(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】給排水設備
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240909BHJP
E03C 1/322 20060101ALI20240909BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20240909BHJP
A47K 1/05 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
E03C1/042 A
E03C1/322
A47K1/00 Z
A47K1/05 B
(21)【出願番号】P 2021066608
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
(72)【発明者】
【氏名】尾関 康弘
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-029083(JP,U)
【文献】特開2008-154996(JP,A)
【文献】実開昭54-022939(JP,U)
【文献】特開2018-071118(JP,A)
【文献】特開2002-165720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03C 1/322
A47K 1/00
A47K 1/05
A47B 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給排水設備であって、
壁付けの吐水管を備える給水設備と、
前記吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、
前記壁に沿って前記ボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、を有
し、
前記ボウルが、前記座面よりも高位置に配置される給排水設備。
【請求項2】
給排水設備であって、
壁付けの吐水管を備える給水設備と、
前記吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、
前記壁に沿って前記ボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、を有し、
前記ボウルが、前記腰掛けの直上位置に設けられ、前記腰掛けの前記座面が、前記ボウルを幅方向に越えて延びる給排水設備。
【請求項3】
請求項2に記載の給排水設備であって、
前記ボウルが、前記腰掛け上に接地して前記腰掛けにより下方から支えられる給排水設備。
【請求項4】
給排水設備であって、
壁付けの吐水管を備える給水設備と、
前記吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、
前記壁に沿って前記ボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、を有し、
前記腰掛けが、前記壁から片持ち状に張り出す天板から成る給排水設備。
【請求項5】
給排水設備であって、
壁付けの吐水管を備える給水設備と、
前記吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、
前記壁に沿って前記ボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、
前記ボウルの直上位置に設けられて前記吐水口が底面に露出して設けられる前記壁付けの庇板
と、を有する給排水設備。
【請求項6】
請求項5に記載の給排水設備であって、
前記庇板が、前記壁に沿って前記ボウルの幅方向に延びると共に、前記ボウルよりも前記壁からの張り出しが短い給排水設備。
【請求項7】
給排水設備であって、
壁付けの吐水管を備える給水設備と、
前記吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、
前記壁に沿って前記ボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、を有し、
前記壁が、玄関の壁とされる給排水設備。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の給排水設備であって、
前記
吐水口と前記ボウルとの間が、前記ボウルと前記腰掛けとが並ぶ幅方向の設置スペース全域において、前記壁からの張り出しのない開放スペースとされる給排水設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給排水設備に関する。詳しくは、壁付けの吐水管を備える給水設備と、吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、を有する給排水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、玄関に設けられるキャビネットに、給水設備と排水設備とを備える給排水設備が設けられた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、使用者がキャビネットの扉を開けた位置からでなければ給排水設備を使用することができず、使用性が悪い。そこで、本発明は、使用性を合理的に向上させることが可能な給排水設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の給排水設備は次の手段をとる。すなわち、給排水設備は、壁付けの吐水管を備える給水設備と、吐水管の吐水口の直下に設けられる排水用のボウルを備える排水設備と、壁に沿ってボウルと横並び状に座面が配置される据え置き型の腰掛けと、を有する。
【0006】
上記構成によれば、使用者が、吐水口の正面に立つ位置と腰掛けの座面に座る横位置とのどちらからでも、給水設備を使用することが可能となる。また、使用者が、吐水口に手の届かない背の低い子供のような場合であっても、腰掛けの座面に乗り上がることで、給水設備を簡便に使用できるようになる。詳しくは、腰掛けが壁に沿ってボウルと横並び状に配置されることで、吐水口の正面に立つ位置からの使用を阻害することなく、腰掛けの座面に座る横位置からの使用を可能にすることができる。以上のように、給排水設備の使用性を合理的に向上させることができる。
【0007】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。ボウルが、腰掛けの直上位置に設けられる。腰掛けの座面が、ボウルを幅方向に越えて延びる。
【0008】
上記構成によれば、ボウルを腰掛けと一体感のある配置とすることができる。その結果、給排水設備全体の意匠性を高めることができる。
【0009】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。ボウルが、腰掛け上に接地して腰掛けにより下方から支えられる。
【0010】
上記構成によれば、ボウルの設置強度をより適切に高めることができる。また、ボウルをより腰掛けと一体感のある配置とすることができ、給排水設備全体の意匠性を更に高めることができる。
【0011】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。腰掛けが、壁から片持ち状に張り出す天板から成る。
【0012】
上記構成によれば、腰掛けの直下に使用者の足入れスペースを確保することができる。そのため、使用者が、吐水口の正面に立つ位置から給水設備を使用する際に、より吐水口に近づいて使用することができる。また、使用者が、腰掛けの座面に座る横位置から給水設備を使用する場合も、足を身体の重心近くに引き込むことができるため、身体を横に向けて吐水口に手を差し出す姿勢をより取りやすくなる。
【0013】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。給排水設備が、更に、ボウルの直上位置に設けられて吐水口が底面に露出して設けられる壁付けの庇板を有する。
【0014】
上記構成によれば、庇板により、吐水口の正面に立つ位置からの使用と腰掛けの座面に座る横位置から使用とを阻害することなく、吐水口を見栄え良く上方から覆うことができる。
【0015】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。庇板が、壁に沿ってボウルの幅方向に延びると共に、ボウルよりも壁からの張り出しが短い。
【0016】
上記構成によれば、庇板により、吐水口をより見栄え良く上方から覆うことができると共に、庇板を小物置きとしても適切に使用することが可能となる。
【0017】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。吐水口とボウルとの間が、ボウルと腰掛けとが並ぶ幅方向の設置スペース全域において、壁からの張り出しのない開放スペースとされる。
【0018】
上記構成によれば、使用者が、腰掛けの座面に座る横位置から吐水口とボウルとの間により簡便に手を差し出しやすくなる。そのため、給排水設備の使用性をより向上させることができる。
【0019】
また、本発明の給排水設備は、更に次のように構成されていてもよい。上記壁が、玄関の壁とされる。
【0020】
上記構成によれば、腰掛けを備える給排水設備が玄関の壁に設けられることで、外から帰ってきた人が腰掛けに座って靴を脱いだり、そのまま横に並ぶ給水設備を使用したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態に係る給排水設備の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】子どもが腰掛けの上に乗って給水設備を使用する状態を示す正面図である。
【
図6】他の実施形態に係る給排水設備の構成を示す斜視図である。
【
図7】更に他の実施形態に係る給排水設備の構成を示す斜視図である。
【
図8】更に他の実施形態に係る給排水設備の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
《第1の実施形態》
(給排水設備1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る給排水設備1の構成について、
図1~
図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、使用者が、本実施形態に係る給排水設備1の正面に立った位置を基準とした方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図5のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る給排水設備1は、家庭の玄関に設けられる手洗い用の設備とされる。具体的には、給排水設備1は、玄関の壁Wに付けられる壁W付けの吐水管11を備える給水設備10と、吐水管11の吐水口11Aの直下に設けられる排水用のボウル21を備える排水設備20と、を備える。
【0025】
また、給排水設備1は、玄関の壁Wに沿って横長状に延びるように作り付けられた腰掛け30を備える。腰掛け30は、壁Wから片持ち状に張り出すように作り付けられた平坦状の天板部材により形成される。詳しくは、腰掛け30は、主に玄関の土間D(たたき)上を壁Wに沿って左右方向に延びるように設けられ、一部がホールH上にも延び出すように設けられる。
【0026】
上記片持ち状の腰掛け30の設置により、土間DとホールHとに跨って、使用者が壁Wを背凭れとして腰掛けることが可能なひと続きの座面31が形成される。また、上記腰掛け30の直下には、腰掛け30に座る使用者が足を中に入れることが可能な足入れスペースLSが形成される。
【0027】
上記腰掛け30が土間DとホールHとに跨って延びていることで、外へ出かける人が、ホールHから腰掛け30に直接腰掛けて靴を履き、そのまま土間Dから外へと出かけることができる。また、外から帰ってきた人が、土間Dから腰掛け30に直接腰掛けて靴を脱ぎ、そのままホールHから中へと入ることができる。
【0028】
給水設備10の吐水管11と排水設備20のボウル21とは、それぞれ、上記腰掛け30の土間D側へ延びる座面31の左端側の直上位置に設けられている。それにより、外から帰ってきた人が、靴を履いでホールHに入ることなく、土間Dから直接、吐水口11Aの正面へと向かって、立ったままの姿勢で給水設備10を使用することができる。その際、
図4に示すように、給水設備10の使用者は、その直下に前述した足入れスペースLSが形成されていることで、より吐水口11Aに近づいて給水設備10を使用することができる。
【0029】
また、
図1及び
図3に示すように、上記腰掛け30の直上位置に給水設備10と排水設備20とが設けられていることで、腰掛け30に座って靴を脱ぎ履きする人が、そのまま、横に並ぶ給水設備10を座ったままの姿勢で横から使用することもできる。また、
図5に示すように、上記腰掛け30上の位置に給水設備10と排水設備20とが設けられていることで、正面に立った位置からでは吐水口11Aに手の届かない背の低い子供が使用する場合であっても、腰掛け30の座面31に乗り上がることで、給水設備10を簡便に使用することができる。
【0030】
図1に示すように、上記給排水設備1は、更に、排水用のボウル21の直上位置に壁Wから張り出すように設けられる庇板40を備える。庇板40は、壁Wから片持ち状に張り出す平坦状の天板部材により形成される。
【0031】
詳しくは、庇板40は、ボウル21の直上領域を幅方向(左右方向)の全域に亘って延びる横長な板形状に形成される(
図2~
図3参照)。また、庇板40は、その壁Wからの張り出しが、ボウル21及び腰掛け30の壁Wからの張り出しよりも短い板形状に形成される(
図4参照)。
【0032】
図1に示すように、上記庇板40は、その内部に給水設備10の吐水管11と洗浄液吐出管12とが通されて、壁Wに一体的に固定されている。上記庇板40の内部に通された吐水管11の吐水口11Aと洗浄液吐出管12の洗浄液吐出口12Aとは、それぞれ、庇板40の底面に露出するように配されている。
【0033】
それにより、給水設備10の吐水管11と洗浄液吐出管12とが、それぞれ、壁Wから張り出す庇板40により上方から見栄え良く覆われる。また、庇板40の上面が平坦であることから、庇板40の上に花瓶や小物を飾ったり鏡を置いたりすることができる。また、使用者が給水設備10を使用する際に、手に持つ小物を庇板40の上に置くこともできる。
【0034】
(給水設備10について)
給水設備10は、湯水を吐出する壁W付けの吐水管11と、洗浄液(液体ハンドソープ)を吐出する壁W付けの洗浄液吐出管12と、を備える。吐水管11は、具体的な図示は省略されているが、壁Wの裏側を通って敷設される接続管を介して、湯水の混合を行う水栓本体と接続されている。この不図示の水栓本体は、排水用のボウル21のボウル本体21Aの直下に形成される、排水管23が通る下部スペース(
図4参照)に収納されている。
【0035】
上記不図示の水栓本体は、壁Wの裏側を通って敷設される図示しない湯水の供給配管とそれぞれ接続されている。上記水栓本体は、供給された湯水を内部で混合して、予め設定された温度となるように調節し、吐水管11へと流す。なお、水栓本体は、湯の供給を受けず、水のみの供給を受けて、吐水管11へと流す構成であっても良い。
【0036】
洗浄液吐出管12も、具体的な図示は省略されているが、壁Wの裏側を通って敷設される接続管を介して、貯留した洗浄液の吐出を行うソープディスペンサと接続されている。この不図示のソープディスペンサも、排水用のボウル21のボウル本体21Aの直下に形成される、排水管23が通る下部スペース(
図4参照)に収納されている。
【0037】
図1を参照して、上記庇板40の底面には、使用者の手が吐水口11Aの直下に差し出されたことを検出する吐水用センサ13Aが設けられている。また、庇板40の底面には、使用者の手が洗浄液吐出口12Aの下に差し出されたことを検出する洗浄液吐出用センサ13Bも設けられている。
【0038】
吐水用センサ13Aは、吐水口11Aの右側の位置に配置されている。吐水用センサ13Aが吐水口11Aと横並びの配置関係とされることで、これらが手前側と奥側とに縦並びとなる構成と比べて、これらの設置に伴う壁Wからの張り出し量が少なく抑えられる構成とされる。吐水用センサ13Aは、いわゆる光電センサから成り、使用者の手が吐水口11Aの直下に差し出されたことを反射した受光量の変化によって検出し、不図示の制御装置に制御信号を送信する。
【0039】
それにより、不図示の制御装置が、図示しない水栓本体の電磁弁を閉弁状態から開弁状態に切り替えて、吐水口11Aから湯水を吐出する。上記制御装置は、いわゆるトグル方式の吐止水制御を行う構成とされる。すなわち、制御装置は、使用者の手が吐水用センサ13Aにかざされて吐水を行った後、使用者の手が吐水用センサ13Aから一旦離されて再度、吐水用センサ13Aにかざされることで、電磁弁を閉弁状態に切り替えて吐水口11Aからの湯水の吐出を止める、吐止水制御を行う構成とされる。
【0040】
洗浄液吐出用センサ13Bは、洗浄液吐出口12Aの左側の位置に配置されている。洗浄液吐出用センサ13Bが洗浄液吐出口12Aと横並びの配置関係とされることで、これらが手前側と奥側とに縦並びとなる構成と比べて、これらの設置に伴う壁Wからの張り出し量が少なく抑えられる構成とされる。洗浄液吐出用センサ13Bも、いわゆる光電センサから成り、使用者の手が洗浄液吐出口12Aの直下に差し出されたことを反射した受光量の変化によって検出し、不図示の制御装置に制御信号を送信する。
【0041】
それにより、不図示の制御装置が、図示しないソープディスペンサの電磁弁を閉弁状態から開弁状態に切り替えて、洗浄液吐出口12Aから洗浄液を吐出する。上記制御装置は、洗浄液を一定時間吐出した後、タイマにより電磁弁を閉弁状態に切り替えて、洗浄液吐出口12Aからの洗浄液の吐出を止める。
【0042】
図3に示すように、上記吐水口11Aと洗浄液吐出口12Aとは、吐水口11Aが向かって右側に配置され、洗浄液吐出口12Aが向かって左側に配置される関係とされる。それにより、使用者が腰掛け30に座った横位置から給水設備10を使用する際に、吐水口11Aの直下で手洗いをした後に手を引っ込める時に、誤って洗浄液が手に吐出されることが防止される。
【0043】
(排水設備20について)
図1~
図4に示すように、排水設備20は、排水用のボウル21と、ボウル21の底板部に形成される排水口22と、排水口22に下方から接続されて壁Wへと延びる排水管23と、を有する。また、排水設備20は、排水口22を開閉する排水栓24と、ボウル21の底板部上に通水可能なように被せられて排水口22及び排水栓24を上方から覆う敷板25と、を有する。
【0044】
ボウル21は、上向きに開口する横長な略矩形容器形状に形成されている。詳しくは、ボウル21は、下方に向かって周囲がやや丸みを帯びて膨らむ略矩形錐台状の容器形状とされている。
【0045】
具体的には、上記ボウル21は、
図3~
図4に示すように、その上向き開口の水槽部分を成すボウル本体21Aと、ボウル本体21Aの手前側と左右両側の下部周縁から下方に延びて腰掛け30の座面31上に接地する脚部21Bと、を有する。また、ボウル21は、
図4に示すように、ボウル本体21Aの奥側の下部周縁から奥側へ延びて壁Wに当接する壁当接部21Cを有する。
【0046】
上記ボウル21は、そのボウル本体21Aの下部周縁から下方に延びる脚部21Bが腰掛け30の座面31上に接地された状態として、壁当接部21Cが壁Wに当てられて固定されている。それにより、ボウル21は、壁Wにより奥側から支持されると共に、腰掛け30により下方からも支持される状態とされる。
【0047】
排水口22は、ボウル本体21Aの底板部に丸孔状に貫通形成されている。排水管23は、その上端部が排水口22に下方から接続され、U字トラップ23Aを介して壁Wの裏側に敷設される不図示の排水用の外部配管と接続されている。上記排水管23は、ボウル本体21Aの底板部の下方に形成される、脚部21Bにより取り囲まれた下部スペース内に配設されている。
【0048】
上記排水管23は、壁Wに固定されたブラケット23Bにより、その管路の途中箇所が支持されている。排水栓24は、排水管23内に上方からセットされて、排水管23内に設けられた不図示の操作機構と繋がれている。
【0049】
排水栓24は、ボウル本体21Aの周囲に設けられる不図示の引き棒が使用者により押し下げられることで、排水口22の上部に浮き上がるようにポップアップ操作され、排水口22を開口した状態に保持する。また、排水栓24は、上記不図示の引き棒が使用者により引き上げられることで、排水口22を塞ぐように下方に引き込み操作される。それにより、ボウル本体21Aが、その直上の吐水口11Aから吐出される湯水を水槽内部に溜められる状態となる。
【0050】
敷板25は、ボウル本体21Aの内周囲よりもひとまわり小さな略矩形板形状に形成されている。上記敷板25は、その裏面の各周縁箇所に、部分的に下方に突出する脚片が形成された構成とされる。上記敷板25は、ボウル本体21Aの底板部上に上方からセットされることで、排水口22及び排水栓24を上方から平板状に覆った状態にセットされる。それにより、敷板25は、そのボウル本体21A内に上方から吐水された湯水を、ボウル本体21Aの内周囲との間の隙間から下方へと通水させられる状態に設けられる。
【0051】
このように、本実施形態に係る給排水設備1は、
図1等で前述したように、玄関の壁Wに沿って設けられる腰掛け30の一部領域上に排水設備20のボウル21が接地された状態に設けられ、その直上に給水設備10の吐水口11Aや洗浄液吐出口12Aとが設けられる構成とされる。このような構成とされることで、使用者が、吐水口11Aの正面に立つ位置と腰掛け30の座面31に座る横位置とのどちらからでも、給水設備10を便利に使用することが可能となる。
【0052】
給水設備10を腰掛け30に座った横位置から使用する際、使用者は、庇板40とボウル21との間には壁Wから張り出す部材が何もないことから、庇板40とボウル21との間に簡便に手を差し出して手洗いをすることができる。また、給水設備10を腰掛け30の座面31が並ぶ側(右側)とは反対側(左側)の位置から立って使用する場合にも、使用者は、庇板40とボウル21との間には壁Wから張り出す部材が何もないことから、庇板40とボウル21との間に簡便に手を差し出して手洗いをすることができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る給排水設備1は、吐水口11Aの正面に立つ位置からの使用の他、隣接する腰掛け30に座った横位置からの使用や反対側に立つ横位置からの使用にも適した、玄関での使用に好適な構成となっている。
【0054】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る給排水設備1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0055】
すなわち、給排水設備(1)は、壁(W)付けの吐水管(11)を備える給水設備(10)と、吐水管(11)の吐水口(11A)の直下に設けられる排水用のボウル(21)を備える排水設備(20)と、壁(W)に沿ってボウル(21)と横並び状に座面(31)が配置される据え置き型の腰掛け(30)と、を有する。
【0056】
上記構成によれば、使用者が、吐水口(11A)の正面に立つ位置と腰掛け(30)の座面(31)に座る横位置とのどちらからでも、給水設備(10)を使用することが可能となる。また、使用者が、吐水口(11A)に手の届かない背の低い子供のような場合であっても、腰掛け(30)の座面(31)に乗り上がることで、給水設備(10)を簡便に使用できるようになる。
【0057】
詳しくは、腰掛け(30)が壁(W)に沿ってボウル(21)と横並び状に配置されることで、吐水口(11A)の正面に立つ位置からの使用を阻害することなく、腰掛け(30)の座面(31)に座る横位置からの使用を可能にすることができる。以上のように、給排水設備(1)の使用性を合理的に向上させることができる。
【0058】
また、ボウル(21)が、腰掛け(30)の直上位置に設けられる。腰掛け(30)の座面(31)が、ボウル(21)を幅方向に越えて延びる。上記構成によれば、ボウル(21)を腰掛け(30)と一体感のある配置とすることができる。その結果、給排水設備(1)全体の意匠性を高めることができる。
【0059】
また、ボウル(21)が、腰掛け(30)上に接地して腰掛け(30)により下方から支えられる。上記構成によれば、ボウル(21)の設置強度をより適切に高めることができる。また、ボウル(21)をより腰掛け(30)と一体感のある配置とすることができ、給排水設備(1)全体の意匠性を更に高めることができる。
【0060】
また、腰掛け(30)が、壁(W)から片持ち状に張り出す天板から成る。上記構成によれば、腰掛け(30)の直下に使用者の足入れスペース(LS)を確保することができる。そのため、使用者が、吐水口(11A)の正面に立つ位置から給水設備(10)を使用する際に、より吐水口(11A)に近づいて使用することができる。また、使用者が、腰掛け(30)の座面(31)に座る横位置から給水設備(10)を使用する場合も、足を身体の重心近くに引き込むことができるため、身体を横に向けて吐水口(11A)に手を差し出す姿勢をより取りやすくなる。
【0061】
また、給排水設備(1)が、更に、ボウル(21)の直上位置に設けられて吐水口(11A)が底面に露出して設けられる壁(W)付けの庇板(40)を有する。上記構成によれば、庇板(40)により、吐水口(11A)の正面に立つ位置からの使用と腰掛け(30)の座面(31)に座る横位置から使用とを阻害することなく、吐水口(11A)を見栄え良く上方から覆うことができる。
【0062】
また、庇板(40)が、壁(W)に沿ってボウル(21)の幅方向に延びると共に、ボウル(21)よりも壁(W)からの張り出しが短い。上記構成によれば、庇板(40)により、吐水口(11A)をより見栄え良く上方から覆うことができると共に、庇板(40)を小物置きとしても適切に使用することが可能となる。
【0063】
また、吐水口(11A)とボウル(21)との間が、ボウル(21)と腰掛け(30)とが並ぶ幅方向の設置スペース全域において、壁(W)からの張り出しのない開放スペースとされる。上記構成によれば、使用者が、腰掛け(30)の座面(31)に座る横位置から吐水口(11A)とボウル(21)との間により簡便に手を差し出しやすくなる。そのため、給排水設備(1)の使用性をより向上させることができる。
【0064】
また、上記壁(W)が、玄関の壁(W)とされる。上記構成によれば、腰掛け(30)を備える給排水設備(1)が玄関の壁(W)に設けられることで、外から帰ってきた人が腰掛け(30)に座って靴を脱いだり、そのまま横に並ぶ給水設備(10)を使用したりすることが可能となる。
【0065】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0066】
1.本発明に係る給排水設備は、玄関の他、キッチンや浴室、洗面所にも適用することができるものである。また、屋外にも適用することができる。また、給排水設備が玄関に設置される場合において、腰掛け、給水設備及び排水設備は、玄関の土間(フロア)上に設置されるものの他、玄関のホール(フロア)上に設置されるものであっても良い。
【0067】
2.腰掛けは、壁から片持ち状に張り出す天板タイプの他、
図6に示すように、玄関の土間D(フロア)上に設置される寸胴タイプの構成(腰掛け30)とされても良い。また、腰掛けは、
図7に示すように、排水用のボウル21を下支えせず、ボウル21から横にずれた位置で壁Wから張り出すように設けられる天板タイプの構成(腰掛け30)とされても良い。
【0068】
同様に、腰掛けは、
図8に示すように、排水用のボウル21を下支えせず、ボウル21から横にずれた位置で土間D(フロア)上に設置される寸胴タイプの構成(腰掛け30)とされても良い。腰掛けは、吐水口の正面に立つ使用者から見て排水用のボウルの右側に並んで設けられるものの他、吐水口の正面に立つ使用者から見て排水用のボウルの左側に並んで設けられるものとされても良い。
【0069】
3.排水設備のボウルは、必ずしも壁付けである必要はなく、上記のように腰掛けが横にずれて設けられる(腰掛けによる下支えがない)場合には、土間やホール等のフロア上に接地されて設けられる構成とされても良い。その場合、排水管は、壁付けでなく、フロア付けとされても良い。
【0070】
4.壁付けの庇板は、ボウルの直上領域を幅方向(左右方向)の全域に亘って延びる横長な板形状とされるものの他、ボウルの直上領域の幅方向の一部分にのみ掛かる横幅の短い板形状とされても良い。また、庇板は、ボウルよりも壁からの張り出しが長い構成とされても良い。
【0071】
5.給水設備は、吐水口からの吐止水の切り替えをセンサ検知により自動で行ういわゆる自動水栓の他、操作ハンドルやレバーの手動操作により吐止水の切り替えを行う手動式の水栓を備える構成とされても良い。給水設備は、湯水を吐水する混合水栓の他、水のみを吐水する単水栓を備える構成とされても良い。
【0072】
6.給排水設備は、湯水の吐水や洗浄液吐出の他、手を風で乾かすハンドドライヤを備える構成とされても良い。また、給排水設備は、吐水口とボウルとの間が、壁からの張り出しのない開放スペースとされても良いが、壁の裏側に敷設される接続管の施工スペースを確保するために、これらの間の壁が刳り貫かれ、同部分に被覆用の保護カバーが被せられる構成であっても良い。そして、この保護カバーが、吐水口に向かって使用者が横から手を差し出す操作を邪魔しない程度(壁から吐水口の位置までは張り出さない程度)に壁から張り出す構成とされても良い。
【0073】
7.吐水用センサや洗浄液吐出用センサは、吐水口や洗浄液吐出口の奥側や手前側の位置に配置される構成であっても良い。また、吐水用センサは、吐水口の右側の他、左側に並ぶ配置とされていても良い。洗浄液吐出用センサも、洗浄液吐出口の左側の他、右側に並ぶ配置とされていても良い。
【0074】
8.吐水口は、洗浄液吐出口の右側の他、左側に並ぶ配置とされていても良い。また、吐水口は、洗浄液吐出口の手前側に並ぶ配置とされていても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 給排水設備
10 給水設備
11 吐水管
11A 吐水口
12 洗浄液吐出管
12A 洗浄液吐出口
13A 吐水用センサ
13B 洗浄液吐出用センサ
20 排水設備
21 ボウル
21A ボウル本体
21B 脚部
21C 壁当接部
22 排水口
23 排水管
23A U字トラップ
23B ブラケット
24 排水栓
25 敷板
30 腰掛け
31 座面
40 庇板
LS 足入れスペース
W 壁
D 土間
H ホール