(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20240909BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240909BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240909BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240909BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20240909BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240909BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240909BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240909BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13357
F21S2/00 483
F21V29/503 100
F21V29/508
G09F9/00 304B
G09F9/00 336G
F21Y115:10
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2021007364
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 亮
(72)【発明者】
【氏名】内海 祐
(72)【発明者】
【氏名】川田 淳
(72)【発明者】
【氏名】菅野 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲也
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021450(JP,A)
【文献】特開2016-035534(JP,A)
【文献】特開2012-022779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0116986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13357
F21S 2/00
F21V 29/10
F21V 29/503ー29/508
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、前記光源基板に当接する部分と、前記駆動素子に当接することにより異形に変形する部分とを有
し、
前記異形に変形する部分は、前記駆動素子と対向する位置に設けられた開口部である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記開口部の近傍に、前記開口部の縁に沿った切れ込みを有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記開口部の端面は、前記光源基板の側から前記ケースの側に向かって開口幅を狭める斜面を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、前記光源基板に当接する部分と、前記駆動素子に当接することにより異形に変形する部分とを有し、
前記ケースは、前記駆動素子と対向する位置に、背面側に突出するように湾曲した湾曲部を有する
ことを特徴とす
る液晶表示装置。
【請求項5】
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、第一の熱伝導シートと第二の熱伝導シートとを重ね合わせた構成を有し、
前記第一の熱伝導シートは、前記駆動素子に対向する位置に開口部を有する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
前記第一の熱伝導シートの厚みは、前記駆動素子の実装高さと略同一である
ことを特徴とする請求項
5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第二の熱伝導シートの硬度は、前記第一の熱伝導シートの硬度よりも低い
ことを特徴とする請求項
5または
6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、
前記駆動素子に対向する位置に設けられ、前記駆動素子に当接する第三の熱伝導シートと、
前記駆動素子に対向する位置に開口部を有し、前記光源基板に当接する第四の熱伝導シートと
を有する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
前記光源基板と前記熱伝導部材と前記ケースは、ねじの頭部が前記ケースの背面側に配置されるように、当該ねじによって互いに固定される
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記光源基板と前記熱伝導部材と前記ケースを互いに固定する固定部材をさらに有し、
前記固定部材は、前記光源基板の前面側に配置される第一保持部と、前記ケースの背面側に配置される第二保持部と、前記光源基板と前記熱伝導部材と前記ケースを貫通する貫通穴を通って前記第一保持部を前記第二保持部に連結する連結部とを有する
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記固定部材は、前記光源からの方向のうち、前記光源から出射される光の強度が、前記光源から前記光源基板に垂直な方向に出射される光の強度の半分以上となる方向の範囲に前記第一保持部が含まれないように設けられる
ことを特徴とする請求項
10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記光源基板の前面には、前記液晶パネルの背面を照明する複数の光源が実装されており、
前記液晶表示装置は、前記光源基板の前面のうち、前記複数の光源が無い領域を覆う反
射シートを有し、
前記反射シートは、複数の帯状に分割されて前記光源基板の前面に敷設される
ことを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記熱伝導部材は、前記ケースの周囲に存在する間隙を覆う部分を有する
ことを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記ケースは、4つの側壁部材と1つの背面部材とからなる
ことを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記側壁部材は、押出成形にて形成された部材である
ことを特徴とする請求項
14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記4つの側壁部材のいずれかと前記光源基板との間隙を埋めるクッションを有する
ことを特徴とする請求項
14または
15に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、画像を表示する液晶パネルと、液晶パネルの背面を照明するバックライトとが配置される。近年では光源として発光ダイオード(LED)を有するバックライトが主流となっており、表示(表示画像)の高精細化、高輝度化、高コントラスト化が進められている。
【0003】
例えば、水平方向の解像度(画素数)が約4000のいわゆる4Kと呼ばれる高精細な液晶パネルを有する液晶表示装置が増えており、さらに、8Kと呼ばれる超高精細な液晶パネルも採用され始めている。高精細化に伴い液晶パネルの光透過率は低下するため、高精細な液晶パネルを有する液晶表示装置では、バックライトを高輝度化させる必要がある。
【0004】
また、LEDが点光源であることを利用して、複数のLEDの発光輝度を個別に制御することで、バックライトの明るさを部分的に変更し、表示画像のコントラストを高める技術がよく用いられる。このような制御は、ローカルディミング制御などと呼ばれている。ローカルディミング制御では、画面(表示面)の領域を構成する複数の分割領域のそれぞれについて、画像の輝度値が分析され、対応するLEDの発光輝度が輝度値の分析結果に基づいて制御される。通常、画像の明所部分(明所部分が表示される分割領域)ではLEDの発光輝度を高くし、画像の暗所部分(暗所部分が表示される分割領域)ではLEDの発光輝度を低くするように、各LEDの発光輝度が制御される。このようなローカルディミング制御を用いた場合において、画像の明所部分をより高い輝度で表示するためには、バックライト(明所部分に対応するLED)の発光輝度をより高くする必要がある。ローカルディミング制御は、バックライトの光源がLEDでない場合でも実行可能である。
【0005】
このように、バックライトの発光輝度は増加する傾向にある。バックライトの発光輝度が増加すれば、バックライトの発熱量も増加する。LEDは高温になると、発光効率の低下や、LEDを構成している樹脂パッケージや封止剤などの劣化による故障が生じる可能性が増す。バックライトの光源がLEDでない場合でも、このような課題は生じ得る。
【0006】
従来、バックライトを効率的に放熱する構成として、LEDなどの光源を実装した光源基板の背面側にケースを取り付け、このケースを介して光源基板から空気への放熱を行う構成が提案されている。例えば、特許文献1には、光源基板の背面にケースを取り付け、さらにケースにヒートシンクとヒートパイプを取り付け、冷却ファンによる送風を行う構成が開示されている。また、特許文献2には、弾性を有する熱伝導部材を光源基板とケースの間に設け、光源基板と熱伝導部材の界面と、ケースと熱伝導部材の界面とに流体を介在させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-316337号公報
【文献】特開2006-39349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示画像のコントラストをより高めるためには、光源(LED)の数と、ローカルディミング制御の分割数(分割領域の数)とを増やす必要がある。光源の数を増やすと、光源間のピッチが狭くなり、光源基板をケースに固定するための範囲(固定範囲)も狭くなる。さらに、光源を駆動・制御するための光源駆動素子(ドライバーIC)の数が増加し、ドライバーICを実装するドライバー基板と、光源基板とを接続する配線の数も増加する。ドライバー基板と光源基板とを接続する配線の数の増加はコストの増加をまねく。そのようなコストの増加を抑制する構成として、光源基板の背面(裏面)にドライバーICを実装する構成が考えられる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、光源の数が多くなると、光源基板とケースとが互いに接触する範囲(接触範囲)が狭くなるため、バックライトを十分に放熱できない虞がある。
【0010】
また、特許文献2に開示の構成では、光源基板の背面にドライバーICを実装すると、ドライバーICが光源基板の背面から大きく突出しているため、熱伝導部材が光源基板の背面に密着せず、バックライトを十分に放熱できない虞がある。さらに、ドライバーICが実装されている部分で熱伝導部材が大きく圧縮されるため、光源基板を変形させるような大きな応力が発生し、光源基板の破損や光源の実装不良などが生じる虞がある。
【0011】
そこで、本発明は、光源基板の背面に光源駆動素子を実装した液晶表示装置であって、光源基板を変形させるような応力が発生しないように、光源基板と熱伝導部材とケースとが互いに十分に密着した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、前記光源基板に当接する部分と、前記駆動素子に当接することにより異形に変形する部分とを有し、
前記異形に変形する部分は、前記駆動素子と対向する位置に設けられた開口部である
ことを特徴とする液晶表示装置である。
本発明の第2の態様は、
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、前記光源基板に当接する部分と、前記駆動素子に当接することにより異形に変形する部分とを有し、
前記ケースは、前記駆動素子と対向する位置に、背面側に突出するように湾曲した湾曲部を有する
ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0013】
本発明の第3の態様は、
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、第一の熱伝導シートと第二の熱伝導シートとを重ね合わせた構成を有し、
前記第一の熱伝導シートは、前記駆動素子に対向する位置に開口部を有する
ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0014】
本発明の第4の態様は、
液晶パネルと、
前面に前記液晶パネルの背面を照明する光源を実装し、背面に前記光源を駆動する駆動素子を実装した光源基板と、
前記光源基板を背面側から収容するケースと、
前記光源基板と前記ケースの間に設けられた、弾性を有する熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、
前記駆動素子に対向する位置に設けられ、前記駆動素子に当接する第三の熱伝導シートと、
前記駆動素子に対向する位置に開口部を有し、前記光源基板に当接する第四の熱伝導シートと
を有する
ことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光源基板の背面に光源駆動素子を実装した液晶表示装置であって、光源基板を変形させるような応力が発生しないように、光源基板と熱伝導部材とケースとが互いに十分に密着した液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る液晶表示装置の分解斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る液晶表示装置の正面図である。
【
図3】実施形態1に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図4】実施形態1に係る熱伝導部材の開口部の形状を示すした断面図である。
【
図5】実施形態1に係る熱伝導部材と光源基板を示す背面図である。
【
図6】実施形態1に係る液晶表示装置の変形例1を示す断面図である。
【
図7】実施形態1に係る液晶表示装置の変形例2を示す断面図である。
【
図8】実施形態1に係る液晶表示装置の変形例3を示す断面図である。
【
図9】実施形態2に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図10】実施形態3に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図11】実施形態3に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図12】実施形態4に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図13】実施形態4に係る固定部材の詳細図である。
【
図14】実施形態4に係る固定部材の変形例を示す断面図である。
【
図15】実施形態5に係る光源基板と反射シートを示す正面図である。
【
図16】実施形態6に係る熱伝導部材の形状を示す正面図である。
【
図17】実施形態6に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図18】実施形態6に係る熱伝導部材の変形例を示す正面図である。
【
図19】実施形態7に係る光源基板とケースを示す正面図である。
【
図20】実施形態7に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図21】実施形態7に係る液晶表示装置の下側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1に係る液晶表示装置1の分解斜視図であり、
図2は、液晶表示装置1の正面図である。
【0019】
液晶表示装置1は、前面外装であるベゼル3の背面側(背後)に、画像を表示するためのユニットである表示モジュール20を有する。さらに、液晶表示装置1は、表示モジュール20の背面側に、駆動のための電気回路基板や、内部構造部品、背面外装であるリア
カバーなど(いずれも不図示)を有する。
【0020】
表示モジュール20は、液晶パネル2、パネルホルダー12、光学シート群11、及び、バックライト4を含む。前面側から順番に、液晶パネル2、パネルホルダー12、光学シート群11、及び、バックライト4が設けられている。
【0021】
パネルホルダー12は、液晶パネル2と光学シート群11の間隔を一定に保つ。パネルホルダー12は、バックライト4に固定されることが多い。また、パネルホルダー12とベゼル3が液晶パネル2を挟持することで液晶パネル2が固定されることが好ましい。パネルホルダー12として樹脂成型品を好適に使用できるが、金属加工品を使用してもよい。ベゼル3として、機械加工(プレス加工など)により得られる金属加工品が使用されることが多いが、樹脂成型品を使用してもよい。
【0022】
バックライト4は、反射シート10、光源基板5、及び、ケース8を含む。前面側から順番に、反射シート10、光源基板5、及び、ケース8が設けられている。
【0023】
光源基板5の前面(表面;正面)には、液晶パネル2の背面(裏面)を照明するための複数の光源9が実装されている。光源9としてLED(Light Emitting Diode)を用いることが主流になっているが、光源9はLEDに限られず、有機EL素子などであってもよい。
【0024】
反射シート10は、複数の光源9からの光を効率良く光学シート群11へ反射させる。反射シート10は、光源基板5の前面のうち、複数の光源9が無い領域を覆う。反射シート10として、反射率の高い材料からなるシートや、表面処理が施されたシートなどを使用できる。具体的には、反射シート10として、白色の発泡PETシートや、高反射膜を表面に塗布した金属薄板などを使用できる。反射シート10の厚みは好ましくは0.1~2.0mm程度であるが、特に限定されない。
【0025】
ケース8は、光源基板5(具体的には、光学シート群11、反射シート10、及び、光源基板5)を背面側から収容する。強度と、光源基板5(複数の光源9)からの放熱との観点から、ケース8は、機械加工(プレス加工など)により得られる1つ以上の金属加工品で構成されることが好ましい。ケース8のうち、光源基板5に直接的または間接的に接触する部分の材料は、熱伝導率の高い材料、例えば鉄、アルミニウム、銅、それらの合金などであることが好ましい。
【0026】
図3は、液晶表示装置1の断面図であり、
図2におけるA-A断面を示す。
図4(a)は、後述する熱伝導部材101の開口部の形状を示す断面図であり、光源基板5をケース8に取り付ける前の状態を示す。
【0027】
実施形態1では、光源基板5の背面に、複数の光源9を駆動する光源駆動素子(ドライバーIC)13が実装される。この構成によれば、光源基板5内の配線で複数の光源9を駆動・制御することができる。そのため、光源基板と、ドライバーICを実装した別基板とをフレキシブル配線で繋ぐ構成よりも安価に、ローカルディミング制御の分割数を増やすことができ、表示画像の高コントラスト化を実現することができる。
【0028】
さらに、実施形態1では、弾性を有する熱伝導部材101が、光源基板5とケース8の間に全面的に設けられる。熱伝導部材101は、光源基板5に当接する部分と、ドライバーIC13に当接することにより異形に変形する部分とを有する。こうすることで、ドライバーIC13が光源基板5の背面から大きく突出していても、熱伝導部材101を光源基板5とケース8との高い密着性を得ることができる。具体的には、光源基板5の背面の
略全面に、熱伝導部材101を介してケース8を密着させることができる。その結果、光源基板5の背面の略全面からケース8に熱を伝えることができ、複数の光源9とドライバーIC13とを効率的に放熱することができる。なお、その他の電気実装部品(不図示)が光源基板5の背面から突出している場合にも、同様の構成で光源基板5とケース8との高い密着性を得ることができる。
【0029】
熱伝導部材101は、例えば、アクリル系やシリコーン系などのゴムやゲルタイプのシートである。熱伝導部材101は、ドライバーIC13よりも厚く、0.5~5.0mm程度の厚みを有することが好ましい。熱伝導部材101は柔軟性を有する。熱伝導部材101の熱伝導率は、例えば、0.5~20W/m・Kである。熱伝導部材101の熱伝導率は高いことが好ましいが、特に限定されない。
【0030】
ケース8は、ケース8本体にカシメまたは溶接などで機械的接合された固定部14を有する。固定部14にはめねじが形成されており、ねじ15にて光源基板5と熱伝導部材101がケース8に固定される。この際、反射シート10がさらに固定されてもよいし、熱伝導部材101が全体的にわずかに圧縮されてもよい。光源基板5と熱伝導部材101をケース8へ固定する方法は、ねじ固定に限られず、例えばリベット固定やばね固定などであってもよい。
【0031】
光源基板5をケース8に固定することにより、光源基板5の背面のうち、ドライバーIC13が設けられていない部分は、熱伝導部材101に当接する。熱伝導部材101は、ドライバーIC13と対向する位置に開口部(開口;貫通孔)を有する。ドライバーIC13の長さL1(光源基板5に平行な方向の長さ)は、熱伝導部材101の開口部の長さL2(開口幅)よりも大きい。そのため、ドライバーIC13の端部は熱伝導部材101(開口部)と接触し、熱伝導部材101(開口部)は異形に変形する。具体的には、熱伝導部材101のうち、ドライバーIC13の端部に接触した部分が、熱伝導部材101の開口部の内側に入り込むように変形する。これにより、ドライバーIC13に大きな応力が発生することなく、ドライバーIC13を熱伝導部材101に接触させることができる。つまり、光源基板5を変形させるような応力が発生しないように、光源基板5と熱伝導部材101とケース8とを互いに十分に密着させることができる。ドライバーIC13が設けられていない部分では、光源9から発生した熱は、熱伝導部材101を介してケース8へ流れる(伝熱経路102)。ドライバーIC13が設けられた部分では、光源9から発生した熱は、ドライバーIC13で発生した熱と共に、熱伝導部材101を介してケース8へ流れる(伝熱経路103)。
【0032】
なお、
図4(b)に示すように、熱伝導部材101の代わりに熱伝導部材121を用いてもよい。熱伝導部材121は、熱伝導部材121の開口部(ドライバーIC13と対向する開口部)の近傍に、当該開口部の縁に沿った切れ込み122を有する。こうすることで、ドライバーIC13の端部が熱伝導部材(開口部)と接触した際に、熱伝導部材(開口部)が変形し易くなる。また、
図4(c)に示すように、熱伝導部材101の代わりに熱伝導部材131を用いてもよい。熱伝導部材131の開口部(ドライバーIC13と対向する開口部)の端面は、光源基板5の側からケース8の側に向かって開口幅を狭める斜面132となっている。斜面132は、例えば、面取り切削加工やプレス加工などで形成される。こうすることでも、ドライバーIC13の端部が熱伝導部材(開口部)と接触した際に、熱伝導部材(開口部)が変形し易くなる。なお、熱伝導部材131の開口部の端面の全体でなく、一部が斜面132となっていてもよい。
【0033】
図5は、熱伝導部材101と光源基板5を示す背面図である。光源基板5と熱伝導部材101にはねじ穴16が開いている。ねじ15がねじ穴16を通ってケース8の固定部14に固定されることで、光源基板5と熱伝導部材101がケース8に対して固定される。
また、熱伝導部材101は、ドライバーIC13と対向する位置に開口部104を有する。ドライバーIC13の形状は種々あるが、
図5では四角形状で示している。開口部104の形状はドライバーIC13の形状に合わせて、円形状や多角形状などにすることができるが、
図5では円形状で示している。ここで、ドライバーIC13の1辺の長さをL1とし、開口部104の直径をL2とする。開口部104の直径L2は、光源基板5に平行な面においてドライバーIC13の面積よりも開口部104の面積が小さくなるように設定される。これにより、ケース8に光源基板5を取り付けたときに、熱伝導部材101(開口部104)がドライバーIC13の端部に圧縮され、開口部104の内側に入り込むように変形する。すなわち、ケース8に光源基板5を取り付けたときに、開口部104は
図5に示したものより小さくなる。これにより、ドライバーIC13に大きな応力が発生することなく、ドライバーIC13を熱伝導部材101に接触させることができる。つまり、光源基板5を変形させるような応力が発生しないように、光源基板5と熱伝導部材101とケース8とを互いに十分に密着させることができる。
【0034】
以上述べた実施形態1の構成によれば、背面に光源駆動素子(ドライバーIC)を実装した光源基板を変形させるような応力が発生しないように、光源基板と熱伝導部材とケースとを互いに十分に密着させることができる。ひいては、光源基板の破損や不良を抑制したり、光源基板を効率的に放熱したりすることができる。
【0035】
なお、熱伝導部材がドライバーICと対向する位置に開口部を有する例を説明したが、これに限られない。
図6は、実施形態1に係る液晶表示装置の変形例1を示す断面図である。
図6では、ドライバーIC13の代わりに、ドライバーIC13よりも小さいドライバーIC113が使用されており、熱伝導部材101の代わりに熱伝導部材141が使用されている。熱伝導部材141は、ドライバーIC113と対向する位置に非貫通の凹部142を有する。
【0036】
ドライバーIC113は熱伝導部材141の凹部142に部分的に接触し、凹部142を変形させる。ドライバーIC113が設けられた部分では、光源9から発生した熱は、ドライバーIC113で発生した熱と共に、熱伝導部材141を介してケース8へ流れる(伝熱経路143)。凹部142を有する熱伝導部材141を用いることで、凹部や開口部の無い平坦な熱伝導部材を用いる場合に比べ、ドライバーIC113への応力を小さくできる。そして、ドライバーICが小さい場合には、
図6の構成でも、光源基板5と熱伝導部材141とを互いに十分に密着させることができる。したがって、
図6の構成でも、光源基板5を変形させるような応力が発生しないように、光源基板5と熱伝導部材141とケース8とを互いに十分に密着させることができる。
【0037】
図7は、実施形態1に係る液晶表示装置の変形例2を示す断面図である。
図7では、熱伝導部材101の代わりに熱伝導部材151が使用されており、ケース8の代わりにケース155が使用されている。熱伝導部材151は開口部や凹部を有していない。ケース155は、ドライバーIC13と対向する位置に、背面側に突出するように湾曲した湾曲部156を有する。湾曲部156は、例えば、板金の絞り加工により形成される。湾曲部156の高さ(光源基板5に垂直な方向の高さ)は、ドライバーIC13の厚み(実装高さ)と同程度にすることが好ましい。
【0038】
熱伝導部材151のうち、ドライバーIC13と接触した部分は、ケース155の湾曲部156に沿って変形する。これにより、ドライバーIC13に大きな応力が発生することなく、ドライバーIC13を熱伝導部材151に接触させることができる。そして、ドライバーIC13が設けられた部分では、光源9から発生した熱は、ドライバーIC13で発生した熱と共に、熱伝導部材151を介してケース155へ流れる(伝熱経路153)。したがって、
図7の構成でも、光源基板5を変形させるような応力が発生しないよう
に、光源基板5と熱伝導部材151とケース155とを互いに十分に密着させることができる。
【0039】
図8(a)は、実施形態1に係る液晶表示装置の変形例3を示す断面図であり、
図8(b)は、変形例3を示す背面図である。
図8(a),8(b)では、熱伝導部材101の代わりに熱伝導部材161が使用されており、ケース8の代わりにケース165が使用されている。熱伝導部材161は開口部や凹部を有していない。ケース165は、ドライバーIC13と対向する位置に開口部166(開口;貫通孔)を有する。開口部166の開口幅はドライバーIC13の幅よりも大きいことが好ましいが、そうでなくてもよい。
【0040】
熱伝導部材161のうち、ドライバーIC13と接触した部分は、ケース165の開口部166内を通る突出部162となるように変形する。これにより、ドライバーIC13に大きな応力が発生することなく、ドライバーIC13を熱伝導部材161に接触させることができる。また、突出部162の中央近傍(熱伝導部材161のうち、ケース165の開口部166と対向する部分)にスリット164を設けることで、熱伝導部材161とドライバーIC13の間に気泡が入り難くなる。その結果、熱伝導部材161がドライバーIC13に密着し易くなる。
図8(b)ではスリット164の形状が十字形状であるが、円形状や多角形状など様々な形状のスリットを設けることができる。
【0041】
そして、ドライバーIC13が設けられた部分では、光源9から発生した熱は、伝熱経路168,169を流れる。伝熱経路168では、光源9から発生した熱は、ドライバーIC13で発生した熱と共に、熱伝導部材161を介して(ケース165へ流れることなく)空気に流れる。伝熱経路169では、光源9から発生した熱は、ドライバーIC13で発生した熱と共に、熱伝導部材161を介してケース165へ流れる。
【0042】
したがって、
図8の構成でも、光源基板5を変形させるような応力が発生しないように、光源基板5と熱伝導部材161とケース165とを互いに十分に密着させることができる。
【0043】
なお、伝熱経路168では、熱伝導部材161の熱を流す金属などが無い。また、伝熱経路169では、変形例2の伝熱経路153などよりも遠回りになる(ケースまでの距離が長くなる)。そのため、変形例3では、変形例2などに比べ、熱伝導部材とケースの密着性は低く、放熱効率(光源基板からの放熱の効率)は低い。しかしながら、変形例3では、変形例2よりも、ケースの作製が容易となる。
【0044】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。
図9(a)は、実施形態2に係る液晶表示装置の断面図である。実施形態1と同様に、実施形態2に係るバックライトは、光源9を実装した光源基板5をケース8に収容した構成を有する。また、光源基板5は、背面(光源9が実装されている面の反対側の面;裏面)にドライバーIC13を実装している。そして、光源基板5は、密着性を高めて放熱効率を向上させるため、熱伝導部材200をケース8との間に挟んで、ケース8に設けた固定部14にねじ15で締結されている。
【0045】
熱伝導部材200は、弾性を有する熱伝導率の高い複数のシートからなる。具体的には、熱伝導部材200は、第一の熱伝導シート201と第二の熱伝導シート202を光源基板5側から順に重ねた構成を有する。第一の熱伝導シート201はドライバーIC13の実装高さと略同一の厚みを有し、ドライバーIC13と対向する位置に開口部201aを有する。第二の熱伝導シート202の厚みは、第一の熱伝導シート201の厚みと第二の
熱伝導シート202の厚みとケース8の板厚とを足し合わせた値が固定部14の高さよりもわずかに大きな値になるように設定される。また、第二の熱伝導シート202の硬度は第一の熱伝導シート201の硬度よりも低く、光源基板5とケース8で熱伝導部材200を挟んで光源基板5をケース8に固定すると、主に第二の熱伝導シート202が圧縮変形する。
【0046】
ドライバーIC13が設けられていない部分では、光源9から発生した熱は、光源基板5から第一の熱伝導シート201と第二の熱伝導シート202とを介してケース8へ流れる。ドライバーIC13が設けられた部分では、光源9から発生した熱は、光源基板5からドライバーIC13に伝わり、ドライバーIC13で発生した熱と共に、第二の熱伝導シート202を介して(第一の熱伝導シート201を介さずに)ケース8へ流れる。
【0047】
以上述べた実施形態2の構成によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。つまり、背面に光源駆動素子(ドライバーIC)を実装した光源基板を変形させるような応力が発生しないように、光源基板と熱伝導部材とケースとを互いに十分に密着させることができる。ひいては、光源基板の破損や不良を抑制したり、光源基板を効率的に放熱したりすることができる。
【0048】
なお、実施形態2に係る他の構成として
図9(b),9(c)に示す構成が考えられる。
図9(b)は、実施形態2に係る液晶表示装置の変形例1を示す断面図である。
図9(b)では、第一の熱伝導シート201と第二の熱伝導シート202を重ね合わせる順番が
図9(a)と逆になっている。つまり、光源基板5側から順に第二の熱伝導シート202と第一の熱伝導シート201が配置されている。
図9(b)の構成であっても、第一の熱伝導シート201の開口部201aに第二の熱伝導シート202が変形して入り込むことで、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図9(c)は、実施形態2に係る液晶表示装置の変形例2を示す断面図である。
図9(c)では、熱伝導部材200は、第三の熱伝導シート203と第四の熱伝導シートとからなる。第三の熱伝導シート203は、ドライバーIC13と対向する位置に設けられ、ドライバーIC13に当接する。第四の熱伝導シート204は、ドライバーIC13と対向する位置に開口部204aを有し、光源基板5に当接する。光源基板5と平行な面における第三の熱伝導シート203の外形・サイズはドライバーIC13の外形・サイズと略同一である。第四の熱伝導シート204の厚みは、ドライバーIC13の実装高さと第三の熱伝導シート203の厚みを足し合わせた値と略同一であり、光源基板5とケース8の間の空間よりわずかに大きな値になっている。また、第三の熱伝導シート203の硬度は第四の熱伝導シート204の硬度よりもわずかに低いか略同一であり、光源基板5をケース8に固定すると、第三の熱伝導シート203と第四の熱伝導シート204が同程度変形する。
【0050】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。実施形態3では、光源基板の固定方法を工夫することで、光源基板をケースに固定するための範囲(固定範囲)が狭くても、バックライトの輝度やローカルディミング制御などの性能を向上できる構成について説明する。
【0051】
図10,11は、実施形態3に係る液晶表示装置の断面図である。バックライトでは、背面側から順番に、ケース308、熱伝導部材301、光源基板305、及び、反射シート310が配置されている。光源基板305は背面に締結部314を有し、締結部314は光源基板305に垂直なめねじを有する。締結部314のめねじと、ケース308に設
けた締結孔とを連通するおねじ315によって、光源基板305と熱伝導部材301がケース308の背面側から締結される。
【0052】
締結部314は、例えば、
図10のように光源基板305に対してはんだ接合された柱形状の部材である。締結部314の構成は特に限定されず、
図11のように、締結部314は、板金314bに対して柱形状のスペーサ314aをカシメ接合した部材であってもよい。板金314bに対して柱形状のスペーサ314aをカシメ接合した部材は、例えば、光源基板305に対して接着材などで接合される。
【0053】
おねじ315は、頭部とねじ部からなる。おねじ315の頭部は、ケース308の背面側に配置する。これにより、おねじ315の頭部が光源基板305や反射シート310の前面側に配置されず、頭部が光源9からの光を遮ることなく光源9が光学シート群11を照明することができる。また、おねじ315の頭部を配置するスペースを確保する必要がなくなり、複数の光源9をより高密度に配置することができる。
【0054】
また、おねじ315のねじ部の長さは、先端が光源基板305の前面側に突出しない長さとする。このことにより、反射シート310におねじ315との干渉を避けるための開口を設ける必要がなく、光源9からの光を効率良く光学シート群11へ反射することができる。また、反射シートが一様になり、バックライトに輝度ムラが発生することを抑制することもできる。
【0055】
ケース308の背面側に配置されるおねじ315の頭部の形状は、皿ねじ形状としてもよい。このとき、ケース308の締結孔の形状をおねじ315の頭部に対応する皿穴形状として、おねじ315の頭部がケース308に埋没する構成とすることで、おねじ315の頭部がケース308の背面側に突出しないようにしてもよい。このような構成は、ケース308の背面側にヒートシンク(不図示)等の部品を密着するように配置するのに好適である。ただし、おねじ315の頭部の形状は特に限定されず、なべ形状などでもよい。
【0056】
以上述べた実施形態3の構成によれば、光源基板および反射シートを固定するためのおねじの頭部が光源基板の前面側に配置されない。これにより、光源基板に配置する光源を高密度にすることができ、バックライトの輝度を高めたり、ローカルディミング制御を精細に行ったりすることが可能となる。また、おねじの頭部が光源の光を遮ることがなく、バックライトの輝度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0057】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。実施形態4では、光源基板の固定方法を工夫した別の構成について説明する。
【0058】
図12は、実施形態4に係る液晶表示装置の断面図である。バックライトでは、背面側から順番に、ケース408、熱伝導部材401、光源基板405、及び、反射シート410が配置されている。そして、これらの部材に掛かるように、固定部材460が貫通孔409(貫通穴;反射シート410と光源基板405と熱伝導部材401とケース408を貫通する穴)に挿入される。貫通孔409に挿入された固定部材460は、ケース背面407(ケース408の背面)に対してねじ450で係止される。光源基板405上には反射シート410が配置されており、固定部材460が反射シート410を挟み込んで光源基板405を固定する。固定部材460は、板金のような薄板上の部材で構成されており、固定部材460の形状のみで光源基板405を保持することができる。表示画像のコントラストが向上されるよう、ローカルディミング制御をより精細に行うために、複数の光源9の実装密度を上げると、光源基板405の前面側にねじを配置するスペースの確保が
困難となる。固定部材460を使用することにより、光源基板405の前面側にねじを配置するスペースが不要となり、光源9の実装密度を上げることが可能となる。もちろん、光源基板405を安定的に固定することも可能である。
【0059】
光源9から出射される光と、固定部材460の配置との関係について説明する。
図12の角度θは、光源9からの方向のうち、光源9から出射される光の強度が、光源9から垂直に(光源基板405に垂直な方向に)出射される光の強度の半分以上になる方向の範囲に対応する角度である。光源基板405の前面側において、固定部材460の高さhが高く、固定部材460が角度θの範囲に掛かる(含まれる)と、光源9からの光が固定部材460に遮られ、バックライトに輝度ムラが発生し、表示画像にもムラが生じてしまう。そのため、
図12に示すように、固定部材460が角度θの範囲に掛からないように、固定部材460の高さhなどの寸法が設定されることが好ましい。
【0060】
図13は、固定部材460の詳細図である。固定部材460は、第一保持部461、第二保持部462、及び、連結部463を有する。第一保持部461は反射シート410と光源基板405の前面側に配置され、反射シート410の前面に当接する。第二保持部462はケース408の背面側に配置され、ケース背面407に当接する。連結部463は、貫通孔409を通って第一保持部461と第二保持部462を互いに接続(連結)する。また、第二保持部462には、ねじ450を通すねじ穴464が開けられている。ねじ450をねじ穴464に通してケース背面407に固定することで、固定部材460が固定される。第一保持部461により反射シート410を押さえることにより、光源基板405を安定的に保持することが可能である。なお、光源基板405の前面側に配置される第一保持部461の形状は板状であり、ねじを配置するよりも省スペースで配置することができる。
【0061】
図14は、実施形態4に係る固定部材の変形例を示す断面図である。
図13の固定部材460は1か所での固定を行うので、複数か所での固定を行うためには複数の固定部材460が必要となる。ここでは、1つの固定部材で複数か所での固定が可能な構成について説明する。
図14の固定部材470は、複数の第一保持部471、第二保持部472、及び、複数の連結部473を有する。複数の連結部473と複数の第一保持部471は1対1で対応し、連結部473は、対応する第一保持部471を第二保持部472に接続する。複数の第一保持部471と複数の連結部473を複数の貫通孔409にそれぞれ挿入し、複数の第一保持部471をケース背面407に引っ掛けることにより、固定部材470はケース背面407に対して係止される。このとき、第二保持部472は反射シート410を前面側から押さえて光源基板405を固定する。なお、固定部材470の向きを前後逆にし、複数の第一保持部471を光源基板415の前面側に引っ掛けてもよい。
【0062】
以上述べた実施形態3の構成によれば、光源基板に複数の光源を高密度に配置することが可能となり、バックライトの輝度を高めたり、ローカルディミング制御を精細に行ったりすることが可能でなる。また、上述した角度θの範囲に固定部材が含まれないようにすれば、バックライトの輝度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0063】
<実施形態5>
本発明の実施形態5について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。
【0064】
図15(a),15(b),15(c)は、実施形態5に係る液晶表示装置の光源基板505と反射シート510,511,512を示す正面図である。光源基板505の前面に複数の光源509が高密度に配置されると、光源基板505の固定範囲が狭まり、反射シートに設ける開口(光源509を露出する開口)が増える。その結果、反射シートの大
部分を開口が占めるようになり、反射シートの作製が困難となる。
【0065】
そこで、実施形態5では、
図15(a)に示すように、帯状の反射シート510を用いる。複数の反射シート510の背面には粘着層が設けられており、複数の反射シート510は光源基板505の前面に貼り付けられて固定される。反射シートの形状を単純な帯状とすることで、反射シートが容易に作製可能となる。
【0066】
反射シート510の幅は、反射シート510の幅方向(短手方向;
図15(a)の左右方向)における複数の光源509のピッチから光源509の幅を差し引いた値よりも若干小さく設定される。反射シート510の長さは、反射シート510の長さ幅方向(長手方向;
図15(a)の上下方向)における光源基板505の幅(長さ)よりも若干長く設定される。反射シート510は、光源基板505の端から若干飛び出す。こうすることで、光源基板505に反射シート510を貼り付ける際に、反射シート510の飛び出し部分を摘まんで貼り付けを行うことできる。反射シート505の周囲の部材(不図示)と干渉しないよう、飛び出し部分は貼り付け後に裁断してもよい。飛び出し部分を設けずに光源基板505の外形に合わせて反射シート510の長さを設定してもよい。反射シート505に半押し加工を施しておき、貼り付け後に飛び出し部分を前面側に折り返してもよい。
【0067】
図15(b)に示す反射シート511を用いてもよい。反射シート511は、複数の反射シート510を連結したものである。反射シート511を使用することで、部品点数が少なくなり組み立て工数を削減できる。そのため、反射シート511は大型の液晶表示装置の場合に特に好ましく使用できる。なお、
図15(b)では、3枚の反射シート511が記載されているが、これらを1枚に連結すると大きすぎて取扱いが難しくなる。液晶表示装置が比較的小型の場合は反射シート511を1枚使用し、液晶表示装置が比較的大型の場合は反射シート511を複数枚使用するというように、液晶表示装置(表示面)のサイズに合わせて反射シート511の枚数を適宜選択することが好ましい。
【0068】
図15(c)に示す反射シート512を用いてもよい。反射シート512は、光源509間の隙間を埋めるための突出部513を有する。光源509間の隙間を反射シート512の突出部513で埋めることで、光反射率を高めることができる。
図15(c)の突出部513は矩形で描かれるが、突出部513の形状は半円形、三角形、波形などであってもよい。突出部513の形状と寸法は、光源509の温度上昇と、光源509間の隙間と、反射シート512の熱膨張とを考慮して設定することが好ましい。
【0069】
図15(a)~15(c)では、光源基板505の短手方向を反射シート510~512の長手方向とし、光源509の長手方向と一致させているが、これに限られない。また、反射シート510~512の固定方法は、粘着テープなどによる貼り付けに限られず、例えば実施形態4のように固定部材460,470を用いて反射シート510~512が固定されてもよい。その場合に、固定部材460の第一保持部461や固定部材470の第二保持部472は、反射シート510~512の長手方向と直交するように配置されることが好ましい。
【0070】
以上述べた実施形態5の構成によれば、反射シートを複数の帯状に分割して光源基板の前面に敷設するようにしたことで、反射シートを容易に作製することができる。
【0071】
<実施形態6>
本発明の実施形態6について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。
【0072】
図16は、実施形態6に係る熱伝導部材の形状を示す正面図である。
図16に示す熱伝
導部材601の材質や開口部は実施形態1と同じである。熱伝導部材601の開口部604は、光源基板に実装するドライバーIC(不図示)と対向する位置に開けられており、実施形態1と同様にドライバーICの一部により圧縮される。ねじ穴616は表示モジュールのケースを固定するねじが貫通する穴である。熱伝導部材601の角部に相当する部分には突出部602が設けられている。突出部602はケースの角部と対向する位置に設けられている。
【0073】
図17は、実施形態6に係る液晶表示装置の断面図である。ケース606は金属板を曲げることにより形成したものであり、略箱形状をしている。ケース606は、光源基板605が配置されるケース背面部607と、光源基板605の周囲に折り曲がったケース側面部608とからなる。ケース606が金属板から形成されていることから、2つのケース側面部608が互いに隣接する隅部には空間である間隙609が存在する。間隙609より塵埃が表示モジュール620内に侵入すると、光学シート群11などに塵埃が付着し、輝度低下などの画質劣化が発生するため、間隙609はテープなどで封止することが好ましい。テープなどで間隙609を封止する場合には、貼付けのばらつきなどで、間隙609が完全に封止できないことがある。実施形態6では、熱伝導部材601の突出部602を、ケース606の角部の形状に合わせて折り曲げることで、間隙609を封止して、塵埃の侵入を防ぐことができる。熱伝導部材601は、弾性を有するため、間隙609の形状に追従しやすく、間隙609を好適に埋めることができる。
【0074】
図18は、実施形態6に係る熱伝導部材の変形例を示す正面図である。
図18に示す熱伝導部材611は、光源基板に対向しない延伸部612と、延伸部612から突出した突出部613とを有する。延伸部612は、
図17のケース側面部608に対向する部分である。突出部613は、ケース606の角部に対向する部分である。ケース606に熱伝導部材611を配置する際に、延伸部612がケース側面部608に沿うように、熱伝導部材611を屈曲部617で折り曲げる。さらに、突出部613がケース606の角部に対向するように、熱伝導部材611を屈曲部618で折り曲げる。このようにすることで、ケース606の間隙609を封止することができる。
【0075】
以上述べた実施形態7の構成によれば、ケースの周囲に存在する間隙を覆う(封止する)部分を熱伝導部材に設けるという簡易な構成で、塵埃侵入を好適に抑制することができる。
【0076】
<実施形態7>
本発明の実施形態7について説明する。なお、以下では、実施形態1と同様の構成についての説明は適宜省略し、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。実施形態7では、ケースの間隙をより小さくするための構成について説明する。
【0077】
図19は、実施形態7に係る光源基板とケースを示す正面図である。
図20(a),20(b)は、実施形態7に係る液晶表示装置の断面図であり、
図2におけるA-A断面を示す。
図20(a)と
図20(b)では、ケースの一部(側壁部材)の形状が異なる。
【0078】
従来のケースは一枚の板金で形成されることが多く、光源基板の背面側から側面側に曲げるように形成されるため、ケースの4隅に間隙が生じ、バックライトの内部に塵埃が侵入する場合があった。実施形態7では、ケースを、周囲4辺にそれぞれ対応する4つの側壁部材と、1つの背面部材とで構成する。2つの部材(側壁部材と側壁部材、または、側壁部材と背面部材)を組み合わせる際には、2つの部材の面と面を合わせて当該2つの部材を互いに固定する。そうすることで間隙を無くし、塵埃侵入を抑制したケースを作製することができる。
【0079】
図19,
図20(a)に示すように、ケースは、上側壁部材731、左側壁部材732、右側壁部材733、下側壁部材734、及び、背面部材730で構成される。それらはねじ735で互いに固定される。なお、
図19に示す方向のねじ固定(上側壁部材731や下側壁部材734からのねじ固定)でなく、左側壁部材732や右側壁部材733からのねじ固定でもよい。ねじ固定以外の機械固定を採用してもよい。各側壁部材を角柱形状で構成することで、間隙を無くすことができ、さらにベゼル3の固定部材として用いることができる。角柱形状の側壁部材は、押出成形にて形成することができる。側壁部材の材料は、鉄、アルミニウム、それらの合金などであってもよいし、樹脂材料などであってもよい。
【0080】
なお、
図20(b)の上側壁部材741のように、側壁部材は中抜き形状を有していてもよい。こうすることで、側壁部材の内側で反射シート10を固定(支持)することができる。側壁部材の表面に反射材料を塗布して、バックライト内部の反射性能を向上することもできる。
【0081】
図21は、実施形態7に係る液晶表示装置の下側の断面図であり、
図2におけるB-B断面を示す。光源基板5の信号配線や電源配線を接続するためのコネクタは、光源9が増加し、光源9のピッチが狭くなることで、光源9が設けられない部分(例えば光源基板5の背面)に配置されることがある。
図21では、光源基板5の背面にコネクタ750が実装されており、背面部材730にはコネクタ750が露出するように貫通孔が設けられている。下側壁部材734は、光源基板と干渉しないように角柱部材に逃げ形状を形成した構成を有する。逃げ形状の部分(下側壁部材734の一部)と光源基板5の前面との間には、下側壁部材734と光源基板5との間隙を埋めるクッション751(弾性を有するクッション)が設けられる。クッション751を配置することにより、コネクタ750の貫通孔からバックライトの内部へ塵埃が侵入することを抑制することができる。クッション751はゴムやスポンジタイプなど様々な材質で構成可能であるが、光源基板5に発生する応力は低減するために、柔軟な材質で構成することが好ましい。なお、他の側壁部材と光源基板5との間隙を埋めるクッションが設けられてもよい。
【0082】
以上述べた実施形態7の構成によれば、バックライト内部への間隙を無くして(小さくして)、バックライト内部への塵埃侵入を抑制することができる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1:液晶表示装置 2:液晶パネル
5,305,405,415,505,605:光源基板
8,155,165,308,408,606:ケース
9,509:光源 13,113:ドライバーIC
101,121,131,141,151,161:熱伝導部材
200,301,401,601,611:熱伝導部材