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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20240909BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20240909BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B41J2/447 101Z
B41J2/447 101E
B41J2/45
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020204728
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092136
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上倉 孝博
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/069940(WO,A1)
【文献】特開2019-064228(JP,A)
【文献】特開2011-170237(JP,A)
【文献】特開2008-196934(JP,A)
【文献】特開2007-007997(JP,A)
【文献】特開2008-012864(JP,A)
【文献】特開2002-207401(JP,A)
【文献】特開2020-057356(JP,A)
【文献】特開2006-192603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成し、該静電潜像にトナーを付着させて画像を形成する画像形成装置において、
画像信号を生成する画像信号生成部と、
前記感光体の表面に光を照射して前記静電潜像を形成する露光ヘッドであって、前記感光体の回転軸線方向に配列された複数の発光部と、前記画像信号生成部から画像信号線を介して伝送された画像信号に応じて前記複数の発光部が発光するように前記複数の発光部を駆動する駆動部と、前記駆動部に設けられ、情報が記憶される記憶部と、を有する露光ヘッドと、
前記駆動部との間で通信信号線を介して通信を行うことにより、前記駆動部の設定を行う設定部と、
前記画像信号線の不良に関する情報を報知する報知部と、
前記画像信号生成部と前記設定部と前記報知部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されたテストパターンの画像信号と、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されて前記記憶部に記憶され、前記設定部によって前記通信信号線を介して前記記憶部から読み出された前記テストパターンの画像信号とを比較して前記画像信号線の不良を検出し、前記画像信号線の不良を前記報知部に報知させるモードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記モードにおいて、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送された第1テストパターンの画像信号と、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されて前記記憶部に記憶され、前記設定部によって前記通信信号線を介して前記記憶部から読み出された前記第1テストパターンの画像信号とを比較し、且つ、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送され、前記第1テストパターンに対して各ビットの論理が反転した部分を有する第2テストパターンの画像信号と、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されて前記記憶部に記憶され、前記設定部によって前記通信信号線を介して前記記憶部から読み出された前記第2テストパターンの画像信号とを比較して前記画像信号線の不良を検出し、前記画像信号線の不良を前記報知部に報知させるモードを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像信号線は、前記画像信号生成部から前記駆動部へ片方向の通信が行われる信号線であり、前記通信信号線は、前記設定部と前記駆動部との間で双方向の通信が行われる信号線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記複数の発光部を発光させるための駆動電圧を生成する駆動電圧生成部を備え、前記モードが実行されている時、前記駆動電圧生成部による駆動電圧の生成は停止されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像形成装置の電源がオンされたときに前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記露光ヘッドが交換されたときに前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成方式を用いてシートに画像を形成する電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置で画像を形成する場合、まず感光体の表面に画像データに応じた光を照射して露光処理を行うことにより静電潜像を形成する。その後、現像装置によって感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、トナー像をシートに転写し、シートに転写されたトナー像を定着装置によって加熱してシートに定着させて画像を形成する。
【0003】
ここで特許文献1では、感光体に光を照射して静電潜像を形成する光走査装置として、LEDを用いた発光部と、この発光部から照射される光を感光体の表面に結像させるレンズを有する露光ヘッドを用いる構成が記載されている。このような露光ヘッドを用いることで、レーザ光を回転多面鏡により偏向走査して静電潜像を形成するレーザ走査方式の光走査装置を用いる構成と比較して、部品点数の削減を図ることができ、画像形成装置の小型化や製造コストの削減を図ることができる。
【0004】
また露光ヘッドやレーザ走査方式の光走査装置は、画像形成装置から画像信号線を介して伝送された画像信号と、通信信号線を介して伝送された制御信号に応じて発光部を発光させる駆動部を有する。画像信号線に断線や接続不良等の不良がある場合、光走査装置に画像信号が正常に伝送されないため、露光処理が正常に行われず、シート上に出力される画像に画像不良が生じる可能性がある。これに対して特許文献2では、伝送監視ユニットを設けることにより画像信号線の不良を検出し、画像信号線の不良を報知する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-192603号公報
【文献】特開2007-060569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の構成では、伝送監視ユニットとして、プルアップ抵抗や電圧検出部を新たに設けて画像信号線の不良を検出している。このように画像信号線の不良を検出するためにプルアップ抵抗や電圧検出部を新たに設けると、画像形成装置の製造コストの増加を招来する。
【0007】
そこで本発明は、画像形成装置から露光ヘッドに画像信号を伝送する画像通信線の不良を容易な構成で検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成し、該静電潜像にトナーを付着させて画像を形成する画像形成装置において、画像信号を生成する画像信号生成部と、前記感光体の表面に光を照射して前記静電潜像を形成する露光ヘッドであって、前記感光体の回転軸線方向に配列された複数の発光部と、前記画像信号生成部から画像信号線を介して伝送された画像信号に応じて前記複数の発光部が発光するように前記複数の発光部を駆動する駆動部と、前記駆動部に設けられ、情報が記憶される記憶部と、を有する露光ヘッドと、前記駆動部との間で通信信号線を介して通信を行うことにより、前記駆動部の設定を行う設定部と、前記画像信号線の不良に関する情報を報知する報知部と、前記画像信号生成部と前記設定部と前記報知部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されたテストパターンの画像信号と、前記画像信号生成部から前記画像信号線を介して前記駆動部に伝送されて前記記憶部に記憶され、前記設定部によって前記通信信号線を介して前記記憶部から読み出された前記テストパターンの画像信号とを比較して前記画像信号線の不良を検出し、前記画像信号線の不良を前記報知部に報知させるモードを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置において、画像形成装置から露光ヘッドに画像信号を伝送する画像通信線の不良を容易な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】感光ドラムと露光ヘッドの斜視図と断面図である。
図3】露光ヘッドが備えるプリント基板の実装面を示す図である。
図4】画像コントローラ部と露光ヘッドのシステム構成を示すブロック図である。
図5】発光素子アレイチップの回路を説明する図である。
図6】シフトサイリスタのゲート電位の分布状態を説明する図である。
図7】発光素子アレイチップの駆動信号波形を示す図である。
図8】画像信号線の不良を検出するシーケンスのフローチャートである。
図9】画像信号線の不良を検出するシーケンスのフローチャートである。
図10】テストパターンを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置Aの全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーをシートに転写して画像を形成するフルカラー画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0013】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、画像を形成する画像形成部を有する。画像形成部は、感光体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、10K)、帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)、露光ヘッド6(6Y、6M、6C、6K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)、転写装置5(5Y、5M、5C、5K)を有する。
【0014】
また画像形成装置Aは、ユーザが操作することによって画像形成に関する各種の設定を行うタッチパネル方式の操作部300(報知部)を備える。ユーザは、操作部300を操作することで画像形成の枚数、画像が形成されるシートのサイズなどを指定することができる。ユーザによる操作部300の操作情報はCPU73(図4)に送られる。またCPU73(図4)は、操作部300に各種の情報を表示させることができる。
【0015】
次に、画像形成装置Aによる画像形成動作について説明する。画像を形成する場合、まずシートカセット99a又はシートカセット99bに収納されたシートSが、ピックアップローラ91a、91b、給送ローラ92a、92b、搬送ローラ93a~93cによってレジストローラ96に送られる。その後、シートSは、レジストローラ96によって所定のタイミングで搬送ベルト11に送り込まれる。
【0016】
一方、画像形成部においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム1Yの表面が帯電させられる。次に、画像読取部90によって読み取られた画像データ又は不図示の外部機器から送信された画像データに応じて露光ヘッド6Yが感光ドラム1Yの表面に光を照射し、感光ドラム1Yの表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、転写装置5Yに転写バイアスが印加されることで、搬送ベルト11によって搬送されているシートSに転写される。
【0017】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、露光ヘッド6M、6C、6Kから光が照射されて静電潜像が形成され、現像装置4M、4C、4Kによってマゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして転写装置5M、5C、5Kに転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像がシートS上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これによりシートSの表面には画像データに応じたフルカラーのトナー像が形成される。
【0018】
その後、トナー像を担持するシートSは、搬送ベルト97によって定着装置94に搬送され、定着装置94において加熱、加圧処理が施される。これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ98によって排出トレイ95に排出される。
【0019】
<露光ヘッド>
次に、露光ヘッド6の構成について説明する。
【0020】
図2(a)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の斜視図である。図2(b)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の断面図である。図3(a)、図3(b)は、露光ヘッド6が備えるプリント基板22の一方側と他方側の実装面を示す図である。図3(c)は、矢印Y方向に隣接する発光素子アレイチップ40の位置関係を示す概略図である。
【0021】
図2に示す様に、露光ヘッド6は、感光ドラム1の表面と対向する位置に、不図示の固定部材によって固定されている。露光ヘッド6は、光を出射するLEDアレイである発光素子アレイチップ40と、発光素子アレイチップ40を実装するプリント基板22を有する。また発光素子アレイチップ40から出射された光を感光ドラム1上に結像(集光)させるロッドレンズアレイ23と、ロッドレンズアレイ23とプリント基板22が固定されるハウジング24を有する。
【0022】
図3に示す様に、プリント基板22には、29個の発光素子アレイチップ40が千鳥状に二列に配列されて実装されている。また各々の発光素子アレイチップ40内には、その長手方向(矢印X方向)に所定の解像度ピッチで516個の発光部50(発光素子)が配列されている。
【0023】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の上記解像度ピッチは1200dpi(約21.16μm)である。また各々の発光素子アレイチップ40が有する発光部50の長手方向の一端部から他端部までの距離は約10.9mmである。つまり露光ヘッド6は、矢印X方向に合計で14964個の発光部50を備えており、これにより約316mm(≒約10.9mm×29チップ)の長手方向の画像幅に対応した露光処理が可能となっている。
【0024】
発光素子アレイチップ40の長手方向において、隣接する発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L1は約21.16μmとなっている。つまり各々の発光素子アレイチップ40の境界部において発光部50の長手方向のピッチは1200dpiの解像度のピッチとなっている。また発光素子アレイチップ40の短手方向(矢印Y方向)において、隣接する発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L2は約84μm(1200dpiで4画素分、2400dpiで8画素分)となっている。
【0025】
また発光素子アレイチップ40には、発光素子アレイチップ40に信号を出入力するためのワイヤボンディングパッド48が設けられている。発光素子アレイチップ40の転送部49や発光部50は、ワイヤボンディングパッド48から入力された信号によって駆動する。
【0026】
またプリント基板22における発光素子アレイチップ40の実装面と反対側の面にはコネクタ21が実装されている。またコネクタ21の矢印X方向の両側には、発光素子アレイチップ40-1~40-15を駆動する駆動部80aと、発光素子アレイチップ40-16~40-29を駆動する駆動部80bが設けられている。
【0027】
駆動部80a、80bから各々の発光素子アレイチップ40へは、発光素子アレイチップ40を駆動するための配線がプリント基板22の内層を通って接続されている。コネクタ21は、画像コントローラ部70(図4)から送信される駆動部80a、80bの制御信号の伝送、電源ライン、グランド線を接続するために設けられている。
【0028】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の長手方向である矢印X方向は、感光ドラム1の回転軸線方向であり、主走査方向でもある。また発光素子アレイチップ40の短手方向である矢印Y方向は、感光ドラム1の回転方向であり、副走査方向でもある。また矢印Z方向は、矢印X方向と矢印Y方向に直交する方向である。なお、発光素子アレイチップ40の長手方向は、感光ドラム1の回転軸線方向に対して±1°程度傾いていても構わない。また発光素子アレイチップ40の短手方向も感光ドラム1の回転方向に対して±1°程度傾いていても構わない。
【0029】
<露光ヘッドのシステム構成>
次に、露光ヘッド6と露光ヘッド6の制御を行う画像コントローラ部70の構成について説明する。画像コントローラ部70は、画像形成装置Aの本体側に設けられている。なお、以下では、単色の処理について説明するものの、画像形成動作を行う場合は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの四色について同様の処理を並列処理するものとする。また以下で説明する駆動部80aと発光素子アレイチップ40-1~40-15との構成と、駆動部80bと発光素子アレイチップ40-16~40-29との構成は同様であるものとする。
【0030】
図4は、画像コントローラ部70と露光ヘッド6のシステム構成を示すブロック図である。図4に示す様に、画像コントローラ部70は、画像信号生成部71、データ送信部72、CPU73(制御部)、同期信号生成部74、レジスタ設定制御部75(設定部)を備える。
【0031】
画像コントローラ部70は、上述した部位により、画像データの処理や画像形成タイミングの処理を行い、露光ヘッド6のプリント基板22に対して露光ヘッド6を制御するための制御信号を送信する。具体的には、制御信号は、画像信号、ライン同期信号、レジスタ設定制御部75の通信信号などであり、これらの信号は画像コントローラ部70のコネクタ76からケーブル77を介して露光ヘッド6のコネクタ21に伝送される。
【0032】
画像信号生成部71には、画像読取部90により読み取られた原稿の画像データや外部機器からネットワークを介して転送された画像データが入力される。画像信号生成部71は、入力された画像データに対して、CPU73により指示された解像度でディザリング処理を行い、画像を出力するための画像信号を生成する。また画像信号生成部71は、CPU73の指示により所定のテストパターンを生成して出力する。所定のテストパターンは、画像コントローラ部70の不図示の記憶部に予め記憶されている。
【0033】
同期信号生成部74は、1ライン分の時間間隔を示す信号であるライン同期信号を周期的に生成する。CPU73は、予め設定された感光ドラム1の回転速度に対し、感光ドラム1表面が回転方向に画像形成装置Aで形成される画像の副走査方向の解像度に応じた画素サイズ移動する周期を1ライン周期とし、同期信号生成部74に信号周期の時間間隔を指示する。
【0034】
例えば画像形成装置Aによって形成される画像の副走査方向の解像度は2400dpiであり、感光ドラム1は200mm/sで回転すると仮定する。この場合、感光ドラム1が2400dpiの画素サイズの距離(約10.5μm)移動する時間は52.9usとなり、ライン同期信号の周期は52.9usとなる。なお、感光ドラム1の回転速度は、不図示の記憶部に記憶された設定値に基づいてCPU73が算出する。
【0035】
レジスタ設定制御部75は、CPU73の指示に応じて、通信信号線77bを介して露光ヘッド6の駆動部80との間で通信を行い、駆動部80aが有する不図示のLUT(LookUp Table)、データ格納ゲート部87、RAM88、駆動電圧生成部86、発光データゲート部89の設定を行う。またレジスタ設定制御部75は、CPU73の指示に応じて、通信信号線77bを介して駆動部80との間で通信を行い、駆動部80が有するRAM88(記憶部)へのデータの書き込みや、RAM88やROM55からデータの読み出しを行う。本実施形態では、レジスタ設定制御部75と駆動部80aとの通信方式は、双方向通信であり、I2C(Inter-IntegratedCircuit)が想定されるものの、他の通信方式であってもよい。
【0036】
データ送信部72は、露光ヘッド6のデータ受信部81に対し、画像信号生成部71から出力された画像信号と、同期信号生成部74で生成されたライン同期信号を、ケーブル77の画像信号線77aを介して送信する。具体的には、データ送信部72は、データ受信部81に対し、ライン同期信号に同期してライン単位で画像信号を送信する。本実施形態では、データ送信部72からデータ受信部81への通信は片方向通信であり、LVDS(LOW VOLTAGE DIFFERENTIAL SIGNALING)を用いて複数のデータレーンによるシリアル通信を想定している。しかし通信方式はこの限りでなく、露光ヘッド6の作像条件に適合する通信を実施できればよい。
【0037】
データ受信部81で受信された画像信号及びライン同期信号は、データ格納ゲート部87を介してRAM88に送信されると共に、発光データゲート部89に送信される。発光データゲート部89は、レジスタ設定制御部75によってゲートのオープン、クローズの切り替え設定が行われる。発光データゲート部89のゲートがオープンの場合、データ受信部81から入力された画像信号及びライン同期信号はデータ分離部82に送信される。発光データゲート部89のゲートがクローズの場合、データ受信部81から入力された画像信号及びライン同期信号のデータ分離部82への入力が遮断される。
【0038】
データ分離部82は、画像信号とライン同期信号を分離し、画像信号を発光パルス生成部83に送信し、ライン同期信号をタイミング制御部84に送信する。なお、駆動部80aは、発光素子アレイチップ40-1~40-15に対応する画像信号を発光素子アレイチップ40毎に並列に処理する回路を有する。
【0039】
発光パルス生成部83は、データ分離部82から受信した画像信号を、発光素子アレイチップ40の主走査方向の解像度に対応する解像度に変換する。また発光パルス生成部83は、発光素子アレイチップ40の発光特性に応じたLUTを参照し、LUTに応じて発光素子アレイチップ40が1画素区間内で発光する発光時間に対応したパルス幅信号(PWM信号)を生成する。発光パルス生成部83がPWM信号を出力するタイミングは、タイミング制御部84によって制御される。
【0040】
駆動電圧生成部86は、PWM信号に同期して発光素子アレイチップ40を駆動する駆動電圧を生成する。駆動電圧生成部86は、発光素子アレイチップ40の発光部50の光量が所定の光量となるようにCPU73により出力信号の電圧レベルを5V中心に調整可能な構成となっている。本実施形態では、各々の発光素子アレイチップ40は、同時に四つの発光部50を独立して駆動できる構成である。駆動電圧生成部86は、発光素子アレイチップ40毎に駆動信号4ライン、露光ヘッド6全体では、千鳥状構成の1ライン(15チップ)×4=60ラインに駆動信号を供給する。各々の発光素子アレイチップ40に供給される駆動信号は、ΦW1~ΦW4とする(図5参照)。一方、後述するシフトサイリスタ(図5参照)の動作により、順次、発光素子アレイチップ40が駆動される。制御信号生成部85は、タイミング制御部84で生成された画素区間に対応する同期信号より、画素毎にシフトサイリスタを転送するための制御信号Φs、Φ1、Φ2を生成する(図5参照)。
【0041】
データ格納ゲート部87は、レジスタ設定制御部75から通信信号線77bを介して送信される信号に応じてゲートをオープン、クローズする。データ格納ゲート部87のゲートがオープンの場合、データ受信部81で受信された画像信号がRAM88に入力されて格納される。このようにデータ格納ゲート部87を設けて画像信号の格納の要否を選択することにより、画像信号の格納が不要な場合の消費電流を低減することができる。またRAM88は、レジスタ設定制御部75から通信信号線77bを介して送信された信号に応じて、格納している画像信号をレジスタ設定制御部75に送信する。
【0042】
また駆動部70aのROM55には、プリント基板22に千鳥状に実装された発光素子アレイチップ40-1~40-15の各々の発光部50の副走査方向の相対的な位置関係から演算された補正データが記憶されている。例えばROM55には、次のような測定データに基づく補正データが記憶されている。即ち、発光素子アレイチップ40-1の発光部50に対し、他の発光素子アレイチップ40-2~40-15の各々の発光部50が副走査方向に2400dpi相当で何画素ずれてプリント基板22に実装されているかを示す補正データが記憶されている。測定データは、プリント基板22に発光素子アレイチップ40-1~40-15を実装した後、測定装置によって各々の発光素子アレイチップ40の発光部50を点灯させ、その受光結果に基づいて計測される。
【0043】
CPU73は、画像形成装置Aの電源がオンされたことに応じてROM55から読み出した補正データをRAM88に設定する。CPU73は、RAM88に設定された補正データに基づいてシートSの1ページ内の画像領域全域に対し、画像信号生成部71から入力された画像データ(ラインデータ)を2400dpi単位でシフト処理する。このシフト処理により、画像形成位置の補正が行われる。
【0044】
なお、CPU73は、シートSの1ページ内の画像領域を複数に分割し、分割された複数の画像領域毎にシフト処理を実行する構成としてもよい。例えば発光素子アレイチップ40-1の発光部50に対し、発光素子アレイチップ40-2の発光部50が2400dpi相当で副走査方向に8画素ずれて駆動基板に実装されている場合、CPU73は次の処理を行う。即ちCPU73は、プリント基板22への発光素子アレイチップ40-1に対応する画像データの出力タイミングに対し、同一ラインをなす発光素子アレイチップ40-2に対応する画像データの出力タイミングを8画素分、遅延させる。このため、CPU73は、発光素子アレイチップ40-1に対応する画像データに対し、発光素子アレイチップ40-2に対応する全ラインデータをシフトさせる。このようにCPU73は、通信信号線77bを介して、RAM88やROM55へのデータの書き込み又は読み出しを行う。
【0045】
<SLED回路>
次に、SLED回路について説明する。
【0046】
図5は、本実施形態の自己走査型発光素子(Self-Scanning LED:SLED)チップアレイの一部分を抜き出した等価回路である。図5において、Ra、Rgはそれぞれアノード抵抗、ゲート抵抗であり、Tnはシフトサイリスタ、Dnは転送ダイオード、Lnは発光サイリスタを示す。また、Gnは、対応するシフトサイリスタTn、及びシフトサイリスタTnに接続されている発光サイリスタLnの共通ゲートを表している。ここで、nは2以上の整数とする。Φ1は奇数番目のシフトサイリスタTの転送ライン、Φ2は偶数番目のシフトサイリスタTの転送ラインである。ΦW1~ΦW4は発光サイリスタLの点灯信号ラインであり、それぞれ抵抗RW1~RW4と接続されている。VGKはゲートラインであり、Φsはスタートパルスラインである。図5に示す様に、1個のシフトサイリスタTnに対し、発光サイリスタはL4n-3~L4nまでの4個が接続されており、同時に4個の発光サイリスタL4n-3~L4nが点灯可能な構成となっている。
【0047】
次に、図5に示すSLED回路の動作について説明する。なお、図5の回路図において、ゲートラインVGKには5Vが印加されているものとし、転送ラインΦ1、Φ2、及び点灯信号ラインΦW1~ΦW4に入力される電圧も、同じく5Vとする。
【0048】
図5において、シフトサイリスタTnがオン状態にあるとき、シフトサイリスタTn、及びシフトサイリスタTnに接続されている発光サイリスタLnの共通ゲートGnの電位は約0.2Vまで引き下げられる。発光サイリスタLnの共通ゲートGnと発光サイリスタLn+1の共通ゲートGn+1との間は、結合ダイオードDnで接続されているため、結合ダイオードDnの拡散電位に略等しい電位差が発生する。本実施形態では、結合ダイオードDnの拡散電位は約1.5Vであるので、発光サイリスタLn+1の共通ゲートGn+1の電位は、発光サイリスタLnの共通ゲートGnの電位の0.2Vに、拡散電位の1.5Vを加えた1.7V(=0.2V+1.5V)となる。
【0049】
以下、同様に、発光サイリスタLn+2の共通ゲートGn+2の電位は3.2V(=1.7V+1.5V)、発光サイリスタLn+3(不図示)の共通ゲートGn+3(不図示)の電位は4.7V(=3.2V+1.5V)となる。ただし、発光サイリスタLn+4の共通ゲートGn+4以降の電位は、ゲートラインVGKの電圧が5Vであり、これ以上の高い電圧にはならないので、5Vとなる。また、発光サイリスタLnの共通ゲートGnより前(図5の共通ゲートGnよりも左側)の共通ゲートGn-1の電位については、結合ダイオードDn-1が逆バイアス状態になっているため、ゲートラインVGKの電圧がそのまま印加され、5Vとなっている。
【0050】
図6(a)は、上述したシフトサイリスタTnがオン状態のときの各発光サイリスタLnの共通ゲートGnのゲート電位の分布を示す図であり、共通ゲートGn-1、Gn、Gn+1・・・は、図5中の発光サイリスタLの共通ゲートを指している。また図6(a)の縦軸は、ゲート電位を示す。
【0051】
各シフトサイリスタTnがオンするために必要な電圧(以下、「閾値電圧」)は、各々の発光サイリスタLnの共通ゲートGnのゲート電位に拡散電位(1.5V)を加えたものと、略同じ電位である。シフトサイリスタTnがオンしているとき、同じシフトサイリスタTnの転送ラインΦ2のラインに接続されているシフトサイリスタの中で、共通ゲートのゲート電位が最も低いのはシフトサイリスタTn+2である。シフトサイリスタTn+2に接続されている発光サイリスタLn+2の共通ゲートGn+2の電位は、先に説明したように3.2V(=1.7V+1.5V)(図6(a))である。したがって、シフトサイリスタTn+2の閾値電圧は4.7V(=3.2V+1.5V)となる。しかしながら、シフトサイリスタTnがオンしているため、転送ラインΦ2の電位は約1.5V(拡散電位)に引き込まれており、シフトサイリスタTn+2の閾値電圧より低いために、シフトサイリスタTn+2はオンすることができない。同じ転送ラインΦ2に接続されている他のシフトサイリスタは、シフトサイリスタTn+2よりも閾値電圧が高いため、同様にオンすることができず、シフトサイリスタTnのみがオン状態を保つことができる。
【0052】
また、転送ラインΦ1に接続されているシフトサイリスタについては、閾値電圧が最も低い状態であるシフトサイリスタTn+1の閾値電圧は3.2V(=1.7V+1.5V)である。そして、次に閾値電圧の低いシフトサイリスタTn+3(図5では不図示)は6.2V(=4.7V+1.5V)である。この状態で、転送ラインΦ1に5Vが入力されると、シフトサイリスタTn+1のみがオン状態に遷移できる。この状態では、シフトサイリスタTnとシフトサイリスタTn+1が同時にオンした状態である。そのため、シフトサイリスタTn+1から図5の回路図中、右側に設けられたシフトサイリスタTn+2、Tn+3等のゲート電位は、各々、拡散電位(1.5V)分、引き下げられる。ただし、ゲートラインVGKの電圧が5Vであり、発光サイリスタLの共通ゲートの電圧はゲートラインVGKの電圧で制限されるため、シフトサイリスタTn+5より右側のゲート電位は5Vとなる。図6(b)は、このときの各共通ゲートGn-1~Gn+4のゲート電圧分布を示す図であり、縦軸はゲート電位を示す。
【0053】
この状態で、転送ラインΦ2の電位を0Vに下げると、シフトサイリスタTnがオフし、シフトサイリスタTnの共通ゲートGnの電位がVGK電位まで上昇する。図6(c)は、このときのゲート電圧分布を示す図であり、縦軸はゲート電位を示す。こうして、シフトサイリスタTnからシフトサイリスタTn+1へのオン状態の転送が完了する。
【0054】
次に、発光サイリスタの発光動作に関して説明する。シフトサイリスタTnのみがオンしているとき、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの4個の発光サイリスタのゲートはシフトサイリスタTnの共通ゲートGnに共通に接続されている。そのため、発光サイリスタL4n-3~L4nのゲート電位は、共通ゲートGnと同じ0.2Vである。したがって、各々の発光サイリスタの閾値は1.7V(=0.2V+1.5V)であり、発光サイリスタの点灯信号ラインΦW1~ΦW4から、1.7V以上の電圧が入力されれば、発光サイリスタL4n-3~L4nは点灯可能である。したがって、シフトサイリスタTnがオンしているときに、点灯信号ラインΦW1~ΦW4に点灯信号を入力することにより、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの4個の発光サイリスタを選択的に発光させることが可能である。このとき、シフトサイリスタTnの隣のシフトサイリスタTn+1の共通ゲートGn+1の電位は1.7Vであり、共通ゲートGn+1にゲート接続している発光サイリスタL4n+1~4n+4の閾値電圧は3.2V(=1.7V+1.5V)となる。
【0055】
点灯信号ラインΦW1~ΦW4から入力される点灯信号は5Vであるので、発光サイリスタL4n-3~4nの点灯パターンと同じ点灯パターンで、発光サイリスタL4n+1~L4n+4も点灯しそうである。ところが、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの方が閾値電圧が低いため、点灯信号ラインΦW1~ΦW4から点灯信号が入力された場合には、発光サイリスタL4n+1~L4n+4よりも早くオンする。一旦、発光サイリスタL4n-3~L4nがオンすると、接続されている点灯信号ラインΦW1~ΦW4が約1.5V(拡散電位)に引き下げられる。そのため、点灯信号ラインΦW1~ΦW4の電位が、発光サイリスタL4n+1~L4n+4の閾値電圧よりも低くなるため、発光サイリスタL4n+1~L4n+4はオンすることができない。このように、1個のシフトサイリスタTに複数の発光サイリスタLを接続することで、複数個の発光サイリスタLを同時点灯させることができる。
【0056】
図7は、図5に示すSLED回路の駆動信号のタイミングチャートである。図7では、上から順に、ゲートラインVGK、スタートパルスラインΦs、奇数番目、偶数番目のシフトサイリスタの転送ラインΦ1、Φ2、発光サイリスタの点灯信号ラインΦW1~ΦW4の駆動信号の電圧波形を表している。なお、各駆動信号は、オン時の電圧は5V、オフ時の電圧は0Vである。また、図7の横軸は時間を示す。また、Tcは、クロック信号Φ1の周期を示し、Tc/2は、周期Tcの半分(=1/2)の周期を示す。
【0057】
ゲートラインVGKには常に5Vが供給される。また、奇数番目のシフトサイリスタ用のクロック信号Φ1、偶数番目のシフトサイリスタ用のクロック信号Φ2が同じ周期Tcにて入力され、スタートパルスラインの信号Φsは5Vが供給されている。奇数番目のシフトサイリスタ用のクロック信号Φ1が最初に5Vになる少し前に、ゲートラインVGKに電位差をつけるために、スタートパルスラインの信号Φsは0Vに落とされる。これにより、最初のシフトサイリスタTn-1のゲート電位が5Vから1.7Vに引き込まれ、閾値電圧が3.2Vになって、転送ラインΦ1による信号でオンできる状態になる。転送ラインΦ1に5Vが印加され、最初のシフトサイリスタTn-1がオン状態に遷移してから少し遅れて、スタートパルスラインΦsに5Vが供給され、以降、スタートパルスラインΦsには5Vが供給され続ける。
【0058】
転送ラインΦ1と転送ラインΦ2は互いのオン状態(ここでは5V)が重なる時間Tovを持ち、略相補的な関係になるように構成される。発光サイリスタ点灯用信号ラインΦW1~ΦW4は、転送ラインΦ1、Φ2の周期の半分の周期で送信され、対応するシフトサイリスタがオン状態のときに、5Vが印加されると点灯する。例えば期間aでは同一のシフトサイリスタに接続されている4つの発光サイリスタが全て点灯している状態であり、期間bでは3つの発光サイリスタが同時点灯している。また、期間cでは全ての発光サイリスタは消灯状態であり、期間dでは2つの発光サイリスタが同時点灯している。期間eでは点灯する発光サイリスタは1つのみである。
【0059】
本実施形態では、1個のシフトサイリスタに接続する発光サイリスタの数は4個としているがこれに限ったものではなく、用途に応じて4個より少なくても多くてもよい。なお、上述した回路では各サイリスタのカソードを共通とする回路について説明したが、アノード共通回路でも適宜極性を反転することで適用可能である。
【0060】
<画像信号線の不良を検出するシーケンス>
次に、画像コントローラ部70から露光ヘッド6へ画像信号を伝送する画像信号線77aの不良を検出するシーケンス(モード)について、図8図9に示すフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、CPU73は、ユーザから指示を受信することによりシーケンスを開始するものの、シーケンス開始のトリガはこれに限られず、例えば画像形成装置Aの電源がオンされた後に自動的にシーケンスを実行する構成としてもよい。また露光ヘッド6の交換時のID変更をトリガとしてシーケンスを自動的に実行する構成としてもよい。
【0061】
図8図9に示す様に、シーケンスが開始されると、CPU73は、レジスタ設定制御部75に対し、発光データゲート部89のゲートをクローズする指令信号と、データ格納ゲート部87のゲートをオープンする指令信号の駆動部80a、80bへの送信を指示する(S1、S2)。これにより発光データゲート部89のゲートがクローズされ、データ格納ゲート部87のゲートがオープンされる。
【0062】
次に、CPU73は、画像信号生成部71に対し、図10(a)に示す第一テストパターンの画像信号の生成と駆動部80a、80bへの送信を指示する(S3)。これにより画像信号生成部71は不図示の記憶部に記憶された情報に基づいて第一テストパターンの画像信号を生成し、データ送信部72とケーブル77の画像信号線77aを介して、データ受信部81に第一テストパターンの画像信号が送られる。
【0063】
ここでステップS2においてデータ格納ゲート部87のゲートがオープンされているため、データ受信部81で受信された第一テストパターンの画像信号はRAM88に入力されて格納(記憶)される。一方、ステップS1において発光データゲート部89のゲートはクローズされているため、第一テストパターンの画像信号はデータ分離部82へは入力されない。従って、駆動電圧生成部86において発光素子アレイチップ40を駆動させるための駆動電圧も生成されないため、シーケンスの実行時に発光素子アレイチップ40が意図せず駆動して感光ドラム1の表面に不要な光が照射されることが抑制される。
【0064】
なお、ここではデータ送信部72から送信される画像信号が一つのデータレーンにおいて一度の送信で送信するデータ量を7ビットと想定している。データレーンが複数ある場合は、各々のデータレーンで第一テストパターンの画像信号を送信する。各々のデータレーンでの画像信号の送信が完了すると、RAM88に各々のデータレーンの各ビットの画像信号が格納される。
【0065】
次に、CPU73は、レジスタ設定制御部75に対し、RAM88に格納されている第一テストパターンの画像信号を取得するように指示する(S4)。これによりレジスタ設定制御部75からRAM88に通信信号線77bを介して信号が送信され、この信号に応じてRAM88からレジスタ設定制御部75に通信信号線77bを介して第一テストパターンの画像信号が送信される。
【0066】
次に、CPU73は、ステップS3で画像信号生成部71から駆動部80a、80bに送信された第一テストパターンの画像信号とステップS4においてレジスタ設定制御部75で取得された第一テストパターンの画像信号とが同じか否かを判定する(S5)。ここで画像信号生成部71から駆動部80a、80bに送信された第一テストパターンの画像信号は、画像コントローラ部70の不図示の記憶部に記憶された画像信号と同じである。従って、CPU73は、不図示の記憶部で記憶された画像信号と、レジスタ設定制御部75で取得された画像信号を比較する。なお、CPU73は、画像信号生成部71が第一テストパターンの画像信号を生成した際に、生成した画像信号を不図示の記憶部に一時的に記憶させておき、この記憶させた画像信号とレジスタ設定制御部75で取得された画像信号とを比較する構成してもよい。
【0067】
ここでCPU73は、レジスタ設定制御部75により取得された第一テストパターンの画像信号と、画像信号生成部71で生成された第一テストパターンの画像信号とが異なる場合、画像信号線77aから画像信号が正常に送られていないため、次の処理を行う。即ち、CPU73は、操作部300に対し、ケーブル77の画像信号線77aの不良に関する情報を表示させる(S13)。これによりユーザに画像信号線77aの不良が報知される。その後、CPU73は、画像信号生成部71に対してテストパターンの画像信号の送信の停止を指示し(S14)、シーケンスを終了する。
【0068】
このようにCPU73は、画像コントローラ部70から露光ヘッド6の駆動部80a、80bに所定のテストパターンの画像信号を画像信号線77aを介して送信させ、駆動部80a、80bのRAM88に記憶させる。そしてレジスタ設定制御部75によって画像信号線77aとは別の通信線である通信信号線77bを介してRAM88に記憶されたテストパターンの画像信号を読み出させて画像信号の同一性を判定する。これによりCPU73は、新たな部材を追加することなく、既存の構成により画像信号線77aの断線や接続不良等の不良を検出し、露光ヘッド6に画像信号が正常に送信されない状態で露光処理が行われて画像不良が生じることを抑制することができる。
【0069】
またCPU73は、レジスタ設定制御部75により取得された第一テストパターンの画像信号と、画像信号生成部71で生成された第一テストパターンの画像信号が同じ場合、次の処理を行う。即ち、CPU73は、画像信号生成部71に対し、第一テストパターンの画像信号の送信の停止を指示する(S6)。
【0070】
次に、CPU73は、画像信号生成部71に対し、図10(b)に示す第二テストパターンの画像信号の生成と駆動部80a、80bへの送信を指示する(S7)。第二テストパターンは、第一テストパターンの各ビットの論理、即ちハイとローを反転させたパターンである。これにより画像信号生成部71は不図示の記憶部に記憶された情報に基づいて第二テストパターンの画像信号を生成し、第二テストパターンの画像信号はデータ送信部72とケーブル77の画像信号線77aを介してデータ受信部81に送られる。データ格納ゲート部87のゲートはオープンされているため、データ受信部81で受信された第二テストパターンの画像信号はRAM88に入力されて格納(記憶)される。
【0071】
次に、CPU73は、レジスタ設定制御部75に対し、RAM88に格納されている第二テストパターンの画像信号を取得するように指示する(S8)。これによりレジスタ設定制御部75からRAM88に通信信号線77bを介して信号が送信され、この信号に応じてRAM88からレジスタ設定制御部75に通信信号線77bを介して第二テストパターンの画像信号が送信される。
【0072】
次に、CPU73は、ステップS7で画像信号生成部71から駆動部80a、80bに送信された第二テストパターンの画像信号とステップS8においてレジスタ設定制御部75で取得された第二テストパターンの画像信号とが同じか否かを判定する(S9)。ここで画像信号生成部71から駆動部80a、80bに送信された第二テストパターンの画像信号は、画像コントローラ部70の不図示の記憶部に記憶された画像信号と同じである。従って、CPU73は、不図示の記憶部で記憶された画像信号と、レジスタ設定制御部75で取得された画像信号とを比較する。なお、CPU73は、画像信号生成部71が第二テストパターンの画像信号を生成した際に、生成した画像信号を不図示の記憶部に一時的に記憶させておき、この記憶させた画像信号とレジスタ設定制御部75で取得された画像信号とを比較する構成してもよい。
【0073】
ここでCPU73は、レジスタ設定制御部75により取得された第二テストパターンの画像信号と、画像信号生成部71で生成された第二テストパターンの画像信号が異なる場合、画像信号線77aから画像信号が正常に送られていないため、次の処理を行う。即ち、CPU73は、操作部300に対し、ケーブル77の画像信号線77aの不良に関する情報を表示させる(S13)。これによりユーザに画像信号線77aの不良が報知される。その後、CPU73は、画像信号生成部71に対してテストパターンの画像信号の送信の停止を指示し(S14)、シーケンスを終了する。
【0074】
このようにCPU73は、画像信号生成部71から駆動部80a、80bに第一テストパターンから画像信号の各ビットのハイとローを切り替えた第二テストパターンの画像信号を送信させ、ハイとローが切り替えられた画像信号の同一性を判定する。これによりCPU73は、新たな部材を追加することなく、ケーブル77の画像信号線77aによってハイとローのいずれかの一方の信号のみしか伝送できない不良が生じている場合の画像信号線77aの不良を検出することができる。従って、露光ヘッド6に画像信号が正常に送信されない状態で露光ヘッド6によって露光処理が行われ、画像不良が生じることを抑制することができる。
【0075】
またCPU73は、レジスタ設定制御部75により取得された第二テストパターンの画像信号と、画像信号生成部71で生成された第二テストパターンの画像信号が同じ場合、次の処理を行う。即ち、CPU73は、画像信号生成部71に対し、第一テストパターンの画像信号の送信の停止を指示する(S10)。
【0076】
次に、CPU73は、レジスタ設定制御部75に対し、データ格納ゲート部87のゲートをクローズする指令信号と、発光データゲート部89のゲートをオープンする指令信号の駆動部80a、80bへの送信を指示する(S11、S12)。これによりデータ格納ゲート部87のゲートがクローズされ、且つ、発光データゲート部89のゲートがオープンされて、露光ヘッド6による露光処理が可能な状態となる。その後、CPU73は、シーケンスを終了する。
【0077】
なお、本実施形態では、発光データゲート部89を設けることで、上記シーケンスの実行時に発光素子アレイチップ40の発光部50を発光させない構成としたものの、他の方法で発光部50を発光させない構成としてもよい。例えば発光パルス生成部83に画像信号が入力された場合であってもPWM信号を出力させないように、レジスタ設定制御部75によって発光パルス生成部83の設定を変更する構成としてもよい。またレジスタ設定制御部75によって駆動電圧生成部86の設定を変更し、発光素子アレイチップ40の発光部50への駆動電圧の供給を遮断する構成としてもよい。
【0078】
また上記シーケンスで生成された図10に示す第一テストパターンや第二テストパターンは例示であり、他のパターンを使用してもよい。例えば第一テストパターンの全てのビットをハイとし、第二テストパターンの全てのビットをローとしてもよい。また画像コントローラ部70と駆動部80a、80bとの間で送受信されるテストパターンの数は二つに限られず、必要に応じて増減させてもよい。またテストパターンの1レーンにおけるビット長は7ビットに限られず、通信方式に応じて変更してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…感光ドラム(感光体)
6…露光ヘッド
50…発光部
71…画像信号生成部
73…CPU(制御部)
75…レジスタ設定制御部(設定部)
77a…画像信号線
77b…通信信号線
80a、80b…駆動部
88…RAM(記憶部)
300…操作部(報知部)
A…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10