(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】インプラント周囲炎を治療するための治療装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/02 20060101AFI20240909BHJP
A61C 19/06 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C19/06 Z
A61C17/02 G
(21)【出願番号】P 2021533594
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2020056049
(87)【国際公開番号】W WO2020182669
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】サッター、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】エベルハルト、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェルト、レオ
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022680(JP,A)
【文献】特表2007-533333(JP,A)
【文献】米国特許第04276880(US,A)
【文献】特開2018-047019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0267733(US,A1)
【文献】特開2008-302231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/02
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント周囲炎を治療するための治療装置(1)であって、
歯科インプラントのねじ固定具と周囲の歯肉及び/又は骨との間の歯肉縁下領域への挿入に適している塗布先端部(2)と、ここにおいて、前記治療に適した前記塗布先端部(2)の長さは、少なくとも、治療されるインプラント周囲ポケットの深さに対応している必要があり、8mm~20mmであり、前記塗布先端部(2)は、生体内で前記歯科インプラントの前記ねじ固定具の外面から細菌性バイオフィルムを除去するための加圧滅菌流体(4)を噴射するための1つ又は複数のノズル(3)を備える、
前記塗布先端部(2)を保持及び誘導するためのハンドピース(5)と
10~150バールの範囲で
放電を適用しない加圧滅菌流体(4)を前記塗布先端部(2)に供給するための供給ユニット(6)と
を備えることを特徴とする治療装置(1)。
【請求項2】
前記塗布先端部(2)が、前記インプラント周囲ポケットに容易かつ無傷で挿入するために先細になっていることを特徴とする、請求項1に記載の治療装置(1)。
【請求項3】
前記塗布先端部(2)が、直線状の形状、角度がついた形状、肘型の形状、アーチ型の形状、S字型の形状、又は前記形状のうちの1つ又は複数の組み合わせのいずれかを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の治療装置(1)。
【請求項4】
前記塗布先端部(2)が
、前記治療中に前記インプラント周囲ポケットに適合する形状に曲げられるのに適している屈曲可能な材料又は剛性材料のいずれかから作られていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項5】
前記塗布先端部(2)が、インプラント周囲ポケットへの挿入深度
を示すための1つ又は複数のマーキング(7)を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項6】
前記塗布先端部(2)が、滅菌又は廃棄のために着脱可能に取り付け可能であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項7】
1つ又は複数のノズル(3)が、前記塗布先端部(2)の遠位端に形成され、各ノズル(3)が、前記加圧滅菌流体を軸方向又は横方向に噴射するように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項8】
1つ又は複数のノズル(3)が各々、円形、楕円形、細長い形、矩形、又は実質的に平らな形のいずれかである広がり断面又は一定の断面のいずれかで前記加圧滅菌流体(4)を噴射するように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのノズル(3)が、前記加圧滅菌流体(4)を、前記塗布先端部(2)の軸方向に対して垂直な実質的に水平な平面内で横方向に噴射するように構成されており、更に、実質的に矩形状の広がり断面で前記加圧滅菌流体(4)を噴射するように構成されており、前記塗布先端部(2)の前記軸方向における前記ノズル(3)の高さが、40μm~200μmの範囲であり、前記ノズル(3)の幅が、前記ノズル(3)の高さよりも大きく、前記ノズル(3)が、周方向に10度~180度の範囲の開口角度を有し、前記ノズル(3)が、前記周方向の前記開口角度よりも小さい前記軸方向の開口角度を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の治療装置(1)。
【請求項10】
前記供給ユニットが、
前記加圧滅菌流体(4)を貯蔵するのに適したタンクと、
前記加圧滅菌流体を前記塗布先端部(2)に導くためのホース(8)と、
前記タンクと前記ホース(8)との間に接続され、前記加圧滅菌流体(4)を加圧して前記ホース(8)に供給するように構成された加圧手段と
を備えること特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項11】
前記ハンドピース(5)が、
前記加圧滅菌流体(4)を導くための導管と、
前記導管を前記ホース(8)と接続するための入口接続手段(9)と
前記導管を前記塗布先端部(2)と接続するための出口接続手段(10)と
を備えること特徴とする、請求項10に記載の治療装置(1)。
【請求項12】
前記塗布先端部(2)を前記ホース(8)と直接接続するための直接接続手段を更に備え、前記ハンドピース(5)が前記ホース(8)を収容するためのダクトを有することを特徴とする、請求項10に記載の治療装置(1)。
【請求項13】
前記ハンドピース(5)が、前記塗布先端部(2)及び/又は前記ホース(8)と、一体型として、一体的に設けられていることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項14】
供給ユニット(6)が、携帯型のハンドピース(5)に部分的又は全体的に組み込まれることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
【請求項15】
前記加圧手段は
、圧力を調整し
、10~150ml/分の範囲で前記加圧滅菌流体(4)の流量を調整することができるように更に構成されていることを特徴とする、
請求項10乃至13のいずれか一項、又は請求項10を引用する請求項14に記載の治療装置(1)。
【請求項16】
前記加圧滅菌流体(4)が、洗浄効果/リンス効果を有するために、
-滅菌水(H
2O)、
-約3%の過酸化水素(H
2O
2)を含む滅菌水(H
2O)、
-生理食塩水(NaCl)、
-リンゲル溶液、
-クロルヘキシジン(CHX)溶液、又は
-前記洗浄効果を促進するための粒子を更に含む前記溶液のうちの1つ
のうちのいずれか1つを備えることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の
治療装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント周囲炎の治療に関する。より詳細には、本発明は、インプラント周囲炎の治療のための治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インプラント周囲炎とは、歯科インプラントの周囲の軟組織及び硬組織の炎症性疾患である。この疾患は、細菌性バイオフィルムによって引き起こされ、歯科インプラントの周囲の骨を連続的に減少させ、極端な場合には歯科インプラントの喪失につながる。
【0003】
インプラント周囲炎の治療のために、今日では様々な方法が使用されている。しかしながら、これらは欠点を伴う。中等度及び重度のインプラント周囲炎では、非外科的治療は不成功に終わり、外科的方法でも、わずかな骨の増加にしかならない(Mahatoら,2015)。外科的治療は、別名開放治療といい、滅菌器具及び媒体を使用する必要がある。例えば、歯科医は、バイオフィルムが露出したインプラントの表面を、キュレット、脱脂綿、超音波装置、回転式器具、チタンブラシ、パウダーブラスト装置、又は以前に利用できたレーザーのような機械器具を、単独で用いて治療するか、又はリンス溶液もしくは抗生物質の全身投与と組み合わせて治療しようとする。
【0004】
ダイヤモンドグラインダを用いたインプラント表面の除去、いわゆるインプラントプラスティは、一般に認められている治療方法のうちの1つである。インプラントプラスティは、チタン表面をきれいにするが、当然ながら、表面構造の不可逆変化ももたらす。加えて、結果として生じるチタン粒子は、完全に除去されないと免疫反応を引き起こし得る。
【0005】
今日、歯科インプラントをきれいにするためのブラシ、キュレット、及び超音波スケーラのような回転式及び機械器具は、通常、チタン、カーボン、又はプラスチックで構成されている。材料によっては、治療される歯科インプラント表面が、これらの器具の使用によって汚染され(Sahrmannら、2015年)、及び/又は損傷を受ける可能性があり、これにより、粒子が擦り傷から創傷に入り、場合によっては異物反応によって創傷治癒プロセスを妨げる(Albrektssonら、2014年)。
【0006】
現在の研究によれば、パウダーブラストは、他の機械的プロセスと比較して最高の洗浄を達成し、インプラント表面をある程度きれいにするが、露出した表面の最大40%、特にアンダーカットに到達することはできない(Sahrmannら、2015年)。一般に知られているパウダーブラストの有害な副作用は、気腫、すなわち組織への望ましくない空気の導入である。加えて、現在市販されているパウダーブラスト装置は、法的機関によって発行された厳格な衛生ガイドラインを満たしていないため、製造業者による外科的処置の認定を受けていない。
【0007】
要約すると、インプラント周囲炎治療のためのこれまでの全ての機械器具の欠点は、第一に、歯科インプラント表面全体に到達することができないことであり、第二に、汚染された表面が歯科インプラントに残される(Klingeら,2005)か、又は表面の元の機能特性が破壊されることである。従って、インプラントの周囲に新しく骨が形成されること、いわゆる再オステオインテグレーション(reosseointegration)は、好まれないか、又は防がれる。対照的に、新しいインプラントは、一般に、それらの確立された物理化学的特性並びにそれらのナノ構造及び微細構造により骨組織内で成長し、新しい骨が形成される(Zhaoら,2005年、Langら,2011年)。
【0008】
歯科では、現在使用されているレーザーシステムもまた、歯科インプラント表面へのアクセスにおいて利点を有し、適切な設定で動作されると、インプラント表面を損傷しない。しかしながら、ダイオードレーザーは、一方では、バイオフィルムを完全に除去することはできない。ダイオードレーザーを使用した場合、微生物の根絶と上部のバイオフィルム層の付着(encrustation)が起こり、これは下にある微生物を保護する(Nattoら,2015)。例えば、抗生物質を使用して全ての細菌を死滅させても、バイオフィルムの基盤は歯科インプラントの表面に残る。更に、結果によって生じる免疫反応は、一般にインプラントの再治癒を妨げる。他方で、Er:YAG又はEr,Cr:YSGGレーザーは、細菌を減少させることができるだけでなく、沈着物を除去することもできる(Aokiら,2015)。しかしながら、システムのコストは非常に高く、アプリケータは一般にサファイアで作られている。サファイアは、素材の加工の困難性によりアプリケータの形状を制限し、フィリグリー設計の場合には、潜在的に壊れやすいアプリケータをもたらす。
【0009】
医療技術の様々な分野において、組織の治療のための手持ち式器具を用いて流体が加圧及び使用される用途が一般に知られている。例として、外科用ウォータージェットディセクタ、マイクロウォータージェット創傷清拭デバイス、及び歯科用口内洗浄器が先行技術から知られており、以下に列挙される。
【0010】
欧州特許第1924305号明細書では、創傷を洗浄するためのウォータージェットを生成するように機能するデバイスが開示されている。このデバイスは、可撓性ラインを介して加圧液体容器に接続されたノズルを備えたハンドルを有する。本出願におけるノズルは、針状の構成を有する。この市販のデバイス、すなわちMedaxis社の「debrietm+」のユーザーマニュアルから、作動距離は、少なくとも3~20cmであると指定されている。更に、このデバイスでは、ウォータージェットと創傷表面との間の最適な作用角は、3~45度と指定されている。加えて、製造業者の仕様書によれば、このウォータージェットデバイスは、フィブリン、壊死、又はバイオフィルムなどの創傷被覆を除去するのに適している。洗浄媒体として、滅菌リンゲル溶液、NaCl、又はポリヘキサニド含有溶液が使用される。
【0011】
ウォータージェット手術では、組織の選択的切断のために高圧下で流体を使用するウォータージェットディセクタが一般的に使用される。独国特許出願公開第102008025233号明細書では、ウォータージェット形成手段によってウォータージェットをその拡張角度及び/又はその出口エネルギーに関して調整することができる外科用ウォータージェット器具が開示されている。これは、ウォータージェットを特定の組織に適合させるという目的を有する。更に、ウォータージェット形成手段は、ねじれ流を付加する渦巻き要素を含み得る。この外科用ウォータージェット器具の技術的な応用分野は、組織の選択的分離である。
【0012】
米国特許第8113832号明細書では、交換可能な先端部を有する手持ち式口腔洗浄器が開示されている。このデバイスは、歯肉縁上の歯を洗浄するためのものである。デブリタ(debritor)の均一な流量とは対照的に、非滅菌流体は、1670~1920パルス/分のパルス速度で送達される。この結果、最大約4.5バールの圧力で300~321ml/分の流量が得られる。最大パージ持続時間は、一体化された液体リザーバによって制限され、35秒と指定されている。交換可能な先端部は、円錐形の狭窄部を備えた断面を有しており、遠位端がクランク状に曲られている。
【0013】
要約すると、創傷デブリードマン、ウォータージェット手術、及び口腔洗浄のための上記先行技術から一般に知られているデバイスは、炎症を起こした歯科インプラントを洗浄することを意図するものでも、従って適切又は容易に適合可能でもない。創傷の治療のための少なくとも3cmの大きな作動距離を有する先行技術から知られているデブリードマンデバイスは、インプラント周囲炎を治療するという目的から大きく外れている。先行技術から知られているウォータージェットディセクタは、高圧下で滅菌流体を送達するように設計されている。インプラント周囲炎を治療するという目的とは対照的に、ウォータージェットディセクタは、バイオフィルムの除去を意図するものではなく、組織の選択的分離/切開に役立つものである。先行技術から知られている口腔洗浄器は、口腔での使用のために設計されているが、炎症を起こした歯科インプラントの洗浄は、病変組織と骨材料との両方に接触することを伴い得るため、ロベルト・コッホ研究所の衛生ガイドラインでは、無菌状態での使用が必要とされている。この要件は、先行技術に記載されているような口腔洗浄器では満たすことができない。加えて、低い流体圧力と、インプラント周囲ポケット内の歯肉縁下塗布に必要とされるフィリグリーエルゴノミクスを決して有さない先行技術に開示されている塗布先端部の実施形態とを考慮すると、細菌性バイオフィルムに関する十分な洗浄効果は期待できない。インプラント周囲炎の非外科的治療及び外科的治療のいずれにおいても、歯科インプラント本体の到達困難なエリアへのアクセス可能性が大きな問題である。これらのエリアは、骨の方を向いている歯科インプラントのねじ山の部分である。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、インプラント周囲炎の原因治療、すなわち全ての患部、特に歯科インプラントと歯冠と骨との間のエリアから細菌性バイオフィルムを除去し、同時に歯科インプラント表面の微細構造及びナノ構造を保存することを可能にする技術的解決策を提供することである。本発明の別の目的は、歯科インプラントの効果的な再治癒のための基礎が形成され得るように、歯科インプラントの表面を損傷することなく歯科インプラント本体の効果的な洗浄を提供することである。本発明の別の目的は、可能な限り理想的に穏やかな治療を提供することである。
【0015】
これらの目的は、請求項1に定義されている治療装置によって達成される。従属請求項の主題は、更なる発展形態を定義する。
【0016】
本発明の治療装置は、インプラント周囲炎を治療するのに適しており、歯科インプラントのねじ固定具と周囲の歯肉及び/又は骨との間の歯肉縁下領域への挿入に適している塗布先端部と、ここにおいて、塗布先端部の長さは、治療されるインプラント周囲ポケットの深さに少なくとも等しく、塗布先端部は、生体内で歯科インプラントのねじ固定具の外面から細菌性バイオフィルムを除去するための加圧滅菌流体を噴射するための1つ又は複数のノズルを備える、塗布先端部を保持及び誘導するためのハンドピースと、少なくとも10バールで加圧滅菌流体を塗布先端部に供給するための供給ユニットとを備える。
【0017】
本発明の主な有益な効果は、治療装置の特別に設計された塗布先端部により、ノズルから高圧下で噴射された滅菌流体を、開放治療又は閉鎖治療、すなわち、ねじ固定具の外面を含むインプラント本体全体の歯肉縁下洗浄のどちらにも使用することができることである。本発明の別の主な有益な効果は、観血手術を受ける必要性がなくなるため、治療の持続時間、治癒時間、又は回復期間、患者に対する疼痛及び他の有害な副作用、並びに治療の費用が最小限にされ得ることである。加えて、加圧滅菌流体を用いた洗浄は、歯科インプラント表面を損傷することも汚染することもない。
【0018】
歯科インプラントの機械的洗浄の従来のゴールドスタンダード、すなわちパウダーブラストと比較して、本発明の治療装置では、従来使用されていた3つの洗浄媒体、すなわちパウダー、空気、及び水を、滅菌流体という単一の洗浄媒体に減らすことができる。加えて、本発明では、加圧滅菌流体噴射の塗布が大幅に単純化されており、気腫の形成を防ぐことができる。本発明の治療装置は更に、塗布先端部のフィリグリー設計によって、歯肉縁下への容易な塗布と、全ての表面へのより良好なアクセス可能性とを可能にする。
【0019】
本発明によれば、塗布先端部は、歯肉縁下領域への挿入のために非常に薄く形成され、好ましくは1.5mm未満の外径、より好ましくは1.2mm未満の外径、更により好ましくは1.0mm未満の外径を有する。外径が1.2mmの場合、内径は、好ましくは0.6mm以下である。塗布先端部は、インプラント周囲ポケットに容易かつ無傷で挿入するために先細になっていてもよい。治療に適した塗布先端部の長さは、少なくとも、治療されるインプラント周囲ポケットの深さに対応している必要があり、好ましくは8~20mmである。塗布先端部は、直線状の形状、角度がついた形状、肘型の形状、又はアーチ型の形状のいずれかを有し得る。塗布先端部の様々な形状により、歯科医は、患者の口の個々の解剖学的環境において歯科インプラントに容易にアクセスすることができる。塗布先端部は、剛性材料から作られている。代替的に、塗布先端部全体又は少なくともその一部は、歯科医によって治療中に患者の個々のインプラント周囲ポケットに適合する形状に曲げられるのに適しており、適切なアクセスを可能にする屈曲可能な材料から作られてもよい。代替的に、塗布先端部全体が回転可能であり得る。塗布先端部には、インプラント周囲ポケットへの挿入深度を歯科医に示すための1つ又は複数のマーキングが設けられ得る。マーキングは、目盛りの形を有し得る。塗布先端部は、滅菌又は廃棄のためにハンドピースに着脱可能に取り付け可能であり得る。塗布先端部は、交換可能であり得るため、塗布先端部は、使い捨て製品又は再使用可能な製品として設計され得る。使い捨て塗布先端部は、1回だけ使用するためにハンドピースに無菌状態で取り付けられ得る。再使用可能な塗布先端部は、繰り返し使用することができるものであり、使用してから次に使用するまでの間にガイドラインに従って洗浄、消毒、及び/又は滅菌され得る。
【0020】
本発明によれば、塗布先端部の遠位端に形成された治療装置の1つ又は複数のノズルは、加圧滅菌流体を軸方向及び/又は横方向に噴射し得る。更に、1つ又は複数のノズルは、円形、楕円形、細長い形、矩形、特に実質的に平らな形のいずれかである一定の断面又は広がり/拡大断面のいずれかで加圧滅菌流体を噴射し得る。平らな形の噴射の生成は、インプラント周囲炎の治療に特に有利である。1つの平面における広がり/拡大は、一方で、表面全体にわたる集中的な洗浄効果を確保する。他方で、噴射が周囲組織に及ぼす影響は距離に依存するため、平らな形の噴射は、周囲組織への損傷のリスクを低減する。様々なビーム特性を有する軸方向及び横方向の噴射は、数ミリメートル、好ましくは2ミリメートル未満の非常に短い治療距離でも高い洗浄効果を可能にし、健康な組織を傷つけるリスクを更に低減し、依然として洗浄効果に有利なように高圧で機能することができる。
【0021】
本発明によれば、平らな噴射の平面は、塗布先端部に対して任意に位置決めされ得、横方向及び/又は軸方向に延在し得る。ノズルによって形成される平らな噴射は、好ましくは平面内で20度~90度の範囲、より好ましくは25度~45度の範囲、更により好ましくは30度~40度の範囲の開口角度を有する。平らな噴射は、好ましくは平面の法線において実質的に対称な20度未満の開口角度を形成する。平らな噴射の体積分率に関して、水量の50%超が、平面から好ましくは10度未満、より好ましくは5度未満の開口角度に集中している。ノズルの幅は、好ましくはノズルの高さよりも大きい。
【0022】
本発明によれば、横方向に出現する平らな形状の噴射を生成するためには、矩形状のノズル形状が適切であることが判明しており、これは、好ましくはその短辺が塗布先端部の軸方向に沿って実質的に水平に配置されている。このようなノズルの両側は、好ましくは内径の大きさ(amount)よりも離れていない。ノズルの高さは、好ましくは40μm~200μmの範囲である。ノズルの幅は、所与の圧力に対する所望の体積流量に従って決定され得る。
【0023】
本発明によれば、供給ユニットは、滅菌流体を貯蔵するためのタンクと、加圧滅菌流体を塗布先端部に導くためのホースと、滅菌流体を加圧してホースに供給するための、タンクとホースとの間に接続された加圧手段とを有する。供給ユニットは、ハンドピースに部分的又は全体的に組み込まれ得る。ホースは、塗布先端部に直接接続され、ハンドピースのダクト内に部分的に収容され得る。代替的に、ハンドピースは、加圧滅菌流体が導管を通して直接流れるように、塗布先端部とホースとを接続する導管を有し得る。治療装置において、ハンドピースは、塗布先端部及び/又はホースと、一体型として、一体化され得る。代替的に、ハンドピースには、別個の塗布先端部及び/又は別個のホースが設けられ得る。ハンドピースは、使い捨て製品又は再使用可能な製品として提供され得る。使い捨てハンドピースは、無菌状態で1回だけ使用される。再使用可能なハンドピースは、使用してから次に使用するまでの間にガイドラインに従って洗浄、消毒、及び/又は滅菌され得る。ホースは、軽量かつ可撓性であり、好ましくは5ミリメートル未満の外径及び3ミリメートル未満の内径、より好ましくは1ミリメートル未満の内径を有する。ホースは、単一材料の押出成形、又は2つ以上の材料の共押出成形によって製造され得る。ポリウレタン(PUR)のような適切な材料を使用することで、十分に高い圧縮強度及び座屈安定性が達成され得る。ホースは、クイックコネクタ、好ましくはルアーロックを、圧力手段又はハンドピースへの一端又は両端に有し得、無菌状態で1回だけ使用するための使い捨て製品、又は、使用してから次に使用するまでの間にガイドラインに従って洗浄、消毒、及び/又は滅菌され得る再使用可能な製品として提供され得る。加圧手段は、歯科医が加圧滅菌流体の圧力及び流量を調整することを可能にし得る。平均の流量は、好ましくは10~150ml/分、より好ましくは60~90ml/分であり、好ましくは10~150バールの範囲、より好ましくは50~100バールの範囲の調整可能な平均圧力と組み合わされる。洗浄効果は、滅菌流体の圧力及び適切なノズル形状の選択及び塗布先端部上のノズルの位置を調整することによって治療状況に適合させることができる。加圧手段は、滅菌流体が入っているタンクを直接又は媒介媒体を介して間接的に加圧し得る。代替的に、滅菌流体は、非加圧タンクから吸引されるか、又は重力の作用下で加圧手段に流れ得る。
【0024】
本発明によれば、治療装置は、滅菌水(H2O)、約3%の過酸化水素(H2O2)を含む滅菌水(H2O)、生理食塩水(NaCl)、リンゲル溶液、又はクロルヘキシジン(CHX)溶液のような様々な滅菌流体を用いて動作され得る。オプションで、これらの溶液は、洗浄効果を促進するための粒子を更に含み得る。
【0025】
治療装置は、1回だけ使用可能な装置又は再使用可能な装置として部分的に又は全体的に提供され得、それらの再使用可能な部品は、使用してから次に使用するまでの間にガイドラインに従って適切に洗浄、消毒、及び/又は滅菌され得、それらの1回だけ使用可能な部品は、滅菌されている新しい部品と交換される。治療装置は、ガイドラインに従って上述の滅菌流体のいずれか1つが少なくとも1つのタンクに予め充填された状態でエンドユーザに提供され得る。好ましくは、タンクは、消耗品として、1回だけ使用するために交換可能であり、別個に提供され、滅菌流体で予め充填されている。タンク容量は、1つ又は複数の治療に十分であり得る。
【0026】
以下の説明では、例示的な実施形態を使用することによって及び図面を参照することによって、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態による治療装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による治療装置の概略部分側面図であり、塗布先端部は、直線状の形状を有し、加圧滅菌流体を横方向に噴射するノズルを遠位端に有する。
【
図3】本発明の別の実施形態による治療装置の概略部分側面図であり、塗布先端部は、直線状の形状を有し、加圧流体を軸方向に噴射するノズルを遠位端に有する。
【
図4】本発明の別の実施形態による治療装置の概略部分側面図であり、塗布先端部は、角度がついた形状を有し、そしてハンドピースは、回転対称である。
【
図5】
図5a~
図5dは、本発明の代替的な実施形態による異なる形状を有する様々な塗布先端部の概略側面図である。
【
図6】
図6a~
図6iは、本発明の代替的な実施形態による異なるノズル構成を有する様々な塗布先端部の概略部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、例示的な実施形態の以下の説明において参照される。
1 治療装置
2 塗布先端部
3 ノズル
4 滅菌流体
5 ハンドピース
6 供給ユニット
7 マーキング
8 ホース
9 入口接続手段
10 出口接続手段
【0029】
図1は、インプラント周囲炎を治療するための実施形態による治療装置(1)を示す。治療装置(1)は、歯科インプラントのねじ固定具と周囲の歯肉及び/又は骨との間の歯肉縁下領域への挿入に適している塗布先端部(2)を有する。塗布先端部(2)は、歯肉縁下領域への挿入のために非常に薄く形成され、好ましくは1.5mm未満の外径、より好ましくは1.2mm未満の外径、更により好ましくは1.0mm未満の外径を有する。外径が1.2mmの場合、内径は、好ましくは0.6mm以下である。
【0030】
塗布先端部(2)の長さは、治療されるインプラント周囲ポケットの深さに少なくとも等しい。塗布先端部(2)の長さは、好ましくは8~20mmである。
図2及び
図3に示すように、塗布先端部(2)は、生体内で歯科インプラントのねじ固定具の外面から細菌性バイオフィルムを除去するための加圧滅菌流体(4)を噴射するための1つ又は複数のノズル(3)を有する。加圧滅菌流体(4)の流量は、好ましくは10~150ml/分、より好ましくは60~90ml/分であり、好ましくは10~150バールの範囲、より好ましくは50~100バールの範囲の平均圧力と組み合わされる。治療装置(1)は、塗布先端部(2)を保持及び誘導するためのハンドピース(5)を有する。
図4に示すように、ハンドピース(5)はまた、塗布先端部(2)の向きが容易に調整され得るように回転対称に設けられ得る。
図1に示すように、治療装置(1)は、少なくとも10バールで加圧滅菌流体(4)を塗布先端部(2)に供給するための供給ユニット(6)を有する。供給ユニット(6)は、タンクと、加圧手段と、ホース(8)とを有する。タンクは、滅菌流体(4)を貯蔵するのに適している。加圧手段は、タンクとホース(8)との間に接続され、滅菌流体(4)を加圧してホース(8)に供給するように構成されている。加圧手段は、歯科医が加圧滅菌流体(4)の圧力及び流量を調整することができるように、好ましくは上述の範囲でユーザが調整可能である。ホース(8)は、加圧滅菌流体を塗布先端部(2)に導く。インプラント周囲炎の治療のために、治療装置(1)は、滅菌流体(4)で動作される必要がある。以下の滅菌溶液は、洗浄効果/リンス効果を有し、治療装置(1)と共に使用され得る:滅菌水(H
2O)、約3%の過酸化水素(H
2O
2)を含む滅菌水(H
2O)、生理食塩水(NaCl)、リンゲル溶液、及びクロルヘキシジン(CHX)溶液。これらの滅菌溶液はまた、洗浄効果を促進するための粒子を含み得る。ハンドピース(5)は、加圧滅菌流体(4)をホース(8)から塗布先端部(2)に導くための導管を本体内部に有する。入口接続手段(9)は、導管をホース(8)と接続するために使用される。出口接続手段(10)は、導管を塗布先端部(2)と接続するために使用される。代替的な実施形態(図示せず)では、ホース(8)は、直接接続手段によって塗布先端部(2)に直接、すなわち導管なしで接続される。そして、塗布先端部(2)に近いホース(8)の端部は、ハンドピース(5)の本体内のダクト内に収容される。
【0031】
様々な実施形態によれば、
図5a~
図5dに示すように、塗布先端部(2)は、滅菌又は廃棄のために、出口接続手段(10)によってハンドピース(5)に着脱可能に取り付け可能である。
図5a~
図5dに示す様々な実施形態によれば、塗布先端部(2)は、代替的な形状を有し得る。
図5aに示す別の実施形態によれば、塗布先端部(2)は、直線状の形状を有する。
図5bに示す別の実施形態によれば、塗布先端部(2)は、角度がついた形状を有する。
図5cに示す別の実施形態によれば、塗布先端部(2)は、肘型の形状を有する。
図5dに示す別の実施形態によれば、塗布先端部(2)は、アーチ型の形状を有する。
図5aに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、インプラント周囲ポケットへの挿入深度を歯科医に示すための1つ又は複数のマーキング(7)を有する。
図5b~
図5dの塗布先端部(2)にもマーキング(7)が設けられ得る。
図5cに示されるように、塗布先端部(2)は、インプラント周囲ポケットに容易かつ無傷で挿入するために先細になっている。
図5a、
図5b、及び
図5dの塗布先端部(2)も、先細の形状で提供され得る。塗布先端部(2)は、剛性材料から、又は歯科医によって治療中にインプラント周囲ポケットに適合する形状に曲げられるのに適している屈曲可能な材料から作られている。屈曲可能な形状記憶合金が使用され得る。
【0032】
図2に示す実施形態によれば、治療装置(1)は、塗布先端部(2)の遠位端に形成され、加圧滅菌流体を横方向に噴射するように構成されたノズル(3)を有する。
【0033】
図3に示す代替的な実施形態によれば、治療装置(1)は、塗布先端部(2)の遠位端に形成され、加圧滅菌流体を軸方向に噴射するように構成されたノズル(3)を有する。
【0034】
図6a~
図6iに示す様々な代替的な実施形態によれば、ノズル(3)は各々、円形、楕円形、細長い形、矩形、又は平らな形のいずれかである広がり断面又は一定の断面のいずれかで加圧滅菌流体(4)を噴射するように構成されている。
【0035】
図6aに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、円形の一定の断面で加圧滅菌流体(4)を軸方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6bに示す別の実施形態によれば、塗布先端部(2)は、円形の一定の断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6cに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、細長い形及び広がり断面で加圧滅菌流体(4)を軸方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6dに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、水平方向に細長い広がり断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6eに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、垂直方向に細長い広がり断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6fに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、斜めに細長い広がり断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出するノズル(3)を有する。
図6gに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、好ましくはそれぞれ円形の一定の断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出する3つの垂直に配列されたノズル(3)を有する。
図6hに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、好ましくはそれぞれ円形の一定の断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出する3つの円周方向に配列されたノズル(3)を有する。
図6iに示す実施形態によれば、塗布先端部(2)は、斜めに楕円形の広がり断面で加圧滅菌流体(4)を横方向に吐出するノズル(3)を有する。
【0036】
図1に示す実施形態によれば、治療装置(1)は、複数の別個の部品を有する。ハンドピース(5)と塗布先端部(2)とホース(8)とは別個に設けられている。これらの部品は、1回だけの使用及び/又は再使用のために提供され得る。代替的に、ハンドピース(5)は、1回だけの使用又は再使用のための塗布先端部(2)及び/又はホース(8)と、一体型として、一体的に設けられていてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] インプラント周囲炎を治療するための治療装置(1)であって、
歯科インプラントのねじ固定具と周囲の歯肉及び/又は骨との間の歯肉縁下領域への挿入に適している塗布先端部(2)と、ここにおいて、前記塗布先端部(2)の長さは、治療されるインプラント周囲ポケットの深さに少なくとも等しく、前記塗布先端部(2)は、生体内で前記歯科インプラントの前記ねじ固定具の外面から細菌性バイオフィルムを除去するための加圧滅菌流体(4)を噴射するための1つ又は複数のノズル(3)を備える、
前記塗布先端部(2)を保持及び誘導するためのハンドピース(5)と
少なくとも10バールで加圧滅菌流体(4)を前記塗布先端部(2)に供給するための供給ユニット(6)と
を備えることを特徴とする治療装置(1)。
[2] 前記塗布先端部(2)が、前記インプラント周囲ポケットに容易かつ無傷で挿入するために先細になっていることを特徴とする、[1]に記載の治療装置(1)。
[3] 前記塗布先端部(2)が、直線状の形状、角度がついた形状、肘型の形状、アーチ型の形状、S字型の形状、又は前記形状のうちの1つ又は複数の組み合わせのいずれかを有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の治療装置(1)。
[4] 前記塗布先端部(2)が、歯科医によって前記治療中に前記インプラント周囲ポケットに適合する形状に曲げられるのに適している屈曲可能な材料又は剛性材料のいずれかから作られていることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[5] 前記塗布先端部(2)が、インプラント周囲ポケットへの挿入深度を歯科医に示すための1つ又は複数のマーキング(7)を備えることを特徴とする、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[6] 前記塗布先端部(2)が、滅菌又は廃棄のために着脱可能に取り付け可能であることを特徴とする、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[7] 1つ又は複数のノズル(3)が、前記塗布先端部(2)の遠位端に形成され、各ノズル(3)が、前記加圧滅菌流体を軸方向又は横方向に噴射するように構成されていることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[8] 1つ又は複数のノズル(3)が各々、円形、楕円形、細長い形、矩形、又は実質的に平らな形のいずれかである広がり断面又は一定の断面のいずれかで前記加圧滅菌流体(4)を噴射するように構成されていることを特徴とする、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[9] 少なくとも1つのノズル(3)が、前記加圧滅菌流体(4)を、前記塗布先端部(2)の軸方向に対して垂直な実質的に水平な平面内で横方向に噴射するように構成されており、更に、実質的に矩形状の広がり断面で前記加圧滅菌流体(4)を噴射するように構成されており、前記塗布先端部(2)の前記軸方向における前記ノズル(3)の高さが、40μm~200μmの範囲であり、前記ノズル(3)の幅が、前記ノズル(3)の高さよりも大きく、前記ノズル(3)が、周方向に10度~180度の範囲の開口角度を有し、前記ノズル(3)が、前記周方向の前記開口角度よりも小さい前記軸方向の開口角度を有することを特徴とする、[7]又は[8]に記載の治療装置(1)。
[10] 前記供給ユニットが、
前記加圧滅菌流体(4)を貯蔵するのに適したタンクと、
前記加圧滅菌流体を前記塗布先端部(2)に導くためのホース(8)と、
前記タンクと前記ホース(8)との間に接続され、前記加圧滅菌流体(4)を加圧して前記ホース(8)に供給するように構成された加圧手段と
を備えること特徴とする、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[11] 前記ハンドピース(5)が、
前記加圧滅菌流体(4)を導くための導管と、
前記導管を前記ホース(8)と接続するための入口接続手段(9)と
前記導管を前記塗布先端部(2)と接続するための出口接続手段(10)と
を備えること特徴とする、[10]に記載の治療装置(1)。
[12] 前記塗布先端部(2)を前記ホース(8)と直接接続するための直接接続手段を更に備え、前記ハンドピース(5)が前記ホース(8)を収容するためのダクトを有することを特徴とする、[10]に記載の治療装置(1)。
[13] 前記ハンドピース(5)が、前記塗布先端部(2)及び/又は前記ホース(8)と、一体型として、一体的に設けられていることを特徴とする、[10]乃至[12]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[14] 供給ユニット(6)が、携帯型のハンドピース(5)に部分的又は全体的に組み込まれることを特徴とする、[1]乃至[13]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[15] 前記加圧手段は、歯科医が、好ましくは10~150バールの範囲で圧力を調整し、好ましくは10~150ml/分の範囲で前記加圧滅菌流体(4)の流量を調整することができるように更に構成されていることを特徴とする、[10]乃至[14]のいずれか一項に記載の治療装置(1)。
[16] 前記加圧滅菌流体(4)が、洗浄効果/リンス効果を有するために、
-滅菌水(H
2
O)、
約3%の過酸化水素(H
2
O
2
)を含む滅菌水(H
2
O)、
-生理食塩水(NaCl)、
-リンゲル溶液、
クロルヘキシジン(CHX)溶液、又は
前記洗浄効果を促進するための粒子を更に含む前記溶液のうちの1つ
のうちのいずれか1つを備えることを特徴とする、[1]乃至[15]のいずれか一項に記載の治療装置(1)の使用。