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特許7551536ヒヤリ・ハットデータベース生成方法及びヒヤリ・ハットデータベース生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】ヒヤリ・ハットデータベース生成方法及びヒヤリ・ハットデータベース生成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240909BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021028387
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129636
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-234414(JP,A)
【文献】特開2021-019977(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003704(WO,A1)
【文献】特開2007-085091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒヤリ・ハットデータベースを生成する生成装置におけるヒヤリ・ハットデータベース生成方法であって、
前記生成装置は、
取得装置から送信される、対象者を識別する識別情報、前記対象者の状態に関する状態情報、前記状態情報が取得されたときの時間を示す状態情報取得時間情報、及び前記状態情報が取得されたときの前記取得装置の位置を示す状態情報取得位置情報が対応付けられた第1レコードを記憶部に記憶し、
撮像装置から送信される、前記撮像装置に備えられる撮像部により撮像された画像、前記画像が撮像されたときの時間を示す撮像時間情報、及び前記画像が撮像されたときの前記撮像装置の位置を示す撮像位置情報が対応付けられた第2レコードを前記記憶部に記憶し、
前記状態情報に基づいて前記対象者の状態が異常であると判断すると、前記対象者の状態が異常であると判断した前記状態情報に対応する前記第1レコードの前記状態情報取得時間情報及び前記状態情報取得位置情報と時間及び位置が一致する前記撮像時間情報及び前記撮像位置情報に対応する前記第2レコードを前記記憶部から検索し、
前記検索した前記第2レコードの前記画像を、前記対象者の状態が異常であると判断した前記状態情報に対応する前記第1レコードと対応付けて前記ヒヤリ・ハットデータベースを生成する
ヒヤリ・ハットデータベース生成方法。
【請求項2】
生成装置と、
取得装置と、
撮像部を備える撮像装置と、
を備え、
前記生成装置は、
前記取得装置から送信される、対象者を識別する識別情報、前記対象者の状態に関する状態情報、前記状態情報が取得されたときの時間を示す状態情報取得時間情報、及び前記状態情報が取得されたときの前記取得装置の位置を示す状態情報取得位置情報が対応付けられた第1レコードを記憶するとともに、前記撮像装置から送信される、前記撮像部により撮像された画像、前記画像が撮像されたときの時間を示す撮像時間情報、及び前記画像が撮像されたときの前記撮像装置の位置を示す撮像位置情報が対応付けられた第2レコードを記憶する記憶部と、
前記状態情報に基づいて前記対象者の状態が異常であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記対象者の状態が異常であると判断されると、前記対象者の状態が異常であると判断した前記状態情報に対応する前記第1レコードの前記状態情報取得時間情報及び前記状態情報取得位置情報と時間及び位置が一致する前記撮像時間情報及び前記撮像位置情報に対応する前記第2レコードを前記記憶部から検索し、前記検索した前記第2レコードの前記画像を、前記対象者の状態が異常であると判断した前記状態情報に対応する前記第1レコードと対応付けてヒヤリ・ハットデータベースを生成する生成部と、
を備えるヒヤリ・ハットデータベース生成システム。
【請求項3】
請求項1に記載のヒヤリ・ハットデータベース生成方法であって、
前記生成装置は、所定の場所から前記対象者が退場したことを判断すると、前記取得装置から送信される、前記識別情報、前記状態情報、前記状態情報取得時間情報、及び前記状態情報取得時間情報を受信するとともに、前記撮像装置から送信される、前記画像、前記撮像時間情報、及び前記撮像位置情報を受信する
ヒヤリ・ハットデータベース生成方法。
【請求項4】
請求項2に記載のヒヤリ・ハットデータベース生成システムであって、
前記生成装置は、所定の場所から前記対象者が退場したことを判断すると、前記取得装置から送信される、前記識別情報、前記状態情報、前記状態情報取得時間情報、及び前記状態情報取得時間情報を受信するとともに、前記撮像装置から送信される、前記画像、前記撮像時間情報、及び前記撮像位置情報を受信する
ヒヤリ・ハットデータベース生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒヤリ・ハットの情報を蓄積し共有するためのヒヤリ・ハットデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や工場などの作業現場で作業を行う作業者や介護施設で生活する要介護者などの対象者が経験したヒヤリ・ハットの情報を蓄積し共有するためのヒヤリ・ハットデータベースを生成することによって、災害や事故を未然に防止しようとする取り組みが行われている。ヒヤリ・ハットとは、例えば、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。危難が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいることがしばしばあり、ヒヤリ・ハットの事例を収集・分析することで、危難を予防に役立てることができる。
【0003】
また、近年、作業者や要介護者などの対象者の身体にセンサを取り付けて、センサの計測値に基づいて対象者の状態を監視する試みが成されている。
【0004】
例えば、ヒヤリ・ハットデータベース生成方法として、センサの計測値を用いた人の状態管理に関連する技術が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-80304号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】品川佳満他、「加速度センサを用いた人間の歩行・転倒の検出」川崎医療福祉学会誌、1999年、Vol.9 No.2 243-250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存のヒヤリ・ハットデータベースでは、対象者が何をしていて、どうして、どうなったか、などを把握することが難しいという懸念がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ヒヤリ・ハット発生時の対象者の状況を把握することが可能なヒヤリ・ハットデータベースを生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様は、ヒヤリ・ハットデータベース生成方法であって、対象者の状態が異常と判断すると、前記対象者を識別するための識別情報と、前記対象者の状態に関する状態情報と、状態情報取得時間情報と、状態情報取得位置情報と、前記状態情報の取得位置または近傍で撮像された画像と、を対応付けてヒヤリ・ハットデータベースを自動的に生成する。
【発明の効果】
【0010】
ヒヤリ・ハット発生時の対象者の状況を把握することが可能なヒヤリ・ハットデータベースを自動的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のヒヤリ・ハットデータベース生成システムの一例を示す図である。
図2】取得装置により取得される情報の一例を示す図である。
図3】撮像装置により取得される情報の一例を示す図である。
図4】ヒヤリ・ハットデータベースの一例を示す図である。
図5】取得装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】生成装置を実現するためのコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0013】
以下で述べる実施形態では、作業現場で作業を行う作業者や介護施設で生活する要介護者などの対象者に取り付けられているセンサの計測値により対象者にヒヤリ・ハットが発生した(対象者の状態が異常である)と判断することができる。対象者の状態が異常であると判断したときは、センサの計測値、取得時間、及び取得位置を取得することができる。さらに、センサの計測値の取得位置近傍に設置された固定監視カメラ、無人移動体、または利用者が装着している撮像装置で撮像された画像(静止画像または動画像)をヒヤリ・ハットデータベースに含めることができる。これにより、対象者や対象者の活動を管理する管理者は、対象者の状況を画像により確認することができるようになり、対象者の状態が異常になったときの状況(いつ、どこで、だれが、なにをしていて、どうして、どうなったなど)を、センサの計測値、取得時間、及び取得位置により把握することができる。すなわち、ヒヤリ・ハット発生時を含む対象者の状況を把握することが可能なヒヤリ・ハットデータベースを自動的に生成することができる。
【0014】
図1は、実施形態のヒヤリ・ハットデータベース生成システム1の一例を示す図である。図1に示すヒヤリ・ハットデータベース生成システム1は、取得装置2と、1以上の撮像装置3と、生成装置4とを備える。生成装置4は、無線通信または有線通信またはインターネットなどのネットワークを介して取得装置2及び撮像装置3から情報を取得してもよいし、メモリカードなどの記録媒体を介して取得装置2及び撮像装置3から情報を取得してもよい。また、図1の例では、ヒヤリ・ハットデータベース生成システム1が、取得装置2、撮像装置3、及び生成装置4により構成されているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、取得装置2、撮像装置3、及び生成装置4は、統合された1つの装置であってもよい。
【0015】
取得装置2は、対象者の身体に取り付けられるものであって、状態情報取得部21と、時間情報取得部22と、位置情報取得部23と、記憶部24と、制御部25とを備える。状態情報取得部21は、時間情報取得部22と、位置情報取得部23と、を含む構成としてもよい。なお、取得装置2は、活動量計、スマートウォッチ、スマートフォン、モバイル端末などの形態で、対象者に保持されてもよい。また、取得装置2は、対象者の身体に埋め込まれるものであってもよい。
【0016】
状態情報取得部21は、加速度センサ、傾斜センサ、心拍計、血圧計、皮膚電気活動センサ、足底圧力センサ、気圧センサなどであり、対象者の動作、位置、姿勢、バイタルデータなどの対象者の状態に関する状態情報を取得する。
【0017】
例えば、取得装置2が対象者の中心部(腰など)に取り付けられる場合、状態情報取得部21は加速度センサや傾斜センサにより構成される。このように状態情報取得部21が加速度センサや傾斜センサにより構成される場合、対象者の体の中心付近の加速度や傾斜角度を計測することができるため、腕及び足などの局所的な体の部位の動きの影響を抑えて対象者の動作を計測することができる。または、取得装置2が対象者の手のひら、指、腕などに取り付けられる場合、状態情報取得部21は心拍計、血圧計、皮膚電気活動センサなどにより構成される。このように状態情報取得部21が心拍計、血圧計、皮膚電気活動センサなどにより構成される場合、対象者の状態が異常になると、対象者の心拍数が急峻に上昇したり、冷や汗(精神性発汗)が生じたりするため、心拍計、血圧計、皮膚電気活動センサの計測値の急峻な増加を検知することで、対象者の状態が異常になったことを判断することができる。または、取得装置2が対象者の足底に取り付けられる場合、状態情報取得部21は圧力センサにより構成される。このように状態情報取得部21が圧力センサにより構成される場合、対象者の状態が異常になると、対象者の足底にかかる圧力が通常時と比較して圧力分布や重心移動が変化するため、圧力センサの計測値の変化を検出することで、対象者の状態が異常になったことを判断することができる。
【0018】
時間情報取得部22は、電波時計またはGPS(Global Positioning System)などであり、状態情報取得部21により状態情報が取得されたときの時間(日時)を示す状態情報取得時間情報を取得する。
【0019】
位置情報取得部23は、GPSまたは屋内位置情報取得端末などであり、状態情報取得部21により状態情報が取得されたときの取得装置2の位置情報を取得する。なお、時間情報取得部22及び位置情報取得部23がGPSにより構成される場合、時間情報取得部22と位置情報取得部23を1つにまとめてもよい。
【0020】
記憶部24は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはメモリカードなどであり、取得装置2により取得される情報(識別情報、状態情報、状態情報取得時間情報、状態情報取得位置情報)が記憶される。
【0021】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、状態情報取得部21、時間情報取得部22、位置情報取得部23、及び記憶部24のそれぞれの動作を制御する。また、制御部25は、対象者を識別する識別情報と、状態情報取得部21により取得される状態情報と、時間情報取得部22により取得される時間情報と、位置情報取得部23により取得される位置情報とを対応付けて記憶部24に記憶させる。また、記憶部24に記憶される情報は、無線通信または有線通信またはネットワークを介して生成装置4に送信される。または、記憶部24に記憶される情報は、メモリカードを介して生成装置4に提供される。
【0022】
撮像部31は、作業現場や介護施設に設置された固定監視カメラ、ドローンやロボットなどの無人移動体が備えるカメラ、または対象者に装着されるヘルメットに取り付けられたカメラなどであり、画像(静止画像または動画像)を撮像する。当該カメラは、360度カメラまたは3Dスキャナでもよい。なお、撮像部31は、静止画像を撮像する場合、設定周期毎に画像を撮像するものとする。設定周期は、画像の検索性を考慮し適宜に設定されることが好ましい。また、撮像部31が固定監視カメラや無人移動体カメラである場合、撮像部31は、対象者及び対象者の周囲を撮像することが可能なものとする。また、撮像部31が360度カメラなどの対象者の体に取り付けられるカメラである場合、撮像部31は、対象者の周囲を撮像することが可能なものとする。
【0023】
また、撮像装置3は、撮像部31と、時間情報取得部32と、位置情報取得部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0024】
時間情報取得部32は、電波時計またはGPSなどであり、撮像部31により画像が撮像されときの時間(日時)を示す撮像時間情報を取得する。
【0025】
位置情報取得部33は、GPSまたは屋内位置情報取得端末などであり、撮像部31により画像が撮像されたときの撮像装置3の位置を示す撮像位置情報を取得する。なお、時間情報取得部32及び位置情報取得部33がGPSにより構成される場合、時間情報取得部32と位置情報取得部33を1つにまとめてもよい。
【0026】
記憶部34は、RAM、ROM、またはメモリカードなどであり、撮像装置3により取得される情報(画像、撮像時間情報、撮像位置情報)が記憶される。
【0027】
制御部35は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、撮像部31、時間情報取得部32、位置情報取得部33、及び記憶部34のそれぞれの動作を制御する。また、制御部35は、撮像部31により撮像される画像と、時間情報取得部32により取得される撮像時間情報と、位置情報取得部33により取得される撮像位置情報とを対応付けて記憶部34に記憶させる。また、記憶部34に記憶される情報は、無線通信または有線通信またはネットワークを介して生成装置4に送信される。または、記憶部34に記憶される情報は、メモリカードを介して生成装置4に提供される。
【0028】
生成装置4は、パーソナルコンピュータ(PC)、モバイルPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機、またはネットワーク上のサーバコンピュータなどのコンピュータにより構成される。
【0029】
また、生成装置4は、判断部41と、生成部42と、記憶部43とを備え、取得装置2により取得された情報と撮像装置3により取得された情報とを用いてヒヤリ・ハットデータベースを生成する。
【0030】
判断部41は、取得装置2により取得される状態情報が急峻な変化を検出した場合をヒヤリ・ハットとして検出する。例えば、判断部41は、状態情報取得部21としての加速度センサにより計測された加速度が「静止状態」に対応する加速度範囲に含まれることを一定期間連続して判断すると、対象者の状態が「静止状態」であると判断する。次に、判断部41は、対象者の状態として「静止状態」を特定した後、加速度センサにより計測された加速度が「歩行状態」に対応する加速度範囲に含まれることを一定期間連続して判断すると、対象者の状態が「静止状態」から「歩行状態」に変わったと判断する。一方、判断部41は、対象者の状態として「静止状態」を特定した後、加速度センサにより計測された加速度が予め用意されている何れの加速度範囲に含まれないと判断すると、対象者の状態が異常である、すなわち、ヒヤリ・ハットが発生したと判断する。
【0031】
なお、加速度範囲の判定範囲は、最小値、最大値などの閾値を設けることができる。例えば、「静止状態」に対応する加速度範囲は、対象者が静止しているときに加速度センサにより一定期間連続して計測される複数の加速度のうちの最小値から最大値までの範囲とする。同様に、「歩行状態」に対応する加速度範囲は、対象者が歩行しているときに加速度センサにより一定期間連続して計測される複数の加速度のうちの最小値から最大値までの範囲とする。また、加速度範囲の最小値及び最大値は、固定値であってもよいし、対象者に応じて変化させてもよいし、加速度センサの計測値の単位時間あたりの変化量に応じて変化させてもよい。
【0032】
なお、取得装置2の状態情報取得部21を複数のセンサにより構成する場合、判断部41は、複数のセンサによりそれぞれ計測される計測値を用いて、対象者の状態が異常であるか否かを判断するように構成してもよい。または、取得装置2の状態情報取得部21を複数のセンサにより構成する場合、判断部41は、対象者の状態を特定した後、対象者の状態が特定した状態から異常になったか否かを判断するように構成してもよい。例えば、判断部41は、加速度センサにより計測される計測値と気圧センサにより計測される計測値とを用いて、対象者が階段を下りていることを特定した後、対象者の状態が階段を下りている状態から異常になったか否かを判断するように構成してもよい。
【0033】
また、取得装置2の状態情報取得部21をカメラなどの撮像装置により構成する場合、判断部41は、その撮像装置により撮像された画像(静止画像または動画像)を用いて、対象者の状態が異常であるか否かを判断するように構成してもよい。または、取得装置2の状態情報取得部21を撮像装置により構成する場合、判断部41は、その撮像装置により撮像された画像を用いて、対象者の状態を特定した後、対象者の状態が特定した状態から異常になったか否かを判断するように構成してもよい。例えば、判断部41は、動画像を解析し動画像内の対象者を追跡することで、対象者が歩いていることを特定した後、対象者の状態が歩いている状態から異常になったか否かを判断するように構成してもよい。
【0034】
また、取得装置2の状態情報取得部21を加速度センサなどのセンサとカメラなどの撮像装置とにより構成する場合、判断部41は、センサの計測値と撮像装置の画像とを両方用いて、対象者の状態が異常であるか否かを判断するように構成してもよい。または、取得装置2の状態情報取得部21をセンサと撮像装置とにより構成する場合、判断部41は、センサの計測値と撮像装置の画像とを両方用いて、対象者の状態を特定した後、対象者の状態が特定した状態から異常になったか否かを判断するように構成してもよい。例えば、判断部41は、センサの計測値を用いて特定した対象者の状態と、撮像装置の画像を用いて特定した対象者の状態とが互いに一致すると、その特定した対象者の状態を確定するように構成してもよい。また、判断部41は、センサの計測値を用いて対象者の状態が特定した状態から異常になったと判断するとともに、撮像装置の画像を用いて対象者の状態が特定した状態から異常になったと判断する場合、対象者の状態が異常であると確定するように構成してもよい。
【0035】
生成部42は、判断部41により対象者の状態が異常であると判断されると、対象者を識別するための識別情報と、対象者の状態が異常であると判断したときに用いた状態情報の取得時間を示す状態情報取得時間情報と、対象者の状態が異常であると判断したときに用いた状態情報の取得位置を示す状態情報取得位置情報と、対象者の状態が異常であると判断したときに用いた状態情報の取得位置で撮像された画像とを対応付けてヒヤリ・ハットデータベースを生成する。
【0036】
なお、複数の撮像装置3を備えてヒヤリ・ハットデータベース生成システム1が構成される場合、生成部42は、識別情報と、状態情報取得時間情報と、状態情報取得位置情報と、複数の撮像装置3によりそれぞれ撮像された画像とを対応付けてヒヤリ・ハットデータベースを生成するように構成してもよい。
【0037】
記憶部43は、RAMまたはROMなどであり、取得装置2により取得される情報(識別情報、状態情報、状態情報取得時間情報、状態情報取得位置情報)、撮像装置3により取得される情報(画像、撮像時間情報、撮像位置情報)、及び生成部42で生成されるヒヤリ・ハットデータベースが記憶される。
【0038】
図2は、取得装置2により取得される情報の一例を示す図である。
【0039】
図2に示す情報D1は、取得装置2の記憶部24や生成装置4の記憶部43に記憶される情報である。また、情報D1は、識別情報が格納されるフィールドF11と、状態情報が格納されるフィールドF12と、状態情報取得時間情報が格納されるフィールドF13と、状態情報取得位置情報が格納されるフィールドF14とを有する。すなわち、情報D1は、識別情報と、状態情報と、取得時間情報と、取得位置情報とが互いに対応付けられている情報である。図2の例では、情報D1のレコードR11~レコードR20のそれぞれのフィールドF11に「ID1」が格納され、レコードR11~レコードR20のそれぞれのフィールドF14に「緯度:35度41分29秒、経度:139度44分16秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR11のフィールドF12に「1.1[G]」が格納され、レコードR11のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分31秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR12のフィールドF12に「1.0[G]」が格納され、レコードR12のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分32秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR13のフィールドF12に「0.9[G]」が格納され、レコードR13のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分33秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR14のフィールドF12に「0.8[G]」が格納され、レコードR14のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分34秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR15のフィールドF12に「0.6[G]」が格納され、レコードR15のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分35秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR16のフィールドF12に「1.1[G]」が格納され、レコードR16のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分36秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR17のフィールドF12に「1.0[G]」が格納され、レコードR17のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分37秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR18のフィールドF12に「2.9[G]」が格納され、レコードR18のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分38秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR19のフィールドF12に「0.8[G]」が格納され、レコードR19のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分39秒」が格納されている。また、情報D1のレコードR20のフィールドF12に「0.6[G]」が格納され、レコードR20のフィールドF13に「2021年1月15日9時30分40秒」が格納されている。
【0040】
図3は、撮像装置3により取得される情報の一例を示す図である。
【0041】
図3に示す情報D2は、撮像装置3の記憶部34や生成装置4の記憶部43に記憶される情報である。また、情報D2は、画像が格納されるフィールドF21と、撮像時間情報が格納されるフィールドF22と、撮像位置情報が格納されるフィールドF23とを有する。すなわち、情報D2は、画像情報と、撮像時間情報と、撮像位置情報とが互いに対応付けられている情報である。図3の例では、情報D2のレコードR21のフィールドF21に「Image1」が格納され、レコードR21のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分31秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR22のフィールドF21に「Image2」が格納され、レコードR22のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分32秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR23のフィールドF21に「Image3」が格納され、レコードR23のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分33秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR24のフィールドF21に「Image4」が格納され、レコードR24のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分34秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR25のフィールドF21に「Image5」が格納され、レコードR25のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分35秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR26のフィールドF21に「Image6」が格納され、レコードR26のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分36秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR27のフィールドF21に「Image7」が格納され、レコードR27のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分37秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR28のフィールドF21に「Image8」が格納され、レコードR28のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分38秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR29のフィールドF21に「Image9」が格納され、レコードR29のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分39秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR30のフィールドF21に「Image10」が格納され、レコードR30のフィールドF22に「2021年1月15日9時30分40秒」が格納されている。また、情報D2のレコードR21~レコードR30のそれぞれのフィールドF23に「緯度:35度41分29秒、経度:139度44分16秒」が格納されている。
【0042】
図4は、ヒヤリ・ハットデータベースの一例を示す図である。
【0043】
図4に示すヒヤリ・ハットデータベースD3は、生成装置4の記憶部43に記憶される情報である。また、ヒヤリ・ハットデータベースD3は、識別情報が格納されるフィールドF31と、状態情報が格納されるフィールドF32と、状態情報取得時間情報が格納されるフィールドF33と、状態情報取得位置情報が格納されるフィールドF34と、画像が格納されるフィールドF35とを有する。すなわち、ヒヤリ・ハットデータベースD3は、識別情報と、状態情報と、状態情報取得時間情報と、状態情報取得位置情報と、画像とが互いに対応付けられている情報である。図4の例では、情報D3のレコードR31のフィールドF31に「ID1」が格納され、レコードR31のフィールドF32に「2.9[G]」が格納され、レコードR31のフィールドF33に「2021年1月15日9時30分38秒」が格納され、レコードR31のフィールドF34に「緯度:35度41分29秒、経度:139度44分16秒」が格納され、レコードR31のフィールドF35に「Image8」が格納されている。
【0044】
ここで、図2に示す情報D1及び図3に示す情報D2が生成装置4の記憶部43に記憶されている場合において、対象者が歩いている状態を特定する場合の加速度範囲の最小値を0.6[G]とし最大値を1.2[G]とし、一定時間を5[秒]とする場合を想定する。
【0045】
まず、生成装置4の判断部41は、情報D1のレコードR11~レコードR20のうち、一定時間(5[秒])分のレコードR11~レコードR15のそれぞれのフィールドF12に格納されている各状態情報(1.1[G]、1.0[G]、0.9[G]、0.8[G]、0.6[G])が加速度範囲(0.6[G]~1.2[G])内であると判断すると、対象者の状態として「歩いている状態」を特定する。次に、判断部41は、情報D1のレコードR11~R20のうち、次の一定時間(5[秒])分のレコードR16~レコードR20のそれぞれのフィールドF12に格納されている各状態情報のうちのレコードR18のフィールドF12に格納されている状態情報(2.9[G])が所定範囲(0.6[G]~1.2[G])外であると判断すると、対象者の状態が「歩いている状態」から異常になったと判断する。すなわち、判断部41は、対象者が歩いているときにヒヤリ・ハットが発生したと判断する。なお、生成部42は、判断部41により判断された内容(対象者が歩いているときにヒヤリ・ハットが発生したこと)をヒヤリ・ハットデータベースに含めるように構成してもよい。
【0046】
次に、生成装置4の生成部42は、情報D1のレコードR18の状態情報取得時間情報及び状態情報取得位置情報と一致する撮像時間情報及び撮像位置情報に対応するレコードR28を情報D2から検索する。これにより、対象者の状態が異常であると判断したときに用いた状態情報の取得位置または近傍で撮像された画像として、情報D2のレコードR28のフィールドF21に格納されている画像(Image8)を抽出することができる。そして、生成部42は、情報D2のレコードR28のフィールドF21に格納されている画像(Image8)を、情報D1のレコードR18に対応付けることで、レコードR31から構成されるヒヤリ・ハットデータベースD3を生成する。これにより、対象者または対象者の活動を管理する管理者がヒヤリ・ハットデータベースD3のレコードR31のフィールドF31~フィールドF34に格納されている各情報を確認することにより、いつ(「緯度:35度41分29秒、経度:139度44分16秒」)、どこで(「2021年1月15日9時30分35秒」~「2021年1月15日9時30分40秒」)、だれが(「ID1」)を認識することができるとともに、レコードR31のフィールドF35に格納されている画像を確認することにより、なにをしていて、どうして、どうなったか(例えば、歩行しているときに床に散乱している資材でつまずいたこと)を認識することができる。なお、情報D2は、ヒヤリ・ハットが発生したときのみ記録するように設定されてもよい。ヒヤリ・ハットが発生したときのみ記録するようにすることで、記憶装置の容量を少なくすることができる。また、生成装置4に送信するデータ量を少なくすることができる。決められた時間に情報D2をまとめて送信するように設定されてもよい。
【0047】
なお、生成部42は、対象者の状態が異常になったときの情報D1のレコードR18を含むレコードR18前後のレコードR16~レコードR20と、それらレコードR16~レコードR20と時間及び位置が一致する情報D2のレコードR26~レコードR30の各画像(Image6~Image10)とによりヒヤリ・ハットデータベースD3を生成するように構成してもよい。また、生成部42は、複数の対象者についてヒヤリ・ハットデータベースを生成するように構成してもよい。また、生成部42は、ヒヤリ・ハットデータベースに基づいて、対象者が異常になったときの状況について分析および統計処理し、その分析および統計処理から対象者が異常になった原因を抽出するように構成してもよい。これにより、対象者または管理者は、ヒヤリ・ハットデータベースD3の各画像を確認することにより、対象者の異常時の前後の状況を把握することができる。したがって、対象者や管理者は、ヒヤリ・ハットデータベースD3を確認することで、いつ、どこで、だれが異常になったか(ヒヤリ・ハットが発生したか)を認識することができるだけでなく、異常になったときの状況を分析および統計処理し、異常になった原因を抽出することができる。
【0048】
図5は、取得装置2の動作の一例を示すフローチャートである。なお、取得装置2は、無線通信または有線通信またはネットワークを介して生成装置4と情報を送受信することができるものとする。
【0049】
まず、取得装置2の制御部25は、状態情報取得開始指示を受信すると(ステップS11:Yes)、状態情報取得部21、時間情報取得部22、及び位置情報取得部23のそれぞれの動作を制御することにより、識別情報、状態情報、状態情報取得時間情報、及び状態情報取得位置情報を取得し、それら情報を互いに対応付けて記憶部24に記憶させる(ステップS12)。
【0050】
次に、制御部25は、状態情報取得終了指示を受信しない場合(ステップS13:No)、状態情報取得部21、時間情報取得部22、及び位置情報取得部23のそれぞれの動作制御を継続することで、識別情報と状態情報と状態情報取得時間情報と状態情報取得位置情報とが対応付けられた情報を記憶部34に蓄積する(ステップS12)。
【0051】
一方、制御部25は、状態情報取得終了指示を受信すると(ステップS13:Yes)、記憶部24に記憶させた情報を生成装置4に送信する(ステップS14)。
【0052】
図6は、撮像装置3の動作の一例を示すフローチャートである。なお、撮像装置3は、無線通信または有線通信またはネットワークを介して生成装置4と情報を送受信することができるものとする。
【0053】
まず、撮像装置3の制御部35は、画像取得開始指示を受信すると(ステップS21:Yes)、撮像部31、時間情報取得部32、及び位置情報取得部33のそれぞれの動作を制御することにより、画像、撮像時間情報、及び撮像位置情報を取得し、それら情報を互いに対応付けて記憶部34に記憶させる(ステップS22)。
【0054】
次に、制御部35は、画像取得終了指示を受信しない場合(ステップS23:No)、撮像部31、時間情報取得部32、及び位置情報取得部33のそれぞれの動作制御を継続することで、画像と撮像時間情報と撮像位置情報とが対応付けられた情報を記憶部34に蓄積する(ステップS22)。
【0055】
一方、制御部35は、画像取得終了指示を受信すると(ステップS23:Yes)、記憶部34に記憶させた情報を生成装置4に送信する(ステップS24)。
【0056】
図7は、生成装置4の動作の一例を示すフローチャートである。なお、生成装置4は、無線通信または有線通信またはネットワークを介して取得装置2及び撮像装置3と情報を送受信することができるものとする。
【0057】
まず、生成装置4の判断部41は、作業現場や介護施設などの所定の場所に対象者が入場したことを判断すると(ステップS31:Yes)、状態情報取得開始指示を取得装置2に送信するとともに画像取得開始指示を撮像装置3に送信する(ステップS32)。例えば、生成装置4は、作業現場や介護施設の入口付近に設置されているRFID(Radio Frequency Identification)受信機、磁気読み取り機、赤外線センサ、または顔認証などにより、作業現場や介護施設に対象者が入場したことを判断する。または、生成装置4は、作業現場や介護施設の入口付近に設置されている、または対象者が装着した機器が備える計測開始ボタンが対象者により押下されたことを検知することにより、作業現場や介護施設に対象者が入場したことを判断する。
【0058】
次に、判断部41は、作業現場や介護施設などの所定の場所から対象者が退場したことを判断すると(ステップS33:Yes)、状態情報取得終了指示を取得装置2に送信するとともに画像取得終了指示を撮像装置3に送信する(ステップS34)。例えば、生成部42は、作業現場や介護施設の出口付近に設置されているRFID受信機、磁気読み取り機、赤外線センサ、または顔認証などにより、作業現場や介護施設から対象者が退場したことを判断する。または、生成装置4は、作業現場や介護施設の出口付近に設置されている、または対象者が装着した機器が備える計測終了ボタンが対象者により押下されたことを検知することにより、作業現場や介護施設から対象者が退場したことを判断する。
【0059】
次に、判断部41は、取得装置2から情報を受信するとともに撮像装置3から情報を受信すると(ステップS35:Yes)、対象者の状態が異常であるか否かを判断する(ステップS36)。
【0060】
次に、生成部42は、受信した情報に、対象者の状態が異常であると判断される状態情報が含まれていないと判断すると(ステップS36:No)、ヒヤリ・ハットデータベースを作成せずに、ヒヤリ・ハットデータベース生成処理を終了する。
【0061】
一方、生成装置4の生成部42は、受信した情報に、対象者の状態が異常であると判断される状態情報が含まれていると(ステップS36:Yes)、その状態情報と、その状態情報に関連する情報(識別情報、状態情報取得時間情報、及び状態情報取得位置情報)と、その状態情報の取得位置で撮像された画像とによりヒヤリ・ハットデータベースを生成し記憶部43に記憶させることでヒヤリ・ハットデータベース生成処理を終了する(ステップS37)。
【0062】
このように、実施形態のヒヤリ・ハットデータベース生成システム1では、対象者の状態が異常であると判断したときに用いた状態情報だけでなく、その状態情報の取得位置で撮像された画像も含めてヒヤリ・ハットデータベースを生成する構成である。これにより、対象者や管理者は、ヒヤリ・ハットデータベースを確認することで、ヒヤリ・ハット発生時の対象者の状況を把握することが可能なヒヤリ・ハットデータベースを自動的に生成することができる。そのため、対象者や管理者は、ヒヤリ・ハットの発生を防止するための対策を立て易くすることができる。
【0063】
また、複数の対象者に対してもヒヤリ・ハットデータベースD3を収集することができる。また、複数の作業現場に対しても適用することができる。複数の対象者のヒヤリ・ハット情報を収集することで、ヒヤリ・ハットデータベースを作成することができる。ヒヤリ・ハットデータベースを構築することで、複数の作業現場等におけるヒヤリ・ハットの発生場所や、状況、時刻などについて分析および統計処理を行い、その結果を用いて作業現場環境の改善、働き方の改善を行うことができる。
【0064】
図8は、生成装置4を実現するためのコンピュータの一例を示す図である。
【0065】
図8に示すコンピュータ80は、プロセッサ81と、メモリ82と、記憶装置83と、読取装置84と、通信インタフェース85と、入出力インタフェース86とを備える。なお、プロセッサ81、メモリ82、記憶装置83、読取装置84、通信インタフェース85、及び入出力インタフェース86は、バス87を介して互いに接続されている。
【0066】
プロセッサ81は、シングルプロセッサまたはマルチプロセッサまたはマルチコアなどにより構成される。また、プロセッサ81は、記憶装置83に格納されているプログラムを読み出し、メモリ82を利用して、図7に示すフローチャートの手順を記述したプログラムを実行することにより、判断部41及び生成部42の一部または全部の機能を提供する。
【0067】
メモリ82は、半導体メモリなどであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。
【0068】
記憶装置83は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリ、または、外部記憶装置である。
【0069】
読取装置84は、プロセッサ81の指示に従って着脱可能記憶媒体89にアクセスする。着脱可能記憶媒体89は、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、磁気ディスクなどである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(Blu-rayは登録商標)などである。
【0070】
上述の記憶部43は、例えば、メモリ82、記憶装置83、および着脱可能記憶媒体89を含んでよい。例えば、記憶装置83には、図2に示す情報D1、図3に示す情報D2、及び図4に示すヒヤリ・ハットデータベースD3が格納されている。
【0071】
通信インタフェース85は、プロセッサ81の指示に従って、他の装置と通信する。例えば、生成装置4は、通信インタフェース85を介して取得装置2及び撮像装置3から情報を収集してよい。
【0072】
入出力インタフェース86は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、対象者や管理者からの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスである。出力装置は、ディスプレイなどの表示装置、または、スピーカなどの音声装置である。
【0073】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で生成装置4に提供される。
(1)記憶装置83に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体89により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0074】
なお、図8を参照して述べた生成装置4を実現するためのコンピュータ80のハードウェア構成は例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の生成装置4の一部または全部の機能がFPGA、SoC(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または、PLDなどによるハードウェアとして実装されてもよい。
【0075】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒヤリ・ハットデータベース生成システム
2 取得装置
3 撮像装置
4 生成装置
21 状態情報取得部
22 時間情報取得部
23 位置情報取得部
24 記憶部
25 制御部
31 撮像部
32 時間情報取得部
33 位置情報取得部
34 記憶部
35 制御部
41 判断部
42 生成部
43 記憶部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8