人工的に制御することにより、季節や気候の影響を小さくして安定的な植物の栽培が可能である。植物工場には、人工光のみを利用する完全人工光型植物工場と自然採光を利用する太陽光利用型植物工場がある。
【0003】
完全人工光型植物工場は、閉鎖系が一般的であり、天候に関わらず最適な条件で植物栽培が可能であり、また、害虫などの侵入防止が容易なため無農薬栽培が可能である。一方で、完全人工光型植物工場は、温度調節や照明等によりエネルギーコストが大きいというデメリットがある。
【0004】
太陽光利用型植物工場は、準開放系が一般的であり、透明なフィルムやガラスを利用したいわゆるハウス栽培に代表される簡易な構造を採用するため設備コストが低く、太陽光を利用することによりイニシャルコスト及びエネルギーコストの低減が可能である。一方で、太陽光利用型植物工場は、環境制御や防虫対策に限界があるため、通年栽培や無農薬栽培は困難である。特に、食用花の栽培には無農薬栽培が要求されるため、準開放系の太陽光利用型植物工場を食用花の栽培には利用できないデメリットがある。
【0005】
閉鎖系かつ太陽光利用型の栽培施設はあまり例がないが、閉鎖空間太陽光式水耕栽培槽装置が提案されている(特許文献1)。閉鎖空間太陽光式水耕栽培槽装置は、ビニルハウスの中にチャンバー式の閉鎖空間栽培槽を設置して、その栽培槽の上の無段階遮光ネットにより太陽光の入射を制限する。これにより、栽培槽の温度や養液の温度制御にかかるエネルギーコストを下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-140304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の閉鎖空間太陽光式水耕栽培槽装置は、葉物野菜に適した装置であって、苗を植える発泡スチロール製のパレットを自動で移動させるため、株から継続的に花の収穫を行う食用花の栽培には採用できない。
【0008】
そこで、本発明は、食用花の栽培に適した閉鎖系の食用花栽培工場の制御方法及び食用花栽培工場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[1]本発明に係る食用花栽培工場の制御方法の一態様は、
食用花栽培工場の屋根に設けられた開放しない天窓と、前記天窓の内側を覆うことができる遮熱カーテン及び前記天窓の外側を覆うことができる断熱シャッターと、前記食用花栽培工場の室内温度を調整する空調設備と、を備える前記食用花栽培工場の制御方法であって、
前記遮熱カーテンは、前記断熱シャッターより日光を透過し、かつ、前記断熱シャッターより断熱性能が低く、
前記遮熱カーテンは、波長が400μm~700μmの日光を透過し、かつ、波長が700μmを超える日光を遮断し、
第1温度が食用花の栽培に適した温度範囲の下限に対応し、第2温度が食用花の栽培に適した温度範囲の上限に対応し、第3温度が前記第2温度よりも高く、かつ、前記空調設備により冷却する必要が生じる温度に対応し、
前記食用花栽培工場の外の気温及び日射量に基づいて、前記食用花栽培工場の所定時間後の室内温度を予測し、
予測された前記室内温度が前記第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により室内の空気を温め、
予測された前記室内温度が前記第1温度以上前記第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高い前記第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により前記室内の空気を冷却することを特徴とする。
【0011】
[2]前記食用花栽培工場の制御方法の一態様において、
前記食用花栽培工場は、室内に複数配置された栽培棚と、前記栽培棚ごとに高さ方向に複数段設けられた棚板と、前記棚板ごとに対応して設けられた光量子計及び照明と、をさらに備え、
前記光量子計の測定結果に基づいて当該光量子計に対応する前記照明を調光することができる。
【0014】
[3]本発明に係る食用花栽培工場の一態様は、
食用花栽培工場の屋根に設けられた開放しない天窓と、前記天窓の内側を覆うことができる遮熱カーテン及び前記天窓の外側を覆うことができる断熱シャッターと、前記遮熱カーテンを開閉するカーテン駆動装置と、前記断熱シャッターを開閉するシャッター駆動装置と、前記カーテン駆動装置及び前記シャッター駆動装置の動作を制御する制御装置と、屋外の気温を測定する温度計と、屋外の日射量を測定する日射計と、前記食用花栽培工場の室内温度を調整する空調設備と、を備え、
前記遮熱カーテンは、前記断熱シャッターより日光を透過し、かつ、前記断熱シャッターより断熱性能が低く、
前記遮熱カーテンは、波長が400μm~700μmの日光を透過し、かつ、波長が700μmを超える日光を遮断し、
第1温度が食用花の栽培に適した温度範囲の下限に対応し、第2温度が食用花の栽培に適した温度範囲の上限に対応し、第3温度が前記第2温度よりも高く、かつ、前記空調設備により冷却する必要が生じる温度に対応し、
前記制御装置は、前記温度計及び前記日射計の測定結果に基づいて所定時間後の前記食用花栽培工場の室内温度を予測し、かつ、前記カーテン駆動装置及び/または前記シャッター駆動装置を動作させることにより、
予測された前記室内温度が前記第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により室内の空気を温め、
予測された前記室内温度が前記第1温度以上前記第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第2温度より高い前記第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開すると共に前記空調設備を停止し、
予測された前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉すると共に前記空調設備により前記室内の空気を冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る食用花栽培工場の制御方法の一態様及び食用花栽培工場の一態様によれば、閉鎖系の植物工場でありながら、太陽光を利用して食用花を栽培することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る食用花栽培工場の断面を模式的に示す図である。
図2】本実施形態に係る食用花栽培工場の制御装置の概要を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る食用花栽培工場の制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0018】
本発明の一実施形態に係る食用花栽培工場の制御方法は、食用花栽培工場の屋根に設けられた天窓と、前記天窓を覆うことができる遮熱カーテン及び断熱シャッターと、を備える前記食用花栽培工場の制御方法であって、前記食用花栽培工場の外の気温及び日射量に基づいて、前記食用花栽培工場の所定時間後の室内温度を予測し、前記室内温度が第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉し、前記室内温度が前記第1温度以上第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉し、前記第2温度より高い第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開し、前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係る食用花栽培工場は、屋根に設けられた天窓と、前記天窓を覆うことができる遮熱カーテン及び断熱シャッターと、前記遮熱カーテンを開閉するカーテン駆動装置と、前記断熱シャッターを開閉するシャッター駆動装置と、前記カーテン駆動装置及び前記シャッター駆動装置の動作を制御する制御装置と、屋外の気温を測定する温度計と、屋外の日射量を測定する日射計と、を備え、前記制御装置は、前記温度計及び前記日射計の測定結果に基づいて所定時間後の食用花栽培工場の室内温度を予測し、かつ、前記カーテン駆動装置及び/または前記シャッター駆動装置を動作させることにより、前記室内温度が第1温度より低いと前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全閉し、前記室内温度が前記第1温度以上第2温度以下であると前記遮熱カーテン及び前記断熱シャッターを全開し、前記室内温度が前記第2温度より高いと前記遮熱カーテンを全閉し、前記室内温度が前記第2温度より高い第3温度以下であると前記断熱シャッターを全開し、前記室内温度が前記第3温度より高いと前記断熱シャッターを全閉することを特徴とする。
【0020】
1.食用花栽培工場
図1及び図2を用いて、本実施形態に係る食用花栽培工場10について説明する。図1は、本実施形態に係る食用花栽培工場10の断面を模式的に示す図であり、図2は、本実施形態に係る食用花栽培工場10の制御装置20の概要を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、食用花栽培工場10は、屋根12に設けられた複数の天窓14と、天窓14を覆うことができる遮熱カーテン16及び断熱シャッター18と、屋外の気温を測定する室外温度計22と、屋外の日射量を測定する室外日射計24と、を備える。食用花栽培工場10は、遮熱カーテン16を開閉するカーテン駆動装置160と、断熱シャッ
ター18を開閉するシャッター駆動装置180と、カーテン駆動装置160及びシャッター駆動装置180の動作を制御する制御装置20と、をさらに備える。食用花栽培工場10は、窓の開閉を行わない閉鎖系の植物工場である。
【0022】
食用花栽培工場10は、室内に複数配置された栽培棚30と、栽培棚30ごとに高さ方向に複数段設けられた棚板31と、棚板31ごとに対応して設けられた室内光量子計34及び照明28と、をさらに備える。栽培棚30は、各棚板31に複数の食用花36が設置されて栽培される。各栽培棚30は、棚板31が高さ方向に所定の間隔を空けて複数段例えば5段設けられる。各棚板31に対応する位置、例えば棚板31の下面には、下段に設置された食用花36に光を照射する照明28が取り付けられる。食用花栽培工場10は、室内に、空調設備26と、室内温度を計測する室内温度計32と、をさらに備える。
【0023】
食用花36は、トマトやパプリカなどの果菜類と比較して、光要求量が少ない品種が多く、栽培可能な温度範囲も比較的広い反面、無農薬栽培が要求される。これに対し、本実施形態に係る食用花栽培工場10は、窓の開閉を行わない閉鎖系の工場であるため、防虫対策が比較的容易であり、無農薬栽培が要求される食用花36の栽培に有利である。
【0024】
天窓14は、屋根12に設けられた複数の開口を塞ぐ透明な板がはめ込まれた窓である。透明な板は、例えばガラス板やプラスチック板であり、天窓14から室内へ太陽光を取り込むことができる。天窓14から太陽光を取り入れることにより照明28による電気代を削減できる。また、照明28の稼働率を下げることができるので、照明28の劣化を防止し、部品や本体の交換頻度を減らすことができる。天窓14は屋根12の他の部分に比べて断熱性能に劣るため、室内は天窓14を介して外気温の影響を受ける。天窓14を利用して外気温に室内温度を近づけることができるので、空調が不要となる時間が長くなり、電気代の削減と空調設備26の部品交換や本体の入れ替えを減らすことができる。
【0025】
遮熱カーテン16は、開閉可能であって、閉じた状態で天窓14の例えば内側を覆うことができる。遮熱カーテン16は、天窓14と同じか、または天窓14より大きい面積を有する布状またはフィルム状の形態を有する。遮熱カーテン16の材質は、熱抵抗の高い公知の耐熱材料を採用できる。遮熱カーテン16は、後述する断熱シャッター18より日光を透過し、かつ、断熱シャッター18より断熱性能が低い。遮熱カーテン16が日光を透過しやすい材質で形成されることで、外気温の影響を下げながらも室内に採光を得ることができる。遮熱カーテン16は、食用花36の栽培にとって有用な波長である400μm~700μmの光を透過し、温度上昇に寄与する700μmを超える光を遮断することが好ましい。特に、食用花36の栽培に有効な430μm~490μmの青色光と640μm~700μmの赤色光を効率よく透過することが好ましい。
【0026】
遮熱カーテン16は例えば巻き上げ式のロールスクリーンとすることができ、カーテン駆動装置160の動作によって遮熱カーテン16を開閉する。カーテン駆動装置160は、遮熱カーテン16を巻き取るシャフトを回転する図示しない電動モーターを備える。カーテン駆動装置160は、制御装置20からの出力信号により遮熱カーテン16を開閉する。遮熱カーテン16は、全開状態で天窓14からの採光を遮らず、全閉状態で天窓14の内側を覆うように開閉動作することができれば、他の開閉形式であってもよく、手動であってもよい。
【0027】
断熱シャッター18は、開閉可能であって、閉じた状態で天窓14の例えば外側を覆うことができる。断熱シャッター18は、スラットを複数連結して構成され、天窓14と同じまたは天窓14より大きい面積を有する。断熱シャッター18は、公知の材質により構成される。各スラットは、例えば、金属製の板材と、金属製の板材の内側面または2枚の金属製の板材に挟まれるように断熱材と、を備える。断熱シャッター18は、断熱性能が
0.8W/mK(SST-ISO/60-L/R)以上であることが好ましい。断熱シャッター18は、遮光性に優れ、例えば、日光の遮光率が100%であることが好ましい。
【0028】
断熱シャッター18は、例えば巻き取り式のシャッター駆動装置180によって開閉する。シャッター駆動装置180は、断熱シャッター18を巻き取るシャフトを回転する図示しない電動モーターを備える。シャッター駆動装置180は、制御装置20からの出力信号により断熱シャッター18を開閉する。断熱シャッター18は、全開状態で天窓14への採光を遮らず、全閉状態で天窓14の外側を覆うように動作することができれば、他の開閉形式であってもよく、手動であってもよい。
【0029】
室外温度計22は、食用花栽培工場10の外に設置され、屋外の気温を測定する。室外温度計22は、建物や樹木などの日陰を避けるため、屋根12と同じかそれより高い位置に設けられることが好ましく、例えば屋根12よりも数m高い位置が好ましい。気温は、室外温度計22の代わりに付近の天候情報を例えばインターネットを介して得てもよい。
【0030】
室外日射計24は、食用花栽培工場10の外に設置され、屋外の日射量を測定する。室外日射計24の測定値は、制御装置20に入力される。室外日射計24は、直達日射計であることが好ましく、全天日射計であってもよい。室外日射計24は、建物や樹木などの日陰を避けるため、屋根12と同じかそれより高い位置に設けられることが好ましく、例えば屋根12よりも数m高い位置が好ましい。日射量は、室外日射計24の代わりに付近の天候情報を例えばインターネットを介して得てもよい。
【0031】
室内光量子計34は、食用花栽培工場10の中に設置され、室内の光合成有効光量子束密度(以下「室内光合成有効光量子束密度」)を測定する。室内光合成有効光量子束密度は、食用花36の栽培における光合成に必要とされる400~700nmの波長に含まれる単位時間、単位面積あたりの光子数である。室内光量子計34の測定値は、制御装置20に入力される。室内光量子計34は、栽培棚30の棚板31ごとに対応して設けられる。室内光量子計34は、各棚板31上の食用花36における室内光合成有効光量子束密度が測定できる位置、例えば各棚板31下面中央から下方に垂下されて取り付けられる。
【0032】
照明28は、栽培棚30の棚板31ごとに対応して設けられ、栽培棚30で栽培される食用花36へ光を照射する。照明28は、各棚板31の上方、例えば各棚板31の下面に固定され、棚板31上にある食用花36へ効率よく光を照射できる。照明28は、例えばLED照明を採用できる。照明28は、制御装置20によってオンオフが制御される。制御装置20は、例えば、室内光量子計34の測定結果に基づいて当該室内光量子計34に対応する照明28を調光する。さらに、棚板31ごとに室内光量子計34を備えている場合には、制御装置20は、棚板31ごとに照明28を調光してもよい。
【0033】
空調設備26は、食用花栽培工場10の室内の温度(室内温度)を調整することができる。空調設備26は、制御装置20からの出力信号により制御される。室内温度は、食用花36の種類によって適温範囲が変化する。空調設備26は、遮熱カーテン16及び断熱シャッター18の開閉と共に、室内温度が食用花36の栽培に適した温度に調整できる。空調設備26は、例えばエアコンディショナーであり、暖房用のファンヒータを含んでもよい。
【0034】
空調設備26は、室内温度が第1温度より低いと室内の空気を温め、室内温度が第3温度より高いと室内の空気を冷却し、室内温度が第1温度以上第3温度以下の場合は停止する。空調設備26の稼働時間が短くなることにより、電気代が削減できると共に、部品交換や本体の入れ替えを減らすことができる。
【0035】
制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体、高速データ通信を行う通信インターフェース、及びタッチパネルやキーボードなどのユーザインターフェース、ディスプレイを備えることができる。制御装置20は、ノートパソコンやタブレット端末として構成してもよい。制御装置20は、必ずしも一台の装置により実現する必要はなく、例えばクライアントサーバ型コンピュータやクラウドコンピューティングに一部の処理機能を分散してもよい。
【0036】
図2に示すように、制御装置20は、例えば、操作部202、予測部203、判定部204、記憶部206及び制御部208を備える。操作部202は、食用花栽培工場10の管理者が室内温度等の条件を設定するための操作を行うことができる。予測部203は、制御装置20と電気的に接続された室外温度計22及び室外日射計24の計測結果に基づいて所定時間後の食用花栽培工場10の室内温度を予測する。室内温度は、室外の温度と照度に影響を受けて変化するため、室内温度を屋外の環境に応じて予測することが好ましい。判定部204は、記憶部206に保存されている第1温度、第2温度及び第3温度に基づいた温度範囲と予測された室内温度とを比較して、室内温度がいずれの温度範囲にあるかを判定する。また、判定部204は、記憶部206に保存されている栽培に適した室内光合成有効光量子束密度(例えば第1光合成有効光量子束密度)と室内光量子計34から入力した現在の室内光合成有効光量子束密度とを比較して、現在の室内光合成有効光量子束密度が栽培に適した室内光合成有効光量子束密度であるか否かを判定する。記憶部206は、プログラムや設定温度等を保存する。制御部208は、制御装置20と電気的に接続された空調設備26、照明28、カーテン駆動装置160及びシャッター駆動装置180を制御する。
【0037】
制御装置20は、室内温度計32と電気的に接続する。予測部203は、室内温度計32からの出力信号を受けて、所定時間後の実際の室内温度と予測した室内温度と比較してフィードバック制御してもよい。
【0038】
制御部208は、判定部204の判定結果に基づいて、空調設備26に指令を出力して暖房運転または冷房運転を行う。制御部208は、判定部204の判定結果に基づいて、照明28に指令を出力して光を照射し、さらに光の明るさを連続的または段階的に調節して調光する。制御部208は、判定部204の判定結果に基づいて、カーテン駆動装置160及びシャッター駆動装置180を駆動する。
【0039】
本実施形態に係る食用花栽培工場10によれば、閉鎖系の植物工場でありながら、天窓14からの太陽光を利用して食用花36を栽培することができる。また、食用花栽培工場10によれば、天窓14からの熱を遮熱カーテン16及び断熱シャッター18により適宜削減することで太陽光を利用しながらも室内の温度を食用花36の栽培に適した温度に調整しやすい。
【0040】
2.食用花栽培工場の制御方法
図1図3を用いて、食用花栽培工場10の制御方法について説明する。図3は、本実施形態に係る食用花栽培工場10の制御方法のフローチャートである。食用花栽培工場10については、重複する説明を省略する。
【0041】
S10の実行に先立って、制御装置20の操作者は、操作部202を操作して第1温度~第3温度、第1光合成有効光量子束密度、所定時間などを食用花36の品種等に合わせて設定し、記憶部206にこれらを保存する。
【0042】
S10:制御装置20は、食用花栽培工場10の室内温度TCを予測する。より具体的には、制御装置20は、例えば室外温度計22及び室外日射計24が測定した食用花栽培工場10の外の気温及び日射量に基づいて、食用花栽培工場10の所定時間後の室内温度TCを予測部203が予測する。外の気温及び日射量は、気象庁や環境情報を提供する他の機関から取得してもよく、実際の計測値に加えて予報値を用いてもよい。室内温度TCは、室外温度計22及び室外日射計24の測定時から所定時間経過後の温度であり、所定時間は5分~10分までの間で任意に設定することができ、例えば5分後の温度とすることができる。所定時間を5分とした場合には、予測部203は5分ごとに室内温度TCを予測する。予測された室内温度TC及び所定時間は、記憶部206に保存される。また、外の気温及び日射量は、測定時間例えば5分間の測定値の平均値を予測に用いてもよい。
【0043】
S12:制御装置20は、食用花栽培工場10の室内光合成有効光量子束密度Bnを取得する。室内光合成有効光量子束密度Bnは、室内光量子計34の測定値として取得することができる。
【0044】
S14:判定部204は、室内温度TCが第1温度より低いか否かを判定する。室内温度TCが第1温度より低いと判定された場合(Yes)にはS26が実行され、室内温度TCが第1温度以上と判定された場合(No)にはS16が実行される。第1温度は、あらかじめ記憶部206に保存されている温度であって、食用花36の栽培に適した温度範囲の下限に対応して設定され、S26による効果が得られるまでの遅延時間を考慮して例えば下限よりもわずかに高い温度に設定される。食用花36は、栽培に適した許容温度範囲が比較的広く寒さにも強い品種が多いため、寒い季節になっても天窓14を閉塞せずに採光を得ることによって適切な室内温度TCの上昇が期待できる。
【0045】
S16:判定部204は、室内温度TCが第2温度より高いか否かを判定する。室内温度TCが第2温度より高いと判定された場合(Yes)にはS18が実行され、室内温度TCが第2温度以下と判定された場合(No)にはS28が実行される。第2温度は、あらかじめ記憶部206に保存されている温度であって、食用花36の栽培に適した温度範囲の上限に対応して設定され、S28による効果が得られるまでの遅延時間を考慮して例えば上限よりもわずかに低い温度に設定される。
【0046】
S18:S14で室内温度TCが第1温度以上でありかつS16で室内温度TCが第2温度より高いと判定されると、制御部208によりカーテン駆動装置160を駆動して遮熱カーテン16を全閉する。遮熱カーテン16を全閉する(断熱シャッター18は全開している)ことにより、天窓14からの採光をある程度維持しながら外の気温の影響を減らすことができる。S18は、S16の判定後所定時間の経過時点に実行される。S18による効果が得られるまでの遅延時間を考慮してS18の実行は所定時間が経過するよりも早い段階で実行してもよく、後述するS22,S26,S28,S30、S32及びS34においても同様に遅延時間を考慮して実行してもよい。なお、以下の説明において「駆動する」、「停止する」、「温める」及び「冷却する」は、すでに同様の動作状態にある場合にその状態を維持することを含む。
【0047】
S20:判定部204は、S18で遮熱カーテン16が全閉しても室内温度TCが第3温度より高いか否かを判定する。室内温度TCが第3温度より高いと判定された場合(Yes)にはS22が実行され、室内温度TCが第3温度以下と判定された場合(No)にはS30が実行される。S20は、予測部203で遮熱カーテン16が全閉することにより予測される室内温度TCをシミュレーションした上で実行される。
【0048】
S22:制御装置20は、S20で室内温度TCが前記第3温度より高いと判定すると
、制御部208から指令を出力してシャッター駆動装置180を駆動して断熱シャッター18を全閉する。断熱シャッター18を全閉すると天窓14からの採光は完全に遮断されるが、断熱シャッター18の高い断熱性能により外からの熱が天窓14を通って室内へ伝わることを防止することができる。
【0049】
S24:判定部204は、室内温度TCが第3温度より高いか否かを判定する。室内温度TCが第3温度より高いと判定した場合(Yes)にはS34が実行され、室内温度TCが第3温度以下と判定した場合(No)にはS32が実行される。第3温度は、あらかじめ記憶部206に保存されている温度であって、第2温度よりも高く、かつ、空調設備26により冷却する必要が生じる温度に対応して設定される。S24は、予測部203で遮熱カーテン16及び断熱シャッター18が全閉することにより予測される室内温度TCをシミュレーションした上で実行される。
【0050】
S26:制御装置20は、S14で室内温度TCが第1温度より低いと判定すると、制御部208から指令を出力してカーテン駆動装置160及びシャッター駆動装置180を駆動して遮熱カーテン16及び断熱シャッター18を全閉する。遮熱カーテン16及び断熱シャッター18を全閉することにより、外からの熱移動を抑制することができる。さらに制御装置20は、制御部208から指令を出力して空調設備26の暖房運転により室内の空気を温める。予測部203のシミュレーションの結果、遮熱カーテン16及び断熱シャッター18を全閉することにより食用花36の栽培が可能な温度範囲を保つことが予測できる場合には、空調設備26を停止してもよい。その場合、空調設備26を稼働させる第1温度より低い第4温度をあらかじめ設定しておくことができる。
【0051】
S28:制御装置20は、S14及びS16により室内温度TCが第1温度以上第2温度以下であると判定すると、制御部208から指令を出力してカーテン駆動装置160及びシャッター駆動装置180を駆動して遮熱カーテン16及び断熱シャッター18を全開する。遮熱カーテン16及び断熱シャッター18を全開することにより、太陽光を取り入れて照明28の電力消費を削減でき、外からの熱移動により室内を温めることができる。さらに制御装置20は、制御部208から指令を出力して空調設備26を停止する。なお、空調設備26は、後述するS30及びS32のとおり、室内温度TCが第1温度以上第3温度以下の場合は停止する。
【0052】
S30:制御装置20は、S20により室内温度TCが第3温度以下であると判定すると、制御部208から指令を出力してシャッター駆動装置180を駆動して断熱シャッター18を全開する。断熱シャッター18を全開しても遮熱カーテン16が全閉した状態のままであるので、断熱シャッター18を全閉するのに比べて太陽光を取り入れることができる。さらに制御装置20は、制御部208から指令を出力して空調設備26を停止する。
【0053】
S32:制御装置20は、S24により室内温度TCが第3温度以下の場合は制御部208から指令を出力して空調設備26を停止する。S28,S30,S32では、遮熱カーテン16及び/または断熱シャッター18の開閉により、室内温度TCを適温に調整できるため空調設備26の稼働は不要である。これにより、電力消費を削減し、空調設備26の部品交換の頻度を減らすことができる。
【0054】
S34:制御装置20は、S24により室内温度TCが第3温度より高いと判定すると、制御部208から指令を出力して空調設備26の冷房運転により室内の空気を冷却する。食用花栽培工場10の室内は、空調設備26により食用花36の栽培に適する温度範囲の上限を超えないように調節される。
【0055】
S36:判定部204は、S26、S28,S30,S32またはS34を実行した後、あらかじめ設定されて記憶部206に保存されている第1光合成有効光量子束密度より室内光合成有効光量子束密度Bnが低いか否かを判定する。室内光合成有効光量子束密度Bnが第1光合成有効光量子束密度より低いと判定した場合(Yes)にはS38を実行し、室内光合成有効光量子束密度Bnが第1光合成有効光量子束密度以上であると判定した場合(No)には処理を終了する。第1光合成有効光量子束密度は、栽培されている食用花36の品種に応じてあらかじめ設定されて記憶部206に保存される。第1光合成有効光量子束密度は、食用花36の光合成に適した室内光合成有効光量子束密度の範囲に設定される。
【0056】
S38:制御装置20は、S36により室内光量子計34が第1光合成有効光量子束密度より低いと判定すると、制御部208から指令を出力して照明28を点灯させて食用花36に光を照射する。制御部208は、室内光量子計34の測定結果に基づいて当該室内光量子計34に対応する照明28を調光することができる。棚板31ごとに室内光量子計34に応じて照明28を調光することにより、栽培棚30の各段の光量子束密度に応じた光を食用花36に照射できるため、日射を取り入れても食用花36の均質な栽培が可能になる。照明28を調光するために、第1光合成有効光量子束密度より低い第2光合成有効光量子束密度等の複数の室内光合成有効光量子束密度をあらかじめ記憶部206に保存しておき、これらの設定された室内光合成有効光量子束密度に合わせて照明28を調光してもよい。
【0057】
本実施形態に係る食用花栽培工場10の制御方法によれば、閉鎖系の植物工場でありながら、太陽光を利用して食用花36を栽培することができる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0059】
10…食用花栽培工場、12…屋根、14…天窓、16…遮熱カーテン、160…カーテン駆動装置、18…断熱シャッター、180…シャッター駆動装置、20…制御装置、202…操作部、203…予測部、204…判定部、206…記憶部、208…制御部、22…室外温度計、24…室外日射計、26…空調設備、28…照明、30…栽培棚、31…棚板、32…室内温度計、34…室内光量子計、36…食用花
図1
図2
図3