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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】地下躯体の解体方法及び外壁の保持構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/05 20060101AFI20240909BHJP
   E02D 29/045 20060101ALI20240909BHJP
   E02D 17/04 20060101ALI20240909BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
E02D29/05 Z
E02D29/045 Z
E02D17/04 E
E02D17/04 Z
E04G23/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021064180
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159776
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】永田 鉄也
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-194277(JP,A)
【文献】特開昭62-094617(JP,A)
【文献】特開2018-044339(JP,A)
【文献】特開2007-154528(JP,A)
【文献】特開平07-018881(JP,A)
【文献】特開平05-179647(JP,A)
【文献】特開2013-079511(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109989406(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0103309(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/05
E02D 29/045
E02D 17/04
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の地下躯体の外壁の外周に山留め壁を配置すると共に、前記地下躯体の内周側の、前記外壁に接続した耐圧版と前記外壁との間に斜め梁を架設して双方に接続し、
前記耐圧版の、前記斜め梁の下端部との接続部分の内周側の部分を解体・撤去し、
前記残された耐圧版の内周側に沿った部分の地盤を地盤改良して外側改良体を構築し、前記斜め梁に作用する軸力の反力を前記外側改良体に負担させることを特徴とする地下躯体の解体方法。
【請求項2】
解体途中の既存の地下躯体の外壁の内周面と、前記外壁に接続し、前記外壁側が残されている耐圧版の上面との間に斜め梁が架設されて双方に接続され、
前記耐圧版の内周側の側面の内周側の地盤に、前記耐圧版の前記側面と前記地盤との間に双方に密着した状態で外側改良体が構築され、
前記斜め梁に作用する軸力の反力を前記外側改良体が負担していることを特徴とする地下躯体の外壁の保持構造。
【請求項3】
前記外側改良体は縦断面上、前記耐圧版側の厚さより前記地盤側の厚さが大きい断面形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の地下躯体の外壁の保持構造。
【請求項4】
請求項1に記載の地下躯体の解体方法における前記外側改良体の構築後に実施される方法であり、
請求項1に記載の前記斜め梁からの軸力の反力を前記外側改良体に負担させた状態で、前記残された耐圧版の内周側の地盤上に土を埋め戻し、前記外壁の上部と同等のレベルまで内側埋戻し土を形成し、
前記外壁の上部と水平方向に対向する位置の前記内側埋戻し土中の地盤を地盤改良して内側改良体を構築すると共に、前記外壁と前記内側改良体との間に切梁を架設して前記斜め梁に作用していた軸力の反力を前記切梁を通じて前記内側改良体に負担させ、
前記斜め梁を回収することを特徴とする地下躯体の解体方法。
【請求項5】
解体途中の既存の地下躯体の外壁の内周面と、前記外壁に接続し、前記外壁側が残されている耐圧版の内周側の地盤上に、前記外壁の上部と同等のレベルまで内側埋戻し土が形成され、
前記外壁の上部と水平方向に対向する位置の前記内側埋戻し土中に、前記内側埋戻し土側が前記内側埋戻し土に密着した状態で内側改良体が構築されると共に、前記外壁と前記内側改良体との間に切梁が架設され、
前記切梁に作用する軸力を前記内側改良体が負担していることを特徴とする地下躯体の外壁の保持構造。
【請求項6】
前記内側改良体は縦断面上、前記切梁側の厚さより前記内側埋戻し土側の厚さが大きい断面形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の地下躯体の外壁の保持構造。
【請求項7】
請求項4に記載の地下躯体の解体方法における前記内側改良体の構築後に実施される方法であり、
請求項4に記載の前記切梁からの軸力の反力を前記内側改良体に負担させた状態で、前記切梁の前記外壁側の端部が接続されている部分より下方の前記外壁と前記残されている耐圧版を解体・撤去し、前記内側埋戻し土の外周側の地盤上に前記切梁の下まで土を埋め戻して外側埋戻し土を形成する共に、前記切梁を撤去し、
前記外側埋戻し土上の外周部分を残し、前記残されている外壁を露出させたまま、前記外側埋戻し土上に土を埋め戻して上段側埋戻し土を形成し、
前記残されている外壁を解体・撤去し、
前記上段側埋戻し土の外周に土を埋め戻して上部埋戻し土を形成し、前記山留め壁を回収することを特徴とする地下躯体の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下躯体を解体・撤去し、地下躯体のあった場所に土を埋め戻す地下躯体の解体方法、及びその方法で採用される外壁の保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存の地下躯体を解体し、撤去した後の地下空間に土を埋め戻す場合、地下躯体外壁の外周側に山留め壁を配置する一方、外壁の内周側に腹起しを設置し、対向する腹起し間に切梁を架設して山留め壁と外壁を保持する方法が一般的である(特許文献1参照)。但し、地下躯体の敷地面積が広大であれば、仮設材(支保工)数が膨大になるため、高コストになる他、切梁を架設すべき区間が大きくなるため、切梁の架設自体が不可能か、困難になる。
【0003】
山留め壁の保持のために、アースアンカーを使用する方法があるが(特許文献2参照)、山留め壁背面の地山(地盤)が軟弱である場合には、アースアンカーから十分な反力を得られないため、効果が薄く、地山全体に対して地盤改良を施せば、やはり高コストになる。また地下躯体周囲の地山に反力を取れるだけの奥行きがなければ、施工自体が不可能か、困難になる。
【0004】
山留め壁内周側の地盤を地盤改良し、対向する地盤改良体間に山留め壁からの土圧に抵抗するスラブを構築する方法があるが(特許文献3参照)、スラブは地盤改良体に囲まれた地盤を掘削底面まで掘り下げない限り、構築することができないため、既存の地下躯体を解体する方法には適用することが難しい。
【0005】
上記方法より施工コストを削減する方法として、山留め壁に対向する地盤中に杭を打ち込み、杭と山留め壁との間に梁を斜めに架設し、山留め壁からの土圧を杭に負担させる方法がある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平4-194277号公報(第2頁上右欄第15行~下右欄第7行、第1図)
【文献】特開2014-152493号公報(請求項4、段落0017~0042、図4
【文献】特開2003-90043号公報(請求項1、段落0017~0022、図1図6
【文献】特開2008-144546号公報(請求項1、段落0009~0016、図1図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4では梁から杭に伝達される圧縮力が杭の地盤面が露出している区間に曲げ変形を生じさせる可能性があるため(段落0016、図5)、地下躯体に適用された場合に、地下躯体からの荷重を効果的に地盤に伝達することが難しい。
【0008】
本発明は上記背景より、特許文献1、2の方法より施工コストを削減しつつ、地下躯体外周の地山が軟弱である場合にも地山からの土圧に抵抗しながら、地下躯体の解体を遂行可能な地下躯体の解体方法、及びその方法で採用される外壁の保持構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の地下躯体の解体方法は、既存の地下躯体の外壁の外周に山留め壁を配置すると共に、前記地下躯体の内周側の、前記外壁に接続した耐圧版と前記外壁との間に斜め梁を架設して双方に接続し、前記耐圧版の、前記斜め梁の下端部との接続部分の内周側の部分を解体・撤去し、残された前記耐圧版の内周側に沿った部分の地盤を地盤改良して外側改良体を構築し、前記斜め梁に作用する軸力の反力を前外側記地盤改良体に負担させることを構成要件とする。
【0010】
「既存の地下躯体の外壁の外周に山留め壁を配置する」とは、山留め壁を構成するシートパイル(鋼矢板)等の仮設材を地下躯体の外壁の外周に設置して山留め壁を形成することと、山留め壁としての地中連続壁等を構築することを含むが、本発明は地下躯体の解体と撤去を目的にするため、主には仮設材の設置を言う。山留め壁は外壁と山留め壁背面の地山との間に配置される。地下躯体の解体作業開始の時点では、地下の外壁より上の躯体と、外壁と耐圧版以外の躯体は解体・撤去されている。
【0011】
「地下躯体の内周側の耐圧版と外壁との間に斜め梁を架設して双方に接続し」とは、図1-(a)に示すように山留め壁4の内周側に位置する外壁2の内周面とその内周側に位置する耐圧版(地下スラブ)3との間に斜め梁5を架設し、外壁2が受けている、山留め壁4外周側の地山の土圧を斜め梁5を介して耐圧版3に負担させ、外壁2の転倒を防止する状態にすることを言う。「内周側」は地下躯体1を平面で見たときの、周回する外壁2の内側を指す。地下躯体1の解体作業開始の時点では、山留め壁4の頂部は外壁2の頂部付近以上に位置する。「接続」は実質的にピン接合である。
【0012】
「耐圧版の、斜め梁の下端部との接続部分の内周側の部分を解体・撤去し」とは、図1-(c)に示すように斜め梁5が跨り、その両端部が接続されている部分を含む外壁2と耐圧版3を残し、耐圧版3の内周側の領域を解体して撤去することを言う。耐圧版3の内周側の領域の撤去の結果、地下躯体1全体を見れば、図2-(c)、(d)に示すようには平面上、耐圧版3は外壁2に接続する部分が帯状に残される。
【0013】
ここで、外壁2が受ける土圧による水平荷重Fに対しては、斜め梁5の軸方向(軸線)が水平面に対し、小さい角度で傾斜する程、斜め梁5に生じる軸力(反力)Nを小さくすることができるが、残される耐圧版3の帯状部分の幅が大きくなる。残される耐圧版3の幅が大きければ、残された耐圧版3の後に解体・撤去すべき量が多くなり、事後的な解体作業の効率が低下する可能性がある。
【0014】
一方、斜め梁5の軸線の水平面とのなす角度を大きくすれば、残される耐圧版3の幅を抑えることができ、事後的な耐圧版3の解体作業の効率が上がるが、斜め梁5に生じる軸力Nが大きくなる。例えば斜め梁5の軸線の水平面とのなす角度が45°の場合、土圧による1本の斜め梁5に作用する水平荷重をFとすれば、1本の斜め梁5が負担する軸力(圧縮力)Nは√2・Fになる。
【0015】
只、斜め梁5に生じる軸力Nの大小に拘わらず、耐圧版3の斜め梁5下端部との接続部分には土圧による水平荷重Fと同一の水平反力が生じるため、耐圧版3の内周側部分の解体・撤去後に残された耐圧版3の内周面(内周側の側面3a)は解体前の耐圧版3があった部分の下にある地盤(原地盤)から水平荷重F分の反力(水平反力)Rを受ける必要がある。但し、斜め梁5を外壁2と耐圧版3との間に架設した後には、図1-(c)に示すように耐圧版3の斜め梁5との接続部分の内周側の領域は解体・撤去され、撤去された部分には原地盤がないため、この撤去される耐圧版3があった部分から水平荷重F分の反力Rを得られない可能性がある。
【0016】
斜め梁5を架設し、耐圧版3の斜め梁5との接続部分の内周側を撤去する前の、図1-(a)、(b)に示す状態では、耐圧版3の斜め梁5との接続部分には撤去前の耐圧版3の領域から水平荷重Fに抵抗する反力Rが生じている。図1-(c)に示す耐圧版3の内周側を撤去した直後には一時的に、解体後に残された耐圧版3の内周側の側面から反力Rを得ることができなくないか、難しくなる。
【0017】
撤去された耐圧版3があった部分から、残された耐圧版3が水平荷重F分の反力を受けられなければ、残された耐圧版3の斜め梁5との接続部分は斜め梁5からの軸力Nの水平成分により耐圧版3の内周側へ向かう力を受けるため、耐圧版3は内周側へ移動しようとするか、引張力により破壊する可能性がある。
【0018】
この撤去された耐圧版3があった部分から、残された耐圧版3の側面が水平荷重F分の反力Rを受け、耐圧版3の移動と引張破壊に対する安定性を確保する目的で、耐圧版3の内周側に沿った部分の地盤が地盤改良されて外側改良体6が構築され、斜め梁5に作用する軸力Nの反力としての水平荷重F分の反力Rを外側改良体6に負担させることが行われる(請求項1)。外側改良体6は平面上、斜め梁5の耐圧版3との接続点の延長線上にのみ、部分的に構築される場合と、図2-(d)に示すように耐圧3版の内周面に沿って周方向に連続的に構築される場合がある。
【0019】
外側改良体6は、残されている耐圧版3に斜め梁5から作用する地山からの水平荷重Fの反力Rを耐圧版3の内周面に与える目的で形成され、外側改良体6が負担する反力Rは解体・撤去後の不在になった耐圧版3の下に存在している原地盤に伝達される。この関係で、元の原地盤のみでは十分な反力Rを得られない場合には、図1-(d)に示すように後述の内側埋戻し土8の形成前に原地盤上にも土が埋め戻され、一時的に下段側埋戻し土7が形成される。「耐圧版の内周面」は残された耐圧版3の、解体された耐圧版3側の側面3aを指す。
【0020】
外側改良体6が構築された状態は、解体途中の既存の地下躯体1の外壁2の内周面と、外壁2に接続し、外壁2側が残されている耐圧版3の上面との間に斜め梁5が架設されて双方に接続され、耐圧版3の内周側の側面の内周側の地盤(原地盤)に、耐圧版3の側面と地盤との間に双方に密着した状態で外側改良体6が構築され、斜め梁5に作用する軸力Nの反力Rを外側改良体6が負担している状態と言える(請求項2)。「外壁側が残されている耐圧版」は外壁2の下部に接続している。
【0021】
請求項1、2では山留め壁4と外壁2を介して地山から斜め梁5に作用し、斜め梁5を通じて耐圧版3の斜め梁5との接続点に作用する土圧による水平荷重Fの反力Rを外側改良体6に負担させるため、水平荷重Fによる耐圧版3の移動や引張破壊に対する安定性が確保される。また地山から外壁2に作用する水平荷重Fを耐圧版3の内周側に形成される外側改良体6に負担させるため、地下躯体1外周の地山が軟弱であるか否かに拘わらず、地下躯体1の解体作業を遂行することが可能である。
【0022】
斜め梁5は外壁2と外壁2寄りの耐圧版3との間に架設され、対向する外壁2、2間に架設されることがないため、斜め梁5を含む仮設材が膨大になることも、架設が不可能になることもない結果、施工コストは削減され、解体作業が実施不能になることはない。
【0023】
外側改良体6は図1-(d)に示すように縦断面上、耐圧版3の内周面と原地盤との間に、双方に密着した状態に形成されることで、外側改良体6の原地盤側の側面(内周面)に土圧に対する反力Rを原地盤から垂直抗力として受ける状態になる。原地盤には上記のように下段側埋戻し土7が含まれることもある。ここで、縦断面上、外側改良体6を耐圧版3側の厚さより原地盤側の厚さが大きくなるような断面形状に形成すれば(請求項3)、外側改良体6が耐圧版3から力を受ける面積より原地盤から反力Rを受ける面積が大きくなる。
【0024】
この結果、外側改良体6の側面と原地盤との間に生じる圧力を、面積が等しい場合より小さくすることができるため、外側改良体6の原地盤側の部分の脆性化が回避され、外側改良体6自体を破損しにくくすることができる。併せて外側改良体6の耐圧版3からの力による移動に対する安定性が向上する。
【0025】
また外側改良体6が耐圧版3側の厚さより原地盤側の厚さが大きい形状をすることで、両側の厚さが等しい場合より外側改良体6の縦断面積が大きくなる。同時に、原地盤上に外側改良体6の質量が加わることで、外側改良体6の底面と原地盤との間の摩擦力が増し、この摩擦力が、外側改良体6が負担すべき反力Rに加算されるため、外側改良体6の内周面から受けるべき垂直抗力の反力が小さくて済む。摩擦力が反力Rに加算されることで、外側改良体6自体の破壊に対する安定性と移動に対する安定性が向上する。
【0026】
請求項1の方法で形成した外側改良体の構築後には、斜め梁5からの軸力Nの反力Rを耐圧版3を介して外側改良体6に負担させた状態で、残された耐圧版3の内周側の地盤上に土を埋め戻し、外壁2の上部と同等のレベルまで内側埋戻し土8を形成し、外壁2の上部と水平方向に対向する位置の内側埋戻し土8中の地盤を地盤改良して内側改良体9を構築すると共に、外壁2と内側改良体9との間に切梁10を架設して斜め梁5に作用していた軸力Nの反力Rを切梁10を通じて内側改良体9に負担させる作業が行われる(請求項4)。「水平方向」は厳密に水平である必要はなく、水平方向に近い方向、例えば水平に対して15°程度以内の角度を含む。「外壁2の上部」は外壁2の高さ方向の中間部より上側の部分を指す。斜め梁5に作用していた軸力Nの反力Rを内側改良体9に負担させる状態になった時点で、斜め梁5が回収される(請求項4)。
【0027】
請求項1の方法で残された耐圧版3と外壁2との間に架設されている斜め梁5は、外壁2からの土圧による水平荷重Fを耐圧版3を介して外側改良体6に負担させる働きをしていたが、耐圧版3と外壁2はいずれ解体・撤去されるため、斜め梁5も回収される必要がある。
【0028】
そこで、斜め梁5が耐圧版3に伝達していた水平荷重Fを斜め梁5に代わって切梁10に伝達させるために、外壁2の上部と同等のレベルにまで土が埋め戻され、内側埋戻し土8が形成される。外壁2の上部と同等のレベルにまで土を埋め戻す理由は、切梁10の軸線と水平面とのなす角度を可能な限り、小さくするためである。角度が例えば30°であれば、切梁10が負担する水平荷重Fによる軸力Nは2/√3・Fで、45°のときの軸力N=√2・Fより小さくなり、0°であれば、切梁10の軸力NはFで済む。
【0029】
「残された耐圧版の内周側の地盤」は残された耐圧版3の内周面(側面)より内周側の地盤を指し、残されている耐圧版3の解体・撤去を見越し、耐圧版3を埋めない領域の原地盤上に土が埋め戻されて内側埋戻し土8が形成される。前記のように解体された耐圧版3の撤去後に露出した原地盤上に下段側埋戻し土7が埋め戻されている場合には、内側埋戻し土8は下段側埋戻し土7上に形成される。内側埋戻し土8は、残されている耐圧版3を解体・撤去する際に必要となる斜め梁5の回収に当たり、斜め梁5が負担している水平荷重Fを斜め梁5に代わって負担する切梁10を外壁2との間に架設する目的で形成される。
【0030】
内側埋戻し土8の形成のみでは、切梁10から内側埋戻し土8に伝達される水平荷重Fを負担しきれない可能性があるため、切梁10の内側埋戻し土8側の端部部分の地盤が地盤改良されて内側改良体9が構築される。内側改良体9も図3に示すように縦断面上、切梁10の内側改良体9側の端部と内側埋戻し土8との間に双方に密着し、内側埋戻し土8からの反力R’を受ける状態に形成される。
【0031】
内側改良体9が構築された状態は、解体途中の既存の地下躯体1の外壁2の内周面と、外壁2に接続し、外壁2側が残されている耐圧版3の内周側の地盤上に、外壁2の上部と同等のレベルまで内側埋戻し土8が形成され、外壁2の上部と水平方向に対向する位置の内側埋戻し土8中に、内側埋戻し土8側が内側埋戻し土8に密着した状態で内側改良体9が構築されると共に、外壁2と内側改良体9との間に切梁10が架設され、切梁10に作用する軸力N’を内側改良体9が負担している状態と言える(請求項5)。
【0032】
耐圧版3は外壁2の下部に接続している。「外壁2の下部」は外壁2の高さ方向の中間部より下側の部分を指す。内側改良体9は図3に示すように縦断面上、切梁10の内側埋戻し土8側の端部と内側埋戻し土8との間で、内側埋戻し土8に密着した状態に形成され、内側埋戻し土8からの反力R’を受ける状態になる。
【0033】
ここでも、縦断面上、内側改良体9を切梁10側の厚さより内側埋戻し土8側の厚さが大きくなるような断面形状に形成すれば(請求項6)、内側改良体9が切梁10から力を受ける面積より内側埋戻し土8から反力R’を受ける面積が大きくなり、内側改良体9と内側埋戻し土8との間に生じる圧力を、面積が等しい場合より小さくすることができる。併せて内側埋戻し土8上に内側改良体9の質量が加わることで、内側埋戻し土8との間の摩擦力が増す結果、内側改良体9の内側埋戻し土8側の部分の脆性化が回避され、内側改良体9自体が破損しにくくなる上、内側改良体9の切梁10からの力による移動に対する安定性が向上する。
【0034】
請求項4、5では外壁2から切梁10に作用し、切梁10の軸力N’を介して内側改良体9に伝達される土圧による水平荷重Fの反力R’を内側改良体9と内側埋戻し土8に負担させるため、斜め梁5に作用していた土圧による軸力Nを斜め梁5に代わって内側改良体9と内側埋戻し土8に負担させることが可能になり、残されている耐圧版3と外壁2の下側部分を解体・撤去することが可能になる。また切梁10からの水平荷重Fに対する内側改良体9の移動や引張破壊に対する安定性が確保される。
【0035】
加えて地下躯体1の外壁2と内側埋戻し土8上の内側改良体9との間に架設される切梁10を通じて外壁2に作用する土圧による水平荷重Fを外壁2の内周側に形成される内側改良体9に負担させるため、地下躯体1外周の地山が軟弱であるか否かに拘わらず、地下躯体1の解体作業を遂行することが可能である。
【0036】
更に切梁10は外壁2の上部と、これに水平方向に対向する位置の内側埋戻し土8中に構築される内側改良体9との間に架設され、対向する外壁2、2間に架設されることがないため、切梁10を含む仮設材が膨大になることも、架設が不可能になることもない結果、施工コストは削減され、解体作業が実施不能になることはない。
【0037】
請求項4の方法で形成した内側改良体9の構築後には、切梁10からの軸力N’の反力R’を内側改良体9に負担させた状態で、図5-(a)~(c)に示すように切梁10の外壁2側の端部が接続されている部分より下方の外壁2と残されている耐圧版3を解体・撤去し、内側埋戻し土8の外周側の地盤上に切梁10の下まで土を埋め戻して外側埋戻し土11を形成する共に、切梁10を撤去する作業が行われる(請求項7)。外側埋戻し土11は撤去後の耐圧版3の下にあった原地盤上にも形成される。
【0038】
図5-(c)に示す切梁10の撤去までは、切梁10の外壁2側の端部が接続されている外壁2の一部は残されている。切梁10の下の土(外側埋戻し土11)は下側の外壁2の撤去時に露出した山留め壁4の内周面から内側埋戻し土8の外周面までの領域に戻され、山留め壁4と内側埋戻し土8との間に充填される。外側埋戻し土11は残されている上側の外壁2の下まで形成されるが、山留め壁4の内周面に接触し、山留め壁4からの土圧を負担し、内側埋戻し土8に伝達する状態になる。切梁10の撤去までは、切梁10は内側埋戻し土8からの反力R’を受けた状態にある。
【0039】
切梁10の外壁2側の端部の接続部分を含む外壁2より下側の外壁2と耐圧版3の撤去時には、切梁10の内側埋戻し土8側の端部が接続された内側改良体9と内側埋戻し土8が切梁10からの軸力N’(土圧)の反力R’を負担している。この状態で、外側埋戻し土11が形成されることで、外側埋戻し土11と内側埋戻し土8が内側改良体9と内側埋戻し土8に代わって土圧による水平荷重Fを負担する状態になり、切梁10の撤去が可能になる。
【0040】
切梁10の撤去後、図5-(d)に示すように外側埋戻し土11上の外周部分を残し、残されている外壁2を露出させたまま、外側埋戻し土11上に土を埋め戻して上段側埋戻し土12を形成し、残されている外壁2を解体・撤去し、上段側埋戻し土12の外周に土を埋め戻して上部埋戻し土13を形成し、山留め壁4を回収する作業が行われる(請求項7)。
【0041】
切梁10の撤去の時点では、図5-(c)に示すように外壁2の上側部分は残されているため、内側埋戻し土8の外周側の部分の天端は山留め壁4の頂部の高さには至っておらず、山留め壁4の頂部より低い位置にある。この関係で、上段側埋戻し土12は外側埋戻し土11上と内側埋戻し土8上に跨るように形成される。上段側埋戻し土12の形成時、残されている外壁2の解体・撤去の目的から、外壁2の内周面が露出するように上段側埋戻し土12が形成される。この外壁2の内周面と上段側埋戻し土12との間の空間を利用して(d)に示すように残されている外壁2が解体・撤去される。
【0042】
上部の外壁2の撤去後、図5-(e)、(f)に示すように外側埋戻し土11上の、上段側埋戻し土12の外周である上段側埋戻し土12の外周と山留め壁4との間の空間に最終の土を埋め戻して上部埋戻し土13が形成される(請求項7)。上部埋戻し土13が形成されることで、山留め壁4が地山と埋戻し土11、13に厚さ方向に拘束された状態になり、山留め壁4が仮設材の場合にはそのまま回収される。
【発明の効果】
【0043】
請求項1、2では山留め壁と外壁を介して地山から斜め梁に作用し、斜め梁を通じて耐圧版の斜め梁との接続点に作用する土圧による水平荷重の反力を外側改良体に負担させるため、水平荷重による耐圧版の移動や引張破壊に対する安定性が確保される。また地山から外壁に作用する水平荷重を耐圧版の内周側に形成される外側改良体に負担させるため、地下躯体外周の地山が軟弱であるか否かに拘わらず、地下躯体の解体作業を遂行することができる。
【0044】
加えて斜め梁は外壁と外壁寄りの耐圧版との間に架設され、対向する外壁間に架設されることはないため、斜め梁を含む仮設材が膨大になることも、架設が不可能になることもなくなる結果、施工コストが削減され、解体作業が実施不能になることもない。
【0045】
請求項4、5では外壁から切梁に作用し、切梁の軸力を介して内側改良体に伝達される土圧による水平荷重の反力を内側改良体と内側埋戻し土に負担させるため、斜め梁に作用していた土圧による軸力を斜め梁に代わって内側改良体と内側埋戻し土に負担させることができ、残されている耐圧版と外壁の下側部分を解体・撤去することができる。また切梁からの水平荷重に対する内側改良体の移動や引張破壊に対する安定性が確保される。
【0046】
加えて地下躯体の外壁と内側改良体との間に架設される切梁を通じて外壁に作用する土圧による水平荷重を外壁の内周側に形成される内側改良体に負担させるため、地下躯体外周の地山が軟弱であるか否かに拘わらず、地下躯体の解体作業を遂行することができる。
【0047】
更に切梁は外壁の上部と、これに水平方向に対向する位置の内側埋戻し土中に構築される内側改良体との間に架設され、対向する外壁間に架設されることがないため、切梁を含む仮設材が膨大になることも、架設が不可能になることもない結果、施工コストは削減され、解体作業が実施不能になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】(a)~(d)は地下躯体の外壁と耐圧版との間に斜め梁を架設する工程から外側改良体を構築するまでの工程を示した縦断面図である。
図2】(a)~(d)は図1-(a)~(d)の各工程に対応した山留め壁と斜め梁との関係を示した平面図である。
図3図1-(d)の次の工程として外壁と内側改良体との間に切梁を架設した様子を示した縦断面図である。
図4図3の工程に対応した山留め壁と斜め梁との関係を示した平面図である。
図5】(a)~(g)は図3の次の工程から山留め壁の回収までの工程を示した縦断面図である。
図6】(a)~(g)は図5-(a)~(g)の各工程に対応した山留め壁と斜め梁との関係を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1-(a)~(d)、図2-(a)~(d)に基づき、既存の地下躯体1の外壁2とこれに接続する耐圧版(地下スラブ)3との間に斜め梁5を架設する工程から、斜め梁5から伝達される水平荷重に抵抗する外側改良体6を構築する工程までの作業手順を説明する。図1-(a)、図2-(a)は地下躯体1の内、平面上、周回する外壁2の地上部分と地盤面に接触している耐圧版3以外の躯体が解体・撤去されている様子を示している。
【0050】
図1-(a)、図2-(a)の状態で、地下躯体1の外壁2の外周と地山14との間に山留め壁4が配置され、外壁2と耐圧版3との間に斜め梁5が架設されて双方に接続される。外壁2の内周側(耐圧版3側)の面には、斜め梁5の上端部と後述の切梁10が接続され、外壁2の転倒を防止する腹起し15が外壁2に沿い、周回して設置され、接続される。耐圧版3の外壁2寄りの上面には斜め梁5の下端部が接続され、斜め梁5の上端部の位置と対になるブラケット16が接続される。
【0051】
腹起し14とブラケット15との間に斜め梁5が架設され、両者に接続された時点で、地山14から山留め壁4を介して外壁2に作用する土圧による水平荷重Fが斜め梁5の軸力Nを通じて耐圧版3に伝達され、耐圧版3のブラケット15部分に水平荷重Fと釣り合う反力R(=F)が生じる。図1に示す例では軸線を水平面に対して45°の角度にして斜め梁5を架設した場合の例を示すが、このとき、斜め梁5には√2・Fの軸力Nが生じている。
【0052】
斜め梁5の架設状態で、図1図2)-(c)、(d)に示すように斜め梁5の下端部が接続されたブラケット16の接続部分を含む耐圧版3の外周(外壁2)寄りの部分を残し、耐圧版3の内周側の部分は解体され、撤去される。この関係で、(b)に示すように解体・撤去用の車両の搬入・搬出のための通路としての斜路17がいずれかの外壁2から耐圧版3の内周側までの区間に形成される。
【0053】
以下では図1-(c)、図2-(c)に示すように耐圧版3全体の内、斜め梁5の下端部(ブラケット16)が接続される部分から外壁2までの外壁2寄りの区間(帯状の領域)を耐圧版31と言い、耐圧版31の内周側の、最初に解体される区間(帯状の領域)を耐圧版32と言う。耐圧版32より平面上の中心寄りの、耐圧版32の解体に続いて解体される部分(長方形状の領域)を耐圧版33と言う。外壁2寄りの耐圧版31は耐圧版33の解体後に解体される。
【0054】
図1図2)-(c)に示すように耐圧版31の内周側の領域である耐圧版32の解体に伴い、残される外壁2寄りの耐圧版31の内周側の側面3aに解体前の耐圧版32からの反力を受けることができなくなるか、困難になるため、耐圧版32の解体・撤去に続き、図1図2)-(d)に示すように側面3aの内周側の地盤(原地盤)が地盤改良され、外側改良体6が構築される。
【0055】
耐圧版31寄りの耐圧版32は外側改良体6の構築前に解体されるから、外側改良体6に水平荷重Fを負担させる前に、耐圧版32全体の内、一部の耐圧版32に水平荷重Fを負担させる目的で、図2-(c)に示すように平面上、耐圧版32の解体箇所が外壁2の周方向に複数の区分に区画される。
【0056】
耐圧版32は平面上の中心寄りの耐圧版33からは帯状に区画され、この帯状の耐圧版32が周方向に複数区分に区画される。区画された一区分は例えば正方形等の規則的な形状をし、図2-(c)に実線で示すように例えば一区分置きの区分が先行して解体・撤去され、撤去された区分内の耐圧版31寄りに、側面3aに接触して外側改良体6が構築される。一区分の解体・撤去と外側改良体6構築の作業は周方向に繰り返される。図2-(d)は外側改良体6が耐圧版31の側面3aに沿って周方向に連続して形成された状況を示している。
【0057】
耐圧版31寄りの耐圧版32が中心寄りの耐圧版33から帯状に区画された上で、周方向にも複数区分に区画され、一区分等置きの区分が解体・撤去されながら、同一区分内の耐圧版31寄りに外側改良体6が構築されることで、外側改良体6の構築前の時点で解体されない一区分等置きの区分が各斜め梁5から伝達される水平荷重Fを分担することができる。この結果、外側改良体6の構築前でも斜め梁5からの水平荷重Fに対する外壁2寄りの耐圧版31の安定性が確保される。
【0058】
外側改良体6は耐圧版31のブラケット16部分に生じるべき反力Rを耐圧版31に与える役目を持つため、図1-(d)に示すように耐圧版32があった原地盤からの反力を受け易い、例えば台形の断面形状に形成される。この外側改良体6からの反力に抵抗させるために、必要であれば、耐圧版32があった部分には土が埋め戻され、下段側埋戻し土7が形成される。耐圧版31の側面3aと原地盤に接した状態で外側改良体6が構築された時点で、土圧による水平荷重Fは斜め梁5を通じて耐圧版31と外側改良体6に伝達された状態になる。
【0059】
斜め梁5からの軸力Nの反力を外側改良体6に負担させた状態で、図3図4に示すように残された耐圧版31の内周側の地盤上に土が埋め戻され、外壁2の上部と同等のレベルまで内側埋戻し土8が形成される。下段側埋戻し土7が形成されている場合、内側埋戻し土8は外側改良体6と下段側埋戻し土7上に形成され、外側改良体6は内側埋戻し土8内に埋設される。内側埋戻し土8の形成後、外壁2の上部と水平方向に対向する位置の内側埋戻し土8中の地盤が地盤改良されて内側改良体9が構築される。
【0060】
内側改良体9の構築と並行して、または前後して外壁2と内側改良体9との間に切梁10が水平に、または水平に近い角度で架設され、外壁2側の端部は外壁2に接続されている腹起し15に接続される。切梁10の内側埋戻し土8側の端部は、内側改良体9の崩落を防止するために内側改良体9の外壁2側に一体化させられる内側腹起し18に接続される。切梁10の架設の結果、斜め梁5に作用していた軸力Nの反力R’が切梁10を通じて内側改良体9に伝達され、内側改良体9が負担する。切梁10には水平荷重Fと釣り合う軸力N’が生じるため、内側改良体9に生じる反力R’は水平荷重Fに等しい。
【0061】
切梁10の架設時、二方向の外壁2、2に囲まれた、平面上の隅角部から内側改良体9までの間に切梁10を架設することが難しいか、不可能な場合、隅角部の外壁2、2の転倒を防止する上で必要な場合には、図4に示すように外壁2、2間に火打ち19が架設される。
【0062】
内側改良体9の構築時、あるいは内側埋戻し土8の形成時、内側埋戻し土8の平面上の中心寄りの部分(領域)の天端を図3に示すように外壁2の頂部の高さに合わせた高さにした場合、降雨や放水による水がレベルの高い内側埋戻し土8の中心寄りの部分から、埋め戻しの済んでいない切梁10側へ流れ込み、作業に支障を来す可能性がある。そこで、後述の上段側埋戻し土12の形成が終了するまで、図3図4に示すように内側埋戻し土8の中心寄りの部分と内側改良体9の境界部分に排水溝20が形成され、集められた水が排水溝20のいずれかの部分から外壁2外に排出される。
【0063】
切梁10からの軸力N’の反力R’が内側改良体9に負担された状態で、図5図6)-(a)に示すように切梁10の外壁2側の端部が接続されている部分より下方の外壁2と残されている耐圧版31が解体され、撤去される。下方の外壁2と耐圧版31の撤去後、図5図6)-(b)に示すように内側埋戻し土8の外周側の地盤上に切梁10の下まで土が埋め戻されて外側埋戻し土11が形成される。外側埋戻し土11の形成と並行して、または前後して図5図6)-(c)に示すように切梁10と火打ち19が撤去され、併せて腹起し15と内側腹起し18も撤去される。
【0064】
切梁10の撤去後、図5図6)-(d)に示すように外側埋戻し土11上の外周部分を残し、残されている上方の外壁2を露出させたまま、外側埋戻し土11上に土が埋め戻されて上段側埋戻し土12が形成される。上段側埋戻し土12の形成と並行して、または前後して図5図6)-(e)に示すように残されている上方の外壁2が解体され、撤去される。
【0065】
上方の外壁2の撤去後、図5図6)-(f)に示すように上段側埋戻し土12の外周に土が埋め戻されて上部埋戻し土13が形成され、引き続き、図5図6)-(g)に示すように山留め壁4が仮設材である場合、山留め壁4が回収される。
【符号の説明】
【0066】
1……地下躯体、2……外壁、3……耐圧版、3a……側面、31……(外壁寄りの)耐圧版、32……(耐圧版31寄りの)耐圧版、33……(中心寄りの)耐圧版、
4……山留め壁、
5……斜め梁、
6……外側改良体、7……下段側埋戻し土、
8……内側埋戻し土、9……内側改良体、10……切梁、
11……外側埋戻し土、12……上段側埋戻し土、13……上部埋戻し土、
14……地山、15……腹起し、16……ブラケット、17……斜路、
18……内側腹起し、19……火打ち、
20……排水溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6