(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームの製造方法とポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240909BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20240909BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240909BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/08 038
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021060277
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 忠史
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-108538(JP,A)
【文献】特開2020-039708(JP,A)
【文献】特開2020-033502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料にナトリウム含有塩基とカルボン酸
(ただし、有機固体酸を除く)を含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料にナトリウム含有塩基(ただし、炭酸水素ナトリウムを除く)とカルボン酸を含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料に、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドから選択されるナトリウム含有塩基とカルボン酸を含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料にナトリウム含有塩基とカルボン酸を含み、
前記カルボン酸は、一価のカルボン酸であることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
一価のカルボン酸のナトリウム塩
(ただし、酢酸ナトリウムを除く)が含まれていることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項6】
ギ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムから選択されるカルボン酸のナトリウム塩が含まれていることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項7】
カルボン酸のナトリウム塩が含まれているポリウレタンフォームを備える物品であって、食品の緩衝材及びマスクから選択される物品。
【請求項8】
一価のカルボン酸のナトリウム塩が含まれているポリウレタンフォームを備える物品であって、
マスク、クッション、マットレス、衣類のパッド、食品の緩衝材、洗浄スポンジから選択される物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法とポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、マスク、クッション、マットレス、衣類のパッド、食品や果物等の緩衝材、洗浄スポンジ等に使用されている。
【0003】
ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、および触媒を含むポリウレタンフォーム原料を、混合、反応させて製造される。
【0004】
また、ポリウレタンフォーム原料に銀化合物からなる抗菌剤を添加してポリウレタンフォームに抗菌性を付与したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の抗菌剤は、抗菌性を有する銀等を、ゼオライトの様なセラミックスを付加させる等、製造工程が複雑で、高価なものであった。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、汎用材料を用いて抗菌性を付与することができるポリウレタンフォームの製造方法とポリウレタンフォームの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリウレタンフォーム原料にナトリウム含有塩基とカルボン酸を含むことを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、カルボン酸のナトリウム塩が含まれているポリウレタンフォームを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高価な抗菌剤を用いることなく汎用材料を用いてポリウレタンフォームに抗菌性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】乳酸と炭酸水素ナトリウムとの反応を示す図である。
【
図2】比較例と実施例について、配合と反応性・外観及び物性の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のポリウレタンフォームの製造は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、ナトリウム含有塩基、およびカルボン酸を含むポリウレタンフォーム原料の混合・反応により行われる。
【0013】
ポリオールとしては、ポリウレタンフォーム用のポリオールを使用することができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等の何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0016】
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が20~300mgKOH/g、官能基数が2~6、数平均分子量が500~15,000であるポリオールを単独または複数用いることが好ましい。
【0017】
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0018】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、80以上が好ましく、より好ましくは90~130である。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0019】
発泡剤としては、水が好ましい。水はポリオールとポリイソシアネートの反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡を行う。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して2~10重量部が好ましい。
【0020】
触媒としては、公知のウレタン化触媒を併用することができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒は、アミン触媒と金属触媒の何れか一方のみ、あるいは両者の併用でもよい。アミン触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.05~1.0重量部が好ましい。金属触媒の量は、0又は0.05~0.5重量部が好ましい。
【0021】
ナトリウム含有塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等を挙げることができる。特に炭酸水素ナトリウムは、扱い易く、本発明におけるナトリウム含有塩基として好適である。
ナトリウム含有塩基の配合量は、ポリオール100重量部に対して3~50重量部の範囲が含まれていれば良く、さらに5~50重量部の範囲が好ましい。ナトリウム含有塩基の配合量を前記範囲とすることにより、カルボン酸との反応をより良好に行うことができる。
【0022】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸などの一価のカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸などの二価以上の多価カルボン酸が挙げられる。それらのなかでも、酢酸、乳酸、クエン酸などは好ましいカルボン酸である。より好ましいカルボン酸は、一価のカルボン酸である。一価のカルボン酸で好ましいカルボン酸として、酢酸と乳酸を挙げることができる。酢酸と乳酸は、ナトリウム含有塩基との併用によって、ポリウレタンフォームにスコーチが発生することを抑えることもできる。
スコーチは、ポリウレタンフォームの製造時に発生する焦げ、焼けであり、特に、ポリウレタンフォームの軽量化のために、発泡剤としての水の配合量を増加させると発生しやすくなる。
【0023】
カルボン酸の配合量は、ポリオール100重量部に対して0.01~1.00重量部が好ましく、さらに0.03~1.00重量部の範囲が好ましい。カルボン酸の配合量を前記範囲とすることにより、ナトリウム含有塩基との反応をより良好に行うことができる。カルボン酸は、一種類に限られず、二種類以上を併用してもよい。
【0024】
ポリウレタンフォーム原料に配合されたナトリウム含有塩基とカルボン酸は、ポリウレタンフォーム原料の発泡時に反応してカルボン酸のナトリウム塩を生成し、生成されたカルボン酸のナトリウム塩が、発泡後のポリウレタンフォーム中に残存する。
【0025】
例えば、カルボン酸として乳酸を用い、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムを用いた場合、
図1に示すようにポリウレタンフォーム原料の発泡時に反応し、乳酸ナトリウム(カルボン酸のナトリウム塩)と二酸価炭素及び水が生成される。生成された二酸化炭素と水は、気体となってポリウレタンフォームから放出される。一方、生成された乳酸ナトリウム(カルボン酸のナトリウム塩)は、ポリウレタンフォーム中に残存し、抗菌性を発揮する。
なお、酢酸と炭酸水素ナトリウムの組み合わせの場合は、酢酸ナトリウム(カルボン酸のナトリウム塩)が生成される。また、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの組み合わせの場合は、クエン酸ナトリウム(カルボン酸のナトリウム塩)が生成される。
【0026】
ポリウレタンフォーム原料には、その他の助剤を加えてもよい。助剤として、例えば、整泡剤や着色剤等を上げることができる。整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。着色剤としては、カーボン顔料等、ポリウレタンフォームの用途等に応じたものを使用できる。
【0027】
ポリウレタンフォームの製造における発泡は、スラブ発泡が好ましい。スラブ発泡は、ポリウレタンフォーム原料を混合させてベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。
【0028】
本発明のポリウレタンフォームは、大腸菌についてJIS K6400-9:2019に基づいて測定した抗菌活性値が2.0以上であり、抗菌性を有するものである。
【0029】
また、本発明のポリウレタンフォームは、密度が高すぎたり、硬すぎたりすると、ポリウレタンフォームの特徴である軽量性及び弾性が損なわれることになるため、密度(JIS K7220)が、10~50kg/m3、硬さ(JIS K6400)が120N未満であるのが好ましい。
【0030】
本発明のポリウレタンフォームは、抗菌性が求められる用途、例えば、マスク、クッション、マットレス、衣類のパッド、食品や果物等の緩衝材、洗浄スポンジ等に好適である。
【実施例】
【0031】
以下の成分を
図2に示す配合で混合し、反応・発泡させて各比較例及び各実施例のポリウレタンフォームを作製した。各成分の添加量の単位は重量部である。
・ポリオール;ポリエーテルポリオール、数平均分子量:3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、品番:GP-3050、三洋化成工業社製
・発泡剤;水
・アミン触媒;N,N-ジメチルアミノヘキサノール、品番:カオーライザーNo.25、花王ケミカル社製
・金属触媒;オクチル酸第一錫、品番:MRH110、城北化学工業社製
・整泡剤;シリコーン系整泡剤、品番:L-595、モメンティブ社製
・炭酸水素ナトリウム(ナトリウム含有塩基)
・乳酸(カルボン酸)
・酢酸(カルボン酸)
・クエン酸(カルボン酸)
・12N塩酸
・抗菌剤;銀系アルミニウムの珪酸塩を主原料、品番:ゼオミックAW10N、シナネンゼオミックス社製
・ポリイソシアネート;2,4-TDI/2,6-TDI=80/20、品番:コロネートT-80、日本ポリウレタン工業社製
【0032】
各比較例及び各実施例におけるポリウレタンフォームの製造時に、反応性を判断するためにクリームタイムとライズタイムを測定した。クリームタイムは、ポリウレタンフォーム原料が泡化反応を起こし、反応混合液が混合・吐出時の液状態からクリーム状に白濁しはじめるまでの時間であり、泡化反応の開始時間を意味する。一方、ライズタイムは、混合・吐出時から最大発泡高さになるまでの時間である。クリームタイムは、短い場合に初期の反応が急激であることを示し、長い場合に初期の反応が緩やかであることを示す。一方、ライズタイムは、最大発泡高さになるまでの時間であるため、ライズタイムからクリームタイムを減算した値が小の場合、クリームタイム以降の反応が急激であることを示し、逆に、減算した後の値が大の場合、クリームタイム以降の反応が緩やかであることを示す。
【0033】
発泡中の温度については、発泡時に熱電対をポリウレタンフォームの中央の位置にセットして、最高発熱温度を測定した。
発泡後のポリウレタンフォームについて、外観とフォーム状態を目視で観察し、表面に縞が明確に発生している場合に「×」、縞が薄い又は無い場合に「〇」とした。
【0034】
また、発泡後のポリウレタンフォームについて、密度(JIS K7220)と硬さ(JIS K6400)を測定した。硬さの評価は、120N未満を「〇」とし、120N以上を「×」とした。
発泡後のポリウレタンフォームについて、大腸菌に対するJIS K6400-9:2019に基づく抗菌活性値を測定した。生菌数の常用対数につき、対象区(空振とう)の24時間振とう培養後数値は、5.02であった。抗菌活性値の評価は、抗菌活性値が2.0以上を「〇」、2.0未満を「×」とした。
【0035】
発泡後のポリウレタンフォームについて、スコーチの程度を測定した。スコーチの判断は、白色標準板とポリウレタンフォームのサンプルに対するYI値を色差計(品名:SMカラーコンピュータSM-T、スガ試験機株式会社製)で測定し、その差ΔYI値をスコーチの判断に利用した。白色標準板とポリウレタンフォームのサンプルとのYI値の差(ΔYI)がプラス(+)の場合はスコーチがあると判断でき、一方、マイナス(-)場合はスコーチがないと判断できる。スコーチ評価は、ΔYIがマイナス(-)の場合に「〇」、プラス(+)の場合に「×」とした。
【0036】
比較例1は、ナトリウム含有塩基及びカルボン酸のいずれも配合されていない例である。
比較例1は、外観とフォーム状態「〇」、密度22.7kg/m3、硬さ106N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)0.6、抗菌活性値の評価「×」、発熱温度149℃、スコーチ(ΔYI)-4.42、スコーチ評価「〇」であり、抗菌性に劣っていた。
【0037】
比較例2は、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムが13.3重量部配合され、また、カルボン酸に代えて12N塩酸が1.3重量部配合された例ある。
比較例2は、ポリウレタンフォームにダウンが発生し、良好な発泡体が得られなかったため、密度、硬さ、大腸菌(抗菌活性値)の測定及び評価を行うことができなかった。なお、スコーチ評価は「〇」であった。
【0038】
比較例3は、ナトリウム含有塩基が配合されず、カルボン酸については乳酸が0.25重量部配合された例である。
比較例3は、外観とフォーム状態「〇」、密度20.9kg/m3、硬さ105N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)0、抗菌活性値の評価「×」、発熱温度147℃、スコーチ(ΔYI)-4.31、スコーチ評価「〇」であり、抗菌性に劣っていた。
【0039】
比較例4は、ナトリウム含有塩基及びカルボン酸が配合されず、抗菌剤が0.3重量部配合された例である。
比較例4は、外観とフォーム状態「〇」、密度23.0kg/m3、硬さ107N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)5.3、抗菌活性値の評価「〇」、発熱温度151℃、スコーチ(ΔYI)1.10、スコーチ評価「×」であり、抗菌性には優れていたが、スコーチが発生した。
【0040】
実施例1は、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムが10.0重量部、カルボン酸として乳酸が0.10重量部配合された例である。
実施例1は、外観とフォーム状態「〇」、密度23.8kg/m3、硬さ108N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)5.2、抗菌活性値の評価「〇」、発熱温度146℃、スコーチ(ΔYI)-4.84、スコーチ評価「〇」であり、抗菌性に優れ、スコーチの発生もなかった。
【0041】
実施例2は、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムが10.0重量部、カルボン酸として乳酸が0.05重量部配合された例である。
実施例2は、外観とフォーム状態「〇」、密度23.4kg/m3、硬さ105N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)4.7、抗菌活性値の評価「〇」、発熱温度148℃、スコーチ(ΔYI)-4.79、スコーチ評価「〇」であり、抗菌性に優れ、スコーチの発生もなかった。
【0042】
実施例3は、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムが10.0重量部、カルボン酸として酢酸が0.1重量部配合された例である。
実施例3は、外観とフォーム状態「〇」、密度23.2kg/m3、硬さ103N、硬さ評価「〇」、大腸菌(抗菌活性値)3.9、抗菌活性値の評価「〇」、発熱温度144℃、スコーチ(ΔYI)-4.72、スコーチ評価「〇」であり、抗菌性に優れ、スコーチの発生もなかった。
【0043】
実施例4は、ナトリウム含有塩基として炭酸水素ナトリウムが10.0重量部、カルボン酸としてクエン酸が0.1重量部配合された例である。
実施例4は、外観とフォーム状態「〇」、密度21.9kg/m3、硬さ144N、硬さ評価「×」、大腸菌(抗菌活性値)3.3、抗菌活性値の評価「〇」、発熱温度138℃、スコーチ(ΔYI)3.52、スコーチ評価「×」であり、抗菌性には優れていたが、スコーチが発生した。
【0044】
このように、本発明によれば、高価な抗菌剤を使用することなく、汎用材料を用いてポリウレタンフォームに抗菌性を付与することができる。さらに、カルボン酸として酢酸あるいは乳酸などの一価のカルボン酸を使用することによって、スコーチの発生を抑えることもできる。
なお、本発明は実施例に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。