IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシデン株式会社の特許一覧

特許7551489三次元構造物の製造方法および三次元構造物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】三次元構造物の製造方法および三次元構造物
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240909BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020210253
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096952
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩司
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-115926(JP,A)
【文献】特開平05-267502(JP,A)
【文献】特開2012-051006(JP,A)
【文献】特開昭56-015336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 39/00 - 39/44
B29C 45/00 - 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定面を有する第1構造物を用意し、
前記第1構造物の前記被固定面に樹脂層を固定し、
導電ワイヤーを用意し、且つ
前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを前記樹脂層に押しつけることによって、前記導電ワイヤーを前記樹脂層に部分的に埋め込むことを有する三次元構造物の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の三次元構造物の製造方法において、
前記樹脂層の固定は、前記第1構造物を第1成形用金型のキャビティ内に配置し、前記第1成形用金型の前記キャビティ内の前記第1構造物の前記被固定面上に溶融樹脂を射出し、前記溶融樹脂を固化させることによって前記第1構造物の前記被固定面に前記樹脂層を成形することを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の三次元構造物の製造方法において、
前記樹脂層の成形は、前記第1成形用金型の前記キャビティ内に端子の埋込部の少なくとも一部を配置すると共に前記端子の外部接続部を前記第1成形用金型の前記キャビティに連通する収容穴に挿入し、前記第1成形用金型の前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂に前記端子の前記埋込部の少なくとも一部をインサートし、前記溶融樹脂の固化によって前記端子の前記埋込部の少なくとも一部を前記樹脂層内にインサート成形することを含んでおり、
前記三次元構造物の製造方法は、前記端子と前記導電ワイヤーとを電気的に接続することを更に有する三次元構造物の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の三次元構造物の製造方法において、
前記樹脂層は、前記第1構造物の前記被固定面に接する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有しており、
前記樹脂層の成形は、前記第1成形用金型の前記キャビティ内に前記端子の前記埋込部の一部を配置すると共に、前記端子の前記埋込部の残りの部分及び前記端子の外部接続部を前記第1成形用金型の前記収容穴に挿入し、前記第1成形用金型の前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂に前記端子の前記埋込部の一部をインサートし、前記溶融樹脂の固化によって前記端子の前記埋込部の一部を前記樹脂層内にインサート成形することを含んでおり、
前記導電ワイヤーの埋め込みは、前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に押しつけることによって、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に部分的に埋め込むこと及び前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを部分的に前記端子の前記埋込部の前記残りの部分に押しつけることによって、前記導電ワイヤーを部分的に前記端子の前記埋込部の前記残りの部分に接触させることを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の三次元構造物の製造方法において、
前記樹脂層は、前記第1構造物の前記被固定面に接する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有しており、
前記端子の前記埋込部上には、バインダ層が設けられており、
前記端子の前記埋込部のインサート成形は、前記バインダ層の露出面が前記樹脂層の前記第2面と略面一となるように、前記端子の前記埋込部を前記樹脂層内にインサート成形することを含んでおり、
前記導電ワイヤーの埋め込みは、前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に押しつけることによって、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に部分的に埋め込むこと及び前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを部分的に前記バインダ層の前記露出面に接触させることを含んでおり、
前記端子と前記導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、前記バインダ層を溶融させ且つ前記端子の前記埋込部を前記バインダ層から部分的に露出させて前記導電ワイヤーを前記端子の前記埋込部に接続させることを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項6】
請求項3~5の何れかに記載の三次元構造物の製造方法において、
前記導電ワイヤーは、ワイヤー本体と、前記ワイヤー本体を被覆する融着層とを有しており、
前記端子と前記導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、前記融着層を部分的に溶融させ且つ前記ワイヤー本体を前記融着層から部分的に露出させて前記端子の前記埋込部に接続させることを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の三次元構造物の製造方法において、
前記導電ワイヤーは、前記ワイヤー本体と前記融着層との間に介在する絶縁層を更に有しており、
前記端子と前記導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、前記絶縁層及び前記融着層を部分的に溶融させ且つ前記ワイヤー本体を前記絶縁層及び前記融着層から部分的に露出させて前記端子の前記埋込部に接続させることを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の三次元構造物の製造方法において、
前記第1構造物の前記被固定面には、凹凸が設けられており、
前記樹脂層は、前記第1構造物の前記被固定面に接する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有しており、
前記樹脂層の前記第2面が平滑面であり、
前記導電ワイヤーの埋め込みは、前記導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に押しつけることによって、前記導電ワイヤーを前記樹脂層の前記第2面に部分的に埋め込むことを含む三次元構造物の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の三次元構造物の製造方法において、
前記導電ワイヤーの埋め込み後、前記樹脂層に第2構造物を固定し且つ前記第2構造物によって前記樹脂層から部分的に突出した前記導電ワイヤーを被覆することを更に有する三次元構造物の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の三次元構造物の製造方法において、
前記第1構造物、前記樹脂層、前記導電ワイヤー及び前記第2構造物を第2成形用金型のキャビティ内に配置し、前記第2成形用金型の前記キャビティ内の前記樹脂層と前記第2構造物との間に溶融樹脂を射出し、前記第2成形用金型の前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂に前記導電ワイヤーの前記樹脂層から突出した部分をインサートし、前記第2成形用金型の前記キャビティ内の前記溶融樹脂を固化させることによって前記樹脂層と前記第2構造物との間に充填層を成形し、前記導電ワイヤーの前記樹脂層から突出した部分を前記充填層内に埋め込むことを更に有する三次元構造物の製造方法。
【請求項11】
被固定面を有する第1構造物と、
前記第1構造物の前記被固定面に固定された樹脂層と、
導電ワイヤーと
前記導電ワイヤーに電気的に接続された端子とを備えており、
前記樹脂層は、前記第1構造物の前記被固定面に接する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有しており、
前記端子は、前記樹脂層に少なくとも一部がインサート成形された埋込部と、前記樹脂層外に配置された外部接続部とを有しており、
前記端子の前記埋込部上には、バインダ層が設けられており、前記端子の前記埋込部は、前記バインダ層の露出面が前記樹脂層の前記第2面と略面一となるように、前記樹脂層内にインサート成形されており、
前記導電ワイヤーは、前記樹脂層の前記第2面に部分的に埋め込まれており、且つ前記バインダ層に接着されると共に、前記端子の前記埋込部に接続されている三次元構造物。
【請求項12】
請求項11に記載の三次元構造物において、
前記樹脂層は、前記第1構造物の前記被固定面上に成形されている三次元構造物。
【請求項13】
請求項11又は12記載の三次元構造物において、
前記導電ワイヤーは、ワイヤー本体と、前記ワイヤー本体を被覆する融着層とを有しており、
前記ワイヤー本体は、前記融着層から部分的に露出して前記端子の前記埋込部に接続されている三次元構造物。
【請求項14】
請求項13記載の三次元構造物において、
前記導電ワイヤーは、前記ワイヤー本体と前記融着層との間に介在する絶縁層を更に有しており、
前記ワイヤー本体は、前記絶縁層及び前記融着層から部分的に露出して前記端子の前記埋込部に接続されている三次元構造物。
【請求項15】
請求項11~14の何れかに記載の三次元構造物において、
前記第1構造物の前記被固定面には、凹凸が設けられており、
前記樹脂層の前記第2面が平滑面であり、
前記導電ワイヤーは前記樹脂層の前記第2面に部分的に埋め込まれている三次元構造物。
【請求項16】
請求項11~15の何れかに記載の三次元構造物において、
前記樹脂層に固定されており且つ前記樹脂層から部分的に突出した前記導電ワイヤーを被覆する第2構造物を更に備えている三次元構造物。
【請求項17】
被固定面を有する第1構造物と、
前記第1構造物の前記被固定面に固定された樹脂層と、
前記樹脂層に部分的に埋め込まれた導電ワイヤーと、
前記樹脂層に固定されており且つ前記樹脂層から部分的に突出した前記導電ワイヤーを被覆する第2構造物と、
前記樹脂層と前記第2構造物との間に充填されており且つ前記樹脂層から部分的に突出した前記導電ワイヤーが埋め込まれた充填層とを備えている三次元構造物。
【請求項18】
請求項11~17の何れかに記載の三次元構造物において、
前記三次元構造物は、車両用部品であり、
前記第1構造物は、前記車両用部品の装飾部及び/又はカバー部である三次元構造物。
【請求項19】
請求項18記載の三次元構造物において、
前記三次元構造物は、ミリ波レーダー装置に対してミリ波の送信方向の前方に配置される三次元構造物。
【請求項20】
請求項11~19の何れかに記載の三次元構造物において、
前記導電ワイヤーは通電によって発熱するようになっている三次元構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元構造物の製造方法および三次元構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の三次元構造物が下記特許文献1に記載されている。この三次元構造物は、ミリ波レーダー装置のミリ波の送信方向の前方に取り付けられる車両用装飾部品であって、ミリ波透過性を有する装飾本体部と、シート状のヒーターとを備えている。
【0003】
装飾本体部は、透明部と、基材と、加飾層とを備えている。透明部はミリ波透過性を有する樹脂材料で構成されている。基材も樹脂材料で構成されている。この基材は、透明部の送信方向の後方に成形された前基材と、この前基材の送信方向の後方に成形された後基材とを有している。前基材と後基材とが、ヒーターの主要部を送信方向の前後から挟み込み且つこの状態で相互に接合されている。加飾層は、透明部と基材との間に形成されている。
【0004】
ヒーターは、主要部を有している。主要部は、線状の発熱体と、一対の電極と、一対の樹脂シートとを有する。一対の電極が発熱体の両端部に接続されている。一対の樹脂シートが発熱体および一対の電極を送信方向の前後から挟み込むようにして被覆している。ヒーターの主要部と前基材の窪みとの間に生じた空隙は、後基材の一部をなす埋込部によって埋め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-066706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の三次元構造物は、次のように製造されている。まず、透明部を用意し、この透明部の後方に前基材をインサート成形する。その後、ヒーターの主要部を前基材の後面に接着する。このとき、前基材の窪みとヒーターの主要部との間に空隙が生じる。その後、ヒーターの主要部を覆うように前基材の後方に後基材をインサート成形する。このとき、後基材の一部(埋込部)が空隙に充填される。このようにして従来の三次元構造物が製造されている。
【0007】
しかし、後基材のインサート成形時において、後基材となる溶融樹脂がヒーターの主要部を押圧することによって、ヒーターの主要部が位置ずれを起こす可能性がある。
【0008】
本発明は、三次元構造物の導電ワイヤーに位置ずれが生じ難い三次元構造物の製造方法および三次元構造物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の三次元構造物の製造方法は、被固定面を有する第1構造物を用意し、第1構造物の被固定面に樹脂層を固定し、導電ワイヤーを用意し、且つ、導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを樹脂層に押しつけることによって、導電ワイヤーを樹脂層に部分的に埋め込むことを有する。
【0010】
このような態様の三次元構造物の製造方法による場合、導電ワイヤーが樹脂層に部分的に埋め込まれるので、当該導電ワイヤーに位置ずれが生じ難くなる。
【0011】
樹脂層の固定は、第1構造物を第1成形用金型のキャビティ内に配置し、第1成形用金型のキャビティ内の第1構造物の被固定面上に溶融樹脂を射出し、当該溶融樹脂を固化させることによって第1構造物の被固定面に樹脂層を成形することを含むことが可能である。
【0012】
樹脂層の成形は、第1成形用金型のキャビティ内に端子の埋込部の少なくとも一部を配置すると共に端子の外部接続部を第1成形用金型のキャビティに連通する収容穴に挿入し、第1成形用金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂に端子の埋込部の少なくとも一部をインサートし、溶融樹脂の固化によって端子の埋込部の少なくとも一部を樹脂層内にインサート成形することを含むことが可能である。この場合、三次元構造物の製造方法は、端子と導電ワイヤーとを電気的に接続することを更に有していても良い。
【0013】
なお、樹脂層の固定は、樹脂層を第1構造物の被固定面に接着又は係合することを含むことが可能である。端子が設けられている場合、この樹脂層に端子の埋込部の少なくとも一部がインサート成形されていても良い。
【0014】
樹脂層は、第1構造物の被固定面に接する第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する構成とすることが可能である。
【0015】
樹脂層の成形は、第1成形用金型のキャビティ内に端子の埋込部の一部を配置すると共に、端子の埋込部の残りの部分及び端子の外部接続部を第1成形用金型の収容穴に挿入し、第1成形用金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂に端子の埋込部の一部をインサートし、溶融樹脂の固化によって端子の埋込部の一部を樹脂層内にインサート成形することを含むことが可能である。この場合、導電ワイヤーの埋め込みは、導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に押しつけることによって、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に部分的に埋め込むこと及び導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを部分的に端子の埋込部の残りの部分に押しつけることによって、導電ワイヤーを部分的に端子の埋込部の残りの部分に接触させることを含むことが可能である。
【0016】
端子の埋込部上には、バインダ層が設けられた構成とすることが可能である。この場合、端子の埋込部のインサート成形は、バインダ層の露出面が樹脂層の第2面と略面一となるように、端子の埋込部を樹脂層内にインサート成形することを含むことが可能である。導電ワイヤーの埋め込みは、導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に押しつけることによって、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に部分的に埋め込むこと及び導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを部分的にバインダ層の前記露出面に接触させることを含むことが可能である。端子と導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、バインダ層を溶融させ且つ端子の埋込部をバインダ層から部分的に露出させて導電ワイヤーを端子の埋込部に接続させることを含むことが可能である。
【0017】
導電ワイヤーは、少なくともワイヤー本体を有する構成とすることが可能である。
【0018】
導電ワイヤーは、ワイヤー本体を被覆する融着層を更に備えた構成とすることが可能である。この場合、端子と導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、融着層を部分的に溶融させ且つワイヤー本体を融着層から部分的に露出させて端子の埋込部に接続させることを含むことが可能である。なお、導電ワイヤーは、ワイヤー本体と融着層との間に介在する絶縁層を更に備えた構成とすることが可能である。この場合、端子と導電ワイヤーとの電気的接続は、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、融着層だけでなく、絶縁層も部分的に溶融させ且つワイヤー本体を絶縁層及び融着層から部分的に露出させて端子の埋込部に接続させることを含むことが可能である。
【0019】
第1構造物の被固定面には、凹凸が設けられた構成とすることが可能である。この場合、樹脂層の第2面が平滑面とすることが可能である。導電ワイヤーの埋め込みは、導電ワイヤーに対して超音波ヘッドで超音波を印加しつつ、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に押しつけることによって、導電ワイヤーを樹脂層の第2面に部分的に埋め込むことを含むことが可能である。
【0020】
上記した何れかの態様の製造方法は、導電ワイヤーの埋め込み後、樹脂層に第2構造物を固定し且つ第2構造物によって樹脂層から部分的に突出した導電ワイヤーを被覆することを更に有することが可能である。
【0021】
上記した何れかの製造方法は、第1構造物、樹脂層、導電ワイヤー及び第2構造物を第2成形用金型のキャビティ内に配置し、第2成形用金型のキャビティ内の樹脂層と第2構造物との間に溶融樹脂を射出し、第2成形用金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂に導電ワイヤーの樹脂層から突出した部分をインサートし、第2成形用金型のキャビティ内の溶融樹脂を固化させることによって樹脂層と第2構造物との間に充填層を成形し、導電ワイヤーの樹脂層から突出した部分を充填層内に埋め込むことを更に有することが可能である。
【0022】
本発明の一態様の三次元構造物は、被固定面を有する第1構造物と、第1構造物の被固定面に固定された樹脂層と、樹脂層に部分的に埋め込まれた導電ワイヤーとを備えている。
【0023】
樹脂層は、第1構造物の被固定面上に成形された構成とすることが可能であるが、これに限定されない。例えば、樹脂層は、第1構造物の被固定面上に接着又は係合されていても良い。
【0024】
上記何れかの態様の三次元構造物は、導電ワイヤーに電気的に接続された端子を更に備えた構成とすることが可能である。端子は、樹脂層に少なくとも一部がインサート成形された埋込部と、樹脂層外に配置された外部接続部とを有する構成とすることが可能である。
【0025】
樹脂層は、第1構造物の被固定面に接する第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する構成とすることが可能である。
【0026】
端子の埋込部上には、バインダ層が設けられた構成とすることが可能である。この場合、端子の埋込部は、バインダ層の露出面が樹脂層の第2面と略面一となるように、樹脂層内にインサート成形された構成とすることが可能である。導電ワイヤーは、バインダ層に接着されると共に、端子の埋込部に接続された構成とすることが可能である。
【0027】
導電ワイヤーは、少なくともワイヤー本体を有する構成とすることが可能である。
【0028】
導電ワイヤーは、ワイヤー本体を被覆する融着層を更に備えた構成とすることが可能である。この場合、ワイヤー本体は、融着層から部分的に露出して端子の埋込部に部分的に接続された構成とすることが可能である。導電ワイヤーは、ワイヤー本体と融着層との間に介在する絶縁層を更に備えた構成とすることが可能である。この場合、ワイヤー本体は、絶縁層及び融着層から部分的に露出して端子の埋込部に部分的に接続された構成とすることが可能である。
【0029】
第1構造物の被固定面には、凹凸が設けられた構成とすることが可能である。この場合、樹脂層の第2面が平滑面とすることが可能である。導電ワイヤーは樹脂層の第2面に部分的に埋め込まれた構成とすることが可能である。
【0030】
上記した何れかの態様の三次元構造物は、樹脂層に固定されており且つ樹脂層から部分的に突出した導電ワイヤーを被覆する第2構造物を更に備えた構成とすることが可能である。
【0031】
上記した何れかの態様の三次元構造物は、樹脂層と第2構造物との間に充填されており且つ樹脂層から部分的に突出した導電ワイヤーが埋め込まれた充填層を更に備えた構成とすることが可能である。
【0032】
三次元構造物は、車両用部品とすることが可能である。この場合、三次元構造物の第1構造物は、車両用部品の装飾部及び/又はカバー部とすることが可能である。
【0033】
三次元構造物は、ミリ波レーダー装置に対してミリ波の送信方向の前方に配置される構成とすることが可能である。
【0034】
導電ワイヤーは通電によって発熱するようになっていても良い。又は、導電ワイヤーは、通信用のアンテナ、コイルや導電ラインとしても用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】本発明の実施例1に係る三次元構造物の概略的断面図である。
図1B】実施例1の三次元構造物の概略的背面図である。
図1C】実施例1の三次元構造物の第1設計変形例の概略的断面図である。
図2A】実施例1の三次元構造物の製造方法の工程を説明するための説明図であって、前記三次元構造物の第1構造物を用意する工程、前記第1構造物を第1成形用金型内に配置する工程、前記第1構造物に樹脂層を成形する工程及び前記樹脂層に導電ワイヤーを埋め込む工程を示す図である。
図2B】実施例1の三次元構造物の製造方法の図2Aに示す工程の続き工程を説明するための説明図であって、前記第1構造物、前記中間層、前記導電ワイヤー及び第2構造物を第2成形用金型内に配置する工程、前記樹脂層と前記第2構造物との間に充填層を成形する工程及び前記第2成形用金型から前記三次元構造物を取り出す工程を示す図である。
図3A】本発明の実施例2に係る三次元構造物の概略的断面図である。
図3B】本発明の実施例2の第1設計変形例に係る三次元構造物の概略的断面図である。
図3C】本発明の実施例2の第2設計変形例に係る三次元構造物の概略的断面図である。
図4A】実施例2の三次元構造物の製造方法の工程を説明するための説明図であって、前記三次元構造物の第1構造物を用意する工程、前記第1構造物及び端子を第1成形用金型内に配置する工程、前記第1構造物に樹脂層を成形する工程及び前記樹脂層に導電ワイヤーを埋め込み且つ前記端子に電気的に接続する工程を示す図である。
図4B】実施例2の三次元構造物の製造方法の図4Aに示す工程の続き工程を説明するための説明図であって、前記第1構造物、前記端子、前記中間層、前記導電ワイヤー及び第2構造物を第2成形用金型内に配置する工程、前記樹脂層と前記第2構造物との間に充填層を成形する工程及び前記第2成形用金型から前記三次元構造物を取り出す工程を示す図である。
図5】本発明の実施例3に係る三次元構造物の概略的断面図である。
図6A】前記三次元構造物の製造方法の工程を説明するための説明図であって、前記三次元構造物の第1構造物を用意する工程、前記第1構造物及び端子を第1成形用金型内に配置する工程、前記第1構造物に樹脂層を成形する工程及び前記樹脂層に導電ワイヤーを埋め込む工程を示す図である。
図6B】前記三次元構造物の製造方法の図6Aに示す工程の続き工程を説明するための説明図であって、前記導電ワイヤーを前記端子に接続する工程、前記第1構造物、前記端子、前記中間層、前記導電ワイヤー及び第2構造物を第2成形用金型内に配置する工程、前記樹脂層と前記第2構造物との間に充填層を成形する工程及び前記第2成形用金型から前記三次元構造物を取り出す工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例1、2、3及びその設計変形例を含む複数の実施例について説明する。なお、後述する実施例及び設計変形例の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能であることに留意されたい。また、後述する実施例の各態様及び設計変形例における各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能であることにも留意されたい。
【実施例1】
【0037】
以下、本発明の実施例1及びその設計変形例を含む複数の実施例に係る三次元構造物S1について、図1A図1Cを参照しつつ説明する。図1A及び図1Bには、実施例1の三次元構造物S1が示されており、図1Cには、実施例1の三次元構造物S1の第1設計変形例が示されている。なお、図1A及び図1Cに示すZ-Z’方向は、三次元構造物S1の厚み方向である。図1Bに示すX-X’方向は、三次元構造物S1の長さ方向である。図1A図1Cに示すY-Y’方向は、三次元構造物S1の幅方向である。
【0038】
三次元構造物S1は、第1構造物100を備えている。第1構造物100は、Z-Z’方向の寸法、X-X’方向の寸法及びY-Y’方向の寸法を有する構造物であれば良く、例えば、車両(自動車、鉄道車両、自動二輪車及び自転車を含む。)、船舶及び航空機等のエンブレム等の装飾部、車両、船舶及び航空機等のカメラやライトのカバー部、自動販売機や防犯用のカメラやライトのカバー部、ミリ波センサやLight Detection and Ranging(LiDAR)等の測定部のカバー部、車両、船舶及び航空機等のバンパーのカバー部、又は、電子部品ユニットのカバー部とすることが可能である。第1構造物100のX-X’方向の寸法とY-Y’方向の寸法とは、相違していても良いし、略同じであっても良い。第1構造物100のZ-Z’方向の寸法は、第1構造物100のX-X’方向の寸法及びY-Y’方向の寸法よりも小さいと良いが、これに限定されるものではない。
【0039】
第1構造物100は、本体部110(図1A図1C参照)を有している。本体部110は、樹脂(例えば、成形樹脂や樹脂フィルム等)、ガラス、セラミック、木材又はこれらの組み合わせによって構成されている。本体部110は、Z方向側の第1面と、Z’方向側の第2面とを有している。第1構造物100は、加飾層、ハードコート層及び光学調整層のうちの少なくとも一つの機能層120(図1C参照)を更に有する構成とすることが可能である。この少なくとも一つの機能層は、本体部110の第1面及び第2面の少なくとも一方の面上に少なくとも部分的に形成されている。
【0040】
第1構造物100は、被固定面101を有する。少なくとも一つの機能層120が本体部110の第2面上に全面的に設けられている場合(図1C参照)、被固定面101は、少なくとも一つの機能層120のZ’方向側の面である。少なくとも一つの機能層120が本体部110の第2面上に部分的に設けられている場合、被固定面101は、本体部110の第2面及び少なくとも一つの機能層120のZ’方向側の面である。少なくとも一つの機能層120が本体部110の第2面上に設けられていない場合(図1A及び図1B参照)、被固定面101は、本体部110の第2面である。被固定面101は、凹凸が設けられていても良いが、これに限定されない。被固定面101は、フラットな面であっても良いし、長さ方向の一方側に凸の凸曲面であっても良いし、長さ方向の他方側に凹の凹曲面であっても良い。
【0041】
三次元構造物S1は、樹脂層200を更に備えている。樹脂層200は、第1構造物100の被固定面101上に固定されている。例えば、樹脂層200は、第1構造物100の被固定面101上に成形された成形樹脂であっても良いし、第1構造物100の被固定面101に接着及び/又は係合された成形樹脂であっても良い。樹脂層200は、Z-Z’方向の寸法、X-X’方向の寸法及びY-Y’方向の寸法を有する。樹脂層200は、Z方向側の第1面201と、Z’方向側の第2面202とを有している。第1面201は、第1構造物100の被固定面101に固定されている。樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に成形されている場合、第1面201は、第1構造物100の被固定面101に対応した形となる。樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合されている場合、第1面201は、第1構造物100の被固定面101に対応した形としても良いが、異なる形としても良い。樹脂層200が第1構造物100の被固定面101に係合される場合、樹脂層200の第1面201及び第1構造物100の被固定面101の何れか一方に係合凸部が、他方に前記係合凸部が嵌合(FIT IN)する係合凹部が設けられていると良い。第2面202は、平滑面であると良い。例えば、平滑面は、フラットな面であっても良いし、長さ方向の一方側に凸の凸曲面であっても良いし、長さ方向の他方側に凹の凹曲面であっても良い。
【0042】
三次元構造物S1は、導電ワイヤー300を更に備えている。導電ワイヤー300は少なくともワイヤー本体310を有している。導電ワイヤー300は、ワイヤー本体310に通電されることによって発熱するヒーターであっても良いし、通信用のアンテナ、コイル、導電ラインなどであっても良いが、これに限定されるものではない。ワイヤー本体310は、導電性及び可撓性を有する素材で構成された円柱状又は多角柱状の長尺物である。なお、三次元構造物S1が屋外に配置される場合、前述の通り導電ワイヤー300がヒーターとして機能することによって、三次元構造物S1に付着する雪や氷を溶かすことができる。
【0043】
導電ワイヤー300は、ワイヤー本体310を被覆する融着層(図5を借りて参照)を更に有する構成とすることも可能である。ワイヤー本体310が円柱状である場合、融着層は、ワイヤー本体310の外周を覆う円筒状である。ワイヤー本体310が多角柱状である場合、融着層は、ワイヤー本体310の外周を覆う多角筒状である。
【0044】
導電ワイヤー300は、ワイヤー本体310と融着層との間に介在する絶縁層(図5を借りて参照)を更に有する構成とすることも可能である。ワイヤー本体310が円柱状である場合、絶縁層はワイヤー本体310の外周を覆う円筒状であり、融着層は絶縁層の外周を覆うことによって、ワイヤー本体310を覆う円筒状である。ワイヤー本体310が多角柱状である場合、絶縁層はワイヤー本体310の外周を覆う多角筒状であり、融着層は絶縁層の外周を覆うことによって、ワイヤー本体310を覆う多角筒状である。なお、導電ワイヤー300がワイヤー本体310、融着層及び絶縁層を有する場合、導電ワイヤー300は自己融着線を用いても良いが、これに限定されるものではない。
【0045】
上記した何れかの態様の導電ワイヤー300は、樹脂層200の第2面202に部分的に埋め込まれている。例えば、導電ワイヤー300は、蛇行した形状や螺旋状等となるように一筆書き(以下、一筆書き形状とも称する。)で樹脂層200の第2面202に部分的に埋め込まれていても良い。又は、導電ワイヤー300は、格子状、同心状又は縞状等となるように樹脂層200の第2面202に部分的に埋め込まれた複数のワイヤー部と、この複数のワイヤー部を連結する連結部とを有する構成としても良い。何れの構成である場合も、導電ワイヤー300のZ方向側の部分(以下、導電ワイヤー300の埋込部とも称する。)が樹脂層200の第2面202に埋め込まれており、導電ワイヤー300のZ’方向側の部分(以下、導電ワイヤー300の突出部とも称する。)が樹脂層200の第2面202からZ’方向に突出している。
【0046】
ワイヤー本体310は、少なくとも一つの接続部を有する構成とすることが可能である。少なくとも一つの接続部は、複数とすることが可能である。複数の接続部は、第1、第2接続部を有していても良い。導電ワイヤー300は上記一筆書き形状であり且つワイヤー本体310が少なくとも一つの接続部を有する場合、ワイヤー本体310の少なくとも一つの接続部は、ワイヤー本体310の任意の箇所とすることが可能である。導電ワイヤー300は上記一筆書き形状であり且つワイヤー本体310が第1、第2接続部を有する場合、第1、第2接続部は、ワイヤー本体310の第1、第2端部とすることが可能である。導電ワイヤー300が複数のワイヤー部及び連結部を有しており且つワイヤー本体310が少なくとも一つの接続部を有する場合、ワイヤー本体310の少なくとも一つの接続部は、複数のワイヤー部又は連結部の任意の箇所とすることが可能である。導電ワイヤー300が複数のワイヤー部及び連結部を有しており且つワイヤー本体310が第1、第2接続部を有する場合、第1、第2接続部は、複数のワイヤー部の任意の二箇所、又は、連結部の第1、第2端部とすることが可能である。
【0047】
三次元構造物S1は、第2構造物400及び充填層Iを更に備えた構成とすることが可能である。第2構造物400は、Z-Z’方向の寸法、X-X’方向の寸法及びY-Y’方向の寸法を有する。第2構造物400は、樹脂層200の第2面202に接する第1面と、その反対側(Z’方向側)の第2面とを有する。第2構造物400は、樹脂層200の第2面202に固定されており且つ導電ワイヤー300の突出部を被覆している。例えば、第2構造物400は、樹脂(例えば、成形樹脂や樹脂フィルム等)、ガラス、セラミック、木材又はこれらの組み合わせによって構成されており且つ樹脂層200の第2面202に接着及び/又は係合された構成とすることが可能である。第2構造物400が樹脂層200の第2面202に係合されている場合、第2構造物400及び樹脂層200の何れか一方に係合凸部が、他方に前記係合凸部が嵌合(FIT IN)する係合凹部が設けられていると良い。樹脂層200の第2面202と第2構造物400との間には間隙が生じている。充填層Iは、前記間隙に充填された射出成形樹脂で構成されている。この充填層I内に導電ワイヤー300の突出部が埋め込まれている。
【0048】
なお、充填層Iは省略可能である。この場合、第2構造物400は、樹脂層200の第2面202に成形された成形樹脂であって、第2構造物400内に導電ワイヤー300の突出部が埋め込まれた構成とすることが可能である。又は、第2構造物400は、樹脂(例えば、成形樹脂や樹脂フィルム等)、ガラス、セラミック、木材又はこれらの組み合わせによって構成されており且つ樹脂層200の第2面202に接着及び/又は係合された構成とすることが可能である。この場合、第2構造物400と樹脂層200との間には、上記間隙が設けられていても良いし、上記間隙が設けられていなくても良い。なお、第2構造物400も省略可能である。
【0049】
第2構造物400が設けられている場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部が、第2構造物400からZ’方向側に突出して外部接続可能となっていても良いし、樹脂層200の外周面から露出又は突出して外部接続可能となっていても良い(図1B参照)。第2構造物400及び充填層Iが設けられていない場合、導電ワイヤー300の樹脂層200から突出する少なくとも一つの接続部のZ’方向側の部分が外部接続可能となっていると良い。何れの場合も、導電ワイヤー300がヒーターである場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部が通電装置に接続可能となり、導電ワイヤー300がアンテナである場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部が通信装置に接続可能となり、導電ワイヤー300がコイルや導電ラインである場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部が電子機器に接続可能となる。
【0050】
以下、上記した三次元構造物S1の製造方法について図2A及び図2Bを参照しつつ説明する。なお、図2A及び図2Bには、三次元構造物S1の製造方法の工程が示されている。なお、三次元構造物S1の製造方法で用いる第1成形用金型10のキャビティ11は、第1構造物100及び樹脂層200の外形に対応している。三次元構造物S1の製造方法で用いる第2成形用金型20のキャビティ21は、第1構造物100、樹脂層200及び第2構造物400の外形に対応している。
【0051】
まず、上記した何れかの態様の第1構造物100を用意する(図2Aの上から一つ目の図参照)。第1成形用金型10の第1型部10aと第2型部10bとを型開きして、第1構造物100を第2型部10b上に載置する。その後、第1型部10aと第2型部10bとを型締めする。このようにして第1構造物100が第1成形用金型10のキャビティ11内に配置される(図2Aの上から二つ目の図参照)。その後、第1成形用金型10のスプルー12から溶融樹脂を射出して第1成形用金型10のキャビティ11内の第1構造物100の被固定面101上の空間に充填する(図2Aの上から三つ目の図参照)。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第1構造物100の被固定面101上に樹脂層200が成形され且つ第1成形用金型10のスプルー12内で第1樹脂部P1が成形される。このようにして樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に固定される。その後、第1型部10aと第2型部10bとを型開きし、第1構造物100及び樹脂層200を取り出し、第1樹脂部P1を除去する。
【0052】
又は、樹脂層200を前述の通り成形するのではなく、図示しない成形用金型で成形された樹脂層200を用意する。この樹脂層200の第1面201を第1構造物100の被固定面101上に接着する及び/又は上記の通り係合させることによって固定する。
【0053】
樹脂層200の固定後、上記した何れかの態様の導電ワイヤー300を用意する。導電ワイヤー300に対して超音波発生装置の超音波振動する超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、導電ワイヤー300を樹脂層200に押しつけることによって、導電ワイヤー300を樹脂層200に部分的に埋め込む。この導電ワイヤー300の埋込工程は、例えば、下記(1)又は(2)の通りである。
【0054】
(1)導電ワイヤー300が上記一筆書き形状である場合、導電ワイヤー300の埋込工程は、下記(1-1)、(1-2)又は(1-3)の通りとすることが可能である。
【0055】
(1-1)導電ワイヤー300の一部分を第1端部から第2端部にかけて順次樹脂層200の第2面202上に送りながら、樹脂層200の第2面202上に送られた導電ワイヤー300の一部分に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を順次印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一部分を樹脂層200の第2面202に順次押しつけることによって、当該導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図2Aの上から四つ目の図参照)。
【0056】
(1-2)導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置した後に、前述の通り、導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図示なし)。
【0057】
(1-3)導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置した後に、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300のZ方向側の部分(埋込部)を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込む(図示なし)。
【0058】
(2)導電ワイヤー300が複数のワイヤー部及び連結部を有する場合、導電ワイヤー300の埋込工程は、下記(2-1)、(2-2)又は(2-3)の通りとすることが可能である。
【0059】
(2-1)導電ワイヤー300の複数のワイヤー部のうちの一つのワイヤー部の一部分を第1端部から第2端部にかけて順次樹脂層200の第2面202上に送りながら、樹脂層200の第2面202上に送られたワイヤー部の一部分に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を順次印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該ワイヤー部の一部分を樹脂層200の第2面202に順次押しつけることによって、当該ワイヤー部の一部分のZ方向側の部分を樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、導電ワイヤー300の連結部の一部分を第1端部から第2端部にかけて順次樹脂層200の第2面202上に送りながら、樹脂層200の第2面202上に送られた連結部の一部分に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を順次印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該連結部の一部分を樹脂層200の第2面202に順次押しつけることによって、当該連結部の一部分のZ方向側の部分を樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図示なし)。
【0060】
(2-2)導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、前述の通り、複数のワイヤー部のうちの一つの導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、前述の通り、連結部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図示なし)。
【0061】
(2-3)導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300のZ方向側の部分を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込む(図示なし)。
【0062】
以上の通りに導電ワイヤー300のZ方向側の埋込部が樹脂層200の第2面202に埋め込まれ且つ導電ワイヤー300のZ’方向側の突出部が樹脂層200の第2面202からZ’方向に突出する。なお、樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定される場合、導電ワイヤー300の埋込部を樹脂層200の第2面202に埋め込んだ後に、樹脂層200を第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定しても良い。
【0063】
上記した導電ワイヤー300の埋込工程後に、第2構造物400を用意する。第2構造物400を接着及び/又は係合によって、樹脂層200の第2面202に固定し且つ導電ワイヤー300の突出部を覆う。このとき、第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間に間隙が生じる。
【0064】
その後、第2成形用金型20の第1型部20aと第2型部20bとを型開きして、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300及び第2構造物400を第2型部20b上に載置する。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型締めする。このようにして第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300及び第2構造物400が第2成形用金型20のキャビティ21内に配置される(図2Bの上から一つ目の図参照)。その後、第2成形用金型20の図示しないスプルーから溶融樹脂を射出して第2成形用金型20のキャビティ21内の第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間の間隙に充填する(図2Bの上から二つ目の図参照)。このとき、導電ワイヤー300の突出部が溶融樹脂内にインサートされる。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第2構造物400と樹脂層200の第2面202との間に充填層Iが成形され、当該充填層I内に導電ワイヤー300の突出部が埋め込まれ(インサート成形され)且つ第2成形用金型20のスプルー内で第2樹脂部が成形される。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型開きし、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、第2構造物400及び充填層Iを取り出し(図2Bの上から三つ目の図参照)、第2樹脂部を除去する。
【0065】
第2構造物400及び充填層Iが省略される場合、第2構造物400が樹脂層200の第2面202に対する固定工程及び充填層Iの成形工程が省略される。
【0066】
充填層Iが省略される一方で、第2構造物400が設けられる場合、図示しない成形用金型のキャビティ内に、第1構造物100、樹脂層200及び導電ワイヤー300を配置し、当該キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に、固化させて第2構造物400を樹脂層200の第2面202上に成形し、第2構造物400内に導電ワイヤー300の突出部をインサート成形しても良い。又は、第2構造物400を樹脂層200の第2面202に接着又は係合によって固定しても良い。
【0067】
以上の何れかの通りに三次元構造物S1が製造される。このような三次元構造物S1及びその製造法は、導電ワイヤー300が樹脂層200に部分的に埋め込まれるので、当該導電ワイヤー300に位置ずれが生じ難くなる。特に、充填層Iが第2構造物400と樹脂層200との間に成形される場合、充填層Iとなる溶融樹脂が第2成形用金型20のキャビティ21内に射出され、導電ワイヤー300を押圧したとしても、導電ワイヤー300が樹脂層200の第2面202に部分的に埋め込まれているので、当該導電ワイヤー300に位置ずれが生じ難くなる。また、第2構造物400が樹脂層200上に成形される場合も、充填層Iが成形される場合と同様に、溶融樹脂が導電ワイヤー300を押圧したとしても、導電ワイヤー300が樹脂層200の第2面202に部分的に埋め込まれているので、当該導電ワイヤー300に位置ずれが生じ難くなる。
【0068】
導電ワイヤー300が樹脂層200に部分的に埋め込まれるので、第1構造物100を任意の材料で構成することが可能になり且つ第1構造物100に導電ワイヤー300が埋め込まれることによって生じる歪みが生じない。
【0069】
また、第1構造物100の被固定面101が凹凸を有する場合、仮に、被固定面101に導電ワイヤー300を超音波発生装置の超音波ヘッドUで部分的に埋め込もうとしても、これを行うことは困難である。なぜなら、導電ワイヤー300の一部が被固定面101の凹部内に位置している場合、超音波発生装置の超音波ヘッドUが凹部の周辺に当接することによって、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300の一部に対して押圧することができないからである。これに対して、三次元構造物S1は、樹脂層200の第2面202を平滑面とすることが可能である。この場合、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300を押圧して樹脂層200の第2面202に埋め込み易くなる。
【0070】
導電ワイヤー300が樹脂層200に直接埋め込まれるので、三次元構造物S1の部品点数が低減される。
【実施例2】
【0071】
以下、本発明の実施例2及びその設計変形例を含む複数の実施例に係る三次元構造物S2について、図3A図3Cを参照しつつ説明する。図3Aには、実施例2の三次元構造物S2が示されており、図3Bには、実施例2の三次元構造物S2の第1設計変形例が示されており、図3Cには、実施例2の三次元構造物S2の第2設計変形例が示されている。なお、図3Aに示すZ-Z’方向は、三次元構造物S2の厚み方向である。図3Aに示すY-Y’方向は、三次元構造物S2の幅方向である。三次元構造物S2の長さ方向であるX-X’方向は、図1Bを借りて参照する。
【0072】
三次元構造物S2は、少なくとも一つの端子500を更に備えている点で、三次元構造物S1と相違する以外、三次元構造物S1と同様の構成である。よって、以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、三次元構造物S2の説明のうち、三次元構造物S1の説明と重複する説明につては省略する。
【0073】
少なくとも一つの端子500は、導電ワイヤー300のワイヤー本体310よりも強度の高い金属板等の導電性を有する素材で構成されている。少なくとも一つの端子500は、複数とすることが可能である。複数の端子500は、例えば、第1、第2端子500を含んでいても良い。以下、説明の便宜上、少なくとも一つの端子500を「一又は各端子500」とも称する。「一又は各端子500」のうちの一の端子500は、端子500が一つである場合の一の端子500であり、各端子500は、端子500が複数である場合の各々の端子500である。
【0074】
一又は各端子500は、埋込部510と、外部接続部520とを有する。一又は各端子500の埋込部510の一部は、樹脂層200の第2面202に埋め込まれており、一又は各端子500の埋込部510の残りの部分は、樹脂層200の第2面202から露出又は突出している。一又は各端子500の外部接続部520は、樹脂層200外に位置している。例えば、一又は各端子500の外部接続部520は、樹脂層200に対してZ’方向側に位置している。一又は各端子500の外部接続部520は、外部接続可能となっている。導電ワイヤー300がヒーターである場合、一又は各端子500の外部接続部520が通電装置に接続可能となり、導電ワイヤー300がアンテナである場合、一又は各端子500の外部接続部520が通信装置に接続可能となり、導電ワイヤー300がコイルや導電ラインである場合、一又は各端子500の外部接続部520が電子機器に接続可能となる。なお、一又は各端子500の外部接続部520は、Z方向側の第1部と、Z’方向側の第2部とを有しており、第2部が、第2部のZ’方向側の部分である一又は各端子500の外部接続部520の先端部を有している。
【0075】
第2構造物400及び充填層Iが設けられている場合、一又は各端子500の埋込部510の残りの部分と一又は各端子500の外部接続部520の第1部が充填層Iに埋め込まれている。第2構造物400には貫通孔410が設けられている。一又は各端子500の外部接続部520の第2部が貫通孔410をZ-Z’方向において貫通しており且つ一又は各端子500の外部接続部520の先端部が貫通孔410に対してZ’方向側に位置している。又は、一又は各端子500の外部接続部520の第2部が貫通孔410内に位置している。
【0076】
充填層Iが設けられておらず且つ第2構造物400が樹脂層200の第2面202上に固定されている場合、一又は各端子500の外部接続部520は、第2構造物400の貫通孔410をZ-Z‘方向において貫通している又は第2構造物400の貫通孔410内に配置されている。
【0077】
三次元構造物S2の導電ワイヤー300は、ワイヤー本体310に加えて、上記融着層(図5を借りて参照)を有していても良いし、上記絶縁層及び上記融着層を有していても良いし、上記絶縁層及び上記融着層を有していなくても良い。この導電ワイヤー300のワイヤー本体310の少なくとも一つの接続部は、少なくとも一つの端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。例えば、少なくとも一つの接続部は、少なくとも一つの端子500の埋込部510に接触するワイヤー本体310の任意の一部であって、少なくとも一つの端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続された構成とすることが可能である。導電ワイヤー300が融着層を有する一方、絶縁層を有していない場合、少なくとも一つの接続部は融着層から少なくとも部分的に露出し且つ少なくとも一つの端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。導電ワイヤー300が絶縁層及び融着層を有する場合、少なくとも一つの接続部は絶縁層及び融着層から少なくとも部分的に露出し且つ少なくとも一つの端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。ワイヤー本体310の少なくとも一つの接続部が第1、第2接続部を有する場合、第1、第2接続部は、第1、第2端子500の埋込部510に接触するワイヤー本体310の任意の一部であって、第1、第2端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続された構成とすることが可能である。
【0078】
三次元構造物S2は、ボディ600を更に備えた構成とすることが可能である(図3C参照)。ボディ600は樹脂等の絶縁性を有する素材で構成されている。ボディ600は第2構造物400の第2面上に固定されている又は一体的に設けられている。ボディ600は、貫通孔610が設けられている。貫通孔610は第2構造物400の貫通孔410に連通しており且つ一又は各端子500の外部接続部520は、第2構造物400の貫通孔410及びボディ600の貫通孔610内に配置されている。一又は各端子500の外部接続部520とボディ600とによってコネクタが構成されている。このコネクタは、ボディ600が図示しない外部機器(例えば、上記通電装置、通信装置又は電子機器等)の相手方コネクタのボディに接続され、一又は各端子500の外部接続部520が相手方コネクタの一又は対応する端子に接触することによって、相手方コネクタに接続される。なお、ボディ600は省略可能である。
【0079】
三次元構造物S2の第1構造物100は、上記少なくとも一つの機能層120を有していても良いし(図3B参照)、上記少なくとも一つの機能層120を有していなくても良い。
【0080】
以下、上記した三次元構造物S2の製造方法について図4A及び図4Bを参照しつつ説明する。図4A及び図4Bには、三次元構造物S2の製造方法の工程が示されている。なお、この三次元構造物S2の製造方法で用いる第1成形用金型10’は、第1型部10a’がキャビティ11に連通する収容穴13を更に有している以外、三次元構造物S1の製造方法で用いる第1成形用金型10と同じ構成である。三次元構造物S2の製造方法で用いる第2成形用金型20’は、第1型部20a’がキャビティ21内に凸となるように延びた凸部22と、凸部22及び第1型部20a’のキャビティ21の周縁部に設けられた収容穴23とを更に有している以外、三次元構造物S1の製造方法で用いる第2成形用金型20と同じ構成である。
【0081】
まず、上記した何れかの態様の第1構造物100を用意する(図4Aの上から一つ目の図参照)。上記した何れかの態様の一又は複数の端子500を用意する。第1成形用金型10’の第1型部10a’と第2型部10bとを型開きして、第1構造物100を第2型部10b上に載置する。一又は複数の端子500の外部接続部520及び一又は複数の端子500の埋込部510の残りの部分を第1型部10a’の収容穴13内に挿入し、一又は複数の端子500を第1型部10a’に接着剤や両面テープ等で固定する。その後、第1型部10a’と第2型部10bとを型締めする。このようにして第1構造物100及び一又は複数の端子500の埋込部510の一部が第1成形用金型10’のキャビティ11内に配置される(図4Aの上から二つ目の図参照)。
【0082】
その後、第1成形用金型10’のスプルー12から溶融樹脂を射出して第1成形用金型10’のキャビティ11内の第1構造物100の被固定面101上の空間に充填する(図4Aの上から三つ目の図参照)。このとき、一又は複数の端子500の埋込部510の一部が、溶融樹脂内にインサートされる。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第1構造物100の被固定面101上に樹脂層200が成形され、一又は複数の端子500の埋込部510の一部が樹脂層200内に埋め込まれ(インサート成形され)且つ第1成形用金型10’のスプルー12内で第1樹脂部P1が成形される。このようにして樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に固定される。その後、第1型部10aと第2型部10bとを型開きし、第1構造物100、一又は複数の端子500及び樹脂層200を取り出し、第1樹脂部P1を除去する。
【0083】
又は、樹脂層200を前述の通り成形するのではなく、図示しない成形用金型で成形された樹脂層200を用意する。この樹脂層200にも、上記と同様に、一又は複数の端子500の埋込部510の一部がインサート成形されている。この樹脂層200の第1面201を第1構造物100の被固定面101上に接着する及び/又は三次元構造物S1と同様に係合させることによって固定する。
【0084】
樹脂層200の固定後、上記した何れかの態様の導電ワイヤー300を用意する。導電ワイヤー300に対して超音波発生装置の超音波振動する超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、導電ワイヤー300を樹脂層200に押しつけることによって、導電ワイヤー300を樹脂層200に部分的に埋め込む。
【0085】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-1)の場合、上記の通り、導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図4Aの上から四つ目の図参照)。この過程で、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に送られる。この導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0086】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-2)の場合、導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置するときに、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に配置される。その後、上記の通り、導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この過程で、導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0087】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-3)の場合、導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置するときに、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に配置される。その後、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300のZ方向側の部分(埋込部)を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込むと共に、導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつけ、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0088】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-1)の場合、上記の通り、複数のワイヤー部のうちの一つのワイヤー部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、前述の通り、連結部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。ワイヤー部の埋込工程又は連結部の埋込工程の過程で、導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0089】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-2)の場合、導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、上記の通り、複数のワイヤー部のうちの一つのワイヤー部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、上記の通り、連結部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。ワイヤー部の埋込工程又は連結部の埋込工程の過程で、導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0090】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-3)の場合、導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込むと共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつけ、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0091】
以上の通りに導電ワイヤー300のZ方向側の埋込部が樹脂層200の第2面202に埋め込まれ且つ導電ワイヤー300のZ’方向側の突出部が樹脂層200の第2面202からZ’方向に突出する。また、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。
【0092】
上記した導電ワイヤー300の埋込工程後に、熱かしめ、溶接(例えば、レーザー溶接、アーク溶接、抵抗溶接又は超音波溶接等)又は半田接続によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続する。導電ワイヤー300が融着層を有する一方、絶縁層を有していない場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、その熱によって導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う融着層の一部分が溶融し、当該一又は各接続部が融着層から露出して対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される、又は、溶接若しくは半田接続によって生じる熱によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う融着層の一部分が溶融し、当該一又は各接続部が融着層から露出して対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される。導電ワイヤー300が絶縁層及び融着層を有する場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、その熱によって導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う絶縁層及び融着層の一部分が溶融し、当該一又は各接続部が絶縁層及び融着層から露出して対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される、又は、溶接若しくは半田接続によって生じる熱によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う絶縁層及び融着層の一部分が溶融し、当該一又は各接続部が絶縁層及び融着層から露出して対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される。導電ワイヤー300が絶縁層及び融着層を有していない場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、当該一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続する、又は、溶接若しくは半田接続によって、一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続する。なお、樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定される場合、上記した導電ワイヤー300の接続工程後に、樹脂層200を第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定しても良い。
【0093】
上記した導電ワイヤー300の接続工程後に、第2構造物400を用意する。第2構造物400を接着及び/又は係合によって、樹脂層200の第2面202に固定し且つ導電ワイヤー300の突出部を覆う。このとき、一又は複数の端子500の外部接続部520の第2部を第2構造物400の貫通孔410に挿通させる。第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間には間隙が生じる。
【0094】
その後、第2成形用金型20’の第1型部20a’と第2型部20bとを型開きして、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又は複数の端子500及び第2構造物400を第2型部20b上に載置する。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型締めする。このとき、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又は複数の端子500の埋込部510、一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部及び第2構造物400が第2成形用金型20のキャビティ21内に配置され、第1型部20a’の収容穴23内に一又は複数の端子500の外部接続部520の第2部が収容され(図4Bの上から一つ目の図参照)、且つ凸部22が第2構造物400の貫通孔410に嵌合(FIT IN)する。その後、第2成形用金型20’の図示しないスプルーから溶融樹脂を射出して第2成形用金型20’のキャビティ21内の第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間の間隙に充填する(図4Bの上から二つ目の図参照)。このとき、導電ワイヤー300の突出部、一又は複数の端子500の埋込部510の残りの部分及び一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部が溶融樹脂内にインサートされる。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間に充填層Iが成形され、当該充填層I内に導電ワイヤー300の突出部、一又は複数の端子500の埋込部510の残りの部分及び一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部が埋め込まれ(インサート成形され)、且つ第2成形用金型20’のスプルー内で第2樹脂部が成形される。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型開きし、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、第2構造物400、一又複数の端子500及び充填層Iを取り出し(図4Bの上から三つ目の図参照)、第2樹脂部を除去する。このとき、凸部22が第2構造物400の貫通孔410から抜け、一又複数の端子500の外部接続部520の第2部が貫通孔410を貫通する又は貫通孔410内に配置される。なお、凸部22は省略可能である。この場合、貫通孔410は、一又複数の端子500の外部接続部520の第2部の先端部以外の外形と略同じにすれば良い。
【0095】
第2構造物400と別体のボディ600が設けられている場合、ボディ600を用意する。このボディ600を第2構造物400に固定し、ボディ600の貫通孔610内に一又複数の端子500の外部接続部520の先端部を挿入する。なお、ボディ600が第2構造物400と一体的である場合、用意された第2構造物400にボディ600が設けられていると良い。
【0096】
第2構造物400及び充填層Iが省略される場合、第2構造物400が樹脂層200の第2面202に対する固定工程及び充填層Iの成形工程が省略される。
【0097】
充填層Iが省略される一方で、第2構造物400が設けられる場合、図示しない成形用金型のキャビティ内に、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300及び一又は複数の端子500を配置し、当該キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に、固化させて第2構造物400を樹脂層200の第2面202上に成形し、第2構造物400内に導電ワイヤー300の突出部をインサート成形しても良い。なお、ボディ600が第2構造物400と一体的である場合、前述の第2構造物400の成形時にボディ600も成形されると良い。又は、第2構造物400を樹脂層200の第2面202に接着又は係合によって固定しても良い。
【0098】
以上の何れかの通りに三次元構造物S2が製造される。このような三次元構造物S2及びその製造法は、三次元構造物S1及びその製造法と同様の技術的特徴及び効果を奏する。しかも、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202に埋め込むときに、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部を対応する端子500の埋込部510の残りの部分に押しつけることによって、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に接触した状態で配置される。よって、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続し易くなる。更に、少なくとも一つの端子500が外部接続されるようになっているので、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部を外部接続する場合に比べて、容易に三次元構造物S1を外部接続することが可能になる。また、三次元構造物S2が上記コネクタを備えている場合、三次元構造物S2のボディ600と外部機器の相手方コネクタとを接続することによって、三次元構造物S2をより簡単に外部機器に接続することが可能になる。
【実施例3】
【0099】
以下、本発明の実施例3及びその設計変形例を含む複数の実施例に係る三次元構造物S3について、図5を参照しつつ説明する。図5には、実施例3の三次元構造物S3が示されている。なお、図に示すZ-Z’方向は、三次元構造物S3の厚み方向である。図5に示すY-Y’方向は、三次元構造物S2の幅方向である。三次元構造物S2の長さ方向であるX-X’方向は、図1Bを借りて参照する。
【0100】
三次元構造物S3は、少なくとも一つのバインダ層700を更に備えている点で、三次元構造物S2と相違する以外、三次元構造物S2と同様の構成である。よって、以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、三次元構造物S3の説明のうち、三次元構造物S2の説明と重複する説明につては省略する。
【0101】
少なくとも一つのバインダ層700は、少なくとも一つの端子500の数に応じて設けられている。以下、説明の便宜上、少なくとも一つのバインダ層700を「一又は各バインダ層700」とも称する。「一又は各バインダ層700」のうちの一のバインダ層700は、バインダ層700が一つである場合の一のバインダ層700であり、各バインダ層700は、バインダ層700が複数である場合の各々のバインダ層700である。
【0102】
一又は各バインダ層700は、ホットメルト等の熱可塑性樹脂であって、対応する端子500の埋込部510のZ’方向側の面上に設けられている。一又は各バインダ層700は、Z’方向側の露出面701を有する。
【0103】
一又は各端子500の埋込部510は、当該埋込部510上のバインダ層700の露出面701が樹脂層200の第2面202と略面一となるように樹脂層200の第2面202に埋め込まれている。この場合、一又は各端子500の埋込部510の全体が樹脂層200内に埋め込まれ、当該埋込部510上のバインダ層700は、露出面701が樹脂層200の第2面202から露出するように、樹脂層200内に埋め込まれている。
【0104】
三次元構造物S3の導電ワイヤー300は、ワイヤー本体310に加えて、上記融着層320を有していても良いし、融着層320及び絶縁層330(図5参照)を有していても良いし、融着層320及び絶縁層330を有していなくても良い。融着層320が設けられている一方で、上記絶縁層330が設けられていない場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部は、融着層320から露出して一又は各端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。融着層320及び上記絶縁層330が設けられている場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部は、融着層320及び絶縁層330から露出して一又は各端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。融着層320及び上記絶縁層330が設けられていない場合、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部は、一又は各端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続されている。なお、三次元構造物S3においては、融着層に符号320、絶縁層に330を付して説明するが、融着層320及び絶縁層330は、三次元構造物S1及びS2の融着層及び絶縁層と同様の構成である。
【0105】
三次元構造物S3の第1構造物100は、上記少なくとも一つの機能層120を有していても良いし、上記少なくとも一つの機能層120を有していなくても良い。
【0106】
以下、上記した三次元構造物S3の製造方法について図6A及び図6Bを参照しつつ説明する。図6A及び図6Bには、三次元構造物S3の製造方法の工程が示されている。
【0107】
まず、上記した何れかの態様の第1構造物100を用意する(図6Aの上から一つ目の図参照)。上記した何れかの態様の一又は複数の端子500と、一又は複数のバインダ層700を用意する。この一又は複数の端子500の埋込部510上にはバインダ層700が各々設けられている。以下、この一又は複数の端子500の埋込部510上のバインダ層700を「対応するバインダ層700」とも称する。
【0108】
第1成形用金型10’の第1型部10a’と第2型部10bとを型開きして、第1構造物100を第2型部10b上に載置する。一又は複数の端子500の外部接続部520を第1型部10a’の収容穴13内に挿入し、対応するバインダ層700の露出面701を第1型部10a’の収容穴13の縁部に当接させ且つ一又は複数の端子500を第1型部10a’に接着剤や両面テープ等で固定する。その後、第1型部10a’と第2型部10bとを型締めする。このようにして第1構造物100、一又は複数の端子500の埋込部510及び対応するバインダ層700が第1成形用金型10’のキャビティ11内に配置される(図6Aの上から二つ目の図参照)。
【0109】
その後、第1成形用金型10’のスプルー12から溶融樹脂を射出して第1成形用金型10’のキャビティ11内の第1構造物100の被固定面101上の空間に充填する(図6Aの上から三つ目の図参照)。このとき、一又は複数の端子500の埋込部510及び対応するバインダ層700が溶融樹脂内にインサートされるが、対応するバインダ層700の露出面701は、第1型部10a’の収容穴13の縁部に当接しているため、溶融樹脂内にインサートされない。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第1構造物100の被固定面101上に樹脂層200が成形され、一又は複数の端子500の埋込部510及び対応するバインダ層700(露出面701を除く。)が樹脂層200内に埋め込まれ(インサート成形され)且つ第1成形用金型10’のスプルー12内で第1樹脂部P1が成形される。このようにして樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に固定され且つ樹脂層200の第2面202と対応するバインダ層700の露出面701とが略面一となる。その後、第1型部10aと第2型部10bとを型開きし、第1構造物100、一又は複数の端子500及び樹脂層200を取り出し、第1樹脂部P1を除去する。
【0110】
又は、樹脂層200を前述の通り第1構造物100の被固定面101上に成形するのではなく、図示しない成形用金型(以下、樹脂層用の成形用金型とも称する。)で成形された樹脂層200を用意する。この樹脂層200にも、上記と同様に、一又は複数の端子500の埋込部510及び対応するバインダ層700がインサート成形されており且つ樹脂層200の第2面202と対応するバインダ層700の露出面701とが略面一となっている。この樹脂層200の第1面201を第1構造物100の被固定面101上に接着する及び/又は三次元構造物S1と同様に係合させることによって固定する。なお、樹脂層用の成形用金型は、キャビティが樹脂層200の外形に対応している以外、第1成形用金型10’と同様の構成である。
【0111】
なお、対応するバインダ層700を、一又は複数の端子500の埋込部510と共に樹脂層200にインサート成形するのではなく、一又は複数の端子500の埋込部510のZ’方向側の面に第1成形用金型10’又は樹脂層用の成形用金型の第1型部の凸部を当接させ、この状態で、上記何れかの通りに、一又は複数の端子500の埋込部510を樹脂層200にインサート成形しても良い。この場合、樹脂層200の第2面202には、一又は複数の端子500の埋込部510が露出する凹部が形成されている。この凹部内の一又は複数の端子500の埋込部510上に対応するバインダ層700を塗布する。
【0112】
樹脂層200の固定後、上記した何れかの態様の導電ワイヤー300を用意する。導電ワイヤー300に対して超音波発生装置の超音波振動する超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、導電ワイヤー300を樹脂層200に押しつけることによって、導電ワイヤー300を樹脂層200に部分的に埋め込む。
【0113】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-1)の場合、上記の通り、導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む(図6Aの上から四つ目の図参照)。この過程で、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に送られる。この導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0114】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-2)の場合、導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置するときに、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に配置される。その後、上記の通り、導電ワイヤー300の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この過程で、導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0115】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(1-3)の場合、導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202上に上記一筆書き形状に配置するときに、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上に配置される。その後、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300のZ方向側の部分(埋込部)を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込むと共に、導電ワイヤー300の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつけ、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0116】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-1)の場合、上記の通り、複数のワイヤー部のうちの一つのワイヤー部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、前述の通り、連結部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。ワイヤー部の埋込工程又は連結部の埋込工程の過程で、導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0117】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-2)の場合、導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、上記の通り、複数のワイヤー部のうちの一つのワイヤー部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。この工程を全てのワイヤー部に対して行う。この全てのワイヤー部の埋込工程の前後に、上記の通り、連結部の一部分のZ方向側の部分を第1端部から第2端部にかけて樹脂層200の第2面202に順次埋め込む。ワイヤー部の埋込工程又は連結部の埋込工程の過程で、導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加すると共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつける。このようにして導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0118】
導電ワイヤー300の埋込工程が上記(2-3)の場合、導電ワイヤー300の複数のワイヤー部及び連結部を樹脂層200の第2面202上に配置した後に、導電ワイヤー300全体に対して超音波発生装置の超音波ヘッドUで超音波を印加しつつ、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300全体を樹脂層200の第2面202に押しつけることによって、当該導電ワイヤー300のZ方向側の部分を一度に樹脂層200の第2面202に埋め込むと共に、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300のワイヤー部又は連結部の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつけ、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着される。
【0119】
以上の通りに導電ワイヤー300のZ方向側の埋込部が樹脂層200の第2面202に埋め込まれ且つ導電ワイヤー300のZ’方向側の突出部が樹脂層200の第2面202からZ’方向に突出する。また、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着した状態で維持される。
【0120】
上記した導電ワイヤー300の埋込工程後に、熱かしめ、溶接(例えば、レーザー溶接、アーク溶接、抵抗溶接又は超音波溶接等)又は半田接続によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に機械的且つ電気的に接続する。導電ワイヤー300が融着層320を有する一方、絶縁層330を有していない場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、その熱によって導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う融着層320の一部分及び対応するバインダ層700が溶融し、当該一又は各接続部が融着層320から露出し且つ対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される、又は、溶接若しくは半田接続によって生じる熱によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う融着層320の一部分及び対応するバインダ層700が溶融し、当該一又は各接続部が融着層320から露出し且つ対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される。導電ワイヤー300が絶縁層330及び融着層320を有する場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、その熱によって導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う絶縁層330及び融着層320の一部分及び対応するバインダ層700が溶融し、当該一又は各接続部が絶縁層330及び融着層320から露出し且つ対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される、又は、溶接若しくは半田接続によって生じる熱によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を覆う絶縁層330及び融着層320の一部分及び対応するバインダ層700が溶融し、当該一又は各接続部が絶縁層330及び融着層320から露出し且つ対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される。導電ワイヤー300が絶縁層330及び融着層320を有していない場合、熱かしめ機のかしめホーンCで導電ワイヤー300の一又は各接続部を端子500の埋込部510に加熱しつつ押圧し、その熱によって対応するバインダ層700が溶融し、対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される、又は、溶接若しくは半田接続によって生じる熱によって、対応するバインダ層700が溶融し、対応する端子500の埋込部510が対応するバインダ層700から露出して、当該一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510に電気的且つ機械的に接続される。なお、樹脂層200が第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定される場合、上記した導電ワイヤー300の接続工程後に、樹脂層200を第1構造物100の被固定面101上に接着及び/又は係合によって、固定しても良い。
【0121】
上記した導電ワイヤー300の接続工程後に、第2構造物400を用意する。第2構造物400を接着及び/又は係合によって、樹脂層200の第2面202に固定し且つ導電ワイヤー300の突出部を覆う。このとき、一又は複数の端子500の外部接続部520の第2部を第2構造物400の貫通孔410に挿通させる。第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間には間隙が生じる。
【0122】
その後、第2成形用金型20’の第1型部20a’と第2型部20bとを型開きして、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又は複数の端子500、対応するバインダ層700及び第2構造物400を第2型部20b上に載置する。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型締めする。このとき、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又は複数の端子500の埋込部510、一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部、対応するバインダ層700及び第2構造物400が第2成形用金型20のキャビティ21内に配置され、第1型部20a’の収容穴23内に一又は複数の端子500の外部接続部520の第2部が収容され(図6Bの上から一つ目の図参照)、且つ凸部22が第2構造物400の貫通孔410に嵌合(FIT IN)する。その後、第2成形用金型20’の図示しないスプルーから溶融樹脂を射出して第2成形用金型20’のキャビティ21内の第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間の間隙に充填する(図6Bの上から二つ目の図参照)。このとき、導電ワイヤー300の突出部と一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部が溶融樹脂内にインサートされ且つ対応するバインダ層700の露出面701が溶融樹脂によって覆われる。この溶融樹脂が冷却等によって固化されることによって、第2構造物400の第1面と樹脂層200の第2面202との間に充填層Iが成形され、当該充填層I内に導電ワイヤー300の突出部及び一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部が埋め込まれ(インサート成形され)、且つ第2成形用金型20’のスプルー内で第2樹脂部が成形される。その後、第1型部20aと第2型部20bとを型開きし、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又複数の端子500、対応するバインダ層700、第2構造物400及び充填層Iを取り出し(図6Bの上から三つ目の図参照)、第2樹脂部を除去する。このとき、凸部22が第2構造物400の貫通孔410から抜け、一又複数の端子500の外部接続部520が貫通孔410を貫通する又は貫通孔410内に配置される。なお、凸部22は省略可能である。この場合、貫通孔410は、一又複数の端子500の外部接続部520の第2部の先端部以外の外形と略同じにすれば良い。
【0123】
第2構造物400と別体のボディ600が設けられている場合、ボディ600を用意する。このボディ600を第2構造物400に固定し、ボディ600の貫通孔610内に一又複数の端子500の外部接続部520の先端部を挿入する。なお、ボディ600が第2構造物400と一体的である場合、用意された第2構造物400にボディ600が設けられていると良い。
【0124】
第2構造物400及び充填層Iが省略される場合、第2構造物400が樹脂層200の第2面202に対する固定工程及び充填層Iの成形工程が省略される。
【0125】
充填層Iが省略される一方で、第2構造物400が設けられる場合、図示しない成形用金型のキャビティ内に、第1構造物100、樹脂層200、導電ワイヤー300、一又は複数の端子500及び対応するバインダ層700を配置し、当該キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に、固化させて第2構造物400を樹脂層200の第2面202上に成形し、第2構造物400内に導電ワイヤー300の突出部と一又は複数の端子500の外部接続部520の第1部をインサート成形しても良い。なお、ボディ600が第2構造物400と一体的である場合、前述の第2構造物400の成形時にボディ600も成形されると良い。又は、第2構造物400を樹脂層200の第2面202に接着又は係合によって固定しても良い。
【0126】
以上の何れかの通りに三次元構造物S3が製造される。このような三次元構造物S3及びその製造法は、三次元構造物S1及びその製造法と同様の技術的特徴及び効果を奏する。しかも、超音波発生装置の超音波ヘッドUで導電ワイヤー300を樹脂層200の第2面202に埋め込むときに、超音波発生装置の超音波ヘッドUで当該導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部を対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に押しつけることによって、導電ワイヤー300の一又は各接続部が対応する端子500の埋込部510上のバインダ層700に接着された状態が維持される。よって、熱かしめ、溶接又は半田接続によって、導電ワイヤー300の一又は各接続部を対応する端子500の埋込部510に機械的且つ電気的に接続し易くなり、且つ導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部の近傍部分が対応する端子500の埋込部510から浮き上がるのを抑制することができる。更に、少なくとも一つの端子500が外部接続されるようになっているので、導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部を外部接続する場合に比べて、容易に三次元構造物S1を外部接続することが可能になる。また、三次元構造物S3が上記コネクタを備えている場合、三次元構造物S3のボディ600と外部機器の相手方コネクタとを接続することによって、三次元構造物S3をより簡単に外部機器に接続することが可能になる。
【0127】
なお、上記した三次元構造物及びその製造方法は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0128】
上記した三次元構造物は、ミリ波レーダー装置に対してミリ波の送信方向(例えば、Z方向に相当)の前方に配置される構成とすることが可能である。この場合、上記した三次元構造物の第1構造物100及び樹脂層200は、ミリ波レーダー装置から照射されたミリ波及び対象物に反射したミリ波が第1構造物100及び樹脂層200を透過する際に、当該ミリ波が減衰し難い材料で構成されていると良い。上記した三次元構造物が第2構造物400を備えている場合、第2構造物400も、前述のミリ波が減衰し難い材料で構成されていると良い。上記した三次元構造物の導電ワイヤー300の間隔は、前述のミリ波を阻害し難い間隔で配置されていると良いが、これに限定されるものではない。
【0129】
上記した何れかの態様の導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部は、対応する端子500の任意の箇所に接続可能である。例えば、上記した何れかの態様の導電ワイヤー300の少なくとも一つの接続部は、対応する端子500の埋込部510以外の部分に接触し且つ電気的に接続されていても構わない。
【0130】
第2構造物400及び充填層Iが設けられていない場合、ボディ600は樹脂層200の第2面202上に固定されていても良いし、一体的に設けられていても良い。この場合、一又は各端子500の外部接続部520は、ボディ600の貫通孔610内に配置されている。
【符号の説明】
【0131】
10、10’:第1成形用金型
10a、10a’:第1型部
10b:第2型部
11:キャビティ
12:スプルー
13:収容穴
20、20’:第2成形用金型
20a、20a’:第1型部
20b:第2型部
21:キャビティ
22:凸部
23:収容穴
S1、S2、S3:三次元構造物
100:第1構造物 101:被固定面 110:本体部 120:機能層
200:樹脂層 201:第1面 202:第2面
300:導電ワイヤー 310:ワイヤー本体 320:融着層 330:絶縁層
400:第2構造物
500:端子 510:埋込部 520:外部接続部
U:超音波ヘッド
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B