(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
G02B15/20
(21)【出願番号】P 2020174139
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】大出 隆史
(72)【発明者】
【氏名】木村 公平
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189766(JP,A)
【文献】特開2018-189767(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203819(WO,A1)
【文献】特開2019-139066(JP,A)
【文献】特開2008-304765(JP,A)
【文献】特開2009-150277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、
3つ以上のレンズ群を含み全体として正の屈折力の後群からなり、変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、非球面レンズを含み、変倍に際して不動であり、
前記後群は、前記後群において最も物体側に配置された正の屈折力の第2レンズ群と、該第2レンズ群の像側に隣り合って配置された正の屈折力の第3レンズ群と、を有し、
前記第1レンズ群における最も物体側のレンズ面から
前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離をTD1、前記ズームレンズにおける広角端での最も像側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をskw、広角端での前記最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をTDw、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.10≦skw/TD1≦0.50
-0.1
21≦f1/TDw≦-0.0
6
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第1レンズ群は、4つ以上のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
変倍に際して、前記後群における2つ以上のレンズ群が移動することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記非球面レンズは、中心部から周辺へ向かって絶対値が小さくなる負の屈折力を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記非球面レンズは、周辺部において正の屈折力を有することを特徴とする請求項4に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記後群における変倍に際して移動する移動レンズ群の焦点距離をfcとするとき、
0.01≦|fw/fc|<1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記移動レンズ群は、広角端と望遠端との間の変倍に際して物体側と像側のうち一方へ移動した後に他方へ移動することを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記移動レンズ群は、前記後群における最も像側のレンズ群であることを特徴とする請求項6または7に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記ズームレンズに含まれる非球面レンズのうち最も物体側の非球面レンズの焦点距離をfa1とするとき、
0.01≦|f1/fa1|<1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
開口絞りよりも像側に配置された非球面レンズを有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記ズームレンズに含まれる非球面レンズのうち最も像側に配置された非球面レンズの焦点距離をfa2とするとき、
0.01≦|fw/fa2|<1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後群における最も物体側に配置されたレンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.01≦|fw/f2|<1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズを介して物体を撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、監視用カメラ等の撮像装置に好適なズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
広角のズームレンズとして、最も物体側の第1レンズ群を移動させて変倍を行うズームレンズが特許文献1や特許文献2にて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5777592号公報
【文献】特開2018-189733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されたズームレンズでは、バックフォーカスが長いことにより第1レンズ群が大径化し、変倍時に移動させる第1レンズ群の重量が大きくなる。しかも広角レンズでは大口径レンズを複数枚用いて広角化と歪曲収差補正を行うため、第1レンズ群の重量が増加する傾向にある。この結果、第1レンズ群の移動時の偏心による収差の増加を抑制することが難しくなる。
【0005】
本発明は、広角でありながらも変倍時の収差変動を抑制できる小型のズームレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、3つ以上のレンズ群を含み全体として正の屈折力の後群からなり、変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群は、非球面レンズを含み、変倍に際して不動である。後群は、後群において最も物体側に配置された正の屈折力の第2レンズ群と、該第2レンズ群の像側に隣り合って配置された正の屈折力の第3レンズ群と、を有し、第1レンズ群における最も物体側のレンズ面から第1レンズ群における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離をTD1、ズームレンズにおける広角端での最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をskw、広角端での最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTDw、第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.10≦skw/TD1≦0.50
-0.121≦f1/TDw≦-0.06
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズを備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広角でありながらも変倍時の収差変動を抑制できる小型のズームレンズを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1のズームレンズの広角端での縦収差図。
【
図3】実施例1のズームレンズの中間ズーム位置での縦収差図。
【
図4】実施例1のズームレンズの望遠端での縦収差図。
【
図6】実施例2のズームレンズの広角端での縦収差図。
【
図7】実施例2のズームレンズの中間ズーム位置での縦収差図。
【
図8】実施例2のズームレンズの望遠端での縦収差図。
【
図10】実施例3のズームレンズの広角端での縦収差図。
【
図11】実施例3のズームレンズの中間ズーム位置での縦収差図。
【
図12】実施例3のズームレンズの望遠端での縦収差図。
【
図14】実施例4のズームレンズの広角端での縦収差図。
【
図15】実施例4のズームレンズの中間ズーム位置での縦収差図。
【
図16】実施例4のズームレンズの望遠端での縦収差図。
【
図17】実施例1~4のズームレンズを備えた撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1、
図5、
図9および
図13はそれぞれ、実施例1、実施例2、実施例3および実施例4のズームレンズの広角端での断面を示している。各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルムカメラ、監視用カメラ等の撮像装置に撮像レンズとして用いられる。
【0010】
各断面図において、左側が物体側(拡大共役側)で、右側が像側(縮小共役側)である。以下の説明において、変倍(ズーミング)に際して又はフォーカシングに際して隣り合うレンズ面間の間隔が変化する1又は複数のレンズのまとまりをレンズ群として定義し、図中に物体側から順にBi(i=1、2、3,…)の符号を付している。また広角端と望遠端は、ズーミングにおいてレンズ群が機構上、光軸方向に移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム状態(ズーム位置)をいう。各断面図には、広角端から望遠端へのズーミングに際して移動するレンズ群の移動軌跡を矢印で示すとともに、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングにおいて移動するレンズ群の移動方向を矢印で示している。
【0011】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群B1と、複数のレンズ群(B2~)を含み全体として正の屈折力の後群とにより構成され、隣り合うレンズ群間の間隔を変化させて変倍を行う。第1レンズ群B1は、非球面レンズを含み、変倍に際して不動である。第1レンズ群B1と第2レンズ群B2との間には、開口絞りSPが配置されている。なお、後群は全体として正の屈折力を有していればよく、例えば各実施例では第2レンズ群B2は正の屈折力を有するが、負の屈折力を有していてもよい。また、非球面レンズは、物体側および像側のレンズ面のうち少なくとも一方が非球面形状を有していればよい。
【0012】
開口絞りSPは、開放Fナンバー(Fno)の光束を決定(制限)する。IPは像面(縮小共役面)である。像面IPには、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面や銀塩フィルムの感光面が配置される。
【実施例1】
【0013】
図1に示す実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群B1、開口絞りSP、正の屈折力の第2レンズ群B2、正の屈折力の第3レンズ群B3および正の屈折力の第4レンズ群B4により構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群B1は不動であり、開口絞りSP、第2および第3レンズ群B2、B3が物体側に移動し、第4レンズ群B4が像側に移動した後に物体側に移動する。
【0014】
以下に、実施例1の具体的な数値例を数値実施例1として示す。面番号(m)は物体側から数えた光学面の順番を示し、曲率半径d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の光軸上の間隔(距離)を示す。ndとνdはそれぞれ、第m面と第(m+1)面との間の光学材料のd線における屈折率とd線を基準としたアッベ数を示す。アッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。なお、数値実施例において、曲率半径d、焦点距離(mm)、Fナンバーおよび半画角(°)は全てズームレンズが無限遠物体に合焦した状態での値である。
【0015】
BFはバックフォーカス(mm)を表す。バックフォーカスは、ズームレンズの最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものとする。レンズ全長は、ズームレンズの最前レンズ面(最も物体側のレンズ面)から最終レンズ面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。
【0016】
レンズ面が非球面である場合は、面番号の右側に*の符号を付している。非球面形状は、xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸に直交する方向での光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2
+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A10×h10
+A12×h12+A14×h14
で表される。なお、円錐定数と非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味する。以上の数値実施例1に関する説明は、後に記載する他の数値実施例についても同じである。
【0017】
また、
図2、
図3および
図4はそれぞれ、実施例1(数値実施例1)のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における無限遠物体に合焦した状態での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲、色収差)を示している。球面収差図において、FnoはFナンバーであり、実線はd線(波長587.56nm)における球面収差を、二点鎖線はg線(波長435.8nm)における球面収差を示している。非点収差図において、Sはサジタル像面における非点収差を、Mはメリディオナル像面における非点収差を示している。歪曲図は、d線における歪曲を示している。色収差図は、g線における倍率色収差を示している。ωは近軸計算による半画角(°)である。これら縦収差図に関する説明は、他の数値実施例でも同じである。
[数値実施例1]
単位mm
面番号 r d nd νd
1* 32.281 3.200 1.58313 59.4
2* 10.895 11.867
3 216.443 1.500 1.72916 54.7
4 16.149 5.587
5* 28.079 2.200 1.58313 59.4
6 27.754 4.647
7 -48.42 1.300 1.43875 94.7
8 22.216 0.149
9 22.682 5.319 1.8061 40.9
10 -260.356 (可変)
11(絞り) ∞ (可変)
12 13.959 1.200 1.98612 16.5
13 10.571 8.714 1.51742 52.4
14 -15.912 0.150
15 -16.913 1.000 2.001 29.1
16 13.222 5.105 1.92286 18.9
17 -44.663 (可変)
18 21.182 1.200 2.0509 26.9
19 13.872 9.195 1.497 81.5
20 -81.685 0.150
21 27.775 1.200 1.874 35.3
22 17.112 13.905 1.497 81.5
23 -18.318 0.023
24* -20.347 1.750 1.854 40.4
25* 1715.285 (可変)
26 58.567 5.895 1.497 81.5
27 -118.782 (可変)
像面 ∞
K A4 A6 S8
第1面 9.646440E-03 -2.459300E-05 2.684610E-08 -7.279870E-12
第2面 -9.726320E-01 -1.742970E-05 -1.186640E-07 -3.100590E-10
第5面 2.587180E+00 -3.131390E-05 -1.693380E-07 3.708740E-10
第24面 0.000000E+00 1.174230E-04 -1.713920E-06 1.443100E-08
第25面 0.000000E+00 1.349530E-04 -1.595560E-06 1.344000E-08
A10 A12 A14
第1面 -2.763590E-14 3.565180E-17 -1.635890E-20
第2面 3.389220E-12 -8.158310E-15 6.484920E-18
第5面 1.008230E-12 -1.666670E-14 0.000000E+00
第24面 -6.625540E-11 1.356740E-13 0.000000E+00
第25面 -6.864650E-11 1.928800E-13 -2.218970E-16
広角 中間 望遠
d10 22.688 12.499 2.310
d11 2.192 2.649 3.106
d17 3.198 2.741 2.283
d25 0.732 12.943 13.900
d27 16.865 14.843 24.075
広角 中間 望遠
焦点距離 9.28 13.05 17.45
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 64.01 58.13 51.11
像高 19.04 20.99 21.64
レンズ全長 130.93 130.93 130.93
BF 16.86 14.84 24.07
【実施例2】
【0018】
図5に示す実施例2のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群B1、開口絞りSP、正の屈折力の第2レンズ群B2、正の屈折力の第3レンズ群B3、負の屈折力の第4レンズ群B4および正の屈折力の第5レンズ群B5により構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群B1は不動であり、開口絞りSP、第2から第4レンズ群B2~B4が物体側に移動し、第5レンズ群B5が像側に移動した後に物体側に移動する。本実施例では、実施例1に対して変倍比を大きくして、広角端の焦点距離を長くしている。
【0019】
以下に、実施例2の具体的な数値例を数値実施例2として示す。
図6、
図7および
図8はそれぞれ、実施例2(数値実施例2)のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における無限遠物体に合焦した状態での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲、色収差)を示している。
[数値実施例2]
単位mm
面番号 r d nd νd
1 50 3.000 1.854 40.4
2 39.83 10.000
3* 41.15 3.500 1.854 40.4
4* 16.556 15.911
5* -16336.1 2.300 1.854 40.4
6* 35.734 7.432
7 -84.771 1.200 1.497 81.5
8 32.858 5.939 1.85025 30.1
9 -327.525 (可変)
10(絞り) ∞ (可変)
11 24.363 1.000 1.92286 18.9
12 14.242 5.076 1.673 38.1
13 -248.151 1.489
14 -44.713 1.000 2.001 29.1
15 20.881 6.128 1.92286 18.9
16 -66.998 (可変)
17 73.451 2.500 1.72 46
18 -115.01 0.500 2.001 29.1
19 -358.744 0.100
20 26.905 4.729 1.43875 94.7
21 -39.813 (可変)
22 184.892 1.000 1.95375 32.3
23 20.618 0.100
24 18.329 4.735 1.43875 94.7
25 78.232 1.000
26 20.034 5.830 1.497 81.5
27 209.719 1.000 2.00069 25.5
28 45.787 3.248
29* -34.602 1.500 1.854 40.4
30* -62.553 (可変)
31 96.633 6.020 1.6968 55.5
32 -223.073 (可変)
像面 ∞
K A4 A6 S8
第3面 0.000000E+00 -5.474450E-06 2.174360E-09 -2.320770E-13
第4面 -7.532190E-01 -7.061300E-06 -2.706320E-08 9.359870E-12
第5面 0.000000E+00 1.151910E-06 0.000000E+00 0.000000E+00
第6面 -3.190850E-01 1.536690E-05 4.108790E-08 -6.551010E-11
第29面 0.000000E+00 -3.572950E-06 3.807150E-07 -1.689380E-09
第30面 0.000000E+00 3.585550E-05 4.066510E-07 -1.301500E-09
A10 A12 A14
第3面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第4面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第5面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第6面 3.179170E-13 0.000000E+00 0.000000E+00
第29面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第30面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
広角 中間 望遠
d 9 29.495 19.486 6.825
d10 1.722 1.000 1.000
d16 4.777 3.859 3.027
d21 0.100 0.294 1.093
d30 0.524 16.433 21.353
d32 22.000 17.546 25.321
広角 中間 望遠
焦点距離 11.33 16.1 23.42
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 59.84 52.13 42.73
像高 19.5 20.7 21.64
レンズ全長 154.86 154.86 154.86
BF 22 17.55 25.32
【実施例3】
【0020】
図9に示す実施例3のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群B1、開口絞りSP、正の屈折力の第2レンズ群B2、正の屈折力の第3レンズ群B3、負の屈折力の第4レンズ群B4および正の屈折力の第5レンズ群B5により構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群B1は不動であり、開口絞りSP、第2から第4レンズ群B2~B4が物体側に移動し、第5レンズ群B5が像側に移動した後に物体側に移動する。本実施例では、実施例1に対して同じ変倍比で広角端と望遠端での焦点距離を長くしている。
【0021】
以下に、実施例3の具体的な数値例を数値実施例3として示す。
図10、
図11および
図12はそれぞれ、実施例3(数値実施例3)のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における無限遠物体に合焦した状態での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲、色収差)を示している。
[数値実施例3]
単位mm
面番号 r d nd νd
1* 34.361 3.500 1.58313 59.4
2* 15.668 12.466
3 64.307 2.000 1.79017 47.9
4 21.301 8.000
5* -378.564 2.300 1.854 40.4
6* 44.343 5.121
7 -121.54 1.200 1.497 81.5
8 17.608 6.174 1.738 32.3
9 147.845 (可変)
10(絞り) ∞ (可変)
11 23.145 1.000 1.92286 18.9
12 15.429 4.630 1.58267 46.4
13 -31.499 0.931
14 -26.608 1.000 2.001 29.1
15 25.087 3.161 1.92286 18.9
16 -60.338 (可変)
17 41.651 7.064 1.53775 74.7
18 -22.08 1.000 2.001 29.1
19 -31.132 0.500
20 23.145 5.013 1.43875 94.7
21 96.359 (可変)
22 40.19 1.000 1.95375 32.3
23 17.301 8.507 1.43875 94.7
24 -9789.11 3.234
25* -46.294 1.500 1.854 40.4
26* -104.92 (可変)
27 58.489 3.591 1.48749 70.2
28 328.174 (可変)
像面 ∞
K A4 A6 S8
第1面 0.000000E+00 -7.519290E-06 3.759650E-09 -8.975440E-13
第2面 -7.372740E-01 -6.074870E-06 -3.042300E-08 2.258740E-12
第5面 0.000000E+00 9.035100E-06 0.000000E+00 0.000000E+00
第6面 9.940200E+00 2.236370E-05 6.653020E-09 5.642050E-10
第25面 0.000000E+00 5.879050E-05 -3.272030E-07 2.915710E-10
第26面 0.000000E+00 8.543210E-05 -2.663570E-07 4.261750E-10
A10 A12 A14
第1面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第2面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第5面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第6面 -2.290530E-12 0.000000E+00 0.000000E+00
第25面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第26面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
広角 中間 望遠
d 9 15.923 8.142 1.748
d10 1.000 1.000 1.000
d16 6.162 3.831 1.990
d21 0.100 0.473 1.326
d26 0.524 12.263 5.295
d28 20.241 18.241 32.589
広角 中間 望遠
焦点距離 10.3 14.81 20
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 62.16 54.43 47.25
像高 19.5 20.7 21.64
レンズ全長 126.84 126.84 126.84
BF 20.24 18.24 32.59
【実施例4】
【0022】
図13に示す実施例4のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群B1、開口絞りSP、正の屈折力の第2レンズ群B2、正の屈折力の第3レンズ群B3、負の屈折力の第4レンズ群B4および正の屈折力の第5レンズ群B5により構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群B1は不動であり、開口絞りSP、第2から第4レンズ群B2~B4が物体側に移動し、第5レンズ群B5が像側に移動した後に物体側に移動する。本実施例では、実施例3に対して非球面レンズの位置を変えており、より物体側に非球面レンズを配置することで、非球面上において各像高における光束が良好に分離されることとなり、より非球面効果が得られる。
【0023】
以下に、実施例4の具体的な数値例を数値実施例4として示す。
図14、
図15および
図16はそれぞれ、実施例4(数値実施例4)のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における無限遠物体に合焦した状態での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲、色収差)を示している。
[数値実施例4]
単位mm
面番号 r d nd νd
1* 41.065 3.500 1.58313 59.4
2* 17.01 16.000
3* 37.732 2.500 1.854 40.4
4* 20.085 5.316
5 31.559 2.500 1.7725 49.6
6 21.056 6.627
7 618.895 1.200 1.43875 94.7
8 20.522 7.357 1.85478 24.8
9 37.088 (可変)
10(絞り) ∞ (可変)
11 25.136 3.285 1.48749 70.2
12 -66.08 1.395
13 -19.039 1.000 2.00069 25.5
14 23.427 5.377 1.89286 20.4
15 -23.066 (可変)
16 52.275 5.856 1.53775 74.7
17 -19.024 1.000 1.85478 24.8
18 -35.889 0.500
19 31.983 6.270 1.43875 94.7
20 -41.66 (可変)
21 65.837 1.000 1.95375 32.3
22 21.349 7.044 1.43875 94.7
23 -98.48 3.077
24* -144.615 1.500 1.854 40.4
25* 70.128 (可変)
26 63.634 5.467 1.85896 22.7
27 250.761 (可変)
像面 ∞
K A4 A6 S8
第1面 0.000000E+00 -6.189500E-06 3.040060E-09 -8.745770E-13
第2面 -9.872120E-01 4.221470E-06 -1.940650E-08 1.104740E-11
第3面 0.000000E+00 -9.958810E-06 2.359090E-09 4.605520E-13
第4面 0.000000E+00 -9.788770E-06 1.206740E-08 -9.955650E-12
第24面 0.000000E+00 -3.299340E-05 -4.474840E-08 -4.026380E-10
第25面 0.000000E+00 -5.570740E-06 -3.066370E-08 1.700400E-11
A10 A12 A14
第1面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第2面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第3面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第4面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第24面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
第25面 0.000000E+00 0.000000E+00 0.000000E+00
広角 中間 望遠
d 9 15.918 6.750 1.000
d10 1.000 2.000 1.000
d15 4.261 2.750 2.057
d20 0.100 1.046 3.341
d25 0.524 12.368 16.027
d27 20.000 16.889 18.378
広角 中間 望遠
焦点距離 10.3 14.8 20
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 62.16 54.44 47.25
像高 19.5 20.7 21.64
レンズ全長 129.57 129.57 129.57
BF 20 16.89 18.38
次に、各実施例のズームレンズについてより詳細に説明する。各実施例における第1レンズ群B1は、強い負の屈折力を有しており、ズームレンズ全体の広角化に寄与している。第2レンズ群B2から第4レンズ群B4または第5レンズ群B5により構成される後群は、全体で正の屈折力を有して第1レンズ群B1で発散された光束を集光させる。第1レンズ群B1が広角化のために強い屈折力を有すると、軸外入射光線の高さが高い位置で歪曲収差が大きく発生する。このため、各実施例では、この歪曲収差を抑制するために第1レンズ群B1内に歪曲収差の補正効果が大きい非球面レンズを配置されている。具体的には、実施例1、3、4では非球面レンズを最も物体側の第1レンズとして配置し、実施例2では第1レンズより像側の第2レンズとして配置している。これら非球面レンズは、光軸が通る中心部で強い負の屈折力を有し、中心部から周辺部に向かって負の屈折力が弱くなり、周辺部において屈折力が負から正に反転する非球面形状を有する。
【0024】
第1レンズ群B1は、以下の条件式(1)を満足する。
0.10≦skw/TD1≦0.50 (1)
条件式(1)において、TD1は第1レンズ群B1の厚み(第1レンズ群B1における最前面から最も像側の面までの光軸上の距離)、skwは広角端における最終レンズ面から像面までの空気換算長(バックフォーカスBF)を示す。skw/TD1が条件式(1)の数値範囲外になると、第1レンズ群B1の厚みが大きくなりすぎるか小さくなりすぎることとなる。厚みが大きくすぎると、広画角であることから第1レンズの径が増大し、ズームレンズの小型化および軽量化を達成できなくなるため、好ましくない。一方、厚みが小さすぎると、小型の広角レンズにおいて強い屈折力が必要となる第1レンズ群B1を構成するレンズに要求される屈折力(焦点距離の逆数)が強くなりすぎて、歪曲収差が補正困難な量にまで増加するため、好ましくない。
【0025】
また、第1レンズ群B1は、以下の条件式(2)を満足する。
-0.17≦f1/TDw≦-0.05 (2)
条件式(2)において、TDwはズームレンズの広角端での全長(レンズ全長)、f1は第1レンズ群B1の焦点距離を示す。条件式(2)は、ズームレンズの広角化のために第1レンズ群B1が満足すべき条件を示す。f1/TDwが条件式(2)の下限値を下回るようにTDwが大きくなると、光線を緩やかに曲げることになるので歪曲収差の抑制という観点では好ましいが、レンズ全長が長くなり、さらに第1レンズの径が増大するので、好ましくない。f1/TDwが条件式(2)の上限値を上回ると、第1レンズ群B1の屈折力が強くなりすぎて、広角端での収差発生の抑制とズーミング時の収差変動の抑制が両立しにくいため、好ましくない。
【0026】
また、各実施例において、第1レンズ群B1は、実質的に屈折力を有する4つ以上のレンズにより構成されている。ここにいう「レンズ」は、屈折力を有する光学素子であり、平行平板のように屈折力を持たないものは含まれない。第1レンズ群B1が3つ以下のレンズにより構成される場合は、広角化を担う負レンズの屈折力が強くなりすぎるため、非球面を用いても歪曲収差の抑制が困難となり、この結果、第1レンズを大径化する必要が生じてズームレンズの小型化に適さない。さらに望遠端において第1レンズ群B1における光束径が大きくなることから、3つ以下とレンズ数が少ないと、望遠端において球面収差やコマ収差の変動を抑制することが困難となる。
【0027】
これに対して、各実施例では、前述したように第1レンズ(実施例1、3、4)または第2レンズ(実施例2)に周辺部が凸形状である非球面レンズを用いて、ズームレンズを広角化しつつ周辺部で歪曲収差を抑制している。実施例1、3、4の第2レンズおよび実施例2の第1レンズは非球面形状を有しておらず、ズームレンズの広角化が主な役割となっている。
【0028】
第1レンズ群B1が周辺部が凸形状の非球面を有することで、ズームレンズ全体として歪曲収差をキャンセル方向に発生させている。このため、第2レンズ群B2は、球面レンズにより構成されているが屈折力を強くすることが可能となっている。
【0029】
実施例1~3において、第1レンズ群B1内における第2レンズより像側の第3レンズは非球面形状を有しており、広角端においては像面を平面にする役割を、望遠端においてはコマ収差を抑制する役割を持つ。広角端において第1レンズ(実施例1、2)または第2レンズ(実施例2)が高像高における歪曲収差を抑制しているが、その代わりに像面がアンダー方向に移動する。この像面を平面にするために、第3レンズは周辺部が負の屈折力を有する非球面レンズとなっている。
【0030】
第1レンズ群B1内における第3レンズより像側の負の第4レンズと正の第5レンズは、それらの合成焦点距離が正であり、第1レンズ群B1で発生する歪曲収差を打ち消す効果と、第1レンズから第3レンズにかけて発生した倍率色収差を打ち消す効果とを有する。また、第4レンズは像側のレンズ面が凹面形状を有している。これは、この第4レンズが軸上光束のマージナル光線が高い位置に配置されるために球面収差が発生しやすいので、該球面収差の発生を抑制する必要があるからである。第4レンズには低分散負レンズが用いられ、第5レンズには高分散正レンズが用いられている。これは、倍率色収差の補正効果を高めるためである。
【0031】
上述したように構成された各実施例のズームレンズは、条件式(1)、(2)を満足することにより、小型で広角でありながらもズーミング時の収差変動を抑制することができる。
【0032】
各実施例のズームレンズは、上記条件式(1)、(2)を満足することに加えて、以下の条件式(3)~(6)のうち少なくとも1つを満足することが好ましい。
まず、ズーミングに際して移動する複数のレンズ群(以下、移動群という)のうち少なくとも1つ(以下、特定移動群という)は以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
01≦|fw/fc|<1.00 (3)
条件式(3)において、fcは特定移動群の焦点距離を示す。ズーミングに際して第1レンズ群が移動するタイプのズームレンズでは、第1レンズ群の移動によりズーミング時の像面位置の変動(以下、像面変動という)を補正(補償)することができる。しかし、各実施例のようにズーミングに際して第1レンズ群B1を不動とする場合は、像面変動の補正機能を他の移動群に持たせる必要があり、これを条件式(3)を満足する特定移動群に持たせる。
|fw/fc|が条件式(3)の上限を上回ると、特定移動群の屈折力が強くなりすぎて、像面変動を補正する際に収差変動が大きくなりすぎるため、好ましくない。また、特定移動群が配置される位置が軸上光束のマージナル光線が高い位置であると、球面収差の変動量が大きくなる。さらに特定移動群が軸外主光線が高い位置に配置されると、像面変動や倍率色収差の変動が大きくなる。これらを抑制するためには、複数のレンズにより特定移動群内の収差が良好に補正された状態にする必要がある。この場合、特定移動群の厚みが大きくなってレンズ全長が長くなったり、ガラスレンズを複数用いることによるコストが増加したりする。
|fw/fc|が条件式(3)の下限を下回ると、特定移動群の屈折力が弱すぎて、像面変動を補正するための特定移動群の移動量が大きくなるため、レンズ群間隔を広げる必要が生じ、この結果、レンズ全長が長くなるため、好ましくない。
【0033】
また、ズーミングに際して、複数の移動群のうち少なくとも1つ(以下、往復移動群という)は、物体側に凸もしくは像側に凸の往復軌跡を描くように移動することが好ましい。高い変倍比を有する広角ズームレンズでは、正の屈折力を有する複数の移動群がほぼ一体となって物体側に移動して広角端から望遠端へのズーミングを行う。その際、複数の移動群のそれぞれ移動量に対する像面変動量が一定ではないことから、第1レンズ群を往復軌跡を描くように移動させることで像面変動を補正している。
【0034】
これに対して、各実施例のようにズーミングに際して第1レンズ群B1を不動とする場合に、他のレンズ群を細かく分けていずれのレンズ群にも往復軌跡を描かせずに像面変動を補正することもできる。しかし、この場合は、狭いスペースにこれらレンズ群を駆動するカムを多く設ける必要があるため、カムのレイアウトが難しい。
【0035】
このため、各実施例では、第1レンズ群B1の代わりに往復軌跡を描くように移動する最終レンズ群(最も像側の第4レンズ群B4または第5レンズ群B5)を設けている。そして各実施例では、ズーミングに際して最終レンズ群が像側に凸の往復軌跡を描くように移動して像面変動を補正する。仮に、開口絞りの近傍に配置されるレンズ群を移動させて像面変動を補正する場合には、望遠端に向かって開口絞りの近傍における光軸上の光束径が拡大するため、レンズ群間隔の変化による球面収差の変動が大きくなる。この結果、移動群の数を多くする必要が生ずるが、小型のズームレンズにおいて多数のカムを設けることは難しい。したがって、往復移動群は、最終レンズ群が好ましい。
【0036】
しかも、超広角レンズでは、ズーミングに際して開口絞りより像側の複数の移動群がほぼ一体となって移動する構成が一般的であるが、小型の超広角レンズを実現するためにはこれらの移動群の間隔を狭くする必要がある。このため、往復軌跡を描く移動量を確保し易い最終レンズ群を往復移動群とすることが好ましい。
【0037】
第1レンズ群B1は、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0038】
0.01≦|f1/fa1|<1.00 (4)
条件式(4)において、fa1は第1レンズ群B1に含まれる1または複数の非球面レンズのうち最も物体側の非球面レンズの焦点距離を示す。|f1/fa1|が条件式(4)の下限を下回ると、第1レンズ群B1内の非球面レンズの屈折力が小さくなりすぎて、非球面レンズの広角化効果を十分に得られないため、好ましくない。この場合、他のレンズに屈折力を持たせて広角化を行うことは可能であるが、他のレンズに球面レンズを用いると歪曲収差が大きく発生する。また、他の非球面レンズにより広角化する場合には、ズームレンズ内の非球面レンズの数が増えるため、コストが増加する。
|f1/fa1|が条件式(4)の上限を上回ると、第1レンズ群B1内の非球面レンズの屈折力が大きくなりすぎて、非球面効果による歪曲収差の補正が困難になるため、好ましくない。
【0039】
各実施例のズームレンズでは、開口絞りSTより像側に少なくとも1つの非球面レンズが配置されている。具体的には、像側から数えて2番目のレンズ群(実施例1では第3レンズ群B3、実施例2~4では第4レンズ群B4)における最も像側のレンズが非球面レンズであり、ズームレンズに含まれる複数の非球面レンズのうち最も像側に配置された非球面レンズである。
【0040】
この非球面レンズは、広角端において像面を平面にする機能と、望遠端において中間像高のマージナル光線のフレアを抑制する機能とを有する。第1レンズ群B1は広角端において歪曲収差を抑制する機能と像面を平面にする機能とを有するが、望遠端では光束径が太くなることから中間像高でフレアが発生する。この望遠端でのフレアを打ち消すために、各実施例では、開口絞りSTより像側に負の屈折力の非球面レンズを配置している。また、この非球面レンズは、広角端において第1レンズ群B1で発生した歪曲収差を打ち消す機能と、望遠端において中間像高の上光線に対して大きな跳ね上げ効果を与えるレンズとしても機能する。
【0041】
開口絞りSTより像側(最も像側)に配置された上記非球面レンズは、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
0.01≦|fw/fa2|<1.00 (5)
条件式(5)において、fa2は最も像側に配置された非球面レンズの焦点距離である。|fw/fa2|が条件式(5)の上限を上回ると、非球面レンズの屈折力が強くなりすぎて倍率色収差が大きく発生するため、好ましくない。|fw/fa2|が条件式(5)の下限を下回ると、非球面レンズの屈折力が弱くなりすぎて、望遠端において第1レンズ群B1でアンダー方向に発生した上光線のフレアを補正できないため、好ましくない。
【0042】
また、第2レンズ群B2は、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.01≦|fw/f2|<1.00 (6)
条件式(6)において、f2は第2レンズ群B2の焦点距離である。第2レンズ群B2は主として第1レンズ群B1で発散した光束を集束させる機能を有する。|fw/f2|が条件式(6)の上限を上回ると、第2レンズ群B2の屈折力が弱すぎて、第1レンズ群B1で発散した光束を十分に集束させられないため、好ましくない。|fw/f2|が条件式(6)の下限を下回ると、光軸上の光束が広がる位置に配置された第2レンズ群B2の屈折力が強すぎて、球面収差と軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0043】
なお、条件式(1)~(6)の数値範囲を、以下のようにするとより好ましい。
0.15≦TD1/skw≦0.48 (1a)
-0.16≦TTDw/f1≦-0.06 (2a)
0.03≦|fw/fc|≦0.50 (3a)
0.10≦|fa1/f1|≦0.50 (4a)
0.05≦|fa2/fw|≦0.50 (5a)
0.05≦|f2/fw|≦0.50 (6a)
また、条件式(1)~(6)の数値範囲を、以下のようにするとさらに好ましい。
0.28≦TD1/skw≦0.46 (1b)
-0.15≦TTDw/f1≦-0.08 (2b)
0.06≦|fw/fc|≦0.15 (3b)
0.20≦|fa1/f1|≦0.65 (4b)
0.08≦|fa2/fw|≦0.47 (5b)
0.10≦|f2/fw|≦0.21 (6b)
以下に、数値実施例1~4の条件式(1)~(6)の値をまとめて示す。
【0044】
【0045】
図17は、上記各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いた撮像装置としてのデジタルスチルカメラを示している。20はカメラ本体、21は実施例1~4のいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。22はカメラ本体20に内蔵され、撮像光学系21により形成された光学像(被写体像)を撮像するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子である。23は撮像素子22からの撮像信号を処理することで生成された画像データを記録する記録部であり、24は画像データを表示する背面ディスプレイである。
【0046】
各実施例のズームレンズを用いることで、小型で高い高額性能を有するカメラを得ることができる。
【0047】
なお、カメラは、クイックターンミラーを有する一眼レフカメラであってもよいし、クイックターンミラーを有さないミラーレスカメラであってもよい。
【0048】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
B1 第1レンズ群
B2 第2レンズ群
B3 第3レンズ群
B4 第4レンズ群
B5 第5レンズ群
IP 像面