(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】拡声器
(51)【国際特許分類】
H04R 27/00 20060101AFI20240909BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H04R27/00 A
H04R1/00 328A
H04R1/00 318C
(21)【出願番号】P 2020219001
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232003
【氏名又は名称】日本電音株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】永木 清彦
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210129954(CN,U)
【文献】特開2018-061129(JP,A)
【文献】登録実用新案第3115945(JP,U)
【文献】中国実用新案第208971819(CN,U)
【文献】中国実用新案第211184248(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 27/00-27/04
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれの形態でも使用することができる拡声器であって、拡声器が、一方の端にマイクを有し、他方の端にスピーカの音孔を有する、手で把握可能な略長円柱形のマイク本体と、マイク本体の略長円柱形の長手方向の側面で使用時に下方になる部分から延びるように着脱自在に取付可能な、手で把握可能な棒状のグリップホルダーとを含
み、スピーカの音孔を有するマイク本体の端が、拡張していないこと、及び手持ちマイク形態として使用する場合には、グリップホルダーをマイク本体からはずして、マイク本体の周囲を手で把握して使用するように構成され、ハンドメガホン形態として使用する場合には、マイク本体にグリップホルダーを取付けた状態でグリップホルダーを手で把握して使用するように構成され、マイクスタンド取付形態として使用する場合には、グリップホルダーの下部をマイクスタンドの上方端部に固定取付して使用するように構成されることを特徴とする拡声器。
【請求項2】
グリップホルダーのマイク本体から離れた端部に、棒状マイクスタンドの上方端部に固定取付可能な部材が設けられているか、又は棒状マイクスタンドの上方端部に固定取付可能な加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の拡声器。
【請求項3】
グリップホルダーのマイク本体への取付位置が、マイク本体のスピーカの音孔を有する端部よりマイクを有する端部の近くに存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の拡声器。
【請求項4】
マイク本体の略長円柱形の中心軸線と、グリップホルダーの把握部の中心軸線とが形成する角度が45~75°であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の拡声器。
【請求項5】
マイク本体に増幅器及び電源が内蔵されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の拡声器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれにおいても好適に使用可能なスピーカ付き拡声器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクは、手持ち型の場合、別体の増幅器やスピーカなどの機器に配線接続する必要があり、屋外や少人数の状況で使用するには煩雑で利便性に劣る問題があった。また、手持ち型のマイクをマイクスタンドに取り付けて使用する場合、マイクを差し込むマイクホルダーを別途必要とするが、マイクホルダーがマイクとの接触圧力によって容易に破損する問題があった(特許文献1参照)。
【0003】
一方、増幅器やスピーカを一体化したマイクとして、メガホン型拡声器が従来から存在する(特許文献2参照)。メガホン型拡声器は、配線接続もなく、手軽に使用できる利点があるが、本体の先端部が大きく拡張しており、聴取者に向けられた場合、前方方向が見えづらく、威圧感を与えてしまう問題があった。また、メガホン型拡声器は、本体が重く、マイクスタンドに安定して取り付けるのは困難であり、容積が大きいことから携帯性や収納性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案公報第3002377号
【文献】意匠登録第1590359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の従来技術の問題を克服するために創案されたものであり、その目的は、手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれにおいても容易にかつ好適に使用可能なスピーカ付き拡声器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれにおいても容易に対応可能な構造の拡声器について鋭意検討した結果、マイク本体を手で把握可能な略長円柱形にしたうえで両端にそれぞれマイクとスピーカの音孔を設け、さらにマイク本体の略長円柱形の長手方向の側面から下方に延びる、手で把握可能なグリップホルダーを着脱自在に設けることによって上記目的を達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の(1)~(5)の構成を有するものである。
(1)手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれの形態でも使用することができる拡声器であって、拡声器が、一方の端にマイクを有し、他方の端にスピーカの音孔を有する、手で把握可能な略長円柱形のマイク本体と、マイク本体の略長円柱形の長手方向の側面で使用時に下方になる部分から延びるように着脱自在に取付可能な、手で把握可能な棒状のグリップホルダーとを含み、スピーカの音孔を有するマイク本体の端が、拡張していないこと、及び手持ちマイク形態として使用する場合には、グリップホルダーをマイク本体からはずして、マイク本体の周囲を手で把握して使用するように構成され、ハンドメガホン形態として使用する場合には、マイク本体にグリップホルダーを取付けた状態でグリップホルダーを手で把握して使用するように構成され、マイクスタンド取付形態として使用する場合には、グリップホルダーの下部をマイクスタンドの上方端部に固定取付して使用するように構成されることを特徴とする拡声器。
(2)グリップホルダーのマイク本体から離れた端部に、棒状マイクスタンドの上方端部に固定取付可能な部材が設けられているか、又は棒状マイクスタンドの上方端部に固定取付可能な加工が施されていることを特徴とする(1)に記載の拡声器。
(3)グリップホルダーのマイク本体への取付位置が、マイク本体のスピーカの音孔を有する端部よりマイクを有する端部の近くに存在することを特徴とする(1)又は(2)に記載の拡声器。
(4)マイク本体の略長円柱形の中心軸線と、グリップホルダーの把握部の中心軸線とが形成する角度が45~75°であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の拡声器。
(5)マイク本体に増幅器及び電源が内蔵されていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の拡声器。
【発明の効果】
【0008】
本発明の拡声器は、手で把握可能な略長円柱形のマイク本体単独の構成になることによって、手持ちマイク形態として使用することができる。また、本発明の拡声器は、マイク本体と、それに取り付けられたグリップホルダーとからなる構成になることによって、話者と聴取者が相互に見やすい形で長時間持っても疲労感のないハンドメガホンとして使用することができる。また、本発明の拡声器は、グリップホルダーの端部に、棒状マイクスタンドの上方端部に固定可能な加工又は固定可能な部材があるので、マイクホルダーを使用せずに、簡単に安定してマイクスタンドの上方端部に取り付けて使用することができる。
【0009】
さらに、本発明の拡声器は、マイク本体にスピーカだけでなく、増幅器及び電源を内蔵しているので、拡声器の使用時に配線接続の煩わしさがなく、すぐに使用できて利便性が極めて高い。また、本発明の拡声器は、グリップホルダーを容易に着脱することができ、しかもマイク本体は、手で把握可能な略長円柱形であるので、携帯性や収納性が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の拡声器の内部構造の説明図である。
【
図2(a)】
図2(a)は、本発明の拡声器のグリップホルダーの脱着態様の説明図であり、マイク本体に対してグリップホルダーがロック状態で取り付けられているものを示す。
【
図2(b)】
図2(b)は、本発明の拡声器のグリップホルダーの脱着態様の説明図であり、マイク本体に対してグリップホルダーがロック解除状態で取り付けられているものを示す。
【
図2(c)】
図2(c)は、本発明の拡声器のグリップホルダーの脱着態様の説明図であり、マイク本体とグリップホルダーが互いに離れて独立しているものを示す。
【
図3】
図3は、本発明の拡声器の使用態様例を示し、(a)は、手持ちマイク形態、(b)は、ハンドメガホン形態、(c)は、マイクスタンド取付形態での使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の拡声器の実施形態を図面に基づいて以下説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の拡声器の一例の内部構造を断面で示した説明図である。図中、1は、マイク本体、2は、グリップホルダーであり、マイク本体1とグリップホルダー2は、互いに脱着可能である。3は、マイク、4は、マイク集音部であり、5は、スピーカ、6は、スピーカの音孔である。7は、増幅器を構成する基板、8は、電源を構成する電池(又は蓄電池)、9は、電池カバー、10は、電源スイッチ、11は、スイッチ基板、12は、防振材、13は、吸音材、14は、ネジ穴、15は、嵌合部材である。
【0013】
図1に示すように、マイク本体1は、手で把握可能な略長円柱形を有し、例えば長さは20~40cm、最大径は3~7cmの寸法を有する。マイク本体1の一方の端にはマイク3とその集音部4が設けられ、他方の端にはスピーカ5とその音孔6が設けられている。
図1では、マイク本体1にスピーカ5が二つ内蔵されており、第一のスピーカ5の音孔6は、マイク本体1の長円柱形の端部にあり、第二のスピーカ5の音孔6は、マイク本体1の長円柱形の長手方向の側面で使用時に上方になる部分にあり、特に第一スピーカ5がある端部の近くにある。この二つの第一及び第二のスピーカ5の構成配置により、音圧の増強とハウリングの軽減を効果的に図ることができる。
【0014】
本発明の拡声器では、
図1に示すように、略長円柱形のマイク本体1の長手方向の側面で使用時に下方になる部分から延びるグリップホルダー2があり、このグリップホルダー2がマイク本体1から着脱自在に取り付けられていることが大きな特徴である。グリップホルダー2は、手で把握可能な棒状のものであり、手で把握して使用する以外にマイク本体1をマイクスタンドの上方端部へ取り付ける場合の支柱としての役割も有する。
【0015】
本発明の拡声器においてマイク本体1にグリップホルダー2を着脱自在に取り付けるためには、ネジ止め、嵌合、固定部材の使用などの従来公知のいずれかの方法を適宜採用することができるが、例えば
図2(a)~(c)に示すように、嵌合部材15を使用して、マイク本体1とグリップホルダー2の取付のロック状態(a)、ロック解除状態(b)、離脱状態(c)を形成することができる。
図2(a)では、グリップホルダー2と嵌合部材15の嵌合がロック状態にあるが、グリップホルダー2を
図2(b)に示すように左側に移動させると、両者の嵌合がロック解除状態になり、
図2(c)に示すように嵌合部材15がはずれ、マイク本体1とグリップホルダー2を容易に離脱することができる。これにより、マイク本体1の単独使用が可能になる。一方、マイク本体1にグリップホルダー2を取り付けるためには、
図2(c)、(b)、(a)の逆の順序に従えば両者の嵌合のロック状態を形成することができる。これにより、マイク本体1とグリップホルダー2を一体化した形態での使用が可能になる。
【0016】
本発明の拡声器は、マイク本体1の単独使用の場合には、
図3(a)に示すように手持ちマイク形態で使用することができる。手持ちマイク形態では、プレゼンテーション、講演、会議室、教室などの屋内シーンでの使用に好適である。この形態では、グリップホルダー2を分離してマイク本体1を単独で使用しているため、軽量でコンパクトに持ち運ぶことができる。
【0017】
本発明の拡声器は、マイク本体1とグリップホルダー2を一体化した使用の場合には、
図3(b)に示すハンドメガホン形態や
図3(c)に示すマイクスタンド取付形態で使用することができる。
【0018】
図3(b)のハンドメガホン形態では、公園、中庭、少人数ツアー、小イベントでの使用に好適である。この形態では、グリップホルダー2を把握して使用するため、マイク本体1のスピーカの音孔部分に触れてハウリングを起こす心配がなく、スピーカの拡声方向が自然に聴取者の方に向くことができる。また、この形態では、マイク本体1よりスリムな径で角度的に持ちやすいグリップホルダー2を把握できるため、拡声器を安定して持ちやすく、低い手の位置の腕の負担が少ない最適なポジションで話すことができる。
【0019】
さらに、
図3(c)のマイクスタンド取付形態では、市販の従来一般的な棒状マイクスタンドの上方端部にしっかりと固定取付が可能である。この形態では、特に両手などで身体全体を使って話したいときに便利に使用することができる。この場合、グリップホルダー2のマイク本体1から離れた端部に、マイクスタンドの上方端部に固定取付可能な部材が設けられているか、又はマイクスタンドの上方端部に固定取付可能な加工が施されることが好ましい。固定取付可能な部材又は加工としては、マイクスタンドの上方端部のネジ部に螺合するネジ穴付き部材又は加工が挙げられる。具体的には、
図1の符号14に示すものであり、W5/16(JIS規格)に対応したネジ穴が挙げられる。
【0020】
本発明の拡声器は、
図3(b)に示すハンドメガホン形態や
図3(c)に示すマイクスタンド取付形態で好適に使用するためには、グリップホルダー2のマイク本体1への取付位置がマイク本体1のスピーカ5の音孔6を有する端部よりマイク3を有する端部の近くに存在することが好ましく、またマイク本体1の略長円柱形の中心軸線と、グリップホルダー2の把握部の中心軸線とが形成する角度が45~75°であるように設計することが好ましい。これらにより、グリップホルダーを手持ちする場合の負担が軽減されるとともに聴取者へのスピーカからの音の伝達方向が好適になることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の拡声器は、上述のような構成で、手で把握可能なマイク本体と、マイク本体に着脱自在に取付可能なグリップホルダーとから形成されているので、手持ちマイク形態、ハンドメガホン形態、及びマイクスタンド取付形態のいずれにおいても容易にかつ好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 マイク本体
2 グリップホルダー
3 マイク
4 マイク集音部
5 スピーカ
6 スピーカの音孔
7 増幅器を構成する基板
8 電源を構成する電池(又は蓄電池)
9 電池カバー
10 電源スイッチ
11 スイッチ基板
12 防振材
13 吸音材
14 ネジ穴
15 嵌合部材