(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】スクリーン印刷機
(51)【国際特許分類】
B41F 15/12 20060101AFI20240909BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240909BHJP
B41F 35/00 20060101ALI20240909BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B41F15/12 A
B41F15/08 303E
B41F35/00 C
H05K3/34 505D
(21)【出願番号】P 2021117022
(22)【出願日】2021-07-15
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 英一
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171419(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105018(WO,A1)
【文献】特開2015-080870(JP,A)
【文献】特開2015-066927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0183600(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2262533(KR,B1)
【文献】独国特許出願公開第03928525(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00-15/46
31/00-35/06
H05K 3/32- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷機であって、
マスクを用いて基板に回路パターンを印刷する印刷部と、
印刷に関わる作業を行う前記印刷部以外の作業部と、
交換可能に取り付けられているクリーニング媒体を用いて前記マスクの下面をクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング媒体の媒体切れを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検知部によって媒体切れが検知された場合に、次回前記クリーニング部が動作する前のタイミングであって、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているタイミングを予測する予測処理と、
前記予測処理で予測したタイミングを、前記クリーニング媒体を交換可能なタイミングとしてオペレータに案内する案内処理と、
を実行する、スクリーン印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、
前記制御部は、前記案内処理において、前記予測処理で予測したタイミングの所定時間前に、当該所定時間後に前記クリーニング媒体を交換するようオペレータに案内する、スクリーン印刷機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷機であって、
前記制御部は、前記案内処理において、前記予測処理で予測したタイミングに達したときに、前記クリーニング媒体を交換するようオペレータに案内する、スクリーン印刷機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスクリーン印刷機であって、
前記作業部は、前記基板を搬送する搬送部、前記基板に印刷された回路パターンを検査する検査部、前記基板を下から支持するバックアップピンの配置を変更する変更部の少なくとも一つである、スクリーン印刷機。
【請求項5】
請求項4に記載のスクリーン印刷機であって、
前記制御部は、前記予測処理において、回路パターンが印刷された前記基板が搬出された後、前記搬送部によって次の前記基板が搬入されてくるまでの時間帯、前記検査部によって前記回路パターンを検査する時間帯、及び、前記変更部によって前記バックアップピンの配置を変更する時間帯をそれぞれ予測し、予測した時間帯のうち最も長い時間帯に含まれる時刻を、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているタイミングとする、スクリーン印刷機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスクリーン印刷機であって、
前記マスクを移動させるマスク移動部を備え、
前記制御部は、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているときは前記マスクを前記クリーニング部の近傍に移動させる、スクリーン印刷機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスクリーン印刷機であって、
前記制御部は、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているときは前記印刷部への電力供給を遮断する、スクリーン印刷機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスクリーン印刷機であって、
前記制御部は、オペレータが前記クリーニング媒体を交換する作業が終了するまでは前記印刷部の動作を開始しない、スクリーン印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、スクリーン印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に回路パターンを印刷するスクリーン印刷機が知られている。スクリーン印刷機は回路パターンを表す開口が形成されているマスクの上で半田ペースト(クリーム半田とも称される)を均すことにより、マスクの下に配されている基板に回路パターンを印刷する。
一般にスクリーン印刷機は回路パターンを印刷した後にマスクの下面を紙や布などのクリーニング媒体でクリーニングしている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のスクリーン印刷機はクリーニング媒体が無端形状であり、クリーニング媒体を清掃して再使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスクリーン印刷機はクリーニング媒体を再使用するものであるが、一度使用したクリーニング媒体を再使用せずに新しいクリーニング媒体に交換するスクリーン印刷機もある。しかしながら、従来は、一度使用したクリーニング媒体を再使用せずに新しいクリーニング媒体に交換する場合の課題について十分に検討されていなかった。
本明細書では、クリーニング媒体の交換によってタクトタイムが長くなることを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
スクリーン印刷機であって、マスクを用いて基板に回路パターンを印刷する印刷部と、印刷に関わる作業を行う前記印刷部以外の作業部と、交換可能に取り付けられているクリーニング媒体を用いて前記マスクの下面をクリーニングするクリーニング部と、前記クリーニング媒体の媒体切れを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部によって媒体切れが検知された場合に、次回前記クリーニング部が動作する前のタイミングであって、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているタイミングを予測する予測処理と、前記予測処理で予測したタイミングを、前記クリーニング媒体を交換可能なタイミングとしてオペレータに案内する案内処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0006】
クリーニング媒体の交換によってタクトタイムが長くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6A】マスクを交換する動作を説明するための模式図(交換前)
【
図6B】マスクを交換する動作を説明するための模式図(交換後)
【
図8】スクリーン印刷機の電気的構成を示すブロック図
【
図9】クリーニングシートを交換するときのマスクとクリーニング部との位置関係を示す模式図
【
図12】クリーニングシートの無停止交換タイミングの予測処理のフローチャート
【
図13】実施形態2に係るスクリーン印刷機を右側から見た側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本実施形態の概要)
(1)本開示に係るスクリーン印刷機は、マスクを用いて基板に回路パターンを印刷する印刷部と、印刷に関わる作業を行う前記印刷部以外の作業部と、交換可能に取り付けられているクリーニング媒体を用いて前記マスクの下面をクリーニングするクリーニング部と、前記クリーニング媒体の媒体切れを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部によって媒体切れが検知された場合に、次回前記クリーニング部が動作する前のタイミングであって、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているタイミングを予測する予測処理と、前記予測処理で予測したタイミングを、前記クリーニング媒体を交換可能なタイミングとしてオペレータに案内する案内処理と、を実行する。
【0009】
一度使用したクリーニング媒体を再使用せずに新しいクリーニング媒体に交換する場合、クリーニング媒体の交換のためにスクリーン印刷機を停止させるとタクトタイム(基板1枚当たりの印刷時間)が長くなる。
上記のスクリーン印刷機によると、クリーニング媒体の媒体切れを検知した場合に、次回クリーニング部が動作する前のタイミングであって、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作しているタイミングを、クリーニング媒体を交換可能なタイミングとしてオペレータに案内するので、スクリーン印刷機の動作を完全に停止させることなくクリーニング媒体を交換できる可能性が高くなる。このため上記のスクリーン印刷機によると、一度使用したクリーニング媒体を再使用せずに新しいクリーニング媒体に交換するスクリーン印刷機において、クリーニング媒体の交換によってタクトタイムが長くなることを抑制できる。
【0010】
(2)前記制御部は、前記案内処理において、前記予測処理で予測したタイミングの所定時間前に、当該所定時間後に前記クリーニング媒体を交換するようオペレータに案内してもよい。
【0011】
上記のスクリーン印刷機によると、予測処理で予測したタイミングの所定時間前にオペレータに案内するので、予測処理で予測したタイミングでオペレータがクリーニング媒体を交換する可能性が高くなる。
【0012】
(3)前記制御部は、前記案内処理において、前記予測処理で予測したタイミングに達したときに、前記クリーニング媒体を交換するようオペレータに案内してもよい。
【0013】
上記のスクリーン印刷機によると、予測処理で予測したタイミングに達したときに、クリーニング媒体を交換するようオペレータに案内するので、予測処理で予測したタイミングでオペレータがクリーニング媒体を交換する可能性が高くなる。
【0014】
(4)前記作業部は、前記基板を搬送する搬送部、前記基板に印刷された回路パターンを検査する検査部、前記基板を下から支持するバックアップピンの配置を変更する変更部の少なくとも一つであってもよい。
【0015】
上記のスクリーン印刷機によると、クリーニング媒体を交換するときに搬送部、検査部及び変更部の少なくとも一つが動作中であるので、スクリーン印刷機の動作を停止させずにクリーニング媒体を交換できる。
【0016】
(5)前記制御部は、前記予測処理において、回路パターンが印刷された前記基板が搬出された後、前記搬送部によって次の前記基板が搬入されてくるまでの時間帯、前記検査部によって前記回路パターンを検査する時間帯、及び、前記変更部によって前記バックアップピンの配置を変更する時間帯をそれぞれ予測し、予測した時間帯のうち最も長い時間帯に含まれる時刻を、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているタイミングとしてもよい。
【0017】
クリーニング媒体の交換にはある程度の時間を要するので、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作している時間帯が短いとその間に交換が終了しない可能性がある。
上記のスクリーン印刷機によると、予測した時間帯のうち最も長い時間帯に含まれる時刻を、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作しているタイミングとするので、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作している間にクリーニング媒体の交換が終了する可能性が高くなる。このため、クリーニングが間に合わずに印刷部が待ち状態になる可能性を低減できる。
【0018】
(6)前記マスクを移動させるマスク移動部を備え、前記制御部は、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているときは前記マスクを前記クリーニング部の近傍に移動させてもよい。
【0019】
上記のスクリーン印刷機によると、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作しているときはマスクをクリーニング部の近傍に移動させるので、動作中の作業部にオペレータが触れることを抑制できる。
【0020】
(7)前記制御部は、前記印刷部が停止しており、且つ、前記作業部が動作しているときは前記印刷部への電力供給を遮断してもよい。
【0021】
上記のスクリーン印刷機によると、印刷部が停止しており、且つ、作業部が動作しているときは印刷部への電力供給を遮断するので、クリーニング媒体を交換するときのオペレータの安全性が向上する。
【0022】
(8)前記制御部は、オペレータが前記クリーニング媒体を交換する作業が終了するまでは前記印刷部の動作を開始しないようにしてもよい。
【0023】
上記のスクリーン印刷機によると、オペレータがクリーニング媒体を交換する作業が終了するまでは印刷部の動作を開始しないので、オペレータの安全性が向上する。
【0024】
(9)本開示に係るスクリーン印刷機は、筐体と、前記筐体に収容されており、マスクを用いて基板に回路パターンを印刷する印刷部と、前記筐体に収容されており、印刷に関わる作業を行う前記印刷部以外の作業部と、前記筐体に収容されているクリーニング部であって、クリーニング媒体が交換可能に取り付けられており、前記クリーニング媒体によって前記マスクの下面をクリーニングするクリーニング部と、前記筐体に形成されている開口であって前記クリーニング媒体を交換するための開口を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーが開いているときにオペレータが前記印刷部及び前記作業部に触れることを規制する規制部と、を備える
【0025】
上記のスクリーン印刷機によると、印刷部や作業部が動作中のときにオペレータが開閉カバーを開けても、規制部があることにより、オペレータが印刷部や作業部に触れることを規制できる。このため、印刷部や作業部が動作中であってもオペレータが安全にクリーニング媒体を交換できる。このため、クリーニング媒体を交換するためにスクリーン印刷機を停止させなくてよい。このため上記のスクリーン印刷機によると、クリーニング媒体の交換によってタクトタイムが長くなることを、オペレータの安全性を確保しつつ抑制できる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0027】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図12に基づいて説明する。以降の説明では
図1に示す左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向という。また、以降の説明では
図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0028】
(1)スクリーン印刷機の構成
図1を参照して、スクリーン印刷機1の構成について説明する。スクリーン印刷機1は箱状の筐体10を備えている。筐体10は上壁10Aと前壁10Bとの角部に開閉可能な前側カバー10Cが設けられている。筐体10の右壁10Dには基板Pが搬入される開口が形成されており、左壁には基板Pが搬出される開口が形成されている。基板Pは右壁の開口から筐体10の内部に搬入され、回路パターンが印刷された後に左側の開口から搬出される。
【0029】
スクリーン印刷機1は、
図2に示す金属製のベース11、マスク12、マスクホルダ13、基板搬送部14(搬送部及び作業部の一例)、印刷テーブル15(作業部の一例)、印刷部16(印刷部及びマスク移動部の一例)、検査部17(検査部、変更部及び作業部の一例)、
図3に示すマスクスライダ18(マスク移動部及び作業部の一例)、マスク交換ユニット19(作業部の一例)、クリーニング部20などを備えている。なお、
図2ではクリーニング部20を省略している。
図2及び
図3に示すように、印刷部16、マスクスライダ18及びマスク交換ユニット19はマスク12より上にあり、基板搬送部14、印刷テーブル15及び検査部17はマスク18の下にある。
【0030】
図5に示すように、マスク12は枠状のマスクフレーム12Aと、マスクフレーム12Aの内側に弾性部材12Bを介して支持されている板状のマスク本体12Cとを備えている。マスク本体12Cはアルミニウムや鉄などで形成されており、印刷する回路パターンに対応する開口(図示せず)が形成されている。弾性部材12Bは板状の樹脂やゴムなどである。
【0031】
図2に示すように、マスクホルダ13は印刷部16と検査部17との間に設けられている。マスクホルダ13はX方向に離間してY方向に延びる2つのレール部13Aで構成されている。X方向左側のレール部13Aは左側の縁部に沿って側壁部が立ち上がっており、X方向右側のレール部13Aは右側の縁部に沿って側壁部が立ち上がっている。マスク12は2つのレール部13AによってX方向の両側が支持される。
【0032】
図2及び
図4に示すように、基板搬送部14はX方向に並ぶ3つのコンベア(上流側コンベア14A、メインコンベア14B、下流側コンベア14C)を備えている。上流側コンベア14A及び下流側コンベア14Cはベース11に設けられており、メインコンベア14Bは印刷テーブル15に設けられている。各コンベアはY方向に離間して配されてX方向に循環駆動する一対のコンベアベルト、それらのコンベアベルトを駆動するモータ(例えばサーボモータ)などを備えている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、印刷テーブル15はベース11の底面に設けられている。印刷テーブル15は平板状のテーブル30、鉛直方向に延びるボールねじ31、ボールねじ31を回転させるモータ、基板Pを固定する基板固定ユニット32、基板固定ユニット32に固定されている基板Pを下から支持するバックアップユニット33などを備えている。テーブル30はボールねじ31が回転することによって昇降する。
【0034】
図3に示すように、基板固定ユニット32はバックアップユニット33の上方の印刷位置に搬送された基板PをY方向の両側から挟んで固定する一対のクランプ部32A、クランプ部32Aを駆動するモータなどで構成されている。クランプ部32Aには上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。貫通穴の下側はエアホースを介して空気供給装置に接続されている。基板固定ユニット32が基板Pを固定している状態でテーブル30が上昇するとクランプ部32Aの上面がマスク本体12Cの下面に密着し、その状態で貫通穴に負圧が供給されることによってマスク本体12Cがクランプ部32Aに吸着される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、バックアップユニット33は板状の下部プレート33A、下部プレート33Aの上方に配されている板状の上部プレート33B、基板Pを下から支持する複数のバックアップピン33C、鉛直方向に延びるボールねじ33D、ボールねじ33Dを回転させるモータなどを備えている。バックアップユニット33はボールねじ33Dが回転することによって昇降する。
【0036】
図4に示すように、上部プレート33BにはY方向に一列に並ぶ複数の穴33EがX方向に離間して複数列形成されている。これらの穴33Eにはバックアップピン33Cが差し込まれる。バックアップピン33Cが差し込まれる穴33Eの位置は基板Pの品種によって異なる。生産する基板Pの品種が切り替わるとき、切り替わり後の基板Pの品種に応じてバックアップピン33Cの配置が変更される。
【0037】
印刷部16は、
図2に示すスキージユニット16A、スキージユニット16AをY方向に往復移動可能に支持している一対のガイドレール16B、
図4に示すボールねじ16C、ボールねじ16Cを回転させるモータなどを備えている。ボールねじ16Cはスキージユニット16AのX方向左側においてY方向に延びている。ボールねじ16Cが回転することによってスキージユニット16AがY方向に移動する。
【0038】
図6Aに示すように、スキージユニット16Aはマスク本体12Cの上に半田ペーストを供給する半田供給部16D、供給された半田ペーストを均すスキージ16E、スキージ16Eを昇降させるモータ、X方向(
図6Aにおいて紙面垂直方向)に延びる回転軸周りにスキージ16Eを回動させるモータなどを備えている。
【0039】
図6A及び
図6Bに示すように、マスクスライダ18はスキージユニット16AのY方向後ろ側に固定されている。マスクスライダ18は上下方向に移動可能な係止ピン18A、係止ピン18Aを上に向けて付勢しているコイルばね、係止ピン18Aを下降させるシリンダなどを備えている。係止ピン18Aはモータによって昇降されてもよい。
【0040】
図2及び
図3に示すように、検査部17はマスクホルダ13と印刷テーブル15との間に設けられている。検査部17はマスク12の下面及び基板Pの上面を撮像してマスク12の下面の状態や基板Pに印刷された回路パターンを検査するためのものである。検査部17は、
図2に示すカメラユニット17A、カメラユニット17AをX方向に往復移動可能に支持しているビーム17B、ビーム17Bに固定されてY方向に延びるボールねじ17C、ビーム17BのX方向両側に配されてY方向に延びる一対のガイドレール17D、
図3に示すボールねじ17E、ボールねじ17Eを回転させるモータなどを備えている。ボールねじ17Eはベース11に固定されてY方向に延びている。
【0041】
図3に示すように、カメラユニット17Aにはマスク12の下面を撮像するマスク撮像カメラ17F、及び、基板Pの上面を撮像する基板撮像カメラ17Gが固定されている。カメラユニット17Aはボールねじ17C及びボールねじ17Eが回転することによって所定の可動範囲内でXY方向に移動する。検査部17はリニアモータによってカメラユニット17Aを移動させる構成であってもよい。
検査部17による検査は基板1枚毎に行われてもよいし、複数枚毎に行われてもよい。あるいは、検査は一定の時間間隔で行われてもよいし、指定された時刻に達したときに行われてもよい。
【0042】
検査部17は生産する基板Pの品種が切り替わるときにバックアップピン33Cの配置を自動で変更する変更部としても機能する。具体的には、カメラユニット17Aにはバックアップピン33Cを保持及び解放するピン保持部17K(
図8参照)が昇降可能に設けられている。ピン保持部17Kはバックアップピン33Cを負圧で吸着して保持するものであってもよいし、磁力で吸着して保持するものであってもよいし、バックアップピン33Cを挟んで保持するものであってもよい。ピン保持部17Kがバックアップピン33Cを保持する構成は適宜に選択可能である。
【0043】
スクリーン印刷機1は、バックアップピン33Cの配置を変更するとき、カメラユニット17Aを移動させてバックアップピン33Cの上方にピン保持部17Kを移動させた後、ピン保持部17Kを下降させてバックアップピン33Cを保持し、その状態でピン保持部17Kを上昇させることにより、バックアップピン33Cを持ち上げる。スクリーン印刷機1はその状態でカメラユニット17Aを移動させて次に生産する基板Pの品種に応じた穴33Eの上方にピン保持部17Kを移動させ、ピン保持部17Kを下降させてバックアップピン33Cをその穴33Eに挿入する。これによりバックアップピン33Cの配置が自動で変更される。
【0044】
検査部17はクリーニング部20によってマスク12の下面をクリーニングするときにクリーニング部20をY方向に移動させる機能も有している。具体的には、
図7に示すように、カメラユニット17AのY方向前側にはX方向に延びる係止突起17Hが設けられている。詳しくは後述するが、クリーニング部20によってマスク12の下面をクリーニングするとき、係止突起17Hがクリーニング部20に係止され、検査部17によってクリーニング部20がY方向に移動する。
【0045】
図3に示すように、マスク交換ユニット19はマスクホルダ13のY方向後ろ側に設けられている。マスク交換ユニット19はマスク12を自動交換するための機構である。
図6A及び
図6Bに示すように、マスク交換ユニット19はマスク12を上下2段に収容可能なマガジン19Aと、マガジン19Aを昇降させるモータとを有している。マガジン19Aには交換用のマスク12が上段又は下段のいずれか一方に収容される。
【0046】
例えば
図6Aに示すようにマスクホルダ13に保持されているマスク12をマガジン19Aの下段に戻す場合は、マスクホルダ13に保持されているマスク12のY方向前側で係止ピン18Aが下降する。その状態でスキージユニット16AがY方向後ろ側に移動するとマスク12が係止ピン18Aに押されてマガジン19Aに戻される。
図6Bに示すように、マスク交換ユニット19に収容されている交換用のマスク12をマスクホルダ13に移動させる場合はマガジン19Aが下降する。そして、マスクフレーム12Aの内側で係止ピン18Aが下降する。その状態でスキージユニット16AがY方向前側に移動するとマスク12が係止ピン18Aに押されてマスクホルダ13に移動される。これによりマスク12が自動で交換される。
【0047】
図3に示すように、クリーニング部20は本体部20A、紙や布などのクリーニングシート20B(クリーニング媒体の一例)が巻き回されているシートロール20C、使用されたクリーニングシート20Bを巻き取る巻き取りロール20D、シートロール20Cに挿入されるシートロール軸20E、巻き取りロール20Dに挿入される巻き取り軸20F、巻き取り軸20Fを回転させるモータ、シートロール軸20Eと巻き取り軸20Fとの間に配されているクリーニングヘッド20G、クリーニングヘッド20Gを昇降させるシリンダ、シリンダに正圧及び負圧を供給する空気供給装置、シートロール軸20Eの回転を検知する検知部20H(
図8参照)などを備えている。クリーニングヘッド20Gはモータによって昇降されてもよい。
【0048】
本体部20AはX方向に長い長方形状の底壁部と、底壁部のX方向左側、右側及びY方向後ろ側の3辺から立ち上がっている側壁部とを備えている。本体部20AはX方向の両側が検査部17のガイドレール17Dに支持されており、ガイドレール17Dに案内されてY方向に移動可能である。本体部20AのX方向両側の側壁部にはそれぞれシートロール軸20Eの軸方向の端部が挿入される穴(あるいは凹部)、及び、巻き取り軸20Fの軸方向の端部が挿入される穴(あるいは凹部)が形成されている。
【0049】
クリーニングシート20Bは先端部が巻き取りロール20Dに係止され、巻き取りロール20Dが回転することによって巻き取られる。全てのクリーニングシート20Bが巻き取られてシート切れになると巻き取り軸20Fが回転してもシートロール軸20Eが回転しなくなる。
シートロール軸20Eは軸方向に伸縮可能である。シートロール20Cの軸部に挿入されたシートロール軸20Eの両端部が本体部20AのX方向両側の側壁部40Bの穴に挿入されることにより、シートロール軸20E及びシートロール20Cが本体部20Aに取り付けられる。オペレータはシートロール軸20Eを軸方向に圧縮することにより、シートロール軸20E及びシートロール20Cを取り外すことができる。巻き取り軸20F及び巻き取りロール20Dも同様である。シートロール20Cや巻き取りロール20Dを着脱可能に取り付けるための構成は上述した構成に限定されず、適宜の方法で取り付けることができる。
【0050】
検知部20Hは例えばエンコーダである。エンコーダはシートロール軸20Eの軸方向の端面に設けられているマークと、マークを光学的に検知する光学センサとを備えている。
図7に示すように、本体部20AのY方向後ろ側には前述した検査部17の係止突起17Hが係止される係止穴49を有する係止部48が設けられている。
【0051】
(2)スクリーン印刷機の電気的構成
図8を参照して、スクリーン印刷機1の電気的構成について説明する。スクリーン印刷機1は制御部60、表示部61及び入力部62を備えている。
制御部60はCPU60A、RAM60B及び記憶部60Cを備えている。記憶部60Cはハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体を有する記憶装置である。記憶部60CにはCPU60Aによって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。
図8に示すように、制御部60には表示部61、入力部62、基板搬送部14、印刷テーブル15、印刷部16、検査部17、マスクスライダ18、マスク交換ユニット19、クリーニング部20などが接続されている。
表示部61は液晶ディスプレイなどの表示装置である。入力部62はタッチパネル、マウス、キーボードなどの入力装置である。
【0052】
(3)マスクのクリーニング
図7に示すように、クリーニング部20によってマスク12の下面をクリーンニングするときはカメラユニット17Aの係止突起17Hがクリーニング部20の係止穴49に挿入される。そして、クリーニング部20のシリンダに正圧が供給されてクリーニングヘッド20Gが上昇する。その状態でカメラユニット17AがY方向に移動することによってクリーニング部20がY方向に移動し、マスク12の下面がクリーニングされる。
マスク12のクリーニングは基板1枚毎に行われてもよいし、複数枚毎に行われてもよい。あるいは、クリーニングは一定の時間間隔で行われてもよいし、指定された時刻に達したときに行われてもよい。
【0053】
クリーニングシート20Bがシート切れになるとオペレータによってクリーニングシート20Bが交換される。詳しくは後述するが、制御部60はオペレータの安全性を向上させつつタクトタイムの低下を抑制するために、印刷部16が停止しており、且つ、印刷部16以外のいずれかの作業部が動作しているときにクリーニングシート20Bを交換するようオペレータに案内する。言い換えると、制御部60は無停止(印刷部16以外のいずれかの作業部が動作している状態)でクリーニングシート20Bを交換できるタイミングをオペレータに案内する。以降の説明では無停止でクリーニングシート20Bを交換できるタイミングのことを無停止交換タイミングという。
【0054】
図9を参照して、クリーニングシート20Bを交換するときのマスク12とクリーニング部20との位置関係について説明する。前述したように制御部60は無停止でクリーニングシート20Bを交換するようオペレータに案内することから、オペレータは印刷部16以外の作業部が動作しているときに前側カバー10Cを開けてクリーニングシート20Bを交換することになる。
【0055】
前述したように基板搬送部14、印刷テーブル15、検査部17などの作業部はマスク18の下にある。このため、
図9に示すように、制御部60は、無停止交換タイミングが到来すると、マスク12とクリーニング部20との間からオペレータの手がスクリーン印刷機1の内部に入り込んで基板搬送部14、印刷テーブル15、検査部17などに触れることを防止するために、マスク12のY方向前端がクリーニング部20の本体部20AのY方向後端の近傍となる位置にマスク12を移動させる。言い換えると、制御部60は、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときはマスク12をクリーニング部20の近傍に移動させる。どの程度を近傍とするかは適宜に決定可能であるが、マスク12とクリーニング部20との間からオペレータの手がスクリーン印刷機1の内部に入り込まない距離であることが好ましい。
【0056】
ここで、基板搬送部14、印刷テーブル15、検査部17などの作業部はマスク18の下にあるが、印刷部16はマスク12より上にあるので、マスク12をクリーニング部20の近傍に移動させてもオペレータが印刷部16に触れる可能性がある。このため、制御部60は安全性を向上させるために、無停止交換タイミングが到来するとスクリーン印刷機1の電気的な構成要素のうちマスク12より上側の構成要素(具体的には印刷部16)への電力供給を遮断する。言い換えると、制御部60は、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときは印刷部16への電力供給を遮断する。
【0057】
より具体的には、スクリーン印刷機1は各作業部に電力供給する電力ラインにリレーやFET(Field Effect Transistor)などのスイッチが設けられている。制御部60は無停止交換タイミングが到来すると印刷部16に電力供給する電力ラインに設けられているスイッチをオフ(遮断状態、開状態)にする。以降の説明では電力ラインに設けられているスイッチをオフにすることをサーボオフという。
実施形態1ではマスク12より上側の電気的な構成要素として印刷部16を例示したが、印刷部16以外にもマスク12より上側に電気的な構成要素(例えばマスクスライダ18やマスク交換ユニット19)がある場合はその構成要素についてもサーボオフすることが好ましい。
【0058】
オペレータはクリーニングシート20Bの交換が終了すると前側カバー10Cを閉じる。制御部60は前側カバー10Cが閉じられると印刷部16への電力供給を再開する。言い換えると、制御部60はクリーニングシート20Bを交換する作業が終了して前側カバー10Cが閉じられるまでは印刷部16の動作を再開しない。
【0059】
(4)印刷処理
図10を参照して、基板Pに回路パターンを印刷する印刷処理の流れについて説明する。
S101では、制御部60は基板搬送部14によって印刷位置に基板Pを搬入する。
S102では、制御部60はクリーニング部20によってマスク12の下面を自動でクリーニングする自動クリーニング処理を実行する。
【0060】
S103では、制御部60は印刷部16によって基板Pに回路パターンを印刷する。
S104では、制御部60は基板Pに印刷された回路パターンを検査部17によって検査する。
S105では、制御部60は基板搬送部14によって基板Pを搬出する。
【0061】
S106では、制御部60は印刷した基板Pが現在生産している品種の最後の基板であるか否かを判断する。制御部60は、最後の基板ではない場合はS101に戻って処理を繰り返し、最後の基板Pである場合はS107に進む。
S107では、制御部60は検査部17によってバックアップピン33Cの配置を変更する。
【0062】
図11を参照して、S102で実行される自動クリーニング処理について説明する。
S201では、制御部60は検査部17によってクリーニング部20を移動させることによってマスク12の下面を自動クリーニングする。
【0063】
S202では、制御部60はクリーニングシート20Bがシート切れか否かを判断する。具体的には、制御部60はS201でマスク12をクリーニングした後、巻き取りロール20Dを回転させてクリーニングシート20Bを一定量巻き取る。このときシート切れになるとシートロール軸20Eが回転しなくなるため、シートロール軸20Eの回転が検知部20Hによって検知されなくなる。制御部60はシートロール軸20Eの回転が検知されなくなるとシート切れと判断する。制御部60は、シート切れの場合はS203に進み、シート切れでない場合は本処理を終了する。
【0064】
S203では、制御部60はクリーニングシート20Bの無停止交換タイミングの予測処理を実行する。予測処理は、次回のクリーニングまでの間に、印刷部16が停止しており、且つ、印刷部16以外の作業部が動作しているタイミング(すなわち無停止交換タイミング)があるか否かを判断し、ある場合はその時刻を予測する処理である。
【0065】
S204では、制御部60は次回のクリーニングまでの間に無停止交換タイミングがある場合はS205に進み、ない場合はS206に進む。
S205では、制御部60は、無停止交換タイミングが到来したときにオペレータをクリーニングシート20Bの交換に割り当て可能か否かを判断する。制御部60は、オペレータを割り当てできない場合はS206に進み、割り当て可能な場合はS208に進む。
【0066】
S206では、制御部60はスクリーン印刷機1の運転を停止する。
S207では、制御部60は直ちにクリーニングシート20Bを交換するようオペレータに案内する。具体的には例えば、制御部60はクリーニングシート20Bの交換要求を出力する。交換要求は「クリーニングシートが切れました。直ちにクリーニングシートを交換して下さい。」などである。交換要求の出力は適宜の方法で行うことができる。例えばスクリーン印刷機1の表示部61に表示することによって行ってもよいし、オペレータが携帯している携帯端末に送信することによって行ってもよいし、音声によって出力してもよい。
【0067】
S208では、制御部60はS203で予測した無停止交換タイミングの所定時間前に、当該所定時間後にクリーニングシート20Bを交換するようオペレータに案内する(案内処理の一例)。具体的には例えば、制御部60はクリーニングシート20Bの無停止交換予告を出力する。無停止交換予告は「クリーニングシートが切れました。xx分後に無停止交換準備が整います。クリーニングシートの準備をしてください。」などである。「xx分」は現在時刻から無停止交換タイミングまでの時間である。「xx分」は所定時間の一例である。無停止交換予告の出力も適宜の方法で行うことができる。
S209では、制御部60は無停止交換タイミングが到来するまで待機する。
【0068】
S210では、制御部60はマスク12のY方向前端がクリーニング部20の本体部20AのY方向後端の近傍となる位置にマスク12を移動させるとともに、印刷部16をサーボオフする。
S211では、制御部60はクリーニングシート20Bを無停止で交換するようオペレータに案内する(案内処理の一例)。具体的には例えば、制御部60はクリーニングシート20Bの無停止交換要求を出力する。無停止交換要求は「無停止でクリーニングシートを交換する準備が整いました。前側カバーを開きクリーニングシートを交換して下さい。」などである。無停止交換要求の出力も適宜の方法で行うことができる。
【0069】
図12を参照して、S203で実行されるクリーニングシートの無停止交換タイミングの予測処理について説明する。理解を容易にするため、以下の説明では作業部として基板搬送部14及び検査部17を例に説明する。ここで、基板搬入待ちのときは基板搬送部14のモータが停止しているが、基板搬送部14は上流側から基板Pが送り出されたときにいつでもモータを回転可能に待機している。このため、本実施形態では基板搬入待ちのときも基板搬送部14は動作中であるとする。あるいは、基板搬送部14は、基板搬入待ちのとき、コンベアを回転させ続けた状態で待機してもよい。
【0070】
S301では、制御部60は印刷位置に基板Pが搬入されているか否かを判断し、搬入されていない場合はS302に進み、搬入されている場合はS303に進む。
S302では、制御部60は基板搬送部14によって次の基板Pが搬入されてくるまでの時間T1を予測する。本来、この時点では既にS101で基板Pが搬入されているはずであるが、この時点で基板Pが搬入されていないということは何らかの理由で基板搬入待ちになっている。このため、基板Pが搬入されるまでの待ち時間にクリーニングシート20Bを無停止で交換できる可能性がある。次の基板Pが搬入されてくるまでの時間は基板搬入待ちとなっている理由などから予測できる。例えば何らかのトラブルで基板Pが搬入されてこない場合は、トラブルの解消に要する標準的な時間を、次の基板Pが搬入されてくるまでの時間T1として予測してもよい。
現時点から次の基板Pが搬入されてくるまでの時間は、回路パターンが印刷された基板が搬出された後、搬送部によって次の基板が搬入されてくるまでの時間帯の一例である。
【0071】
S303では、制御部60は次回のクリーニングまでの間に検査部17による検査が行われるか否かを判断する。検査が行われている間はクリーニングシート20Bを無停止で交換できる。制御部60は、検査が行われる場合はS304に進み、行われない場合はS305に進む。
S304では、制御部60は次回検査部17によって検査が行われる時間帯を予測する。時間帯はその時間帯の開始時刻とその時間帯の長さとで表される。以降の説明では予測した時間帯(次回の検査が行われる時間帯)の長さのことを時間T2という。
【0072】
S305では、制御部60は基板Pの生産計画などの情報から次回のクリーニングまでの間に品種切り替えが行われるか否かを判断する。品種切り替えが行われる場合は検査部17によってバックアップピン33Cの配置が変更されるので、その間にクリーニングシート20Bを無停止で交換できる。制御部60は、品種切り替えが行われる場合はS306に進み、行われない場合はS307に進む。
S306では、制御部60は基板Pの生産計画などから次回の品種切り替えが行われる時間帯を予測する。以降の説明では予測した時間帯(次回の品種切り替えが行われる時間帯)の長さのことを時間T3という。次回の品種切り替えが行われる時間帯は、変更部によってバックアップピンの配置を変更する時間帯の一例である。
【0073】
S307では、制御部60はT1+T2+T3=0であるか否かを判断する。制御部60は、0でない場合は次回のクリーニングまでの間に無停止交換タイミングがあると判断してS308に進み、0である場合は無停止交換タイミングがないと判断して処理を終了する。
S308では、制御部60は時間T1、T2及びT3のうち最長の時間の開始時刻を無停止交換タイミングとして決定する。基板搬入待ちの場合は現在時刻が開始時刻となる。時間T1、T2及びT3のうち最長の時間の開始時刻は、予測した時間帯のうち最も長い時間帯に含まれる時刻の一例である。無停止交換タイミングは必ずしも最も長い時間帯の開始時刻でなくてもよく、最も長い時間帯に含まれる時刻であれば開始時刻から遅れた時刻であってもよい。
【0074】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係るスクリーン印刷機1によると、クリーニングシート20Bのシート切れを検知した場合に、次回クリーニング部20が動作する前のタイミングであって、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているタイミングを無停止交換タイミングとしてオペレータに案内するので、スクリーン印刷機1の動作を完全に停止させることなくクリーニングシート20Bを交換できる可能性が高くなる。このためスクリーン印刷機1によると、一度使用したクリーニングシート20Bを再使用せずに新しいクリーニングシート20Bに交換するスクリーン印刷機1において、クリーニングシート20Bの交換によってタクトタイムが長くなることを抑制できる。
【0075】
スクリーン印刷機1によると、予測処理で予測した無停止交換タイミングを、無停止交換タイミングの所定時間前にオペレータに案内するので、無停止交換タイミングでオペレータがクリーニングシート20Bを交換する可能性が高くなる。
【0076】
スクリーン印刷機1によると、無停止交換タイミングに達したときに、クリーニングシート20Bを交換するようオペレータに案内するので、無停止交換タイミングでオペレータがクリーニングシート20Bを交換する可能性が高くなる。
【0077】
スクリーン印刷機1によると、クリーニングシート20Bを交換するときに基板搬送部14及び検査部17(検査部及び変更部)の少なくとも一つが動作中であるので、スクリーン印刷機1の動作を停止させずにクリーニングシート20Bを交換できる。
【0078】
スクリーン印刷機1によると、予測した時間帯のうち最も長い時間帯の開始時刻(予測した時間帯のうち最も長い時間帯に含まれる時刻の一例)を、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているタイミングとするので、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作している間にクリーニングシート20Bの交換が終了する可能性が高くなる。このため、クリーニングが間に合わずに印刷部16が待ち状態になる可能性を低減できる。
【0079】
スクリーン印刷機1によると、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときはマスク12をクリーニング部20の近傍に移動させるので、動作中の作業部にオペレータが触れることを抑制できる。
【0080】
スクリーン印刷機1によると、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときは印刷部16への電力供給を遮断するので、クリーニングシート20Bを交換するときのオペレータの安全性が向上する。
【0081】
スクリーン印刷機1によると、オペレータがクリーニングシート20Bを交換する作業が終了するまでは印刷部16の動作を再開しないので、オペレータの安全性が向上する。
【0082】
<実施形態2>
実施形態2を
図13に基づいて説明する。
図13に示すように、実施形態2に係るスクリーン印刷機201は筐体210の前側にクリーニングシート20Bを交換するための開口210Aが形成されている。筐体210には開口210Aを開閉する前側カバー210B(開閉カバーの一例)が連結されている。前側カバー210Bは下側がヒンジによって筐体210に連結されている。
【0083】
筐体210において開口210Aの上側にはオペレータが印刷部16及び作業部に触れることを規制する壁部211(規制部の一例)が設けられている。壁部211は開口210Aの上側から後ろ側に向かって板状に延びる上壁部212と、上壁部212の後ろ側の縁部から下に延びる側壁部213とを有している。印刷部16や作業部が動作中のときにオペレータが前側カバー210Bを開けても、壁部211があることにより、オペレータが印刷部16や作業部に触れることが規制される。
【0084】
実施形態2に係るスクリーン印刷機201によると、壁部211を備えているので、印刷部16や作業部が動作中であってもオペレータが安全にクリーニングシート20Bを交換できる。このため、クリーニングシート20Bを交換するためにスクリーン印刷機201を停止させなくてよい。このためスクリーン印刷機201によると、クリーニングシート20Bの交換によってタクトタイムが長くなることを、オペレータの安全性を確保しつつ抑制できる。
【0085】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0086】
(1)上記実施形態1では検知部20Hとしてエンコーダを例に説明したが、検知部20Hはエンコーダに限定されるものではなく、クリーニングシート20Bのシート切れを検知可能な任意の構成を採用できる。
【0087】
(2)上記実施形態1では作業部として基板搬送部14及び検査部17を例に説明したが、作業部はこれらに限定されるものではなく、他の作業部であってもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときは印刷部16への電力供給を遮断する場合を例に説明したが、印刷部16に電力を供給したままであってもよい。
【0089】
(4)上記実施形態1では、印刷部16が停止しており、且つ、作業部が動作しているときはマスク12をクリーニング部20の近傍に移動させる場合を例に説明したが、必ずしもマスク12をクリーニング部20の近傍に移動させなくてもよい。
【0090】
(5)上記実施形態1では検査部17が変更部の機能も備えている場合を例に説明したが、検査部17とは別に変更部を備えていてもよい。
【0091】
(6)上記実施形態1では検査部17によってクリーニング部20を移動させる場合を例に説明したが、クリーニング部20を移動させる構成を検査部17とは別に備えていてもよい。
【0092】
(7)上記実施形態ではマスク移動部として印刷部16及びマスクスライダ18を例に説明したが、マスク移動部を印刷部16やマスクスライダ18とは別に備えていてもよい。
【0093】
(8)上記実施形態ではクリーニング媒体としてクリーニングシート20Bを例に説明したが、クリーニング媒体はシート状のものに限定されない。
【符号の説明】
【0094】
1: スクリーン印刷機
12: マスク
14: 基板搬送部(搬送部及び作業部の一例)
15: 印刷テーブル(作業部の一例)
16: 印刷部(印刷部及びマスク移動部の一例)
17: 検査部(検査部、変更部及び作業部の一例)
18: マスクスライダ(マスク移動部及び作業部の一例)
19: マスク交換ユニット(作業部の一例)
20: クリーニング部
20B: クリーニングシート(クリーニング媒体の一例)
20H: 検知部
33C: バックアップピン
60: 制御部
201: スクリーン印刷機
210: 筐体
210A: 開口
210B: 前側カバー(開閉カバーの一例)
211: 壁部(規制部の一例)
P: 基板