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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】断熱パネル
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240909BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20240909BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20240909BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
E04B1/94 K
E04B2/56 645F
E04C2/26 W
E04F13/12 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021527773
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025215
(87)【国際公開番号】W WO2020262611
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2019121584
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020063935
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 智洋
(72)【発明者】
【氏名】富田 泰宇
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 義男
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-072601(JP,A)
【文献】特開2012-193522(JP,A)
【文献】実公昭62-002100(JP,Y2)
【文献】実公昭57-004172(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/94
E04B 2/56
E04C 2/26
E04F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側に第2面と、前記第1面及び前記第2面の幅方向の一端部同士をつなぐ第1側端面と、前記第1面及び前記第2面の幅方向の他端部同士をつなぐ第2側端面と、前記第1側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第1凹部と、前記第2側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第2凹部と、を有する断熱材本体と、
前記第1面と、前記第1側端面及び前記第2側端面の前記第1面側の部分と、前記第1凹部及び前記第2凹部の一方の内部側面を覆う第1金属板と、
前記第2面と、前記第1側端面及び前記第2側端面の前記第2面側の部分と、前記第1凹部及び前記第2凹部の他方の内部側面を覆う第2金属板と、
前記第1凹部に設けられた第1不燃ボードと、
を含み、
前記第1不燃ボードは、前記第1凹部に嵌め込まれた状態で、前記第2面側から挿通された連結具により固定される、断熱パネル。
【請求項2】
前記断熱材本体は、
第1部分と、
前記第1凹部を形成するように前記第1部分から突出する前記第1面側の第2部分及び前記第2面側の第3部分と、
前記第2凹部を形成するように前記第1部分から突出する前記第1面側の第4部分及び前記第2面側の第5部分と、
前記第1部分、前記第2部分、及び前記第4部分と、前記第1金属板との間に第6部分と、を有し、
前記第1部分、前記第3部分、及び前記第5部分は、有機系断熱材であり、
前記第2部分、前記第4部分、及び前記第6部分は、無機系不燃材料である、請求項1に記載の断熱パネル。
【請求項3】
前記断熱材本体は、
第1部分と、
前記第1凹部を形成するように前記第1部分から突出する前記第1面側の第2部分及び前記第2面側の第3部分と、
前記第2凹部を形成するように前記第1部分から突出する前記第1面側の第4部分及び前記第2面側の第5部分と、
前記第1部分、前記第2部分、及び前記第4部分と、前記第1金属板との間に第6部分と、を有し、
前記第1部分は、有機系断熱材であり、
前記第2部分乃至前記第6部分は、無機系不燃材料である、請求項1に記載の断熱パネル。
【請求項4】
前記連結具は、前記第3部分に設けられた貫通孔において、前記第1不燃ボード、前記第1金属板、及び第2金属板を固定する、請求項2又は3に記載の断熱パネル。
【請求項5】
前記第2金属板と前記第1不燃ボードとの間に設けられた第1補強鋼板をさらに有する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の断熱パネル。
【請求項6】
前記第1金属板と、前記断熱材本体の前記第2部分との間に設けられた第2補強鋼板を有する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の断熱パネル。
【請求項7】
前記第2凹部に設けられた、前記第5部分の幅よりも短い幅の第2不燃ボードをさらに有し、
前記第1不燃ボードは、前記第3部分の幅よりも長い幅を有し、
前記第2不燃ボードは、前記第2凹部に嵌め込まれた状態で、前記第2面側から挿通された連結具により固定される、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の断熱パネル。
【請求項8】
前記第2凹部に設けられた、前記第5部分の幅よりも短い幅の第2不燃ボードをさらに有し、
前記第1不燃ボードは、前記第3部分の幅よりも短い幅を有し、
前記第2不燃ボードは、前記第2凹部に嵌め込まれた状態で、前記第2面側から挿通された連結具により固定される、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の断熱パネル。
【請求項9】
前記第1金属板と前記第4部分との間に設けられた第3補強鋼板をさらに有する、請求項6又は7に記載の断熱パネル。
【請求項10】
前記第2不燃ボードと前記第2金属板との間に設けられた第4補強鋼板をさらに有する、請求項8に記載の断熱パネル。
【請求項11】
請求項2乃至6のいずれか一項に記載の断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、
隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードを、他方の断熱パネルの前記第2凹部に嵌合させて、
第2連結具によって固定する、断熱パネルの施工方法。
【請求項12】
請求項8に記載の断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、
隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1凹部、及び他方の断熱パネルの前記第2凹部に、第3補強鋼板及び第3不燃ボードを挟む、断熱パネルの施工方法。
【請求項13】
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の断熱パネルを前記幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、
隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードは、他方の断熱パネルの前記第1部分と接する、断熱パネルの接合構造。
【請求項14】
請求項7に記載の断熱パネルを前記幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、
隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードは、他方の断熱パネルの前記第2凹部において前記第2不燃ボードと接する、断熱パネルの接合構造。
【請求項15】
請求項8に記載の断熱パネルを前記幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、
第3不燃ボードが隣接する前記断熱パネルにわたって設けられ、
隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードは、前記第1凹部において前記第3不燃ボードと接し、
他方の断熱パネルの前記第2不燃ボードは、前記第2凹部において前記第3不燃ボードと接する、断熱パネルの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、断熱パネル、断熱パネルの施工方法、及び断熱パネルの接合構造に関し、より詳細にはウレタン系断熱材などの有機系断熱材を金属板で挟んだサンドイッチパネル、サンドイッチパネルの施工方法、及びサンドイッチパネルの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍冷蔵倉庫等の建物やコンテナにおいて、断熱性に優れるウレタン系断熱材などの有機系断熱材を金属板で挟んだサンドイッチパネルが、断熱パネルとして外壁や建物の内部を区画する壁材として広く用いられている。従来、このような有機系断熱材を用いた断熱パネルを複数並べ、断熱パネルの端部どうしを嵌合させる嵌合部を介して接合させて壁として提供されている。
【0003】
しかしながら、このような断熱パネルを用いた建物において、ヨーロッパやアジア、中東などを含む世界各国で火災事故が頻繁に起こっている。そこで、各国では有機系断熱材を金属板で挟んだ断熱パネルについていろいろな評価方法が作られ、法的な改正がなされているのが現状である。日本においても、従来の建築基準法の発熱性試験で建築材料としての不燃の評価を得た断熱パネルでも火災事故が絶えないのが現状であり、日本では、JIS(Japanese Industrial Standards)において、模型箱を作り火災試験を行なう試験方法が新たに作られた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-57736号公報
【文献】実公昭61-15122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、有機系断熱材を金属板で挟んだ断熱パネルを用いた建物の火災事故の原因を検討し、鋭意研究している。その結果、金属板は厚さが0.4~1mm程度であるため、火災時の熱が金属板を通って内部に伝わったり、火災時の熱により金属板が大きく変形し、断熱パネルどうしの接合部に隙間が生じることに起因していることが判明した。そして、熱が金属板から断熱パネルの内部に伝わって有機系断熱材が燃焼し延焼してしまうと、断熱パネルが崩壊してしまうことが判明した。また、断熱パネルどうしの接合部に隙間が生じると、その隙間から有機系断熱材に熱や火炎が直接伝わり有機系断熱材が燃焼し延焼していく、あるいは、その隙間から酸素が供給され、延焼拡大していくことが判明した。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明の一実施形態は、接合部の構成部材の間に熱変形による隙間が生じることを防止でき、建物の火災事故を防止する上で有利な断熱パネルを提供することを目的の一つとする。また、当該断熱パネルを用いた施工方法、又は断熱パネルの接合構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルは、第1面と、第1面の反対側に第2面と、第1面及び第2面の幅方向の一端部同士をつなぐ第1側端面と、第1面及び第2面の幅方向の他端部同士をつなぐ第2側端面と、第1側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第1凹部と、第2側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第2凹部と、を有する断熱材本体と、第1面と、第1側端面及び第2側端面の第1面側の部分と、第1凹部及び第2凹部の一方の内部側面を覆う第1金属板と、第2面と、第1側端面及び第2側端面の第2面側の部分と、第1凹部及び第2凹部の他方の内部側面を覆う第2金属板と、第1凹部に設けられた第1不燃ボードと、を含み、第1不燃ボードは、第1凹部に嵌め込まれた状態で、第2面側から挿通された連結具により固定される。
【0008】
上記構成において、断熱材本体は、第1部分と、第1凹部を形成するように第1部分から突出する第1面側の第2部分及び第2面側の第3部分と、第2凹部を形成するように第1部分から突出する第1面側の第4部分及び第2面側の第5部分と、第1部分、第2部分、及び第4部分と、第1金属板との間に第6部分と、を有し、第1部分、第3部分、及び第5部分は、有機系断熱材であり、第2部分、第4部分、及び第6部分は、無機系不燃材料である。
【0009】
上記構成において、断熱材本体は、第1部分と、第1凹部を形成するように第1部分から突出する第1面側の第2部分及び第2面側の第3部分と、第2凹部を形成するように第1部分から突出する第1面側の第4部分及び第2面側の第5部分と、第1部分、第2部分、及び第4部分と、第1金属板との間に第6部分と、を有し、第1部分は、有機系断熱材であり、第2部分乃至第6部分は、無機系不燃材料である。
【0010】
上記構成において、連結具は、第3部分に設けられた貫通孔において、第1不燃ボード、第1金属板、及び第2金属板を固定する。
【0011】
上記構成において、第2金属板と第1不燃ボードとの間に設けられた第1補強鋼板をさらに有する。
【0012】
上記構成において、第1金属板と、断熱材本体の第2部分との間に設けられた第2補強鋼板を有する。
【0013】
上記構成において、第2凹部に設けられた、第5部分の幅よりも短い幅の第2不燃ボードをさらに有し、第1不燃ボードは、第3部分の幅よりも長い幅を有し、第2不燃ボードは、第2凹部に嵌め込まれた状態で、第2面側から挿通された連結具により固定される。
【0014】
上記構成において、第2凹部に設けられた、第5部分の幅よりも短い幅の第2不燃ボードをさらに有し、第1不燃ボードは、第3部分の幅よりも短い幅を有し、第2不燃ボードは、第2凹部に嵌め込まれた状態で、第2面側から挿通された連結具により固定される。
【0015】
上記構成において、第1金属板と第4部分との間に設けられた第3補強鋼板をさらに有する。
【0016】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、隣接する断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの第1不燃ボードを、他方の断熱パネルの第2凹部に嵌合させて、第2連結具によって固定する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、隣接する断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの第1凹部、及び他方の断熱パネルの第2凹部に、第3補強鋼板及び第3不燃ボードを挟む。
【0018】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルを幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、隣接する断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの第1不燃ボードは、他方の断熱パネルの第1部分と接する。
【0019】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルを幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、隣接する断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの第1不燃ボードは、他方の断熱パネルの第2凹部において第2不燃ボードと接する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る断熱パネルを幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、第3不燃ボードが隣接する断熱パネルにわたって設けられ、隣接する断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの第1不燃ボードは、第1凹部において第3不燃ボードと接し、他方の断熱パネルの第2不燃ボードは、第2凹部において第3不燃ボードと接する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、接合部の構成部材の間に熱変形による隙間が生じることを防止でき、建物の火災事故を防止する上で有利な断熱パネルを提供することができる。また、当該断熱パネルを用いた施工方法、断熱パネルの接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施法工法によって施工された断熱構造体を示す斜視図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図2B】断熱パネルをA1-A2線に沿って切断したときの端面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの接合部の平面図である。
図3B】接合された複数の断熱パネルの接合部をB1-B2線に沿って切断したときの端面図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図7B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図8A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図8B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図9A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図9B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図10A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図10B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図11A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図11B】断熱パネルをC1-C2線に沿って切断したときの端面図である。
図12A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの接合部の平面図である。
図12B】接合された複数の断熱パネルの接合部をD1-D2線に沿って切断したときの端面図である。
図13A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図13B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図14A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図14B】断熱パネルをE1-E2線に沿って切断したときの端面図である。
図15A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの接合部の平面図である。
図15B】接合された複数の断熱パネルの接合部をF1-F2線に沿って切断したときの端面図である。
図16A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図16B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの施工方法を説明する端面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図19A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの端面図である。
図19B】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを複数並べて接合したときの端面図である。
図20A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図20B】断熱パネルをG1-G2線に沿って切断したときの端面図である。
図21A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図21B】断熱パネルをH1-H2線に沿って切断したときの端面図である。
図22A】本発明の一実施形態に係る断熱パネルを示す平面図である。
図22B】断熱パネルをI1-I2線に沿って切断したときの端面図である。
図23】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図24】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部断面平面図である。
図25】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図26】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部断面平面図である。
図27】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図28】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部の断面平面図である。
図29】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図30】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部の断面平面図である。
図31】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図32】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部の断面平面図である。
図33】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図34】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部断面平面図である。
図35】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの変形例の要部の断面平面図である。
図36】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部の断面平面図である。
図37】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
図38】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造に用いる断熱パネルの要部の断面平面図である。
図39】本発明の一実施形態に係る断熱パネルの接合構造の要部の断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更によって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100及び断熱パネル100の施工方法について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0025】
[1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100の施工方法によって施工された断熱構造体1000を示す斜視図である。図1に示す断熱構造体1000は、例えば、冷凍冷蔵倉庫やコンテナに施工されるものである。断熱構造体1000は、複数の断熱パネル100_1~100_4を備えている。以降の説明において、断熱パネル100_1~100_4は、配置箇所が異なること以外は同じ構造を有する。そのため、断熱パネル100_1~100_4を区別して説明する必要がない場合には、単に断熱パネル100と記載する。
【0026】
断熱構造体1000は、断熱パネル100_1~100_4を左右方向に並べて配置される。例えば、冷凍冷蔵倉庫の建物の屋内において、隣接する断熱パネル100は、不燃ボード142を用いて接合されている。例えば、断熱パネル100_1は、接合に用いる不燃ボード142と連結具156によって機械的に接続されており、断熱パネル100_2は、接合に用いる不燃ボード142と連結具158によって機械的に接続されている。また、断熱パネル100_1と断熱パネル100_2との隙間には、シール材110a、110bが充填されている。
【0027】
以下、断熱パネル100の構造について詳細に説明する。
【0028】
[2.断熱パネルの構造]
図2Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100の平面図であり、図2Bは、断熱パネル100を、A1-A2線に沿って切断したときの端面図である。図2A及び図2Bにおいて、断熱パネル100の両面のうち、連結具156を構成する連結具156の頭部が位置している面が断熱構造体1000の室外又は屋外である。また、その反対側は、断熱構造体1000の室内又は屋内である。図2Aに示す断熱パネル100の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図2Bに示す端面図において、上側が室外又は屋外における面であり、下側が室内又は屋内における面を示している。
【0029】
断熱パネル100は、厚さTと、厚さTよりも大きい寸法の幅W及び高さHを有する矩形板状である。断熱パネル100の厚さTは、50mm~300mm、50mm~200mm、又は50mm~100mmである。断熱パネル100の幅Wは、100mm~1200mm、500mm~1200mm、又は800mm~1200mmである。断熱パネル100の高さHは、100mm~16000mm、1000mm~16000mm、又は5000mm~16000mmである。本実施形態では厚さTは50mmである。断熱パネル100の幅W方向の両端は接合部102b、102cであり、断熱パネル100の接合部102b、102cを除いた箇所は、一般部102aである。接合部102b、102cは、隣り合う断熱パネル100を接合するための箇所である。接合部102bには、高さH方向に沿って複数の貫通孔152が並んで配置されており、接合部102cには、高さH方向に沿って複数の貫通孔154が並んで配置されている。
【0030】
断熱パネル100は、断熱材本体112、無機系不燃材料114、116、118、一対の金属板122、124、補強鋼板132、134、136、不燃ボード142を含んで構成される。なお、断熱パネル100の幅Wは、金属板122又は金属板124の幅に相当し、高さHは、金属板122又は金属板124の高さに相当し、厚さTは、金属板122、124、断熱材本体112、無機系不燃材料118の厚さの合計に相当する。なお、以下の説明において、金属板122、124を、化粧鋼板と呼ぶ場合があり、無機系不燃材料114、116、118を、無機繊維系不燃材料と呼ぶ場合がある。
【0031】
断熱材本体112は、例えば、ウレタン系断熱材などの様々な有機系断熱材を少なくとも含む。なお、本実施形態では、断熱材本体112は、有機系断熱材であるとして説明するが、本明細書等において、有機系断熱材だけでなく、無機系不燃材料114、116、118を含めて、断熱材本体と呼ぶ場合がある。断熱材本体112は、第1面112a、第1面112aと反対側の第2面112b、側面112c及び側面112dを有する。断熱材本体112は、第1面112aと連続する側面112cよりも幅W方向に突出した突出部112eを有し、第1面112aと連続する側面112dよりも幅W方向に突出した突出部112fを有している。突出部112e、112fは、断熱材本体112と一体的に形成されている。言い換えると、断熱材本体112は、図2Bの紙面に垂直な方向から見て、T字状に形成されている。断熱材本体112は、断熱パネル100の厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100の幅W方向に沿った幅W1、W2と、断熱パネル100の高さ方向に沿った高さとを有する矩形板状である。断熱材本体112の幅W1、W2と高さは、断熱材本体112の厚さよりも大きい。また、断熱材本体112の第1面112aの幅W1は、第2面112bの幅W2よりも小さい。断熱材本体112の第2面112bの幅W2は、概ね断熱パネル100の幅Wと略同一である。また、接合部102bの幅は、側面112cよりも突出した突出部112eの幅、又は無機系不燃材料114の幅に相当する。また、接合部102cの幅は、側面112dよりも突出した突出部112fの幅、又は無機系不燃材料116の幅に相当する。
【0032】
無機系不燃材料114、116、118は、例えば、ロックウール、グラスウール、ケイ酸カルシウム板又は石膏ボードなどの様々な材料で構成されている。本実施形態では、無機系不燃材料114、116は、ロックウールで構成され、無機系不燃材料118は、石膏ボードで構成される。無機系不燃材料114、116、118は、有機系断熱材に比べて不燃性に優れる様々な材料を使用できる。無機系不燃材料114は、断熱材本体112の第1面112a側の側面112cに、突出部112eと厚さT方向に離間して設けられる。無機系不燃材料116は、断熱材本体112の第1面112a側の側面112dに、突出部112fと厚さT方向に離間して設けられる。無機系不燃材料118は、断熱材本体112の第1面112a側に設けられる。無機系不燃材料118は、断熱材本体112、無機系不燃材料114、無機系不燃材料116に接して設けられる。言い換えると、断熱パネル100の厚さT方向において、第1面112a側に無機系不燃材料114、116、118が設けられ、第2面112b側に断熱材本体112の突出部112e、112fが設けられる。無機系不燃材料114、116、118は、断熱パネル100の厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100の幅W方向に沿った幅と、断熱パネル100の高さ方向に沿った高さを有する矩形板状である。本実施形態では、無機系不燃材料114、116、118をそれぞれ異なる部材であるとして説明するが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。無機系不燃材料114、116、118が一体的に構成されていてもよい。無機系不燃材料114の幅は突出部112eの幅と略同一であり、無機系不燃材料116の幅は突出部112fの幅と略同一である。また、無機系不燃材料118の幅は、断熱材本体112の幅W2と略同一である。なお、無機系不燃材料114、116は設けなくてもよく、無機系不燃材料114、116に代えて断熱材本体112が設けられていてもよい。
【0033】
言い換えると、本実施形態では、有機系断熱材及び無機系不燃材料114、116、118によって、第1面と、第1面の反対側に第2面と、第1面及び第2面の幅方向の一端部同士をつなぐ第1側端面と、第1面及び第2面の幅方向の他端部同士をつなぐ第2側端面と、第1側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第1凹部と、第2側端面の厚さ方向の中央部分に高さ方向の一端から他端にかけて設けられた第2凹部と、を有する断熱材本体が構成される。
【0034】
図2Bにおいて、断熱材本体として、有機系断熱材の一部分を第1部分と呼び、無機系不燃材料114を第2部分と呼び、有機系断熱材の突出部112eに相当する部分を第3部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料116を第4部分と呼び、有機系断熱材の突出部112fに相当する部分を第5部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料118を第6部分と呼ぶ。
【0035】
補強鋼板132、134は、鉄板など、様々な材料が使用可能である。補強鋼板132、134の厚さは、金属板122、124の厚さよりも大きく、0.8mm~1.6mm程度である。本実施形態では、補強鋼板132、134の厚さは、1.6mmである。補強鋼板132、134は、断熱パネル100の厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100の幅W方向に沿った幅と、断熱パネル100の高さ方向に沿った高さを有する矩形板状である。補強鋼板132の幅は、無機系不燃材料114を配置する際の調整代を設けるため無機系不燃材料114の幅よりも短く、補強鋼板134の幅は、補強鋼板132と同様に無機系不燃材料116の幅よりも短い。補強鋼板132の幅は、無機系不燃材料114の幅と略同一であってもよく、補強鋼板134の幅は、無機系不燃材料116の幅と略同一であってもよい。補強鋼板132、134を用いることにより、断熱パネル100の強度を向上させることができる。また、補強鋼板132、134を用いることにより、タッピングビスに対して適切な厚みを与えることができる。
【0036】
金属板122、124は、ガルバリウム鋼板(登録商標)、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板など、様々な材料が使用可能である。ガルバリウム鋼板(登録商標)は、鋼板の周面がメッキ層によって覆われた構成である。ガルバリウム鋼板(登録商標)は、メッキ層を亜鉛及びアルミニウムの合金で構成することで、鋼板の腐食を防止している。金属板122、124の厚さは、補強鋼板132、134よりも薄く、0.3mm~2.3mm程度であり、本実施形態では、0.4mmである。金属板122は、本体板部122aと、端面板部122b、122dと、内部側面板部122c、122eとを有する。金属板124は、本体板部124aと、端面板部124b、124dと、内部側面板部124c、124eとを有する。金属板122、124を用いることにより、断熱パネル100が変形、変色、又は劣化などの変質してしまうことを抑制することができる。また、断熱パネル100の見栄えが良くなるなどの意匠性が向上する。
【0037】
本体板部122aは、無機系不燃材料118を覆っている。また、端面板部122bは、本体板部122aの端部と接続されて屈曲しており、無機系不燃材料114、118の端面を覆っている。また、内部側面板部122cは、端面板部122bの本体板部122aと接続される端部と逆の端部と接続されて屈曲しており、補強鋼板132の上面(補強鋼板132が無機系不燃材料114と接する面と反対側の面)を覆っている。また、端面板部122dは、本体板部122aの端部と接続されて屈曲しており、無機系不燃材料116、118の端面を覆っている。また、内部側面板部122eは、端面板部122dの本体板部122aと接続される端部と逆の端部と接続されて屈曲しており、補強鋼板134の上面(補強鋼板134が無機系不燃材料116と接する面と反対側の面)を覆っている。言い換えると、本体板部122aは、無機系不燃材料118の幅W方向に平行な面と接している。内部側面板部122cは無機系不燃材料114の幅W方向に平行な面と接し、内部側面板部122eは無機系不燃材料116の幅W方向に平行な面と接している。端面板部122bは無機系不燃材料114、118の厚さT方向に平行な面と接し、端面板部122dは無機系不燃材料116、118の厚さT方向に平行な面と接している。ここで、金属板122の本体板部122aは、断熱材本体112の第1面112aと接し、端面板部122bは、断熱材本体の側端面(無機系不燃材料114、118の端面)と接し、端面板部122dは、断熱材本体の側端面(無機系不燃材料116、118の端面)と接する。
【0038】
金属板124の本体板部124aは、断熱材本体112を覆っている。また、端面板部124bは、本体板部124aの端部と接続されて屈曲しており、突出部112eの端面を覆っている。また、内部側面板部124cは、端面板部124bの本体板部124aと接続される端部と逆の端部と接続されて屈曲しており、突出部112eの下面(突出部112eが無機系不燃材料114と対向する面)を覆っている。また、端面板部124dは、本体板部124aの端部と接続されて屈曲しており、突出部112fの端面を覆っている。また、内部側面板部124eは、端面板部124dの本体板部124aと接続される端部と逆の端部と接続されて屈曲しており、突出部112fの下面(突出部112fが無機系不燃材料116と対向する面)を覆っている。言い換えると、本体板部124a、は、断熱材本体112の幅W方向に平行な面と接している。内部側面板部124cは断熱材本体112の突出部112eの幅W方向に平行な面と接し、内部側面板部124eは断熱材本体112の突出部112fの幅W方向に平行な面と接している。端面板部124bは断熱材本体112の突出部112eの厚さT方向に平行な面と接し、124dは断熱材本体112の突出部112fの厚さT方向に平行な面と接している。ここで、金属板124の本体板部124aは、断熱材本体112の第2面112bと接し、端面板部124bは、断熱材本体の側端面(突出部112eの端面)と接し、端面板部124dは、断熱材本体の側端面(突出部112fの端面)と接する。
【0039】
図2Aに示すように、断熱パネル100の接合部102bには、断熱パネル100の高さH方向に沿って、複数の貫通孔152が設けられており、接合部102cにも、断熱パネル100の高さH方向に沿って、複数の貫通孔154が設けられている。具体的には、断熱材本体112の突出部112eを貫通するように貫通孔152が設けられている。また、本体板部124aには、貫通孔152と同じ孔径の貫通孔が設けられている。なお、内部側面板部124cには、貫通孔152の孔径よりも小さい貫通孔が設けられている。断熱パネル100を屋外側からみたとき、貫通孔152、本体板部124aに設けられた貫通孔、及び内部側面板部124cに設けられた貫通孔は、重畳している。内部側面板部124cに貫通孔を設けることにより、連結具156を打ち込みやすくすることができる。同様に、断熱材本体112の突出部112fを貫通するように貫通孔154が設けられている。また、本体板部124aには、貫通孔154と同じ孔径の貫通孔が設けられている。なお、内部側面板部124eには、貫通孔154の孔径よりも小さい貫通孔が設けられている。断熱パネル100を屋外側からみたとき、貫通孔154、本体板部124aに設けられた貫通孔、及び内部側面板部124eに設けられた貫通孔は、重畳している。内部側面板部124eに貫通孔を設けることにより、連結具158を打ち込みやすくすることができる。本実施形態では、貫通孔152、154の孔径及び本体板部124aに設けられる貫通孔の孔径は15mm、また、内部側面板部124c、124eに設けられる孔径は6mmである。なお、内部側面板部124c、125eに設けられる貫通孔は省略してもよい。
【0040】
断熱パネル100に貫通孔152、154を設けることにより、施工時における連結具156、158を打つ位置を予め決定することができるため、断熱パネル100の施工を容易にすることができる。また、断熱パネル100に、連結具156、158を打つ位置の精度を担保することができる。また、断熱パネル100の意匠性が向上する。また、断熱パネル100に貫通孔を設けない場合と比較して、短い連結具156、158を使用することができる。長い連結具を使用する場合、連結具が熱橋となってしまうおそれがある。これに対し、短い連結具156、158を使用する場合、連結具156、158が熱橋となることを防止することができるため、安全性が向上する。また、貫通孔152、154を、シール材やキャップ(蓋)で埋めることにより、連結具156、158の頭をふさぐことができる。これにより、連結具156、158に生じる錆を防止することができるため好ましい。
【0041】
断熱材本体112において、有機系断熱材の第1部分から突出する突出部112e(第3部分)と、無機系不燃材料114(第2部分)とにより、凹部104aが構成され、第1部分から突出する突出部112f(第5部分)と、無機系不燃材料116(第4部分)とにより、凹部104bが構成される。本実施形態では、断熱パネル100の凹部104aに、補強鋼板136及び不燃ボード142が設けられる。なお、凹部104bには、隣接する断熱パネル100の補強鋼板136及び不燃ボード142が設けられる。具体的には、内部側面板部122cと、内部側面板部124cとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142が設けられる。凹部104a、104bは、断熱パネル100の高さH方向の全長にわたって溝状に延在している。
【0042】
不燃ボード142は、金属板122、124を構成する鋼材に比べて熱伝導率が低く、硬質の石膏ボードや珪酸カルシウム板などの無機系材料を使用可能である。特に、石膏ボードを用いると、火災時に不燃ボード142に含まれる水分(結晶水)が放出されて、断熱パネル100の温度上昇を抑制することができる。不燃ボード142は、断熱パネル100の厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100の幅W方向に沿った幅と、断熱パネル100の高さH方向に沿った高さを有する矩形板状である。不燃ボード142の幅は、隣接させる断熱パネル100との距離に応じて適宜決定される。不燃ボード142の幅は、30mm~100mm、50mm~100mm、又は65mm~85mmである。本実施形態では、不燃ボード142の幅は、75mmである。不燃ボード142の厚さは、断熱パネル100の厚さTや、凹部104aの形状、及び補強鋼板132、134の厚さに応じて適宜決定される。不燃ボード142の厚さは、3mm~30mm、5mm~20mm、又は8mm~15mmである。不燃ボード142の厚さは、例えば、火災時の金属板122、124の内部側面板部122c、122e、124c、124eを含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止するために、5mm~15mm程度が好ましい。本実施形態では、断熱パネルの厚さTを50mmとし、不燃ボード142の厚さを、9.5mmとしている。
【0043】
補強鋼板136は、補強鋼板132、134と同様の材料を用いて構成される。補強鋼板136は、断熱パネル100の厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100の幅W方向に沿った幅と、断熱パネル100の高さ方向に沿った高さを有する矩形板状である。補強鋼板136の厚さは、0.2mm~0.6mm程度であることが好ましい。本実施形態では、補強鋼板136の厚さは、0.4mmである。また、補強鋼板136は、厚さ以外は、不燃ボード142と略同一の幅及び高さを有している。なお、補強鋼板136の厚さは、補強鋼板132、134と必ずしも同一である必要はないが、同一のものを用いると、断熱パネル100の製造コストを削減することができる。また、補強鋼板136の幅は、不燃ボード142の幅と必ずしも同一である必要はないが、同一のものを用いると、補強鋼板136と不燃ボード142とを重ね合わせて簡単に取り扱うことができることができる。補強鋼板136を用いることにより、不燃ボード142の強度を向上させることができる。また、補強鋼板136を用いることにより、タッピングビスに対して適切な厚みを与えることができる。
【0044】
補強鋼板136及び不燃ボード142は、断熱パネル100の凹部104aに挿入される。そして、断熱パネル100の貫通孔152に挿入された連結具156によって、補強鋼板136及び不燃ボード142と、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とを機械的に固定することができる。内部側面板部122cと無機系不燃材料114との間に補強鋼板132を設けることにより、連結具156の先端をより固定することができるため好ましい。本実施形態において、連結具156は、ビス、タッピングスクリュー、シンワッシャーなど様々なものが使用可能である。本実施形態では、連結具156はシンワッシャーである。なお、連結具156は、金属板122の本体板部122aにわたり貫通させてもよい。
【0045】
[3.断熱パネルの製造方法]
次に、断熱パネル100の製造方法について説明する。
【0046】
まず、矩形の金属板124を用意する。金属板124の高さH方向と平行な第1の辺に沿って、第1列の複数の貫通孔を形成する。第1の辺と、第1列の複数の貫通孔との間に、第2列の複数の貫通孔を形成する。同様に、第1の辺とは反対側の第2の辺に沿って、第3列の複数の貫通孔を形成する。第2の辺と、第3列の複数の貫通孔との間に、第4列の複数の貫通孔を形成する。第1列の貫通孔の孔径は、第2列の貫通孔の孔径よりも大きく、第3列の貫通孔の孔径は、第4列の貫通孔の孔径よりも大きい。
【0047】
次に、金属板124を、第1列の貫通孔と第2列の貫通孔との間で、第1の辺と平行な方向に2回折り曲げる。同様に、金属板124を、第3列の貫通孔と第4列の貫通孔との間で、第2の辺と平行な方向に2回折り曲げる。つまり、図2Bの紙面に垂直な方向から見て、金属板124をコの字になるように折り曲げる。言い換えると、金属板124の両端部を折り曲げることで、端面板部124b、124d、内部側面板部124c、124eを形成する。これにより、金属板124を厚さT方向からみたときに、第1列の貫通孔(本体板部124aに設けられる貫通孔)と、第2列の貫通孔(内部側面板部124cに設けられる貫通孔)とが重畳し、第3列の貫通孔(本体板部124aに設けられる貫通孔)と、第4列の貫通孔(内部側面板部124eに設けられる貫通孔)とが重畳する。
【0048】
次に、金属板124と同じ大きさの金属板122を用意する。金属板122の高さH方向と平行な第1の辺に沿って、金属板122を2回折り曲げる。同様に、第1の辺と反対側の第2の辺に沿って、金属板122を2回折り曲げる。つまり、図2Bの紙面に垂直な方向から見て、金属板122をコの字状になるように折り曲げる。言い換えると、金属板122の両端部を折り曲げることで、端面板部122b、122d、内部側面板部122c、122eを形成する。
【0049】
金属板122の内部側面板部122cに接するように補強鋼板132を取り付け、内部側面板部122eに接するように補強鋼板134を取り付ける。補強鋼板132、134は、金属板122で構成された空間の内部に設けられる。言い換えると、補強鋼板132、134は、図2Bの紙面に垂直な方向から見て、金属板122でコの字状に構成された空間の内部に設けられる。
【0050】
次に、本体板部122aに接するように、無機系不燃材料118を取り付ける。また、無機系不燃材料118と補強鋼板132との間に無機系不燃材料114を配置し、無機系不燃材料118と補強鋼板134との間に無機系不燃材料116を配置する。
【0051】
次に、内部側面板部122cと内部側面板部124cとが向かい合い、内部側面板部122eと内部側面板部124eとが向かい合うように、金属板122と金属板124とを配置する。つまり、金属板122と金属板124とが配置され、金属板122と金属板124との間に補強鋼板132、134、無機系不燃材料114、116、118が設けられる。次に、内部側面板部122cと内部側面板部124cとの間隙と、内部側面板部122eと内部側面板部124eとの間隙とを埋め、充填される有機系断熱材により断熱材本体112の側面112c、112dが形成されるように、型枠を設置する。
【0052】
次に、金属板122、124、及び型枠によって囲まれた空間に有機系断熱材を充填する。本実施形態では、空間にウレタンを注入する。その後、有機系断熱材を冷却することで、断熱材本体112を形成することができる。言い換えると、補強鋼板132、134、無機系不燃材料114、116、118、金属板124に囲まれた空間に有機系断熱材が設けられる。その後、金属板122、124から型枠を取り外す。
【0053】
次に、金属板124の第1列の貫通孔と重畳するように、突出部112eに貫通孔152を形成する。同様に、金属板124の第3列の貫通孔と重畳するように、突出部112fに貫通孔154を形成する。貫通孔152、154の孔径は、第1列の貫通孔の孔径、第3列の貫通孔の孔径と略同一である。
【0054】
次に、凹部104aの断熱材本体112の側面112cに接するように、補強鋼板136及び不燃ボード142を嵌め込む。
【0055】
次に、貫通孔152に連結具156を挿入する。連結具156としてシンワッシャーを用いる。シンワッシャーの先端はピアスになっており、シンワッシャーを回転させることで、補強鋼板136、不燃ボード142、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114を、機械的に強固に固定する。なお、シンワッシャーの頭部の径は、第2列の貫通孔の孔径よりも大きいため、シンワッシャーの頭部は、内部側面板部124cによって固定される。
【0056】
以上の工程により、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100を製造することができる。なお、本実施形態では、補強鋼板136及び不燃ボード142を、接合部102bに設ける例について説明するが、接合部102cに設けてもよい。
【0057】
[4.断熱パネルの接合構造及び施工方法]
次に、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100の接合構造および施工方法について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100_1、100_2を隣接させて接合させたときの接合構造である。
【0058】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100を複数並べて接合したときの接合構造の平面図である。図3Aに示す断熱パネル100の接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図3Bは、接合された複数の断熱パネル100_1、100_2の接合部102b、102cをB1-B2線に沿って切断したときの端面図である。
【0059】
断熱パネル100_1、100_2は、厚さT及び幅Wを、水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。つまり、断熱パネル100_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100_1の凹部104aと断熱パネル100_2の凹部104bには、補強鋼板136及び不燃ボード142が嵌め込まれている。なお、補強鋼板136及び不燃ボード142は、断熱パネル100_1、100_2の高さH方向の全長にわたって設けられている。なお、補強鋼板136及び不燃ボード142の幅は、断熱パネル100_1の突出部112eの幅に加えて、少なくとも断熱パネル100_2の突出部112fの幅を有する。また、補強鋼板136及び不燃ボード142は、補強鋼板136及び不燃ボード142が隣接する断熱パネル100_2の側面112dに接したときに、断熱パネル100_1の端面板部122bと断熱パネル100_2の端面板部122dとの間に間隙が生じる程度の幅を有していることが好ましい。なお、図3Aにおいて、断熱パネル100_1、100_2に示す点線は、不燃ボード142が設けられる位置を示している。なお、図3Aには図示しないが、補強鋼板136も、不燃ボード142と同じ位置に設けられる。
【0060】
断熱パネル100_1の複数の貫通孔152において、連結具156を用いて、補強鋼板136及び不燃ボード142と、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とが機械的に固定されている。また、断熱パネル100_2の複数の貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板136及び不燃ボード142と、内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116とが機械的に固定されている。内部側面板部122cと無機系不燃材料114との間に、補強鋼板132を設けることにより、連結具156の先端をより固定することができるため好ましい。内部側面板部122eと無機系不燃材料116との間に、補強鋼板134を設けることにより、連結具158の先端をより固定することができるため好ましい。本実施形態において、連結具158は、ビス、タッピングスクリュー、シンワッシャーなど様々なものが使用可能である。本実施形態では、連結具156はシンワッシャーである。なお、連結具158は、金属板122の本体板部122aにわたり貫通させてもよい。
【0061】
また、隣接する断熱パネル100_1と断熱パネル100_2との間隙には、シール材110a、110bが充填されている。シール材110a、110bとして、シリコーン系のシール材等、耐火性及び防水性を有する様々なシール材が使用可能である。
【0062】
シール材110aと不燃ボード142との間には、隙間が設けられている。つまり、シール材110aは、不燃ボード142とは接していない。シール材110aと、不燃ボード142と、端面板部122b、122dとによって形成された空間が設けられることにより、断熱パネル100_1、100_2に外力が加わった場合に、断熱パネル100の幅W方向の変位(移動)を許容することができる。また、当該空間には、ロックウールなどの不燃系材料のバックアップ材を入れてもよい。
【0063】
シール材110bと補強鋼板136との間には、隙間が設けられている。つまり、シール材110bは、補強鋼板136とは接していない。シール材110aと、補強鋼板136と、端面板部124b、124dとによって形成された空間が設けられることにより、断熱パネル100_1、100_2に外力が加わった場合に、断熱パネル100の幅W方向の変位(移動)を許容することができる。また、当該空間には、ロックウールなどの不燃系材料のバックアップ材を入れてもよい。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100の施工方法について説明する端面図である。
【0065】
図4Aに示すように、断熱パネル100_1及び断熱パネル100_2は、厚さT及び幅Wを水平方向に向けて、高さHを垂直方向に向けて、幅W方向に並べられる。まず、断熱パネル100_1が有する補強鋼板136及び不燃ボード142に、断熱パネル100_2の凹部104bを嵌合させる。このとき、補強鋼板136の側面及び不燃ボード142の側面は、断熱パネル100_2の側面112dと接するように、嵌合させることが好ましい。
【0066】
次に、図4Bに示すように、断熱パネル100_2の内部側面板部122eと内部側面板部124eとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142を介在させた状態で、突出部112fに設けられた貫通孔154において連結具158によって、機械的に強固に固定する。これにより、断熱パネル100_1と断熱パネル100_2とを、機械的に連結することができる。最後に、隣接する断熱パネル100_1と断熱パネル100_2との間の間隙に、シール材110a、110bを充填する。以上の工程により、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100_1、100_2を施工することができる。
【0067】
断熱パネル100_1において、金属板122の幅W方向の端部の内部側面板部122cは、金属板122よりも厚さが大きい補強鋼板132に重ね合わされている。また、内部側面板部122cと内部側面板部124cとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142を介在させた状態で、突出部112eに設けられた貫通孔152において連結具156によって、機械的に強固に連結されている。補強鋼板132は、連結具156が挿通される側と反対側(連結具156の先端側)に設けられていることから、連結具156を強固に固定することができる。
【0068】
断熱パネル100_2において、金属板122の幅W方向の端部の内部側面板部122eは、金属板122よりも厚さが大きい補強鋼板134に重ね合わされている。また、内部側面板部122eと内部側面板部124eとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142を介在させた状態で、突出部112fに設けられた貫通孔154において連結具158によって、機械的に強固に連結されている。補強鋼板134は、連結具158が挿通される側と反対側(連結具158の先端側)に設けられていることから、連結具158を強固に固定することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100_1、100_2の接合構造によれば、上記の構成を有することで、金属板122、124の内部側面板部122c、124c、122e、124eの変形を抑制することができる。したがって、不燃ボード142の厚さ方向の両側に位置する補強鋼板132、134、136により、火災が生じた側の金属板122、124の内部側面板部122c、124c、122e、124eを含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0070】
また、連結具156が挿通される側の補強鋼板136は、隣り合う断熱パネル100_1、100_2の幅W方向の端部間にわたって延在している。また、隣り合う断熱パネル100_1、100_2の幅W方向の端部の内部側面板部122c、124cと、内部側面板部122e、124eを連結している。そのため、金属板122、124の内部側面板部122c、124c及び内部側面板部122e、124eを含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0071】
また、本実施形態では、不燃ボード142は水分を含んで構成されている。そのため、火災が発生した場合、その熱が断熱パネル100の幅W方向の端部の接合部102b、102cにおいて不燃ボード142に伝達されても、不燃ボード142の水分を接合部102b、102cの周辺に放出させることができる。これにより、接合部102b、102cの温度上昇が所定の時間抑えられ、金属板122、124の内部側面板部122c、124c、122e、124eを含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0072】
したがって、従来のように、接合部102b、102cの構成部材の間に熱変形による隙間が生じ、その隙間から有機系断熱材に熱や火炎が直接伝わり有機系断熱材が燃焼し延焼することを阻止することができる。あるいは、接合部102b、102cの箇所で金属板122、124が開く方向に変形するなどで、その変形箇所から内部の有機系断熱材に酸素が供給され、有機系断熱材が燃焼し延焼していくことを阻止することができる。また、有機系断熱材を用いた断熱パネル100の火災事故を抑制することができる。
【0073】
また、連結具156の先端を室内側に向けて断熱パネル100を配置すると、火災時の熱が、連結具156が挿通される側に連結具156を介して伝達しにくい。そのため、金属板122、124の内部側面板部122c、122e、124c、124eを含む幅方向の端部の開きや変形を阻止する上でより有利となり、有機系断熱材を用いた断熱パネル100の火災事故を抑制することができる。
【0074】
また、第5実施形態の断熱パネル100を用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造を簡単に確実に組み付けることができる。また、連結具156は金属板122、124及び断熱材本体112の屋外あるいは室外側から挿通し、屋内あるいは室内側まで貫通していない。そのため、連結具156に錆び等が生じても、屋内あるいは室内には影響しないことから衛生面で有利である。
【0075】
また、断熱パネル100の屋内又は室内側には、無機系不燃材料114、116、118が設けられている。そのため、火災時は、金属板の内部側面板部を含む幅方向の開きや変形を阻止することができ、断熱パネル100の一般部102aの延焼を阻止することができる。
【0076】
また、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100は、予め接合部102bにおいて、補強鋼板136及び不燃ボード142が複数の連結具156によって機械的に固定された構成である。したがって、施工現場では、断熱パネル100の凹部104bに、隣接する断熱パネル100が有する補強鋼板136及び不燃ボード142を嵌合させる。その後、断熱パネル100の貫通孔154において、補強鋼板136及び不燃ボード142を連結具158によって機械的に固定して、断熱パネル100_1と断熱パネル100_2との間隙をシール材110a、110bを充填するだけでよい。
【0077】
施工現場において、連結具156及び連結具158のそれぞれを用いて断熱パネル100_1、100_2を固定することも可能である。しかしながら、断熱パネル100_1、100_2の高さH方向に沿って、複数の連結具156、158を打ち込む必要があるため、作業量が増加してしまう。これに対し、本実施形態に係る断熱パネル100の施工方法によれば、施工現場では、補強鋼板136及び不燃ボード142を、断熱パネル100_2に嵌め込み、断熱パネル100_2の高さH方向に沿って複数の連結具158で補強鋼板136及び不燃ボード142を固定し、シール材110a、110bを充填するだけでよい。施工現行場では、断熱パネル100_1の高さ方向に沿って複数の連結具156で補強鋼板136及び不燃ボード142を固定する作業を省略することができる。そのため、断熱パネル100を施工する際の作業量を半減させることができる。したがって、隣接する断熱パネル100を接合する施工時間を短縮することができる。
【0078】
[5.断熱パネル100の変形例]
次に、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100の変形例について、図5乃至図10を参照して説明する。なお、図5乃至図10に示す断熱パネルの断面は、いずれも、図2に示すA1-A2線、及び図3に示すB1-B2と同じ箇所で切断した図である。
【0079】
図5Aは、断熱パネル100とは、構成が一部異なる断熱パネル100Jの構成を示す図である。また、図5Bは、断熱パネル100J_1と、断熱パネル100J_2とを接合した接合構造である。
【0080】
図5Aに示すように、断熱パネル100Jにおいて、突出部112e、112fの構造が、断熱パネル100の突出部112e、112fとは異なっている。断熱パネル100Jでは、突出部112e、112fは断熱材本体112の一部でなく、別の材料で構成されている。断熱パネル100Jでは、突出部112e、112fに相当する部分は、無機系不燃材料117、119で構成されている。突出部112e、112fを構成する無機系不燃材料117、119として、無機系不燃材料114、116、118と同様の材料を用いることができる。突出部112e、112fとして、例えば、ロックウール、グラスウール、ケイ酸カルシウム板又は石膏ボードを用いることができる。突出部112e、112fの幅は、無機系不燃材料114、116の幅と略同一である矩形形状である。
【0081】
図5A及び図5Bにおいて、断熱材本体として、有機系断熱材を第1部分と呼び、無機系不燃材料114を第2部分と呼び、突出部112eに相当する無機系不燃材料117を第3部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料116を第4部分と呼び、有機系断熱材の突出部112fに相当する無機系不燃材料119を第5部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料118を第6部分と呼ぶ。
【0082】
図5Bに示すように、断熱パネル100J_1、100J_2は、厚さT及び幅Wを水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。つまり、断熱パネル100J_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100J_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。
【0083】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Jによれば、断熱パネル100J_1の端面が、無機系不燃材料で構成されている。そのため、隣接する断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造では、火災時の熱が、本体板部122aから内部側面板部122c、122eに伝わりにくくすることができる。また、金属板122、124の内部側面板部を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0084】
(変形例1)
図6Aは、断熱パネル100とは、構成が一部異なる断熱パネル100Aの構成を示す図である。また、図6Bは、断熱パネル100A_1と断熱パネル100A_2とを接合した接合構造である。
【0085】
図6Aに示すように、断熱パネル100Aにおいて補強鋼板136A_1の構成が、断熱パネル100の補強鋼板136とは異なっている。断熱パネル100Aでは、補強鋼板136A_1が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられている。補強鋼板136A_1は、補強鋼板136と幅が異なること以外は、厚み及び高さは補強鋼板136と略同一である。
【0086】
図6Bに示すように、断熱パネル100A_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100A_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100A_2の凹部104bには、補強鋼板136A_2及び不燃ボード142が嵌め込まれている。このとき、断熱パネル100A_2において、内部側面板部122e、124eとの間に、不燃ボード142のみならず補強鋼板136A_2が介在されている。断熱パネル100A_2に設けられた貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板136A_2、不燃ボード142、内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。また、隣接する断熱パネル100A_1と断熱パネル100A_2との間にはシール材110a、110bが設けられている。
【0087】
(変形例2)
図7Aは、断熱パネル100とは、構成が一部異なる断熱パネル100Bの構成を示す図である。また、図7Bは、断熱パネル100B_1と断熱パネル100B_2とを接合した接合構造である。
【0088】
図7Aに示すように、断熱パネル100Bにおいて、補強鋼板132、134を設けずに、凹部104aにおいて不燃ボード142と内部側面板部122cとの間に、補強鋼板138が設けられている点で、断熱パネル100と異なっている。断熱パネル100Bでは、補強鋼板138が不燃ボード142とほぼ同じ幅で設けられている。また、補強鋼板138の厚さは、補強鋼板136の厚さと略同一であってもよいが、異なっていてもよい。また、補強鋼板138の高さは、不燃ボード142の高さと略同一である。断熱パネル100Bに設けられた貫通孔152において、突出部112eに設けられた連結具156を用いて、補強鋼板136、不燃ボード142、補強鋼板138、内部側面板部122c、及び無機系不燃材料114が機械的に強固に固定されている。
【0089】
図7Bに示すように、断熱パネル100B_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100B_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100B_2の凹部104bには、補強鋼板136、不燃ボード142、及び補強鋼板138が嵌め込まれている。断熱パネル100B_2に設けられた貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板136、不燃ボード142、補強鋼板138、内部側面板部122e、補強鋼板138、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。また、隣接する断熱パネル100B_1と断熱パネル100B_2との間にはシール材110a、110bが設けられている。
【0090】
本発明の一実施形態の断熱パネル100B_1、100B_2の連結構造によれば、不燃ボード142を挟むように、補強鋼板136と補強鋼板138とが設けられている。つまり、隣り合う断熱パネル100B_1、100B_2を、補強鋼板136、不燃ボード142、及び補強鋼板138によって連結している。また、補強鋼板136、不燃ボード142、及び補強鋼板138は、連結具156によって、断熱パネル100B_1と機械的に強固に固定されており、連結具158によって、断熱パネル100B_2と機械的に強固に固定されている。そのため、接合部102b、102cにおいて、火災が生じた側の内部側面板部122c、122e、124c、124eを含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0091】
(変形例3)
図8Aは、断熱パネル100Bとは、構成が一部異なる断熱パネル100Cの構成を示す図である。また、図8Bは、断熱パネル100C_1と断熱パネル100C_2とを接合した接合構造である。
【0092】
図8Aに示すように、断熱パネル100Cにおいて補強鋼板138C_1の構成が、断熱パネル100Bの補強鋼板138とは異なっている。断熱パネル100Cでは、補強鋼板138C_1が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられている。補強鋼板138C_1は、補強鋼板138と幅が異なること以外は、厚み及び高さは略同一である。
【0093】
図8Bに示すように、断熱パネル100C_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100C_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100C_2の凹部104bには、不燃ボード142、補強鋼板136、及び補強鋼板138C_2が嵌め込まれている。このとき、断熱パネル100C_2において、内部側面板部124eと内部側面板部122eとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142のみならず補強鋼板138C_2が介在されている。断熱パネル100C_2に設けられた貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板136、不燃ボード142、補強鋼板138C_2、内部側面板部122e、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。また、隣接する断熱パネル100C_1と断熱パネル100C_2との間にはシール材110a、110bが設けられている。
【0094】
(変形例4)
図9Aは、断熱パネル100Cとは、構成が一部異なる断熱パネル100Dの構成を示す図である。また、図9Bは、断熱パネル100D_1と断熱パネル100D_2とを接合した接合構造である。
【0095】
図9Aに示すように、断熱パネル100Dにおいて補強鋼板136D_1の構成及び補強鋼板138D_1の構成が、断熱パネル100Cの補強鋼板136及び補強鋼板138とは異なっている。断熱パネル100Dでは、補強鋼板136D_1が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられており、補強鋼板138D_1が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられている。補強鋼板136D_1は、補強鋼板136と幅が異なること以外は、厚み及び高さは略同一である。また、補強鋼板138D_1は、補強鋼板138と幅が異なること以外は、厚み及び高さは略同一である。
【0096】
図9Bに示すように、断熱パネル100D_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100D_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100D_2の凹部104bには、不燃ボード142が嵌め込まれている。このとき、断熱パネル100D_2において、内部側面板部124eと不燃ボード142との間に、補強鋼板136D_2が介在されている。また、内部側面板部122eと不燃ボード142との間に補強鋼板138D_2が介在されている。断熱パネル100D_2に設けられた貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板136D_2、不燃ボード142、補強鋼板138D_2、内部側面板部122e、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。また、隣接する断熱パネル100D_1と断熱パネル100D_2との間にはシール材110a、110bが設けられている。
【0097】
(変形例5)
図10Aは、断熱パネル100とは、構成が一部異なる断熱パネル100Eの構成を示す図である。また、図10Bは、断熱パネル100E_1と断熱パネル100E_2とを接合した接合構造である。
【0098】
図10Aに示すように、断熱パネル100Eにおいて、補強鋼板136を設けずに、突出部112eと内部側面板部124cとの間に、補強鋼板131が設けられており、突出部112fと内部側面板部124eとの間に、補強鋼板133が設けられている点で、断熱パネル100と異なっている。断熱パネル100Eでは、補強鋼板131が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられており、補強鋼板133が突出部112eとほぼ同じ幅で設けられている。また、補強鋼板131及び補強鋼板133の厚さは、補強鋼板132の厚さと略同一であってもよいが、異なっていてもよい。また、補強鋼板131及び補強鋼板133の高さは、不燃ボード142の高さと略同一である。断熱パネル100Eに設けられた貫通孔152において、突出部112eに設けられた連結具156を用いて、補強鋼板131、不燃ボード142、内部側面板部122c、及び無機系不燃材料114が機械的に強固に固定されている。補強鋼板131、133を用いることにより、断熱パネル100の強度を向上させることができる。また、補強鋼板131、133を用いることにより、タッピングビスに対して適切な厚みを与えることができる。また、補強鋼板131には、内部側面板部124cに設けられた貫通孔と同じ孔径の貫通孔が設けられている。また、補強鋼板133には、内部側面板部124eに設けられた貫通孔と略同一の孔径の貫通孔が設けられている。補強鋼板131も連結具156で一体的に固定することにより、熱による変形を防止する効果が高まる。
【0099】
図10Bに示すように、断熱パネル100E_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100E_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100E_2の凹部104bには、不燃ボード142が嵌め込まれている。断熱パネル100E_2に設けられた貫通孔154において、連結具158を用いて、不燃ボード142、内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。また、隣接する断熱パネル100E_1と断熱パネル100E_2との間にはシール材110a、110bが設けられている。
【0100】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に係る断熱パネル100とは一部異なる断熱パネル100Fの構成について、図11乃至図13を参照して説明する。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所を重点的に説明する。
【0101】
[6.断熱パネルの構造]
図11Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Fの平面図であり、図11Bは、断熱パネル100を、C1-C2線に沿って切断したときの端面図である。本実施形態に係る断熱パネル100Fでは、接合部102b、102cの構成が、断熱パネル100の接合部102b、102cの構成と異なっている。
【0102】
図11Aに示すように、接合部102bにおいて、凹部104aに補強鋼板136及び不燃ボード142が設けられている。補強鋼板136及び不燃ボード142の幅は、突出部112e幅よりも大きい。不燃ボード142の幅は、30mm~100mm、40mm~80mm、又は45mm~65mmである。本実施形態では、不燃ボード142の幅は55mmである。断熱パネル100Fの貫通孔152において、連結具156を用いて、補強鋼板136、不燃ボード142、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114が機械的に強固に固定されている。
【0103】
接合部102cにおいて、凹部104bに補強鋼板135及び不燃ボード144が設けられている。補強鋼板135及び不燃ボード144の幅は、突出部112fの幅よりも小さい。不燃ボード144の幅は、10mm~40mm、10mm~30mm、又は10mm~20mmである。本実施形態では、不燃ボード144の幅は15mmである。断熱パネル100Fの貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板135、不燃ボード144内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116が機械的に強固に固定されている。
【0104】
[7.断熱パネルの接合構造及び施工方法]
次に、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Fの接合構造および施工方法について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100F_1、100F_2を隣接させて接合させたときの接合構造である。
【0105】
図12Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Fを複数並べて接合したときの接合構造の平面図である。図12Aに示す断熱パネル100Fの接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図12Bは、接合された複数の断熱パネル100F_1、100F_2の接合部102b、102cをD1-D2線に沿って切断したときの端面図である。
【0106】
断熱パネル100F_1、100F_2は、厚さT及び幅Wを、水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。つまり、断熱パネル100F_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100F_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100F_2の凹部104bには、補強鋼板136及び不燃ボード142が嵌め込まれている。なお、補強鋼板136及び不燃ボード142は、断熱パネル100F_2の補強鋼板135及び不燃ボード144と接するように設けられている。なお、補強鋼板136及び不燃ボード142の幅は、断熱パネル100F_1の突出部112eの幅よりも大きい。また、補強鋼板136及び不燃ボード142の幅は、補強鋼板136及び不燃ボード142が隣接する断熱パネル100F_2の不燃ボード144及び補強鋼板135に接したときに、断熱パネル100F_1と断熱パネル100F_2との間に間隙が生じる程度の幅を有していることが好ましい。なお、図12Aにおいて、断熱パネル100F_1、100F_2に示す点線は、補強鋼板136及び不燃ボード142と、補強鋼板135及び不燃ボード144と、が設けられる位置を示している。
【0107】
また、隣接する断熱パネル100F_1と断熱パネル100F_2との間隙には、シール材110a、110bが充填されている。
【0108】
図13は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Fの施工方法について説明する端面図である。
【0109】
図13Aに示すように、断熱パネル100F_1及び断熱パネル100F_2は、厚さT及び幅Wを水平方向に向けて、高さHを垂直方向に向けて、幅W方向に並べられる。まず、断熱パネル100F_1が有する補強鋼板136及び不燃ボード142に、断熱パネル100_2の凹部104bを、嵌合させる。このとき、補強鋼板136の側面及び不燃ボード142の側面は、補強鋼板135の側面及び不燃ボード144の側面に接するように、嵌合させることが好ましい。
【0110】
次に、図13Bに示すように、隣接する断熱パネル100F_1と断熱パネル100F_2との間の間隙に、シール材110a、110bを充填する。以上の工程により、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100F_1、100F_2を施工することができる。
【0111】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Fでは、予め断熱パネル100F_1の接合部102bの貫通孔152において、連結具156を用いて、補強鋼板136及び不燃ボード142と、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とが機械的に強固に固定されている。また、接合部102cの貫通孔154においても、連結具158を用いて、補強鋼板135及び不燃ボード144と、断熱パネル100F_2の内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116とが機械的に強固に固定されている。したがって、施工現場では、断熱パネル100F_1が有する補強鋼板136及び不燃ボード142を、断熱パネル100F_2の凹部104bに嵌め込み、断熱パネル100F_1と断熱パネル100F_2との間隙にシール材110a、110bを充填させるだけでよい。本実施形態によれば、施工現場において、補強鋼板135及び不燃ボード144と断熱パネル100F_2とを複数の連結具158によって機械的に固定する必要がない。そのため、施工現場における作業量を低減させることができる。したがって、複数の断熱パネル100F_1、100F_2を施工する場合の作業時間を短縮することができる。また、施工現場において、建物の外壁と断熱パネル100F_1との隙間が小さく、人が入り込めない場合であっても、断熱パネル100F_2を接合させることができるため好ましい。この場合、断熱パネル100F_1の端面板部122b、端面板部124bにシール材110a、110bを塗布した後、補強鋼板136及び不燃ボード142を、断熱パネル100F_2の凹部104bに嵌合させてもよい。
【0112】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に係る断熱パネル100Fとは一部異なる断熱パネル100Gの構成について、図14乃至図19を参照して説明する。なお、第3実施形態の説明では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所を重点的に説明する。
【0113】
[8.断熱パネルの構造]
図14Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gの平面図であり、図14Bは、断熱パネル100Gを、E1-E2線に沿って切断したときの端面図である。本実施形態に係る断熱パネル100Gでは、接合部102b、102cの構成が、断熱パネル100Fの接合部102b、102cの構成と異なっている。
【0114】
図14Aに示すように、接合部102bにおいて、凹部104aに補強鋼板136G及び不燃ボード142Gが設けられている。補強鋼板136G及び不燃ボード142Gの幅は、突出部112eの幅よりも小さい。不燃ボード142Gの幅は、10mm~40mm、10mm~30mm、又は10mm~20mmである。本実施形態では、不燃ボード142Gの幅は、15mmである。断熱パネル100Gの貫通孔152において、連結具156を用いて、補強鋼板136G及び不燃ボード142Gと、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とが機械的に強固に固定されている。
【0115】
また、接合部102cにおいて、凹部104bに補強鋼板135及び不燃ボード144が設けられている。補強鋼板135及び不燃ボード144の幅は、突出部112fよりも小さい幅である。不燃ボード144の幅は、10mm~40mm、10mm~30mm、又は10mm~20mmである。本実施形態では、不燃ボード144の幅は、15mmである。断熱パネル100Gの貫通孔154において、連結具158を用いて、補強鋼板135及び不燃ボード144と、内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116とが機械的に強固に固定されている。
【0116】
[9.断熱パネルの接合構造及び施工方法]
次に、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gの接合構造および施工方法について、図15及び図16を参照して説明する。図15は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100G_1、100G_2を隣接させて接合させたときの接合構造である。
【0117】
図15Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gを複数並べて接合したときの接合構造の平面図である。図15Aに示す断熱パネル100Fの接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図15Bは、接合された複数の断熱パネル100G_1、100G_2の接合部102b、102cをF1-F2線に沿って切断したときの端面図である。
【0118】
断熱パネル100G_1、100G_2は、厚さT及び幅Wを、水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。つまり、断熱パネル100G_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100G_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。断熱パネル100G_1の凹部104aと断熱パネル100_2の凹部104bには、不燃ボード146及び補強鋼板137が嵌め込まれている。ここで、不燃ボード146及び補強鋼板137は、断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2とを接合するために設けられる。不燃ボード146及び補強鋼板137は、断熱パネル100G_1の補強鋼板136G及び不燃ボード142Gと接し、断熱パネル100G_2の補強鋼板135及び不燃ボード144と接するように設けられている。補強鋼板137を用いることにより、不燃ボード146の強度を向上させることができる。
【0119】
なお、不燃ボード146及び補強鋼板137の幅は、不燃ボード142G、144の幅及び補強鋼板135、136Gの幅に応じて適宜設定される。不燃ボード146の幅は、30mm~80mm、30mm~60mm、又は30mm~50mmである。本実施形態では、不燃ボード146の幅は40mmである。不燃ボード146及び補強鋼板137の幅は、例えば、断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2とを、不燃ボード146及び補強鋼板137用いて嵌合したときに、断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2との間に間隙が生じる程度の幅を有していることが好ましい。なお、図15Aにおいて、断熱パネル100G_1、100G_2に示す点線は、補強鋼板137及び不燃ボード146と、補強鋼板136G及び不燃ボード142Gと、補強鋼板135及び不燃ボード144と、が設けられる位置を示している。
【0120】
また、隣接する断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2との間隙には、シール材110a、110bが充填されている。
【0121】
図16は、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gの施工方法について説明する端面図である。
【0122】
図16Aに示すように、補強鋼板137及び不燃ボード146を、断熱パネル100G_1が有する内部側面板部124cと内部側面板部122cとの間に嵌合させる。このとき、補強鋼板137の側面及び不燃ボード146の側面は、断熱パネル100G_1の補強鋼板136Gの側面及び不燃ボード142Gの側面に接するように、嵌合させることが好ましい。
【0123】
次に、図16Bに示すように、断熱パネル100G_1の突出部112eと補強鋼板136Gとの間に、不燃ボード146及び補強鋼板137を介在させた状態で、不燃ボード146及び補強鋼板137に、断熱パネル100G_2の凹部104bを嵌合させる。このとき、補強鋼板137の側面及び不燃ボード146の側面は、断熱パネル100G_2の補強鋼板135の側面及び不燃ボード144の側面に接するように、嵌合させることが好ましい。最後に、隣接する断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2との間隙に、シール材110a、110bを充填する。
【0124】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gでは、不燃ボード142Gの幅が、突出部112eの幅方向よりも短く、不燃ボード144の幅が、突出部112fの幅方向よりも短い。そのため、断熱パネル100Gの運搬時や施工時において、不燃ボード142G及び不燃ボード144が破損することを防止することができる。
【0125】
また、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gでは、予め断熱パネル100Gの接合部102bの貫通孔152において、連結具156を用いて、補強鋼板136G及び不燃ボード142Gと、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とが機械的に強固に固定されている。また、接合部102cの貫通孔154においても、連結具158を用いて、補強鋼板135及び不燃ボード144と、断熱パネル100Gの内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116とが機械的に強固に固定されている。したがって、施工現場では、断熱パネル100G_1の凹部104aと、断熱パネル100_2の凹部104bとに、補強鋼板137及び不燃ボード146を嵌め込み、断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2との間隙にシール材110a、110bを充填させるだけでよい。施工現場において、補強鋼板137及び不燃ボード146と断熱パネル100G_2とを複数の連結具158によって機械的に固定する必要がない。そのため、施工現場における作業量を低減させることができる。したがって、複数の断熱パネル100G_1、100G_2を施工する場合の作業時間を短縮することができる。また、施工現場において、建物の外壁と断熱パネル100G_1との隙間が小さく、人が入り込めない場合であっても、断熱パネル100G_2を接合させることができるため好ましい。この場合、断熱パネル100G_1の端面板部122b、端面板部124bにシール材110a、110bを塗布した後、補強鋼板136G及び不燃ボード142Gを、断熱パネル100G_2の凹部104bに嵌合させてもよい。
【0126】
[10.断熱パネル100Gの変形例]
次に、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Gの変形例について、図17乃至図19を参照して説明する。なお、図17乃至図19に示す断熱パネルの断面は、いずれも、図14に示すE1-E2線、及び図15に示すF1-F2と同じ箇所で切断した図である。
【0127】
(変形例6)
図17は、断熱パネル100G_1と断熱パネル100G_2とを接合した構造である。図17に示すように、断熱パネル100G_1の貫通孔152には、キャップ162が設けられており、断熱パネル100G_2の貫通孔154には、キャップ164が設けられている。このように、貫通孔152及び貫通孔154をふさぐように、キャップ162、164を設けることにより、貫通孔152、154に水分が侵入することを抑制することができる。これにより、水分によって、連結具156、158が腐食することを抑制することができる。なお、貫通孔152、154をふさぐ手段は、キャップに限定されず、シール材であってもよい。
【0128】
(変形例7)
図18は、断熱パネル100H_1と断熱パネル100H_2とを接合した構造である。図18に示すように、断熱パネル100H_1において、貫通孔152が設けられておらず、連結具151によって、本体板部124a、突出部112e、及び内部側面板部124cと、補強鋼板136G、不燃ボード142G、内部側面板部122c、補強鋼板132、及び無機系不燃材料114とが機械的に固定されている。また、断熱パネル100H_2において、貫通孔154が設けられておらず、連結具153によって、本体板部124a、突出部112f、及び内部側面板部124eと、補強鋼板135、不燃ボード144、内部側面板部122e、補強鋼板134、及び無機系不燃材料116とが機械的に固定されている。
【0129】
(変形例8)
図19は、断熱パネル100Gとは、構成が一部異なる断熱パネル100Iの構成を示す図である。また、図19Bは、断熱パネル100I_1と断熱パネル100I_2とを接合した構造である。
【0130】
図19Aに示すように、断熱パネル100Iとして、金属板124内に設けられた断熱材本体112の一部に代えて、無機系不燃材料111、113、115を用いてもよい。無機系不燃材料111、113、115は、例えば、ロックウール、グラスウール、ケイ酸カルシウム板又は石膏ボードなどの様々な材料で構成されている。本実施形態では、無機系不燃材料111、113は、ロックウールで構成され、無機系不燃材料115は、石膏ボードで構成される。この場合、金属板124内部において、内部側面板部124cに接して無機系不燃材料111を設け、内部側面板部124eに接して無機系不燃材料113を設ける。また、本体板部124aに接して、無機系不燃材料115を設ける。無機系不燃材料111と無機系不燃材料115の一部が、断熱パネル100Gの突出部112eに相当する。また、無機系不燃材料113と無機系不燃材料115の一部が、断熱パネル100Gの突出部112fに相当する。また、無機系不燃材料111は、無機系不燃材料114の高さ、幅及び厚さと略同一である矩形板状であり、無機系不燃材料113は、無機系不燃材料116の高さ、幅、厚さと略同一である矩形板状である。
【0131】
図19Aにおいて、断熱材本体として、有機系断熱材を第1部分と呼び、無機系不燃材料114を第2部分と呼び、無機系不燃材料111を第3部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料116を第4部分と呼び、無機系不燃材料113を第5部分と呼ぶ。また、無機系不燃材料118を第6部分と呼び、無機系不燃材料115を第7部分と呼ぶ。
【0132】
図19Bに示すように、断熱パネル100I_1、100I_2は、厚さT及び幅Wを、水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。つまり、断熱パネル100I_1の端面板部122b、124bと、断熱パネル100I_2の端面板部122d、124dとが対向するように配置されている。
【0133】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Iによれば、断熱パネル100Iの厚さT方向の両端の断熱材本体の箇所において、有機系断熱材に代えて、無機系不燃材料111、113、115が設けられている。これにより、屋外又は室外側、及び屋内又は室内側のいずれの箇所で火災が生じた場合であっても、火災時の熱を本体板部122a、124aから内部側面板部122c、122e、124c、124eに伝えにくくすることができる。したがって、断熱パネル100Iの一般部102aの延焼を阻止することができる。また、内部側面板部122c、122e、124c、124eを含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0134】
図17乃至図19に示す断熱パネルの接合構造において、三分割された不燃ボード142G、144、146を用いる場合について説明したが、本発明の一実施形態はこの構造に限定されない。例えば、第1実施形態で説明した断熱パネルの接合構造のように、分割されていない不燃ボード142を用いること以外は、図17乃至図19に示す断熱パネルの接合構造を適用してもよい。また、第2実施形態で説明した断熱パネルの接合構造のように、二分割された不燃ボード142、144を用いること以外は、図17乃至図19に示す断熱パネルの接合構造を適用してもよい。
【0135】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に係る断熱パネル100の施工方法及び接合構造とは一部異なる断熱パネル100の施工方法及び接合構造について、図20図22を参照して説明する。なお、第4実施形態の説明では、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所を重点的に説明する。
【0136】
[10.断熱パネルの構造]
図20Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Jを複数並べて接合したときの断熱パネル100Jの接合構造の平面図である。図20Aに示す断熱パネル100Jの接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図20Bは、接合された複数の断熱パネル100J_1、100J_2の接合部102b、102cをG1-G2線に沿って切断したときの端面図である。図20Bに示す断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造は、図5Bに示す断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造と一部が異なっている。
【0137】
断熱パネル100J_1、100J_2は、厚さT及び幅Wを水平方向に向けて、高さHを鉛直方向に向けて、幅W方向に並べられている。図20Bに示す断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造では、断熱パネル100J_1の端面板部124bと、断熱パネル100J_2の端面板部124dとの間にシール材が設けられていない。また、断熱パネル100J_1、100J_2の屋外側において、断熱パネル100J_1、100J_2を覆うように無機系不燃材料182が設けられている。また、断熱パネル100J_1、100J_2の屋外側において、端面板部124bと端面板部124dとの間の間隙は、無機系不燃材料182_1によって覆われている。ここで、断熱パネル100J_1と断熱パネル100J_2との間隙を目地ともいう。また、隣接する断熱パネル100J_1と隣接する断熱パネル100Jとの間の間隙を覆うように、無機系不燃材料182_2が設けられている。また、隣接する断熱パネル100J_2と隣接する断熱パネル100Jとの間の間隙を覆うように、無機系不燃材料182_3が設けられている。言い換えると、無機系不燃材料182は、厚さT方向において断熱パネル100Jと重なるように設けられており、隣接する断熱パネル100J間の目地を覆うように設けられている。
【0138】
ここで、無機系不燃材料182は、例えば、ロックウール、グラスウール、ケイ酸カルシウム板又は石膏ボードなどの様々な材料で構成されている。本実施形態では、無機系不燃材料182は、石膏ボードで構成される。無機系不燃材料182は、断熱パネル100Jの厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100Jの幅W方向に沿った幅と、断熱パネル10Jの高さH方向に沿った高さとを有する矩形形状である。無機系不燃材料182の幅は、接合部分の幅以上であればよく、接合部102bの幅、隣接する2つの断熱パネル間の目地の幅、及び接合部102cの幅を足し合わせた長さ以上であればよい。または、無機系不燃材料182の幅は、断熱パネルの幅Wと同様に、100mm~1200mm、500mm~1200mm、又は800mm~1200mmであってもよい。本実施形態では、無機系不燃材料182は、断熱パネル100Jの厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル100Jの幅W方向に沿った幅と、断熱パネル10Jの高さH方向に沿った高さとを有する矩形形状であるとして説明する。
【0139】
金属板126_1は、無機系不燃材料182_1の上面及び側面を覆っている。また、金属板126_1は、金属板124の表面に沿って、端部の一部が延びている。金属板126_2、126_3も、金属板126_1と同様の形状を有している。金属板126は、ガルバリウム鋼板(登録商標)、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板など、様々な材料が使用可能である。金属板126の厚さは、0.3mm~2.3mm程度であり、本実施形態では、0.4mmである。無機系不燃材料182を覆うように金属板126を設けることにより、断熱パネル100が変形、変色、又は劣化などの変質してしまうことを抑制することができる。また、断熱パネル100の見栄えが良くなるなどの意匠性が向上する。
【0140】
無機系不燃材料182_1と無機系不燃材料182_2とは、間隙を有するように設けられており、無機系不燃材料182_1と無機系不燃材料182_3とは、間隙を有するように設けられている。無機系不燃材料182_1~182_3のそれぞれを覆うように、金属板126_1~126_3が設けられている。そして、無機系不燃材料182_1と無機系不燃材料182_2との間隙において、金属板126_1の端部が延びている部分126a_1と、金属板126_2の端部が延びている部分126b_2とが、互いに重畳するように設けられている。さらに、金属板126_1と金属板126_2とが重畳する領域において、連結具174によって、金属板126_1、126_2、金属板124、及び断熱材本体112が固定されている。同様に、無機系不燃材料182_1と無機系不燃材料182_3との間隙において、金属板126_1の端部が延びている部分126b_1と、金属板126_3の端部が延びている部分126a_3とが、互いに重畳するように設けられている。さらに、金属板126_1と金属板126_3とが重畳する領域において、連結具174によって、金属板126_1、126_3、金属板124、及び断熱材本体112が固定されている。
【0141】
連結具174は、連結具156、158と同様に、ビス、タッピングスクリュー、シンワッシャーなど様々なものが使用可能である。また、連結具174は、無機系不燃材料182と断熱パネル100Jとを固定することができればよい。そのため、連結具174の長さは、連結具156、158よりも短くてもよいが、同様の長さであってもよい。また、金属板126の端部が延びている部分126a、126bにおいて、連結具174が設けられている位置に、予め貫通孔が設けられていてもよい。これにより、断熱パネル100Jに連結具174打ち込みやすくすることができる。このとき、金属板124に設けられる貫通孔の孔径は、貫通孔172の孔径よりも小さいことが好ましい。
【0142】
隣接する2つの金属板126の間隙は、シール材120によって充填されている。シール材120は、シール材110aと同様に、シリコーン系のシール材等、耐火性及び防水性を有する様々なシール材が使用可能である。
【0143】
無機系不燃材料182を平面視したとき、断熱パネル100J_1、100J_2の一般部102aと重畳する領域に、無機系不燃材料182の高さH方向に沿って複数の連結具174が並んで配置されている。また、無機系不燃材料182が断熱パネル100J_1と重畳する領域において、連結具174と連結具156との距離と、連結具174と連結具158との距離とが等しくなる。また、隣接する2つの連結具174の間隔は、隣接する2つの連結具156の間隔と等しくてもよいし、異なっていてもよい。また、隣接する2つの連結具174の間隔は、隣接する2つの連結具158の間隔と等しくてもよいし、異なっていてもよい。例えば、隣接する2つの連結具156の間隔及び隣接する2つの連結具158の間隔を、例えば、300mmとし、隣接する連結具174の間隔を、例えば、250mmとしてもよい。
【0144】
断熱パネル100J_1、100J_2の施工方法は、第1実施形態で説明したように、断熱パネル100J_2の内部側面板部122eと内部側面板部124eとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142を介在させる。この状態で、突出部112fに設けられた貫通孔154において連結具158によって、機械的に強固に連結させる。隣接する断熱パネル100J_1と断熱パネル100J_2との間隙に、シール材110aを充填する。
【0145】
その後、断熱パネル100J_1、100J_2の屋外側に無機系不燃材料182_1を重ね合わせる。断熱パネル100J_1と断熱パネル100J_2との間隙は、無機系不燃材料182によって覆われるため、シール材110bは充填されなくてもよい。次に、無機系不燃材料182_1を覆うように金属板126_1を設ける。ここで、金属板126_1は、隣接する金属板126_2、126_3とそれぞれ重畳するように設けられる。次に、隣接する2つの金属板126_1と、金属板126_2とが重畳する領域において、連結具174によって機械的に強固に連結させる。最後に、隣接する2つの金属板126_1、126_2に、シール材120を充填する。
【0146】
本発明の一実施形態に係る断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造では、断熱パネル100Jの屋内側及び屋外側のそれぞれに、無機系不燃材料118及び無機系不燃材料182が設けられている。そのため、断熱パネル100Jの室外側又は奥外側で火災が生じた場合であっても、有機系断熱材が燃焼し、延焼していくことを阻止することができる。また、隣接する2つの断熱パネル100J_1、100J_2の間隙の位置と、隣接する2つの無機系不燃材料182_1、182_2の間隙の位置とを一致させない。そのため、隣接する2つの断熱パネル100J_1、100J_2の間隙の位置に、熱が伝わりにくくなる。したがって、断熱パネル100J_1、100J_2の接合構造は、火災に対する指向性が向上する。
【0147】
また、図19に示す断熱パネル100Iのように、金属板122、124の裏面のそれぞれに無機系不燃材料118、115を設けて、断熱パネル100Iを製造する場合、有機系断熱材の養生に時間がかかる場合がある。これに対し、図20等に示す断熱パネル100Jのように、金属板122の裏面に無機系不燃材料118を設けて製造する方が、有機系断熱材の養生工程を簡便にできる。したがって、断熱パネルの第1面及び第2面の双方に無機系不燃材料を設ける場合、一方の面に予め無機系不燃材料118を設けて断熱パネル100Jを製造し、施工現場にて、断熱パネル100J他方の面に無機系不燃材料182後から設ける方が、断熱構造体1000の製造を容易にすることができる。
【0148】
(変形例9)
図21A及び図21Bは、断熱パネル100Jの接合構造とは、構成が一部異なる断熱パネル100Kの接合構造を示す図である。また、図21Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Kの接合構造の平面図である。図21Aに示す断熱パネル100Kの接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図21Bは、断熱パネル100Kの接合部102b、102cを、H1-H2線に沿って切断したときの端面図である。図21Bに示す端面図において、上側が室外又は屋外における面であり、下側が室内又は屋内における面を示している。
【0149】
断熱パネル100Kの接合構造は、接合部102b、102cにおいて、分割された不燃ボード142と、不燃ボード144とが設けられている点で、断熱パネル100Jの接合構造と異なっている。この点以外は、断熱パネル100Jに示す構造と同様である。
【0150】
断熱パネル100K_1、100K_2の施工方法は、第2実施形態で説明したように、断熱パネル100K_2の内部側面板部122eと内部側面板部124eとの間に、補強鋼板136及び不燃ボード142を介在させる。このとき、補強鋼板136の側面及び不燃ボード142の側面は、補強鋼板135の側面及び不燃ボード144の側面に接するように、嵌合させることが好ましい。隣接する断熱パネル100K_1と断熱パネル100K_2との間隙に、シール材110aを充填する。
【0151】
その後、断熱パネル100K_1、100K_2の屋外側に無機系不燃材料182を重ね合わせる。断熱パネル100K_1と断熱パネル100K_2との間隙は、無機系不燃材料182によって覆われるため、シール材110bは充填されなくてもよい。次に、無機系不燃材料182_1を覆うように金属板126_1を設ける。ここで、金属板126_1は、隣接する金属板126_2、126_3とそれぞれ重畳するように設けられる。次に、隣接する2つの金属板126_1と、金属板126_2とが重畳する領域において、連結具174によって機械的に強固に連結させる。最後に、隣接する2つの金属板126_1と、金属板126_2との間隙に、シール材120を充填する。
【0152】
断熱パネル100K_1、100K_2の接合構造、及び接合方法によれば、施工現場において、補強鋼板135及び不燃ボード144と断熱パネル100K_2とを複数の連結具158によって機械的に固定する必要がない。そのため、施工現場における作業量を低減させることができる。したがって、複数の断熱パネル100K_1、100K_2を施工する場合の作業時間を短縮することができる。また、施工現場において、建物の外壁と断熱パネル100K_1との隙間が小さく、人が入り込めない場合であっても、断熱パネル100K_2を接合させることができるため好ましい。この場合、断熱パネル100K_1の端面板部122b、端面板部124bにシール材110a、110bを塗布した後、補強鋼板136及び不燃ボード142を、断熱パネル100K_2の凹部104bに嵌合させてもよい。
【0153】
(変形例10)
図22A及び図22Bは、断熱パネル100Jとは、構成が一部異なる断熱パネル100Lの接合構造を示す図である。また、図22Aは、本発明の一実施形態に係る断熱パネル100Lの接合構造の平面図である。図22Aに示す断熱パネル100Lの接合構造の平面図において、室外又は屋外における面を示している。図22Bは、断熱パネル100Lの接合部102b、102cを、I1-I2線に沿って切断したときの端面図である。図22Bに示す端面図において、上側が室外又は屋外における面であり、下側が室内又は屋内における面を示している。
【0154】
断熱パネル100Lの接合構造は、接合部102b、102cにおいて、分割された不燃ボード142と、不燃ボード144と、不燃ボード146と、が設けられている点で、断熱パネル100Jの接合構造と異なっている。
【0155】
断熱パネル100L_1、100L_2の施工方法は、第3実施形態で説明したように、補強鋼板137及び不燃ボード146を、断熱パネル100L_1が有する内部側面板部124cと内部側面板部122cとの間に嵌合させる。断熱パネル100L_1の内部側面板部124cと内部側面板部122cとの間に、不燃ボード146及び補強鋼板137を介在させた状態で、不燃ボード146及び補強鋼板137に、断熱パネル100L_2の凹部104bを嵌合させる。このとき、補強鋼板137の側面及び不燃ボード146の側面は、断熱パネル100L_2の補強鋼板135の側面及び不燃ボード144の側面に接するように、嵌合させることが好ましい。隣接する断熱パネル100L_1と断熱パネル100L_2との間隙に、シール材110aを充填する。
【0156】
その後、断熱パネル100L_1、100L_2の屋外側に無機系不燃材料182を重ね合わせる。断熱パネル100K_1と断熱パネル100K_2との間隙は、無機系不燃材料182によって覆われるため、シール材110bは充填されなくてもよい。次に、無機系不燃材料182_1を覆うように金属板126_1を設ける。ここで、金属板126_1は、隣接する金属板126_2、126_3とそれぞれ重畳するように設けられる。次に、隣接する2つの金属板126_1と、金属板126_2とが重畳する領域において、連結具174によって機械的に強固に連結させる。最後に、隣接する2つの金属板126_1と、金属板126_2との間隙に、シール材120を充填する。
【0157】
断熱パネル100L_1、100L_2の接合構造、及び接合方法によれば、不燃ボード142Gの幅が、突出部112eの幅方向よりも短く、不燃ボード144の幅が、突出部112fの幅方向よりも短い。そのため、断熱パネル100Lの運搬時や施工時において、不燃ボード142G及び不燃ボード144が破損することを防止することができる。
【0158】
本実施形態では、断熱パネル100J、100K、100Lのそれぞれの接合方法、及び接合構造について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。断熱パネル100、100A~100Iのそれぞれについても、断熱パネル100J等と同様に、屋外側に無機系不燃材料182及び金属板126を設けて、連結具174によって固定する接合方法、及び接合構造を適用することが可能である。
【0159】
(第5実施形態)
図23図24を参照して第5実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Aについて説明する。なお、図23において、断熱パネル12Aの両面のうち連結具を構成するビス26の頭部が位置している側が室外あるいは屋外であり、その反対側が室内あるいは屋内である。
【0160】
まず、図24を参照して第5実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Aに用いる断熱パネル12Aについて説明する。断熱パネル12Aは、断熱材本体14と、一対の化粧鋼板16と、補強鋼板18Aとを含んで構成される。断熱パネル12Aは、厚さTと、厚さTよりも大きい寸法の幅Wおよび高さ(図24の紙面と直交する方向)を有する矩形板状である。
【0161】
断熱パネル12Aの厚さTは、50mm~300mm、50mm~200mm、又は50mm~100mmである。断熱パネル12Aの幅Wは、100mm~1200mm、500mm~1200mm、又は800mm~1200mmである。断熱パネル12Aの高さHは、100mm~16000mm、1000mm~16000mm、又は5000mm~16000mmである。本実施の形態では、断熱パネル12Aは、厚さTは50mmである。なお、断熱パネル12Aの幅W方向の両端は接合部1202であり、断熱パネル12Aの接合部1202を除いた箇所は一般部1204である。接合部1202は、隣り合う断熱パネル12Aを接続するための箇所である。接合部1202は、端面板部1604、内部側面板部1606、補強鋼板18A、補強鋼板18B、凹部20、不燃ボード24、ビス26、シール材30、及び断熱材本体14の一部を含む。
【0162】
断熱材本体14は、ウレタン系断熱材などの従来公知の様々な有機系断熱材で構成されている。断熱材本体14は、断熱パネル12Aの厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル12Aの幅W方向に沿った幅と、断熱パネル12Aの高さ方向に沿った高さとを有する矩形板状である。断熱材本体14の幅Wと高さは、断熱材本体14の厚さよりも大きい。
【0163】
断熱材本体14は、第1面と、第1面の反対側に第2面と、を有する。断熱材本体14は、第1面及び第2面の幅方向の一端部同士をつなぐ第1側端面と、第1面及び前記第2面の幅方向の他端部同士をつなぐ第2側端面と、を有する。断熱材本体14は、断熱パネル12Aの幅W方向の両端、言い換えると、断熱材本体14の幅方向の両端に、幅W方向の外側に開放された凹部20を有している。凹部20は、断熱材本体14の厚さ方向の側端面の中央部に設けられ、断熱材本体14の幅方向の中央に向かって所定の寸法で窪みを形成している。また凹部20は、断熱材本体14の高さ方向の一端から他端(全長)にわたって設けられている。
【0164】
凹部20は、互いに対向する内部側面2002と、それら内部側面2002の先端を接続する底面2004とから形成されている。本実施の形態では、互いに対向する内部側面2002間の距離は断熱パネル12Aの幅W方向に沿って均一であるが、均一でなくともよい。
【0165】
一対の化粧鋼板16は、断熱材本体14の厚さ方向の両面を覆っている。化粧鋼板16は、ガルバニウム鋼板など、従来公知の様々な材料が使用可能である。化粧鋼板16の厚さは、補強鋼板18Aよりも薄く、0.3mm~2.3mm程度である。本実施の形態では、化粧鋼板16の厚さは、0.4mmである。
【0166】
各化粧鋼板16は、本体板部1602と、端面板部1604と、内部側面板部1606とを備えている。本体板部1602は、断熱材本体14の厚さ方向の端部に位置する断熱材本体14の面を覆っている。端面板部1604は、断熱材本体14の幅W方向の両端に設けられ、本体板部1602の端部から屈曲されて接続され、断熱材本体14の厚さ方向において凹部20の側方に位置する断熱材本体14の端面1402を覆っている。内部側面板部1606は、端面板部1604の本体板部1602と接続される端部と逆側の端部から屈曲されて接続され凹部20の内部側面2002を覆っている。
【0167】
一対の化粧鋼板16の内部側面板部1606は本体板部1602から折り返して形成され、互いに対向しており、内部側面板部1606は断熱パネル12Aの幅W方向に沿った幅を有している。したがって、断熱材本体14の厚さ方向の両面は一対の化粧鋼板16の本体板部1602と接合している。断熱材本体14の幅W方向の両面の一部は一対の化粧鋼板16の端面板部1604及び内部側面板部1606と接合しており、他部である底面2004は化粧鋼板16と接合していない。内部側面板部1606の幅は、20mm~200mm、30mm~150mm、あるいは40mm~100mmの範囲から選択することができる。
【0168】
図24に示すように、補強鋼板18Aは、一対の化粧鋼板16のうちの一方の化粧鋼板16の幅W方向両端の内部側面板部1606にそれぞれ重ね合わされて接合されている。本実施の形態では、補強鋼板18Aは接着剤により内部側面板部1606に接合されている。
【0169】
補強鋼板18Aは、断熱パネル12Aの厚さT方向に沿った厚さと、断熱パネル12Aの幅W方向に沿った幅と、断熱パネル12Aの高さ方向に沿った高さとを有している。補強鋼板18Aの厚さは、化粧鋼板16の厚さよりも大きく、0.8mm~1.6mm程度である。本実施の形態では、補強鋼板18Aの厚さは、化粧鋼板16の4倍の厚さの1.6mmである。
【0170】
本実施の形態では、補強鋼板18Aの幅は化粧鋼板16の内部側面板部1606の幅とほぼ同一であり、補強鋼板18Aの高さは断熱パネル12Aの高さと同一であり、補強鋼板18Aは、内部側面板部1606の高さ方向の全長にわたって延在している。補強鋼板18Aは、本体板部1602に対向する内部側面板部1606の面に設けられる。したがって、本実施の形態では、断熱パネル12Aの幅W方向の両端には、断熱パネル12Aの厚さT方向に互いに対向する内部側面板部1606の間に開放状のボード嵌め込み用空間22が設けられている。言い換えると、ボード嵌め込み用空間22は、断熱パネル12Aの幅W方向外側に、開放状に設けられている。したがって、補強鋼板18Aの厚さ方向の一方の面には内部側面板部1606が位置し、補強鋼板18Aの厚さ方向の他方の面には断熱材本体14が位置している。
【0171】
なお、断熱パネル12Aは、補強鋼板18Aが取り付けられた化粧鋼板16と、補強鋼板18Aが取り付けられていない化粧鋼板16とを向い合せて配置した後、それらで囲まれた空間に有機系断熱材(断熱材本体14)を充填し、冷却して作られる。そのため、補強鋼板18Aが取り付けられていない内部側面板部1606側の凹部20では、化粧鋼板16の本体板部1602、端面板部1604、及び補強鋼板18Aが取り付けられていない内部側面板部1606が、断熱材本体14と接合し一体化する。また、補強鋼板18Aが取り付けられている内部側面板部1606側の凹部20では、化粧鋼板16の本体板部1602、端面板部1604、及び補強鋼板18Aが断熱材本体14と接合し一体化する。
【0172】
次に、図23を参照してこのような断熱パネル12Aを用いた第5実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Aについて接合方法と共に説明する。
【0173】
複数枚の断熱パネル12Aは、厚さTおよび幅W方向を水平方向に向けて、高さ方向を鉛直方向に向けて幅W方向に並べられている。なお、補強鋼板18Aが重ね合わされた内部側面板部1606は、隣り合う断熱パネル12Aにおいて断熱パネル12Aの厚さT方向において同じ側に位置するように断熱パネル12Aは並べられている。したがって、一対の化粧鋼板16は、それぞれ本体板部1602と、端面板部1604と、内部側面板部1606とを有している。また、向かい合わされた断熱パネル12Aの断熱材本体14の幅W方向の端部に、幅W方向の中央に向かって所定の寸法窪むボード嵌め込み用空間22がそれぞれ位置している。
【0174】
矩形板状の不燃ボード24が、向かい合われた断熱パネル12Aの断熱材本体14間にわたって設けられている。言い換えると、断熱パネル12Aの高さ方向の全長にわたり向かい合わされた断熱パネル12Aのボード嵌め込み用空間22にわたって嵌め込まれている。不燃ボード24はボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれる大きさの矩形板状である。
【0175】
不燃ボード24は、断熱パネル12Aの厚さT方向に沿って延在しボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれる寸法の厚さと、断熱パネル12Aの幅W方向に沿って延在し向かい合わされた断熱パネル12Aのボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれる寸法の幅と、断熱パネル12Aの高さ方向の全長に沿って延在する高さとを有している。
【0176】
不燃ボード24として、化粧鋼板16を構成する鋼材に比べて熱伝導率が低く、硬質の石膏ボードや珪酸カルシウム板など従来公知の様々な無機系材料が使用可能である。特に、石膏ボードを用いると、火災時に不燃ボード142に含まれる水分(結晶水)が放出されて、断熱パネル100の温度上昇を抑制することができる。不燃ボード142の厚さは、3mm~30mm、5mm~20mm、又は8mm~15mmである。不燃ボード142の厚さは、例えば、火災時の金属板122、124の内部側面板部122c、122e、124c、124eを含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止するために、5mm~15mm程度が好ましい。本実施形態では、断熱パネルの厚さTを50mmとし、不燃ボード142の厚さを、9.5mmとしている。本実施の形態では、断熱パネル12Aの厚さTを50mmとし、不燃ボード24の厚さを9.5mmとしており、不燃ボード24の厚さは断熱パネル12Aのほぼ1/5としている。
【0177】
また、向かい合された断熱パネル12Aの幅W方向の端部において、それぞれ断熱パネル12Aの高さ方向の全長にわたり断熱パネル12Aの厚さ方向において不燃ボード24の両側に位置するように化粧鋼板16よりも厚さが大きい補強鋼板18A、18Bが設けられている。
【0178】
断熱パネル12Aの厚さT方向において不燃ボード24の一側に位置する補強鋼板18Aは、化粧鋼板16の内部側面板部1606に取り付けられている。断熱パネル12Aの厚さ方向において不燃ボード24の他側に位置する補強鋼板18Bは、不燃ボード24と共にボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれている。断熱パネル12Aの厚さ方向の不燃ボード24の他側では、不燃ボード24と、化粧鋼板16の内部側面板部1606との間に補強鋼板18Bが位置している。詳細には、隣り合う断熱パネル12A、12Aのうちの一方の断熱パネル12Aのボード嵌め込み用空間22に不燃ボード24の半部と補強鋼板18Bの半部とが予め嵌め込まれている。一方の断熱パネル12Aに対して他方の断熱パネル12Aを並べる際に、他方の断熱パネルのボード嵌め込み用空間22に不燃ボード24の残りの半部と補強鋼板18Bの残りの半部とが嵌め込まれる。
【0179】
したがって、断熱パネル12Aの厚さT方向において不燃ボード24の他側に位置する補強鋼板18Bは単一である。補強鋼板18Bは、接着剤により不燃ボード24に接合される。補強鋼板18Bは、後述するシール材30が位置する目地部を横断し隣り合う断熱パネル12A、12Aの内部側面板部1606間にわたって延在し、不燃ボード24と共にボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれている。
【0180】
不燃ボード24の他側に位置する補強鋼板18Bは、化粧鋼板16の内部側面板部1606に取り付けられた補強鋼板18Aと厚さは同一であるが幅は大きく、不燃ボード24の幅とほぼ同一の寸法で形成される。したがって、化粧鋼板16の内部側面板部1606の幅の2倍以上の幅を有し、不燃ボード24の他側に位置する補強鋼板18Bは不燃ボード24の幅W方向と高さ方向の全長にわたって延在している。
【0181】
すなわち、向かい合わされた断熱パネル12Aの幅W方向の端部間で、互いに対向する内部側面板部1606の間に補強鋼板18B及び不燃ボード24が断熱パネル12Aの高さ方向の全長にわたって嵌め込まれている。言い換えると、向かい合わされた断熱パネル12Aの幅W方向の端部間で、互いに対向する重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18A、18Bの間に不燃ボード24が断熱パネル12Aの高さ方向の全長にわたって嵌め込まれている。
【0182】
なお、補強鋼板18Bの厚さは、補強鋼板18Aの厚さと必ずしも同一である必要はないが、同一のものを用いると、断熱パネルの12Aのコストを削減する上で有利となる。また、補強鋼板18Bの幅は、不燃ボード24の幅と必ずしも同一である必要はないが、同一とすると、補強鋼板18Bと不燃ボード24とを重ね合わせ、簡単に取り扱う上で有利となる。
【0183】
また、向かい合された断熱パネル12Aの幅W方向の端部において、それぞれ一対の化粧鋼板16のうちの一方の化粧鋼板16の本体板部1602から連結具としてのビス26がワッシャ28を介して挿通されている。本実施の形態では、ビス26としてタッピングスクリューを用いている。
【0184】
本実施の形態では、一対の化粧鋼板16のうち単一の補強鋼板18Bが位置する側の化粧鋼板16の本体板部1602からビス26が挿通され、言い換えると、ねじ込まれている。つまり、断熱パネル12Aの屋外側の面からビス26が挿通されている。ビス26は、断熱パネル12Aの端部において断熱パネル12Aの高さ方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0185】
ビス26により不燃ボード24の厚さ方向の両側においてそれぞれ補強鋼板18A、18Bと内部側面板部1606とが重ね合わされて接合されることで不燃ボード24が断熱パネル12Aの厚さ方向においてその両側から挟持され固定されている。言い換えると、断熱パネル12Aの接合部1202である幅W方向の端部において、不燃ボード24の両側でビス26によりそれぞれ補強鋼板18A、18Bと内部側面板部1606とが重ね合わされて機械的に接合される。さらに、接合された補強鋼板18A、18Bと内部側面板部1606どうしが不燃ボード24を挟んで機械的に連結されている。ビス26の先端は、ビス26の頭部が位置する化粧鋼板16の本体板部1602と反対側の化粧鋼板16の本体板部1602から、断熱パネル12Aの厚さ方向において離れた箇所に位置している。
【0186】
また、断熱パネル12Aの厚さT方向において、補強鋼板18A、18Bは、内部側面板部1606のビス26が挿通される側とは反対側に設けられ、重ね合わされている。言い換えると、補強鋼板18A、18Bは、内部側面板部1606の厚さT方向におけるビス26の先端側に設けられ、重ね合わされている。そのため、補強鋼板18A、18Bが化粧鋼板16の内部側面板部1606の変形を抑制することができ、ビス26を強固に固定することができる。そして、断熱パネル12Aの向かい合う幅W方向の端部間にシール材30が充填されている。シール材30には、シリコーン系のシール材など、従来公知の様々な不燃性を有するシール材が使用可能である。
【0187】
なお、図23において、ビス26の頭部が位置している断熱パネル12Aの面が室外あるいは屋外に向けられ、その反対の面が室内あるいは屋内に向けられている。また、補強鋼板18A、18B、内部側面板部1606、不燃ボード24を機械的に接合する連結具としてクリップ等のような従来公知の様々なものを用いてもよいが、ビスを用いるとそれらを簡単に短時間で接合することができる。
【0188】
第5実施形態に係る断熱パネル12Aの接合構造10Aによれば、一対の化粧鋼板16の幅W方向の端部の内部側面板部1606は、化粧鋼板16よりも厚さの大きい補強鋼板18A、18Bにそれぞれ重ね合わされている。さらに、一対の化粧鋼板16の幅W方向の端部の内部側面板部1606は、不燃ボード24を介在させた状態で、補強鋼板18A、18Bに重ね合わされた内部側面板部1606どうしは連結具としてのビス26により機械的に強固に連結されている。
【0189】
補強鋼板18Bは、化粧鋼板16のビス26が挿通される側と反対側(ビス26の先端側)に設けられていることから、ビス26を強固に固定することができ、その結果、化粧鋼板16の内部側面板部1606の変形を抑制することができる。したがって、不燃ボード24の厚さ方向の両側に位置する補強鋼板18A、18Bにより、火災が生じた側の化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止する上で有利となる。
【0190】
また、ビス26が挿通される側の補強鋼板18Bは、隣り合う断熱パネル12Aの幅W方向の端部間にわたって延在しており、隣り合う断熱パネル12Aの幅W方向の端部の内部側面板部1606どうしを連結している。そのため、化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0191】
また、本実施の形態では、不燃ボード24は水分(結晶水)を含んで構成されているので、火災時の熱が、断熱パネル12Aの幅W方向の端部の接合部1202において、不燃ボード24に伝達されると、不燃ボード24の水分(結晶水)が接合部1202の周辺に放出される。そのため、接合部1202の温度上昇が所定の時間抑えられ、火災が生じた側の化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止ことができる。
【0192】
したがって、従来のように、接合部1202の構成部材の間に熱変形による隙間が生じ、その隙間から有機系断熱材に熱や火炎が直接伝わり有機系断熱材が燃焼し延焼することを抑制することができる。あるいは、化粧鋼板16が接合部の箇所で開く方向に変形するなどで、その変形箇所から内部の有機系断熱材に酸素が供給され、有機系断熱材が燃焼し延焼していくことを阻止することができる。さらには、有機系断熱材を用いた断熱パネル12Aの火災事故を抑制することができる。
【0193】
また、ビス26は、一対の化粧鋼板16の向かい合う本体板部1602にわたり貫通させてもよい。また、本実施の形態のように、ビス26の先端が、ビス26が挿通される化粧鋼板16と反対側の化粧鋼板16の本体板部1602から離れた箇所に位置させ、ビス26の先端が化粧鋼板16の本体板部1602から離れている側を室内側に向けて断熱パネル12Aを配置する。これにより、火災時の熱が、ビス26が挿通される側にビス26を介して伝達しにくく、火災が生じた側の化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができ、有機系断熱材を用いた断熱パネル12Aの火災事故を抑制することができる。
【0194】
また、第5実施形態に係る断熱パネル12Aを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Aを簡単に確実に組み付ける上で有利となる。また、ビス26は化粧鋼板16及び断熱材本体14の屋外あるいは室内側から挿通し、屋内あるいは室内側まで貫通していない。そのため、ビス26に錆び等が生じても、屋内あるいは室内には影響しないことから衛生面で有利である。
【0195】
(第6実施形態)
次に、図25図26を参照して第6実施形態の断熱パネルの接合構造10Bについて説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、第5実施形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、異なった箇所を重点的に説明する。
【0196】
まず、図26を参照して第6実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Bに用いる断熱パネル12Bについて説明する。第6実施形態に係る断熱パネル12Bでは、予め設けられる補強鋼板18Aの位置が第5実施形態と異なっている。すなわち、第6実施形態に係る断熱パネル12Bでは、補強鋼板18Aは、互いに対向する内部側面板部1606の面に設けられ、補強鋼板18Aの幅は内部側面板部1606の幅と同一である。したがって、ボード嵌め込み用空間22は、内部側面板部1606の面に設けられた補強鋼板18Aと、この補強鋼板18Aに対向する内部側面板部1606との間に設けられている。
【0197】
次に、図25を参照して第6実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Bについて説明する。不燃ボード24が、向かい合わされた断熱パネル12Bのボード嵌め込み用空間22にわたって嵌め込まれ、それぞれ断熱パネル12Bの高さ方向の全長にわたり不燃ボード24の厚さ方向の両側に位置するように化粧鋼板16よりも厚さが大きい補強鋼板18A、18Bが設けられている。
【0198】
断熱パネル12Bの厚さT方向において不燃ボード24の一側に位置する補強鋼板18Aは、化粧鋼板16の本体板部1602に予め重ね合わされて接合された補強鋼板18Aである。断熱パネル12Aの厚さT方向において不燃ボード24の他側に位置する補強鋼板18Bは不燃ボード24に接合され、不燃ボード24と共にボード嵌め込み用空間22に嵌め込まれている。
【0199】
ビス26により断熱パネル12Bの厚さ方向においてそれぞれ補強鋼板18A、18Bと内部側面板部1606とが重ね合わされて接合されることで不燃ボード24が断熱パネル12Bの厚さ方向においてその両側から挟持され固定されている。第6実施形態の断熱パネルの接合構造10Bによっても第5実施形態の断熱パネルの接合構造10Aと同様な効果が奏される。
【0200】
(第7実施形態)
次に、図27図28を参照して第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cについて説明する。
【0201】
まず、図28を参照して第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cに用いる断熱パネル12Cについて説明する。第5、第6実施形態の断熱パネルでは、断熱パネルの幅W方向の両端において、互いに厚さ方向に対向する2つの内部側面板部1606のうちの一方に補強鋼板18Aが設けられる。これに対して、第7実施形態では、断熱パネル12Cの幅W方向の両端において、互いに厚さ方向に対向する2つの内部側面板部1606の双方に補強鋼板18Aが設けられ、補強鋼板18Bを用いていない点が第5、第6実施形態と異なっている。すなわち、第7実施形態に係る断熱パネル12Cでは、補強鋼板18Aは、断熱パネル12Cの幅W方向の両端において、本体板部1602に対向する内部側面板部1606の面に設けられている。また、第5、第6実施形態のようにシール材30の箇所を横断する補強鋼板18Bは設けられていない。したがって、ボード嵌め込み用空間22は、互いに対向する内部側面板部1606の間に設けられている。
【0202】
次に、図27を参照して第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cについて説明する。不燃ボード24が、向かい合わされた断熱パネル12Cのボード嵌め込み用空間22にわたって嵌め込まれ、ビス26により断熱パネル12Cの厚さ方向においてそれぞれ補強鋼板18Aと内部側面板部1606とが重ね合わされて接合されることで不燃ボード24が断熱パネル12Cの厚さ方向においてその両側から挟持され固定されている。第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cによっても第5実施形態と同様な効果が奏される。また、第7実施形態の断熱パネル12Cを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Cを簡単に確実に設置することができる。
【0203】
(第8実施形態)
次に、図29図30を参照して第8実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Dについて説明する。まず、図30を参照して第8実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Dに用いる断熱パネル12Dについて説明する。
【0204】
第8実施形態に係る断熱パネル12Dでは、第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cと同様に、断熱パネル12Dの幅W方向の両端において、互いに対向する2つの内部側面板部1606の双方に補強鋼板18Aが設けられている点では第7実施形態と同様であるが、第8実施形態に係る断熱パネル12Dでは、補強鋼板18Aは、互いに対向する内部側面板部1606の面に設けられている点が第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cと異なっている。したがって、ボード嵌め込み用空間22は、互いに対向する補強鋼板18Aの間に設けられている。
【0205】
次に、図29を参照して第8実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Dについて説明する。不燃ボード24が、向かい合わされた断熱パネル12Dのボード嵌め込み用空間22にわたって嵌め込まれ、ビス26により断熱パネル12Dの厚さ方向においてそれぞれ補強鋼板18Aと内部側面板部1606とが重ね合わされて接合されることで不燃ボード24が断熱パネル12Dの厚さ方向においてその両側から挟持され固定されている。第8実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Dによっても第7実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Cと同様な効果が奏される。また、第8実施形態に係る断熱パネル12Dを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Dを簡単に確実に設置することができる。
【0206】
(第9実施形態)
次に、図31図32を参照して第9実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Eについて説明する。
【0207】
まず、図32を参照して第9実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Eに用いる断熱パネル12Eについて説明する。第9実施形態に係る断熱パネル12Eでは、補強鋼板18Aが内部側面板部1606に予め設けられていない点が第5~第8実施形態と異なっている。すなわち、断熱パネル12Eの幅W方向の両端には、一対の化粧鋼板16の内部側面板部1606の間にボード嵌め込み用空間22が形成されている。
【0208】
次に、図31を参照して第9実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Eについて説明する。
【0209】
向かい合わされた断熱パネル12Eの断熱材本体14の幅W方向の端部においてボード嵌め込み用空間22が対向している。不燃ボード24の両側に一対の補強鋼板18Bが接合されており、この一対の補強鋼板18Bが接合された不燃ボード24が、向かい合わされた断熱パネル12Eの互いに対向するボード嵌め込み用空間22にわたって嵌め込まれている。一対の補強鋼板18Bは、前記実施の形態の補強鋼板18Bと同一の厚さで形成されている。不燃ボード24の幅と一対の補強鋼板18Bの幅は、断熱パネル12Eの幅W方向における互いに対向するボード嵌め込み用空間22の全長と同一の寸法で形成されている。
【0210】
また、向かい合された断熱パネル12Eの幅W方向の端部において、それぞれ一対の化粧鋼板16のうちの一方の化粧鋼板16の本体板部1602からビス26が挿通されている。ビス26により不燃ボード24の厚さ方向の両側においてそれぞれ補強鋼板18Bと内部側面板部1606とが重ね合わされて接合されることで不燃ボード24が断熱パネル12Eの厚さ方向においてその両側から挟持され固定されている。
【0211】
第9実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Eによれは、第5実施形態にて説明した効果に加え次の効果も奏される。一対の化粧鋼板16の内部側面板部1606に重ね合わされる化粧鋼板16よりも厚さの大きい一対の補強鋼板18Bの双方は、隣り合う断熱パネル12Eの幅W方向の端部間にわたって延在しており、隣り合う断熱パネル12Eの幅W方向の端部の内部側面板部1606どうしを連結しているので、火災が生じた側の化粧鋼板の内部側面板部1606を含む幅W方向の端部の開きや変形を阻止する上でより一層有利となる。
【0212】
(第10実施形態)
次に、図33図34を参照して第10実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Fについて説明する。
【0213】
まず、図34を参照して第10実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Fに用いる断熱パネル12Fについて説明する。なお、図23図32に示す第5~第9実施形態では、断熱材本体14は、その全体がウレタン系断熱材などの従来公知の様々な有機系断熱材で構成されているため有機系断熱材に符号を付して説明していなかったが、以下の図33図39に示す第6~第9の実施の形態では、有機系断熱材以外の後述する無機繊維系不燃材料A~Dが加わって断熱材本体14が構成されるため、図33図39に示す第6~第9の実施の形態では、断熱材本体14を構成する有機系断熱材に符号14Kを付して説明する。また、後述する無機繊維系不燃材料14A~14Dには、ロックウール、グラスウール、ケイ酸カルシウム板、又は石膏ボードなど、有機系断熱材14Kに比べて不燃性に優れる従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0214】
第10実施形態の断熱パネル12Fは、一対の化粧鋼板16、一対の化粧鋼板16のうちの一方の化粧鋼板16の内部側面板部1606に設けられる補強鋼板18Aの構造については、図24に示す第5実施形態と同様であるが、断熱パネル12Fの幅W方向に沿った凹部20の全長部分で断熱パネル12Fの厚さT方向の全長部分において、断熱材本体14を構成する有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Aが配置されている点が第5実施形態と異なっている。したがって、第10実施形態の断熱パネル12Fでは、断熱材本体14は、有機系断熱材14Kと無機繊維系不燃材料14Aとを含んで構成されている。
【0215】
図34において、断熱材本体14として、有機系断熱材14の本体を第1部分と呼ぶ。断熱材本体の第1側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第2部分及び第3部分と呼ぶ。第2側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第4部分及び第5部分と呼ぶ。ここで、第1側端面において、補強鋼板18Aと接する無機繊維系不燃材料14Aを第2部分と呼び、補強鋼板18Aと接しない無機繊維系不燃材料14Aを第3部分と呼ぶ。第2側端面において、補強鋼板18Aと接する無機繊維系不燃材料14Aを第4部分と呼び、補強鋼板18Aと接しない無機繊維系不燃材料14Aを第5部分と呼ぶ。
【0216】
次に、図33を参照して第10実施形態の断熱パネルの接合構造10Fについて説明する。
【0217】
断熱パネル12Fの厚さ方向において不燃ボード24の両側で、重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18A、18Bと、それらに対向する化粧鋼板16の本体板部1602との間に有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Aが配置される。この場合、ビス26は、無機繊維系不燃材料14Aに挿通される。
【0218】
第10実施形態の断熱パネルの接合構造10Fによれば、第5実施形態の効果に加え次の効果が奏される。第10実施形態の断熱パネルの接合構造10Fによれば、向かい合う断熱パネル12Fの幅W方向の端部の断熱材本体14は、有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Aで構成されているので、火災時の熱は、本体板部1602から内部側面板部1606に伝わりにくく、化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止する上で有利となる。
【0219】
この場合、図35に示すように、断熱パネル12Fの幅W方向に間隔(例えば、250mm~500mm)をおいた1箇所、あるいは複数箇所に断熱パネル12Fの厚さT方向に沿って延在し有機系断熱材14Kを断熱パネル12Fの幅W方向において切り離す所定の幅の無機繊維系不燃材料14Bを配置すると、断熱材本体14の延焼を阻止することができる。言い換えると、断熱パネル12Fの一般部1204の延焼を阻止する上で有利となる。この場合、所定の間隔で配置される無機繊維系不燃材料14Bの幅は、例えば、25mm~35mmであり、本実施の形態では30mmとしている。
【0220】
なお、この第10実施形態は、第5実施形態に加え、第6実施形態から第9実施形態に適用可能である。また、第10実施形態の断熱パネル12Fを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Fを簡単に確実に設置する上で有利となる。
【0221】
(第11実施形態)
次に、図36図37を参照して第11実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gについて説明する。
【0222】
まず、図37を参照して第11実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gに用いる断熱パネル12Gについて説明する。
【0223】
第11実施形態に係る断熱パネル12Gは、一対の化粧鋼板16、一対の化粧鋼板16のうちの一方の化粧鋼板16の内部側面板部1606に重ね合わされる補強鋼板18Aの構造については、図24に示す第5実施形態の構造と同様である。補強鋼板18Aが設けられた側の断熱パネル12Gの厚さ方向の端部の断熱材本体14の箇所に、断熱材本体14の幅方向および高さ方向の全長にわたって有機系断熱材14Kに代えて所定の厚さの無機繊維系不燃材料14Cが設けられている。
【0224】
また、凹部20が設けられた箇所では、重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18Aと、無機繊維系不燃材料14Cとの間に、有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Dが配置されている。なお、無機繊維系不燃材料14Dは設けなくともよく、無機繊維系不燃材料14Dに代えて有機系断熱材14Kを充填してもよい。
【0225】
次に、図36を参照して第11実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gについて説明する。
【0226】
第11実施形態では、ビス26の先端が離れている化粧鋼板16の本体板部1602が屋内あるいは室内に向くように複数の断熱パネル12Gが幅W方向に並べられて配置されている。ビス26の先端が離れている化粧鋼板16の本体板部1602の内面に、言い換えると、屋内あるいは室内側に位置する本体板部1602の内面に、無機繊維系不燃材料14Cが有機系断熱材14Kに代えて配置されている。また、重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18Aと、無機繊維系不燃材料14Cとの間に有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Dが配置されている。
【0227】
図37において、断熱材本体として、有機系断熱材14Kの本体を第1部分と呼ぶ。断熱材本体の第1側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第2部分及び第3部分と呼ぶ。第2側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第4部分及び第5部分と呼ぶ。ここで、第1側端面において、無機繊維系不燃材料14Dを第2部分と呼び、有機系断熱材Kの第1部分から突出した部分を第3部分と呼ぶ。第2側端面において、無機繊維系不燃材料14Dを第4部分と呼び、有機系断熱材Kの第1部分から突出した部分を第5部分と呼ぶ。また、第1部分、第2部分、及び第4部分と接する無機繊維系不燃材料14Cを第6部分と呼ぶ。
【0228】
第11実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gによれば、第5実施形態の効果に加え次の効果が奏される。第11実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gによれば、断熱パネル12Gの屋内あるいは室内側の断熱材本体14の箇所は、有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Cで構成されている。そのため、火災時の熱は、本体板部1602から内部側面板部1606に伝わりにくく、断熱パネル12Gの一般部1204の延焼を阻止することができる。また、化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0229】
また、ビス26の先端が離れている化粧鋼板16の本体板部1602の内面に無機繊維系不燃材料14C、14Dが有機系断熱材14Kに代えて配置されているので、断熱パネル12Gの一般部1204の延焼を阻止することができる。この場合も、図35に示すように、無機繊維系不燃材料14Bを、断熱パネル12Gの幅W方向に間隔をおいた1箇所、あるいは複数箇所に配置すると、断熱材本体14の延焼を阻止することができる。なお、この第11実施形態は、第5実施形態に加え、第6実施形態から第9実施形態に適用可能である。また、第11実施形態の断熱パネル12Gを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Gを簡単に確実に設置する上で有利となる。
【0230】
(第12実施形態)
次に、図38図39を参照して第12実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Hについて説明する。
【0231】
まず、図39を参照して第12実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Hに用いる断熱パネル12Hについて説明する。
【0232】
第12実施形態に係る断熱パネル12Hは、第11実施形態に係る断熱パネル12Gの変形例であり、断熱パネル12Gの厚さT方向の両端の断熱材本体14の箇所に、断熱材本体14の幅方向および高さ方向の全長にわたって有機系断熱材14Kに代えて所定の厚さの無機繊維系不燃材料14Cが設けられている。また、凹部20が設けられた箇所では、重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18Aと、無機繊維系不燃材料14Cとの間に、有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Dが配置されている。なお、無機繊維系不燃材料14Dは設けなくともよく、無機繊維系不燃材料14Dに代えて有機系断熱材14Kを充填してもよい。
【0233】
図39において、断熱材本体として、有機系断熱材14Kの本体を第1部分と呼ぶ。断熱材本体の第1側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第2部分及び第3部分と呼ぶ。第2側端面において、凹部を形成するように第1部分から突出する部分を第4部分及び第5部分と呼ぶ。ここで、第1側端面において、補強鋼板18Aと接する無機繊維系不燃材料14Dを第2部分と呼び、補強鋼板18Aと接しない無機繊維系不燃材料14Dを第3部分と呼ぶ。第2側端面において、補強鋼板18Aと接する無機繊維系不燃材料14Dを第4部分と呼び、補強鋼板18Aと接しない無機繊維系不燃材料14Dを第5部分と呼ぶ。また、第1部分、第2部分、及び第4部分と接する無機繊維系不燃材料14Cを第6部分と呼び、第1部分、第3部分、及び第5部分と接する無機繊維系不燃材料14Dを第7部分と呼ぶ。
【0234】
次に、図38を参照して第12実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Hについて説明する。
【0235】
第12実施形態でも、ビス26の先端が離れている化粧鋼板16の本体板部1602が屋内あるいは室内に向くように複数の断熱パネル12Hが幅W方向に並べられて配置されている。断熱パネル12Gの厚さT方向の両端の本体板部1602の内面に、無機繊維系不燃材料14Cが有機系断熱材14Kに代えて配置されている。また、重ね合わされた内部側面板部1606および補強鋼板18Aと、無機繊維系不燃材料14Cとの間に有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Dが配置されている。
【0236】
第12実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Hによれば、第11実施形態の効果に加え次の効果が奏される。第12実施形態に係る断熱パネルの接合構造10Gによれば、断熱パネル12Hの厚さT方向の両端の断熱材本体14の箇所において有機系断熱材14Kに代えて無機繊維系不燃材料14Cが配置されている。これにより、屋外側あるいは室外側、また、屋内側あるは室内側の何れの箇所で火災が生じた場合でも、火災時の熱は、本体板部1602から内部側面板部1606に伝わりにくく、断熱パネル12Gの一般部1204の延焼を阻止することができる。また、化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止することができる。
【0237】
また、凹部20の両側には、無機繊維系不燃材料14C、14Dが有機系断熱材14Kに代えて配置されているので、化粧鋼板16の内部側面板部1606を含む幅方向の端部の開きや変形を阻止する上で有利となる。この場合も、図35に示すように、無機繊維系不燃材料14Bを、断熱パネル12Gの幅W方向に間隔をおいた1箇所、あるいは複数箇所に配置すると、断熱材本体14の延焼を阻止する上でより有利となる。また、第12実施形態に係る断熱パネル12Hを用いれば、上記の効果を奏する断熱パネルの接合構造10Hを簡単に確実に設置する上で有利となる。
【0238】
この第12実施形態は、第5実施形態に加え、第6実施形態から第9実施形態に適用可能である。なお、第12実施形態では、無機繊維系不燃材料14C、14Dについて、断熱パネル12Aが室外あるいは屋外に位置する箇所と、室内あるいは屋内に位置する箇所とで異なる材料を用いるなど任意である。
【0239】
以上説明した本発明の一実施形態に係る断熱パネル12A~12Hにおいて、補強鋼板18B及び不燃ボード24が設けられていない例を図示しているが、本発明はこれに限定されない。断熱パネル100、100A~100Lと同様に、断熱パネル12A~12Hの接合部1202において、補強鋼板18B及び不燃ボード24が複数の連結具26によって機械的に固定された構成であってもよい。このような構成を有することで、施工現場では、断熱パネル12Aの凹部22に、隣接する断熱パネル12Aが有する補強鋼板18B及び不燃ボード24を嵌合させる。その後、断熱パネル12Aの接合部1202において、補強鋼板18B及び不燃ボード24を連結具26によって機械的に固定して、隣接する2つの断熱パネル12Aの間隙をシール材110a、110bを充填するだけでよい。予め、断熱パネル12A~12Hの凹部22に、補強鋼板18B及び不燃ボード24が嵌め込み連結具26で固定されることにより、施工現場において、断熱パネル12A~12Hの施工時間を短縮することができる。なお、断熱パネル12A~12Hにおいて、凹部22において少なくとも不燃ボード24が嵌め込まれていればよく、補強鋼板18Bが嵌め込まれていなくてもよい。
【0240】
また、断熱パネル12A~12Hの接合構造において、一つの不燃ボード24が設けられる例について図示しているが、本発明はこれに限定されない。図11A及び図11Bと同様に、断熱パネルの接合構造において、2つに分割された不燃ボード24を用いてもよい。または、図15A及び図15Bと同様に、断熱パネルの接合構造において、3つに分割された不燃ボード24を用いてもよい。以上説明した通り、本発明の一実施形態に係る断熱パネル12A~12Hは、様々な形態で接合することができる。
【0241】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の断熱パネルを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0242】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0243】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載することもできる。なお、以下に示す付記は一例であって、本発明は以下の付記によって限定して解釈されるものではない。
【0244】
[付記1]
第1面及び前記第1面と反対側に第2面を有し、前記第1面と連続した第1側面よりも幅方向に突出した第1突出部及び前記第1面と連続した第2側面よりも幅方向に突出した第2突出部を含む断熱材本体と、前記断熱材本体の前記第1側面に、前記断熱材本体の厚さ方向に前記第1突出部と離間して設けられた第1無機系不燃材料と、前記断熱材本体の前記第2側面に、前記断熱材本体の厚さ方向に前記第2突出部と離間して設けられた第2無機系不燃材料と、前記断熱材本体の前記第1面に接する第3無機系不燃材料と、前記第1無機系不燃材料、前記第2無機系不燃材料、及び前記第3無機系不燃材料に接する第1金属板と、前記断熱材本体の前記第2面、前記第1突出部、及び前記第2突出部に接する第2金属板と、前記第1突出部と前記第1金属板との間に設けられた第1不燃ボードと、を有し、前記第1不燃ボード及び前記第1金属板は、前記第1突出部に設けられた第1貫通孔において、第1連結具によって固定される、断熱パネル。
【0245】
[付記2]
前記第2金属板と前記第1不燃ボードとの間に設けられた第1補強鋼板をさらに有する、付記1に記載の断熱パネル。
【0246】
[付記3]
前記第1金属板と前記第1無機系不燃材料との間に設けられた第2補強鋼板をさらに有する、付記1又は2に記載の断熱パネル。
【0247】
[付記4]
前記第2突出部と前記第1金属板との間に設けられた、前記第2突出部の幅よりも短い幅の第2不燃ボードをさらに有し、前記第1不燃ボードは、前記第1突出部の幅よりも長い幅を有し、前記第2不燃ボード及び前記第1金属板は、前記第2突出部に設けられた第2貫通孔において、第2連結具によって固定される、付記1乃至3のいずれか一項に記載の断熱パネル。
【0248】
[付記5]
前記第1金属板と前記第2無機系不燃材料との間に設けられた第3補強鋼板をさらに有する、付記4に記載の断熱パネル。
【0249】
[付記6]
前記第2不燃ボードと前記第2突出部との間に設けられた第4補強鋼板をさらに有する、付記5に記載の断熱パネル。
【0250】
[付記7]
第1面及び前記第1面と反対側に第2面を有し、前記第1面と連続した第1側面よりも幅方向に突出した第1突出部及び前記第1面と連続した第2側面よりも幅方向に突出した第2突出部を含む断熱材本体と、前記断熱材本体の前記第1側面に、前記第1突出部と離間して設けられた第1無機系不燃材料と、前記断熱材本体の前記第2側面に、前記断熱材本体の厚さ方向に前記第2突出部と離間して設けられた第2無機系不燃材料と、前記断熱材本体の前記第1面に接する第3無機系不燃材料と、前記第1無機系不燃材料、前記第2無機系不燃材料、及び前記第3無機系不燃材料に接する第1金属板と、前記断熱材本体の前記第2面、前記第1突出部、及び前記第2突出部に接する第2金属板と、前記第1突出部と、前記第1金属板との間に設けられ、前記第1突出部の幅よりも短い幅の第1不燃ボードと、を有し、前記第1不燃ボード及び前記第1金属板は、前記第2突出部に設けられた第1貫通孔において、第1連結具によって固定される、断熱パネル。
【0251】
[付記8]
前記第1不燃ボードと前記第1突出部との間に設けられた第1補強鋼板と、をさらに有し、前記第2突出部と、前記第1金属板との間に設けられ、前記第2突出部の幅よりも短い幅の第2不燃ボードと、前記第2不燃ボードと前記第2突出部との間に設けられた第2補強鋼板と、をさらに有し、前記第2補強鋼板、前記第2不燃ボード、及び前記第2無機系不燃材料は、前記第2突出部に設けられた第2貫通孔において、第2連結具によって固定される、付記7に記載の断熱パネル。
【0252】
[付記9]
付記1乃至3のいずれか一項に記載の断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードを、他方の断熱パネルの前記第2突出部と前記第1金属板との間に嵌合させて、一方の前記断熱パネルの前記第1不燃ボードと、他方の前記断熱パネルの前記第1金属板及び前記第2金属板を、他方の前記断熱パネルの前記第2突出部に設けられた第2貫通孔において、第2連結具によって固定する、断熱パネルの施工方法。
【0253】
[付記10]
付記8に記載の断熱パネルを、複数並べて接合する断熱パネルの施工方法であって、隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1突出部と第1金属板との間、及び他方の断熱パネルの前記第2突出部と第1金属板との間に、第3補強鋼板及び第3不燃ボードを挟む、断熱パネルの施工方法。
【0254】
[付記11]
隣接する前記断熱パネルの間隙に、シール材を充填する、付記9又は10に記載の断熱パネルの施工方法。
【0255】
[付記12]
付記4に記載の断熱パネルを前記幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードは、他方の断熱パネルの前記第2突出部と前記第1金属板との間で前記第2不燃ボードと接する、断熱パネルの接合構造。
【0256】
[付記13]
前記他方の断熱パネルの前記第2不燃ボードと前記第2突出部との間に設けられた第3補強鋼板と、をさらに有する、付記12に記載の断熱パネルの接合構造。
【0257】
[付記14]
付記8に記載の断熱パネルを前記幅方向に複数並べて接合された断熱パネルの接合構造であって、第3不燃ボードが隣接する前記断熱パネルにわたって設けられ、隣接する前記断熱パネルのうち、一方の断熱パネルの前記第1不燃ボードは、前記第1突出部と前記第1金属板との間で前記第3不燃ボードと接し、他方の断熱パネルの前記第2不燃ボードは、前記第2突出部と前記第1金属板との間で前記第3不燃ボードと接する、断熱パネルの接合構造。
【0258】
[付記15]
有機系断熱材を含む断熱材本体と、前記断熱材本体の両面を覆う一対の化粧鋼板とを備え、厚さと、厚さよりも大きい寸法の幅および高さを有する断熱パネルを前記幅方向に並べて前記幅方向の端部を向い合せて接合する断熱パネルの接合構造であって、前記一対の化粧鋼板は、前記断熱パネルの厚さ方向において前記断熱材本体を覆う本体板部と、前記断熱パネルの幅方向の端部において前記本体板部から折り返されて互いに対向する内部側面板部とを備え、前記向かい合わされた前記断熱パネルの双方の幅方向の端部において、前記一対の化粧鋼板の内部側面板部は、前記化粧鋼板よりも厚さの大きい補強鋼板にそれぞれ重ね合わされ、無機系材料から形成される不燃ボードは、前記向かい合わされた前記断熱パネルの前記内部側面板部間にわたって設けられており、前記不燃ボードは、前記断熱材本体と連結具により連結され、前記断熱パネルの前記幅方向の間には、シール材が充填されている、ことを特徴とする断熱パネルの接合構造。
【0259】
[付記16]
前記向かい合わされた前記断熱パネルの双方の幅方向の端部において、前記補強鋼板に重ね合わされた前記内部側面板部どうしは前記不燃ボードを介在させた状態で前記連結具により連結されている、ことを特徴とする付記15に記載の断熱パネルの接合構造。
【0260】
[付記17]
前記不燃ボードは、前記化粧鋼板を構成する鋼材に比べて熱伝導率が低く硬質で不燃性を有する材料から形成されている、ことを特徴とする付記15または16に記載の断熱パネルの接合構造。
【0261】
[付記18]
前記内部側面板部と前記補強鋼板は前記断熱パネルの幅方向に沿った幅を有し、前記断熱パネルの厚さ方向において前記不燃ボードの少なくとも一側に位置する前記補強鋼板の幅は前記内部側面板部の幅とほぼ等しく前記内部側面板部に接合されている、ことを特徴とする付記15~17の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0262】
[付記19]
前記内部側面板部と前記補強鋼板と前記不燃ボードは前記断熱パネルの幅方向に沿った幅を有し、前記断熱パネルの厚さ方向において前記不燃ボードの少なくとも一側に位置する前記補強鋼板の幅は向かい合わされた断熱パネルの幅方向の端部の前記内部側面板部にわたって延在する寸法で形成され前記不燃ボードに接合されている、ことを特徴とする付記15~17の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0263】
[付記20]
前記内部側面板部と前記補強鋼板と前記不燃ボードは前記断熱パネルの幅方向に沿った幅を有し、前記断熱パネルの厚さ方向において前記不燃ボードの前記連結具が挿通される側とは反対側に前記内面側面板部を介して位置する前記補強鋼板の幅は、前記内部側面板部の幅とほぼ等しく、前記断熱パネルの厚さ方向において前記不燃ボードの前記連結具が挿通される側に位置する前記補強鋼板の幅は向かい合わされた断熱パネルの幅方向の端部の前記内部側面板部にわたって延在する寸法で形成されている、ことを特徴とする付記15~17の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0264】
[付記21]
前記断熱パネルの前記厚さ方向において少なくとも前記不燃ボードの一方側で、前記重ね合わされた前記内部側面板部および前記補強鋼板と、それらに対向する前記化粧鋼板の前記本体板部との間に無機繊維系不燃材料が配置されている、ことを特徴とする付記15~20の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0265】
[付記23]
前記連結具の先端は、前記連結具が挿通される側と反対に位置する前記化粧鋼板の前記本体板部から、前記断熱パネルの厚さ方向において離れた箇所に位置している、ことを特徴とする付記15~21の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0266】
[付記24]
前記不燃ボードは水分を含んで構成されている、ことを特徴とする付記15~22の何れか一つに記載の断熱パネルの接合構造。
【0267】
[付記25]
有機系断熱材を含み、厚さと、厚さよりも大きい寸法の幅および高さを有する矩形板状の断熱材本体と、前記断熱材本体の前記厚さ方向の両面を覆う一対の化粧鋼板とを備える断熱パネルであって、前記断熱材本体の前記幅方向の両端部に、前記幅方向の外側に開放された凹部を有し、前記凹部は、前記高さ方向の全長にわたって設けられ、前記幅方向の中央に向かって所定の寸法で窪み、互いに対向する内部側面を有し、前記一対の化粧鋼板はそれぞれ、前記断熱材本体の厚さ方向の端部を覆う本体板部と、前記本体板部に接続され前記厚さ方向において前記凹部の側方に位置する前記断熱材本体の端面を覆う端面板部と、前記端面板部に接続され前記内部側面を覆う内部側面板部とを備え、前記一対の化粧鋼板の少なくとも一方の化粧鋼板の前記内部側面板部に、前記化粧鋼板よりも大きい厚さを有し前記内部側面板部の高さ方向の全長にわたって延在する補強鋼板が重ね合わされている、ことを特徴とする断熱パネル。
【0268】
[付記26]
前記補強鋼板は、前記一対の化粧鋼板の前記内部側面板部に、それぞれ重ね合わされ、一方の前記補強鋼板は、前記本体板部に対向する前記内部側面板部の面に接合され、他方の前記補強鋼板は、前記内部側面板部の前記断熱材本体と接合する面と反対側の面に接合されている、ことを特徴とする付記25に記載の断熱パネル。
【0269】
[付記27]
前記断熱材本体の幅方向に沿った前記凹部の全長部分で前記断熱材本体の厚さ方向において、無機繊維系不燃材料が配置されている、ことを特徴とする付記25または26に記載の断熱パネル。
【0270】
[付記28]
前記断熱材本体の幅方向に間隔をおいた箇所に、前記断熱材本体の幅方向に沿った所定の幅で前記断熱材本体の厚さ方向の全長にわたり前記無機繊維系不燃材料が配置されている、ことを特徴とする付記25~27の何れか一つに記載の断熱パネル。
【0271】
[付記29]
前記断熱材本体の厚さ方向の両端のうち少なくとも一方の端部に、断熱材本体の厚さ方向に沿った所定の厚さで前記断熱材本体の幅方向の全長にわたって前記無機繊維系不燃材料が設けられている、ことを特徴とする付記25~28の何れか一つに記載の断熱パネル。
【符号の説明】
【0272】
10A~10H:接合構造、12A~12H:断熱パネル、14:断熱材本体、14A~14D:無機繊維系不燃材料、14K:有機系断熱材、16:化粧鋼板、18A、18B:補強鋼板、20:凹部、24:不燃ボード、26:ビス、28:ワッシャ、30:シール材、100、100A~100L:断熱パネル、102a:一般部、102b、102c:接合部、104a、104b:凹部、110a、110b:シール材、111:無機系不燃材料、112:断熱材本体、112a:第1面、112b:第2面、112c、112d:側面、112e:突出部、112f:突出部、113~118:無機系不燃材料、122:金属板、122a:本体板部、122b:端面板部、122c:内部側面板部、122d:端面板部、122e:内部側面板部、124:金属板、124a:本体板部、124b:端面板部、124c:内部側面板部、124d:端面板部、124e:内部側面板部、125e:内部側面板部、131~138:補強鋼板、136A、136D、136G:補強鋼板、138C、138D:補強鋼板、142、142G:不燃ボード、144:不燃ボード、146:不燃ボード、151:連結具、152:貫通孔、153:連結具、154:貫通孔、156:連結具、158:連結具、162:キャップ、164:キャップ、172:貫通孔、174:連結具、1000:断熱構造体、1202:接合部、1204:一般部、1402:端面、1602:本体板部、1604:端面板部、1606:内部側面板部、2002:内部側面、2004:底面
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39