(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】冷蔵庫扉の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20240909BHJP
F25D 23/02 20060101ALN20240909BHJP
【FI】
B09B3/30 ZAB
F25D23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021017060
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505166122
【氏名又は名称】株式会社関東エコリサイクル
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩家 洋一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大祐
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-023882(JP,A)
【文献】特開2005-069657(JP,A)
【文献】特開2013-061133(JP,A)
【文献】特開2011-173099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット材料板と、
該ターゲット材料板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ターゲット材料板及び前記断熱部材の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫の扉を、分離装置を用いて処理する処理方法であって、
作用部を用いて前記扉枠に切れ込みを形成させる前処理工程と、
該前処理工程の後に実行され、前記作用部と同一又は異なる作用部を用いて、前記作用部が前記扉枠に進入した際に前記扉が前記作用部を滑って浮き上がらないように荷重を付与する工程と、前記扉枠を破壊する破壊工程及び前記扉を断熱部材側とターゲット材料板側とに分離する分離工程と、を実行する処理方法。
【請求項2】
ターゲット材料板と、
該ターゲット材料板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ターゲット材料板及び前記断熱部材の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫の扉を処理する処理装置であって、
前記扉枠に切れ込みを形成させる前処理工程を実行する作用部と、
前記扉を当該扉が載置される固定面に近づける方向に荷重を付与する押圧固定治具と、を備え、
前記前処理工程の後に実行され、前記作用部が前記扉枠に進入した際に前記扉が前記作用部を滑って浮き上がらないように前記押圧固定治具を用いて荷重を付与する工程と、前記扉枠を破壊する破壊工程及び前記扉を断熱部材側とターゲット材料板側とに分離する分離工程と、を実行する、前記作用部と同一又は異なる作用部を備える処理装置。
【請求項3】
前記作用部の下方に配置され、分離された前記ターゲット材料板を回収する回収口を備え、
前記回収口の後端は、前記作用部の先端より前方に位置する請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記前処理工程を終えた前記扉を、前記扉枠を破壊する破壊工程及び前記扉を断熱部材側とターゲット材料板側とに分離する分離工程と、を実行する、前記作用部と同一又は異なる作用部を備える別の処理装置への搬送を開始させる装置間搬送部を備える請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記前処理工程を行う前記作用部と、前記破壊工程及び前記分離工程を行う前記作用部とは、同一の物であり、前記扉枠の樹脂を溶融可能な温度にまで該作用部を加熱可能な加熱部を備え
る請求項2乃至4何れか一項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記前処理工程を行う前記作用部と、前記破壊工程及び前記分離工程を行う前記作用部とは、異なる物であり、
前記前処理工程を行う前記作用部は、くさび型刃若しくは片刃であり、及び/又は、主に前記扉枠を押す方向への運動を行い、
前記破壊工程及び前記分離工程を行う前記作用部は、主に前記扉枠を押す方向に直交し、かつ前記ターゲット材料板に平行な方向への往復運動を行う鋸刃、主に回転運動を行う回転
刃、又は、ヒートナイフであ
る請求項2乃至4何れか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理装置は、前記冷蔵庫の扉及び前記作用部を近づけて、前記作用部を前記冷蔵庫の扉に作用させる搬送部を備える請求項2乃至6何れか一項に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫扉の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の扉の外観は冷蔵庫の意匠性を大きく左右する。扉の表面積の多くを占める前板(意匠面材)に鋼板が使用された「鋼板扉」も知られているが、インテリア性の高さから例えばガラス板(強化ガラス板を含む。)が使用された「ガラス扉」が採用されることが増えてきている。
【0003】
冷蔵庫部材のリサイクルに関しては、特許文献1のような箱体の分離に係る構造などが知られているものの、ガラス扉からガラス板を効果的に分離しようとする公知例は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は関連する冷蔵庫リサイクル方法のフローである。使用済みの冷蔵庫や、産廃品となった冷蔵庫はリサイクルプラントへ搬入される(ステップS100)。冷蔵庫は、鋼板扉を備えたものと、ガラス扉を備えたものとに仕分けられる(ステップS110)。鋼板扉を備えた冷蔵庫については圧縮機などのパーツを回収してから箱体と扉ごと破砕機へと運ばれる(ステップS111)のに対し、ガラス扉を備えた冷蔵庫については、箱体からガラス扉を取り外す(ステップS120)。そして、箱体は破砕され(ステップS111)、扉はガラス板が断熱部材(例えばウレタン)に密着しているか否かによって処理される(ステップS130又はS140)。
【0006】
冷蔵庫扉の前板がガラス板であるか否かでその後の処理が変わる理由は、ガラス扉を鋼板扉同様に直接破砕機へ投入すると、装置に詰まりなどの悪影響が出ることや、無事破砕されて排出されたとしても、破砕された後の物質の分離を精度よく行うための技術が確立されていないため、他のリサイクル材の純度を低下させる要因となってしまうためである。
【0007】
さて、ガラス扉からガラス板を比較的容易に分離できるものについては、ハンマーやヘラ等の道具を用いて手作業でガラス板と他の材料(断熱部材等)とに分離する(ステップS140)。ガラス板の取り外しが困難又は不可能なものについては、例えばガラス扉ごと埋め立て処分される(ステップS130)。
【0008】
ガラス板を比較的容易に分離できるものとしては、例えばウレタン断熱材とガラス板とが直接は接着等されていないものである。具体的には、ガラス板とウレタン断熱材との間に飛散防止フィルムによる離型処理が施されているものであったり、ガラス板やその塗装上に直接離型処理が施されているものなどが挙げられる。一方で、ガラス板を分離するのが困難又は不可能なものとしては、例えばガラス板と断熱材とが直接に接着等しているものである。断熱材の一例としてのウレタン断熱材は、例えばガラス板の一面に向けてウレタンフォーム液が注入され、このフォーム液の化学反応の進行につれて膨張するとともに接触した物体に接着しながらウレタン断熱材として形成される。また、断熱材の他の一例としての真空断熱材は、両面テープやホットメルト等によって例えばガラス板に接着、粘着、又は貼付等される。
【0009】
このように、ガラスやその他扉からの分離が必要となる材料(ターゲット材料)で形成された前板が取付けられた扉を備える冷蔵庫をリサイクルするにあたっては、扉をそのまま破砕すると、ガラス等前板の材料の分離回収が困難になるため、扉を前板側と断熱部材側とに分離する。しかし、この分離作業を手作業で行うには労力を要し、自動化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記事情に鑑みてなされた本発明の処理方法は、
ターゲット材料板と、
該ターゲット材料板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ターゲット材料板及び前記断熱部材の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫の扉を、分離装置を用いて処理する処理方法であって、
作用部を用いて前記扉枠に切れ込みを形成させる前処理工程と、
該前処理工程の後に実行され、前記作用部と同一又は異なる作用部を用いて、前記作用部が前記扉枠に進入した際に前記扉が前記作用部を滑って浮き上がらないように荷重を付与する工程と、前記扉枠を破壊する破壊工程及び前記扉を断熱部材側とターゲット材料板側とに分離する分離工程と、を実行する処理方法。
【0011】
また、本発明の処理装置は、
ターゲット材料板と、
該ターゲット材料板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ターゲット材料板及び前記断熱部材の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫の扉を処理する処理装置であって、
前記扉枠に切れ込みを形成させる前処理工程を実行する作用部と、
前記扉を当該扉が載置される固定面に近づける方向に荷重を付与する押圧固定治具と、を備え、
前記前処理工程の後に実行され、前記作用部が前記扉枠に進入した際に前記扉が前記作用部を滑って浮き上がらないように前記押圧固定治具を用いて荷重を付与する工程と、前記扉枠を破壊する破壊工程及び前記扉を断熱部材側とターゲット材料板側とに分離する分離工程と、を実行する、前記作用部と同一又は異なる作用部を備える処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】実施形態1のガラス扉に用いられるガラス板の分離装置の概略図
【
図5】実施形態1の分離装置が配された領域にガラス扉を載置して搬送開始した後の状態の図
【
図6】実施形態1の分離装置を作動させてガラス扉を分離している途中の図
【
図7】実施形態1の分離装置でR形状の扉枠を処理しようとした際の課題を示した図
【
図9】実施形態3の分離装置でガラス扉を処理している状態の図
【
図10】各実施形態の分離装置で自動分離処理している全体概略図
【
図11】実施形態4の前処理工程を実現する前処理装置の概略図
【
図12】実施形態4の前処理装置と分離装置とを一の装置にした場合の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照しつつ説明する。
本発明の各種の構成要素は、例えば、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、或る構成要素が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、を許容する。
また、本発明の方法には複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番やタイミングは複数の手順を実行する順番やタイミングを限定するものではなく、内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0014】
<実施形態1>
[ガラス扉1]
図2は本実施形態の冷蔵庫に用いられたガラス扉1の上面断面図である。ガラス扉1は、意匠面として主面21(冷蔵庫の外観から目視可能な面)に用いられるガラス板2と、ガラス板2の裏面22側に配される断熱部材3と、ガラス板2の側周に配される例えば樹脂製の扉枠4と、断熱部材3の後側に配されるライナ材5とを有する。
断熱部材3としては、例えばウレタンフォーム液を注入して発泡することで得られる公知の発泡断熱材や、公知の真空断熱材を用いることができる。断熱部材3は、自身の粘着性によって又は接着剤若しくは接着テープ等によって、ガラス板2の裏面22に接着、密着、又は貼付等によって、ガラス板2に対して相対移動不能にされている。本実施形態では、断熱部材3としてウレタンフォーム液から発泡されたウレタン断熱材が用いられており、自身の接着性によって裏面22に接着している。
【0015】
扉枠4は、ガラス板2の側面や前面を支持して、ガラス扉1から脱離してしまうことを抑制している。このため、扉枠4は、ガラス板2が脱離するのを防ぐ程度の硬さや強度を有している。扉枠4は、そのすべての部分においてとは限らないが、ガラス板2の主面21の縁を支持する押え支持部41を有し得る。
【0016】
[分離装置10]
図3は本実施形態のガラス扉1に用いられるガラス板2の分離装置10の概略図である。
図4は本実施形態の刃12の上面図である。
図5は本実施形態の分離装置10が配された領域にガラス扉1を載置して搬送開始した後の状態の図である。
【0017】
分離装置10は、ガラス扉1を前方に搬送する搬送部11と、搬送されるガラス扉1に作用してガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離する作用部としての刃12と、刃12の上側に配された分離補助部13と、を有する。
【0018】
ガラス扉1は、例えばガラス板2側が固定面100に対向するように下側(重力加速度方向側)を向けられて、搬送部11と刃12との間に載置される。
【0019】
(搬送部11)
搬送部11は、水平方向、少なくとも前後方向に可動であり、ガラス扉1の側面(例えば扉枠4)に当接して、ガラス扉1を刃12が在る方向に押して搬送する(
図5中、矢印A)。搬送部11は、例えばシリンダ等の直線駆動機構装置によって、固定面100上を自由に行き来することができる。前方向を、ガラス扉1の搬送方向として定義する。
搬送部11は、刃12の高さ位置よりも高い位置でガラス扉1の側面を押す第1搬送部111と、刃12の高さ位置よりも低い位置でガラス扉1の側面を押す第2搬送部112と、第1搬送部111及び第2搬送部112の間の空隙113と、を有している。後述するように、刃12はガラス扉1に作用して、ガラス板2側と断熱部材3側とに分離する。その分離の後、刃12は空隙113に入り込むことで搬送部11と接触することを回避できる。このため、ガラス扉1を略水平方向に切り終え易いようにしている。
【0020】
搬送部11としては公知のベルトコンベアのように固定面100そのものが動いたり、同一方向に回転する複数の回転体を固定面100に配して、ガラス扉1を搬送するようにしてもよいが、搬送力の付与を容易に行うべく、本実施形態のようにガラス扉1の側面を押すものが好ましい。また、刃12を移動させてもよいが、安全面の観点から、刃12よりもガラス扉1を対地速度で動かすことが好ましい。
(刃12)
刃12は、固定面100から或る程度離間した高さに固定(固定構造は不図示)されており、切っ先121を後端にして前後に延在している。この高さは、固定面100に載置されたガラス扉1のガラス板2の裏面22の位置よりも高く、扉枠4の上端よりも低い。また、好ましくは、刃12は、床面に配されたガラス排出口101の上方に位置する。ガラス排出口101の後端は、刃12の切っ先121より前方に在るのが好ましい。
【0021】
刃12の材料については特に限定するものではないが、例えばSKS3相当(焼入れ処理)などの硬度の高い材質を使用するのが望ましい。刃12の後端である切っ先121から後方にかけては、本実施例においては上面側に、前方に向かうにつれて上方に向かう傾斜122が配されている。これにより、ガラス板2から分離された断熱部材3側が刃12の上面に沿って、滑るように移動しやすくしている。また、これとは別に刃12の下面側に傾斜を配すると、ガラス板2側の移動をしやすくできる。
【0022】
刃12は、例えば、小刃123を1枚に繋ぎ合わせ、ホルダ129などの固定具にボルト128で固定されて一体化されている。小刃123の切っ先は上面視斜めにされていわゆるギザギザ形状にされており、扉枠4に複数点で当接し始める。これにより扉枠4の破壊を容易に行えるようにしている。その他、作用部としては公知のウォーターカッターやレーザ光線などを採用してもよい。
【0023】
刃12を配置する高さとしては、ガラス板2の裏面22よりも高い位置で、裏面22に極力近いことが好ましい。概ね、日本国で販売されているガラス扉1については、扉枠4のうちガラス板2より前に位置する部分の厚さが約3mm、ガラス板2の厚さが約3mm、であることが想定される。このため、固定面100から例えば6mm以上の高さに固定しておくのが望ましい。尤も、刃12の高さを自由に調整できるように公知の機構を備えることができる。刃12は、ガラス扉1を分離するに際して、左右方向(
図3の紙面表裏方向)に往復動するように構成してもよい。
【0024】
(分離補助部13)
分離補助部13は、後述するように、ガラス板2側から分離された断熱部材3側が載り上がる部材であり、高さ方向に寸法を有して断熱部材3側の荷重に耐えることができる強度の部材である。分離補助部13の高さ寸法としては、例えば固定面100と、分離中の断熱部材13の底辺とが成す角度(
図6参照)が5°~45°となるように調整できる。45°を超えると分離過程でガラスが大きく反ってしまい割れてしまう虞がある。
【0025】
[ガラス扉1からのガラス板2の分離処理]
本実施形態におけるガラス扉1の処理方法は、例えば便宜上、次の工程に分けて考えることができる。ガラス扉1を分離装置10で処理できるように所定の位置に載置する準備工程、ガラス扉1を搬送部11によって刃12に向けて搬送する前搬送工程、刃12を用いて扉枠4を切り込んで破壊する破壊工程、ガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離していく分離工程、分離されたガラス板2側と断熱部材3側とをその後の処理に向けて搬送する後搬送工程である。
【0026】
ここで、「破壊」とは、たとえば一体成形されている或る部材を2つ以上の断片、欠片、若しくは破片、又はこれらの同等物に分割することをいうことができる。本実施形態では、扉枠4を形成する樹脂部材を刃12によって2以上の破片に割ることを含むことができる。
また、「分離」とは、例えば、接着、固着、若しくは貼付等によって別体形成されている2つの部材が取り付けられることで相対移動不能にされている状態を解除して、これら2つの部材が相対移動可能な状態にすることをいうことができる。本実施形態では、断熱材3に刃12が進入することでガラス扉1をガラス板2側のパーツと断熱部材3側のパーツとに分けることを含むことができる。
【0027】
「断熱部材3側」とは、分離された冷蔵庫扉1のパーツのうち、少なくともガラス板2が主には含まれていないものとして定義できる。本実施形態の断熱部材3側は、断熱部材3、扉枠4、ライナ材5それぞれの少なくとも一部を含む。
また、「ガラス板2側」とは、ガラス板2の略全部を少なくとも含むものとして定義できる。ここでいう「略」とは、刃12に削り取られた例えば粒状の部分が断熱部材3側に含まれているガラスや、ガラス板2側にも断熱部材3側にも含まれずに散逸したガラスを「ガラス板2側」とはいわないという趣旨である。
【0028】
以下、本分離処理を時系列に沿って説明する。
(準備工程)
搬送部11と刃12の間の固定面100上に、ガラス扉1のガラス板2を下向きにして載置する。例えば、
図3のような状態の分離装置10における搬送部11と刃12との間の固定面100に、
図2のような状態のガラス扉1を、ガラス板2が固定面100に対向するように載置する。このとき、ガラス扉1の上側には、荷重を実質的に与えないのが好ましい。「実質的に与えない」とは、荷重をまったく与えないか、少なくとも刃12が断熱部材3に進入してガラス扉1を分離している最中に断熱部材3側が浮き上がることが可能な程度の小さい荷重を与える程度にすることをいう。本実施形態ではまったく与えておらず、上側から押える機械等を配することはしていない。
【0029】
(前搬送工程)
ガラス扉1の載置後、搬送部11を作動させてガラス扉1を刃12に向けて搬送する。これにより
図5に例示するように、扉枠4に刃12が当接する。
【0030】
なお、搬送部11と刃12とが相対移動することで、ガラス扉1が搬送部11に押さえられつつガラス扉1に刃12が近づいていく態様であればよいが、刃12が固定されて搬送部11が移動する本実施形態の態様が好ましい。また、後述する実施形態3のように、刃12が可動の場合は、搬送部11は、刃12が作用する領域にガラス扉1を近づければ良い。
【0031】
(破壊工程)
扉枠4に刃12が当接した後、さらに搬送部11が作動して扉枠4に刃12が切り込んでいき、刃12は扉枠4を切断し、破壊する。
【0032】
(分離工程)
図6は本実施形態の分離装置10を作動させてガラス扉1を分離している途中の図である。搬送部11をさらに作動させると、ガラス板2と断熱部材3との間に、または断熱部材3のうちガラス板2の近傍に刃12が入り込む。刃12が断熱部材3に入り込むにつれて、ガラス板2と断熱部材3側とは水平方向に切り離され、すなわち上下方向に剥離させる力が働く。また、本実施形態の分離工程では、ガラス扉1の直上方は開放されて空間となっており、下向きの荷重や力がガラス扉1には実質的に付与されない(ガラス扉1の自重は除く。)。本発明者らの検討によれば、この工程において下向きの荷重や力をガラス扉1に付与すると、ガラス扉1の自重と相俟って刃12による分離が進みにくくなったり、ガラス板2が割れたりする虞が高まる。
【0033】
本実施形態のように下向きの荷重や力が実質的には付与されないことにより、刃12の進入が進んでガラス扉1がガラス板2側と断熱部材3側とに分離するにつれて、ガラス板2側は刃12の下方の領域へ搬送され、断熱部材3側は刃12の上方の領域へ搬送される。
【0034】
そして本実施形態では、刃12の上方に分離補助部13が配されているため、分離された断熱部材3側は、分離補助部13に載り上がる。このため断熱部材3側は、未だ分離されていない領域を上側に引き上げる力を作用させ、ガラス板2側は下側に引き下げる力を作用させるから、ガラス板2側と断熱部材3側とを上下に分離する力が効果的に作用する。ガラス板2側にも分離補助部をさらに配してもよいが、ガラス板2を大きく曲げると途中で割れてしまう虞が高まるため、ガラス板2の割れを抑制する観点からは、断熱部材3側のみに設けるのが好ましい。なお、分離補助部13がなくとも、刃12の傾斜122によって或る程度の効果を奏することができるため、分離補助部13が任意の部材であることは当業者に明らかである。
【0035】
また、分離されているガラス板2側は、
図6に例示するように自重で反ることがあり得る。これにはガラス扉1の事情によるものと分離装置10の構成による事情によるものとがある。
【0036】
ガラス扉1の事情としては、一般的なガラス扉1は、ガラス板2の主面のうち、縁部分を押える押え支持部41を枠部4が有するためである。押え支持部41の存在によって、ガラス板2が固定面100に対向するように載置されたガラス扉1は、ガラス板2が固定面100に直接当接せずに空間を介して対向することになる。このため、刃12で分離されると、ガラス板2はその空間分だけ落下し得るため、自重で曲がる余地が生まれる。
【0037】
分離装置10の構成による事情としては、刃12の下方にガラス回収口101が在るためである。これにより、刃12によって分離されたガラス板2はガラス回収口101を落下し始めるため、やはり自重で曲がる余地が生まれる。
【0038】
曲がっているガラス板2は、一端側が未破壊の扉枠4又は接着している断熱部材3に支持され、他端側が刃12の下面側に支持乃至略当接されていることになる。このため、刃12は、ガラス板2の表面(断熱部材3側の面)を追従しながら分離を行いやすく、ガラス板2側に残存した断熱部材3(残留物)を刃12で削ぎ落とすことができる。
【0039】
このように、刃12がガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離している最中、ガラス板2側も断熱部材3側も、搬送方向(前後方向)と直交する方向であって刃12から離れる方向(上下方向)に移動可能であるから、上述のように分離を効果的に行えたり、ガラス板2の割れを抑制できる。
【0040】
なお、準備工程から破壊工程にかけても下向きの荷重や力をガラス扉1に実質的に付与しないことができる。
【0041】
(後搬送工程)
分離され終えたガラス板2側と断熱部材3側は、搬送部11によってそれぞれさらに前方に搬送されていく。この詳細は後述する。
【0042】
[処理されたガラス板2]
このようにして分離されたガラス板2は、断熱部材3が比較的多く除去された状態に処理されるため、例えば土木材などとして再資源化することができる。なお、再資源化の受け入れ基準に満たないガラス板2が排出されてきた場合においては、その後の工程にてブラシングマシン等の自動洗浄機にかけて表面をきれいにすればよいし、手作業にて除去してもかまわない。
【0043】
なお、上記工程の最中にガラス板2が例えば刃12と強く接触するなどして粉々に割れてしまった場合、周辺の清掃が必要となる。そのような場合に備えて、空隙113に溜まったガラスを掃き出しやすいように第1搬送部111が上下に移動できるようにしておけば、清掃性を高めることができる。
【0044】
[その他の構成]
本実施形態では、水平方向に延在する固定面100を用いたが、この固定面100を、固定面100に配した弾性部材によって支持して可動面にしてもよい。こうすると、後述する実施形態3と同様の効果を奏することができる。
【0045】
本実施形態は、ガラス板を有する冷蔵庫扉の処理に係る思想として説明したが、ガラス板に代えて、リサイクル困難、または何らかの事情により他の部分からの分離が望まれるターゲット材料を扉板として用いているものであれば同様に本思想を適用可能である。また、冷蔵庫扉に限らず一般の扉や、ターゲット材料を有する板材と、この板材に接着された接着部材とを有する物体に適用することもできる。
【0046】
以上の処理方法の各工程における作業は、手動で行ってもよいし後述のように自動化してもよい。例えば、準備工程におけるガラス扉1の載置、前搬送工程における搬送部11や作用部の駆動、加減速、又は停止、等を作業者の手動で行ってもよいしセンサ等を用いた自動制御で行ってもよい。
【0047】
<実施形態2>
本実施形態の構成は、次の点を除き実施形態1と同様に構成できる。
扉枠4のうち、ガラス板2側が例えば押え支持部41近傍にR形状を成しているガラス扉1を処理することが想定される。このような扉枠4を備えるガラス扉1に対しては、以下の構成を付与することで効果的に処理することができる。
【0048】
図7は、実施形態1の分離装置でR形状Rを持つ扉枠4を処理しようとした際の課題を示した図である。扉枠4について、刃12が当接する高さ位置が例えばR形状Rを成している場合、刃12が滑ってしまい、扉枠4が破壊されないまま、ガラス扉1刃12に載り上がってしまうことがある。
【0049】
このため、本実施形態の分離装置10は、
図8に例示するように押圧固定治具14を有する。
図8は本実施形態の分離装置10の刃12近傍を示す図である。分離装置10は、刃12の切っ先121位置を含む領域、又はこの近傍の上側に配され、扉枠4を固定面100に近づける方向、本実施形態では下方に向けて、冷蔵庫扉1に荷重を付与できる押圧固定治具14を有する。押圧固定治具14は少なくとも上下に移動可能であり、次のように動作できる。
【0050】
まず、搬送部11が扉枠4が刃12の切っ先に略当接する位置まで冷蔵庫扉1を搬送する。その後、好ましくは搬送速度を低下又は停止させて、冷蔵庫扉1のうち扉枠4又はこの近傍に対して押圧固定治具14が荷重を付与する。この際の荷重は、刃12が扉枠4に進入した際にガラス扉1が刃12を滑って浮き上がらない程度には大きく、かつ、搬送部11がガラス扉1を搬送し続けられる程度には小さい、ものであればよい。この効果が得られれば、押圧固定治具14が荷重を付与する場所は問わない。また、荷重を積極的に付与するものではなく、扉枠4の上端に押圧固定治具14を略当接させて、ガラス扉1が固定面100及び押圧固定治具14の間の領域に収められるように押圧固定治具14を配置し、ガラス扉1がいわゆる浮き上がろうとしたら押圧固定治具14に接触して力を受け、この領域に収まり続けるようにしてもよい。
【0051】
その後、ガラス扉1を押圧固定治具14で押圧等した状態で搬送部11を作動させて、冷蔵庫扉1を刃12へ向けて搬送し、刃12により扉枠4に切り込みを入れ、破壊する。
【0052】
好ましくは、押圧固定治具14は、扉枠4に切り込みが入った後、かつガラス扉1の分離が始まった直後まで程度のタイミングで、ガラス扉1への押圧等を解除して(荷重や力が付与され得る状態を解除して)上方へ戻る。これによりガラス扉1が上方に実質的に自由に移動できる状態に戻す。
【0053】
そして、実施形態1同様、搬送部11を下流側へ搬送させてガラス板2と断熱部材3側とを分離する。
【0054】
<実施形態3>
図9は、本実施形態の分離装置10でガラス扉1が処理されている状態を示す図である。本実施形態は、ガラス扉1(ガラス板2)を立てた状態で処理することを想定したものである。すなわちガラス板2の意匠面(主面)が重力加速度方向に略平行にされた状態でガラス扉1が処理される。
【0055】
ガラス扉1は、固定面100上に、扉枠4が下になるように載置される。搬送部11は、ガラス扉1を前後方向に移動させて刃12が届き得る位置にまで搬送する。刃12は固定されておらず上下に駆動される。これによりガラス板2側と断熱部材3側とを分離させる。この場合、ガラス扉1は短手方向である扉枠4が下方の固定面100に当接し、長手方向であるガラス板2等が上下方向に延在するため、姿勢の安定性に欠けることから、左右両側にそれぞれ移動可能な可動面110と押圧固定治具14とを有している。
【0056】
押圧固定治具14は左右方向に荷重を付与したり解除したりできる。押圧固定治具14や可動面110は、刃12の延在方向と直交する方向、本実施形態では水平方向に移動できる。実施形態1と同様に、作用部が扉枠4を破壊する時には比較的強い力や荷重を付してもよいが、それ以外の時はガラス扉1が転倒しないのに求められる程度の小さい荷重を付与するか、可動面110と押圧固定治具14との離間距離をガラス扉の短手寸法よりやや大きくして転倒してきたら力を付与して支持できるようにするのが好ましい。
【0057】
本実施形態によれば、ガラス扉1の自重が可動面110や押圧固定治具14の制御に与える影響を低減できるため、自重を考慮する必要性の観点からは制御が容易になる。また、実施形態1,2における固定面100も可動になったものに相当する(実施形態1,2における固定面100が、本実施形態の可動面110に相当する。)。これにより、刃12でガラス板2側と断熱部材3側とを分離する際に過度な力が加わった際にもガラス板2が割れないように余分な力を逃がしやすい。尤も、押圧固定治具14をきめ細やかに制御可能であれば、可動面110は固定でもよい。また、実施形態1と同様に、刃12の押圧固定治具14側及び/又は可動面110側に分離補助部を配してもよい。
【0058】
<実施形態4>
本実施形態は、準備工程の前にガラス扉1に前処理を施す前処理工程を実行する点以外は、実施形態1乃至3と同様に構成できる。尤も、前処理工程は、破壊工程より前に行われれば支障はない。本実施形態では、前処理工程は、分離装置10とは別体の装置で前処理工程を行う。
図11は、本実施形態の前処理工程を実現する前処理装置60の概略図である。
前処理装置60は、例えば刃としての前処理部61と、固定部62と、押え部63とを備える。
[前処理工程の流れ]
まず、前処理装置60に、ガラス板2の主面21が下向きとなるようにして、前処理部61と固定部62の間にガラス扉1を載置する。この状態で、ガラス扉1の前端近傍の直上には、ガラス扉1を上から押さえつけることが可能な押え部63が位置する。
【0059】
固定部62がガラス扉1に後方から当接し、その状態で固定部62は前後方向に固定される。さらに押え部63が降下し、ガラス扉1は上下方向に固定される。このときガラス扉1にゆがみが認められる場合は、一旦固定部62を後方に移動させてから再度前方に移動させたり、押え部63を上昇させてから再度下降させることで、ゆがみを解放する処理を行う。このようにすると、前処理されるガラス扉1それぞれについて、前処理の結果、すなわちノッチ(切れ込み)の位置が安定しやすい。そして前処理部61がガラス扉1の前方からガラス扉1の側面に当接し、扉枠4にノッチを加工する。ノッチ形成後、固定部62と押え部63を解放する。これによりガラス扉1を取り出すことができる。ガラス扉1は、分離装置10に向かって、不図示の装置間搬送部によって搬送されることができる。搬送は、人手で行ってもよい。
【0060】
この前処理工程が行われることで、前述の分離装置10の刃12がガラス扉1と接触した場合に、扉枠に形成されたノッチがまず折損する。すると折損された扉枠の材料、例えばプラスチックがガイドとなって、刃12が誘導される形となり、刃12の進入を安定化させることができる。これにより扉枠4に刃12がうまく入らず、ガラス扉1が破壊されてしまう虞や、ガラス板2の極めて近傍に刃12が進入してガラス板2を破損してしまう虞を低減することができる。また、刃12の進入圧が低下することにより、刃12の交換頻度も低減させることができる。
【0061】
図12は、前処理装置60と分離装置10とを一の装置にした場合の要部拡大図である。刃12の例えば下側に前処理部61を配している。前処理部61は切削に用いられるため、鋸刃等が適しており、例えば主に左右方向の運動となる。この前処理部61でノッチを形成させてから刃12を作用させればよい。刃12は破壊、特に切断に用いるため、例えば、くさび型刃や片刃が用いられ、例えば主に前後方向への運動をする。この場合、一の装置での作業時間が長くなる。順送り加工として作業効率を向上させる事も可能である。本実施形態のように前処理装置60として前処理工程を別装置で実現させることで対応できる。刃12と前処理部61とは、切断及び切削の両方に適した物を製造可能であるならば同一の物(同一の作用部)にしてもよい。この場合、作用部が扉枠4に切れ込みを形成すると、一旦作用部は扉枠4から離間し、その後再び切れ込み部分に作用部が作用して扉枠4を破壊することに例えばなる。同一の作用部の一例としては、形状は切断に適したものとして、切削時(ノッチ作成時)の温度を樹脂が溶融する程度に加熱可能なヒートブレードを採用することが考え得る。
【0062】
図12では実施形態1等に適した図示をしているが、実施形態3に適用する場合は、前処理部61は、例えば刃12の左右どちらか側に位置する。刃12は主に上下方向に運動し、前処理部61は主に前後方向に運動する。すなわち、前処理部61は扉枠を押す方向に運動し、刃12はこの方向に直交し、かつターゲット材料板に平行な方向に運動する。
【0063】
[その他詳細]
固定部62は、水平方向、少なくとも前後方向に可動である。ガラス扉1の側面(例えば扉枠4)に当接して、ガラス扉1を前処理部61が在る方向に押すことができる。
【0064】
次にガラス扉1の上部より押え部63が降下し、ガラス扉1を上下方向に拘束する。ガラス扉1がゆがんでいる場合、この拘束によりノッチの位置が不安定になりやすいため、一度固定部62を解除するなどしてゆがみを後方に逃がす事が望ましい。
【0065】
前処理部61は床面から或る程度離間した高さに支持されており、ガラス扉1の側面に当接後に動作する。前処理部61の高さは自在に調整可能であり、固定部62によりガラス扉1を固定した後に、前処理部61が後方に向かってせり出してガラス扉1に当接する形でもよいし、予めせり出した状態にしておき、固定部62の動作によってガラス扉1が前処理部61に当接し始める形でもよい。
【0066】
前処理部61は所定の時間加工を行い、扉枠4にノッチを形成するが、加工方法によりその詳細な動作は異なる。一例として、鋸刃においては左右の往復運動となる。この例によらず、ヒートナイフ(ヒートブレード)や回転刃の一例であるバンドソー等、ノッチを加工可能であればいずれの方法でもよい。ヒートナイフの場合、扉枠の樹脂が溶融する温度にまで前処理部61を加熱可能な加熱部(不図示)が設けられる。
【0067】
加工により形成されるノッチの深さは、ガラス扉1であれば扉枠4の厚みと同等かそれ以下、例えば2mm程度以下が最も適切である。あまり加工が深くなると内部に補強金属が備わっているガラス扉1等では、前処理部61が損傷する危険性が高まる。
【0068】
[自動化]
上述の処理方法は、すべて自動化して行うことができる。各々の装置が作動するタイミングについては各種センサ(赤外線、画像など)により管理できるものである。
図10は各実施形態の分離装置10を用いて自動処理をする際の全体概略図である。
【0069】
例えば、前処理工程や、準備工程においてガラス扉が載置されるべき領域に、物体の有無を検知可能なセンサを配しておく。この領域に物体があることが検知されると、固定部62や搬送部11を作動させるようにする。これによって前処理工程や前搬送工程が開始され、順次、次の工程へとガラス扉が移送されるようになる。特に、前処理装置60の下流側に分離装置10を配置しておき、前処理工程が完了したら、前処理部61を左右方向に移動させ、さらに固定部62を前方向に大きく移動させることで、ガラス扉1を分離装置10におけるガラス扉1の初期位置に搬送するようにしてもよい。
【0070】
また、前搬送工程において搬送されるガラス扉1が刃12に当接する直前に減速又は停止できるように構成する。例えば前搬送工程においてガラス扉1が通過する領域にセンサを配しておき、このセンサが物体を検知してから搬送部11を減速させると刃12に扉枠4が滑らずに当接し、切り込みを入れられるように設計する。
【0071】
切り込みが完了するタイミング、例えば、刃を扉枠に5mm食い込ませたところで搬送部11の搬送速度を上げることで刃12による分離を行いやすくする。これによりガラス板2と断熱部材3側とに分離する。また、押圧固定治具14を用いる場合は、概ねこれと同時に押圧固定治具14による荷重及び力を解除する。
【0072】
以下は後搬送工程の一例である。刃12の下方にはガラス回収口101を設けており、分離されたガラス板2はガラス回収口101を通ってその下の搬送コンベア17上へと移動する。搬送コンベア17は途中から、複数の回転体が空隙を開けて設けられたローラーコンベア18となっている。回転体同士の間の空隙を通って、分離過程で排出された切断屑やガラス屑20はローラーコンベア18下方に配置された回収容器19内へ回収される。このとき、切断屑やガラス屑20などを満遍なく回収する必要がある場合は、例えば、ローラーコンベア18の側方からガラス板2に向かって送風して屑20を吹き飛ばすことができる。送風する場合は周囲に粉塵が舞ってしまうため、周辺に適切な囲いを設けるのが望ましい。
【0073】
一方で、分離後の断熱部材3側については、たとえば吸引して物体を持ち上げ可能な吸盤搬送治具90によって例えば破砕機へと運搬され、破砕処理が行われる。
【0074】
本発明の実施形態について説明したが、これは一例であり、例えば、ガラス板2の表面に冷蔵庫の操作パネル用の基板ケースや真空断熱材が配置されている場合においても、同様にガラス板2側と断熱部材3側との分離を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ガラス扉
2 ガラス板(ターゲット材料板)
21 主面(意匠面)
22 裏面
3 断熱部材
4 扉枠
41 押え支持部
5 ライナ材
10 分離装置
11 搬送部
111 第1搬送部
112 第2搬送部
113 空隙
12 刃(作用部)
121 切っ先
122 傾斜
123 小刃
128 ボルト(固定部材)
129 ホルダー
13 分離補助部
14 押圧固定治具
100 固定面
101 ガラス排出口
110 可動面
17 搬送コンベア
18 ローラーコンベア
19 吸盤搬送治具
30 回収容器
31 ガラス屑
60 前処理装置
61 前処理部
62 固定部
63 押え部