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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/34 20200101AFI20240909BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20240909BHJP
   D06F 33/36 20200101ALI20240909BHJP
   D06F 33/42 20200101ALI20240909BHJP
【FI】
D06F33/34
D06F39/08 321
D06F39/08 331
D06F33/36
D06F33/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021106400
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023004592
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】関谷 禎夫
(72)【発明者】
【氏名】松井 康博
(72)【発明者】
【氏名】根本 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸司
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-083167(JP,A)
【文献】特開平05-084381(JP,A)
【文献】特開2017-148474(JP,A)
【文献】特開2017-064079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/34-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜める外槽と、前記外槽の内側に備えられ洗濯物が投入される内槽と、前記外槽と前記内槽とを接続するように備えられ、前記外槽の水を前記内槽に循環させる循環経路と、前記循環経路に配置された循環ポンプと、前記外槽の水位を検知する水位センサとを備えた洗濯機であって、
前記洗濯機は、洗い工程において前記洗濯物が前記内槽の内側に張付くように前記内槽を回転させる張付運転を備え、
前記張付運転中に前記循環ポンプを動作させて前記外槽から前記内槽に水を循環させるようにし
前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記外槽に給水を開始し、
前記水位センサが検知する水位が第2設定水位に達した場合には、前記外槽への給水を停止し、前記循環ポンプを駆動させ、
前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記内槽を前記張付運転の回転数よりも高い回転数で回転させる脱水運転を実行することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項において、
前記水位センサが検知する水位が第2設定水位に達した場合には、前記循環ポンプを駆動し、前記内槽の回転数を前記脱水運転から前記張付運転に移行することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2設定水位は、前記外槽に溜められる水が前記内槽の下面に触れない位置としたことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記水位センサは、前記第1設定水位を検知する第1水位センサと、前記第2設定水位を検知する第2水位センサとから構成されたことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
水を溜める外槽と、前記外槽の内側に備えられ洗濯物が投入される内槽と、前記外槽と前記内槽とを接続するように備えられ、前記外槽の水を前記内槽に循環させる循環経路と、前記循環経路に配置された循環ポンプと、前記外槽の水位を検知する水位センサとを備えた洗濯機であって、
前記洗濯機は、洗い工程において前記洗濯物が前記内槽の内側に張付くように前記内槽を回転させる張付運転を備え、
前記張付運転中に前記循環ポンプを動作させて前記外槽から前記内槽に水を循環させるようにし、
前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記外槽に給水を開始し、
前記水位センサが検知する水位が第2設定水位に達した場合には、前記外槽への給水を停止し、前記循環ポンプを駆動させ、
前記循環ポンプを駆動後、前記内槽を前記張付運転の回転数よりも低い回転数で回転させる攪拌運転を実行し、
前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記内槽の回転数を前記攪拌運転から前記張付運転に移行することを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等を洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯乾燥機は一般的に、回転可能な内槽に洗濯物を投入して、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を行う洗濯モードと、乾燥工程のみを行う乾燥モード、洗濯モードから乾燥工程までを連続的に行う洗濯乾燥モードを備えている。洗濯乾燥機には、内槽の回転軸を設置面に対して略垂直とした縦型と、水平もしくは若干傾斜させたドラム式がある。以下では、洗濯機として説明する。
【0003】
ドラム式洗濯機では、外槽に溜まった洗濯液をポンプで汲み上げて洗濯物にかけることで、洗剤等が溶けた洗濯水を洗濯物に満遍なく浸透させる。このように、ドラム式洗濯機は、タンブリング動作と循環ポンプによる洗濯水の循環により、少ない水でも洗浄性能が確保できるので、縦型洗濯機と比較して節水することができるようになっている。
【0004】
節水して洗濯を行う手段として、特許文献1に記載のドラム式洗濯機は、洗濯水を収容するタブ、前記タブ内の洗濯水の循環流路を提供する循環流路管および前記タブから前記循環流路管に洗濯水を循環させるための循環ポンプを有するものであって、ドラムに投入された布量を感知する段階と、感知された布量によって水位を設定する段階と、前記設定水位よりは低いが、洗濯物を十分に濡らし且つポンピング循環が発生しうるような少量の洗濯水を前記循環ポンプおよび前記循環流路管を介して前記タブ内に供給する段階と、前記少量の洗濯水を前記循環ポンプおよび前記循環流路管を介して循環させながら洗濯する1次洗い段階と、前記設定水位まで洗濯水を再供給する段階と、ポンピング循環が発生しない状態で、前記ドラムを回転させながら洗濯する2次洗い段階と、を含むことを特徴としている。
【0005】
また、特許文献2に記載のドラム式洗濯機は、横軸周りに回転するドラムを水槽内に設け、前記水槽の上下部に吐水口及び吸水口を介して連通してなる循環水路を設けるとともに、該循環水路の途中に循環ポンプを設けたものにおいて、洗い動作時には前記ドラムを回転し、且つ前記循環ポンプを駆動して洗濯水を循環させるとともに、この洗濯水の循環中に前記吸水口から空気を吸い込まない水位を維持すべく、前記循環ポンプによる循環流量を制御するようにしたことを主たる特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5144276号公報
【文献】特開2005-87466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のドラム式洗濯機は、洗い行程の途中で感知された布量に該当する設定水位まで水を再供給しているため、節水量が少ないといった課題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載のドラム式洗濯機は、水位検知手段が外槽の底部より上方に配置されており、節水した場合の洗濯では水位を計測できない恐れがある。また、節水すると、外槽内を自由に動ける洗濯液が少なくなるので、洗浄度が低下するといった課題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、節水を図りつつ、洗浄性能の低下を抑制した洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、水を溜める外槽と、前記外槽の内側に備えられ洗濯物が投入される内槽と、前記外槽と前記内槽とを接続するように備えられ、前記外槽の水を前記内槽に循環させる循環経路と、前記循環経路に配置された循環ポンプと、前記外槽の水位を検知する水位センサとを備えた洗濯機であって、前記洗濯機は、洗い工程において前記洗濯物が前記内槽の内側に張付くように前記内槽を回転させる張付運転を備え、前記張付運転中に前記循環ポンプを動作させて前記外槽から前記内槽に水を循環させるようにし、前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記外槽に給水を開始し、前記水位センサが検知する水位が第2設定水位に達した場合には、前記外槽への給水を停止し、前記循環ポンプを駆動させ、
前記水位センサが検知する水位が第1設定水位よりも低下した場合には、前記循環ポンプを停止させ、前記内槽を前記張付運転の回転数よりも高い回転数で回転させる脱水運転を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、節水を図りつつ、洗浄性能の低下を抑制した洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。
図2】本発明の実施例1に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
図3】本発明の実施例1に係る水位センサ3と循環ポンプ4の動作を説明する図である。
図4】本発明の実施例2に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。
図5】本発明の実施例2に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
図6】本発明の実施例3に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。
図7】本発明の実施例3に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
図8A】内槽1に洗濯物70を投入した状態を示す概略図である。
図8B】内槽1に洗濯物70を投入後、内槽1を最大600rpm程度で回転させて隙間80を作製した状態を示す概略図である。
図9】本発明の実施例4に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
洗濯機は一般的に、回転可能な内槽に洗濯物を投入して、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程の各工程を備えている。また、洗濯乾燥機は、洗濯機の各工程に加え、乾燥工程を備えている。本発明は、各工程のうち、洗い工程に特徴がある。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。以下の実施例ではドラム式洗濯機として説明するが、本発明はドラム式洗濯機に限定されるものではなく、乾燥機能を付加したドラム式洗濯乾燥機にも適用することができる。
【0015】
ドラム式洗濯機10は、外郭を構成する筐体(図示せず)の内側に水を溜める外槽2が備え付けられており、その内側に洗濯物7が投入される内槽1を備えている。外槽2と内槽1の間には空間Sが設けられている。内槽1の周囲には、複数の貫通孔が形成されており、この貫通孔を水が通り抜けるようになっている。ドラム式洗濯機10の内槽1は、回転軸が水平方向を向くように配置されている。
【0016】
洗い工程において、外槽2の底部には洗濯水が溜められている。外槽2の底部と、内槽1の上部との間には、循環経路5が形成されている。循環経路5は外槽2と内槽1とを接続するように備えられている。循環経路5には循環ポンプ4が備えられており、この循環ポンプ4を駆動することにより、外槽2の底部に溜まった洗濯水を吸水し、内槽1に吐出させる。すなわち、循環ポンプ4は、循環経路5を通して洗濯水を循環させている。
【0017】
また、外槽2の底部には、水面6よりも低い位置に水位センサ3が備えられている。水位センサ3は、圧力や電気伝導度等を用いて水位を計測する。
【0018】
内槽1には洗濯物7が収容され、内槽1を回転させながら、循環させた洗濯水を洗濯物7に掛けて洗濯物7の洗浄を行う。
【0019】
次に洗い工程について説明する。図2は、本発明の実施例1に係る洗い工程の運転フローを示す図である。なお、運転フローは図示しない制御装置に記憶された制御プログラムに従い、実行される。
【0020】
洗濯機の洗い行程がスタートすると(ステップS100)、内槽1を回転させ、内槽1に投入された洗濯物7の布量を検知する(ステップS101)。
【0021】
布量検知後、内槽1に洗濯物7を張り付けるために、内槽1を回転させ、張付運転を開始する(ステップS102)。内槽1の回転数は洗濯物7が内槽1に張り付けばよく、例えば内槽1の回転数を80~150rpm(Rotations Per Minute)程度とし、100rpm前後が望ましい。一般的な洗い工程における内槽1の回転数は40~60rpmであり、本実施例の張付運転における内槽1の回転数は、一般的な洗い工程における内槽1の回転数よりも高い回転数に設定している。また、張付運転における内槽1の回転数は、脱水工程における内槽1の回転数1000rpm程度よりも低い回転数となっている。
【0022】
次に外槽2に給水を開始し(ステップS103)、水位センサ3が水位を検知する(ステップS104)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位(上限値)に達していない場合(ステップS104のNO)には、水位センサ3による水位検知を繰り返す。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達した場合(ステップS104のYES)には、給水を停止させる(ステップS105)。内槽1が洗濯水に触れた状態で内槽1を回転させると、内槽1を回転させるモータに負荷がかかるため、消費電力が増加し、さらにはモータの寿命の短くなる可能性がある。そこで、第2設定水位(上限値)は、内槽1の下面に触れない位置とすることが好ましい。本実施例では、張付運転として内槽1を80~150rpm程度で回転させているので、内槽1の回転を阻害することのないようにするために、第2設定水位の上限値を内槽1の下面に触れない位置としている。
【0023】
給水停止後、循環ポンプ4を駆動させ(ステップS106)、外槽2の底部に溜まった洗濯水を内槽1内に投入させる。
【0024】
洗濯物7が洗濯水を吸うと水位が下がるので、水位センサ3が水位を検知する(ステップS107)。水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位(下限値)よりも低下したところで、循環ポンプ4を停止させ(ステップS108)、外槽2への給水を開始する(ステップS109)。所定以下の水位になると、循環ポンプ4が空気を巻き込むことによってキャビテーションを起こすので、循環ポンプ4を停止させる。
【0025】
水位センサ3が水位を検知し(ステップS110)、水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位(上限値)に達した場合(ステップS110のYES)には、給水を停止する(ステップS111)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達していない場合(ステップS110のNO)、水位センサ3による水位検知を繰り返す。
【0026】
ステップS111にて給水停止後、再び循環ポンプ4を駆動する(ステップS112)。循環ポンプ4を駆動すると、水位が低下するので、水位センサ3にて水位を検知する(ステップS113)。水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位(下限値)より低下した(ステップS113のYES)場合、循環ポンプ4を停止させる(ステップS114)。循環ポンプ4を停止後、内槽1の回転数を100rpmから例えば200rpmに上昇させ、脱水運転を開始する(ステップS115)。脱水運転により、洗濯物7から洗濯水が脱水され、洗濯水が外槽2の底部に回収される。そして、外槽2の底部の水位が上昇する。本実施例では脱水運転の回転数を200rpmとして説明するが、その他の回転数、例えば150rpmや300rpmでも構わない。
【0027】
水位センサ3が水位を検知し(ステップS116)、水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達した場合(ステップS116のYES)には、循環ポンプ4を駆動する(ステップS117)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達していない場合(ステップS117のNO)、水位センサ3による水位検知を繰り返す。
【0028】
ステップS117にて循環ポンプ4を駆動後、内槽1の回転数を200rpmから100rpmに低下させ、張付運転を実行する(ステップS118)。すなわち、内槽1の回転数を脱水運転から張付運転へ移行する。
【0029】
張付運転実行後、所定時間経過したか否か判断し(ステップS119)、所定時間経過した場合(ステップS119のYES)には、運転を終了する(ステップS120)。ステップS119にて、所定時間経過していない場合(ステップS119のNO)には、ステップS113からの動作を繰り返す。
【0030】
ここで、水位センサ3と循環ポンプ4の動作について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施例1に係る水位センサ3と循環ポンプ4の動作を説明する図である。
【0031】
本実施例では、上述したように外槽2に供給される洗濯水の第2設定水位(上限値)を、内槽1の下面に触れない位置としている。これにより、使用する水を少なくでき、節水性が向上する。しかしながら、使用する水が少ないことから、循環ポンプ4を駆動させた際、循環ポンプ4が空気を巻き込みキャビテーションを起こす可能性がある。この際、外槽2に水を追加給水することにより、循環ポンプ4のキャビテーションを抑制することができるが、使用する水が増加し、節水性が低下する。そこで、本実施例では水位センサ3で検知される水位が低下した際、内槽1の回転数を増加させて脱水運転を行い、水位を回復するようにしている。
【0032】
図3において、水位センサ3によって検知される水位が設定水位(下限値)より低下し(ステップS113のYES)、循環ポンプ4を停止させ(ステップS114)、内槽1の回転数を100rpmから200rpmに上昇させる脱水運転を開始すると(ステップS115)、洗濯物7に吸水された洗濯水が脱水され、水位が上昇する。そして、水位が設定水位(上限値)に達した場合には、再び循環ポンプ4を駆動する。さらに、循環ポンプ4を駆動し、水位が低下した場合には、循環ポンプ4を停止させる。これらの動作を繰り返し、洗い工程を実行する。
【0033】
本実施例では、内槽1を100rpmの回転数で回転させた後、回転数を200rpmに上昇させることで、洗濯物7に吸水された洗濯水が脱水されるので、循環させる洗濯水を得ることができる。そして、内槽1の回転数を100rpmに戻すと、洗濯物7の給水量を上げることができるので、洗浄力を向上できる。内槽1の回転数を100rpmにキープすると、循環ポンプ4を動かすための水位が不足するので、再度回転数を上昇させることで、循環するための洗濯水を得られる。洗濯水を循環させることで、洗剤と汚れが反応することができ、洗浄力を向上できる。また、洗濯物7どうしの摩擦がほとんど発生しないため、布痛みを小さくすることができる。
【0034】
第1実施例によれば、節水を図ると共に、洗浄力を向上することができる洗濯機を提供することができる。また、本実施例によれば、循環ポンプ4への空気の巻き込みによるキャビテーションを抑制することができる。
【実施例2】
【0035】
図4及び図5を用いて、実施例2について説明する。実施例1と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
図4は、本発明の実施例2に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。実施例2において実施例1と異なるところは、水位センサを複数設けた点にある。
【0037】
外槽2の底部には、第1水位センサ3aと、この第1水位センサ3aよりも高い位置に第2水位センサ3bが備えられている。
【0038】
次に洗い工程について説明する。図5は、本発明の実施例2に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
【0039】
洗濯機の洗い行程がスタートすると(ステップS200)、内槽1を回転させ、内槽1に投入された洗濯物7の布量を検知する(ステップS201)。
【0040】
布量検知後、内槽1に洗濯物7を張り付けるために、内槽1を100rpm程度で回転させ、張付運転を開始する(ステップS202)。
【0041】
次に外槽2に給水を開始し(ステップS203)、第2水位センサ3bが第2設定水位を検知する(ステップS204)。第2水位センサ3bによって検知される水位bが第2設定水位に達していない場合(ステップS204のNO)には、第2水位センサ3bによる水位検知を繰り返す。第2水位センサ3bによって検知される水位bが第2設定水位(上限値)に達した場合(ステップS204のYES)には、給水を停止させる(ステップS205)。第2設定水位(上限値)は、実施例1と同様、内槽1の下面に触れない位置とする。
【0042】
給水停止後、循環ポンプ4を駆動させ(ステップS206)、外槽2の底部に溜まった洗濯水を内槽1内に投入させる。
【0043】
洗濯物7が洗濯水を吸うと水位が下がるので、第1水位センサ3aが水位を検知する(ステップS207)。第1水位センサ3aによって検知される水位aが第1設定水位(下限値)より低下したところで、循環ポンプ4を停止させ(ステップS208)、外槽2への給水を開始する(ステップS209)。所定以下の水位になると、循環ポンプ4が空気を巻き込むことによってキャビテーションを起こすので、循環ポンプ4を停止させる。
【0044】
第2水位センサ3bが水位を検知し(ステップS210)、第2水位センサ3bによって検知される水位bが第2設定水位に達した場合(ステップS210のYES)には、給水を停止する(ステップS211)。第2水位センサ3bによって検知される水位bが第2設定水位に達していない場合(ステップS210のNO)、第2水位センサ3bによる水位検知を繰り返す。
【0045】
ステップS211にて給水停止後、再び循環ポンプ4を駆動する(ステップS212)。循環ポンプ4を駆動すると、水位が低下するので、第1水位センサ3aにて水位aを検知する(ステップS213)。第1水位センサ3aによって検知される水位aが第1設定水位(下限値)より低下した(ステップS213のYES)場合、循環ポンプ4を停止させる(ステップS214)。循環ポンプ4を停止後、内槽1の回転数を100rpmから例えば200rpmに上昇させ、脱水運転を開始する(ステップS215)。脱水運転により、洗濯物7から洗濯水が脱水され、洗濯水が外槽2の底部に回収される。そして、外槽2の底部の水位が上昇する。本実施例では脱水運転の回転数を200rpmとして説明するが、その他の回転数、例えば150rpmや300rpmでも構わない。
【0046】
第1水位センサ3aが水位を検知し(ステップS216)、第1水位センサ3aによって検知される水位aが第1設定水位を越した場合(ステップS216のYES)には、循環ポンプ4を駆動する(ステップS217)。第1水位センサ3aによって検知される水位aが第1設定水位に達していない場合(ステップS216のNO)、第1水位センサ3aによる水位検知を繰り返す。
【0047】
ステップS217にて循環ポンプ4を駆動後、内槽1の回転数を200rpmから100rpmに低下させ、張付運転を実行する(ステップS218)。すなわち、内槽1の回転数を脱水運転から張付運転へ移行する。
【0048】
張付運転実行後、所定時間経過したか否か判断し(ステップS219)、所定時間経過した場合(ステップS219のYES)には、運転を終了する(ステップS220)。ステップS219にて、所定時間経過していない場合(ステップS219のNO)には、ステップS213からの動作を繰り返す。
【0049】
第2実施例によれば、第1実施例の効果に加え、水位センサを複数備えるようにしているので、水位の検知精度を向上することができる。
【実施例3】
【0050】
図6及び図7を用いて、実施例3について説明する。実施例1と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図6は、本発明の実施例3に係るドラム式洗濯機の構成概略図である。実施例3において実施例1と異なるところは、攪拌運転を備えたことにある。
【0052】
図6に示すように、実施例3では、内槽1の回転数を100rpm程度とする張付運転に加え、内槽1の回転数を40rpm程度とする攪拌運転を備えている。攪拌運転では、内槽1に備えたリフター(図示せず)によって上方に持ち上げた洗濯物7を下方に落下させる動作を繰り返す。
【0053】
次に洗い工程について説明する。図7は、本発明の実施例3に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
【0054】
洗濯機の洗い行程がスタートすると(ステップS300)、内槽1を回転させ、内槽1に投入された洗濯物7の布量を検知する(ステップS301)。
【0055】
布量検知後、内槽1に洗濯物7を張り付けるために、内槽1を100rpm程度で回転させ、張付運転を開始する(ステップS302)。
【0056】
次に外槽2に給水を開始し(ステップS303)、水位センサ3が水位を検知する(ステップS304)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達していない場合(ステップS304のNO)には、水位センサ3による水位検知を繰り返す。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位(上限値)に達した場合(ステップS304のYES)には、給水を停止させる(ステップS305)。第2設定水位(上限値)は、実施例1と同様、内槽1の下面に触れない位置とする。
【0057】
給水停止後、循環ポンプ4を駆動させ(ステップS306)、外槽2の底部に溜まった洗濯水を内槽1内に投入させる。
【0058】
洗濯物7が洗濯水を吸うと水位が下がるので、水位センサ3が水位を検知する(ステップS307)。水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位(下限値)より低下したところで、循環ポンプ4を停止させ(ステップS308)、外槽2への給水を開始する(ステップS309)。所定以下の水位になると、循環ポンプ4が空気を巻き込むことによってキャビテーションを起こすので、循環ポンプ4を停止させる。
【0059】
水位センサ3が水位を検知し(ステップS310)、水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達した場合(ステップS310のYES)には、給水を停止する(ステップS311)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達していない場合(ステップS310のNO)、水位センサ3による水位検知を繰り返す。
【0060】
ステップS311にて給水停止後、再び循環ポンプ4を駆動する(ステップS312)。また、内槽1の回転数を100rpmから40rpmに低下させ、攪拌運転を実行する(ステップS313)。循環ポンプ4を駆動すると、水位が低下するので、水位センサ3にて水位を検知する(ステップS314)。水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位(下限値)より低下した(ステップS314のYES)場合、循環ポンプ4を停止させる(ステップS315)。循環ポンプ4を停止後、内槽1の回転数を40rpmから100rpmに上昇させ、張付運転を開始する(ステップS316)。すなわち、内槽1の回転数を攪拌運転から張付運転に移行する。
【0061】
水位センサ3が水位を検知し(ステップS317)、水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位に達した場合(ステップS317のYES)には、循環ポンプ4を駆動する(ステップS318)。水位センサ3によって検知される水位が第1設定水位に達していない場合(ステップS317のNO)、水位センサ3による水位検知を繰り返す。
【0062】
ステップS318にて循環ポンプ4を駆動後、内槽1の回転数100rpmから40rpmに低下させ、攪拌運転を実行する(ステップS319)。
【0063】
攪拌運転実行後、所定時間経過したか否か判断し(ステップS320)、所定時間経過した場合(ステップS320のYES)には、運転を終了する(ステップS321)。ステップS320にて、所定時間経過していない場合(ステップS320のNO)には、ステップS314からの動作を繰り返す。
【0064】
実施例3では、攪拌させることにより洗濯物7同士が擦れるので洗浄力が向上する。また、実施例3では、攪拌させることにより洗濯物7の位置が変わるので、洗濯物7内での洗浄度のばらつきを低減することができる。
【0065】
実施例3では、内槽1の回転数を40rpm程度とする攪拌運転を備えている。節水のために少ない洗濯水で洗い工程を実行する場合、内槽1の回転数が40rpm程度で攪拌運転している最中は、循環するのに十分な洗濯液を得られないことがあるので、循環ポンプ4は停止するようにしても構わない。循環ポンプ4を停止することにより、循環ポンプ4の負荷を小さくでき、寿命を延ばすことができる。
【0066】
張付運転と攪拌運転は複数回繰り返して実行すると良い。例えば、張付運転100rpm→攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpmと繰り返す。複数繰り返して行うことで、布同士の摩擦や、たたき洗いの動作が加わり、洗浄度をより向上できる。
【0067】
また、実施例3では、張付運転を先に行ったが、攪拌運転を先に行ってもよい。この場合は、スタートして布量検知をした後に、攪拌運転40rpmを行う。給水して所定の水位になったら循環ポンプ4を駆動させて、洗濯物7に洗濯水をかけて吸水させる。洗濯物7に洗濯水を吸水させた後に、張付運転100rpmを行って脱水させる。最初に攪拌運転を行うことで、攪拌運転の最中に循環ポンプ4で洗濯水を循環させることができ、動いている洗濯物に洗濯水を当てることができるので、洗濯物全体に洗濯水を吸水させることができる。また、攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpmのように、攪拌運転と張付運転は複数繰り返し行ってもよい。複数繰り返して行うことで、布どうしの摩擦や、たたき洗いの動作が加わり、洗浄度をより向上できる。
【実施例4】
【0068】
図8及び図9を用いて、実施例4について説明する。実施例1と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0069】
図8Aは、内槽1に洗濯物70を投入した状態を示す概略図である。図8Bは、内槽1に洗濯物70を投入後、内槽1を最大600rpm程度で回転させて隙間80を作製した状態を示す概略図である。
【0070】
実施例4において実施例1と異なるところは、隙間作製運転を備えたことにある。
【0071】
内槽1に洗濯物70を投入後、内槽1の回転数を600rpm程度で回転させると、遠心力により洗濯物70の中央部に隙間80が形成される。
【0072】
実施例1では張付運転を行ってから洗濯水を循環させていたが、実施例4では、張付運転実行前に内槽1に投入された洗濯物70の中央部に隙間80を形成するために、隙間作製運転を行う。隙間作製運転における内槽1の回転数は、張付運転における内槽1の回転数よりも高い。隙間80を設けることにより、隙間80を洗濯水が通ることができるので、洗濯水を内槽1の奥側まで届けることができる。隙間80を形成することにより洗濯水が内槽1の奥側まで届くので、洗濯物全体に洗濯水を吸水させることができ、洗濯物内の洗浄度のむらを低減し、洗浄度を向上できる。
【0073】
次に洗い工程について説明する。図9は、本発明の実施例4に係る洗い工程の運転フローを示す図である。
【0074】
洗濯機の洗い行程がスタートすると(ステップS100)、内槽1を回転させ、内槽1に投入された洗濯物7の布量を検知する(ステップS101)。
【0075】
布量検知後、隙間80を作製するために、内槽1を600rpm程度で回転させ、隙間作製運転を開始する(ステップS400)。
【0076】
所定時間隙間作製運転後、内槽1の回転数を100rpm程度とし、張付運転を開始する(ステップS102)。
【0077】
次に外槽2に給水を開始し(ステップS103)、水位センサ3が水位を検知する(ステップS104)。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位(上限値)に達していない場合(ステップS104のNO)には、水位センサ3による水位検知を繰り返す。水位センサ3によって検知される水位が第2設定水位に達した場合(ステップS104のYES)には、給水を停止させる(ステップS105)。
【0078】
給水停止後、循環ポンプ4を駆動させ(ステップS106)、外槽2の底部に溜まった洗濯水を内槽1内に投入させる。
【0079】
実施例4によれば、隙間作製運転によって作製された洗濯物70の隙間80から洗濯水を投入することにより、洗濯物全体に洗濯水を吸水させることができ、洗濯物内の洗浄度のむらを低減し、洗浄度を向上できる。
【0080】
以降ステップS107~ステップS120までは実施例1と同一であるので、説明は省略する。
【0081】
また、実施例4の洗い工程において、実施例3で説明した攪拌運転を取り入れるようにしても良い。例えば、張付運転100rpm程度を実行し、ステップS312の循環ポンプ駆動後に、内槽1の回転数を40rpm程度にして攪拌運転を実行する(隙間作製運転600rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm)。また、隙間作製運転600rpm後の張付運転100rpmと攪拌運転40rpmは複数回繰り返すようにしても良い(例えば、隙間作製運転600rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm→張付運転100rpm→攪拌運転40rpm)。張付運転と攪拌運転を複数繰り返すことにより、布同士の摩擦や、たたき洗いの動作が加わり、洗浄度を向上することができる。
【0082】
隙間作製運転は洗濯物が多い場合の洗浄度向上に有効であるが、洗濯物がほぼ定格容量で入っている場合は、洗濯物に偏りが生じるため、内槽1を高速回転させる洗濯物隙間作製運転は難しい。この場合は、布量を検知した後に、40rpm程度で攪拌運転を行い、その後に100rpmに回転数を上げて張付運転を行うようにすると良い。
【0083】
上記した各実施例における内槽1の回転数は一例であり、内槽1の回転数は、上記数値に限定されるものでは無い。
【符号の説明】
【0084】
1…内槽、2…外槽、3…水位センサ、3a…第1水位センサ、3b…第2水位センサ、4…循環ポンプ、5…循環経路、6…水面、7,70…洗濯物、10…ドラム式洗濯機、80…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9