(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
E04F13/08 E
(21)【出願番号】P 2021059811
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平地 邦弘
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-105715(JP,U)
【文献】実開昭49-061309(JP,U)
【文献】実開昭62-163245(JP,U)
【文献】特開2015-140558(JP,A)
【文献】特開2020-002707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0024850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04C 2/00- 2/54
E04B 1/62- 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
前記第1意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、
前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、
を備え、
前記第2意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、
前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、
を備え、
2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、
前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、
前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していないことを特徴とする建築板。
【請求項2】
前記第2方向において、前記第1意匠部の長さは、前記第2意匠部の長さの1.5倍以下である、
請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第1平坦部の長さは、前記第2平坦部の長さの1.75倍以下である、
請求項2に記載の建築板。
【請求項4】
前記建築板はさらに、
前記第1方向に延び、且つ前記第2方向において前記第1意匠部及び前記第2意匠部のうち、少なくとも一方と接続する凹目地を有している、
請求項1~3のいずれか1項に記載の建築板。
【請求項5】
前記第1意匠部及び前記第2意匠部のうちの少なくとも一方には、1つ以上の窪み部が形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内外装の壁体を形成するための建築板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面に平坦部と傾斜部とを備えた、よろい調の建築板が記載されている。また、特許文献2には、表面に平坦部と傾斜部とを備えた建築板の表面が、対向し隙間なく接している例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平4-9388号公報
【文献】特開2003-147898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の建築板では、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合、一方の建築板の表面の平坦面と、他方の建築板の平坦面同士が当接する。その結果、表面同士の間に当接していない空隙が多く形成され、互いに当接し支える面積が少ないので、両建築板は、ずれ易くなる。したがって、このような載置態様で載置した建築板を梱包して生成した梱包体を輸送したり、複数の梱包体を重ねた状態で保管したりすると、梱包体が受ける振動や力などによって両建築板にずれが生じ、その結果、建築板に欠け等の破損が発生する虞がある。
【0005】
また、特許文献2に記載の建築板では、一方の板と他方の板の表面同士が隙間なく接触しているため、例えば上下方向からの圧力があった際に、空隙(隙間)が無い分衝撃が伝わりやすく、その結果、建築板に欠け等の破損が発生する虞がある。このように特許文献1、2に記載の建築板には、更なる改良の余地がある。
【0006】
本願は、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合に、欠け等の破損を防止することが可能となる建築板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、建築板は、表面と裏面を有し、少なくとも表面に意匠面を有する建築板であって、表面は、少なくとも、第1方向に延びる第1意匠部と、第1方向と交差する第2方向に配され、第1方向に延びる第2意匠部と、を備え、第1意匠部は、第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、第1平坦部の第2方向の端部から、第1平坦部の平坦面に対して裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、を備え、第2意匠部は、第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、第2平坦部の第2方向の端部から、第2平坦部の平坦面に対して裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、を備え、2枚の建築板のそれぞれの表面を、一方の建築板の第1意匠部と他方の建築板の第2意匠部とを対向させて載置したときに、第1意匠部の第1傾斜部と第2意匠部の第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、第1傾斜部と第2平坦部同士、及び第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない。
本発明の第1の態様の建築板は、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合に、第1意匠部の第1傾斜部と第2意匠部の第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触するので、両建築板をずれ難くすることが可能となる。その結果欠け等の破損の防止となる。また、第1傾斜部と第2平坦部同士、及び第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していないため、梱包時に上下方向からの圧力があったとしても、空隙により圧力を吸収するため、空隙が無く、面々接触している場合に比べ、圧力等の衝撃が伝わりづらい。その結果、建築板の欠け等の破損を防止する。
【0008】
本発明の第2の態様の建築板は、第2方向において、第1意匠部の長さは、第2意匠部の長さの1.5倍以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様の建築板は、第1意匠部の長さと第2意匠部の長さが近いので、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合に、第1意匠部の第1傾斜部と第2意匠部の第2傾斜部とが面接触し易くなり、その結果、建築板がお互いを安定して支え、欠け等の破損を防止できる。
【0009】
本発明の第3の態様の建築板は、第2方向において、第1平坦部の長さは、第2平坦部の長さの1.75倍以下であることが好ましい。
本発明の第3の態様の建築板は、第1平坦部の長さと第2平坦部の長さが近いので、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合に、第1意匠部の第1傾斜部と第2意匠部の第2傾斜部とが面接触し易くなり、その結果、建築板がお互いを安定して支え、欠け等の破損を防止できる。
【0010】
本発明の第4の態様の建築板は、第1方向に延び、且つ第2方向において第1意匠部及び第2意匠部のうち、少なくとも一方と接続する凹目地を有することが好ましい。
本発明の第4の態様の建築板は、凹目地を有するので、2枚の建築板を各表面が対向するように載置した場合に空隙が生じる。そして、このように載置した2枚の建築板を梱包して生成した梱包体を輸送したときに、梱包体が左右方向に揺れたとしても、空隙がその揺れを吸収するので、建築板の欠け等の破損をさらに防止することができる。
【0011】
本発明の第5の態様の建築板は、第1意匠部及び第2意匠部のうちの少なくとも一方には、1つ以上の窪み部が形成されていることが好ましい。
本発明の第5の態様の建築板は、窪み部を有するので、意匠面に発生したテカリを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る外壁板の平面図である。
【
図3】
図1の外壁板を2枚、表面同士を対向させて載置した状態を示す側面図である。
【
図5】
図1の外壁板を2枚、一方の表面の上に他方の裏面を載置した状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る外壁板の側面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る外壁板を2枚、表面同士を対向させて載置した状態において、
図3の領域R1に相当する領域R2の部分拡大図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る外壁板の側面図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る外壁板の側面図である。
【
図10】本発明の第6実施形態に係る外壁板を2枚、表面同士を対向させて載置した状態において、
図3の領域R1に相当する領域R3の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る外壁板1A(「建築板」の一例)は、セメントを含む窯業系材料からなり、
図1に示すように左右方向に長い略矩形状をなし、例えば、横寸法t1が約3030mm、縦寸法t2が約455mmである。もちろん、横寸法及び縦寸法は、これに限らず、幅を持たせるようにしてもよい。例えば、横寸法は1800~3030mmの範囲内であり、縦寸法は455~1000mmの範囲内であるというようにである。また、外壁板1Aの厚みは、例えば、14~30mmである。なお、
図1において、垂直上方向を上と表示し、垂直下方向を下と表示し、水平右方向を右と表示し、水平左方向を左と表示する。また、
図1において、紙面手前を表面とし、紙面奥を裏面とする。そして、
図2以降の各図に示す方向は、
図1に対応させて表示する。
【0015】
外壁板1Aは、例えば、上下合決り構造のものである。外壁板1Aは、
図2に示すように、その上端縁には隣接する外壁板1Aと重ね合わされる接合部として、裏面3A側で上方に突出した裏面突出部(下実部)7Aを有する。さらに外壁板1Aは、その下端縁には隣接する外壁板1Aと重ね合わせられる接合部として、裏面3A側が凹んだ表面突出部(上実部)6Aを有する。
【0016】
上下の外壁板1Aは、下側の外壁板1Aの裏面突出部7Aに、上側の外壁板1Aの表面突出部6Aを重ね合わすことにより、接合される。そして、上下の外壁板1Aの接合は、金具等を用いて行われる。なお、
図1に示すように、外壁板1Aの左側面14A及び右側面13Aには、下側面12A及び上側面11Aのような接合部としての表面突出部6A及び裏面突出部7Aを有していない(但し、
図1には、裏面突出部7Aは記載されていない。)ので、左右の外壁板1Aを接合する場合、左側の外壁板1Aの右側面13Aと右側の外壁板1Aの左側面14Aとを接合させる。このとき、シーリング材を介在させて左右の外壁板1Aを接合させるようにしてもよい。このように、本実施形態の外壁板1Aは、左側面14A及び右側面13Aには、下側面12A及び上側面11Aのような接合部としての表面突出部6A及び裏面突出部7Aを有していないが、これに限らず、左側面14A及び右側面13Aにも、左右方向に延びた表面突出部及び裏面突出部を有する構成とし、シーリング材を介在させずに接合させてもよい。
【0017】
外壁板1Aは、
図2に示すように、表面側に意匠面2Aを有する。意匠面2Aは、外壁板1Aを施工した際に外壁の屋外側の面であり、外壁板1Aの模様や柄を構成する部分である。本実施形態では、意匠面2Aは、上下方向において、下側面12Aの表面側の端部から上側面11Aの表面側の端部までの領域を占め、左右方向において、左側面14Aの表面側の端部から右側面13Aの表面側の端部までの領域を占めている(
図1参照)。
【0018】
意匠面2Aは、下から上に向かう方向に順に第1意匠部21A、第3意匠部23A及び第2意匠部22Aを備えている。第1意匠部21Aは、
図1に示すように、左右方向(「第1方向」の一例)に左側面14Aの表面側の端部から右側面13Aの表面側の端部まで延びている。そして、第1意匠部21Aは、
図2に示すように、平坦面を有する第1平坦部211Aと、傾斜面を有する第1傾斜部212Aとにより構成され、よろい壁の1段のよろいを模している。同様に、第2意匠部22A及び第3意匠部23Aも、左右方向に左側面14Aの表面側の端部から右側面13Aの表面側の端部まで延びている。そして、第2意匠部22Aも、平坦面を有する第2平坦部221Aと、傾斜面を有する第2傾斜部222Aとにより構成され、第3意匠部23Aも、平坦面を有する第3平坦部231Aと、傾斜面を有する第3傾斜部232Aとにより構成される。したがって、意匠面2Aは、よろい壁の3段のよろいを模している。
【0019】
第1意匠部21Aにおいて、第1傾斜部212Aの傾斜面は、第1平坦部211Aの平坦面の上側端部から外壁板1Aの裏面3A側へ向かう方向に、第1平坦部211Aの平坦面をその上側端部からさらに上側(第1傾斜部212Aが配された方向)に仮想的に延長させた仮想平坦面(
図2において破線で示される面)と第1傾斜部212Aの傾斜面とがなす角度θ1で傾斜する。本実施形態では、角度θ1は、例えば、5°よりも大きく、10°以下であり、より望ましくは、1°~5°である。第1平坦部211Aの上下方向の幅の寸法t21は、例えば、35~55mmに設定され、第1傾斜部212Aの上下方向の幅の寸法t22は、例えば、80~125mmに設定されている。また第1傾斜部212Aの傾斜面は平坦状である。
【0020】
第2意匠部22Aにおいて、第2傾斜部222Aの傾斜面は、第1傾斜部212Aの傾斜面と同様に、第2平坦部221Aの平坦面の上側端部から外壁板1Aの裏面3A側へ向かう方向に、第2平坦部221Aの平坦面をその上側端部からさらに上側に延長させた平坦面と第2傾斜部222Aの傾斜面とがなす角度θ1で傾斜する。第2意匠部22Aにおいて、第2傾斜部222Aの傾斜面は、第1傾斜部212Aの傾斜面と同様に、第2平坦部221Aの平坦面の上側端部から外壁板1Aの裏面3A側へ向かう方向に、第2平坦部221Aの平坦面をその上側端部からさらに上側(第2傾斜部222Aが配された方向)に仮想的に延長させた仮想平坦面と第2傾斜部222Aの傾斜面とがなす角度θ1で傾斜する。第2平坦部221Aの上下方向の幅の寸法t27は、例えば、20~50mmに設定され、第2傾斜部222Aの上下方向の幅の寸法t28は、例えば、80~125mmに設定されている。また第2傾斜部222Aの傾斜面は平坦状である。
【0021】
第3意匠部23Aにおいて、第3傾斜部232Aの傾斜面は、第1傾斜部212Aの傾斜面と同様に、第3平坦部231Aの平坦面の上側端部から外壁板1Aの裏面3A側へ向かう方向に、第3平坦部231Aの平坦面をその上側端部からさらに上側(第3傾斜部232Aが配された方向)に仮想的に延長させた仮想平坦面と第3傾斜部232Aの傾斜面とがなす角度θ1で傾斜する。第3平坦部231Aの上下方向の幅の寸法t24は、例えば、20~50mmに設定され、第3傾斜部232Aの上下方向の幅の寸法t25は、例えば、80~125mmに設定されている。また第3傾斜部232Aの傾斜面は平坦状である。
【0022】
なお、本実施形態では、第1~第3意匠部21A~23Aにおける上記3つの角度θ1は、それぞれ異なる角度であってもよいが、好ましくは、例えば1~5°のように、近い角度である。またより好ましくは3つの角度θ1が同一であることである。3つの角度θ1が近ければ近いほど、傾斜面同士の面々接触時に接触しやすく、その分より互いの建築板を安定して支えられる。
【0023】
意匠面2A上、第1意匠部21Aと第3意匠部23Aとの上下方向の間には、
図1に示すように、左右方向に溝状の第1横目地24A(「凹目地」の一例)が形成されている。つまり、第1横目地24Aは第1意匠部21Aと第3意匠部23Aに接続している。第1横目地24Aは、
図2に示すように、上から下に向かう方向に、第1の1傾斜面241Aと、第1内底面242Aと、第1の2傾斜面243Aとにより構成される。
図4に示すように、第1の1傾斜面241A(
図4では後述する241Aaで表示)は、第1内底面242A(
図4では後述する242Aaで表示)の上側端部から上方向に角度θ3で立ち上がり、第1の2傾斜面243A(
図4では後述する243Aaで表示)は、第1内底面242Aの下側端部から下方向に角度θ2で立ち上がる。本実施形態では、角度θ3は、例えば40~80°であり、角度θ2は、例えば25~65°である。そして、本実施形態では、θ3>θ2>θ1となっている。また、第1の1傾斜面241Aの第1内底面242Aからの高さt41は、例えば、2~10mmに設定され、第1の2傾斜面243Aの第1内底面242Aからの高さt42は、例えば、0.5~4mmに設定されている。第1内底面242Aの上下方向の寸法は、例えば、0.5~8mmに設定されている。
【0024】
意匠面2A上、第3意匠部23Aと第2意匠部22Aとの上下方向の間には、
図1に示すように、左右方向に溝状の第2横目地25A(「凹目地」の一例)が形成されている。つまり、第2横目地25Aは、第3意匠部23Aと第2意匠部22Aに接続している。第2横目地25Aは、
図2に示すように、上から下に向かう方向に、第2の1傾斜面251Aと、第2内底面252Aと、第2の2傾斜面253Aとにより構成される。
図4に示すように、第2の1傾斜面251Aは、第2内底面252Aの上側端部から上方向に角度θ3で立ち上がり、第2の2傾斜面253Aは、第2内底面252Aの下側端部から下方向に角度θ2で立ち上がる。本実施形態では、角度θ3は、例えば40~80°であり、角度θ2は、例えば25~65°である。そして、本実施形態では、θ3>θ2>θ1となっている。但し
図4では、上記第1横目地24Aが表向きの状態で示され、第2横目地25Aは裏向きの状態で示されている。なお、第2横目地25Aに関する角度θ2,θ3はそれぞれ、上記第1横目地24Aに関する角度θ2,θ3と同じである。また、第2の1傾斜面251Aの第2内底面252からの高さt41は、例えば、2~10mmに設定され、第2の2傾斜面253Aの第2内底面252からの高さt42は、例えば、0.5~4mmに設定されている。第2内底面252の上下方向の寸法は、例えば、0.5~8mmに設定されている。
【0025】
さらに意匠面2A上には、
図2に示すように、下側面12A側に第1接合目地26A(「凹目地」の一例)が形成されるとともに、上側面11A側に第2接合目地27A(「凹目地」の一例)が形成されている。上下の外壁板1Aを接合させたとき、上側の外壁板1Aの第1接合目地26Aと下側の外壁板1Aの第2接合目地27Aとが接合して、接合目地が形成される。第1接合目地26Aは、第1意匠部21Aの下方向に位置し、第1意匠部21Aと接続している。第2接合目地27Aは、第2意匠部22Aの上方向に位置し、第2意匠部22Aと接続している。
【0026】
第1接合目地26Aは、下から上に向かう方向に、第1接合目地面262Aと、第1接合目地傾斜面261Aとにより構成される。第1接合目地26Aは、下側面12Aの表面側の端部に沿って、外壁板1Aを左右に左側面14Aの表面側の端部から右側面13Aの表面側の端部まで形成されている(
図1参照)。第1接合目地傾斜面261Aは、第1接合目地面262Aの上側端部から上方向に角度θ3で立ち上がる。第1接合目地26Aに関する角度θ3は、上記第1横目地24Aと第2横目地25Aに関する角度θ3と同じである。第1接合目地面262Aの上下方向の寸法は、例えば、0.5~8mmに設定されている。
第2接合目地27Aは、
図2に示すように、下から上に向かう方向に、第2接合目地傾斜面273Aと、第2接合目地面272Aとにより構成される。第2接合目地27Aも、下側面12Aの表面側の端部に沿って、外壁板1Aを左右に左側面14Aの表面側の端部から右側面13Aの表面側の端部まで形成されている(
図1参照)。第2接合目地傾斜面273Aは第2接合目地面272Aの下側端部から下方向に角度θ2で立ち上がる。第2接合目地27Aに関する角度θ2は、上記第1横目地24Aと第2横目地25Aに関する角度θ2と同じである。第2接合目地面272Aの上下方向の寸法は、例えば、0.5~8mmに設定されている。本実施形態では、第1接合目地面262Aは下側面12Aと直交し、第2接合目地面272Aは上側面11Aと直交している。
【0027】
以上のように構成された外壁板1Aを梱包する場合、2枚の外壁板1Aを1組にして梱包する。
図3は、2枚の外壁板1Aa,1Abを梱包するために載置した状態を示している。ここで、2枚の外壁板1Aa,1Abは、同じ形状の外壁板1Aであるが、説明の都合上、異なる添え字“a”,“b”を付けて、2枚の外壁板1Aのそれぞれを区別するようにしている。この事情は、実施形態が異なっても同様であり、さらに異なる添え字“c”を付けた場合も同様である。なお、2枚の外壁板1Aa,1Abを梱包するために載置する場合、外壁板1Aaと外壁板1Abとの間に、各外壁板1Aa,1Abの表面を保護するための合紙(シート)を挟んで載置するが、
図3において合紙は省略する。
【0028】
図3において、下側に載置される外壁板1Aaは、
図2に示す外壁板1Aと同様に、意匠面2Aaが表向きの状態で置かれている。その外壁板1Aaの意匠面2Aa上に、外壁板1Abを、意匠面2Abを裏向きにし、かつその上下を反転させた状態で載置する。つまり、
図3に示すように、外壁板1Aaと外壁板1Abとを、第1意匠部21Aaと第2意匠部22Abとが対向し、第2意匠部22Aaと第1意匠部21Abとが対向し、さらに第3意匠部23Aaと第3意匠部23Abとが対向した状態で載置させる。これにより、外壁板1Aaの第1意匠部21Aaに含まれる第1傾斜部212Aaの傾斜面の一部と外壁板1Abの第2意匠部22Abに含まれる第2傾斜部222Abの傾斜面の一部とが上下方向の幅の寸法t31で面々接触する。同様に、外壁板1Aaの第2意匠部22Aaに含まれる第2傾斜部222Aaの傾斜面の一部と外壁板1Abの第1意匠部21Abに含まれる第1傾斜部212Abの傾斜面の一部とが上下方向の幅の寸法t35で面々接触する。さらに同様に、外壁板1Aaの第3意匠部23Aaに含まれる第3傾斜部232Aaの傾斜面の一部と外壁板1Abの第3意匠部23Abに含まれる第3傾斜部232Abの傾斜面の一部とが上下方向の幅の寸法t33で面々接触する。このとき、外壁板1Aaの第1~第3意匠部21Aa~23Aaにそれぞれ含まれる第1~第3平坦部211Aa~231Aaはいずれも、外壁板1Abの第1~第3意匠部21Ab~23Abに含まれるいずれの面とも当接しない。同様に、外壁板1Abの第1~第3意匠部21Ab~23Abにそれぞれ含まれる第1~第3平坦部211Ab~231Abもいずれも、外壁板1Aaの第1~第3意匠部21Aa~23Aaに含まれるいずれの面とも当接しない。本実施形態では、寸法t31と寸法t35とt33は、例えば、50~100mmである。また、面々接触していない部分の上下方向の幅の寸法t30,t32,t34及びt36は、例えば35~85mmである。
【0029】
このように本実施形態の外壁板1Aでは、2枚の外壁板1Aa,1Abを、それぞれの意匠面2Aa,2Abが対向し、かつ一方の外壁板1Abの上下が他方の外壁板1Aaの上下に対して反転した状態で載置させた場合、2枚の外壁板1Aa,1Abは、3面で面々接触するので、面々接触した部分で互いに支え合い、ずれ難い。したがって、このような載置態様で載置した建築板を梱包して生成した梱包体を輸送したり、複数の梱包体を重ねた状態で保管したりすると、梱包体は振動や力を受けることになるものの、2枚の外壁板1Aa,1Abは、ずれ難いので、梱包体の輸送時や保管時等に起因する欠け等の破損の発生を低減させることが可能となる。このとき、第1平坦部211Aaと第1平坦部211Ab同士、第3平坦部231Aaと第3平坦部231Ab同士、及び第2平坦部221Aaと第2平坦部221Abは対向していない。またこのとき、第1平坦部211Aaと第2傾斜部222Ab同士の間、第2平坦部221Aaと第1傾斜部212Ab同士の間、及び第3平坦部231Aaと第3傾斜部232Ab同士の間は当接しておらず、その間には空隙が形成されている。同様に、第1平坦部211Abと第2傾斜部222Aa同士の間、第2平坦部221Abと第1傾斜部212Aa同士の間、及び第3平坦部231Abと第3傾斜部232Aa同士の間は当接しておらず、その間には空隙が形成されている。これらの空隙があるため、梱包時に上下方向からの圧力があったとしても、空隙により圧力を吸収するため、空隙が無く、面々接触している場合に比べ、圧力等の衝撃が伝わりづらい。その結果、建築板の欠け等の破損を防止する。
【0030】
本実施形態では、第1意匠部21Aの上下方向の幅の寸法(t21+t22)は、例えば、115~180mmである。これに対して、第2意匠部22Aの上下方向の幅の寸法(t27+t28)は、100~170mmmmである。本実施形態において、第1意匠部21Aの上下方向の幅の寸法/第2意匠部22Aの上下方向の幅の寸法のばらつきが大きくなると、面々接触する面の面積が減少し、これにより、2枚の外壁板1Aa,1Abがずれ難いという効果が得られなくなる虞がある。そこで、この比の値が0.8~1.5の範囲内になることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、第1意匠部21Aに含まれる第1平坦部211Aの上下方向の幅の寸法t21は、例えば、35~55mmである。これに対して、第2意匠部22Aに含まれる第2平坦部221Aの上下方向の幅の寸法t27は、20~50mmである。第1平坦部211Aの上下方向の幅の寸法/第2平坦部221Aの上下方向の幅の寸法の比の値が大きくなったり、小さくなったりすることは、第1意匠部21A及び第2意匠部22Aのうちの少なくとも一方の上下方向の幅が変動すること、つまり第1意匠部21Aの寸法t21+t22及び第2意匠部22Aの寸法t27+t28のうちの少なくとも一方の寸法にばらつきが生じていることを示している。そして、このばらつきが大きくなると、面々接触する面の面積が減少し、これにより、2枚の外壁板1Aa,1Abがずれ難いという効果が得られなくなる虞がある。そこで、この比の値が0.8~1.75の範囲内になることが好ましい。第1平坦部211Aは表面突出部6Aを含んでいる分、第2平坦部221Aよりも上下方向の幅の寸法が大きい。このため、ばらつきの比についても上述した各意匠部のばらつきよりも大きくなっている。
【0032】
また、本実施形態では、第1~第3意匠部21A~23Aに含まれる、第1~第3傾斜部212A~232Aの上下方向の幅の寸法t22、25、28は、例えば、80~125mmである。この寸法のこのばらつきが大きくなると、面々接触する面の面積が減少し、これにより、2枚の外壁板1Aa,1Abがずれ難いという効果が得られなくなる虞がある。そこで、この比の値が0.8~1.5の範囲内になることが好ましい。
【0033】
図3に示す状態で2枚の外壁板1Aa,1Abを載置させた場合、外壁板1Aaの第1横目地24Aaと外壁板1Abの第2横目地25Abとの間には、
図4に示すように空隙Gaが形成される。空隙Gaは、第1及び第2横目地24A,25Aが第1~第3意匠部21A~23Aの各表面より裏面3A側に窪んで形成されることで、形成される。また、第1横目地24Aに含まれる第1内底面242Aの上下方向の幅の寸法と、第2横目地25Aに含まれる第2内底面252Aの上下方向の幅の寸法とが異なることも、空隙Gaの形成に影響を及ぼす。なお、第1横目地24Aaに含まれる第1の1傾斜面241Aaと第2横目地25Abに含まれる第2の1傾斜面251Abとの間隔は、平行である。これは、第1横目地24Aaに含まれる第1内底面242Aaと第2横目地25Abに含まれる第2内底面252Abとが平行であり、第1の1傾斜面241Aa及び第2の1傾斜面251Abはそれぞれ、第1内底面242Aa及び第2内底面252Abから同じ角度θ3で立ち上がっているからである。このようにして形成された空隙Gaは、輸送等で左右方向に圧力がかかった時に、そのはずみで、外壁板1Abの第2意匠部22Abに含まれる第2平坦部221Abの平坦面と第2横目地25Abに含まれる第2の1傾斜面251Abとの交点(角)等が、外壁板1Aaの第1横目地24Aaに含まれる第1の1傾斜面241Aaとぶつかって欠けたり、外壁板1Aaの第3意匠部23Aaに含まれる第3平坦部231Aaの平坦面と第1横目地24Aaに含まれる第1の1傾斜面241Aaとの交点(角)等が外壁板1Abの第2横目地25Abに含まれる第2の1傾斜面251Abとぶつかって欠けたりすることを防止する。
【0034】
なお、面々接触する面の数は、上記3面に限らず、3面より少ない1面及び2面であっても、3面より多い4面以上であってもよい。
【0035】
さらに、ずれ難い程度は、上記角度θ1(
図2参照)にも依存する。例えば、θ1が1°~5°の範囲内であれば、ずれ難い効果が得られる。
【0036】
また、2枚の外壁板1Aを載置する載置態様として、一方の外壁板1Aの意匠面2A上に他方の外壁板1Aの裏面3Aを載置する態様(施工現場等で行われる、いわゆる棒積み)もある。
図5は、2枚の外壁板1Aa,1Acをこの態様で載置した状態を示している。本実施形態の外壁板1Aは、この載置態様で載置した場合でも、一方の外壁板1Aaの第1~第3意匠部21Aa~23Aaにそれぞれ含まれる第1~第3平坦部211Aa~231Aaと、他方の外壁板1Acの裏面3Acとが、上記寸法t21,t24及びt27で示される3面で面々接触する。さらに、この面々接触は、平坦面による面々接触である。したがって、この態様で2枚以上の外壁板1Aを載置させた場合でも、隣接する外壁板1A同士がずれ難く、安定して載置されるので、載置状態が崩れ、その結果欠け等の破損が発生することを防止できる。但し、この場合、第1~第3平坦部211A~231Aの厚み方向の高さが、少なくとも2つの平坦面で同じであることが好ましい。またより好ましくは、第1~第3平坦部211A~231Aのすべての厚み方向の高さが同じであることである。このとき、外壁板1Aaの第1~第3意匠部21Aa~23Aaにそれぞれ含まれる第1~第3傾斜部212Aa~232Aaはいずれも、外壁板1Acの裏面3Acとは当接しない。また、第1~第3傾斜部212A~232Aの各傾斜面は、第1~第3平坦部211A~231Aの各平坦面の上側端部から外壁板1Aの裏面3A側へ向かう方向に傾斜しているので、第1~第3傾斜部212A~232Aの表面は、第1~第3平坦部211A~231Aの表面上から突き出ていない。なお、
図5では外壁板1Aaの表面突出部と外壁板1Acの裏面突出部が対向し、また外壁板1Aaの裏面突出部と外壁板1Acの表面突出部が対向する例が示されているが、外壁板1Aaと1Acの表面突出部同士、および裏面突出部同士が対向するように載置してもよい。この場合も、外壁板1Aaの各平坦面が外壁板1Acの裏面3Acに3面で面々接触するので、上述したとおり、載置状態が崩れ、その結果欠け等の破損が発生することを防止できる。
【0037】
なお、
図4に示すように、第3意匠部23Aに含まれる第3平坦部231Aには、表面から裏面3A側に窪む窪み部231aが形成されている。窪み部231aは、意匠面2Aにテカリが発生したときに、そのテカリの連続性を無くしたり、受けた光の角度を変えたりして、発生したテカリを目立たなくするためのものである。窪み部231aは、
図4では、第3平坦部231Aに1つだけ形成されているが、実際には、複数個の窪み部231aが不規則に形成されている。形成される場所も、第3平坦部231Aに限らず、第3傾斜部232Aであってもよいし、第3意匠部23A全体であってもよい。さらに、第3意匠部23Aに限らず、第1意匠部21Aであってもよいし、第2意匠部22Aであってもよい。また、第1~第3意匠部21A~23Aのうち、いずれか1つ以上の意匠部であってもよい。
【0038】
なお、本実施形態では下方向から上方向にかけて、第1意匠部21A、第3意匠部23A、第2意匠部22Aの順に配されているが、必ずしも各意匠部はこの順番で配される必要はない。例えば、一番下方向に位置する意匠部を、第1意匠部ではなく、第3意匠部又は第2意匠部としてもよい。
また第3意匠面は、上述した2つの載置態様(梱包時・棒積み時)を妨げない限りは、意匠面1・2と同様の形状でなくてもよい。
【0039】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る外壁板1Bは、
図6に示すように、上記第1実施形態の外壁板1Aに対して、意匠面2Bの構成が異なっている。外壁板1Bの意匠面2Bは、第1意匠部21Bと、第2意匠部22Bと、横目地24Bと、第1及び第2接合目地26B,27Bとを備えている。つまり、上記第1実施形態の外壁板1Aは、3つの第1~第3意匠部21A~23Aを備えていたのに対して、本実施形態の外壁板1Bは、2つの第1及び第2意匠部21B,22Bを備えている。
【0040】
また、第1~第3意匠部21A~23Aはそれぞれ、第1~第3平坦部211A~231Aと第1~第3傾斜部212A~232Aとを下から上に向かう方向に備えていたのに対して、第1及び第2意匠部21B,22Bはそれぞれ、第1及び第2平坦部211B,221Bと第1及び第2傾斜部212B,222Bとを上から下に向かう方向に備えている。なお、第1及び第2傾斜部212B,222Bの傾斜面は平坦状である。
【0041】
さらに、第1及び第2平坦部211B,221Bの上下方向の幅の寸法t52,t54は、同一であり、第1及び第2傾斜部212B,222Bの上下方向の幅の寸法t51,t53も同一に設定されている。そして、寸法t51,t53はそれぞれ、寸法t52,t54より広く設定されている。これにより、2枚の外壁板1Ba,1Bbを上記
図3に示す態様で載置すると、一方の外壁板1Baの第1意匠部21Baに含まれる第1傾斜部212Baの傾斜面の一部と他方の外壁板1Bbの第2意匠部22Bbに含まれる第2傾斜部222Bbの傾斜面の一部とが面々接触する。同様に、一方の外壁板1Baの第2意匠部22Baに含まれる第2傾斜部222Baの傾斜面の一部と他方の外壁板1Bbの第1意匠部21Bbに含まれる第1傾斜部211Bbの傾斜面の一部とが面々接触する。このように、面々接触する面は2面となるが、その2面で互いに支え合うので、2枚の外壁板1Ba,1Bbのずれ防止効果は得られることになる。なお、寸法t51,t53はそれぞれ、寸法t52,t54と同じに設定されても、あるいは寸法t52,t54より狭く設定されてもよい。また上述した通り、各平坦部と各傾斜部が対向する部分は互いに当接せず、空隙が形成されており、その空隙により上下方向の圧力を吸収し、その結果、建築板の欠け等の破損を防止する。
【0042】
また、横目地24Bの個数も、上記第1実施形態の外壁板1Aでは2個であったのに対して、1個と異なっている。さらに、横目地24Bの断面形状も、上記第1実施形態の外壁板1Aでは凹状であったのに対して、V字状である点が異なっている。そして、第1接合目地26B及び第2接合目地27Bも、2枚の外壁板1Bを上下に接合したときにV字状になるように、第1接合目地26Bは、下側面12Bから上方向に立ち上がる傾斜面からなり、第2接合目地27Bは、上側面11Bから下方向に立ち上がる傾斜面からなっている。
【0043】
さらに、2枚の外壁板1Ba,1Bcを、一方の外壁板1Baの意匠面2Ba上に他方の外壁板1Bcの裏面3Bcを載置する態様で載置した場合も、一方の外壁板1Baの第1及び第2意匠部21Ba,22Baにそれぞれ含まれる第1及び第2平坦部211Ba,221Baと、他方の外壁板1Bcの裏面3Bcとが、2面で面々接触するが、この面々接触は、平坦面による面々接触であるので、隣接する外壁板1B同士がずれ難く、安定して載置されるため、複数の外壁板1Bを載置したとしても、載置状態が崩れたりすることを防止できる。
【0044】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る外壁板1Cは、上記第1実施形態の外壁板1Aに対して、第1及び第2横目地24C,25Cの各断面形状が第1及び第2横目地24A,25Aの各断面形状と異なっている。
図7は、第1及び第2横目地24C,25Cの各断面形状を示している。但し、
図7は、
図4と同様に、2枚の外壁板1Ca,1Cbを
図3に示す態様で載置させたときの部分拡大図を示しているので、
図7に示す第2横目地25Cbは、外壁板1Caの第2横目地25Caではなく、外壁板1Caを裏向きにした外壁板1Cbの第2横目地25Cbである。しかし、第2横目地25Cbの断面形状は、第1横目地25Caの断面形状と異ならない。
【0045】
図7に示すように、第1横目地24Caに含まれる第1の1傾斜面241Caが第1内底面242Caから上方向に立ち上がる角度θ4は、第1横目地24Aaに含まれる第1の1傾斜面241Aaが第1内底面242Aaから立ち上がる角度θ3(
図4参照)より急に設定されている。但し、第2横目地25Cbに含まれる第2の1傾斜面251Cbが第2内底面252Cbから立ち上がる角度θ3は、第2横目地25Abに含まれる第2の1傾斜面251Abが第2内底面252Abから立ち上がる角度θ3(
図4参照)と同じである。本実施形態では、角度θ4は、例えば、50~80°に設定されている。
【0046】
また、第2横目地25Cbに含まれる第2の2傾斜面253Cbが第2内底面252Cbから立ち上がる角度θ5は、第2横目地25Abに含まれる第2の2傾斜面253Abが第2内底面252Abから立ち上がる角度θ2(
図4参照)より緩やかに設定されている。但し、第1横目地24Caに含まれる第1の2傾斜面243Caが第1内底面242Caから下方向に立ち上がる角度θ2は、第1横目地24Aaに含まれる第1の2傾斜面243Aaが第1内底面252Aaから下方向に立ち上がる角度θ2(
図4参照)と同じである。本実施形態では、角度θ5は、10~50°に設定されている。
【0047】
これにより、
図7に示すように、第1横目地24Caに含まれる第1の1傾斜面241Caと第2横目地25Cbに含まれる第2の1傾斜面251Cbとの間隔は、上述した平行状態からより狭い状態に変動するため、間隙Gcの容積は、
図4における間隙Gaの容積より減少する。しかし、間隙Gcの奏する効果は、間隙Gaの奏する効果と変わらない。
【0048】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る外壁板1Dは、
図8に示すように、上記第1実施形態の外壁板1Aに対して、意匠面2Dの構成が異なっている。外壁板1Dの意匠面2Dは、第1意匠部21Dと、第2意匠部22Dと、第3意匠部23Dと、第4意匠部30Dと、第1~第3横目地24D,25D,31Dと、溝32D~35Dと、第1及び第2接合目地26D,27Dとを備えている。つまり、上記第1実施形態の外壁板1Aは、3つの第1~第3意匠部21A~23Aを備えていたのに対して、本実施形態の外壁板1Dは、4つの第1~第4意匠部21D~23D,30Dを備えている。
【0049】
そして、第1及び第2意匠部21D,22Dはそれぞれ、第1~第3意匠部21A~23Aと同様に、第1及び第2平坦部211D,221Dと第1及び第2傾斜部212D,222Dとを下から上に向かう方向に備えている。これに対して、第3及び第4意匠部23D,30Dはそれぞれ、第1及び第2意匠部21B,22B(
図6参照)と同様に、第3及び第4平坦部231D,301Dと第3及び第4傾斜部232D,302Dとを上から下に向かう方向に備えている。また第1及び第2傾斜部212D,222D、及び第3及び第4傾斜部232D,302Dの傾斜面は平坦状である。
【0050】
さらに、第1及び第2平坦部211D,221Dの上下方向の幅の寸法t60,t66は、同一に設定され、第1及び第2傾斜部212D,222Dの上下方向の幅の寸法t61,t67も、同一に設定されている。したがって、第1意匠部21Dと第2意匠部22Dとは、同じ形状である。
【0051】
同様に、第3及び第4平坦部231D,301Dの上下方向の幅の寸法t63,t65も、同一に設定され、第3及び第4傾斜部232D,302Dの上下方向の幅の寸法t62,t64も、同一に設定されている。したがって、第3意匠部23Dと第4意匠部30Dとは、同じ形状である。
【0052】
このように外壁板1Dは、4つの第1~第4意匠部21D~23D,30Dを備えているので、第3意匠部24Dと第4意匠部30Dとの上下方向の間には、第3横目地31Dが形成されている。
【0053】
さらに、第1及び第2平坦部211D,221Dには、断面形状がV字状の横V溝32D,33Dが形成され、第3及び第4平坦部231D,301Dには、断面形状が凹状の横凹溝34D,35Dが形成されている。
【0054】
このように本実施形態の外壁板1Dでは、2枚の外壁板1Da,1Dbを、それぞれの意匠面2Da,2Dbが対向し、かつ一方の外壁板1Dbの上下が他方の外壁板1Daの上下に対して反転した状態で載置させた場合、2枚の外壁板1Da,1Dbは、4面で面々接触するので、ずれ難い。したがって、このような載置態様で載置した建築板を梱包して生成した梱包体を輸送したり、複数の梱包体を重ねた状態で保管したりすると、梱包体は振動や力を受けることになるものの、2枚の外壁板1Da,1Dbは、ずれ難いので、梱包体の輸送時や保管時等に起因する欠け等の破損の発生を低減させることが可能となる。また上述した通り、各平坦部と各傾斜部が対向する部分は互いに当接せず、空隙が形成されており、その空隙により上下方向の圧力を吸収し、その結果、建築板の欠け等の破損を防止する。
【0055】
また、2枚の外壁板1Da,1Dcを、一方の外壁板1Daの意匠面2Da上に他方の外壁板1Dcの裏面3Dcを載置する態様で載置した場合も、一方の外壁板1Daの第1~第4意匠部21Da~23Da,30Daにそれぞれ含まれる第1~第4平坦部211Da~231Da,301Daと、他方の外壁板1Dcの裏面3Dcとが、4面で面々接触する。そして、この面々接触は、平坦面による面々接触であるので、隣接する外壁板1D同士がずれ難く、安定して載置されるため、複数の外壁板1Dを載置したとしても、載置状態が崩れたりすることを防止できる。
【0056】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る外壁板1Eは、
図9に示すように、上記第1実施形態の外壁板1Aに対して、意匠面2Eの構成が異なっている。外壁板1Eの意匠面2Eは、第1~第3意匠部21E~23Eと、第1及び第2横目地24E,25Eと、接合目地26Eとを備えている。
【0057】
第1~第3意匠部21E~23Eはそれぞれ、上記第1~第3意匠部21A~23A(
図2参照)と同様に、第1~第3平坦部211E~231Eと第1~第3傾斜部212E~232Eとを下から上に向かう方向に備えている。そして、第3平坦部231Eの幅方向の寸法t74は、第2平坦部221Eの幅方向の寸法t77より広く、かつ第1平坦部211Eの幅方向の寸法t71より狭く設定されている。また、第1及び第2傾斜部212E,222Eの各幅方向の寸法t72,t78は、同じに設定され、第3傾斜部232Eの幅方向の寸法75は、寸法t72,t78より広く設定されている。これらの寸法の大小関係は、外壁板1Eと外壁板1Aとで異ならない。しかし、第1及び第2横目地24E,25Eは、上記第1及び第2横目地24A,25Aと異なり、それぞれ1つの上方向に立ち上がる傾斜面により構成されている。つまり、第1及び第2横目地24E,25Eは、第1及び第2横目地24A,25Aに含まれる第1及び第2内底面242A,252Aと第1の2及び第2の2傾斜面243A,253Aに相当する内底面と傾斜面を含んでいない。このため、第1及び第3傾斜部212E,232Eの各傾斜面の上側端部は、第1及び第2横目地24E,25Eの各傾斜面の下側端部と連結する。そして、接合目地26Eも、2枚の外壁板1Eを上下に接合したときに第1及び第2横目地24E,25Eと同じ形状になるように、上方向に立ち上がる傾斜面により構成されている。また第1~第3傾斜部212E~232Eの傾斜面は平坦状である。
【0058】
このように本実施形態の外壁板1Eでは、2枚の外壁板1Ea,1Ebを、それぞれの意匠面2Ea,2Ebが対向し、かつ一方の外壁板1Ebの上下が他方の外壁板1Eaの上下に対して反転した状態で載置させた場合、2枚の外壁板1Ea,1Ebは、上記2枚の外壁板1Aa,1Abと同様に、傾斜面の3面で面々接触するので、外壁板1Eでも、梱包体の輸送時や保管時等に起因する欠け等の破損の発生を低減させることが可能となる。また上述した通り、各平坦部と各傾斜部が対向する部分は互いに当接せず、空隙が形成されており、その空隙により上下方向の圧力を吸収し、その結果、建築板の欠け等の破損を防止する。
【0059】
また、2枚の外壁板1Ea,1Ecを、一方の外壁板1Eaの意匠面2Ea上に他方の外壁板1Ecの裏面3Ecを載置する態様で載置した場合も、上記2枚の外壁板1Aa,1Acと同様に、一方の外壁板1Eaの第1~第3意匠部21Ea~23Eaにそれぞれ含まれる第1~第3平坦部211Ea~231Eaと、他方の外壁板1Ecの裏面3Ecとが、3つの平坦面で面々接触するので、隣接する外壁板1E同士がずれ難く、安定して載置されるため、複数の外壁板1Eを載置したとしても、載置状態が崩れたりすることを防止できる。
【0060】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る外壁板1Fは、上記第1実施形態の外壁板1Aに対して、第1及び第2横目地24F,25Fの各断面形状が第1及び第2横目地24A,25Aの各断面形状と異なっている。
図10は、第1及び第2横目地24F,25Fの各断面形状を示している。但し、
図10は、
図4と同様に、2枚の外壁板1Fa,1Fbを
図3に示す態様で載置させたときの部分拡大図を示しているので、
図10に示す第2横目地25Fbは、外壁板1Faの第2横目地25Faではなく、外壁板1Faを裏向きにした外壁板1Fbの第2横目地25Fbである。しかし、第2横目地25Fbの断面形状は、第2横目地25Faの断面形状と異ならない。
【0061】
図10に示すように、第1横目地24Faに含まれる第1の1傾斜面241Faが第1内底面242Faから上方向に立ち上がる角度θ6は、第1横目地24Aaに含まれる第1の1傾斜面241Aaが第1内底面242Aaから立ち上がる角度θ3(
図4参照)より急に設定されている。
【0062】
同様に、第2横目地25Fbに含まれる第2の1傾斜面251Fbが第2内底面252Fbから立ち上がる角度θ6は、第1横目地24Faに含まれる第1の1傾斜面241Faが第1内底面242Faから立ち上がる角度θ6と同じであり、第2横目地25Abに含まれる第2の1傾斜面251Abが第2内底面252Abから立ち上がる角度θ3(
図4参照)より急に設定されている。本実施形態では、角度θ6は、90°に設定されている。
【0063】
これにより、
図10に示すように、第1横目地24Faに含まれる第1の1傾斜面241Faと第2横目地25Fbに含まれる第2の1傾斜面251Fbとの間隔は、上記第1実施形態と同様に平行状態であるものの、間隙Gfの容積は、
図4における間隙Gaの容積より減少する。しかし、間隙Gfの奏する効果は、間隙Gaの奏する効果と変わらない。
【0064】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
(1)上記各実施形態では、本発明の建築板を外壁板に適用した場合について説明したが、これに限らず、内装板に適用してもよい。また、本発明の建築板としては、窯業系材料からなる板に限らず、金属サイディングなどの金属を用いた板や、コンクリート板や、木質板等でもよい。
(2)上記各実施形態では、本発明の建築板を横張りする場合を想定しているが、これに限らず、縦張りするようにしてもよい。
(3)上記各実施形態では、各目地底の厚み方向における高さは同じとしているが、これに限らず、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1A~1F…外壁板、2A,2B,2D,2E…意匠面、3A,3B,3D,3E…裏面、6A,6B…表面突出部、7A ,7B…裏面突出部、11A…上側面、12A…下側面、13A…右側面、14A…左側面、21A,21B,21D,21E…第1意匠部、22A,22B,22D,22E…第2意匠部、23A,23D,22E…第3意匠部、24A,24Aa,24Ca,24D,24E,24Fa…第1横目地、24B…横目地、25A,25Ab,25Cb,25D,25E,25Fb…第2横目地、26A,26B,26D…第1接合目地、26E…接合目地、27A,27B,27D…第2接合目地、30D…第4意匠部、31D…第3横目地、32D,33D…横V溝、34D,35D…横凹溝。