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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/10 20060101AFI20240909BHJP
   B60K 17/356 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B60K17/10 F
B60K17/10 D
B60K17/356
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021027026
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128674
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】松村 秀正
(72)【発明者】
【氏名】金谷 圭一朗
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/10
B60K 17/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エンジンと、その第1エンジンにより駆動される第1走行油圧ポンプと、その第1走行油圧ポンプから供給される圧油で複数の車輪を回転駆動させる複数の油圧モータおよびロジック弁とを備える第1走行回路と、
第2エンジンと、その第2エンジンにより駆動される第2走行油圧ポンプと、その第2走行油圧ポンプから供給される圧油で複数の車輪を回転駆動させる複数の油圧モータおよびロジック弁とを備える第2走行回路と、
前記ロジック弁の開閉状態を切り替えるための作動油を供給するパイロットポートと、
前記第1走行回路と前記第2走行回路とを連通可能に接続し、電気信号により開閉状態が切り換えられる走行弁と、を備えた搬送車において、
前記第1エンジンの駆動力による圧油が供給される第1パイロット路と、
前記第2エンジンの駆動力による圧油が供給される第2パイロット路と、
前記第1パイロット路および前記第2パイロット路に接続され、前記第1パイロット路および前記第2パイロット路から供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を吐出する出力部を有する油圧選択ブロックとを備え、
前記第1パイロット路および前記第2パイロット路は、前記第1走行回路および前記第2走行回路のそれぞれの前記ロジック弁の前記パイロットポートに接続されると共に、前記油圧選択ブロックの前記出力部から吐出される圧油が、前記第1走行回路および前記第2走行回路のそれぞれの前記ロジック弁の前記パイロットポートに供給されることで、前記第1パイロット路と前記第2パイロット路とが連通可能に接続され
更に前記油圧選択ブロックは、
圧油が供給される第1入力ポート及び第2入力ポートと、これら第1入力ポート及び第2入力ポートに供給される圧油のうち油圧の高い方の圧油を吐出する出力ポートとを有するシャトル弁によって構成されることを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記油圧選択ブロックは、
複数の前記シャトル弁の前記第1入力ポート同士および前記第2入力ポート同士がそれぞれ並列に接続されると共に、並列に接続された前記第1入力ポート及び並列接続された前記第2入力ポートに前記第1パイロット路および前記第2パイロット路がそれぞれ接続され、
それぞれの前記シャトル弁の前記出力ポートが前記出力部として構成されることを特徴とする請求項記載の搬送車。
【請求項3】
前記第1エンジンで駆動され、圧油を吐出する油圧ポンプであって、前記第1走行油圧ポンプとは異なる第1パイロット油圧ポンプと、
前記第2エンジンで駆動され、圧油を吐出する油圧ポンプであって、前記第2走行油圧ポンプとは異なる第2パイロット油圧ポンプとを備え、
前記第1パイロット路には、前記第1パイロット油圧ポンプからの圧油が供給され、
前記第2パイロット路には、前記第2パイロット油圧ポンプからの圧油が供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送車に関し、緊急走行させる際の手順を省略できる搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の搬送車1には、車両の前後に搭載されるエンジン13F,13Bと、エンジン13F,13Bの駆動力により供給される油圧を用いて油圧モータ10F,10Bを駆動させ車輪6の回転制御を行う走行回路40F,40Bと、エンジン13F,13Bの駆動力により供給される油圧を用いて油圧モータ10F,10B以外の油圧機器を制御する補機回路20F,20Bとが設けられる。
【0003】
走行回路40F,40Bには、油圧モータ10F,10Bの回転を制御するロジック弁61~64(以下「ロジック弁61等」と略す)が設けられ、それらロジック弁61等には、その開閉操作をするための別途の油圧回路であるパイロット路Pが接続される。パイロット路Pには、補機回路20F,20Bのそれぞれから油圧が供給される。また、走行回路40F,40Bは、走行連通ブロック50によって連通可能に構成される。
【0004】
走行連通ブロック50で走行回路40F,40Bを連通することで、エンジン13F,13Bの両方の駆動力による油圧が油圧モータ10F,10Bに供給され、これによって搬送車1を走行させることができる。一方、エンジン13Fをアイドリング状態にした場合でも、走行連通ブロック50によって走行回路40F,40Bの連通を切断し、エンジン13Fに配設される走行回路40Fで車輪6が自由に回転する従動輪となるようロジック弁61等を操作することで、エンジン13Bの駆動力による油圧で回転する油圧モータ10Bのみで搬送車1を走行させることができる。これにより、搬送車1をエンジン13F,13Bの両方の駆動力によって走行させた場合と比較して、搬送車1の燃費を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-007370号公報(例えば図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送車の運用中のトラブル時あるいは点検作業時に、搬送車のいずれかのエンジンを停止させることが考えられる。この際、エンジンが停止した側の走行回路においてはパイロット路への油圧の供給が停止される。これによって、エンジンを停止した側の走行回路のロジック弁が動作をしなくなるので、かかる側の油圧モータ及び車輪を自由に回転させることができず、搬送車は正常に走行ができなくなる。その対応策として、従来から走行回路40F,40Bの連通の切断と補機回路20F,20Bの連通とを手動のバルブで切替えることで、緊急走行を可能にしていた。しかし、緊急走行させる度に作業員が該バルブを操作しなければならず、その手順が煩雑になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、緊急走行させる際の手順を省略できる搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の搬送車は、第1エンジンと、その第1エンジンにより駆動される第1走行油圧ポンプと、その第1走行油圧ポンプから供給される圧油で複数の車輪を回転駆動させる複数の油圧モータおよびロジック弁とを備える第1走行回路と、第2エンジンと、その第2エンジンにより駆動される第2走行油圧ポンプと、その第2走行油圧ポンプから供給される圧油で複数の車輪を回転駆動させる複数の油圧モータおよびロジック弁とを備える第2走行回路と、前記ロジック弁の開閉状態を切り替えるための作動油を供給するパイロットポートと、前記第1走行回路と前記第2走行回路とを連通可能に接続し、電気信号により開閉状態が切り換えられる走行弁と、を備えたものであり、前記第1エンジンの駆動力による圧油が供給される第1パイロット路と、前記第2エンジンの駆動力による圧油が供給される第2パイロット路と、前記第1パイロット路および前記第2パイロット路に接続され、前記第1パイロット路および前記第2パイロット路から供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を吐出する出力部を有する油圧選択ブロックとを備え、前記第1パイロット路および前記第2パイロット路は、前記第1走行回路および前記第2走行回路のそれぞれの前記ロジック弁の前記パイロットポートに接続されると共に、前記油圧選択ブロックの前記出力部から吐出される圧油が、前記第1走行回路および前記第2走行回路のそれぞれの前記ロジック弁の前記パイロットポートに供給されることで、前記第1パイロット路と前記第2パイロット路とが連通可能に接続され、更に前記油圧選択ブロックは、圧油が供給される第1入力ポート及び第2入力ポートと、これら第1入力ポート及び第2入力ポートに供給される圧油のうち油圧の高い方の圧油を吐出する出力ポートとを有するシャトル弁によって構成される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の搬送車によれば、第1パイロット路および第2パイロット路は、第1走行回路および第2走行回路のそれぞれのロジック弁のパイロットポートに接続されると共に、油圧選択ブロックの出力部から吐出される圧油が、第1走行回路および第2走行回路のそれぞれのロジック弁のパイロットポートに供給されることで、第1パイロット路と第2パイロット路とが連通可能に接続される。例えば、走行弁で第1走行回路および第2走行回路の連通を切断し、第1エンジンを停止させる一方で、第2エンジンを駆動させた場合でも、停止させた第1エンジン側の第1パイロット路には第2エンジン側の第2パイロット路から圧油が供給される。これによって、第1走行回路のロジック弁を正常に動作させることができる。
【0010】
そして、第1走行回路によって第1走行回路の油圧モータを自由に回転させる設定にすることで、該油圧モータに配設される車輪を「従動輪」とすることができる。この状態で第2エンジンの駆動力による圧油で第2走行回路の油圧モータを駆動させ、該油圧モータに配設される車輪を回転させることで搬送車を走行させることができる。
【0011】
即ち第1エンジン及び第2エンジンのいずれかを停止させた場合でも、駆動している側の第1エンジン及び第2エンジンの駆動力によって搬送車を緊急走行させることができる。かかる緊急走行に際して、作業員は第1パイロット路と第2パイロット路とを連通させる手動のバルブを操作する必要がない。これにより、搬送車を緊急走行させる際の作業員の手順を省略できる。
【0012】
加えて油圧選択ブロックの出力部から第1パイロット路および第2パイロット路から供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油が吐出され、第1走行回路および第2走行回路のそれぞれのロジック弁のパイロットポートに供給される。これによって、第1パイロット路と第2パイロット路とが連通可能に接続され、第1エンジン及び第2エンジンのうちのいずれかを停止した場合でも、停止している側の第1パイロット路および第2パイロット路に圧油を供給できる。かかる圧油によって第1走行回路および第2走行回路のロジック弁を正常に動作させることができるという効果がある。
【0013】
また、油圧選択ブロックが設けられることで、第1走行回路および第2走行回路のそれぞれにおいて、第1パイロット路および第2パイロット路から供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を選択する回路を設ける必要がない。これにより、第1走行回路および第2走行回路のそれぞれの大型化を抑制できるので、搬送車のスペース効率を向上させることができるという効果もある。
【0014】
更に油圧選択ブロックが、圧油が入力される第1入力ポート及び第2入力ポートと、これら第1入力ポート及び第2入力ポートに入力される圧油のうち油圧の高い方の圧油を吐出する出力ポートとを有するシャトル弁によって構成される。油圧選択ブロックがシャトル弁で構成されることで、第1パイロット路および第2パイロット路から油圧選択ブロックに供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を容易に選択し、該圧油を出力部へ吐出できるという効果がある。
【0015】
請求項記載の搬送車によれば、請求項記載の搬送車の奏する効果に加え、次の効果を奏する。複数のシャトル弁の第1入力ポート同士および第2入力ポート同士がそれぞれ並列に接続されると共に、並列に接続された第1入力ポート及び並列接続された第2入力ポートに第1パイロット路および第2パイロット路がそれぞれ接続され、それぞれのシャトル弁の出力ポートが出力部として構成される。これによって、第1パイロット路と第2パイロット路とから供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油がそれぞれのシャトル弁の出力ポートから吐出される。
【0016】
即ち各シャトル弁の出力ポートがそのまま出力部として第1走行回路および第2走行回路のロジック弁のパイロット路に接続されるので、油圧選択ブロック内においてシャトル弁の出力ポートを分岐させる等の複雑な配管をする必要がない。これにより、油圧選択ブロックを容易に構成できると共に油圧選択ブロックの大型化を抑制できる。
【0017】
請求項記載の搬送車によれば、請求項1又は2に記載の搬送車の奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1エンジンで駆動され、第1走行油圧ポンプとは異なる第1パイロット油圧ポンプと、第2エンジンで駆動され、第2走行油圧ポンプとは異なる第2パイロット油圧ポンプとが備えられ、第1パイロット路には、第1パイロット油圧ポンプからの圧油が供給され、第2パイロット路には、第2パイロット油圧ポンプからの圧油が供給される。
【0018】
即ち第1走行回路に圧油を供給する第1走行油圧ポンプと、第1パイロット路に圧油を供給する第1パイロット油圧ポンプとは、それぞれ異なる油圧ポンプで構成されるので、第1走行回路への圧油の供給状況が第1パイロット路への圧油の供給に影響を及ぼすのを抑制できる。同様に、第2走行回路に圧油を供給する第2走行油圧ポンプと、第2パイロット路に圧油を供給する第2パイロット油圧ポンプとは、それぞれ異なる油圧ポンプで構成されるので、第2走行回路への圧油の供給状況が第2パイロット路への圧油の供給に影響を及ぼすのを抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の搬送車の側面図である。
図2】搬送車の油圧回路を示した油圧回路図である。
図3】(a)は、走行連通ブロックの油圧回路図であり、(b)は、第1モータ逆転ブロックの油圧回路図である。
図4】油圧選択ブロックの油圧回路図である。
図5】(a)は、変形例における油圧選択ブロックの油圧回路図であり、(b)は、別の変形例における1つのシャトル弁で油圧選択ブロックを構成した場合の油圧回路図であり、(c)は、(b)の油圧選択ブロックを用いて4つのエンジン及び走行回路のパイロット路を接続した場合の油圧回路図である。
図6】変形例における搬送車の油圧回路を示した油圧回路図である。
図7】(a)は、変形例における走行連通ブロックの油圧回路図であり、(b)は、変形例における第1モータ逆転ブロックの油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、搬送車1について説明する。図1は、搬送車1の側面図である。図1の左側、右側、紙面手前側、紙面奥側をそれぞれ車両の前方、後方、左方、右方とする。本実施形態では、車両前方側と車両後方側とで対応する構成の符号には、同一の数字を用い、車両前方側の構成にFを付し、車両後方側の構成にBを付して説明を一部省略する。また、車両左側と車両右側とで対応する構成の符号には、同一の数字を用い、車両左側の構成にLを付し、車両右側の構成にRを付して説明を一部省略する。
【0021】
搬送車1は、工場等の構内において大型の鋼材等の重量物の荷物を搬送する油圧駆動式の車両であり、上面に荷物が積載されて車両前後方向(車長方向)に延びる長手形状の荷台2と、荷台2の下面に配置されて搬送車1を走行させる走行装置3と、荷台2の前後にそれぞれ設けられる運転室ユニット4F,4Bとを備えている。
【0022】
走行装置3は、リンク部材5を介して車輪6により荷台2を走行可能に支持するものであり、油圧機器である操舵装置7(図2参照)により鉛直方向へ延びる操舵軸8を中心にリンク部材5を回転させて車輪6の向きを変更し、油圧シリンダである昇降装置9により荷台2と車輪6との距離を変更して荷台2を昇降させる。
【0023】
走行装置3は、車両左右方向に2列、車両前後方向の1列に6つ並んで設けられ、左側の列の前側から順に走行装置3L1~3L6とし、右側の列の前側から順に走行装置3R1~3R6とし、走行装置3L1~3L6,3R1~3R6の車輪6をそれぞれ車輪6L1~6L6,6R1~6R6とする。走行装置3L2,3R2,3L5,3R5は、油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRにより車輪6L2,6R2,6L5,6R5をそれぞれ回転駆動させて搬送車1を走行させる。
【0024】
運転室ユニット4F,4Bは、それぞれ運転室11F,11B等を備えている。運転室11Fの背面側(走行装置3側)には、図示しないが、ディーゼルエンジンである第1エンジン13F、第1オイルタンク14F、第1補機油圧ポンプ21F(第1パイロット油圧ポンプ)及び第1走行油圧ポンプ41F等が設けられている。運転室11Bの背面側(走行装置3側)には、図示しないが、ディーゼルエンジンである第2エンジン13B、第2オイルタンク14B、第2補機油圧ポンプ21B(第2パイロット油圧ポンプ)及び第2走行油圧ポンプ41B等が設けられている。
【0025】
次に、図2を参照して、搬送車1の油圧回路20について説明する。図2は、搬送車1の油圧回路20を示した油圧回路図である。図2は第1補機回路20F及び第2補機回路20Bにそれぞれ6つずつ配設される操舵装置7及び昇降装置9を1つずつ図示して残りを省略している。図2はパイロット路PB,PF及びパイロット戻り路Rを破線で図示している(図3~7も同様)。
【0026】
図2に示すように、油圧回路20は、第1パイロット路PF及び第2パイロット路PBと、パイロット戻り路Rと、操舵装置7及び昇降装置9を駆動させるために圧油を供給する補機回路と、油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRを駆動させるために圧油を供給する走行回路と、油圧選択ブロック70とを備えている。
【0027】
第1パイロット路PFは、車両前方側において各種弁にパイロット圧を発生させるための圧油を供給する流路であり、第2パイロット路PBは車両後方側において各種弁にパイロット圧を発生させるための圧油を供給する流路である。パイロット路PF,PBは、それぞれ入力路PF1,PB1と出力路PF2,PB2とで構成される。入力路PF1,PB1は、それぞれ補機ユニット22F,22B(後述)からの圧油を油圧選択ブロック70(後述)へ供給する流路であり、出力路PF2,PB2は、それぞれ油圧選択ブロック70からの圧油を各種弁に供給する流路である。
【0028】
次に、補機回路を説明する。補機回路は、上記した車両前方側の走行装置3L1~3L3,3R1~3R3の操舵装置7及び昇降装置9が配設される第1補機回路20Fと、車両後方側の走行装置3L4~3L6,3R4~3R6の操舵装置7及び昇降装置9が配設される第2補機回路20Bと、第1補機回路20Fと第2補機回路20Bとを連通可能に繋ぐ補機連通ブロック30とを備えている。第1補機回路20Fの構成と第2補機回路20Bの構成とが略同一であるため、第1補機回路20Fについて説明し、第2補機回路20Bについての説明を一部省略する。
【0029】
第1補機回路20Fは、第1エンジン13F(第2補機回路20Bでは第2エンジン13B)により駆動される第1補機油圧ポンプ21F(第2補機回路20Bでは第2補機油圧ポンプ21B)と、操舵装置7及び昇降装置9が接続される補機ユニット22Fとを備えている。第1補機油圧ポンプ21Fは、1方向の回転駆動力により1方向への圧油の吐出が可能なポンプであり、無段階で圧油の吐出量を調整できる。第1補機油圧ポンプ21Fは、第1エンジン13Fにより駆動力が付与されると第1オイルタンク14F(第2補機回路20Bでは第2オイルタンク14B)から吸込路23Fを介して作動油を吸い込み、その作動油を圧油として吐出路24Fを介して補機ユニット22Fへ供給する。
【0030】
補機ユニット22Fは、操舵装置7及び昇降装置9への圧油の流量、流通方向を制御する複数の弁が内蔵されたユニットである。第1補機油圧ポンプ21Fから供給される圧油は補機ユニット22Fを介して操舵装置7及び昇降装置9へ供給される。操舵装置7及び昇降装置9から排出される作動油は、補機ユニット22Fを介して戻り路25Fを通り、第1オイルタンク14Fへ流れる。
【0031】
補機ユニット22Fは、操舵装置7及び昇降装置9へ圧油を供給する流路が、補機連通ブロック30に接続する連通路26Fと、上記の第1パイロット路PFの入力路PF1とに繋がっている。一方、補機ユニット22Bは、操舵装置7及び昇降装置9へ圧油を供給する流路が、補機連通ブロック30に接続する連通路26Bと、上記の第2パイロット路PBの入力路PB1とに繋がっている。補機連通ブロック30は、連通路26Fと連通路26Bとを連通可能に接続するユニットである。
【0032】
次に、走行回路を説明する。走行回路は、車両前方側の油圧モータ10FL,10FRが配設される第1走行回路40Fと、車両後方側の油圧モータ10BL,10BRが配設される第2走行回路40Bと、第1走行回路40Fと第2走行回路40Bとを連通可能に繋ぐ走行連通ブロック50(走行弁)とを備えている。第1走行回路40Fの構成と第2走行回路40Bの構成とが略同一であるため、以下において、第1走行回路40Fについて説明し、第2走行回路40Bについての説明を一部省略する。
【0033】
第1走行回路40Fは、第1エンジン13F(第2走行回路40Bでは第2エンジン13B)により駆動される第1走行油圧ポンプ41F(第2走行回路40Bでは第2走行油圧ポンプ41B)と、油圧モータ10FL,10FRとの間で閉回路を形成して、第1走行油圧ポンプ41Fから油圧モータ10FL,10FRへ圧油を介して動力を伝達する回路である。
【0034】
第1走行回路40Fは、第1走行油圧ポンプ41Fの図2上側に接続される流路を第1流路42Fとし、第1走行油圧ポンプ41Fの図2下側に接続される流路を第2流路43Fとし、油圧モータ10FL,10FRの図2上側に接続される流路をそれぞれ第3流路44FL,44FRとし、油圧モータ10FL,10FRの図2下側に接続される流路をそれぞれ第4流路45FL,45FRとする。
【0035】
第1モータ逆転ブロック60FLには、第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FL及び第4流路45FLが接続され、第2モータ逆転ブロック60FRには、第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FR及び第4流路45FRが接続される。一方、第3モータ逆転ブロック60BRには、第1流路42B、第2流路43B、第3流路44BR及び第4流路45BRが接続されるが、第3流路44BL及び第4流路45BLは、それぞれ第1流路42B及び第2流路43Bに直結される。
【0036】
第1走行油圧ポンプ41Fは、1方向の回転駆動力により双方向への圧油の吐出が可能なポンプであり、圧油の吐出量を無段階で調整できる。なお、本実施形態では、第1走行油圧ポンプ41Fが、第1流路42Fから圧油が吐出されて第2流路43Fに圧油が戻される状態(正転方向)である場合について説明する。
【0037】
油圧モータ10FL,10FRは、車輪6L2,6R2を回転させる出力軸の回転方向が圧油の流通方向(供給方向)に対応して切り換わる斜軸式可変容量ピストンモータであり、角度調整ブロック46FL,46FRにより斜軸の角度を調整することで圧油の供給量に応じたモータの回転数を無段階で調整できる。油圧モータ10FL,10FRは、第3流路44FL,44FRから圧油が供給されて第4流路45FL,45FRへ圧油を排出する場合(正転時)には、車輪6FL,6FRを前進方向に回転させ、第4流路45FL,45FRから圧油が供給されて第3流路44FL,44FRへ圧油を排出する場合(逆転時)には、車輪6FL,6FRを後進方向に回転させる。
【0038】
角度調整ブロック46FL,46FRは、斜軸に接続される油圧式アクチュエータの伸縮量を、油圧式アクチュエータへの作動油の圧力により制御することで、斜軸の角度を変更させる機構である。図示は省略するが、角度調整ブロック46FL,46FRは、第1流路42F及び第2流路43Fからそれぞれ分岐した流路のうち吐出側(本実施の形態では第1流路42F側)から油圧式アクチュエータへ作動油が供給されるように構成されている。
【0039】
第2走行回路40Bでも同様に、角度調整ブロック46BL,46BRは、第1流路42B及び第2流路43Bからそれぞれ分岐した流路のうち吐出側(本実施形態では第1流路42B側)から油圧式アクチュエータへ作動油が供給されるように構成されている。
【0040】
第1走行回路40Fの油圧モータ10FL,10FRへ圧油を供給する第1走行油圧ポンプ41Fと、第1パイロット路PFへ圧油を供給する第1補機油圧ポンプ21Fとが、別々の油圧ポンプで構成される。これにより、第1走行回路40Fの油圧モータ10FL,10FRへの圧油の供給状況が第1パイロット路PFへの圧油の供給に影響を及ぼすのを抑制できる。同様に、第2走行回路40Bの油圧モータ10BL,10BRへ圧油を供給する第2走行油圧ポンプ41Bと、第2パイロット路PBへ圧油を供給する補機油圧ポンプ21Bとが、別々の油圧ポンプで構成される。これにより、第2走行回路40Bの油圧モータ10BL,10BRへの圧油の供給状況が第2パイロット路PBへの圧油の供給に影響を及ぼすのを抑制できる。
【0041】
次に、図3(a)を参照して、走行連通ブロック50について説明する。図3(a)は、走行連通ブロック50の油圧回路図である。図3(a)に示すように、走行連通ブロック50は、第1流路42Fと第1流路42Bとを連通可能に繋ぐロジック弁51と、第2流路43Fと第2流路43Bとを連通可能に繋ぐロジック弁52と、走行切換弁53とを備えている。ロジック弁51,52は、パイロットポート34から供給されるパイロット圧により開閉状態を切り換えるポペット型の弁である。
【0042】
走行切換弁53は、ロジック弁51,52のパイロットポート34への作動油の給排を切り換える電磁切換弁である。図3(a)には走行切換弁53が非通電時の排出位置が図示されている。走行切換弁53へは、4つのシャトル弁38により、第1流路42F,42B、第2流路43F,43Bからそれぞれ分岐したパイロット路P及び第1パイロット路PFの出力路PF2のうち、最も高圧側から作動油が供給される。
【0043】
シャトル弁38は、圧油が供給される第1入力ポート38a及び第2入力ポート38bと、これら第1入力ポート38a及び第2入力ポート38bから供給される圧油のうち油圧の高い方の圧油を吐出する出力ポートとを有する弁である。なお、本実施形態では、シャトル弁38における紙面上側または紙面左側に第1入力ポート38aが設けられ、シャトル弁38における紙面下側または紙面右側に第2入力ポート38bが設けられるものとする。
【0044】
走行連通ブロック50は、走行切換弁53の非通電時に第1流路42Fと第1流路42Bと、及び、第2流路43Fと第2流路43Bとを連通する開弁状態となる。走行切換弁53の通電時には、第1流路42Fと第1流路42Bと、及び、第2流路43Fと第2流路43Bとを遮断する閉弁状態となる。
【0045】
次に、図3(b)を参照して、第1モータ逆転ブロック60FLについて説明する。図3(b)は、第1モータ逆転ブロック60FLの油圧回路図である。なお、第2モータ逆転ブロック60FR及び第3モータ逆転ブロック60BRは第1モータ逆転ブロック60FLと構成が同一であるので説明を一部省略する。
【0046】
第1モータ逆転ブロック60FLは、第1走行油圧ポンプ41Fの圧油の吐出方向に対して油圧モータ10FLへの圧油の供給方向を選択するための回路であり、横行モードやスピンモードなどにおいて、各車輪6L2,6R2,6L5,6R5の回転方向を異ならせるための機構である。
【0047】
図3(b)に示すように、第1モータ逆転ブロック60FLは、第1流路42Fと第3流路44FLとを連通可能に繋ぐロジック弁61と、第1流路42Fと第4流路45FLとを連通可能に繋ぐロジック弁62と、第2流路43Fと第3流路44FLとを連通可能に繋ぐロジック弁63と、第2流路43Fと第4流路45FLとを連通可能に繋ぐロジック弁64と、第1逆転切換弁65FLとを備えている。ロジック弁61~64はロジック弁51と構成が同一であるので説明を省略する。また、第2モータ逆転ブロック60FR及び第3モータ逆転ブロック60BRは、第1逆転切換弁65FLに代えて、第1逆転切換弁65FLと構成が同一である第2逆転切換弁65FR及び第3逆転切換弁65BRをそれぞれ備えている。
【0048】
第1逆転切換弁65FLは、ロジック弁62,63のパイロットポート34へ作動油を供給すると共にロジック弁61,64のパイロットポート34から作動油を排出する第1位置と、ロジック弁61,64のパイロットポート34へ作動油を供給すると共にロジック弁62,63のパイロットポート34から作動油を排出する第2位置とを電磁的に切換可能な電磁切換弁であり、非通電時には第1位置を保ち、通電時には第2位置を保つ。図3(b)には第1逆転切換弁65FLが非通電時の第1位置が図示されている。第1逆転切換弁65FLへは、4つのシャトル弁38により、第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FL、第4流路45FLから分岐したパイロット路P及び第1パイロット路PFの出力路PF2のうち最も高圧側から作動油が供給される。
【0049】
第1逆転切換弁65FLが第1位置である場合には、ロジック弁61,64が開弁状態を保ってロジック弁62,63が閉弁状態を保ち、第1流路42Fから第3流路44FL(供給路)へ圧油が流れて油圧モータ10FLを正転させ、第4流路45FL(排出路)から第2流路43Fへ圧油が流れる。一方、第1逆転切換弁65FLが第2位置である場合には、ロジック弁62,63が開弁状態を保ってロジック弁61,64が閉弁状態を保ち、第1流路42Fから第4流路45FL(供給路)へ圧油が流れて油圧モータ10FLを逆転させ、第3流路44FL(排出路)から第2流路43Fへ圧油が流れる。
【0050】
図2に戻る。油圧選択ブロック70は、第1パイロット路PFの入力路PF1と第2パイロット路PBの入力路PB1とから供給される圧油のうち、油圧が高い方の圧油を第1パイロット路PFの出力路PF2及び第2パイロット路PBの出力路PB2に供給するユニットである。
【0051】
次に、図4を参照して、油圧選択ブロック70を説明する。図4は、油圧選択ブロック70の油圧回路図である。図4に示す通り、油圧選択ブロック70には、2つのシャトル弁38が備えられる。具体的には、2つのシャトル弁38における第1入力ポート38a同士と、第2入力ポート38b同士とをそれぞれ並列に接続して構成される。並列に接続された第1入力ポート38aには第1パイロット路PFの入力路PF1が接続され、並列に接続された第2入力ポート38bには第2パイロット路PBの入力路PB1が接続される。
【0052】
これら2つのシャトル弁38のうち、一方のシャトル弁38の出力ポート38cには第1パイロット路PFの出力路PF2が接続され、他方のシャトル弁38の出力ポート38cには第2パイロット路PBの出力路PB2が接続される。
【0053】
油圧選択ブロック70においては、入力路PF1及び入力路PB1から入力された圧油が、2つのシャトル弁38の第1入力ポート38a及び第2入力ポート38bにそれぞれ供給される。そして各シャトル弁38において、第1入力ポート38a及び第2入力ポート38bから供給された圧油のうち、油圧の高い方の圧油が出力ポート38cから吐出され、出力路PF2及び出力路PB2に吐出される。
【0054】
即ち油圧選択ブロック70によって、入力路PF1及び入力路PB1からの圧油のうち油圧が高い方の圧油を容易に選択し、該圧油を出力路PF2及び出力路PB2へ吐出できる。そして、出力路PF2及び出力路PB2に吐出された圧油が走行連通ブロック50、走行回路40F,40Bのロジック弁(例えば図3(b)のロジック弁61~64)のパイロットポート34に供給される。
【0055】
このように、油圧選択ブロック70が、第1入力ポート38a及び第2入力ポート38bに供給される圧油のうち油圧の高い方の圧油を吐出する出力ポート38cを有するシャトル弁38で構成されることで、入力路PF1及び入力路PB1から油圧選択ブロック70に供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を容易に選択し、該圧油を出力路PF2及び出力路PB2へ吐出できる。
【0056】
また本実施形態の搬送車1は、走行回路40F,40Bの2種類の走行回路を備えるため、油圧選択ブロック70において圧油を出力する出力部は、出力路PF2及び出力路PB2のそれぞれに接続される2箇所が必要である。そこで、油圧選択ブロック70を2つのシャトル弁38の第1入力ポート38a同士と、第2入力ポート38b同士とを並列に接続することで、それぞれの出力ポート38cを油圧選択ブロック70の出力部とすることができる。これにより、複数の出力部を確保するため、油圧選択ブロック70内においてシャトル弁38の出力ポート38cを分岐させる等の複雑な配管をする必要がない。これにより、油圧選択ブロック70を容易に構成できると共に油圧選択ブロック70の大型化を抑制できる。
【0057】
図2に戻る。このように構成された搬送車1(油圧回路20)において、第1エンジン13Fを停止させる一方で、第2エンジン13Bを駆動させる場合のパイロット路PF,PBへの圧油の供給を説明する。かかる場合、第1エンジン13Fによって駆動する第1補機油圧ポンプ21Fも停止するため、吐出路24Fへの圧油の供給が停止され、これによって、第1パイロット路PFの入力路PF1への供給も停止される。
【0058】
一方で、駆動している第2エンジン13Bによって第2補機油圧ポンプ21Bが動作しているので、第2パイロット路PBの入力路PB1への圧油の供給は継続される。これら入力路PF1及び入力路PB1から圧油が供給される油圧選択ブロック70からは、入力路PB1からの圧油が吐出され、第1パイロット路PFの出力路PF2及び第2パイロット路PBの出力路PB2に供給される。
【0059】
即ち第1エンジン13Fが停止している第1走行回路40Fの第1モータ逆転ブロック60FL及び第2モータ逆転ブロック60FRにおけるロジック弁のパイロットポート34にも入力路PB1からの圧油を供給することができるので、第1走行回路40Fにおけるロジック弁を正常に動作させることができ、油圧モータ10FL,10FRの回転制御が可能となる。
【0060】
よって、走行連通ブロック50によって第1走行回路40F及び第2走行回路40Bの連通を切断し、第1走行回路40Fを油圧モータ10FL,10FRが自由に回転する設定とすることで、油圧モータ10FL,10FRに配設される車輪6を「従動輪」とすることができる。この状態で第2エンジン13Bの駆動力による圧油で第2走行回路の油圧モータ10BL,10BRを駆動させ、これらに配設される車輪を回転させることで搬送車1を走行させることができる。
【0061】
即ち第1エンジン13F又は第2エンジン13Bのいずれかを停止させた場合でも、駆動している側の第1エンジン13F又は第2エンジン13Bの駆動している側のエンジンの駆動力によって搬送車1を緊急走行させることができる。かかる緊急走行に際して、作業員は第1パイロット路PFと第2パイロット路PBとを連通させる手動のバルブ(図示せず)を操作する必要がない。これにより、搬送車1を緊急走行させる際の作業員の手順を省略できる。
【0062】
また、油圧選択ブロック70は、走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50とは別に設けられる。これにより、入力路PF1及び入力路PB1から供給される圧油のうち油圧が高い方の圧油を取得する回路を、走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50のそれぞれの内部に設ける必要がないので、走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50の大型化が抑制され、搬送車1のスペース効率を向上させることができる。
【0063】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0064】
上記実施形態では、2つのエンジン13F,13B及び走行回路40F,40Bを有する搬送車1を例示した。しかし、これに限られず、搬送車は、2つ以上のエンジン及び走行回路を有しても良い。この場合の油圧選択ブロックは、走行回路の数分のシャトル弁38を並列に接続して構成すれば良い。
【0065】
例えば、エンジン及び走行回路が4つ設けられる搬送車の場合は、図5(a)に示す油圧選択ブロック71のように、4つのシャトル弁38の第1入力ポート38a同士、第2入力ポート38b同士を並列に接続しておき、パイロット路PFの入力路PF1と、第3エンジン13H(第3走行回路40H)のパイロット路PHの入力路PH1とを別のシャトル弁38の第1入力ポート38aと第2入力ポート38bとに接続し、そのシャトル弁38の出力ポート38cを並列接続した4つのシャトル弁38の第1入力ポート38aに接続する。更に、パイロット路PBの入力路PB1と第4エンジン13M(第4走行回路40M)のパイロット路PMの入力路PM1とを、別のシャトル弁38の第1入力ポート38aと第2入力ポート38bとに接続し、そのシャトル弁38の出力ポート38cを並列接続した4つのシャトル弁38の第2入力ポート38bに接続する。そして、並列に接続した4つのシャトル弁38の出力ポート38cをそれぞれ出力路PF2,PB2及びパイロット路PH,PMの出力路PH2,PM2に接続すれば良い。
【0066】
上記実施形態では、油圧選択ブロック70を2つのシャトル弁38を並列に接続して構成した。しかし、これに限られず、図5(b)の油圧選択ブロック72に示すように、1つのシャトル弁38で構成しても良い。この場合、シャトル弁38の出力ポート38cを接続するパイロット路の数(即ちエンジン及び走行回路の数)に応じて分岐すれば良い。この際、出力ポート38cの分岐は、図5(b)に示すように油圧選択ブロック72の外側で行っても良いし、油圧選択ブロック72の内部で行っても良い。
【0067】
かかる油圧選択ブロック72を図5(a)と同様にエンジン及び走行回路が4つ設けられる搬送車に用いる場合は、図5(c)に示すように、3つの油圧選択ブロック72を設け、油圧選択ブロック72aの入力ポート38a,38bには、入力路PF1,PB1が接続され、油圧選択ブロック72bの入力ポート38a,38bには、入力路PH1,PM1が接続される。
【0068】
そして、油圧選択ブロック72a,72bの間に設けられる油圧選択ブロック72cの第1入力ポート38aには、油圧選択ブロック72aの出力ポート38cが、油圧選択ブロック72cの第2入力ポート38bには、油圧選択ブロック72bの出力ポート38cが、それぞれ接続される。そして、油圧選択ブロック72cの出力ポート38cを4つに分岐して、それぞれ出力路PF2,PB2,PH2,PM2に接続すれば良い。
【0069】
上記実施形態では、油圧選択ブロック70によって入力路PF1,PB1のうち油圧の高い方の圧油を選択し、それぞれの出力路PF2,PB2を介して走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50に該圧油を供給した。しかし、これに限られず、油圧選択ブロック70を省略し、入力路PF1,PB1をそれぞれ走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50に入力し、走行回路40F,40B及び走行連通ブロック50の内部で入力路PF1,PB1のうち油圧の高い方の圧油を選択しても良い。
【0070】
具体的には、図6に示す通り、入力路PF1,PB1を、それぞれ走行連通ブロック50及び逆転ブロック60FL,60FR,60BRに接続する。そして、図7(a)に示す通り、走行連通ブロック50においては、接続される入力路PF1をシャトル弁38の第1入力ポート38aに、入力路PB1をシャトル弁38の第2入力ポート38bに接続する。そして、該シャトル弁38の出力ポート38cから供給される、入力路PF1,PB1のうち油圧の高い方の圧油を走行連通ブロック50のパイロット圧として用いれば良い。
【0071】
第1モータ逆転ブロック60FLにおいても同様に、図7(b)に示す通り、接続される入力路PF1をシャトル弁38の第1入力ポート38aに、入力路PB1をシャトル弁38の第2入力ポート38bに接続し、該シャトル弁38の出力ポート38cから供給される、入力路PF1,PB1のうち油圧の高い方の圧油を第1モータ逆転ブロック60FLのパイロット圧として用いれば良い。なお、逆転ブロック60FR,60BRも上記の第1モータ逆転ブロック60FLと同様の構成なので、詳細な説明は省略する。
【0072】
上記実施形態では、油圧選択ブロック70において入力路PF1,PB1のうち油圧の高い方の圧油を選択するために、シャトル弁38を用いた。しかし、これに限られず、シャトル弁38の代わりに、電磁切換弁等の他の弁を用いて油圧選択ブロック70を構成しても良い。
【0073】
上記実施形態では、油圧選択ブロック70を搬送車1に設ける構成を説明したが、これに限られるものではなく、例えば、無人搬送車やユニットキャリア等の他の車両に適用しても良いし、油圧によって駆動する建設機械等に適用しても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 搬送車
6 車輪
10FL,10FR,10BL,10BR 油圧モータ
13F 第1エンジン
13B 第2エンジン
21F 第1補機油圧ポンプ(第1パイロット油圧ポンプ)
21B 第2補機油圧ポンプ(第2パイロット油圧ポンプ)
34 パイロットポート
38 シャトル弁
38a 第1入力ポート
38b 第2入力ポート
38c 出力ポート
40F 第1走行回路
40B 第2走行回路
41F 第1走行油圧ポンプ
41B 第2走行油圧ポンプ
50 走行連通ブロック(走行弁)
51,5261~64 ロジック弁
70,71,72 油圧選択ブロック
PF 第1パイロット路
PB 第2パイロット路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7