(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】半導体装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240909BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240909BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240909BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240909BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L29/78 616A
H01L29/78 612B
H01L29/78 616L
H01L29/78 616V
H01L29/78 618B
H05B33/14 A
G02F1/1368
G09F9/30 338
(21)【出願番号】P 2021001469
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 明紘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊成
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 涼
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130675(JP,A)
【文献】特開2013-077812(JP,A)
【文献】特開2015-130518(JP,A)
【文献】特開2018-074076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
H10K 50/10
G02F 1/1368
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、
前記酸化物半導体層に重畳するゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、
を備え、
前記酸化物半導体層は、
前記ゲート電極に重畳するチャネル形成領域と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接する高濃度不純物領域と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重畳し、前記高濃度不純物領域とは異なる第1不純物領域と、
前記チャネル形成領域と前記第1不純物領域との間に設けられる、第2不純物領域と、
前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に設けられる、第3不純物領域と、
を備え、
前記高濃度不純物領域と、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第3不純物領域とは、同じ不純物元素を含み、
前記第1不純物領域に含まれる前記不純物元素の第1濃度と、前記第2不純物領域に含まれる前記不純物元素の第2濃度と、前記第3不純物領域に含まれる前記不純物元素の第3濃度と、前記高濃度不純物領域に含まれる前記不純物元素の第4濃度は、前記第3濃度と前記第4濃度が等しく、前記第3濃度は前記第1濃度より高く、前記第1濃度は前記第2濃度より高い、半導体装置。
【請求項2】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記不純物元素を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極は、前記不純物元素を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、酸化珪素で形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の画素を備える表示領域と、
前記表示領域の周囲に設けられる非表示領域と、
前記画素に設けられる、請求項1に記載の半導体装置と、
前記非表示領域に設けられ、多結晶シリコン層を活性層として有するトランジスタと、
表示機能層と、
を備える、表示装置。
【請求項6】
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、
前記酸化物半導体層に重畳するゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、
を備え、
前記酸化物半導体層は、
前記ゲート電極に重畳するチャネル形成領域と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極に、少なくとも一部が接して重畳する高濃度不純物領域と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重畳し、前記高濃度不純物領域とは異なる第1領域と、
前記チャネル形成領域と前記第1領域との間に設けられる、第2不純物領域と、
を備え、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれは、第1金属層及び第2金属層の積層構造であり、
前記高濃度不純物領域と、前記第2不純物領域とは、同じ不純物元素を含み、
前記高濃度不純物領域に含まれる前記不純物元素の第1濃度は、前記第2不純物領域に含まれる前記不純物元素の第2濃度より低い、または同等である、半導体装置。
【請求項7】
前記高濃度不純物領域の全部が前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接して重畳する、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記高濃度不純物領域の前記一部が前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接して重畳し、前記高濃度不純物領域の他の部分は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重畳しない、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2金属層の膜厚は、前記第1金属層の膜厚より厚い、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記不純物元素を含む、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極は、前記不純物元素を含む、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁層は、酸化珪素で形成される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項13】
複数の画素を備える表示領域と、
前記表示領域の周囲に設けられる非表示領域と、
前記画素に設けられる、請求項6に記載の半導体装置と、
前記非表示領域に設けられ、多結晶シリコン層を活性層として有するトランジスタと、
表示機能層と、
を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、表示領域の画素回路に酸化物半導体を備えたトランジスタが設けられ、且つ、周辺領域の駆動回路にシリコン半導体を備えたトランジスタが設けられる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-254950号公報
【文献】特開2020-129635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、信頼性が向上した半導体装置及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体装置は、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、前記酸化物半導体層に重畳するゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、を備え、前記酸化物半導体層は、前記ゲート電極に重畳するチャネル形成領域と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接する高濃度不純物領域と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重畳し、前記高濃度不純物領域とは異なる第1不純物領域と、前記チャネル形成領域と前記第1不純物領域との間に設けられる、第2不純物領域と、前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に設けられる、第3不純物領域と、を備え、前記高濃度不純物領域と、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第3不純物領域とは、同じ不純物元素を含み、前記第1不純物領域に含まれる前記不純物元素の第1濃度と、前記第2不純物領域に含まれる前記不純物元素の第2濃度と、前記第3不純物領域に含まれる前記不純物元素の第3濃度と、前記高濃度不純物領域に含まれる前記不純物元素の第4濃度は、前記第3濃度と前記第4濃度が等しく、前記第3濃度は前記第1濃度より高く、前記第1濃度は前記第2濃度より高い。
【0006】
また、一実施形態に係る半導体装置は、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、前記酸化物半導体層に重畳するゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、を備え、前記酸化物半導体層は、前記ゲート電極に重畳するチャネル形成領域と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に、少なくとも一部が接して重畳する高濃度不純物領域と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重畳し、前記高濃度不純物領域とは異なる第1領域と、前記チャネル形成領域と前記第1不純物領域との間に設けられる、第2不純物領域と、を備え、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれは、第1金属層及び第2金属層の積層構造であり、前記高濃度不純物領域と、前記第2不純物領域とは、同じ不純物元素を含み、前記高濃度不純物領域に含まれる前記不純物元素の第1濃度は、前記第2不純物領域に含まれる前記不純物元素の第2濃度より低い、または同等である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る半導体装置を備えた表示装置の構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の表示装置の概念断面図である。
【
図3】
図3は、比較例のトランジスタの断面図である。
【
図4】
図4は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の半導体装置の部分断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態における半導体装置の他の構成例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態における半導体装置の他の構成例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る半導体装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に半導体装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における半導体装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
図1は、本実施形態に係る半導体装置を備えた表示装置の構成を示す平面図である。表示装置DSPは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周囲の周辺領域(非表示領域)NDAと、を備えている。
図1に示す例では、周辺領域NDAは、表示領域DAを囲む額縁状に形成されている。周辺領域NDAを額縁領域FAともいう。
【0013】
表示装置DSPは、周辺領域NDAにおいて、ゲートドライバGD1及びGD2と、ソースドライバSDと、を備えている。ゲートドライバGD1及びGD2の各々は、トランジスタTr1を備えている。このように、ゲートドライバGD1及びGD2は、表示領域DAの各要素とともに、同一基板上に形成される。
【0014】
表示装置DSPは、表示領域DAにおいて、複数の画素PXと、複数の走査線GLと、複数の信号線SLと、を備えている。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにおいて、マトリクス状に配列されている。
複数の走査線GLは、それぞれ第1方向Xに沿って延出し、間隔をおいて第2方向Yに並んでいる。走査線GLは、ゲート線と称する場合がある。走査線GLは、ゲートドライバGD1及びGD2と電気的に接続されている。例えば、奇数番目の走査線GLはゲートドライバGD1に接続され、偶数番目の走査線GLはゲートドライバGD2に接続されている。走査線GLの各々は、ゲートドライバGD1及びGD2によって駆動される。
【0015】
複数の信号線SLは、それぞれ第2方向Yに沿って延出し、間隔をおいて第1方向Xに並んでいる。信号線SLは、ソース線と称する場合がある。表示領域DAにおいて、複数の信号線SLは、複数の走査線GLと交差している。信号線SLは、ソースドライバSDと電気的に接続されている。信号線SLの各々は、ソースドライバSDによって駆動される。
【0016】
各画素PXは、後述するトランジスタTr2及び画素電極PEを備えている。詳細は後述するが、トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。トランジスタTr2は、走査線GL及び信号線SLと電気的に接続されている。走査線GLは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるトランジスタTr2と電気的に接続されている。信号線SLは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるトランジスタTr2と電気的に接続されている。
本実施形態では、トランジスタTr1及びTr2のそれぞれを半導体装置と称することもある。トランジスタTr1及びトランジスタTr2、各種配線、及び、各種電極を備えた基板を半導体装置と称することもある。
【0017】
図2は、実施形態の表示装置の概念断面図である。図面を見易くするために、一部の構成要素のハッチングは省略している。
図2に示す表示装置DSPは、基材BA1、絶縁層UC1、遮光層LS1、絶縁層UC2、トランジスタTr1、絶縁層ILI1、絶縁層ILI2、遮光層LS2、トランジスタTr2、絶縁層ILI3、絶縁層ILI4、絶縁層PAS1、絶縁層PLN1、接続電極NE、絶縁層PLN2、画素電極PE、有機EL層ELY、共通電極CE、絶縁層PAS2を有している。
【0018】
基材BA1の材料は、ガラスや樹脂である。このような樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂が挙げられる。
絶縁層UC1は、ガラス等からの不純物をブロックするもので、例えば、酸化珪素や窒化珪素の単層又は積層で形成されている。
遮光層LS1は、トランジスタTr1の半導体層を遮光する機能を有する。遮光層LS1が、金属層である場合は、トランジスタTr1のバックゲートとしての機能を有していてもよい。その場合は、遮光層LS1は、トランジスタTr1に含まれるといえる。
【0019】
遮光層LS1及び絶縁層UC1上に、絶縁層UC2が設けられている。絶縁層UC2は、絶縁層UC1と同様の材料で形成されていればよい。
絶縁層UC2上に、トランジスタTr1の活性層である半導体層SC1が設けられている。半導体層SC1は、多結晶シリコンで形成されている。半導体層SC1を、第1半導体層又は多結晶シリコン層と呼ぶこともある。
半導体層SC1には、ゲート電極GE1と重畳するチャネル形成領域、ソース電極SE1と重畳するソース領域、ドレイン電極DE1と重畳するドレイン領域を有している。
【0020】
半導体層SC1及び絶縁層UC2上に、絶縁層GI1が設けられている。絶縁層GI1は、例えば酸化珪素で形成されている。絶縁層GI1は、トランジスタTr1のゲート絶縁層である。
絶縁層GI1上には、トランジスタTr1のゲート電極GE1、電極LE1、遮光層LS2が設けられている。換言すると、絶縁層GI1は、半導体層SC1及びゲート電極GE1との間に設けられている。ゲート電極GE1、電極LE1、遮光層LS2は、例えば、モリブデンタングステン合金(MoW)や、アルミニウム合金をチタンで挟んだ積層体で形成される。
【0021】
電極LE1は、絶縁層UC2及びGI1に設けられたコンタクトホールを介して、遮光層LS1と接続されている。上述のように、遮光層LS1がトランジスタTr1のバックゲートとして機能する場合は、電極LE1を介して信号が入力される。
遮光層LS2は、トランジスタTr2の活性層を遮光する。遮光層LS2は、トランジスタTr2のバックゲートとして機能してもよい。その場合は、遮光層LS2は、トランジスタTr2に含まれるといえる。
【0022】
ゲート電極GE1、電極LE1、遮光層LS2を覆って、絶縁層GI1上に、絶縁層ILI1が設けられている。絶縁層ILI1は、例えば、窒化珪素で形成されている。
絶縁層ILI1上には、絶縁層ILI2が設けられている。絶縁層ILI2は、例えば、酸化珪素で形成されている。絶縁層ILI1及びILI2は、トランジスタTr1の層間絶縁層として機能する。絶縁層ILI1及びILI2は、遮光層LS2と半導体層SC2の絶縁層としても機能する。
【0023】
絶縁層ILI2上に、遮光層LS2と重畳して、半導体層SC2が設けられる。半導体層SC2は、酸化物半導体で形成されている。半導体層SC2を、第2半導体層又は酸化物半導体層と呼ぶこともある。酸化物半導体には、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、ZnON(Zinc Oxide Nitride)、IGO(Indium Gallium Oxide)等がある。
半導体層SC2には、ゲート電極GE2と重畳するチャネル形成領域、ソース電極SE2と重畳するソース領域、ドレイン電極DE2と重畳するドレイン領域を有している。ゲート電極GE2は、走査線GLと電気的に接続されている。ゲート電極GE2は、走査線GLと一体形成されていてもよい。
【0024】
半導体層SC2及び絶縁層ILI2上に、半導体層SC2に接して絶縁層GI2が設けられている。絶縁層GI2は、例えば酸化珪素又は窒素を含む酸化珪素で形成される。絶縁層GI2は、トランジスタTr2のゲート絶縁層として機能する。半導体層SC2は、絶縁層ILI2及びGI2との間に設けられているともいえる。
絶縁層GI2上に、半導体層SC2のチャネル形成領域と重畳してゲート電極GE2、半導体層SC2のソース領域と重畳してソース電極SE2、半導体層SC2のドレイン領域と重畳してドレイン電極DE2、半導体層SC1のソース領域と重畳してソース電極SE1a、半導体層SC1のドレイン領域と重畳してドレイン電極DE1、電極LE1と接続する電極LE2、遮光層LS2と接続される電極LE3が設けられている。換言すると、絶縁層GI2は、半導体層SC2及びゲート電極GE2との間に設けられている。ゲート電極GE2、ソース電極SE2、ドレイン電極DE2、ソース電極SE1a、ドレイン電極DE1、電極LE2、電極LE3は、それぞれ、例えば、チタン層、アルミニウム合金層をチタン膜で挟持した積層膜、モリブデン層、又はモリブデンとタングステンの合金層で形成されている。後述するように、窒化チタン層とチタン層の積層膜であってもよい。
【0025】
絶縁層GI2、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、ドレイン電極DE2、ソース電極SE1a、ドレイン電極DE1、電極LE2、及び電極LE3を覆って、絶縁層ILI3が設けられている。絶縁層ILI3上に、絶縁層ILI4が設けられている。絶縁層ILI3及びILI4は、それぞれ、窒化珪素及び酸化珪素で形成される。
【0026】
絶縁層ILI4上に、ソース電極SE1aと接続されるソース電極SE1bが設けられている。ソース電極SE1bは、金属材料、例えば、アルミニウム合金層をチタン膜で挟持した積層膜で形成される。
ソース電極SE1a及びSE1bを併せて、ソース電極SE1とする。ソース電極SE1bは、信号線SLと一体形成されていてもよい。ソース電極SE1(ソース電極SE1a及びSE1b)が信号線SLと一体形成されていてもよい。
【0027】
絶縁層ILI4、ソース電極SE1bを覆って、絶縁層PAS1が設けられている。絶縁層PAS1は、例えば酸化珪素で形成されている。
絶縁層PAS1を覆って、絶縁層PLN1が設けられている。絶縁層PLN1は、有機絶縁材料、例えばポリイミドで形成されている。
絶縁層PLN1上には、ドレイン電極DE2に接続される接続電極NEが設けられている。接続電極NEは、例えば、アルミニウム合金層をチタン膜で挟持した積層膜で形成される。本実施形態では、接続電極NEを設ける構成について説明したが、これに限定されない。接続電極NEを設けず、後述する画素電極PEを直接ドレイン電極DE2に接続する構成であってもよい。
【0028】
絶縁層PLN1及び接続電極NEを覆って、絶縁層PLN2が設けられている。絶縁層PLN2は、有機絶縁材料、例えばポリイミドで形成されている。絶縁層PLN1及びPLN2は、トランジスタ等により生じる、基板SUB1の凹凸を平坦化する機能を有する。
絶縁層PLN2上には、接続電極NEに接続する画素電極PEが設けられている。画素電極PEは、ドレイン電極DE2と接続されていてもよい。
画素電極PEは、反射性を有する第1導電層、及び透光性を有する第2導電層の積層構造であってもよい。例えば、第1導電層の材料として、銀(Ag)、第2導電層の材料として、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)を用い、画素電極PEが、IZO、Ag、IZOがこの順に積層された積層構造で形成されていてもよい。
【0029】
隣り合う画素電極PEとの間に、バンクBK(凸部、リブ、隔壁ともいう)が設けられる。バンクBKの材料として、絶縁層PLN1及びPLN2の材料と同様の有機材料が用いられる。バンクBKは、画素電極PEの一部を露出するように開口される。また、開口部OPの端部は、なだらかなテーパ形状となることが好ましい。開口部OPの端部が急峻な形状となっていると、後に形成される有機EL層ELYにカバレッジ不良が生じる。
【0030】
画素電極PEと重畳して、隣り合うバンクBKとの間に、有機EL層ELYが設けられている。有機EL層ELYは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を含んでいる。なお本明細書では、有機EL層ELYを有機材料層ともいう。有機EL層ELYは、少なくとも発光層を含んでおり、他の層は必要に応じて適宜設ければよい。
【0031】
有機EL層ELY及びバンクBKを覆って、共通電極CEが設けられる。共通電極CEは、例えば、第1層及び第2層を含んでいてもよい。第2層は第1層よりも透過率が高くてもよい。例えば、第1層として、マグネシウム-銀合金(MgAg)やイッテルビウム-銀合金(YbAg)の薄膜を形成してもよい。第2層として、透明電極、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)を形成する。
本実施形態では、画素電極PEが陽極となり、共通電極CEが陰極となる。有機EL層ELYで生じた発光は、上方に取り出される。すなわち表示装置DSPは、トップエミッション構造を有している。
【0032】
共通電極CEを覆って、絶縁層PAS2が設けられる。絶縁層PAS2は、外部から水分が有機EL層ELYに侵入することを防止する機能や光学調整機能を有している。絶縁層PAS2としてはガスバリア性の高いものが好適である。絶縁層PAS2として、例えば、有機絶縁層と窒素を含む無機絶縁層との積層であってもよい。あるいは絶縁層PAS2として、例えば、有機絶縁層を、窒素を含む無機絶縁層2層で挟持した絶縁層が挙げられる。さらにあるいは、無機絶縁層を2層積層した構造であってもよい。当該有機絶縁層の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。当該窒素を含む無機絶縁層の材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウムが挙げられる。
図示しないが、絶縁層PAS2上に、さらに有機樹脂層や、基材BA1に対向する基材BA2を設けてもよい。
【0033】
本実施形態では、有機EL層ELYを有する有機EL表示装置について述べたが、これに限定されない。本実施形態は、液晶層を有する表示装置に適用可能である。本実施形態の表示装置DSPは、表示機能層として有機EL層又は液晶層を有していればよい。
【0034】
図3は、比較例のトランジスタの断面図である。
図3に示すトランジスタTr2は、基材BA1上に形成されているが、
図2と同様に、絶縁層上に設けられていてもよい。
トランジスタTr2の半導体層SC2には、チャネル形成領域RC2、ソース領域RS2、及びドレイン領域RD2が形成されている。酸化物半導体層である半導体層SC2のうち、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と直接接する領域を、それぞれ領域HRs及びHRdとする。上述の通り、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2は、金属材料で形成されている。領域HRs及びHRdを区別する必要がない場合は、いずれも領域HRと呼ぶ。
【0035】
酸化物半導体層と、金属配線が接触すると、金属配線は、酸化物半導体層から酸素を引き抜きことで、酸化物半導体層を還元し、自らは酸化される。これにより領域HRs及びHRdの抵抗値が減少することで、それぞれソース電極SE2及びドレイン電極DE2と電気的に接続される。しかし、この金属配線接触による酸化物半導体層からの酸素引き抜きだけでは領域HRs及びHRdの低抵抗化が不十分でコンタクト抵抗が高くなりやすい。よって、トランジスタTr2の信頼性が低下する恐れが生じる。
【0036】
本実施形態では、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を通してイオン注入することにより、半導体層SC2を低抵抗化する。これによりトランジスタTr2の信頼性を向上させることが可能である。
【0037】
図4は、トランジスタTr2の製造工程を示す断面図である。基材BA1上に、遮光層LS2を形成する。
図4(A)には表示しないが、基材BA1及び遮光層LS2との間には、
図2と同様に絶縁層を設けてもよい。
遮光層LS2を覆って絶縁層ILI1及びILI2を形成する。絶縁層ILI2上に、酸化物半導体膜を形成し、島状に成型して、遮光層LS2に重畳する半導体層SC2を形成する。
【0038】
半導体層SC2を覆って、絶縁層GI2を形成する。
絶縁層GI2上に、半導体層SC2の一部と重畳して、マスクMSK1を形成する。
マスクMSK1を用い、絶縁層GI2を通して、半導体層SC2に不純物元素IM1を注入する(第1注入工程とする)(
図4(A)参照)。不純物元素IM1は、例えばホウ素(B)である。半導体層SC2のうちマスクMSK1に重畳する領域(領域RI1とする)には、マスクMSK1及び絶縁層GI2がマスクとなるので、不純物元素IM1は注入されない。
【0039】
不純物元素IM1が注入された半導体層SC2の領域を領域RI2とする。領域RI2のうち、後述するソース電極SE2に近い領域をRI2s、ドレイン電極DE2に近い領域をRI2dとする。領域RI2(RI2s及びRI2d)における不純物元素IM1の不純物濃度を、不純物濃度CT1とする。第1注入工程により、領域RI2が低抵抗化される。
領域RI1は、領域RI2s及びRI2dとの間に配置される。
【0040】
マスクMSK1を除去し、絶縁層GI2に、半導体層SC2に達するコンタクトホールCHを形成する。
絶縁層GI2上及びコンタクトホールCHを覆って、金属膜を成膜する。金属膜は、例えばチタン膜が用いられる。当該金属膜を成形し、絶縁層GI2上に、半導体層SC2のうち領域RI1の一部の領域に重畳するゲート電極GE2、半導体層SC2のうち領域RI2sの一部の領域と重畳するソース電極SE2、半導体層SC2のうち領域RI2dのうち一部の領域と重畳するドレイン電極DE2を形成する(
図4(B)参照)。
【0041】
ソース電極SE2は、コンタクトホールCHを介して領域RI2sと接している。ドレイン電極DE2は、コンタクトホールCHを介して領域RI2dと接している。
ソース電極SE2及びドレイン電極DE2の膜厚は、後の注入工程で、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を通して、不純物元素IM1が半導体層SC2の高濃度不純物領域に注入されうる厚さであればよい。当該膜厚は、例えば50nm以上200nm以下、好ましくは150nmである。
【0042】
ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2を形成後、不純物元素IM1を注入する(第2注入工程)(
図4(C)参照)。
第2注入工程において、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳する領域では、当該電極及び絶縁層GI2の膜厚により、半導体層SC2の深さまで不純物元素IM1が届かない。つまり半導体層SC2に不純物元素IM1が注入されない。
半導体層SC2のうち、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳しない領域では、第2注入工程により低抵抗化される。
【0043】
領域RI1のうちゲート電極GE2と重畳する領域には、チャネル形成領域RC2が形成される。上述のように、ゲート電極GE2と重畳しているチャネル形成領域RC2では、ゲート電極GE2及び絶縁層GI2がマスクとして機能し、不純物元素IM1は注入されない。
【0044】
領域RI1のうち、ゲート電極GE2と重畳しない領域には、不純物領域RLs及びRLdが形成される。不純物領域RLsは、チャネル形成領域RC2と後述する不純物領域RHsとの間に形成される。不純物領域RLdは、チャネル形成領域RC2と後述する不純物領域RHdとの間に形成される。不純物領域RLs及びRLdを区別する必要がない場合は、いずれも不純物領域RLとする。不純物領域RLは、ゲート電極GE2だけでなく、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2も重畳していないので、絶縁層GI2を通して、第2注入工程で不純物元素IM1が注入される。不純物領域RLに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度を、不純物濃度CT2とする。不純物濃度CT2は、不純物濃度CT1より低い。
【0045】
領域RI2sのうち、ソース電極SE2と重畳しない領域を、不純物領域RHsとする。不純物領域RHsは、不純物領域RLs及び後述する不純物領域RMsとの間に形成されている。領域RI2dのうち、ドレイン電極DE2と重畳しない領域を、不純物領域RHdとする。不純物領域RHdは、不純物領域RLd及び後述する不純物領域RMdとの間に形成されている。不純物領域RHs及びRHdを特に区別する必要がない場合は、いずれも不純物領域RHとする。不純物領域RHは、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2も重畳していないので、絶縁層GI2を通して、第2注入工程で不純物元素IM1が注入される。
【0046】
不純物領域RHには、第1注入工程及び第2注入工程で注入された不純物元素IM1が含まれる。不純物領域RHに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度を、不純物濃度CT3とする。不純物濃度CT3は、不純物濃度CT1及びCT2より高い。
【0047】
領域RI2sのうち、ソース電極SE2と接する領域を、高濃度不純物領域HIsとする。ソース電極SE2と重畳し、高濃度不純物領域HIsとは異なる領域を、不純物領域RMsとする。
領域RI2sのうち、ドレイン電極DE2と接する領域を、高濃度不純物領域HIdとする。ドレイン電極DE2と重畳し、高濃度不純物領域HIdとは異なる領域を、不純物領域RMdとする。
不純物領域RMs及びRMdを特に区別する必要がない場合は、いずれも不純物領域RMとする。高濃度不純物領域HIs及びHIdは、特に区別する必要がない場合は、いずれも高濃度不純物領域HIとする。
【0048】
不純物領域RMは、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と重畳しているので、第2注入工程において、ソース電極SE2、ドレイン電極DE2、及び絶縁層GI2がマスクとなり、不純物元素IM1が注入されない。
不純物領域RMには、第1注入工程で注入された不純物元素IM1が含まれている。不純物領域RMにおいて、不純物元素IM1の不純物濃度は、不純物濃度CT1である。
【0049】
高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2中であって、半導体層SC2及び絶縁層GI2の界面近傍に位置する。コンタクトホールCHには絶縁層GI2は除去されているので、高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2並びに、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2との界面近傍に位置するともいえる。高濃度不純物領域HIの全部は、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と接し、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と重畳している。
【0050】
高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2に電気的なコンタクトを得るためのコンタクトホールCHにおいて、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を通して、第2注入工程で不純物元素IM1が半導体層SC2に注入されることにより形成される。高濃度不純物領域HIに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度を、不純物濃度CT4とする。不純物濃度CT4は、不純物濃度CT3と同等であればよい。不純物濃度CT4は、不純物濃度CT1及びCT2より高い。
第2注入工程で注入された不純物元素IM1は、第3方向Z(厚さ方向)において、高濃度不純物領域HIに濃度の極大が位置する。不純物元素IM1がこのような濃度分布をとるためには、注入時の印加電圧を調整すればよい。
【0051】
上述のように、高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2と、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2が接する領域である。上述のように、金属配線であるソース電極SE2及びドレイン電極DE2と、酸化物半導体層である半導体層SC2との接触のみでは、コンタクト抵抗が高い恐れがある。
しかしながら、本実施形態では、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を通して不純物元素IM1を注入することにより、半導体層SC2、特に高濃度不純物領域HIを低抵抗化することが可能である。
【0052】
上述した注入工程は、酸化珪素で形成された絶縁層GI2の終端化処理を兼ねている。半導体層SC2は、絶縁層GI2中に存在する欠陥準位のために、信頼性が低下する恐れがある。欠陥準位は主として酸化珪素中の余剰酸素に起因する。当該欠陥は、トランジスタTr2が駆動中に、電子トラップとして機能してしまう。これによりトランジスタTr2の信頼性が低下してしまう。
【0053】
絶縁層GI2中の欠陥修復には、水素の終端化を利用することも可能である。しかしながら、酸化物半導体トランジスタたるトランジスタTr2では、過剰な水素によりしきい値Vthが大きくディプリートする恐れが生じる。極端なVthシフト(ディプリート)はトランジスタTr2及びそれを備える表示装置DSPの動作異常を引き起こす恐れがある。よって、表示装置DSPにおいては、水素による絶縁層GI2の終端化は好ましくない。
本実施形態においては、水素の代わりに不純物元素IM1、例えばホウ素により、絶縁層GI2の終端化を行っている。不純物元素IM1はこれに限定されず、例えばリンを用いてもよい。
【0054】
図5は、トランジスタTr2を説明する図である。
図5(B)は、トランジスタTr2の概略平面図である。
図5(A)は、
図5(B)に示す線A1-A2に沿ったトランジスタTr2の断面図である。
図5(C)は、トランジスタTr2の半導体層SC2のうち、領域ごとの不純物元素IM1の不純物濃度を示す図である。
【0055】
図4(A)から
図4(C)に示す製造工程により、
図5(A)に示すトランジスタTr2が形成される。半導体層SC2は、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳している。
図5(B)に示すトランジスタTr2では、ゲート電極GE2の端部は、ソース電極SE2の端部及びドレイン電極DE2の端部から第2方向Yに沿って突出している。ただし、ゲート電極GE2の形状はこれに限定されない。ゲート電極GE2の端部、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部は一致していてもよく、または、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部がゲート電極GE2の端部よりも第2方向Yに沿って突出していてもよい。
遮光層LS2は、ゲート電極GE2と重畳している。
図5(B)では、遮光層LS2の第1方向Xに沿った長さ(幅)は、ゲート電極GE2より長い。
【0056】
上述した通り、不純物領域RH(RHs及びRHd)の不純物濃度CT3、不純物領域RM(領域RMs及びRMd)の不純物濃度CT1、不純物領域RL(RLs及びRLd)の不純物濃度CT2は、この順に小さい。すなわち、CT3>CT1>CT2である。高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)の不純物濃度CT4は、不純物領域RHの不純物濃度CT3と同様である。すなわち、CT3=CT4である。
なおチャネル形成領域RC2の不純物濃度をCT5とすると、不純物濃度CT5は、不純物濃度CT1からCT4までのどれよりも小さい。よって、不純物濃度CT1からCT5までの関係は、CT3(=CT4)>CT1>CT2>CT5が成り立つ(
図5(C)参照)。
不純物濃度CT(CT1、CT2、CT3、CT4、及びCT5)が高いほど、不純物元素IM1が注入された領域の抵抗値は低い。
【0057】
不純物領域RMs、不純物領域RHs、高濃度不純物領域HIsを併せて、トランジスタTr2のソース領域RS2とみなすことができる。不純物領域RMd、不純物領域RHd、高濃度不純物領域HIdを併せて、トランジスタTr2のドレイン領域RD2とみなすことができる。あるいは、本実施形態では、不純物領域RMs及び不純物領域RHsをソース領域RS2、不純物領域RMd及び不純物領域RHdをドレイン領域RD2と呼ぶこともある。
不純物領域RLs及びRLdは、低濃度不純物領域、いわゆる、Lightly Doped Drain(LDDともいう)として機能する。
【0058】
図6は、実施形態の半導体装置の部分断面図である。
図6では、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、ドレイン電極DE2を、総じて金属層GM2としている。なお
図6は、半導体層SC2が設けられていない領域の断面図である。
第2注入工程で、金属層GM2が設けられた領域では、金属層GM2を通して不純物元素IM1が注入される。金属層GM2の一部に不純物元素IM1を含む領域TIa2、及び、絶縁層GI2中の金属層GM2と重畳した一部に不純物元素IM1を含む領域TIa1が形成される。
金属層GM2及び絶縁層GI2の界面をIF1、絶縁層GI2及びILI2の界面をIF2とする。領域TIa2は、金属層GM2のうち界面IF1の近傍に位置する。領域TIa1は、絶縁層GI2のうち界面IF1の近傍に位置する。
【0059】
金属層GM2が設けられない領域では、絶縁層ILI2の一部に不純物元素IM1を含む領域TIb1、及び絶縁層GI2の一部に不純物元素IM1を含む領域TIb2が形成される。領域TIb1は、絶縁層ILI2のうち界面IF2の近傍に位置する。領域TIb2は、絶縁層GI2のうち界面IF2の近傍に位置する。
【0060】
図6には示さないが、絶縁層ILI2及びGI2との間に半導体層SC2が設けられている場合(
図2、
図5参照)、領域TIb1は半導体層SC2中に形成される。その場合は、領域TIb1及びTIb2についての説明は、絶縁層ILI2を半導体層SC2に読み替えればよい。
ただし
図4(A)で説明した通り、領域RI2では、第1注入工程において既に不純物元素IM1が注入されている。一方、領域RI1では、第1注入工程では不純物元素IM1は注入されない。よって、領域RI1のうち領域TIb1に相当する部分と、領域RI2のうち領域TIb1に相当する部分では、不純物元素IM1の不純物濃度は異なる。
【0061】
領域TIa1及びTIa2を併せて領域TIaと呼ぶ。領域TIb1及びTIb2を併せて領域TIbと呼ぶ。領域TIa及びTIbは、それぞれ、不純物元素IM1を含んでいる。不純物元素IM1は、例えばホウ素とする。ただし上記と同様に不純物元素IM1はリンであってもよい。
【0062】
金属層GM2を通して絶縁層GI2に不純物元素IM1を注入するには、金属層GM2の厚さを超えるような印加電圧で行う必要がある。このような印加電圧で不純物元素IM1を注入すると、金属層GM2が設けられない領域における絶縁層ILI2及びGI2では、第3方向Zと逆方向(深さ方向ともいう)において、金属層GM2及び絶縁層GI2の界面から離れた部分で、不純物元素IM1の濃度の極大が位置する。
【0063】
言い換えると、領域TIaは界面IF1を含み、領域TIbは界面IF2を含んでいる。領域TIaは、第3方向Zに対して、領域TIbよりも上方に位置している。
絶縁層GI2のうち、領域TIbの上方の領域であり、金属層GM2と重畳しない領域をTIcとすると、領域TIcの不純物濃度は、領域TIbより低い。また領域TIcの不純物濃度は、領域TIaより低い。
【0064】
以上説明した通り、トランジスタTr2の半導体層SC2、絶縁層GI2、及びゲート電極GE2、並びに、絶縁層ILI2は、不純物元素IM1を含んでいる。
【0065】
本実施形態により、トランジスタTr2の信頼性を向上させることができ、表示装置DSPの表示性能の向上を図ることができる。
【0066】
<構成例1>
図7は、実施形態における半導体装置の他の構成例を示す断面図である。
図7に示した構成例では、
図4に示した構成例と比較して、金属薄膜を通して注入工程を行うという点で異なっている。
【0067】
図7(A)から
図7(D)は、本構成例のトランジスタTr2の製造工程を示す断面図である。
図4(A)と同様に、基材BA1上に、遮光層LS2,絶縁層ILI1、絶縁層ILI2、半導体層SC2、絶縁層GI2を形成する。
絶縁層GI2に、半導体層SC2に達するコンタクトホールCHを形成する。
【0068】
絶縁層GI2上及びコンタクトホールCHを覆って、金属膜ML1を形成する。金属膜ML1は、コンタクトホールCHにおいて半導体層SC2と接する。
金属膜ML1は、金属材料で形成された薄膜であり、例えば、膜厚5nm以上100nm以下、好ましくは10nmである。金属膜ML1の材料としては、例えばチタン(Ti)や窒化チタン(TiN)が挙げられる。
【0069】
金属膜ML1を形成後、半導体層SC2に金属膜ML1を通して、不純物元素IM1を注入する(
図7(A)参照)。当該注入工程を、本構成例の第1注入工程とする。
半導体層SC2のうち、コンタクトホールCHで金属膜ML1に接する領域では、不純物元素IM1が、薄膜である金属膜ML1を突き抜けて注入される。第1注入工程により、高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)が形成される。第1注入工程により、高濃度不純物領域HIは低抵抗化される。上記と同様に、高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2中であって、半導体層SC2及び絶縁層GI2の界面近傍に位置する。
【0070】
第1注入工程で注入された不純物元素IM1は、第3方向Z(厚さ方向)において、高濃度不純物領域HIに濃度の極大が位置する。不純物元素IM1がこのような濃度分布をとるためには、注入時の印加電圧を調整すればよい。 半導体層SC2のうち高濃度不純物領域HI以外の領域では、絶縁層GI2がマスクとなり、不純物元素IM1は届かない。
【0071】
第1注入工程後、金属膜ML1を覆って、金属膜ML2を形成する(
図7(B)参照)。金属膜ML2の膜厚は、金属膜ML1の膜厚より厚い。金属膜ML2として、例えば、チタン膜やチタンとアルミニウム膜の積層膜を膜厚100nm以上500nm以下、好ましくは300nmで形成する。
【0072】
金属膜ML1及びML2を成形して、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2を形成する(
図7(C)参照)。ゲート電極GE2は、金属膜ML1から形成される金属層GE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層GE2bを有している。ソース電極SE2は、金属膜ML1から形成される金属層SE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層SE2bを有している。ドレイン電極DE2は、金属膜ML1から形成される金属層DE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層DE2bを有している。
【0073】
ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2を形成後、半導体層SC2に不純物元素IM1を注入する(
図7(D)参照)。当該注入工程を、本構成例の第2注入工程とする。
第2注入工程において、半導体層SC2のうち、絶縁層GI2を挟んで、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳する領域では、半導体層SC2の深さまで不純物元素IM1が届かず、半導体層SC2に不純物元素IM1が注入されない。第2注入工程により、不純物元素IM1が注入された領域が低抵抗化する。
【0074】
半導体層SC2のうち、ゲート電極GE2と重畳する領域は、チャネル形成領域RC2となる。半導体層SC2のうち、ソース電極SE2と重畳する領域であって、高濃度不純物領域HIsと異なる領域を、領域RUsとする。
半導体層SC2のうち、ドレイン電極DE2と重畳する領域であって、高濃度不純物領域HIdとは異なる領域を、領域RUdとする。
領域RUs及びRUdを特に区別する必要がない場合は、領域RUとする。
上述のように、高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2中であって、半導体層SC2及び絶縁層GI2の界面近傍に位置する。コンタクトホールCH1には絶縁層GI2は除去されているので、高濃度不純物領域HIは、半導体層SC2並びに、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2との界面近傍に位置するともいえる。高濃度不純物領域HIの全部は、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と接し、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と重畳している。高濃度不純物領域HIの濃度を、不純物濃度CN1とする。
【0075】
チャネル形成領域RC2及び領域RUsとの間の領域、並びに、チャネル形成領域RC2及び領域RUdとの間の領域を、それぞれ、不純物領域RKs及びRKdとする。不純物領域RKs及びRKdを特に区別する必要がない場合は、不純物領域RKとする。不純物領域RKの不純物元素IM1の不純物濃度をCN2とすると、不純物濃度CN2は不純物濃度CN1より大きい、または同等である。
【0076】
実施形態で述べたように、半導体層SC2と、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2が接する領域では、コンタクト抵抗が高い恐れがある。しかしながら、本構成例においても、金属膜ML1、並びに、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を通して不純物元素IM1を半導体層SC2に注入することにより、低抵抗化することが可能である。
【0077】
図8は、トランジスタTr2を説明する図である。
図8(B)は、トランジスタTr2の概略平面図である。
図8(A)は、
図8(B)に示す線B1-B2に沿ったトランジスタTr2の断面図である。
図8(C)は、トランジスタTr2の半導体層SC2のうち、領域ごとの不純物元素IM1の不純物濃度を示す図である。
【0078】
図7(A)から
図7(C)に示す製造工程により、
図8(A)に示すトランジスタTr2が形成される。半導体層SC2は、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳している。
図8(B)に示すトランジスタTr2では、ゲート電極GE2の端部は、ソース電極SE2の端部及びドレイン電極DE2の端部から第2方向Yに沿って突出している。ただしゲート電極GE2の形状はこれに限定されない。ゲート電極GE2の端部、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部は一致していてもよく、または、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部がゲート電極GE2の端部よりも第2方向Yに沿って突出していてもよい。
遮光層LS2は、ゲート電極GE2と重畳している。
図8(B)では、遮光層LS2の第1方向Xに沿った長さ(幅)は、ゲート電極GE2より長い。
【0079】
上述した通り、高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)の不純物濃度CN1は、不純物領域RK(RKs及びRKd)の不純物濃度CN2より小さい、または同等である。
チャネル形成領域RC2及び領域RU(RUs及びRUd)の不純物濃度をCN3とすると、不純物濃度CN3は、不純物濃度CN1及びCN2より小さい。
よって不純物濃度CN1、CN2、及びCN3の関係は、CN2≧CN1>CN3が成り立つ(
図8((C)参照)。
不純物濃度CN(CN1、CN2、及びCN3)が高いほど、不純物元素IM1が注入された領域の抵抗値は低い。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0080】
<構成例2>
図9は、実施形態における半導体装置の他の構成例を示す断面図である。
図9に示した構成例では、
図7に示した構成例と比較して、ソース電極及びドレイン電極の一部を除去するという点で異なっている。
図9(A)から
図9(D)は、本構成例のトランジスタTr2の製造工程を示す断面図である。
図9(A)から
図9(B)に示す製造工程は、
図7(A)及び
図7(B)に示す製造工程と同様である。
図9(A)及び
図9(B)の説明は、
図7(A)及び
図7(B)の説明を援用し、これを省略する。ただし
図7(A)及び
図7(B)の説明において、コンタクトホールCHは、コンタクトホールCH1と読み替えるものとする。
図9(A)で示される注入工程を、本構成例の第1注入工程とする。
ただし、
図9(A)に示すコンタクトホールCH1の幅(X-Y平面における長さ)は、
図7(A)に示すコンタクトホールCHの幅より長いものとする。
【0081】
図9(C)に示すように、金属膜ML1及びML2を成形して、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2を形成する。ゲート電極GE2は、金属膜ML1から形成される金属層GE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層GE2bを有している。ソース電極SE2は、金属膜ML1から形成される金属層SE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層SE2bを有している。ドレイン電極DE2は、金属膜ML1から形成される金属層DE2a、及び、金属膜ML2から形成される金属層DE2bを有している。
【0082】
金属膜ML1及びML2を成形する際に、コンタクトホールCH1内に設けられる金属膜ML1及びML2を部分的に除去し、コンタクトホールCH2を形成する。コンタクトホールCH2の底部では、半導体層SC2の高濃度不純物領域HIが部分的に露出する。
コンタクトホールCH2において、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2は、高濃度不純物領域HIの一部と重畳し、他の部分には重畳しない。換言すると、高濃度不純物領域HIは、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と重畳する領域と、重畳しない領域とを含んでいる。
【0083】
ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2を形成後、半導体層SC2に不純物元素IM1を注入する(
図9(D)参照)。構成例1と同様に、当該注入工程を、本構成例の第2注入工程とする。
第2注入工程において、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳する領域では、半導体層SC2の深さまで不純物元素IM1が届かず、半導体層SC2に不純物元素IM1が注入されない。第2注入工程により、不純物元素IM1が注入された領域が低抵抗化する。
【0084】
半導体層SC2のうち、ゲート電極GE2と重畳する領域は、チャネル形成領域RC2となる。半導体層SC2のうち、ソース電極SE2と重畳する領域であって、高濃度不純物領域HIsとは異なる領域を、領域RUsとする。
半導体層SC2のうち、ドレイン電極DE2と重畳する領域であって、高濃度不純物領域HIdとは異なる領域を、領域RUdとする。
領域RUs及びRUdを特に区別する必要がない場合は、領域RUとする。
チャネル形成領域RC2及び領域RUsとの間の領域、並びに、チャネル形成領域RC2及び領域RUdとの間の領域を、それぞれ、不純物領域RKs及びRKdとする。不純物領域RKs及びRKdを特に区別する必要がない場合は、不純物領域RKとする。不純物領域RKの不純物元素IM1の不純物濃度をCN2とすると、不純物濃度CN2は不純物濃度CN1より大きい、または同等である。
【0085】
図9(C)に示す製造工程では、コンタクトホールCH2の底部において高濃度不純物領域HIの一部が露出している。
図7(D)と比較して、
図9(D)においては、半導体層SC2のうち、当該露出した高濃度不純物領域HIの一部の下方の領域は、不純物領域RKに含まれている。本構成例では、構成例1と比較して、不純物領域RKの幅を広くすることができる。
図7(D)では、不純物領域RKと高濃度不純物領域HIが領域RUを介して接続されているのに対して、
図9(D)では、不純物領域RKと高濃度不純物領域HIを直接接続させることができる。
【0086】
図10は、トランジスタTr2を説明する図である。
図10(B)は、トランジスタTr2の概略平面図である。
図10(A)は、
図10(B)に示す線C1-C2に沿ったトランジスタTr2の断面図である。
図8(C)は、トランジスタTr2の半導体層SC2のうち、領域ごとの不純物元素IM1の不純物濃度を示す図である。
【0087】
図9(A)から
図9(C)に示す製造工程により、
図10(A)に示すトランジスタTr2が形成される。半導体層SC2は、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、及びドレイン電極DE2と重畳している。
図10(B)に示すトランジスタTr2では、ゲート電極GE2の端部は、ソース電極SE2の端部及びドレイン電極DE2の端部から第2方向Yに沿って突出している。ただしゲート電極GE2の形状はこれに限定されない。ゲート電極GE2の端部、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部は一致していてもよく、または、ソース電極SE2の端部、及びドレイン電極DE2の端部がゲート電極GE2の端部よりも第2方向Yに沿って突出していてもよい。
遮光層LS2は、ゲート電極GE2と重畳している。
図10(B)では、遮光層LS2の第1方向Xに沿った長さ(幅)は、ゲート電極GE2より長い。
【0088】
上述した通り、高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)の不純物濃度CN1は、不純物領域RK(RKs及びRKd)の不純物濃度CN2より小さい、または同等である。
チャネル形成領域RC2及び領域RU(RUs及びRUd)の不純物濃度をCN3とすると、不純物濃度CN3は、不純物濃度CN1及びCN2より小さい。
よって不純物濃度CN1、CN2、及びCN3の関係は、CN2≧CN1>CN3が成り立つ(
図10((C)参照)。
不純物濃度CN(CN1、CN2、及びCN3)が高いほど、不純物元素IM1が注入された領域の抵抗値は低い。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0089】
<構成例3>
図11は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す断面図である。
図11に示した構成例では、
図2に示した構成例と比較して、遮光層の幅が半導体層の幅より短いという点で異なっている。
図11は、表示装置DSPの部分拡大図である。
図11においては、トランジスタTr1及びTr2のみを示している。トランジスタTr1及びTr2以外の構成要素の説明については、
図2の説明を援用し、これを省略する。
トランジスタTr2の積層構造については、
図5(A)の構造と同様とする。詳細は後述する。
【0090】
トランジスタTr1は、半導体層SC1中に、チャネル形成領域RC1、低濃度不純物領域LD1s及びLD1d、ソース領域RS1、ドレイン領域RD1を有している。低濃度不純物領域LD1sは、チャネル形成領域RC1及びソース領域RS1との間に位置している。低濃度不純物領域LD1dは、チャネル形成領域RC1及びドレイン領域RD1との間に位置している。
【0091】
低濃度不純物領域LD1(LD1s及びLD1d)に含まれる不純物元素の不純物濃度は、ソース領域RS1及びドレイン領域RD1に含まれる不純物元素の不純物濃度よりも小さい。
ソース領域RS1及びドレイン領域RD1、並びに、低濃度不純物領域LD1に含まれる不純物元素は、トランジスタTr1に極性を付与する不純物元素であり、例えばリン又はホウ素である。当該不純物元素は、トランジスタTr2の半導体層SC2に含まれる不純物元素IM1と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0092】
トランジスタTr2は、半導体層SC2中に、チャネル形成領域RC2、高濃度不純物領域HIs及びHId、低濃度不純物領域LD2s及びLD2d、ソース領域RS2、並びに、ドレイン領域RD2を有している。低濃度不純物領域LD2sは、チャネル形成領域RC2及びソース領域RS2との間に位置している。低濃度不純物領域LD2dは、チャネル形成領域RC2及びドレイン領域RD2との間に位置している。
トランジスタTr2の遮光層LS2において、第3方向Zに垂直な平面(X-Y平面)での長さ(幅)は、半導体層SC2の長さより短い。遮光層LS2は、チャネル形成領域RC2に重畳していればよい。
【0093】
図11の高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)は、
図5(A)に示す高濃度不純物領域HI(HIs及びHId)と同様である。
ソース領域RS2は、
図5(A)に示す不純物領域RMs及びRHsを含んでいる。ドレイン領域RD2は、
図5(A)に示す不純物領域RMd及びRHdを含んでいる。
低濃度不純物領域LD2s及びLD2dは、
図5(A)に示す不純物領域RLs及びRLdに相当する。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
本開示においては、
図4(A)から
図4(C)、及び
図5(A)から
図5(C)に示す不純物領域RM、RL、及びRHを、それぞれ、第1不純物領域、第2不純物領域、及び第3不純物領域ともいう。不純物領域RM、RL、及びRHに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CT1、CT2、及びCT3を、それぞれ、第1濃度、第2濃度、及び第3濃度ともいう。高濃度不純物領域HIに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CT4、及び、チャネル形成領域RC2に含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CT5を、それぞれ、第4濃度及び第5濃度ともいう。
【0095】
本開示においては、
図7(A)から
図7(C)、及び
図8(A)に示されるように、高濃度不純物領域HIの全部は、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2の全部と接して重畳している。
図9(A)から
図9(C)及び
図10(A)に示すように、高濃度不純物領域HIの一部は、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と接して重畳している。つまり、高濃度不純物領域HIの少なくとも一部は、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2と接して重畳している。
【0096】
本開示において、
図7(A)から
図7(C)、
図8(A)から
図8(C)、
図9(A)から
図9(C)、及び
図10(A)から
図10(C)に示す領域RU及び不純物領域RKを、それぞれ、第1領域及び第2不純物領域ともいう。高濃度不純物領域HIに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CN1、不純物領域RKに含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CN2、並びに、領域RU及びチャネル形成領域RC2に含まれる不純物元素IM1の不純物濃度CN3を、それぞれ、第1濃度、第2濃度、及び第3濃度ともいう。
【0097】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
CH…コンタクトホール、CH1…コンタクトホール、CH2…コンタクトホール、CN…不純物濃度、CN1…不純物濃度、CN2…不純物濃度、CN3…不純物濃度、CT1…不純物濃度、CT2…不純物濃度、CT3…不純物濃度、CT4…不純物濃度、CT5…不純物濃度、DE1…ドレイン電極、DE2…ドレイン電極、GE1…ゲート電極、GE2…ゲート電極、HI…高濃度不純物領域、IM1…不純物元素、ML1…金属膜、ML2…金属膜、RC1…チャネル形成領域、RC2…チャネル形成領域、RD1…ドレイン領域、RD2…ドレイン領域、RH…不純物領域、RI1…領域、RI2…領域、RK…不純物領域、RL…不純物領域、RM…不純物領域、RS1…ソース領域、RS2…ソース領域、RU…領域、SC1…半導体層、SC2…半導体層、SE1…ソース電極、SE2…ソース電極、Tr1…トランジスタ、Tr2…トランジスタ。