(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置および液体収容体
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 161
B41J2/175 151
B41J2/175 153
B41J2/175 141
(21)【出願番号】P 2020186971
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2020030487
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 良太
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027680(JP,A)
【文献】中国実用新案第204801248(CN,U)
【文献】米国特許第06164771(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する装置本体と、
前記装置本体に対して着脱可能であり、前記液体を収容する液体収容体と、を有する液体吐出装置であって、
前記装置本体は第1の嵌合部を有し、
前記液体収容体は着脱方向に交差する軸を中心に回転するハンドルを有し、
前記ハンドルは、前記第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部を有
し、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部はそれぞれ、前記ハンドルの前記装置本体に対する回転を規制する第1の回転規制部と第2の回転規制部とを有し、
前記第1の回転規制部は、当該液体吐出装置の幅方向に複数の板材が配列した第1の櫛と、前記第1の櫛の幅方向に設けられた板状の第1の平板とを有し、前記第2の回転規制部は、前記幅方向に複数の板材が配列した第2の櫛と、前記第2の櫛の幅方向に設けられた板状の第2の平板を有し、前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第1の櫛と前記第2の平板、および前記第2の櫛と前記第1の平板との協働によって前記ハンドルの回転が規制される、液体吐出装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の下面に対して前記第1の櫛から引き込まれた位置に配されており、
前記
第2平板は、前記第2の櫛の下面に
対して前記第2の櫛から引き込まれた位置に配されており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、
前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第1の櫛が前記第2の平板に
、前記第2の櫛が前記第1の平板に対して当接または対向する、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の上面に対して前記第1の櫛から引き込まれた位置に配されており、
前記
第2平板は
、前記第2の櫛の上面に
対して前記第2の櫛から引き込まれた位置に配されており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、前記第1の櫛
と前記第2の櫛と
が嵌合
するとともに、前記第1の櫛が前記第2の平板に、また前記第2の櫛が前記第1の平板に対して当接または対向する、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の下方に空隙を介して設けられ
ており、
前記第2の平板は、前記第2の櫛の下面に設けられ
ており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、
前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第2の平板が前記空隙に挿入される、液体吐出装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の下面に設けられ
ており、
前記第2の平板は、前記第2の櫛の下方に空隙を介して設けられ
ており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、
前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第1の平板が前記空隙に挿入される、液体吐出装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の上方に空隙を介して設けられ
ており、
前記第2の平板は、前記第2の櫛の上面に設けられ
ており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、
前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第2の平板が前記空隙に挿入される、液体吐出装置。
【請求項7】
請求項
1に記載の液体吐出装置において、
前記第1の平板は、前記第1の櫛の上面に設けられ
ており、
前記第2の平板は、前記第2の櫛の上方に空隙を介して設けられ
ており、
前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、
前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第1の平板が前記空隙に挿入される、液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
複数の前記液体収容体が設けられ、
前記第1の嵌合部の形状と前記第2の嵌合部の形状との組み合わせが液体収容体ごとに異なる液体吐出装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の液体吐出装置において、
前記複数の液体収容体は互いに異なる色の液体を収容する液体吐出装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記ハンドルは、前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で前記装置本体と前記液体収容
体とを電気的に接続する電気接続部を有する液体吐出装置。
【請求項11】
液体を吐出する装置本体に対して着脱可能であり、前記液体を収容する液体収容体であって、
前記液体収容体はその幅方向に延びる軸を中心に回転するハンドルを有し、
前記ハンドルは、前記装置本体に設けられた第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部を有
しており、
前記第2の嵌合部は、前記ハンドルの前記装置本体に対する回転を規制する回転規制部を有し、
前記回転規制部は、前記幅方向に複数の板材が配列した櫛歯と、前記櫛歯の幅方向に設けられた平板とを有しており、前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、前記装置本体に設けられた第1の嵌合部に対して前記櫛歯と前記平板とが協働して前記ハンドルの回転が規制される、液体収容体。
【請求項12】
請求項
11に記載の液体収容体において、
前記ハンドルは、前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で前記装置本体と前記液体収容
体とを電気的に接続する電気接続部を有する液体収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および液体収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのような液体吐出装置には、供給される液体(インク)が収容
される液体収容体がケースに対して交換可能に構成されるとともに、液体収容体を備えた装着体が着脱自在に装着されるように構成されたものがある。特許文献1に記載された液体収容体は、液体が収容される可撓性を有する袋状部材と、利用者が液体収容体を持ち運ぶ(交換の際に利用する)ためのハンドルとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなハンドルは、液体収容体を持ち運ぶ際の位置と、液体吐出装置に装着された際の位置とで自在に変位する構成である。このような構成では、液体収容体を収納した装着体を液体吐出装置に装着した場合、ハンドルの自重によって可撓性を有する袋状部材を押圧してしまう可能性がある。この場合、インク供給圧力の変動を引き起こすおそれがある。また、自由状態のハンドルは、装着体を液体吐出装置に装着した際の衝撃や反動等を起因として、不測の位置(例えば水平位置ではなく傾斜した位置)となってしまう事態も生じ得る。この場合、インク消費によって液体収容体を交換するために装着体を水平方向に引き出す際に、液体吐出装置内でハンドルが噛みこみ、装着体の取り出しが困難になるおそれがある。したがって、液体吐出装置に装着した装着体内においてハンドルの位置は上述の不具合を発生しない所定の位置に維持されていることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、液体吐出装置に装着された液体収容体に付設されたハンドルの位置を所定の位置に維持することができる液体吐出装置および液体収容体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能であり、前記液体を収容する液体収容体と、を有する液体吐出装置であって、
前記装置本体は第1の嵌合部を有し、前記液体収容体は着脱方向に交差する軸を中心に回転するハンドルを有し、前記ハンドルは、前記第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部をし、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部はそれぞれ、前記ハンドルの前記装置本体に対する回転を規制する第1の回転規制部と第2の回転規制部とを有し、前記第1の回転規制部は、当該液体吐出装置の幅方向に複数の板材が配列した第1の櫛と、前記第1の櫛の幅方向に設けられた板状の第1の平板とを有し、前記第2の回転規制部は、前記幅方向に複数の板材が配列した第2の櫛と、前記第2の櫛の幅方向に設けられた板状の第2の平板を有し、前記液体収容体が前記装置本体に装着された状態で、前記第1の櫛と前記第2の櫛とが嵌合するとともに、前記第1の櫛と前記第2の平板、および前記第2の櫛と前記第1の平板との協働によって前記ハンドルの回転が規制される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装着体を液体吐出装置に装着した状態において、ハンドルの位置を所定の位置に維持することができ、装着体が取り出し困難となるような事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の液体吐出装置の第1の実施の形態における外観構成を示す概略斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態における嵌合部の一例を示す拡大図である。
【
図5】ハンドルの回転を説明するための側面図である。
【
図6】第2の実施の形態における液体収容体の概略斜視図である。
【
図7】第2の実施の形態における嵌合部の第1の例の拡大図である。
【
図8】第2の実施の形態における嵌合部の第2の例の拡大図である。
【
図9】第2の実施の形態における嵌合部の第3の例の拡大図である。
【
図10】第2の実施の形態における嵌合部の第4の例の拡大図である。
【
図11】第3の実施の形態における液体収容体の概略斜視図である。
【
図12】第4の実施の形態における液体収容体の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成要素は、本発明を構成する要素の例として挙げるものであり、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(第1の実施の形態)
【0010】
図1は、液体吐出装置10の外観構成を示す概略斜視図である。
図1に示されるように液体吐出装置10に対して、装着体105(
図2において詳述するが、装着体105は、袋状部材110と接続部材120とを備えた液体収容体100をケース61に収納して構成される)が着脱可能な構成である。液体吐出装置10は、例えば、インクジェット方式のプリンタであって、液体吐出装置10が備える記録ヘッド(不図示)からインク滴を吐出して記録媒体にインクドットを記録することによって画像を形成する。インクは、例えば、着色成分を含有した例えば顔料インクであってもよい。記録媒体は、例えば印刷用紙である。液体収容体100は、可撓性の袋体から構成される袋状部材110と、袋状部材110を液体吐出装置10と接続するとともに、ケース61に対して着脱する操作部を備えた接続部材120とを備える。
袋状部材110は、記録ヘッドによって吐出される液体(インク)が収容される。装着体105を液体吐出装置10へ装着することで、袋状部材110内の液体が記録ヘッドに供給可能になる。また、接続部材120は、その先端部側に液体導出口131、電気接続部140が、また後端側には袋状部材110をケース61に対して着脱するハンドル170を備えている。各構成については以下で詳細に説明する。
なお、以下の説明に使用する図面おいて、
図1に示すように、液体吐出装置10の幅方向をX軸とし、液体吐出装置10の奥行方向(装着体105の着脱方向)をY軸とし、液体吐出装置10の高さ方向をZ軸として説明する。
【0011】
図2は、
図1に示した装着体105の概略斜視図である。
図2(a)は、袋状部材110と接続部材120とを備える液体収容体100がケース61に収容されて構成される装着体105の概略斜視図である。また、
図2(b)はケース61と液体収容体100とを分離して示す概略斜視図、
図2(c)は接続部材120からハンドル170を分離して示す概略斜視図である。液体収容体100は、装置本体への着脱方向(
図1あるいは
図2におけるY方向であり、以下では長手方向と称する)を長手方向とする略長方形形状をしており、装置本体への装着方向に関して先端側に接続部材120が、後端側に袋状部材110が配されている。長手方向は、液体収容体100の幅方向(
図2におけるX方向)と直交する方向である。液体収容体100の高さ(
図2の紙面上、上下方向(Z方向)の長さ)は、液体収容体100の長さ(長方形形状の長手方向の長さ)および幅(長方形形状の短手方向の長さ)よりも小さい。この「高さ」、「長さ」および「幅」は、各方向において液体収容体100の最も外側に位置する部位同士の間の当該方向における距離を意味している。つまり、液体収容体100は、厚みの薄い平板な形状を有している。そのため、液体収容体100によれば、ケース61上における配置姿勢について高い安定性を得ることができる。
【0012】
液体収容体100を構成する袋状部材110は、内部に液体を収容する収容体である。袋状部材110は、可撓性を有する。袋状部材110の可撓性は、自重によって撓む程度であってもよいし、自重に対してはその形状を保持し、自重よりも大きな荷重が加えられたときに撓む程度であってもよい。袋状部材110は、装置本体への着脱方向を長手方向とする略長方形形状を有している。袋状部材110は、2枚のシート部材を重ね合わせて、それらの外周端部を溶着することによって構成される。シート部材は、可撓性、ガスバリア性および液不透過性を有する素材を用いて形成されている。各シート部材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどのフィルム部材を用いて構成されてもよい。各シート部材は、このような素材で構成されたフィルムを複数枚、積層して構成されていてもよい。この場合、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPETまたはナイロンのフィルムを用いて形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンのフィルムを用いて形成してもよい。さらに、その積層構造には、アルミニウムなどを蒸着した層が追加されてもよい。
【0013】
液体収容体100を構成する接続部材120は
図2(a)に示すように、装着体105の装着方向における先端側の端部に固定されている。接続部材120は、対応する液体吐出装置10の接続受入部に接続する機能と、液体収容体100をケース61に着脱する機能と、固定する機能と、を有する。接続部材120の外観の概略を説明する。接続部材120は、概ね、水平面上で長手方向と直交する方向(上述した幅方向。以下、幅方向と称する)を長手方向とする略直方体形状を有している。接続部材120の幅(幅方向の長さ)は、袋状部材110の幅(幅方向の長さ)よりも、わずかに長い。それらの互いの差は、例えば、数mm~十数mm程度であるとしてもよい。接続部材120の本体部は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材を成形することによって作製される。
【0014】
接続部材120は、液体導出口131と電気接続部140とを有する。液体導出口131は、液体収容体100が装置本体に装着される方向に開口している開口部である。つまり、液体導出口131の中心軸は、長手方向に平行である。液体導出口131は、液体収容体100が装置本体に装着される方向側の先端部に取り付けられている供給口部を介して、袋状部材110内部の液体収容領域である収容部に連通している。液体導出口131は、接続部材120の幅方向におけるほぼ中央の位置に設けられている。液体導出口131は、袋状部材110が固定されているのとほぼ同様な高さ位置に形成されている。装着体105を装置本体に装着することによって、液体導出口131には、液体吐出装置10内の液体導入部が挿入される。
電気接続部140は、液体吐出装置10内の装置側電気接続部に接続するための基板141を備えている。基板141の表面には、複数の端子が配置されている。複数の端子は、装置側電気接続部の端子に対応する位置に配置されている。基板141の表面とは反対側の面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気接続部の接続を検出するための回路などが設けられていてもよい。本実施形態では、電気接続部140は、接続部材120の液体収容体100が装置本体に装着される方向側の端部に設けられている。また、電気接続部140は、幅方向において液体導出口131よりも接続部材120の端側に位置している。接続部材120には、電気接続部140の基板141を配置するための基板配置部144が長手方向および液体収容体100の高さ方向(以下、高さ方向と称する)に窪んだ凹部として形成されている。基板配置部144には、長手方向と高さ方向との間の斜め上方の方向に向いている傾斜面144sが形成されている。基板141は、傾斜面144s上に、傾斜面144sとほぼ平行な配置角度で傾斜配置されている。つまり、基板141の表面141sの接触面の法線ベクトルは、長手方向のベクトル成分と、高さ方向のベクトル成分と、を有している。
このように、基板141は、表面141sが高さ方向を向くように配置されている。そのため、装置側電気接続部が電気的に接続されるときには、電気接続部140は、装置側電気接続部から少なくとも下方に向かう力を受けつつ、装置側電気接続部に電気的に接触することになる。この下方に向かう力によって、電気接続部140と装置側電気接続部との間の接触状態が良好になり、電気接続部140の電気的な接続性が高められる。
加えて、液体収容体100をケース61とともに液体吐出装置10のケース収納部から取り出す際には、装置側電気接続部から受けている下方に向かう力によって、液体収容体100の液体吐出装置10からの取り出し方向への移動が補助される。従って、液体収容体100の液体吐出装置10からの取り出しが簡易化される。基板141は、基板配置部144の奥まった位置に設置されている。基板141は、幅方向における両側において、基板141の表面141sよりも長手方向および高さ方向に突出している2つの壁部145によって挟まれている。これらの壁部145は基板141の保護する部材として機能する。そのため、例えば、利用者が基板141に誤って触れてしまうことや、液体収容体100が誤って落下してしまったときなどに基板141が損傷してしまうことなどを防止することができる。
【0015】
ケース61は、装置本体への着脱方向を長手方向とする略直方体形状を有している。ケース61は、水平面上で上部が開口している中空の箱体として形成されている。ケース61は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。ケース61は、底面壁部200と、2つの側壁部201,202と、2つの後面壁部203と、前面壁部205と、を備える。底面壁部200は、ケース61の底面部を構成する略長方形形状の壁部であり、長手方向および幅方向に延在している。本明細書において「延在する」とは、分断されることなく、ある方向に連続して延びている構成を意味する。延在している途中には、凹凸や屈曲部、孔部、接合部が設けられていてもよい。液体収容体100は、底面壁部200の上に配置される。底面壁部200は、液体収容体100が配置されたときに、少なくとも袋状部材110の全体が収まる程度のサイズを有している。側壁部201,202の高さは、液体収容体100の接続部材120の高さとほぼ一致する。2つの後面壁部203は、底面壁部200の長手方向側の端部において高さ方向へ向かって立っている。各後面壁部203は、幅方向の両端に設けられており、2つの側壁部201,202のうちの幅方向において同じ側にある方に連結されている。液体収容体100がケース61に収容された状態では、2つの後面壁部203の間に液体導出口131が配置される。2つの後面壁部203の高さは、側壁部201,202それぞれの高さよりも低い。2つの後面壁部203は、液体収容体100がケース61に収容された状態において、接続部材120の電気接続部140および第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155よりも下側の部位を覆うように形成されている。前面壁部205は、底面壁部200の、液体収容体100の液体吐出装置10からの取り出し方向側の端部において、幅方向および高さ方向へ延在しており、底面壁部200と2つの側壁部201,202とに連結されている。
【0016】
ハンドル170は、利用者が液体収容体100をケース61に対して着脱するなど移動させるときなどに把持する部位である。本実施形態では、ハンドル170は、ポリプロピレン等の樹脂部材の成形によって作製される。
図2(b)は、液体収容体100をケース61から取り外したときの様子を示す概略斜視図である。ハンドル170は
図2(b)に示すように、把持部171と、2つの連結部172,173と、2つの基端部174,175と、液体収容体側嵌合部155と、を備える。把持部171は、利用者が手を掛けるための部位である。把持部171は、幅方向に延びている。本実施形態では、把持部171の幅方向における長さは、接続部材120の幅方向における長さよりもわずかに短く、袋状部材110の幅方向における長さよりもわずかに長い。2つの連結部172,173は、把持部171の両端から、長手方向へ延びている。連結部172は、把持部171の幅方向における一方の端部と基端部174とを連結している。連結部173は、把持部171の幅方向における他方の端部と基端部175とを連結している。基端部174,175それぞれは略円柱形状を有する軸状部位であり、幅方向に沿って互いに対向するように突出している。把持部171および連結部172,173は、軽量化のために、適宜、肉抜きされていることが望ましい。基端部174は、連結部172の端部において、幅方向の液体収容体100の内側へ向かう方向へ突出している。基端部175は、連結部173の端部において、幅方向の液体収容体100の内側へ向かう方向へ突出している。2つの基端部174,175それぞれは、接続部材120の固定部176に接続されている。固定部176によって、ハンドル170は、液体収容体100の着脱方向に交差する軸であって、接続部材120に幅方向に延びる軸を中心に回転可能に固定される。本実施形態では、固定部176は、幅方向に延びている軸穴によって構成されており、基端部174,175それぞれは、その軸孔に幅方向に挿入されている。ハンドル170は、液体収容体100がケース61に収容された状態において露出する位置に設けられている。ハンドル170は、利用者が見ることができ、かつ、操作が可能な位置に設けられている。ハンドル170は、利用者の操作に応じて、接続部材120に対して回転する。ハンドル170は、袋状部材110側から接続部材120側に向かう方向と、接続部材120から袋状部材110に向かう方向との双方向に回転が可能である。ハンドル170の回転の中心である回転軸は、2つの基端部174,175の中心軸に一致する。ハンドル170が回転し、液体収容体側嵌合部155が突き当て面158に当たると回転は止められる。ハンドル170は、ハンドル170の2つの基端部174,175の中心軸(以下、回転軸RXと称する)を中心として回転する。
【0017】
ハンドル170を利用することにより、液体収容体100の持ち運びやケース61へ着脱など、液体収容体100の取り回しの際の利便性が高められる。特に、本実施形態では、ハンドル170は、幅方向に延びている把持部171を有することによって、利用者が把持しやすい形状となっている。また、ハンドル170は、基端部174,175の2点で接続部材120に固定されるため、安定して回転させることができる。このように、本実施形態のハンドル170の形状であれば、高い操作性が得られるため、液体収容体100の取り回しやすさが高められる。
【0018】
液体収容体側嵌合部155は、ハンドル170の装着体105の装着方向の端部に設けられている。
図2(c)は、ハンドル170を接続部材120から取り外したときの様子を示す概略斜視図である。
図2(c)に示すように、液体収容体側嵌合部155は、ハンドル170の連結部172の延長線上、基端部174を挟んで把持部171と対向する側の位置に設けられている。液体収容体側嵌合部155は、幅方向において、液体導出口131を挟んで電気接続部140とは反対側に設けられている。液体収容体側嵌合部155は、装着方向に並列に延びている略矩形状の複数の第2の櫛156が配列された凹凸構造を有している。液体収容体側嵌合部155における櫛156とその間に形成される凹部である谷間部157との幅方向における配列パターンは、接続対象である液体吐出装置10内部の嵌合部(第1の嵌合部)の凹凸構造における配列パターンとは凹凸が逆になっている。液体吐出装置10には液体収容体100を装着するための複数の接続受入部(スロット)が設けられており、液体収容体100に収容されるインクの種類(例えば、色)ごとにその液体収容体100が装着される接続受入部が決められている。液体収容体100を装着方向に移動させて、対応する液体吐出装置10に接続させるときには、液体収容体100と接続受入部との組み合わせが適切である場合、液体吐出装置10側の嵌合部の凹凸構造と液体収容体100の液体収容体側嵌合部155の凹凸構造との嵌合が許容される。一方、液体収容体100と接続受入部との組み合わせが適切でない場合には、液体吐出装置10側の嵌合部の凹凸構造が液体収容体100の液体収容体側嵌合部155の凹凸構造に適合せず、嵌合することができない。従って、対応していない間違った液体収容体100が、接続受入部に接続されてしまうことが抑制される。
【0019】
なお、ハンドル170の少なくとも一部の表面を液体収容体100に収容されるインクの色に着色しておき、さらにその液体収容体100の液体収容体側嵌合部155の凹凸構造を、その色のインクの液体収容体100が収容される接続受入部の嵌合部の凹凸構造と対応する構造(形状)としておく。これにより、色ごとのハンドル170と液体収容体側嵌合部155との組み合わせを有した接続部材120とすることができ、部品点数を削減することができる。
【0020】
図3は、本形態における液体吐出装置10内部の装置側嵌合部55および液体収容体側嵌合部155の一例を示す拡大図である。
図3(a)は、上面図であり、
図3(b)は、
図3(a)の構造を
図3(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図3(c)は、装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合したときの構造を
図3(a)に示したA方向から見た側面図である。第1の嵌合部である装置側嵌合部55と第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155とは、幅方向における配列パターンが互いに逆となる凹凸構造(補完構造)を有することで、嵌合時の幅方向のがたつきを抑えることができる。このように、液体吐出装置10側嵌合部55は、液体吐出装置10本体に装着できる液体収容体100を規制する櫛54を有し、液体収容体側嵌合部155は、液体吐出装置10本体に装着できる液体収容体100を規制する櫛156を有する。櫛54は、幅方向に複数の板材が配列した第1の櫛であり、櫛156は、幅方向に複数の板材が配列した第2の櫛である。また、ケース61に収納された液体収容体100を液体吐出装置10に装着する際に抵抗なく嵌合できるよう、液体収容体側嵌合部155の各櫛156の稜線をテーパ形状としている。液体収容体側嵌合部155は、ハンドル170と一体となっており、ハンドル170の回転軸RX(
図5参照)を中心とした回転と連動して、回転軸RXを中心として回転する。装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155との嵌合時に、回転軸RXを中心とした液体収容体側嵌合部155の回転を妨げるために、装置側嵌合部55および液体収容体側嵌合部155にはそれぞれ凹凸構造の下部に第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56,57が設けられている。
図3(c)に示すように、液体収容体100が液体吐出装置10本体に装着されて装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合すると、回転止め56と櫛156とが当接または対向し、ハンドル170が幅方向を中心として上方へ回転することを規制する。また、液体収容体100が液体吐出装置10本体に装着されて装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合すると、回転止め57と櫛54とが当接または対向し、ハンドル170が幅方向を中心として下方へ回転することを規制する。回転止め56は、櫛54の下面に設けられ櫛54から引き込んだ第1の平板である。回転止め57は、櫛156の下面に設けられ櫛156から引き込んだ第2の平板である。
このようにハンドル170に液体収容体側嵌合部155を形成することで、ハンドル位置が規制されるため、袋状部材110に対して加圧状態を構成することが規制される。また、装着体105を装置に装着した場合に反動などでハンドルが傾斜してしまうことがなく、液体吐出装置内でハンドルが噛みこみ、装着体の取り出しが困難になるおそれがなくなる。
【0021】
図4は、本形態における液体吐出装置10内部の装置側嵌合部55および液体収容体側嵌合部155の他の例を示す拡大図である。
図4(a)は、上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)の構造を
図4(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図4(c)は、装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合したときの構造を
図4(a)に示したA方向から見た側面図である。櫛54および櫛156の構造は、
図3に示したものと同じである。装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155との嵌合時に、回転軸RX(
図5参照)を中心とした液体収容体側嵌合部155の回転を妨げるために、装置側嵌合部55および液体収容体側嵌合部155にはそれぞれ凹凸構造の上部に第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56,57が設けられている。
図4(c)に示すように、液体収容体100が液体吐出装置10本体に装着されて装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合すると、回転止め57と櫛54とが当接または対向し、ハンドル170が幅方向を中心として上方へ回転することを規制する。また、液体収容体100が液体吐出装置10本体に装着されて装置側嵌合部55と液体収容体側嵌合部155とが嵌合すると、回転止め56と櫛156とが当接または対向し、ハンドル170が幅方向を中心として下方へ回転することを規制する。回転止め56は、櫛54の上面に設けられ櫛54から引き込んだ第1の平板である。回転止め57は、櫛156の上面に設けられ櫛156から引き込んだ第2の平板である。
【0022】
上述した通り、ハンドル170は、装置側嵌合部55に設けられた回転止め56と、液体収容体側嵌合部155に設けられた回転止め57の相互関係によって、装着体が装置に装着された際の位置が規制される。すなわち、液体収容体100を液体吐出装置10に装着した状態において、ハンドル170の把持部171は、袋状部材110から離間した位置に保持される。これにより、液体収容体100の液体吐出装置10への装着状態において、袋状部材110がハンドル170によって押圧されることがない。そのため、袋状部材110内の収容部における圧力状態がハンドル170から受ける圧力によって悪化してしまうことが抑制される。また、液体収容体100を液体吐出装置10に装着した状態において、ハンドル170は、ケース61の高さ方向にはみ出さない。これにより、液体収容体100の液体吐出装置10への装着時の反動等でハンドル170が通常よりも上方に固定されることがなくなり、ケース61を水平方向に引き出す際に液体吐出装置10内で噛みこみ、取り出しが困難になることなくなる。
【0023】
図5は、ハンドル170の回転を説明するためのハンドル170の側面図である。ハンドル170の袋状部材110から離間する方向の回転範囲は、液体収容体側嵌合部155と回転突き当て面158とによって制限される。
図5(a)に示すように、装着状態における液体収容体側嵌合部155の、接続部材120の高さ方向とは逆方向に回転突き当て面158を設ける。ケース61から液体収容体100を取り出す際、ハンドル170の把持部171を接続部材120の高さ方向に持ち上げていくと、回転軸RXを対称に、液体収容体側嵌合部155は接続部材120の高さ方向とは逆方向に下がっていく。液体収容体側嵌合部155が回転突き当て面158に当たるとハンドル170の回転は止められ、さらに把持部171を持ち上げることで液体収容体100をケース61から取り外すことができる(
図5(b))。
【0024】
本実施の形態によれば、液体収容体100を液体吐出装置10に装着した状態において、ハンドル170と一体となっている液体収容体側嵌合部155が、液体吐出装置10に具備された装置側嵌合部55と嵌合することによって回転軸RXを中心とした回転が押えられる。したがって、液体収容体100の液体吐出装置10への装着時にハンドル170が一定の位置に固定される。これにより、上述のように袋状部材である袋状部材内の圧力状態の悪化や、取り出し時の不具合の発生を抑えることができる。
(第2の実施の形態)
【0025】
図6は、第2の実施の形態における液体吐出装置に収容される液体収容体100bの概略斜視図である。
図6(a)は、第2の実施の形態における液体収容体100bが収容された装着体の概略斜視図である。
図6(a)が示す状態は、液体収容体100bがケース61に収められた装着体105bの状態である。液体収容体100bは、インクパックであり、袋状部材110と、接続部材120bと、を備える。
図6(b)は、液体収容体100bをケース61から取り外したときの様子を示す概略斜視図である。ハンドル170bは
図6(b)に示すように、把持部171と、2つの連結部172,173と、2つの基端部174,175と、液体収容体側嵌合部155bと、を備える。接続部材120bは、接続部材120bに備えられている液体収容体側嵌合部155bの構造が、第1の実施の形態における接続部材120に備えられている液体収容体側嵌合部155の構造と異なる。
【0026】
液体収容体側嵌合部155bは、ハンドル170bの装着体105bの装着方向の端部に設けられている。
図6(c)は、ハンドル170bを接続部材120bから取り外したときの様子を示す概略斜視図である。
図6(c)に示すように、ハンドル170bにおける液体収容体側嵌合部155bが設けられている位置は、第1の実施の形態における液体収容体側嵌合部155が設けられている位置と同じである。液体収容体側嵌合部155bにおける櫛156とその間に形成される谷間部157との幅方向における凹凸の配列パターンは、接続対象である液体吐出装置10b内部の嵌合部の凹凸構造における配列パターンとは凹凸が逆になっている。液体吐出装置10bには複数の液体収容体100bを装着するための複数の接続受入部(スロット)が設けられており、液体収容体100bに収容されるインクの色ごとにその液体収容体100bが装着される接続受入部が決められている。また、第1の実施の形態と同様に、ハンドル170bを液体収容体100bに収容されるインクの色に着色しておき、さらにその液体収容体100bの液体収容体側嵌合部155bの凹凸構造を、その色のインクの液体収容体100bが収容される接続受入部の嵌合部の凹凸構造と対応する構造(形状)としておく。
以下で説明するように、第2の実施の形態では、回転止め56b、57bが装置側嵌合部55b、液体収容体側嵌合部155b全体を覆うように構成されている。
【0027】
図7は、本形態における液体吐出装置10b内部の装置側嵌合部55bおよび液体収容体100b側の液体収容体側嵌合部155bの第1の例の拡大図である。
図7(a)は、上面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の構造を
図7(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図7(c)は、装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとが嵌合したときの構造を
図7(a)に示したA方向から見た側面図である。第1の嵌合部である装置側嵌合部55bおよび第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155bそれぞれの櫛54および櫛156の構造および幅方向における配列パターンは、第1の実施の形態におけるものと同じである。液体収容体側嵌合部155bは、ハンドル170bと一体となっており、ハンドル170bの回転軸RX(
図5参照)を中心とした回転と連動して、回転軸RXを中心として回転する。装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとの嵌合時に、回転軸RXを中心とした液体収容体側嵌合部155bの回転を妨げるために、
図7(b)に示す通り、装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bにはそれぞれ凹凸構造の下部であって、嵌合部全体にわたって、第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56b,57bが設けられている。回転止め56bは、櫛54の下面との間に回転止め57bが挿入可能な空隙(ギャップ)を介して設けられている第1の平板である。回転止め57bは、櫛156の下面に設けられている第2の平板である。
図7(c)に示すように、液体収容体100bが液体吐出装置10本体に装着された状態で、回転止め56bは回転止め57bに当接または対向し、回転止め57bは櫛54および回転止め56bに当接または対向する。
回転止めを嵌合部全体に構成することにより、第1の実施の形態の途中まで形成された回転止めの構成よりもより強固に回転止めの効果を発揮することができる。構造的な強度が向上することにより、構造体としての信頼性が高まる。
【0028】
図8は、本形態における液体吐出装置10b内部の装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bの第2の例の拡大図である。
図8(a)は、上面図であり、
図8(b)は、
図8(a)の構造を
図8(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図8(c)は、装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとが嵌合したときの構造を
図8(a)に示したA方向から見た側面図である。第1の嵌合部である装置側嵌合部55bおよび第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155bそれぞれの櫛54および櫛156の構造および幅方向における配列パターンは、第1の実施の形態におけるものと同じである。液体収容体側嵌合部155bは、ハンドル170bと一体となっており、ハンドル170bの回転軸RX(
図5参照)を中心とした回転と連動して、回転軸RXを中心として回転する。装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとの嵌合時に、回転軸RXを中心とした液体収容体側嵌合部155bの回転を妨げるために、
図8(b)に示す通り、装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bにはそれぞれ凹凸構造の下部にそれぞれ第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56b,57bが設けられている。回転止め56bは、櫛54の下面に設けられている第1の平板である。回転止め57bは、櫛156の下面との間に回転止め56bが挿入可能な空隙(ギャップ)を介して設けられている第2の平板である。この構造は、
図7(b)に示した回転止め56b,57bと逆の構成となっている。
図8(c)に示すように、液体収容体100bが液体吐出装置10本体に装着された状態で、回転止め56bは櫛156および回転止め57bに当接または対向し、回転止め57bは回転止め56bに当接または対向する。
【0029】
図9は、本形態における液体吐出装置10b内部の装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bの第3の例の拡大図である。
図9(a)は、上面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の構造を
図9(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図9(c)は、装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとが嵌合したときの構造を
図9(a)に示したA方向から見た側面図である。装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bの上方からでは、櫛54および櫛156はそれぞれ回転止め56bおよび回転止め57bの配置により視認不可能であるため、
図9(a)においては破線で示している。第1の嵌合部である装置側嵌合部55bおよび第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155bそれぞれの櫛54および櫛156の構造および幅方向における配列パターンは、第1の実施の形態におけるものと同じである。液体収容体側嵌合部155bは、ハンドル170bと一体となっており、ハンドル170bの回転軸RX(
図5参照)を中心とした回転と連動して、回転軸RXを中心として回転する。装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとの嵌合時に、回転軸RXを中心とした液体収容体側嵌合部155bの回転を妨げるために、装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bにはそれぞれ凹凸構造の上部にそれぞれ第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56b,57bが設けられている。回転止め56bは、櫛54の上面との間に回転止め57bが挿入可能な空隙(ギャップ)を介して設けられている第1の平板である。回転止め57bは、櫛156の上面であって、嵌合部全体にわたって、設けられている第2の平板である。
図9(c)に示すように、液体収容体100bが液体吐出装置10本体に装着された状態で、回転止め56bは回転止め57bに当接または対向し、回転止め57bは櫛54および回転止め56bに当接または対向する。
【0030】
図10は、本形態における液体吐出装置10b内部の装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bの第4の例の拡大図である。
図10(a)は、上面図であり、
図10(b)は、
図10(a)の構造を
図10(a)に示したA方向から見た側面図であり、
図10(c)は、装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとが嵌合したときの構造を
図10(a)に示したA方向から見た側面図である。装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bの上方からでは、櫛54および櫛156はそれぞれ回転止め56bおよび回転止め57bの配置により視認不可能であるため、
図9(a)においては破線で示している。第1の嵌合部である装置側嵌合部55bおよび第2の嵌合部である液体収容体側嵌合部155bそれぞれの櫛54および櫛156の構造および幅方向における配列パターンは、第1の実施の形態におけるものと同じである。液体収容体側嵌合部155bは、ハンドル170bと一体となっており、ハンドル170bの回転軸RX(
図5参照)を中心とした回転と連動して、回転軸RXを中心として回転する。装置側嵌合部55bと液体収容体側嵌合部155bとの嵌合時に、回転軸RXを中心とした液体収容体側嵌合部155bの回転を妨げるために、装置側嵌合部55bおよび液体収容体側嵌合部155bにはそれぞれ凹凸構造の上部にそれぞれ第1の回転規制部および第2の回転規制部である回転止め56b,57bが設けられている。回転止め56bは、櫛54の上面に設けられている第1の平板である。回転止め57bは、櫛156の上面との間に回転止め57bが挿入可能な空隙(ギャップ)を介して設けられている第2の平板であり、
図9(b)の構成と逆である。
図10(c)に示すように、液体収容体100bが液体吐出装置10本体に装着された状態で、回転止め56bは櫛156および回転止め57bに当接または対向し、回転止め57bは回転止め56bに当接または対向する。
【0031】
本実施の形態によれば、液体収容体100bを液体吐出装置10に装着した状態において、ハンドル170bと一体となっている液体収容体側嵌合部155bが、液体吐出装置10bに具備された装置側嵌合部55bと嵌合することによって回転軸RXを中心とした回転が押えられる。したがって、液体収容体100bの液体吐出装置10bへの装着時にハンドル170bが一定の位置に固定される。これにより、上述のように袋状部材の圧力状態の悪化や、取り出し時の不具合の発生を抑えることができる。
また、回転止めを嵌合部全体に構成することにより、第1の実施の形態の途中まで形成された回転止めの構成よりもより強固に回転止めの効果を発揮することができる。構造的な強度が向上することにより、構造体としての信頼性が高まる。
(第3の実施の形態)
【0032】
電気接続部がハンドルと一体化されているものであってもよい。
図11は、第3の実施の形態において、液体収容体100cがケース61から取り外されたときの装着体105cの概略斜視図である。第3の実施の形態は、第1の実施の形態のハンドルに電気接続部が設けられた形態である。装着体105cは、液体収容体100cとケース61から構成される。液体収容体100cのハンドル170cは、液体収容体側嵌合部155と電気接続部140cとを有する。電気接続部140cは、ハンドル170cの装着体105cの装着方向の端部に設けられている。電気接続部140cは、ハンドル170cの連結部173の延長線上、基端部175を挟んで把持部171とは反対側の位置に設けられている。電気接続部140cは、装置側電気接続部に接続するための基板141cを備えている。基板141cの表面141scには、複数の端子が配置されている。複数の端子は、装置側電気接続部の端子に対応する位置に配置されている。基板141cの表面141scとは反対側の面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気接続部の接続を検出するための回路などが設けられていてもよい。基板141cが配置された基板配置部144cには、長手方向と高さ方向との間の斜め上方の方向に向いている傾斜面144scが熱カシメ等の加工法により固定されている。電気接続部140cは、傾斜面144sc上に、傾斜面144scとほぼ平行な配置角度で傾斜配置されている。つまり、基板141cの表面141scの接触面の法線ベクトルは、長手方向のベクトル成分と、高さ方向のベクトル成分と、を有している。装着状態での基板141cは、基板配置部144cの奥まった位置に設置されている。基板141cは、幅方向における両側において、基板141cの表面141scよりも長手方向および高さ方向に突出している2つの壁部145によって挟まれている。本実施の形態では、ハンドル170cの把持部171を高さ方向に持ち上げていくと、回転軸RXを対称に、電気接続部140cは高さ方向とは逆の方向へ下がっていく。この回転により、電気接続部140cは壁部145のさらに奥まで入り込み、液体収容体100cを取り出すに利用者が基板141cに誤って触れることによる損傷を防止することができる。また、本実施の形態において、液体収容体側嵌合部155の構造は第1の実施の形態において説明した構成と同様の構成を採用している。液体収容体側嵌合部155は液体吐出装置10内の嵌合部と嵌合されることで、ハンドル170cも一定の位置で固定される。これにより、電気接続部140cの位置も装着状態では一定となり、装置側電気接続部との間の接触不良を抑えられる。
このように、ハンドルに電気接続部を設けた場合、ハンドルの不要な回動を抑制するために設けた液体収容体側嵌合部155の構造が電気接続部の位置決め構造としても活用できる。
(第4の実施の形態)
【0033】
図12は、第4の実施の形態において、液体収容体100dがケース61から取り外されたときの装着体105dの概略斜視図である。第4の実施の形態は、第2の実施の形態のハンドルに電気接続部が設けられた形態である。装着体105dは、液体収容体100dとケース61から構成される。液体収容体100dのハンドル170dは、液体収容体側嵌合部155bと電気接続部140cとを有する。電気接続部140cは、ハンドル170dの装着体105dの装着方向の端部に設けられている。電気接続部140cは、ハンドル170dの連結部173の延長線上、基端部175を挟んで把持部171とは反対側の位置に設けられている。電気接続部140cは、装置側電気接続部に接続するための基板141cを備えている。基板141cの表面141scには、複数の端子が配置されている。複数の端子は、装置側電気接続部の端子に対応する位置に配置されている。基板141cの表面141scとは反対側の面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気接続部の接続を検出するための回路などが設けられていてもよい。基板141cが配置された基板配置部144cには、長手方向と高さ方向との間の斜め上方の方向に向いている傾斜面144scが熱カシメ等の加工法により固定されている。電気接続部140cは、傾斜面144sc上に、傾斜面144scとほぼ平行な配置角度で傾斜配置されている。つまり、基板141cの表面141scの接触面の法線ベクトルは、長手方向のベクトル成分と、高さ方向のベクトル成分と、を有している。装着状態での基板141cは、基板配置部144cの奥まった位置に設置されている。基板141cは、幅方向における両側において、基板141cの表面141scよりも長手方向および高さ方向に突出している2つの壁部145によって挟まれている。本実施の形態では、ハンドル170dの把持部171を高さ方向に持ち上げていくと、回転軸RXを対称に、電気接続部140cは高さ方向とは逆の方向へ下がっていく。この回転により、電気接続部140cは壁部145のさらに奥まで入り込み、液体収容体100dを取り出すに利用者が基板141cに誤って触れることによる損傷を防止することができる。また、本実施の形態において、液体収容体側嵌合部155bの構造は第2の実施の形態において説明した構成と同様の構成を採用している。液体収容体側嵌合部155bは液体吐出装置10b内の嵌合部と嵌合されることで、ハンドル170dも一定の位置で固定される。これにより、電気接続部140cの位置も装着状態では一定となり、装置側電気接続部との間の接触不良を抑えられる。
このように、ハンドルに電気接続部を設けた場合、ハンドルの不要な回動を抑制するために設けた液体収容体側嵌合部155の構造が電気接続部の位置決め構造としても活用できる。
【0034】
なお、第2の嵌合部と電気接続部とはそれぞれ、液体導出口の両側に設けられていればよく、どちらが液体導出口の右側でどちらが液体導出口の左側であると制限するものではない。ただし、第2の嵌合部および電気接続部それぞれの位置が、液体収容装置内部の嵌合部および装置側電気接続部それぞれの位置に応じた位置であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
10, 液体吐出装置
54,156 櫛
55,55b 装置側嵌合部
56,56b,57,57b 回転止め
100,100b,100c,100d 液体収容体
110 袋状部材
140,140c 電気接続部
155,155b 液体収容体側嵌合部
170,170b,170c,170d ハンドル