(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】信号処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240909BHJP
H04N 25/60 20230101ALI20240909BHJP
H04N 25/704 20230101ALI20240909BHJP
H04N 25/705 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
H04N25/70
H04N25/60
H04N25/704
H04N25/705
(21)【出願番号】P 2021062604
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 蒼
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 悠
(72)【発明者】
【氏名】速水 一
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055099(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244514(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0029316(US,A1)
【文献】特開2011-159958(JP,A)
【文献】特開2008-288309(JP,A)
【文献】特開2003-152170(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084809(WO,A1)
【文献】特開2019-216356(JP,A)
【文献】特開2017-079240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/61
H04N 25/615-25/79
H01L 27/14 -27/148
H01L 29/76
H10K 39/32 -39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する複数の信号生成回路と、
前記第1基板に配され、前記複数の信号生成回路とは異なる回路要素と、
前記第1基板と、前記第1基板の上に配された配線層とを接続するコンタクトが配されたコンタクト領域と、
を有し、
前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記複数の信号生成回路の各々と前記回路要素との間に配されており、
前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わない
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、
前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、
前記第1基板に配された第1半導体領域と、
前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、
前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域と前記信号生成回路の間に配されたダミー半導体領域と、
を有し、
前
記平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、
前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する複数の信号生成回路と、
前記第1基板に配され、前記複数の信号生成回路とは異なる回路要素と、
前記第1基板に配された第1半導体領域と、
前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、
を有し、
前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記複数の信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、
前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触しており、
前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わない
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
前記回路要素は、前記画素から出力された信号と前記参照信号とを比較する比較器を含む
ことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記回路要素は、時間に応じたデジタル信号を出力するカウンタを含む
ことを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記回路要素は、前記画素からの信号出力のための駆動電流を供給する電流源のバイアス回路を含む
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記コンタクトは、前記第1基板に配されたウェルと、電源電位が供給される配線とを接続する
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記コンタクトの熱伝導率は、前記第1基板の熱伝導率よりも高い
ことを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項9】
互いに間隙を介して配されている複数の前記コンタクト領域を有する
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記コンタクト領域は、第1方向に並ぶように配された複数の前記コンタクトを含む
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記平面視において、前記配線層は、第1方向に延在する第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する第2配線とを含む
ことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記平面視において、前記配線層は、第1方向に延在する複数の第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の第2配線とを含み、
前記複数の第2配線のうちの1つが前記複数の第1配線に接続されており、
前記コンタクトの頂部が前記複数の第1配線のうちの1つに接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記平面視において、前記コンタクト領域と前記信号生成回路の間に配されたダミー半導体領域を更に有する
ことを特徴とする請求項1
又は3に記載の信号処理装置。
【請求項14】
複数の前記信号生成回路が前記第1基板に配されており、
前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わない
ことを特徴とする請求項
2に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記第1半導体領域は、前記第1基板の主面に配されており、
前記信号生成回路は、トランジスタを含み、
前記トランジスタは、前記主面に配された第2半導体領域を備える
ことを特徴とする請求項
2又は3に記載の信号処理装置。
【請求項16】
前記コンタクト領域には、前記第2半導体領域に接触する底部を備えるコンタクトが更に配されている
ことを特徴とする請求項
15に記載の信号処理装置。
【請求項17】
請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
前記画素と、
を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項18】
前記第1基板に積層された第2基板を更に有し、
前記画素は、前記第2基板に配されている
ことを特徴とする請求項
17に記載の光電変換装置。
【請求項19】
前記信号生成回路は、前記平面視において前記画素と重なる位置に配されている
ことを特徴とする請求項
18に記載の光電変換装置。
【請求項20】
第1基板と、
前記第1基板に積層された第2基板と、
前記第2基板に配された画素と、
前記第1基板に配され、前記画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、
前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、
前記第1基板と、前記第1基板の上に配された配線層とを接続するコンタクトが配されたコンタクト領域と、
を有し、
前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されている
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項21】
第1基板と、
前記第1基板に積層された第2基板と、
前記第2基板に配された画素と、
前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、
前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、
前記第1基板に配された第1半導体領域と、
前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、
を有し、
前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、
前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触する
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項22】
前記信号生成回路は、前記平面視において前記画素と重なる位置に配されている
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の光電変換装置。
【請求項23】
前記回路要素は、前記画素から出力された信号と前記参照信号とを比較する比較器を含む
ことを特徴とする請求項20乃至22のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項24】
前記回路要素は、時間に応じたデジタル信号を出力するカウンタを含む
ことを特徴とする請求項20乃至23のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項25】
前記回路要素は、前記画素からの信号出力のための駆動電流を供給する電流源のバイアス回路を含む
ことを特徴とする請求項20乃至24のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項26】
前記コンタクトは、前記第1基板に配されたウェルと、電源電位が供給される配線とを接続する
ことを特徴とする請求項20乃至25のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項27】
前記コンタクトの熱伝導率は、前記第1基板の熱伝導率よりも高い
ことを特徴とする請求項20乃至26のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項28】
互いに間隙を介して配されている複数の前記コンタクト領域を有する
ことを特徴とする請求項20乃至27のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項29】
前記コンタクト領域は、第1方向に並ぶように配された複数の前記コンタクトを含む
ことを特徴とする請求項20乃至28のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項30】
前記平面視において、前記配線層は、第1方向に延在する第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する第2配線とを含む
ことを特徴とする請求項20乃至29のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項31】
前記平面視において、前記配線層は、第1方向に延在する複数の第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の第2配線とを含み、
前記複数の第2配線のうちの1つが前記複数の第1配線に接続されており、
前記コンタクトの頂部が前記複数の第1配線のうちの1つに接続されている
ことを特徴とする請求項20乃至30のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項32】
前記平面視において、前記コンタクト領域と前記信号生成回路の間に配されたダミー半導体領域を更に有する
ことを特徴とする請求項20乃至31のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項33】
複数の前記信号生成回路が前記第1基板に配されており、
前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わない
ことを特徴とする請求項20乃至32のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項34】
前記第1半導体領域は、前記第1基板の主面に配されており、
前記信号生成回路は、トランジスタを含み、
前記トランジスタは、前記主面に配された第2半導体領域を備える
ことを特徴とする請求項21に記載の光電変換装置。
【請求項35】
前記コンタクト領域には、前記第2半導体領域に接触する底部を備えるコンタクトが更に配されている
ことを特徴とする請求項34に記載の光電変換装置。
【請求項36】
請求項
17乃至
35のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備える
ことを特徴とする機器。
【請求項37】
前記処理装置は、複数の光電変換部にて生成された画像信号をそれぞれ処理し、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得する
ことを特徴とする請求項
36に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アナログデジタル変換に用いられる参照信号を生成する信号生成回路を有する固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような信号生成回路は、電力の消費により発熱する。信号生成回路で発生した熱は、出力信号の品質に影響を与えることがある。
【0005】
本発明は、出力信号の品質を向上し得る信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する複数の信号生成回路と、前記第1基板に配され、前記複数の信号生成回路とは異なる回路要素と、前記第1基板と、前記第1基板の上に配された配線層とを接続するコンタクトが配されたコンタクト領域と、を有し、前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記複数の信号生成回路の各々と前記回路要素との間に配されており、前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わないことを特徴とする信号処理装置が提供される。
本発明の他の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、前記第1基板に配された第1半導体領域と、前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域と前記信号生成回路の間に配されたダミー半導体領域と、を有し、前記平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触することを特徴とする信号処理装置が提供される。
本発明の他の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する複数の信号生成回路と、前記第1基板に配され、前記複数の信号生成回路とは異なる回路要素と、前記第1基板に配された第1半導体領域と、前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、を有し、前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記複数の信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触しており、前記複数の信号生成回路のうちの1つは前記参照信号を生成する動作を行わないことを特徴とする信号処理装置が提供される。
本発明の他の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板に積層された第2基板と、前記第2基板に配された画素と、前記第1基板に配され、前記画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、前記第1基板と、前記第1基板の上に配された配線層とを接続するコンタクトが配されたコンタクト領域と、を有し、前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されていることを特徴とする光電変換装置が提供される。
本発明の他の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板に積層された第2基板と、前記第2基板に配された画素と、前記第1基板に配され、画素から出力された信号との比較に用いられる参照信号を生成する信号生成回路と、前記第1基板に配され、前記信号生成回路とは異なる回路要素と、前記第1基板に配された第1半導体領域と、前記第1基板の上に配された配線層に含まれる配線に接触するコンタクトが配されたコンタクト領域と、を有し、前記第1基板に対する平面視において、前記コンタクト領域は、前記信号生成回路と前記回路要素との間に配されており、前記コンタクトの底部は前記第1半導体領域と接触することを特徴とする光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、出力信号の品質を向上し得る信号処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る画素の等価回路図である。
【
図3】第1実施形態に係る光電変換装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る参照信号生成回路のブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路の周辺の構成を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係るウェルコンタクト領域への電源電位供給を示す模式図である。
【
図7】第1実施形態に係るウェルコンタクト領域の変形例を示す模式図である。
【
図8】第1実施形態に係るウェルコンタクト領域の変形例を示す模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路の周辺の構成の変形例を示す模式図である。
【
図10】第1実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路の周辺の構成を示す断面模式図である。
【
図11】第2実施形態に係る光電変換装置の模式図である。
【
図12】第2実施形態に係る光電変換装置の模式図である。
【
図13】第2実施形態に係る信号処理回路の構成を説明するための図である。
【
図14】第3実施形態に係る機器のブロック図である。
【
図15】第4実施形態に係る機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る光電変換装置のブロック図である。光電変換装置は、画素アレイ100、垂直走査回路11、列回路12、参照信号生成回路20、カウンタ16及び出力回路17を備える。これらの回路は半導体基板上に形成される。なお、本実施形態の光電変換装置は、画像を取得する撮像装置であるものとするが、これに限定されるものではない。例えば、光電変換装置は、焦点検出装置、測距装置、TOF(Time-Of-Flight)カメラ等であってもよい。
【0011】
画素アレイ100は、複数の行及び複数の列をなすように配され、入射光に応じた画素信号を出力する複数の画素10を備える。複数の画素10の各々は、入射光に基づいて信号電荷を生成及び蓄積する光電変換部を備える。なお、本明細書において、第1方向D1は
図1における垂直方向を示し、第2方向D2は
図1において第1方向D1に交差する水平方向を示すものとする。
図1には、行R1~Rn及び列C1~Cmのn行m列の画素10が示されている。画素10上にはマイクロレンズ及びカラーフィルタが配置され得る。カラーフィルタは、例えば赤(R)、青(B)及び緑(Gr、Gb)の原色フィルタであって、ベイヤー配列に従って各画素10に設けられている。
【0012】
画素アレイ100は、開口画素領域と、遮光膜が形成された遮光画素領域とを含む。開口画素領域に含まれる画素10には遮光膜が形成されておらず、入射光に応じた画素信号を出力可能である。遮光画素領域は、開口画素領域に対して第2方向D2に沿って隣接して配置された水平オプティカル・ブラック(HOB)画素領域である。遮光画素領域の画素10からはノイズ成分に相当するダーク信号が出力される。
【0013】
また、画素アレイ100には、焦点検出用の画素信号を出力する焦点検出画素が配された測距行と、画像を生成するための画素信号を出力する撮像画素が配された複数の撮像行とが設けられ得る。列信号線101aに接続された複数の画素10と列信号線101bに接続された画素10とは、互いに異なる2列にそれぞれ配されている。すなわち、列信号線101a、101bは複数の画素10の列に接続されており、同一列の複数の画素10は順次、共通の列信号線101a、101bに画素信号を出力する。
【0014】
列信号線101a、101bは画素10の列ごとに設けられ、同一列の画素10は共通の列信号線101a、101bに画素信号を出力する。本実施形態において、奇数列の列信号線101a、偶数列の列信号線101bはそれぞれ異なる回路に接続され得る。すなわち、奇数列の画素10は、列信号線101aを介して列回路12によって読み出され、偶数列の画素10は列信号線101bを介して列回路12によって読み出される。1列の画素10に配される列信号線の数は1本に限定されず、2~24本のように複数であってもよい。また、
図1には、4列の列回路12が示されているが、実際にはより多くの数の列回路12が配される。典型的には、列回路12の列数は数百~数千である。
【0015】
垂直走査回路11はシフトレジスタ、ゲート回路、バッファ回路等を含む。垂直走査回路11は、垂直同期信号、水平同期信号、クロック信号等に基づいて制御信号を画素10に出力し、行ごとに画素10を駆動する。
【0016】
列回路12は、列信号線101a、101bに接続されており、画素10から出力される画素信号を処理する。具体的には、列回路12は、列信号線101a、101bにおける画素信号を増幅するとともに、AD(Analog to Digital)変換を行う。列回路12は、列信号線101a、101bに接続された電流源121、参照信号と画素信号とを比較する比較器122、比較器による比較結果に応じてカウント信号を保持する第1メモリ123、第2メモリ124等を含み得る。電流源121は、列信号線101a、101bに接続されており、画素10からの信号出力のための駆動電流を供給する負荷回路として機能する。
【0017】
比較器122は、差動増幅回路等を含み、反転入力ノード、非反転入力ノード及び出力ノードを有する。反転入力ノードには画素信号が入力され、非反転入力ノードには参照信号RAMPが入力され得る。比較器122は、参照信号RAMPと画素信号とを比較し、比較結果を表す比較信号を出力ノードから出力する。
【0018】
参照信号生成回路20は、不図示のクロック生成回路から出力されるクロックパルスに基づいて、時間に依存して電圧が変化する参照信号(ランプ信号)RAMPを生成する。参照信号生成回路20は、容量充放電方式、DAC方式、カレントステアリング方式等、様々な方式を用いて構成され得る。参照信号RAMPは、時間とともに電圧が上昇するアップスロープであってもよく、時間とともに電圧が低下するダウンスロープであってもよい。また、参照信号RAMPは、単位時間あたりの電圧変化率が異なる複数のスロープ波形を含み得る。
【0019】
カウンタ16は、不図示のクロック生成回路から出力されるクロックパルスをカウントし、所定のビット数を有するデジタル信号であるカウント信号のカウントアップ又はカウントダウンを行う。クロック生成回路は、発振回路等を含み、クロックパルスをカウンタ16に供給する。カウンタ16は、参照信号生成回路20の参照信号RAMPの電圧変化の開始と同時にクロックパルスの計数を開始し、配線を介してクロック信号を第1メモリ123に出力する。
【0020】
第1メモリ123には、比較器122からの比較信号及びカウンタ16からのカウント値が入力される。第1メモリ123は、比較結果が反転したタイミングにおけるカウント信号をラッチする。第1メモリ123に保持されたカウント信号は、画素信号をアナログデジタル変換して得られたデジタル値を表している。第2メモリ124は、第1メモリ123から転送されたカウント値を保持可能である。第1メモリ123及び第2メモリ124の各々は、画素10のリセット時におけるカウント信号及び画素10の光電変換に基づくカウント信号を保持し得る。
【0021】
出力回路17は、水平走査回路及び信号処理回路を含み得る。水平走査回路は、デコーダ又はシフトレジスタを備える。水平走査回路は、第2メモリ124に保持されたカウント信号を、順次、信号処理回路に出力させる。信号処理回路は、デジタル・シグナル・プロセッサを備えており、デジタルゲイン、デジタル相関二重サンプリング、デジタルオフセット、リニアリティ補正等のデジタル信号処理を行う。また、信号処理回路は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式のシリアル出力回路を備えており、信号処理されたデジタル信号を高速、低消費電力にて光電変換装置の外部へと出力する。
【0022】
なお、
図1には、複数の第1メモリ123に共通のカウンタ16からカウント信号が入力される例が図示されているがこれに限られない。例えば、複数の第1メモリ123にそれぞれ対応するように複数のカウンタ16が配されていてもよい。この場合には、複数のカウンタ16にはクロック生成回路から共通のクロックパルスが入力され得る。
【0023】
また、
図1では、列回路12、参照信号生成回路20、カウンタ16及び出力回路17については、列信号線101aに対応するもののみが図示されており、列信号線101bに対応するものの図示は省略されている。列信号線101bに対応する列回路12、参照信号生成回路20、カウンタ16及び出力回路17は、
図1に示されているような列信号線101aに対応するものと同様の構成であり得る。
【0024】
図2は、本実施形態に係る画素10の等価回路図である。画素10は、光電変換部PD、転送トランジスタM1、フローティングディフュージョンFD、ソースフォロワトランジスタM4、選択トランジスタM5及びリセットトランジスタM6を含み得る。以下の説明では、特に断りのない限り、これらのトランジスタはN型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタによって構成されるものとする。これらのトランジスタのバックゲートノード(不図示)には基準電圧(例えば、接地電圧GND)が供給される。また、リセットトランジスタM6及びソースフォロワトランジスタM4のドレインノードは電源電圧Vddに接続されている。なお、N型MOSトランジスタに代えて、P型MOSトランジスタが用いられてもよい。この場合には、P型MOSトランジスタのゲートノードに印加される制御信号の電圧は、N型MOSトランジスタのゲートノードに印加される制御信号の電圧に対して反転したものとなる。
【0025】
光電変換部PDは、例えばフォトダイオードであって、入射光の光電変換による電荷の生成及び生成された電荷の蓄積を行う。なお、フォトダイオードに代えて、有機材料の光電変換膜、フォトゲート等のように光電効果を生じさせる構成が用いられてもよい。光電変換部PDにはマイクロレンズが設けられており、マイクロレンズにより集光された光が光電変換部PDに入射する。1つの画素10に含まれる光電変換部PDの数は限定されない。例えば、2個、4個又はそれ以上の個数の光電変換部PDが1つのマイクロレンズを共有するように設けられてもよい。これにより、位相差オートフォーカス等に用いられる測距用の信号を取得することができる。また、光電変換部PDに埋め込み型のフォトダイオードを採用することにより、暗電流ノイズを低減できる。
【0026】
転送トランジスタM1は光電変換部PDに対応して設けられ、転送トランジスタM1のゲートノードには制御信号TXが与えられる。制御信号TXがハイレベルになると、光電変換部PDにおいて受光により発生し、蓄積された電荷が、転送トランジスタM1を介してフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0027】
ソースフォロワトランジスタM4のドレインノードには電源電圧Vddが印加される。ソースフォロワトランジスタM4のソース電位は、フローティングディフュージョンFDに転送された電荷量に応じて変化する。
【0028】
選択トランジスタM5はソースフォロワトランジスタM4と列信号線101a(101b)との間に設けられている。同一の列の複数行の画素10の選択トランジスタM5は、共通の列信号線101a(101b)に接続されている。電流源121とソースフォロワトランジスタM4は、ソースフォロワを構成する。選択トランジスタM5のゲートノードには、制御信号SELが与えられる。制御信号SELがハイレベルになると、選択トランジスタM5は、ソースフォロワトランジスタM4のソース電位に応じた信号を列信号線101aに出力する。
【0029】
リセットトランジスタM6のソースノードはフローティングディフュージョンFDに接続され、リセットトランジスタM6のドレインノードには電源電圧Vddが印加される。リセットトランジスタM6のゲートノードには、制御信号RESが与えられる。制御信号RESがハイレベルとなると、リセットトランジスタM6は、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットする。
【0030】
図3は、本実施形態に係る光電変換装置の動作を示すタイミングチャートである。
図3は、制御信号TX、RES、参照信号RAMP、列信号線101a(101b)の電位、カウンタ16に供給されるクロック信号及びカウンタ16から出力されるカウント信号のそれぞれの時間変化を示している。なお、
図3に示されている期間において、複数の行のうちのある行の制御信号SELがハイレベルであり、その行に配されている画素10の選択トランジスタM5がオンになっている。以下では、制御信号SELがハイレベルになっている行の動作を説明する。
【0031】
時刻t0において、制御信号TXはローレベルであり、転送トランジスタM1はオフとなっている。また、クロック生成回路はクロックパルスの出力を停止しており、カウンタ16にはクロックパルスは入力されていない。すなわち、時刻t0においてカウント信号は初期値である。またこのとき、参照信号RAMPも初期値である。
【0032】
時刻t0~t1において、制御信号RESがハイレベルとなり、リセットトランジスタM6がオンとなることで、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。このとき、選択トランジスタM5はオンとなっており、列信号線101a(101b)の電位はフローティングディフュージョンFDの電位に応じたリセットレベルとなる。時刻t1において、制御信号RESがハイレベルからローレベルに遷移し、リセットトランジスタM6がオフとなり、フローティングディフュージョンFDのリセットが終了する。
【0033】
時刻t2において、参照信号生成回路20は参照信号RAMPのスロープ動作を開始する。すなわち、参照信号RAMPの電位が時間に応じて低下する。また、クロック生成回路はカウンタ16へのクロックパルスの出力を開始し、カウンタ16はクロックパルスをカウントし始める。
【0034】
時刻t3において、列信号線101a(101b)における画素信号と参照信号RAMPとの大小関係が反転し、比較器122の出力ノードにおける比較信号のレベルが反転する。第1メモリ123は、比較信号の反転に応じて、カウンタ16におけるカウント値を保持する。これにより、画素10のリセット時の画素信号がデジタル信号に変換される。
【0035】
時刻t4において、参照信号RAMPはリセットされ、カウンタ16におけるカウント値もリセットされる。時刻t5~t6において、制御信号TXがハイレベルとなり、転送トランジスタM1がオンとなる。光電変換部PDに蓄積された電荷が転送トランジスタM1を介してフローティングディフュージョンFDに転送され、フローティングディフュージョンFDの電位は転送された電荷に応じて低下する。ソースフォロワトランジスタM4はフローティングディフュージョンFDの電位に応じた電圧を選択トランジスタM5を介して列信号線101a(101b)に出力する。これにより、列信号線101a(101b)には光電変換時における電荷に応じた信号(検出信号)が出力される。
【0036】
時刻t7において、参照信号生成回路20は参照信号RAMPのスロープ動作を開始する。また、また、クロック生成回路はカウンタ16へのクロックパルスの出力を開始し、カウンタ16はクロックパルスをカウントし始める。
【0037】
時刻t8において、列信号線101a(101b)における画素信号と参照信号RAMPとの大小関係が反転し、比較器122の出力ノードにおける比較信号のレベルが反転する。第1メモリ123は、比較信号の反転に応じて、カウンタ16におけるカウント値を保持する。これにより、画素10の光電変換に基づく画素信号がデジタル信号に変換される。
【0038】
時刻t9において、参照信号RAMPはリセットされ、カウンタ16におけるカウント値もリセットされる。時刻t10~t11において、再び、制御信号RESがハイレベルとなり、リセットトランジスタM6がオンとなることで、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。以下、同様に、列回路12は、画素10から画素信号を読み出して、画素信号のアナログデジタル変換を実行する。
【0039】
次に、参照信号生成回路20及びその周辺に配された要素の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る参照信号生成回路20のブロック図である。参照信号生成回路20は、
図3に示されるように、時間に応じて電位が変化するランプ信号を生成する回路である。参照信号生成回路20は、DA(Digital to Analog)変換回路21、バイアス回路22、カウンタ23及び可変抵抗24を備える。DA変換回路21は、複数の電流源21a及び複数のスイッチ21bを備える。複数の電流源21aの各々は、対応するスイッチ21bを介して参照信号生成回路20の出力ノードに接続されている。また、可変抵抗24は、参照信号生成回路20の出力ノードと接地電位を供給する電源線の間に配されている。
【0040】
バイアス回路22は、電流源21aにバイアス電圧を供給する。カウンタ23には、クロック生成回路からクロックパルスCLKが入力される。カウンタ23はクロックパルスCLKをカウントしてカウント値をDA変換回路21に出力する。DA変換回路21は、カウント値に応じて複数のスイッチ21bの各々をオン又はオフに制御する。より具体的には、初期状態(例えば、
図3の時刻t2)においてすべてのスイッチ21bをオンに制御し、その後、カウント値の上昇に応じてスイッチ21bの一部を順次オフに制御する。可変抵抗24を流れる電流量が時間経過に応じて減少するため、可変抵抗24における電圧降下の量が時間経過に応じて減少する。したがって、出力ノードの電位が時間経過に応じて低下する。このようにして、参照信号生成回路20は時間に応じて電位が変化するランプ信号を生成することができる。
【0041】
図5は、本実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路20の周辺の構成を示す模式図である。
図5には、
図1の説明において述べた画素アレイ100、電流源121、比較器122、第1メモリ123、参照信号生成回路20及びカウンタ16の配置が模式的に示されている。また、
図5には、バイアス回路18、ウェル領域200及びウェルコンタクト領域210の配置が模式的に示されている。
【0042】
バイアス回路18は、電流源121にバイアス電圧を供給する回路である。ウェル領域200は、光電変換装置が形成される半導体基板内にウェルが配されている領域を模式的に示している。ウェルコンタクト領域210は、ウェル領域200内のウェルコンタクトが形成されている領域を模式的に示している。ウェルコンタクトは、半導体基板内のウェルと半導体基板の上に配された配線層とを電気的に接続する導電部材である。
【0043】
ウェル領域200及びウェルコンタクト領域210は、半導体基板に対する平面視において、参照信号生成回路20の三方を囲うように配されている。すなわち、半導体基板に対する平面視において、参照信号生成回路20とそれ以外の回路要素との間にウェルコンタクト領域210内のウェルコンタクトが配されている。ここで、上述の参照信号生成回路20以外の回路要素とは、例えば、比較器122、バイアス回路18及びカウンタ16であり得る。
【0044】
参照信号生成回路20は、例えば
図4のように電力消費を伴う回路構成を有している。したがって、参照信号生成回路20は、参照信号を生成する際に電力を消費して熱を発生する。この熱は参照信号生成回路20の近傍の部材の温度を上昇させるため、参照信号生成回路20の近傍に配されている回路要素の特性が変動する場合がある。
【0045】
特性変動の例を説明する。例えば、比較器122の温度が上昇する場合、温度に依存して比較器122によるAD変換の精度が変化する場合がある。
図1の回路のように、列ごとに複数の比較器122が配されている場合には、参照信号生成回路20に近い列の比較器122と、参照信号生成回路20から遠い列の比較器122とで温度が異なる。そのため、出力信号のデジタル値の精度が比較器122の位置に応じて異なることがある。このように、参照信号生成回路20が生成する熱による温度勾配によって、出力画像にシェーディングが発生する場合がある。また、バイアス回路18の温度が上昇すると、バイアス電圧が変化し、電流源121が供給する駆動電流に影響を与える場合がある。また、カウンタ16の温度が上昇すると、カウント信号のパルスの周期等の時間精度に影響を与える場合がある。このように、参照信号生成回路20の発熱は、列回路12における信号処理に影響することから、出力信号の品質を低下させ得る。
【0046】
そこで、本実施形態では、
図5に示されているように、参照信号生成回路20と参照信号生成回路20とは異なる回路要素との間にウェルコンタクト領域210が配されている。ウェルコンタクト領域210内のウェルコンタクトが配されていることにより、参照信号生成回路20で生成された熱がウェルコンタクトに流れる。これにより、放熱性が向上し、参照信号生成回路20の近傍の回路要素の温度上昇が低減される。したがって、上述の要因による熱の影響が低減され、出力信号の品質が向上する。
【0047】
なお、ウェルコンタクト又は配線層には、アルミニウム、銅、タングステン等の金属の導電部材が好適に用いられる。これらの導電部材は、シリコン等の半導体基板材料に比べて熱伝導率が高く放熱性向上の効果が大きいため、出力信号の品質が更に向上する。
【0048】
ウェルコンタクト領域210の構成及びその周辺の構成についてより詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係るウェルコンタクト領域210への電源電位供給を示す模式図である。
図6には、ボンディングパッド260及び電源配線270が更に示されている。
図6に示されているように、ウェルコンタクト領域210には、ウェルコンタクトを介して電源配線270が接続されている。電源配線270は、ボンディングパッド260に向かって第2方向D2に延在している。ボンディングパッド260は、ボンディングワイヤ等の実装部材により光電変換装置の外部と接続される外部端子である。
【0049】
図7及び
図8は、本実施形態に係るウェルコンタクト領域の変形例を示す模式図である。
図7では、
図5におけるウェルコンタクト領域210が複数のウェルコンタクト領域211~218に分割されている。複数のウェルコンタクト領域211~218の各々には、ウェルコンタクトが形成されている。このように、ウェルコンタクト領域が複数個であってもよい。これにより、ウェルコンタクト領域の間隙に配線を通しやすくすることができ、設計の自由度が向上する。
【0050】
図8は、
図7におけるウェルコンタクト領域211のより詳細な構成を示す模式図である。
図8に示されているように、ウェルコンタクト領域211は、第2方向D2に並ぶ複数の半導体領域220を有している。半導体領域220は、不純物拡散層領域である。複数の半導体領域220の各々は、第1方向D1に延在する帯状をなしている。
【0051】
複数の半導体領域220の各々は、第1方向D1に並ぶ複数のウェルコンタクト230を介して第1配線層の配線240に接続されている。ウェルコンタクト230が複数であることにより、放熱性が向上されている。配線240は、第1方向D1に延在する帯状をなしている。また、
図8に示されているように、第1配線層の上の第2配線層には配線250が配されており、配線250は、第1方向D1と交差する第2方向D2に延在する帯状をなしている。配線250は不図示のビアを介して配線240と接続されている。複数の配線240と複数の配線250は平面視において格子状をなしている。これにより、放熱性が向上されている。
【0052】
なお、
図8では、複数のウェルコンタクト230は第1方向D1に並んでいるが、この配列方向は特に限定されない。複数のウェルコンタクト230の配列方向は、例えば、比較器122を構成する回路内のウェルコンタクトの配列方向と統一されていてもよい。
【0053】
図9は、本実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路20の周辺の構成の変形例を示す模式図である。本変形例では、参照信号生成回路20とウェル領域200の間に複数のダミー半導体領域280が配されている。ダミー半導体領域280は、参照信号生成回路20とウェル領域200の間のフィルパターンとしての活性領域である。このようにフィルパターンを配することにより、製造プロセスが安定化し得る。
【0054】
図10は、本実施形態に係る光電変換装置における参照信号生成回路20の周辺の構成を示す断面模式図である。
図10は、
図6におけるX-X’線の断面の一例を示している。
図10に示されている第3方向D3は、基板2の主面に対して垂直な方向を示している。光電変換装置が形成される基板2(第1基板)は、P型基板領域301、N型ウェル領域302、303、N型拡散領域311及びP型拡散領域312、313を有している。また、基板2の上には、ゲート電極340、ビア321、322、323及び配線331、332、333が配されている。配線331、332、333は第1配線層に含まれる配線である。ゲート電極340はポリシリコン等により形成されている。
【0055】
N型ウェル領域303、P型拡散領域312、313及びゲート電極340により構成されるP型MOSトランジスタは、参照信号生成回路20の中のトランジスタの1つである。このP型MOSトランジスタの主電極(ドレイン又はソース)であるP型拡散領域312、313は、ビア322、323を介して、配線332、333にそれぞれ接続されている。
【0056】
N型ウェル領域302は、
図6におけるウェル領域200に相当する。また、ビア321は、
図6におけるウェルコンタクト領域210に形成されるウェルコンタクトに相当する。ウェル領域302には、配線331、ビア321、N型拡散領域311を順に介して電源電位が供給される。
【0057】
本実施形態の光電変換装置においては、画素から出力される信号を処理する信号処理装置として機能する領域の平面視において、参照信号生成回路20と参照信号生成回路20とは異なる回路要素との間にウェルコンタクト領域210が配されている。これにより、参照信号生成回路20の発熱の影響が低減され、出力信号の品質が向上する。したがって、本実施形態によれば、出力信号の品質を向上し得る信号処理装置が提供される。また、この信号処理装置を備えることにより、出力信号の品質を向上し得る光電変換装置が提供される。
【0058】
[第2実施形態]
図11及び
図12は本実施形態に係る光電変換装置の模式図である。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0059】
本実施形態における光電変換装置はいわゆる裏面照射型であって、積層用の基板1(第2基板)及び基板2(第1基板)を備える。基板1及び基板2は、それぞれ画素基板及び回路基板とも呼ばれ得る。基板1には複数の行及び複数の列をなすように配され、複数の画素10を含む画素アレイ100が形成されている。更に、基板1には、画素10を駆動するための制御線と、画素10から信号を読み出すための信号線とが配される。
【0060】
基板2は基板1に積層される。基板2には、2つの信号処理回路5a、5bが第2方向D2に並んで形成されている。信号処理回路5a、5bは略同一に構成され得る。基板2の信号処理回路5a、5bのそれぞれは、共通のマスクセットを用いて2回の露光を行うことによって形成されてもよい。なお、2つの信号処理回路5a、5bの上層の配線(メタル)層は一括露光により形成されてもよい。これにより、信号処理回路5a、5bのそれぞれにおける配線を適宜異ならせることが可能である。
【0061】
基板2において、信号処理回路5aは、AD変換回路(ADC)50a、50b、出力回路51a、51b及び行選択回路(垂直走査回路)11a、11bを含む。同様に、信号処理回路5bは、AD変換回路50c、50d、出力回路51c、51d及び行選択回路11c、11dを含む。AD変換回路50a~50dのそれぞれは、画素アレイ100の所定の領域に対応して設けられ得る。例えば、AD変換回路50a、50cは、画素アレイ100の奇数列の列信号線101aに対応し、AD変換回路50b、50dは、偶数列の列信号線101bに対応し得る(
図1参照)。
【0062】
行選択回路11a~11dは、基板1と基板2との接合部を介して制御信号を画素アレイ100に供給し、行ごとに画素10を駆動する。行選択回路11a、11bはAD変換回路50a、50bの両側に配置され、行選択回路11c、11dはAD変換回路50c、50dの両側に配置される。
【0063】
AD変換回路50a~50dは、比較器、カウンタ及びメモリを含み、画素10からの画素信号をデジタル信号に変換する。出力回路51a~51dはAD変換回路50a~50dからのデジタル信号において、デジタルゲイン、デジタル相関二重サンプリング、デジタルオフセット、リニアリティ補正等のデジタル信号処理を行い得る。更に、出力回路51a~51dは信号処理されたデジタル信号を光電変換装置の外部へ出力する。
【0064】
信号処理回路5a、5bは、配線群105、106によって互いに接続されている。すなわち、AD変換回路50aとAD変換回路50cとは配線群105によって互いに接続され、AD変換回路50bとAD変換回路50dとは配線群106によって互いに接続されている。配線群105、106は、参照信号を供給するための配線を含み得る。
【0065】
また、AD変換回路50aとAD変換回路50bの間には、参照信号生成回路20aが配されている。参照信号生成回路20aの機能は第1実施形態における参照信号生成回路20と同様である。また、本実施形態においても、ウェル領域200及びウェルコンタクト領域210が、基板2に対する平面視において、参照信号生成回路20aの三方を囲うように配されている。すなわち、基板2に対する平面視において、参照信号生成回路20aとそれ以外の回路要素(AD変換回路50a、50b)との間にウェルコンタクト領域210内のウェルコンタクトが配されている。
【0066】
また、AD変換回路50cとAD変換回路50dの間には、参照信号生成回路20bが配されている。参照信号生成回路20bは、後述するように参照信号を生成する動作を行わないダミーの回路であるが、共通のマスクセットを用いて2回の露光を行うことによって形成されるため、参照信号生成回路20aと同様の構造を有している。参照信号生成回路20bの周囲にも参照信号生成回路20aと同様にウェル領域200及びウェルコンタクト領域210が配されている。なお、製造プロセスによっては、参照信号生成回路20b、ウェル領域200及びウェルコンタクト領域210が配されていなくてもよい。
【0067】
図13は、本実施形態に係る信号処理回路の構成を説明するための図であって、
図12におけるAD変換回路50a(第1回路領域)、AD変換回路50c(第2回路領域)を示している。AD変換回路50a、50cの各々は、電流源121、比較器122、カウンタ16、第1メモリ123、第2メモリ124及び出力回路17を含む。電流源121、比較器122、第1メモリ123及び第2メモリ124は列ごとに設けられ、列回路を構成している。
【0068】
AD変換回路50aにおける複数の比較器122とAD変換回路50cにおける複数の比較器122には、1つの参照信号生成回路20aから配線群105を介して共通の参照信号RAMPが供給される。これにより、AD変換回路50aとAD変換回路50cの特性差が低減され得る。なお、この回路構成においては、参照信号生成回路20bは比較器122に接続されておらず、非動作である。したがって、参照信号生成回路20bは電力消費による発熱を生じない。
【0069】
本実施形態においても、カウンタ16は、複数の第1メモリ123にカウント信号を供給する。複数のAD変換回路50a~50dにおいて、複数のカウンタ16は互いに同期して動作するように構成されてもよい。例えば、複数のカウンタ16における動作の開始及び停止が共通の制御信号によって制御されてもよく、複数のクロック信号の位相がPLL回路などにより互いに同期するように制御されてもよい。
【0070】
AD変換回路50aにおける複数の電流源121とAD変換回路50cにおける複数の電流源121には、それぞれ共通のバイアス電圧が供給され得る。このような構成により、AD変換回路50a、50cにおける特性差を低減することが可能となる。
【0071】
本実施形態においても、画素から出力される信号を処理する信号処理装置である基板2における平面視において、参照信号生成回路20aと参照信号生成回路20aとは異なる回路要素との間にウェルコンタクト領域210が配されている。これにより、参照信号生成回路20aの発熱の影響が低減され、出力信号の品質が向上する。したがって、本実施形態によれば、出力信号の品質を向上し得る信号処理装置が提供される。また、この信号処理装置を備えることにより、出力信号の品質を向上し得る光電変換装置が提供される。
【0072】
また、基板2に基板1が積層される構成においては、基板1の画素10が発熱の影響を受ける可能性もある。例えば、画素アレイ100内の熱勾配により画素10の暗電流にシェーディング成分が生じる場合がある。これに対し、本実施形態においては、参照信号生成回路20aの発熱の影響が低減されているため、上述のような画素10が受ける熱の影響も低減され得る。
【0073】
なお、画素10が受ける発熱の影響は、画素10が平面視において参照信号生成回路20aと重なる位置に配されている場合に大きくなる。そのため、本実施形態による発熱低減効果は画素10が平面視において参照信号生成回路20aと重なっている場合により顕著となる。また、画素10が平面視において参照信号生成回路20aと重なるように配置することにより、画素10が平面視において参照信号生成回路20aとずれた位置に配置されている場合と比べて面積効率が高くなり、チップコストが低減され得る。
【0074】
なお、本実施形態においては2つの基板1、2が積層されている構造を例示しているが、3つ以上の基板が積層される構造であってもよい。また、本実施形態では、2つの信号処理回路5a、5bが配されている例が例示されているが、信号処理回路の個数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0075】
[第3実施形態]
上述の実施形態における光電変換装置は種々の機器に適用可能である。機器として、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、監視カメラ等があげられる。
図14に、機器の例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
【0076】
図14に示す機器7は、バリア706、レンズ702、絞り704、撮像装置70(光電変換装置の一例)を含む。また、機器7は、更に、信号処理部(処理装置)708、タイミング発生部720、全体制御・演算部718(制御装置)、メモリ部710(記憶装置)、記録媒体制御I/F部716、記録媒体714、外部I/F部712を含む。バリア706、レンズ702、絞り704の少なくとも1つは、機器に対応する光学装置である。バリア706はレンズ702を保護し、レンズ702は被写体の光学像を撮像装置70に結像させる。絞り704はレンズ702を通った光量を可変にする。撮像装置70は上述の実施形態のように構成され、レンズ702により結像された光学像を画像データ(画像信号)に変換する。信号処理部708は撮像装置70より出力された撮像データに対し各種の補正、データ圧縮等を行う。タイミング発生部720は撮像装置70及び信号処理部708に、各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部718はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部710は画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御I/F部716は記録媒体714に画像データの記録又は読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体714は撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。外部I/F部712は外部コンピュータ等と通信するためのインターフェースである。タイミング信号等は機器の外部から入力されてもよい。また、更に機器7は光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置(モニター、電子ビューファインダ等)を備えてもよい。機器は少なくとも光電変換装置を備える。更に、機器7は、光学装置、制御装置、処理装置、表示装置、記憶装置、及び光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置の少なくともいずれかを備える。機械装置は、光電変換装置の信号を受けて動作する可動部(たとえばロボットアーム)である。
【0077】
それぞれの画素が、複数の光電変換部(第1の光電変換部と、第2の光電変換部)を含んでもよい。信号処理部708は、第1の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号と、第2の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号とを処理し、撮像装置70から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
【0078】
[第4実施形態]
図15(a)、
図15(b)は、本実施形態における車載カメラに関する機器のブロック図である。機器8は、上述した実施形態の撮像装置80(光電変換装置の一例)と、撮像装置80からの信号を処理する信号処理装置(処理装置)を有する。機器8は、撮像装置80により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部801と、機器8より取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部802を有する。また、機器8は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部803と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部804とを有する。ここで、視差算出部802、距離計測部803は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部804はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0079】
機器8は車両情報取得装置810と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、機器8には、衝突判定部804での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU820が接続されている。また、機器8は、衝突判定部804での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置830とも接続されている。例えば、衝突判定部804の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU820はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置830は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステム等の画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。機器8は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
【0080】
本実施形態では車両の周囲、例えば前方又は後方を機器8で撮像する。
図15(b)は、車両前方(撮像範囲850)を撮像する場合の機器を示している。撮像制御手段としての車両情報取得装置810が、撮像動作を行うように機器8又は撮像装置80に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0081】
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、機器は、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機、人工衛星、産業用ロボット及び民生用ロボット等の移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)、監視システム等、広く物体認識又は生体認識を利用する機器に適用することができる。
【0082】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0083】
上述の実施形態において、光電変換装置の構成は上述の実施形態で述べたものに限られない。例えば、フローティングディフュージョンFDの容量は可変であってもよい。この構成は、例えば、可変容量、スイッチにより接続を切替可能な容量等を追加することにより実現され得る。また、画素アレイ100の1つの列に複数の列信号線が配されていてもよく、1つの画素に複数の選択トランジスタを配することにより、信号を出力する列信号線を切り替えることが可能な構成であってもよい。また、画素10のリセット時におけるアナログ信号を保持するための容量及びスイッチが比較器122に更に接続されていてもよい。この場合、比較器122はオートゼロ動作を行うことができる。
【0084】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0085】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2 基板
10 画素
16 カウンタ
18 バイアス回路
20 参照信号生成回路
100 画素アレイ
122 比較器
200 ウェル領域
210 ウェルコンタクト領域