(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】アフラトキシンバイオコントロール組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 63/34 20200101AFI20240909BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20240909BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240909BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240909BHJP
A23K 10/10 20160101ALI20240909BHJP
【FI】
A01N63/34
A01N25/00 102
A01P1/00
C12N1/20 A
A23K10/10
(21)【出願番号】P 2021558508
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020025767
(87)【国際公開番号】W WO2020205764
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521436968
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ デパートメント オブ アグリカルチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】メータ、プシュパク
(72)【発明者】
【氏名】マクランダー、マーク
(72)【発明者】
【氏名】コッティ、ピーター
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0327540(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0308249(US,A1)
【文献】米国特許第09011891(US,B2)
【文献】特開昭55-096092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aspergillusの非毒素産生性株と、栄養担体と、を含み、前記栄養担体が、コーン胚芽を少なくとも55重量%含む、農業用バイオコントロール組成物であって、
Aspergillusの前記非毒素産生性株が、前記コーン胚芽の表面上にコーティングされており、
農業用バイオコントロール組成物が、水分散性顆粒配合物中にある、農業用バイオコントロール組成物。
【請求項2】
前記組成物が、担体剤、Aspergillusの前記非毒素産生性株の生育性及び生長力を保存することを意図した薬剤、展着剤(spreading agent)(展着剤(spreader))、結合剤、浸透圧保護剤、接着剤(粘着剤)、安定剤、摩擦落ちを防止する薬剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される1つ以上の要素を更に含む、請求項1に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【請求項3】
前記組成物が
、ポリマーを含む種子結合剤を更に含む、請求項1又は2に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【請求項4】
前記組成
物が、Aspergillusの前記非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まな
い、請求項1~
3のいずれか一項に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【請求項5】
農業用バイオコントロール組成物を生成するための方法であって、
(1)コーン胚芽を少なくとも55重量%含む栄養担体を得ることと、
(2)前記栄養担体をAspergillusの非毒素産生性株と合わせ、前記栄養担体をAspergillusの前記非毒素産生性株でコーティングして、前記農業用バイオコントロール組成物を生成することと、を含み、
前記農業用バイオコントロール組成物が水分散性顆粒配合物中にある、方法。
【請求項6】
前記コーン胚芽が、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物として生産される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記コーン胚芽をふるい分
けする、請求項
5又は
6に記載の方法。
【請求項8】
前記栄養担体が、コーン胚芽から本質的になり、
前記方法が、
(1)コーンの湿式粉砕プロセスの副産物としてコーン胚芽を生産することと、
(2)ステップ(1)で生産された前記コーン胚芽をふるい分けして、破片を除去することと、
(3)前記ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて前記農業用バイオコントロール組成物を生成することと、を更に含む、請求項
5~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Aspergillusの前記非毒素産生性株が、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、又はこれらの混合物である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成
物。
【請求項10】
前記方法が、前記コーン胚芽をAspergillusの前記非毒素産生性株と合わせるか又はAspergillusの前記非毒素産生性株でコーティングする前に、前記コーン胚芽を失活させるステップ、焙煎によって滅菌するステップ、及び/又は冷却するステップを含まない、請求項
5~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記農業用バイオコントロール組成物が、Aspergillusの前記非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まな
い、請求項
5~
8及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
農業植物又は前記植物に由来する農業生産物におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法であって、アフラトキシン低減有効量の請求項1~
4、及び
9のいずれか一項に記載の農業用バイオコントロール組成物を前記植物、増殖の遺伝子座、又は植物生産物に適用することを含む、方法。
【請求項13】
栽培領域におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法であって、アフラトキシン低減有効量の請求項1~
4、及び
9のいずれか一項に記載の農業用バイオコントロール組成物を栽培領域に適用することを含む、方法。
【請求項14】
前記栄養担体が、コーン胚芽から本質的になる、請求項1~
4、及び
9のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記栽培領域が、デンプン製造工場付近にある、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種によって汚染された領域、又は汚染されるリスクのある領域における前記1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種の農業用バイオコントロールのコストを低減するための方法であって、アフラトキシン低減有効量の請求項1~
4、
9及び
14のいずれか一項に記載の農業用バイオコントロール組成物を前記領域に適用することを含む、方法。
【請求項17】
Aspergillusの非毒素産生性株の速い芽胞形成のための方法であって、
(1)非毒素産生性株の栄養担体として、前記栄養担体の少なくとも55重量%の量であるコーン胚芽を得ることと、
(2)前記コーン胚芽をAspergillusの前記非毒素産生性株と合わせ
、前記コーン胚芽をAspergillusの前記非毒素産生性株でコーティングして、農業用バイオコントロール組成物を生成することと、
(3
)Aspergillusの前記非毒素産生性株を芽胞形成させることと、を含み、
前記方法が、前記栄養担体としての同じ量のソルガム穀粒の使用と比較して、前記コーン胚芽1グラム当たり少なくとも2倍多く芽胞
を48時間以内に産生する、方法。
【請求項18】
Aspergillusの前記非毒素産生性株が、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、又はこれらの混合物である、請求項5~8、10及び11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦権に関する告知)
本出願は、2019年4月2日出願の米国特許仮出願第62/828,453号の優先権を主張するものであり、当該米国特許仮出願の全体は、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、米国農務省(United State Department of Agriculture、USDA)と連携して、契約番号FAIN 58-6054-8-008の下で作製されたものである。米国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、作物及び環境において、非毒素産生性Aspergillus遺伝子型を利用して、アフラトキシン産生Aspergillus遺伝子型を制御するための、コーン胚芽の使用を含む組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
植物病原体Aspergillus flavusによって産生されるアフラトキシンは、多くの穀物、マメ科植物、ナッツ、並びに他の栽培及び非栽培食品及び飼料、並びに環境を汚染し得る強力な発癌物質である。多くの先進国は、食品及び飼料におけるアフラトキシン濃度を制限する規制を厳格に実施している。天然に生じる多くのAspergillus flavus遺伝子型は、アフラトキシンを産生する能力を有さない。アフラトキシンを産生しないこれらの遺伝子型は、典型的には、「非毒素産生性」と称される。地域の非毒素産生性遺伝子型を使用して、作物、土壌、及び環境全体におけるアフラトキシン産生物と置き換え、それによりアフラトキシン産生物の頻度を低減することができる。実際に、作物におけるアフラトキシン汚染を制限するための最も効果的な方法は、そのような有益な非毒素産生性遺伝子型の使用を通じたものである。この種類のアフラトキシン対応は、米国、イタリア、ナイジェリア、及びケニアを含む多くの国で商業的に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最良の対応のためには、アフラトキシン産生真菌が急速に増加する前に、非毒素産生性遺伝子型を耕地で積極的に増殖させる必要がある。活性成分である有益な非毒素産生性真菌を農地に送達し、増殖を支援するために、これらの真菌は、穀類(小麦、ソルガム、大麦)などの栄養供給担体上にコーティングされている。適用後、環境条件がA.flavusの繁殖に好ましいと、有益な真菌は、栄養担体上で増殖及び繁殖する。この期間中に産生された芽胞は、アフラトキシン産生物と置き換わり競合することによって、作物に分散し、作物を保護する。急速な芽胞形成、並びに土壌、耕地内の有機資源、及び作物表面への広がりは、有害なアフラトキシン産生A.flavusを排除し置き換わる、非毒素産生性遺伝子型の最適な能力に不可欠である。最も効果的であるために、A.flavusコミュニティの優勢な構成要素となるように、非毒素産生性遺伝子型の頻度を増加させる必要がある。アフラトキシン産生株が、耕地の作物バイオマス及び他の有機資源で急速な増加を開始する前に非毒素産生性株が増殖及び芽胞産生することによって、優勢性は最も達成される。農地における有機資源の初期定着により、一種の創始者効果が推進される。したがって、より速い芽胞形成によって、有益な非毒素産生性株で土壌及び作物表面を被覆することによる効力が促進される。しかしながら、穀粒系バイオコントロール生成物は、確立及び芽胞形成に数日かかる場合がある。更に、芽胞が産生される前に、鳥類又は昆虫によって穀粒が摂食される場合がある。芽胞産生がより遅くより少ないと、全体的な生産有効性に影響を及ぼし得る。
【0006】
全粒からの製造は、生成物が穀粒に物理的に合致することを強制する。例えば、大きい穀粒は、大きい粒径を有する生成物を生じる。大きい粒径は、1グラム当たりより少ない粒子及び処理される耕地におけるより少ない真菌放出点を意味する。本発明は、流動性を向上させ、質量当たりの生成物の粒子数、したがって標的作物の被覆を最適化するために、処理された耕地に送達される重量当たりの粒子数を管理する融通性を最適化するために、経時的に一貫した生成物のサイズ及び粒径の意図的管理を可能にする胚芽精製及び粒径選別を含む。
【0007】
加えて、穀類(小麦、ソルガム、大麦)を用いるバイオコントロール配合物を生成することは、いくつかのステップを含む。有益な非毒素産生性芽胞懸濁液でコーティングする前に、穀粒を、購入し、施設に輸送し、貯蔵し、低温殺菌し、冷却する必要がある。これらのステップは、より多くの労働力、より広い製造空間、設備における大規模な資本投資、及びより多くのエネルギーを必要とし、これは、高い操業コストをもたらす。労働力、コスト、製造空間、及び/又はエネルギー消費を効果的に低減しながら、アフラトキシンバイオコントロールに有益な非毒素産生性株のより速くより多くの芽胞形成を可能にする、有益な新しいアフラトキシンバイオコントロール組成物が本明細書に開示される。
【0008】
栄養担体と、非毒素産生性株と、を含む農業用バイオコントロール組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、Aspergillusの非毒素産生性株を含む。他の実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽を含む。なお他の実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽である。いくつかの実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、いくつかの他のAspergillus種に属する株、異なる有益な微生物、又はこれらの混合物である。なお更に更なる実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、又はこれらの混合物である。なおまた更に更なる実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus flavus株である。また他の実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、担体剤、Aspergillusの非毒素産生性株の生育性及び生長力を保存することを意図した薬剤、展着剤(spreading agent)(展着剤(spreader))、結合剤、浸透圧保護剤、接着剤(粘着剤)、安定剤、摩擦落ちを防止する薬剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択されるものなどの、バイオコントロールの目的に好適な1つ以上の要素を更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、Aspergillusの非毒素産生性株がコーン胚芽に粘着するのを助ける種子結合剤を含む。更なる実施形態では、種子結合剤は、Aspergillusの非毒素産生性株を芽胞形成させる目的に適合性のあるポリマーなどのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、コーン胚芽の表面上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、ポリマーを使用することにより、コーン胚芽の表面上にコーティングされている。
【0010】
いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物として生産される。他の実施形態では、コーン胚芽は、湿式粉砕以外のプロセスを通じて生産される。いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、精白、焙煎、及び/又は蒸しを含まないプロセスによって生産される。いくつかの実施形態では、生産されたコーン胚芽は、ふるい分け及び/又は他の手段を用いてサイズ選別される。いくつかの実施形態では、特定のサイズの一組のふるいを使用して、より小さい片及びより大きい片を除去し、所望のサイズの胚芽粒子を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、当該コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせるか又はAspergillusの非毒素産生性株でコーティングする前に、コーン胚芽を失活、精白若しくは圧延、焙煎による滅菌、及び/又は冷却するステップを含まないプロセスによって生成される。いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、Aspergillusの非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物は、コーンの湿式粉砕プロセスにより生産されたコーン胚芽から本質的になる組成物と比較して、同等又はより少ない細菌を含む。
【0012】
また本明細書に開示されるのは、栄養担体と、非毒素産生性株と、を含む農業用バイオコントロール組成物を生成するための方法である。いくつかの実施形態は、Aspergillusの非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まない、農業用バイオコントロール組成物を生成するための方法を対象とする。なお他の実施形態は、コーンの湿式粉砕プロセスと比較して、同等又はより少ない細菌を導入する農業用バイオコントロール組成物を生成するための方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、コーン胚芽を得ることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、コーンの湿式粉砕プロセスからコーン胚芽を得ることを含む。他の実施形態では、方法は、コーンの湿式粉砕プロセス以外のプロセスからコーン胚芽を得ることを含む。更に更なる実施形態では、方法は、コーン胚芽の精白、焙煎、及び/又は蒸しを含まない。他の実施形態では、方法は、コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することを含む。なお他の実施形態では、方法は、コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株でコーティングすることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、当該コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせるか又はAspergillusの非毒素産生性株でコーティングするかのいずれかの前に、コーン胚芽を失活させるステップ、焙煎によって滅菌するステップ、及び/又は冷却するステップを含まない。また他の実施形態では、方法は、コーン胚芽をふるい分けして、コーンの湿式粉砕プロセス中に生産された破片を除去することを含む。更に更なる実施形態では、方法は、より大きい片及びゴミを除去するためにUS SieveサイズNo.5(5メッシュ)若しくはサイズNo.6(6メッシュ)、及び/又はUS SieveサイズNo.7(7メッシュ)又はNo.8(8メッシュ)により小さい片を通すことによってより小さい片を除去するために当該ふるいを用いてふるい分けすることを含む。いくつかの実施形態では、ふるいは、所望の農業用バイオコントロール組成物での使用に有益である、栄養担体の任意の所望の粒径範囲又は粒径を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、方法は、ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することを更に含む。他の実施形態では、方法は、ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株でコーティングして農業用バイオコントロール組成物を生成することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、農業用バイオコントロール組成物がAspergillusの非毒素産生性株の芽胞形成に好適な条件下で適用された後約48時間以内に、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、Aspergillusの非毒素産生性株の迅速な芽胞形成を支援する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、同じ条件下で芽胞形成開始後36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、又は168時間以内に、栄養担体として穀粒を使用する組成物及び方法よりも少なくとも2倍多い芽胞を提供する。
【0014】
また、本明細書に記載されるのは、農業植物又は植物に由来する農業生産物におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、アフラトキシン低減有効量の本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を、植物、増殖の遺伝子座、又は植物生産物に適用することを含む。
【0015】
本明細書で更に記載されるのは、栽培領域におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、アフラトキシン低減有効量の本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を、栽培領域に適用することを含む。
【0016】
更に本明細書に更に記載されるのは、1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種によって汚染された領域、又は汚染されるリスクのある領域における1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種の農業用バイオコントロールのコストを低減するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、アフラトキシン低減有効量の本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を栽培領域に適用することを含む。
【0017】
また、本明細書に記載されるのは、Aspergillusの非毒素産生性株の迅速な芽胞形成のための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、芽胞形成の栄養担体としてコーン胚芽を得ることと、コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて組成物を形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、好適な条件下で、Aspergillusの非毒素産生性株を芽胞形成させることを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、栄養担体としての同じ量のソルガム穀粒の使用と比較して、コーン胚芽1グラム当たり少なくとも2倍多く芽胞を約48時間以内に産生する。
【0018】
更に本明細書に開示されるのは、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物として生産されたコーン胚芽を利用して、栄養担体及び非毒素産生性株を含む農業用バイオコントロール組成物を生成する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、コーン胚芽をふるい分けして、コーンの湿式粉砕プロセス中に生産された破片を除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、31℃及び100%湿度で72時間後の胚芽(A)及びソルガム(B)上での、バイオロジカルコントロール生成物に使用した非毒素産生性Aspergillus flavus遺伝子型による増殖及び芽胞産生を示す。
【
図1B】
図1Bは、31℃及び100%湿度で72時間後の胚芽(A)及びソルガム(B)上での、バイオロジカルコントロール生成物に使用した非毒素産生性Aspergillus flavus遺伝子型による増殖及び芽胞産生を示す。
【
図2】
図2は、ソルガム及びコーン胚芽を使用した、比濁法濁度単位(Nephelometric Turbidity Unit、NTU)によって測定した芽胞収量の比較を示す。接種後0~168時間で測定を行った。
【
図3】
図3は、ソルガム及びコーン胚芽を使用して3つの複製でNTUによって測定した、平均芽胞収量を示す。活性成分の増殖及び放出に好ましい条件下で、バイオコントロール生成物を置いた後0~168時間に測定を行った。
【発明を実施するための形態】
【0020】
コーン胚芽は、また非毒素産生性株を含有し、アフラトキシンを制御するために使用される、農業用バイオコントロール組成物に使用するための優れた栄養担体として本明細書に開示され、他の栄養担体、例えば穀類を使用する多様な市販のバイオコントロール組成物よりも多くの芽胞を産生する。より効果的なアフラトキシン低減を提供する迅速な芽胞形成のための組成物及び方法もまた、本明細書に記載される。デンプン製造の連産物として生産され、(微粒子、果皮、及び異物、及び断片を除去して)流動性及び生産物の品質が更に改善されたコーン胚芽は、驚くべきことに、急速な芽胞産生及び放出を可能にし、非常に良好な栄養担体である。加えて、胚芽は、規制当局及び食品産業の両方が作物、環境、及び消費者に安全であると見なす、微生物学的プロファイルを有する。したがって、デンプン製造プロセス中に生産されるコーン胚芽を、選別後にバイオコントロール組成物の生成に使用して、望ましくない構成要素を除去し、粒子の均一性を改善し、流動性を増加させるために改善することができる。したがって、農業用バイオコントロール組成物の生成を容易にし、他の市販の農業用バイオコントロール組成物を生成するのに通常必要とされる失活、焙煎による滅菌、冷却ステップなどを排除する、改善された胚芽生産物を生産するためのプロセスが本明細書に記載される。これらのステップ(例えば、失活、焙煎、冷却など)は、通常、穀類(例えば、小麦、大麦、又はソルガム)で作製されたバイオコントロール生成物に関与するので、本明細書に記載の方法は、初期設備資本並びに操業コストを顕著に低減する。コーン胚芽はデンプンの湿式粉砕プラントの連産物であるので、本明細書に記載の改善されたコーン胚芽を使用する組成物及び方法はまた、穀粒を調達、輸送、及び貯蔵するステップを排除する。
【0021】
したがって、栄養担体と、非毒素産生性株と、を含有する農業用バイオコントロール組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、バイオコントロール組成物は、Aspergillusの非毒素産生性株と、栄養担体と、を含む。本明細書で使用される場合、以下の用語は、「非毒素産生性(atoxigenic)」:非毒素産生性(non-toxigenic)、非アフラトキシン産生性、及び非アフラトキシンと同義である。
【0022】
Aspergillusの非毒素産生性株を置き換えに使用することができ、したがって、作物、土壌、及び環境全体における、アフラトキシン産生物の頻度を低減することができる。限定されないが、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、Aspergillus parasiticus株、又はこれらの混合物が挙げられる、当該技術分野において既知の任意のAspergillusの非毒素産生性株を使用することができる。他の実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus flavusである。なお他の実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株はAspergillus oryzaeである。更に更なる実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus sojaeである。また更に更なる実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、Aspergillus parasiticusである。
【0023】
いくつかの実施形態では、毒素産生性Aspergillus flavus株としては、限定されないが、A.flavus株AF36(NRRL18543)、CT3、K49(NRRL30797)、La3279、La3304、Ka16127、Og0222、PKM03-N、ARS Culture Collection寄託番号NRRL50427、NRRL50428、NRRL50429、NRRL50430、NRRL50431、NRRL18543(Prevail(商標)のAF36、Arizona Cotton Research and Protection Council)、NRRL21882(AflaGuard(商標、Syngenta)、並びにFungal Genetics Stock Center(FGSC)寄託番号FGSC A2223、FGSC A2220、FGSC A2226、及びFGSC A2229(すなわち、FourSure(商標)、Texas Corn Producer’s Boardの4つの非毒素産生性遺伝子型)が挙げられる。
【0024】
使用することができる追加のAspergillus種及び株は、米国特許第9011891号、同第8637002号、同第5171686号、同第5294442号、同第7361499号、同第6306386号、及び同第6027724号、並びにEhrlich et al.(2004,Applied Microbiology&Biotechnology 65:473-478)、Probst et al.(2010,Plant Disease 95(2),212-218)、Brown et al.(1991,J.Food Protection 54,623-626)、Cotty(1994a,Phytopathology 84,1270-1277)、Cotty,P.J.(1994b,Mycopathologia 125,157-162)、Probst et al.,(2011,Pant disease 95:212-218)、Bandyopadhyay et al.(2016,World Mycotoxin J 9,771-789)、及びMehl(2012,Ann.N.Y.Acad.Sci.1273,7-17)に記載されており、これらの各々の関連するセクション及び矛盾しないセクションは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
本明細書に記載の1つ以上の農業用バイオコントロール組成物において、任意の非毒素産生性Aspergillus種及び株を使用することができる。本明細書に記載の方法及び組成物は、非毒素産生性Aspergillus flavusの異なる別個の遺伝子型を使用して試験して成功しており、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を使用した各場合では、穀粒に基づく方法及び組成物と比較して、より速い芽胞形成を観察することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、Aspergillusの非毒素産生性株は、限定されないが、耕地の地理的位置、環境条件、耕地の微生物学的条件、耕地の化学的条件、位置の気象条件などを含む、1つ以上の要因に基づいて選択される。例えば、Aspergillusの非毒素産生性株は、対象地域に関連する増殖条件下で繁栄するように進化したので、特に選択することができる。
【0027】
加えて、ナイジェリア、セネガル、ブルキナファソ、ガーナ、及びケニアを含むいくつかのアフリカ諸国に完全に登録された生成物が存在し、これらは、活性成分としてA.flavusの4つの追加の遺伝子型を利用する。これらの生成物は、Aflasafe、又は国特有のコードを有するAflasafe(例えば、ケニアではAflasafe KE01)のいずれかで呼ばれる。例えば、Aflasafe NG01は、4つ全ての遺伝子型を含有するコーティングをソルガム穀粒に適用している。NG01の4つの遺伝子型は、ナイジェリアのトウモロコシ生産領域に特有であり、これらの領域によく適合している。加えて、農地試験2年目又は3年目であるいくつかの他の国用に開発された生成物が存在し、これらは全て、農地に定着している真菌コミュニティを変化させるのに良好な有効性を示している。これらの追加の生成物の各々は、Aflasafe及びAspergillus flavus AF36 Prevailと同じ様式で製造される。これらの生成物は各々、標的領域土着のA.flavusの非毒素産生性株からなり、以下の製造セクションで説明されるように、等しい割合の4つ全ての単離物からなる分生子懸濁液を、焙煎したソルガム穀粒にコーティングすることによって製造される。
【0028】
バイオコントロール生成物に活性成分として使用される真菌は、当業者に周知の1つ以上の生理学的、表現型、分子形、及び/又は遺伝子型試験方法によって特徴評価することができる。株の特徴評価に好適な試験の例としては、限定されないが、ランダム増幅多型DNA(random amplified polymorphic DNA、RAPD)系特徴評価、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)アッセイ/産生物パターン、DNAフィンガープリンティング、AFLPマーカー、及び単純配列反復(simple sequence repeats、SSR)が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、特定の増殖領域及び/又は植物種として任意の特定の耕種学的又は園芸的状況で使用するための、非毒素産生性Aspergillusの最良の株が選択される。したがって、本明細書に記載の方法及び組成物に従って使用される地域に関連する増殖条件で繁栄するように進化した、バイオコントロール株を選択することができる。一実施形態は、特定の増殖領域に適合した非毒素産生性Aspergillusに関連する、任意選択的に精製されたコーン胚芽を含む、それからなる、又はそれから本質的になる農業用バイオコントロール組成物を対象とする。
【0030】
本明細書に記載の方法及び組成物は、腐生栄養的に栄養を利用することが可能であり、繁殖及び分散の意図で農地及び/又は環境に適用することが可能な全ての糸状真菌に作用することが企図される。これとしては、Trichoderma属種、Beauveria属種、Metarhizium属種、Aspergillus属種、Fusarium属種、Cladosporium属種、及び多くの他の既知であり記載されていないものなどのバイオコントロール真菌が挙げられる。
【0031】
コーン胚芽は、通常、味が好ましいナッツ風味であり、油が豊富である。以前より、トウモロコシ油の抽出及び飼料添加物(例えば、コーン胚芽食)の製造に主に使用されている。いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、デンプン精製プロセスで生産される。いくつかの実施形態では、デンプン精製プロセスは、湿式粉砕プロセス又は乾式粉砕プロセスである。いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、その全体が参照により本明細書に各々組み込まれる、米国特許第2459548号、同第2282817号、同第4341713号、同第4495207号、同第5297348号、及び同第6899910号に記載のものなどの他の方法によって生産することができる。
【0032】
コーン胚芽及び湿式粉砕プロセス
成熟したコーン粒は、4つの主要な部分、すなわち胚乳、胚芽、果皮、及び尖帽で構成される。コーン胚芽又はトウモロコシ胚芽は、発芽して植物に成長するコーンの繁殖部分である。本明細書で使用される場合、コーン胚芽は、胚と同義であり、コーン種子又はコーン粒の組織に密接に関連する。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるコーン胚芽は、コーン胚芽が得られるプロセスに起因してコーン植物に発芽又は成長することが不可能であり、これは、本発明の構成要素である。いくつかの実施形態では、発芽又は成長する能力を防止、阻害、又は妨げる1つ以上の物理的、生理学的、表現型、分子的、及び/又は遺伝子型の異常又は欠損の結果として、コーン粒は、処理前に発芽する能力を欠く場合がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を作製するためのコーン胚芽は、コーン穀粒から得られる。いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、コーンの湿式粉砕プロセスの連産物として生産される。コーンの湿式粉砕は、コーン粒をその構成要素部分に破砕するプロセスである。これは、水及び一連のステップを使用して、様々な生産物に使用される部分を分離する。プロセスは、主に重量及びサイズによる構成要素の物理的分離に基づき、水性二酸化硫黄(SO2)などのいくつかの化学物質をある特定のステップで(例えば、浸漬プロセス中に)使用し得る。いくつかの実施形態では、収穫されたコーン穀粒は検査され、その後粉砕されて汚染されたコーン穀粒が排除される。
【0033】
いくつかの実施形態では、収穫されたコーン穀粒は、洗浄され、その後粉砕される。不純物を除去するために、洗浄ステップを使用して、形状、密度、及び磁力によって別の粒子をふるい分けする。いくつかの実施形態では、適切なふるい数を有する夾雑物試験機を使用して、穂軸、破砕コーン、異なる種子、金属片、葉、泥などのコーン穀粒以外の粒子を除去することができる。いくつかの実施形態では、コーンは、乾燥プロセス、湿式プロセス、又はその両方によって洗浄される。いくつかの実施形態では、洗浄されたコーン穀粒は、NIR分光計を使用して分析される。
【0034】
一実施形態では、コーン穀粒は、粉砕前に水和されて、タンパク質マトリックスからデンプン顆粒を緩め、粉砕するために胚芽に弾力性が与えられる。胚芽密度が低減され、粒が軟化されることによって、粉砕がより容易になる。いくつかの実施形態では、二酸化硫黄(300~2000ppmの範囲の濃度)及び/又は乳酸が水に添加される。二酸化硫黄は、マトリックスを弱めてデンプン顆粒をきれいに分離することを可能にすることができ、一方、乳酸は、胚乳タンパク質マトリックスを分解し、デンプンのより良好な分離を助ける。乳酸又は二酸化硫黄はまた、高温と組み合わせてpHを低下させ、望ましくない微生物の増殖を防止する。いくつかの実施形態では、洗浄されたコーン穀粒は、水を含む大型タンク内で浸漬される。いくつかの実施形態では、浸漬プロセスは、約120~130°Fの温度で実行される。いくつかの実施形態では、浸漬プロセスは約40時間続けられる。その後、浸漬水を排出してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、胚芽は、コーンの他の部分から分離される。次いで、浸漬されたコーンを摩砕粉砕機に流し入れ、コーン粒を破砕し、胚芽粒子を放出する。いくつかの実施形態では、ディスクミルなどの摩滅ミルを使用することができる。他の実施形態では、摩砕はゆっくりであり、摩砕に使用される要素は、確実に胚芽を無傷で除去するために鋭利ではない。次いで、このスラリーを一連の胚芽サイクロンに通して、残りの繊維、グルテン、及びデンプンから胚芽を分離する。胚芽粒子は、残りのコーン構成要素よりも軽く、より多くの胚芽の画分は、浮いて胚芽サイクロンから溢れ出るであろう。次いで、各段階で系の密度及び胚芽サイクロンの溢れ出る量を適切に調節することによって、胚芽純度(油%)を制御する。いくつかの実施形態では、胚分離ステップは、可能な限り無傷のまま胚芽を回収することを含む。いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、一連のスクリーン、遠心分離機、及び/又はサイクロンを使用して、繊維、デンプン、タンパク質、及び水から分離される。いくつかの実施形態では、湿式粉砕操作中、胚芽(例えば、全胚芽、本質的に無傷の胚芽、及び/又は部分的に摩砕された胚芽)を含有する画分が選択され、分離される。次いで、胚芽を、胚芽プレスに送り、水分を50%に下げる。いくつかの実施形態では、次いで、この胚芽は、胚芽乾燥機に送られ、ここで水分が5%未満に下げられる。これらの乾燥機は、典型的には93.3℃(200°F)超で動作され、胚芽の乾燥機内での保持時間は、20~50分である。乾燥機内の胚芽が高温であることは、微生物増殖の阻害を助ける。次いで、胚芽を、約37.8℃(100°F)に冷却し、貯蔵する。
【0036】
上述のプロセスは、限定的なものではなく、他の修正された湿式粉砕プロセス又はコーンの異なる粉砕プロセスを使用することができることに留意されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバイオコントロール組成物を作製するために使用されるコーン胚芽は、粉砕プロセスの流動性部分として生産される。いくつかの実施形態では、粉砕プロセスのそのような流動性部分は、ふるい分けプロセスによって非流動性部分(例えば、汚染物質)から分離される。コーン胚芽を作製するプロセス中に生産される一部の部分は、芽胞形成を支援し、他の部分は支援しない。いくつかの実施形態では、ふるい分けプロセスは、芽胞形成を支援することが不可能な部分(すなわち、非流動性部分)から、芽胞形成を支援することが可能な部分(すなわち、流動性部分)を分離するために使用される。いくつかの実施形態では、ふるい分けプロセスはまた、特定の用途に望ましくない断片及びゴミを除去し、所望のサイズの胚芽粒子を提供するために使用される。流動性は、輸送又は貯蔵容器からの排出中に顆粒状固体及び粉末が流れる能力である。流動性は、材料の天然特性によって影響されるが、また、材料の水分、貯蔵温度、粒径分布、相対湿度、時間、材料質量の圧縮、輸送中の振動、貯蔵プロセス全体を通じた変動、材料の化学的組成、並びに流動剤の添加などのいくつかの相互作用する環境要因によっても影響される。いくつかの実施形態では、胚芽は、更に処理され、その後バイオコントロール組成物を作製するために使用される。いくつかの実施形態では、生産されたコーン胚芽をふるい分けして、コーンの湿式粉砕プロセス中に生産された破片を除去し、その後、胚芽をAspergillusの非毒素産生性株でコーティングする。いくつかの実施形態では、一組のふるいを使用して、より小さい片及びより大きい片を除去し、所望のサイズの胚芽粒子を提供する。いくつかの実施形態では、ふるい分けステップは、より大きい片及びゴミを除去するためにUS SieveサイズNo.5(5メッシュ)若しくはサイズNo.6メッシュ)、及び/又はより小さい片を通すことによってより小さい片を除去するためにUS SieveサイズNo.7(7メッシュ)又はNo.8を使用することを含む。
【0038】
しかしながら、いくつかの実施形態では、より小さい胚芽粒径は、適用方法との適合性に有利であり、かつ/又は、適用後のバイオコントロール非毒素産生性株を分配するために、1ポンド当たり、より多くの粒子、したがってより多くの地点が可能になる。粒径はまた、意図、標的作物、及び環境条件に応じて、適用後に作物の林冠内に保持される生成物の割合を変化させるために、より大きく又はより小さく調節してもよい。いくつかの実施形態では、胚芽の精製された構成要素は、糸状真菌及び他の微生物の送達に適合するサイズの栄養粒子として使用される。いくつかの実施形態は、標的用途の目的を最良に満たすために、所望のパラメータに粒径を調節することが可能である。
【0039】
ふるい分けに加えて、適正な微粒子が選択される限り、非毒素産生性Aspergillus株の栄養物質である流動性部分から非流動性部分(汚染物質)を分離するための連続的なプロセスなどの、任意の安価なプロセスなどの他のプロセスもまた使用してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスを通じて得られるコーン胚芽は、(環境保護機関)EPA及び米国農務省(USDA)などの規制機関が許容可能である微生物学プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、胚芽は、望ましくない真菌及び細菌を含まない。例えば、バイオコントロールの前に、胚芽は、毒素産生性Aspergillus種を含まず、有益な非毒素産生性Aspergillus種以外の真菌を含まず、疾患原因の腸内細菌を含まない。いくつかの実施形態では、胚芽は、望ましくない真菌及び細菌を本質的に含まない。本明細書で使用される場合、用語「本質的に含まない」とは、望ましくない真菌及び細菌のレベルが、検出可能ではないか、又はEPA、食品医薬品局(Food and Drug Agency、FDA)、若しくはUSDAなどの規制機関によって、又は法律及び/若しくは規制によって必要とされる設定された基準未満であることを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、コーン胚芽は、米国食品安全近代化法(U.S.Food Safety Modernization Act)によって必要とされる食物安全性を確保するのに十分な条件で処理される。
【0041】
本明細書に記載のプロセスを通じて得られるコーン胚芽は生育可能ではなく、許容可能な細菌学的プロファイルを有するので、非毒素産生性株の増殖を支援するための栄養源としてのソルガム又は他の穀粒とは異なり、コーン胚芽は、病原体を死滅させるために(例えば、焙煎によって)滅菌するか又は失活させる必要はない。したがって、コーン胚芽を調製するための、及びバイオコントロール組成物を作製するための本明細書に開示の方法は、コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせるか又はAspergillusの非毒素産生性株でコーティングする前に、コーン穀粒又はコーン胚芽を(例えば、焙煎によって)失活させるステップ、滅菌するステップ、及び/又は冷却するステップを含まない。
【0042】
配合物
穀粒(例えば、ソルガム、小麦、又は大麦)が栄養担体として使用される場合、(大麦におけるような)種皮を除去することによって、又は(ソルガムにおけるように)焙煎することによって失活させ、有益な非毒素産生性Aspergillus株の芽胞で穀粒をコーティングする必要があり、これは、生産コスト、生産物の脆弱性、及び(耕地に適用され得る芽胞材料の損失をもたらす)芽胞の飛び散り(spore dust)の発生に寄与する。また、芽胞が行く場所に対する制御の損失に起因して、芽胞汚染を生じることは不可避である。本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を生成するための本明細書に記載の方法は、これらの問題に悩まされない。
【0043】
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、より速い芽胞形成は、農業用バイオコントロール組成物の有効性に有用である。実際に、栄養源を有するだけでは、Aspergillus株が急速に芽胞を産生することを必ずしも意味するものではない。本明細書に記載の組成物及び方法は、非毒素産生性株が急速に芽胞を産生することを可能にし、更に、芽胞が適切に均一な粒径で産生される(例えば、分画/ふるい分けプロセスを通じて産生される)ことを可能にする。本明細書に記載の方法は、より多くの芽胞収量及び/又はより速い芽胞産生と共に、材料を流動性にすることが可能である。また、本明細書に記載の方法は、バイオコントロール組成物をより低コストで生成することを可能にする。
【0044】
芽胞を可能な限り迅速に放出して、系において非毒素産生性株が効果的に取って代わることを確実にするべきである。作物穀粒(例えば、小麦、ソルガム、又は大麦)を使用する栄養担体は、多くの場合、摂食され、したがってコーン胚芽と比較して、耕地に存在する時間が短い。加えて、コーン胚芽は、驚くべきことに、芽胞の迅速な放出について穀類(例えばソルガム)よりもはるかに良好である。農業従事者は、ソルガム生成物の芽胞形成を可能にするのに十分早期にバイオコントロール生成物を耕地に適用することができないので、コーン胚芽を使用するバイオコントロール生成物は、耕地の毒素産生性Aspergillus種をうまく制御する可能性を増加させるので、これは特に有益である。
【0045】
本開示の農業用バイオコントロール組成物は、必要に応じて配合することができる。いくつかの実施形態では、バイオコントロール組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、又はそれ以上のAspergillus flavusの株などのAspergillusの非毒素産生性株を含む。
【0046】
バイオコントロール組成物は、栄養担体を更に含む。いくつかの実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽を含む。いくつかの実施形態では、栄養担体は、実質的に純粋なコーン胚芽を含む。いくつかの実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽から本質的になる。いくつかの実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽からなる。
【0047】
いくつかの実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽を含む。いくつかの実施形態では、栄養担体は、非毒素産生性Aspergillus flavus株などの、非毒素産生性Aspergillus株の急速な芽胞形成のために、有効量のコーン胚芽を含む。本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、芽胞形成開始後約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、又は168時間以内に、栄養担体1グラム当たり1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、又はそれ以上の芽胞の産生を可能にするコーン胚芽の量を指す。
【0048】
いくつかの実施形態では、栄養担体は、重量によって測定して、栄養担体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の量でコーン胚芽を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示の栄養担体は、コーン胚芽から本質的になる。本明細書で使用される場合、用語「から本質的になる」は、栄養担体が、本明細書に開示のバイオコントロール組成物の特徴に実質的に影響を及ぼさない他の成分を含有し得ることを意味する。例えば、他の成分は、非毒素産生性Aspergillus株の急速な芽胞形成を誘発する栄養担体の能力に実質的に影響を及ぼさないレベルで存在するので、芽胞形成開始後約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、168時間以内に、栄養担体1グラム当たり少なくとも約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、又はそれ以上の芽胞が産生される。
【0050】
いくつかの実施形態では、栄養担体は、コーン胚芽からなる。
【0051】
コーン胚芽は、当業者に既知の任意の方法によって生産され得る。いくつかの実施形態では、粉砕プロセスで生産されたコーン胚芽は、有益な非毒素産生性Aspergillus株の芽胞形成及び/又は繁殖を支援するために栄養担体として使用することができる。いくつかの実施形態では、湿式粉砕プロセスで生産されたコーン胚芽が使用される。いくつかの実施形態では、湿式粉砕以外のプロセスで生産されたコーン胚芽が使用される。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物の栄養担体として使用されるコーン胚芽は、約4%~5%又は約8%~10%などの、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、又はそれ以上の水分含有量を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、組成物を適用する前又は後に、1kg当たり約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、又はそれ以上の1つ以上の非毒素産生性Aspergillus株の芽胞を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業的に許容可能な結合剤などの結合剤を更に含む。いくつかの実施形態では、適合可能な種子結合剤(別名、種子コータ、種子粘着剤、又はコーティング結合剤)の助けを借りて、非毒素産生性Aspergillus株の芽胞、特に高品質の芽胞がコーン胚芽に付着される。いくつかの実施形態では、種子結合剤は、ポリマーを含む。好適なポリマーの例は、Milliken(登録商標)Treating Solutions Green Polymer 3118であるが、種子産業で使用される多くのポリマー及び種子着色剤は、同様に良好に機能するであろう。いくつかの実施形態では、胚芽がコーティングされた後、ポリマーは、芽胞を胚芽表面全体に展着させ、胚芽に付着させ、胚芽の流れを促進させることを助けるのに十分な量で存在する。
【0055】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、1つ以上のポリマーで構成される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、合成ポリマー、コポリマー、天然バイオポリマー、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、着色剤が、ポリマーに添加される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物に使用されるポリマーは、非毒性ポリマーである。本明細書で使用される場合、用語「非毒性の」とは、ポリマーが、非毒素産生性Aspergillus株の生育可能性に悪影響を有さないか、又は顕著な影響を有さない(例えば、非毒素産生性Aspergillus株の芽胞形成速度は、ポリマーを用いない条件と比較してポリマーによって5%を超えて減速されない)ことを意味する。
【0057】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、同じモノマーの反応によって作製されたポリマーを含む。いくつかの実施形態では、種子結合剤は、2つ以上の異なるモノマーの反応によって作製されたコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー又はコポリマーのモノマーは、エチレングリコール、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸ビニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリルアミド、及びメチルアクリルアミドからなる群から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、1つ以上の多糖類を含む。本開示のバイオコントロール組成物に使用することができる多糖類としては、限定されないが、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、セルロース、ヘミセルロース、ポリデキストロース、イヌリン、ベータ-グルカン、ペクチン、オオバコ外皮粘液、ガラクトマンナン又はガム(例えば、ベータ-マンナン、キャロブ、フェヌグリーク、グアーガム、タラガム、キサンタンガム、コンニャクガム、アカシアガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノキシランガム、ゲランガム、及びこれらの誘導体)、グルコマンナン、寒天、アガロペクチン、アガロース、アルギン酸塩、カラギーナン、キチン、キトサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、デキストリン、マルトデキストリン、及びこれらの混合物などの1つ以上のセルロースを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、コーン、もちトウモロコシ(waxy maize)、小麦、タピオカ、もちタピオカ(waxy tapioca)、ジャガイモ、ソルガム、米、もち米から誘導されたものなどのデンプン、改質デンプン、及びこれらの混合物、並びに植物系デンプン、小麦粉、並びにタンパク質(レンズマメ)を含む。いくつかの実施形態では、改質デンプンとしては、限定されないが、カチオン性デンプン、オクテニルコハク酸無水物デンプン、アセチル化デンプン、プロピレンオキシド処理デンプン、アジピン酸、オキシ塩化リン、及びエピクロロヒドリンなどとの架橋デンプンが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、種子結合剤は、脂肪、油、タンパク質、多糖類、植物及び動物生産物の他の誘導体、並びにこれらの混合物を含む。
【0062】
種子結合剤のより多くの例は、各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7213367号、同第7189677号、同第5363754号、同第8273684号、同第7989391号、同第4349578号、同第5876739号、同第5763509号、同第3728817号、同第3671633号、同第4881343号、同第4853429号、同第6605268号、同第5737872号、同第6156699号、同第5849320号、同第5994265号、同第5344871号、同第5374670号、同第5506285号、同第6209259号、同第5163896号、同第8881453号、同第3905152号、同第4994013号、同第8931209号、同第10160692号、同第5967521号、同第4067141号、同第7223436号に見出すことができる。
【0063】
コーン胚芽に加えて、追加の化合物を栄養担体中で使用して、芽胞形成を増加させ、摩擦落ちを低減し、流動性を改善し、外観を変化させるか、又は他の利益を提供することができる。特に対象のものは、芽胞形成に好適な条件下に農業用バイオコントロール組成物を置いた後、約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、48時間、52時間、56時間、60時間、70時間、又はそれ以上などの初期段階内で、非毒素産生性Aspergillus株の芽胞形成を増加させることが可能な化合物である。いくつかの実施形態では、追加の化合物は、コーン油、又は大豆油若しくはピーナッツ油などの他の植物油を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業的に許容可能な浸透圧保護剤などの浸透圧保護剤を更に含む。いくつかの実施形態では、浸透圧保護剤は、限定されないが、グリシンベタイン、プロリン、エクトイン、ヒドロキシ-エクトイン、グルタミン酸塩、コリン-o-サルフェート、マンニトール、マルトース、トレハロース、グリセロール、ソルビトールなどの、ベタイン、ポリオール、糖、及びポリアミン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業的に許容可能な接着剤などの接着剤を更に含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の種子結合剤中のポリマーは、接着剤の目的として機能し、摩擦落ちを低減する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業的に許容可能な安定剤及び/又は防腐剤などの安定剤及び/又は防腐剤を更に含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業的に許容可能な着色剤などの着色剤を更に含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物の配合物は、水分散性配合物である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物の配合物は、噴霧可能な配合物である。
【0069】
非毒素産生性Aspergillus株を含む農業用バイオコントロール組成物の配合物の非限定的な例は、米国特許第5171686号、同第5294442号、同第6306386号、同第9011891号、同第9526240号、同第8173179号、及び同第8734862号に記載されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、着色剤を更に含む。農業目的に好適な任意の着色剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、農業用着色剤は、Sun Chemical、BASF、Clariant、Keystone Aniline(Milliken)、Chromatech Incorporated、Sensient Technologies、Aakash Chemicals、Organic Dyes and Pigments、AgriCoatings、ArrMaz、Retort Chemicals、及びER CHEM COLORによって生成及び販売されているものから選択される。いくつかの実施形態では、種子結合剤は、既に色を含有しているので、追加の着色剤は必要とされない。
【0071】
Aspergillus種の非毒素産生性株を土壌に適用するために使用されるある特定の配合物は、EPAによってバイオ農薬と見なされ得、そのような場合、商業的に使用される前に、配合物はEPAに登録されるであろう。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の配合物は、EPAに許容可能なレベルで化学物質を含有する。
【0072】
本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を使用する方法
ソルガム、小麦、大麦、又は他の穀粒を非毒素産生性遺伝子型の栄養源として使用することは、穀粒に関連する病原体を死滅させるために滅菌し、次いで焙煎によって失活させ、次いでサイロで冷却する必要があるので、回避不能な欠点を有する。また、ソルガム又は穀類が農業用バイオコントロール配合物に使用され、配合物が耕地に(例えば、噴霧によって)分配される場合、穀粒は耕地で成長し、対象の農業植物と競合するであろう。農業従事者は、ソルガム又は他の穀粒が対象の農業植物に取って代わることについて心配することを望まないので、有益なAspergillus株で穀粒をコーティングする前に、ソルガム穀粒を(例えば焙煎によって)滅菌し、冷却する必要がある。特にコーン胚芽が、例えば湿式粉砕などの広く使用されているプロセスによって生産される場合、コーン胚芽が生育可能ではなく、有害な病原体を本質的に含まないので、穀粒をコーン胚芽に置き換えることにより、穀粒に必要とされる上の滅菌、冷却などの処理ステップの全てを回避することが可能である。コーン胚芽を使用することは、ソルガム又は大麦のものと比較して非常に少ない処理ステップを必要とし、材料がコーンデンプン施設によって既に生成されているので、はるかに安価であり、これにより、農業用バイオコントロール組成物の生成及び使用は有利であり得る。したがって、コーン胚芽の使用により、製造の資本コストが低減され、したがって農業用バイオコントロール組成物の生成コストが低減される。農業用バイオコントロール組成物を農業従事者の耕地に適用するように農業従事者を促し、毎年適用を行い続けて作物及び生産領域全体にわたる環境においてアフラトキシンを低減するためには、これは非常に重要である。
【0073】
本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、毒素産生性Aspergillusによって汚染された任意の領域に、又はAspergillus感染を受けやすい任意の植物(例えば、作物又は他の農業的に重要な植物)に使用することができる。そのような植物としては、限定されないが、穀類(例えば、小麦、オート麦、米、コーン、大麦、ソルガム、ライ麦、雑穀、ライ小麦、アマランス、ソバ、及びキヌア)、マメ科植物(例えば、ヒヨコマメ、マメ、エンドウマメ、レンズマメ、ルピナス、及びメスキート)、木の実(例えば、ドングリ、ブナ、パンの実、キャンドルナッツ、栗、ディークナッツ(deeknut)、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ロラナッツ(lola nut)、マルバゴウシュウアオギリ、モンゴンゴ、パームナッツ、カルカ(karuka)、レッドボップルナッツ(red bopple nut)、アプリコット、カシューナッツ、ビンロウ、テンカワンナッツ、カナリュームナッツ、カシュー、ココナッツ、ガボンナッツ(gabon nut)、ヒッコリー、パラミツの実、パンの実、ピケアナッツ(pekea nut)、ピスタチオ、及びクルミ)、イチジク、ピーナッツ、チリ、及び綿が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、コーン胚芽、ポリマーなどの本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物の構成要素は、有機農業における用途に許容可能であるように処理される。有機農業は、土壌生物、植物、家畜、及び人々を含む、農学的エコシステム内の多様なコミュニティの生産性及び適合性を最適化するように設計された包括的な系である。有機農業の主な目標は、持続可能かつ環境と調和する事業を展開することである。有機生産の一般原理としては、環境を保護すること、土壌劣化及び浸食を最小限に抑えること、汚染を減少させること、生物学的生産性を最適化し、健康の健全な状態を促進すること、土壌内の生物学的活性の条件を最適化することにより長期間土壌を肥沃に維持すること、系内の生物学的多様性を維持すること、事業内で最大限可能な程度まで材料及び資源を再利用すること、家畜の健康を促進し行動的必要性を満たす思いやりのある世話を提供すること、有機生産物を調製すること、心ある処理を重視すること、並びに全ての生産段階において生産物の生物としての尊厳及び生育の質を維持するための取り扱い方法、地域組織による農業システムで再生可能な資源に頼ること、が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業植物の種子と混合され、混合物は、容器(例えば、種子サイロ)に貯蔵され、その後混合物はヒト又は動物に利用又は供給される。これは、貯蔵されている種子及び長い貯蔵時間中の毒性Aspergillus種の感染を制御するであろう。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、農業植物の種子が領域に植えられる前、その間、又は後に、毒性Aspergillus種感染を受けやすいか、又は潜在的に受けやすい領域に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、毒性Aspergillus種が植物に定着するのを防止するために、耕地に噴霧される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、土壌又は空気又は他の植物において毒性Aspergillus種を制御し、標的植物におけるアフラトキシン含有量を低減するために、植物が既に生育している土壌に適用される。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物が栽培される前に(例えば、植物の種子が領域内に置かれる場合、外植片が領域内に置かれる場合、接ぎ木を行う場合、植物が領域に移植される場合、成長時期が到来した場合、活動停止状態の植物が再生した場合などに)対象の植物を栽培するための領域に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物を栽培する約4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、48時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、1.5年、2年、3年、又はそれ以上前に領域に適用することができる。いくつかの実施形態では、バイオコントロール組成物は、植物を栽培する前に約2回、3回、4回、5回、6回、又はそれ以上などの2回以上、植物を栽培する前に適用することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物が栽培されるときに、対象の植物を栽培するための領域に適用される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物が栽培された後に、対象の植物を栽培するための領域に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物を栽培した約1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、48時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、1.5年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、又はそれ以上後に領域に適用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、植物を栽培した後に約2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又はそれ以上などの2回以上、植物を栽培した後に適用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、作物の生物気候学に応じて耕地に適用される。例えば、いくつかの実施形態では、多年生の樹木又は作物の場合、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、1年おき、毎年、年2回、年3回、年4回、年5回、年6回、又はそれ以上、又は必要に応じて適用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、暖かい温度及び/又は高水分レベルの月(例えば、北半球における5月~8月)などの、真菌増殖をもたらす時期中に適用することができる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、耕地への適用及び水分の取り込みの後、非毒素産生性株は、完全に又は部分的に領域に定着し、豊富な芽胞形成により、非毒素産生性株が競合的利点を達成するのに十分な接種材料レベルを提供する。
【0080】
いくつかの実施形態は、植物、植物の一部、植物生産物などにおけるアフラトキシン汚染を制御する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を使用することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物で処理していない植物におけるものと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、又はそれ以上、植物、植物の一部、又は植物生産物におけるアフラトキシン含有量を低減することが可能である。いくつかの実施形態では、方法は、同じ量の組成物を使用する場合、栄養担体として穀粒を使用するバイオロジカル組成物などの別の農業用バイオロジカル組成物で処理した植物におけるものと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、又はそれ以上、植物、植物の一部、又は植物生産物におけるアフラトキシン含有量を低減することが可能である。
【0081】
また更なる実施形態は、作物関連生産物、又は例えば(動物が飼料として汚染された作物を消費する場合の)肉、肉製品、ミルク、及び乳製品などの動物生産物におけるアフラトキシン汚染を制御する方法を対象とする。方法は、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を使用することを含む。アフラトキシンは、汚染されたウシの飼料(例えば、コーン植物)を通じてミルクに移り、0.5パーツパービリオンのアフラトキシンを含有するミルクは、廃棄ミルクを生じる。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を、ウシの飼料を生育させる耕地に適用すること、又は種子が耕地に植えられる前、その間、及び後に、バイオコントロール組成物を少なくとも一部がウシの飼料として使用されるか又はヒト若しくは動物に供給されるであろう種子及び農業植物と混合することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物で処理していない植物を供給された動物からの動物生産物におけるものと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、又はそれ以上、動物生産物におけるアフラトキシン含有量を低減することが可能である。いくつかの実施形態では、方法は、同じ量の組成物を使用する場合、栄養担体として穀粒を使用するバイオロジカル組成物などの別のバイオロジカル組成物で処理した植物を供給された動物に由来する動物生産物におけるものと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、又はそれ以上、動物生産物におけるアフラトキシン含有量を低減することが可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、耕地で生育する植物、植物生産物、動物、動物生産物、又は環境におけるアフラトキシンの総含有量、並びに/又はアフラトキシンB1、アフラトキシンB2、アフラトキシンM1、アフラトキシンM2、アフラトキシンQ1、アフラトキシコール、アフラトキシンG1、及びアフラトキシンG2などの1つ以上の特定のアフラトキシンの含有量を低減することが可能である。アフラトキシン生合成については、Ehrlich et al.(2005,Journal of Applied Microbiology 99(3):518-527)、Kusumoto et al.(2000,Current Genetics 37:104-111)、Tominaga et al.(2006,Applied&Environmental Microbiology 72:484-490)、Chang et al.(1995,Molecular&General Genetics 248:270-277)、Lee et al.(2006,Applied Microbiology&Biotechnology 72(2):339-45)、及びWen et al.(2004,Applied and Environmental Microbiology 6:3192-3198)を参照されたい。
【0083】
一般に、デンプン製造工場は、近くの農業従事者からコーンを調達する。農業用バイオコントロール組成物は、製造工場周囲の領域を保護するのを助け得る、領域全体に対応するツールであり、コーン又は他の標的作物が毒素を含まないことを確実にする。また、これは、輸送コストを低減することができる。したがって、本開示は、デンプン製造工場周囲の栽培領域におけるアフラトキシン汚染を制御する方法を提供する。例えば、栽培領域は、デンプン製造工場から、約0マイル、1マイル、2マイル、3マイル、4マイル、5マイル、10マイル、15マイル、20マイル、25マイル、30マイル、35マイル、40マイル、45マイル、50マイル、55マイル、60マイル、70マイル、80マイル、90マイル、100マイル、又はそれ以上に存在する。
【0084】
またなお更なる実施形態は、非毒素産生性Aspergillus株などのAspergillus種の芽胞を急速に産生する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、芽胞形成の栄養担体としてコーン胚芽を得ることと、コーン胚芽をAspergillus株と混合又は合わせることと、を含む。いくつかの実施形態では、Aspergillus株は、芽胞又は活性細胞の形態である。いくつかの実施形態では、Aspergillus株は、コーン胚芽の表面に付着される。いくつかの実施形態では、Aspergillus株は、例えば結合剤又はポリマーを通じて、コーン胚芽の表面にコーティングされるか、又は適用される。いくつかの実施形態では、方法は、好適な条件下(例えば、適切な温度及び水分下)でAspergillus株を芽胞形成させることを更に含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、短期間内でのAspergillus株(例えば、非毒素産生性株)の芽胞の急速な産生を可能にする。例えば、好適な条件下で、方法は、芽胞形成開始後(例えば、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を好適な条件下に置いた場合)約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、168時間以内に、栄養担体1グラム当たり約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、又はそれ以上の芽胞を産生する。いくつかの実施形態では、組成物の芽胞収量は、当該技術分野において既知のものによる正確に同じ様式で定量化することができる。例えば、好適な高湿度(例えば、相対湿度約100%)での標準的なインキュベーション期間後、栄養担体から芽胞を洗浄する。芽胞懸濁液の分生子濃度は、濁度計で測定し、比濁法濁度単位(NTU)対CFU曲線で計算することができる。いくつかの実施形態では、平均芽胞収量は、栄養担体1グラム当たり約2~2.5×109の芽胞を超える。
【0086】
本明細書に記載の組成物及び方法は、米、小麦、ソルガム、大麦などに基づくものなどの、Aspergillus株の栄養担体として穀類を使用した組成物と比較して、Aspergillus株(例えば、非毒素産生性Aspergillus株)の芽胞のより速い産生を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、限定されないが、AFLAGUARD(登録商標)、PREVAIL(登録商標)、AFLASAFE(登録商標)、AF-X1(登録商標)、及びFOURSURE(商標)を含む市販の生成物におけるものなどの、同じ条件下で栄養担体として穀粒を使用する組成物及び方法と比較して、芽胞形成開始の約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、168時間後に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、又はそれ以上の芽胞を提供する。
【0087】
利益
既存のアフラトキシンバイオコントロール組成物は、有益な非毒素産生性株でコーティングされる前に焙煎及び冷却を必要とする穀粒系バイオコントロール組成物である。(例えば、小麦、ソルガム、又は大麦を栄養担体として使用する)既存の組成物と比較して、本明細書に記載の組成物及び方法は、以下の利益を達成する。
【0088】
1.本明細書に記載の組成物及び方法は、栄養担体1グラム当たり、より高い芽胞収量を提供する。ほとんどのバイオコントロール組成物は、世界的に栄養担体としてソルガムが使用されている(例えば、IITA及びUSDAにより開発されたAFLASAFE(登録商標))。小麦及び大麦も使用される(例えば、USDAにより開発され、Syngentaによって流通されているAFLAGUARD(登録商標)、及びArizona Cotton Research and Protection Councilによって流通されているPREVAIL(登録商標))。これらの組成物及び関連する製造プロセスと比較して、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、栄養担体1グラム当たり、より多くの芽胞を産生する。例えば、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、栄養担体としてソルガムを含有する組成物と比較して、48時間以内にコーン胚芽を含む栄養担体1グラム当たりより多くの芽胞を産生する。したがって、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物は、アフラトキシン産生株が急速に増加する前に、非毒素産生性遺伝子型が耕地で活発に増殖することを確実にする。適用後の有益な非毒素産生性Aspergillus株の急速な芽胞形成に起因して、大量の非毒素産生性芽胞が産生され、アフラトキシンン産生物と置き換わり競合することによって、作物を保護する。更に、速い芽胞形成は、最適な量の芽胞が産生される前に、鳥類、哺乳動物(例えば、げっ歯類)、又は昆虫による捕食を通じた栄養担体の損傷又は栄養担体の除去を低減する。
【0089】
2.本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物中に含有されるコーン胚芽は、浸漬及び高温での乾燥を含む十分に確立されたデンプン精製プロセスであるコーンの湿式粉砕プロセスを通じて生産され得るので、本開示の組成物は、信用のおける微生物学的プロファイル(例えば、胚芽上の微生物)を有する。例えば、組成物は、望ましくない真菌及び細菌(例えば、腸内細菌)を含有しないか、又は懸念を起こさないであろう非常に低い(例えば、検出不可能、又はEPAによって設定された要件を満たす)レベルのみの望ましくない真菌又は細菌を含有する。
【0090】
3.本明細書に記載の組成物及び方法は、コーン胚芽が本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を作製するために生産される場合、サイズ選別及びコーティング設備のみを必要とする。穀粒貯蔵設備及び焙煎設備を必要としないので、本明細書に記載の組成物及び方法は、少ない資本投資をもたらす。また、栄養担体として胚芽を使用するのに必要なエネルギー及び労働力が少ないので、安価である。
【0091】
4.本明細書に記載の組成物及び方法は、より低い開始コスト及びより少ない労働力を必要とし、したがって非常に低い生成コストをもたらす。例えば、製造及び品質管理に非常に少ない人を必要とする。より低いコストにより、先制的にバイオコントロール生成物を適用するように農業従事者を促し、これにより、真菌集団を変化させ、領域全体のアフラトキシンの低減をもたらす。これは、領域全体から作物を得る必要がある処理工場又は製造工場に特に重要であり得る。更に、包装は最もコストの高い部分であるので、いくつかの実施形態ではバルク包装が許容可能である。
【0092】
5.本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を製造するためのプロセスは、本明細書に記載の組成物及び方法により、既存のバイオコントロール剤製造プロセスよりも効率的、単純であり、かつ少ないエネルギーを必要とすることが可能になる。例えば、本明細書に記載の製造プロセスでは、精白、焙煎、又は蒸しステップが必要とされず、これは、より低いユーティリティコストをもたらす。
【0093】
6.本明細書に記載の組成物は、コーン植物をデンプン製造施設に提供するコミュニティを含む、アフラトキシンへの対応を必要とする農業コミュニティにごく近接して生成及び使用することができる。例えば、多くの場所にデンプン工場が存在する。本明細書に記載の組成物は、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物としてデンプン工場内又はその付近で直接生成することができ、コーンが生産される領域に直接適用することができ、ひいては出荷コストが低減される。
【0094】
7.本明細書に記載の組成物の作製及び使用は、追加の廃棄物を生成しない。例えば、除去された材料を使用して、未選別の胚芽が使用されるのと同様の様式で油及び飼料が生成される。加えて、穀粒の洗浄から生じる殻及び材料が生成されない。コーン胚芽は、連産物としてデンプン製造工場によって既に生産されているので、更に処理することなく又は非常に少ない処理ですぐに使用可能である。
【0095】
8.本明細書に記載の組成物の作製及び使用は、直接消費可能な食品を使用しない。例えば、一般に、コーン胚芽は、直接消費可能な食品ではなく、油プラス飼料を作製するために抽出する必要がある。これは、小麦粉、大麦、又はソルガムはほとんど使用されていないにもかかわらず、小麦、大麦、及びソルガム(3つは全て、一部の領域では食品として使用される)とは異なり、使用者、NGO、及び政府機関は、バイオコントロール生成物を生成するために使用される穀類の食品品質について苦情を申し立てる場合がある。
【0096】
9.ある特定の実施形態では、コーン胚芽は、デンプン製造プロセスの連産物として生産され、デンプン工場によってのみ供給され得る。したがって、本明細書に記載のプロセスは、デンプン製造工場が存在する領域で利用可能である、本明細書に記載のバイオコントロール組成物をもたらす。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明は、流動性を向上させ、質量当たりの生成物の粒子数、したがって標的作物の被覆を最適化するために、処理された耕地に送達される重量当たりの粒子数を管理する融通性を最適化するために、経時的に一貫した生成物サイズ及び粒径の意図的管理を可能にする胚芽精製及び粒径選別を含む。
【0098】
加えて、本明細書に記載の組成物及び方法は、栄養担体として穀類を含有する既存の商業的バイオコントロール組成物と比較して、労働力及びコストを効果的に低減しながら、アフラトキシンバイオコントロールのための有益な非毒素産生性Aspergillus株のより速くより多い芽胞形成を可能にする。例えば、穀類(例えば、小麦、ソルガム、大麦など)を含有するバイオコントロール組成物は、いくつかのステップを必要とする。特に、有益な非毒素産生性芽胞懸濁液でコーティングする前に、穀粒を、購入し、施設に輸送し、貯蔵し、低温殺菌し、冷却する必要がある。これらのステップは、設備、空間におけるより多くの労働力、大規模な資本投資を必要とし、エネルギー使用に起因するより高い操業コストをもたらす。しかしながら、これらのステップは、本明細書に記載の農業用バイオコントロール組成物を生成するのに必要ではない。
【0099】
要約すると、栄養担体として胚芽を使用することにより、製造プロセスが単純化され、サイズ選別及びコーティング設備のみを必要とし、より効率的になり、より少ない労働力を必要とする。バイオコントロール技術は食品安全性を確実にする一方で、胚芽系配合物は、副産物の使用、エネルギーコストの低減、廃棄物の排除、生成物のより効果的な作製により、技術の持続性を加える。全体として、胚芽を使用することは、設備及びエネルギーコストを排除又は最小限に抑えることによってバイオコントロール生成物のコストを低減しながら、より速くより多い芽胞形成を介したより効果的な生産に寄与する。
【0100】
定義
「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一実施例(one example)」、及び「一実施例(an example)」への言及は、そのように記載される実施形態又は実施例が、特定の特色、構造、特徴、特性、要素、又は制限を含み得るが、全ての実施形態又は実施例が、その特定の特色、構造、特徴、特性、要素、又は制限を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、語句「一実施形態では」の繰り返しの使用は、必ずしも同じ実施形態を指すものではないが、そのような場合もある。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、言及された数のプラス又はマイナス10%又は5%を指す。
【0102】
語句「から本質的になる」とは、組成物又は方法が追加の成分及び/又はステップを含み得るが、追加の成分及び/又はステップが特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規の特徴を実質的に変化させない場合にのみ、含み得ることを意味する。
【0103】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」は、これらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0104】
本明細書では、単語「例示的な」は、「例、場合、又は例示として機能すること」を意味するために使用される。「例示的な」として記載される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態を上回って好ましい又は有利である、及び/又は他の実施形態からの特色の組み込みを排除すると解釈されるものではない。
【0105】
本明細書では、単語「任意選択的に」は、いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。発明の任意の特定の実施形態は、そのような特色が矛盾しない限り、複数の「任意選択的な」特色を含むことができる。
【0106】
本開示のある特定の実施形態は、以下の実施例に更に記載される。これらの実施例は、例示としてのみ提供されることを理解されたい。上の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本質的な特徴を見極めることができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な使用及び条件に適合させるために、発明の実施形態の様々な変更及び修正を行うことができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、発明の実施形態の様々な修正が、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0107】
実施例1
アフラトキシンバイオコントロール組成物の生成
コーン胚芽を湿式粉砕プロセス中に単離し、これにより、浸漬及び乾燥を含む十分に確立されたデンプン精製プロセスから得られた微生物学的に信用のおける胚芽を得た。胚芽は望ましくない真菌を有さず、低温殺菌する必要はなく、設備及びエネルギーコストを低減した。この胚芽を洗浄して、真菌増殖を支援しない不純物(果皮など)を除去し、適正なサイズにふるい分けて(7メッシュ)破片を除去した。この洗浄しふるい分けした胚芽を、有益な非毒素産生性Aspergillus株及びポリマー(Treating Solutions Green Polymer 3118、Milliken&Co.)でコーティングして、アフラトキシンバイオコントロール組成物を作製した。
【0108】
実施例2
芽胞形成促進におけるアフラトキシンバイオコントロール組成物の有効性
栄養担体としてのコーン胚芽を、栄養担体としてのソルガムと比較して、非毒素産生性Aspergillus株の芽胞形成を促進する能力を評価した。本質的に、同じ量の非毒素産生性Aspergillus株をコーン胚芽又はソルガムに接種した。芽胞形成に好適な条件下でインキュベートした後48時間後、芽胞形成のステータスを最大7日間確認し、記録した。表1及び
図1に示される結果は、ソルガムと比較して、(比濁法濁度単位(NTU)として表した)はるかに多くの芽胞が、コーン胚芽の表面上に産生されたことを明確に示している。
【0109】
【0110】
次に、ソルガム及びコーン胚芽を栄養担体として使用して、非毒素産生性Aspergillus株の芽胞形成を促進するそれらの能力を試験した。3つの複製を用いて、各々に同じ量の非毒素産生性Aspergillus株を接種した。接種後0~168時間以内に、誘導された芽胞の量を比濁法濁度単位(NTU)として測定した。表2A、並びに
図2及び
図3に示される結果は、再び、ソルガムと比較して、コーン胚芽が、早期から(例えば、接種後48時間以内に)はるかに多くの芽胞を産生したことが確認される。表2Bは、コーン胚芽が、ソルガムよりも性能が優れていることを実証している。
【0111】
【0112】
【表3】
1.NRRL真菌は、ARS Culture Collectionに寄託され、FGSC真菌は、Fungal Genetic Stock Centerに寄託されている。
2.AF36 Prevail(Arizona Cotton Research and Protection Councilの商標)に含有されている非毒素産生性遺伝子型。
3.Afla-guard(登録商標)(Syngenta)の非毒素産生性遺伝子型(AFLA-GUARDは、Circle-One Global,Inc.の登録商標である)。
4.非毒素産生性遺伝子型は、FourSure(登録商標)(Texas Corn Producers Board)中に等量で含有されていた(FOURSUREは、Texas Corn Producers Boardの登録商標である)。
【0113】
実施例3
トウモロコシ穀粒のアフラトキシン含有量の低減におけるアフラトキシンバイオコントロール組成物の有効性
実験室試験におけるAflaPakの非毒素産生性Aspergillus flavus株の有効性
AflaPak中のAspergillus flavus株の有効性を、成熟したトウモロコシ粒で実験研究において評価した。この研究で使用されるアッセイの種類はまた、成熟した作物に雨が降った場合、又は成熟後に高湿度及び高温が両方存在した場合の耕地で発生したアフラトキシンにおける増加を反映する。この種類のアッセイはまた、作物が収穫された後、15%超の水分含有量を有するトウモロコシが輸送、貯蔵、又は更に飼料中に混合され、(すなわち、酪農場構内で)供給された後に関係する有効性を反映する。
【0114】
ヒトに対するアフラトキシンの最も深刻な影響が知られているケニアの農業従事者の耕地で現在使用されているA.flavusの非毒素産生性遺伝子型の初期スクリーニングに使用した同じ方法を利用して、実験室試験を実施した。方法の詳細は、Probst et al.2011(「Identification of atoxigenic Aspergillus flavus isolates to reduce aflatoxin contamination of maize in Kenya.」Plant Disease,Vol.95,No.2,pp212-218)にある。トウモロコシでの実験室試験の結果及び統計分析を表3に示す。表3は、AflaPak中のA.flavus株が、パキスタンでトウモロコシから単離された4つ全ての高アフラトキシン産生真菌株(PKM31-H、PKM30-G、PKM11-L、及びPKM62-D)によって生じるアフラトキシン汚染を低減することを示している。
【0115】
【0116】
Probst et al.2011 and Probst and Cotty,2012の手順に従って、全トウモロコシ粒で、両方の試験を実施した。値は、4つの複製の平均である。全ての真菌は、パキスタンで生産されたトウモロコシから単離した。PKM31-H、PKM30-G、PKM11-L、及びPKM03-Nは、A.flavusのL株形態型に属する。PKM62-Dは、A.flavusのS株形態型に属する。AflaPak中の株は、アフラトキシン生合成に必要な遺伝子が欠損しており、その結果として非毒素産生性遺伝子型である。非毒素産生性とは、アフラトキシンを産生する能力を有さず、アフラトキシン緩和に有用であることを意味する。
【0117】
付番した開示の実施形態
本開示によって企図される主題は、以下の付番した実施形態に記載される。
1.Aspergillusの非毒素産生性株と、栄養担体と、を含み、栄養担体が、コーン胚芽を含む、農業用バイオコントロール組成物。
【0118】
2.組成物が、担体剤、Aspergillusの非毒素産生性株の生育性及び生長力を保存することを意図した薬剤、展着剤(spreading agent)(展着剤(spreader))、結合剤、浸透圧保護剤、接着剤(粘着剤)、安定剤、摩擦落ちを防止する薬剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される1つ以上の要素を更に含む、実施形態1に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0119】
3.組成物が、任意選択的にポリマーを含む種子結合剤を更に含む、実施形態1又は2に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0120】
4.種子結合剤が、コーン胚芽の表面上にコーティングされている、実施形態3に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0121】
5.ポリマーが、顔料を含む、実施形態3又は4のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0122】
6.Aspergillusの非毒素産生性株が、コーン胚芽の表面上にコーティングされている、実施形態1~5のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0123】
7.コーン胚芽が、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物として生産される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0124】
8.組成物が、コーン胚芽を失活させるステップ、精白若しくは圧延するステップ、焙煎によって滅菌するステップ、及び/又は冷却するステップを含まないプロセスによって生成される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0125】
9.コーン胚芽が、ふるい分け及び/又は他の手段を用いてサイズ選別される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0126】
10.特定のサイズの一組のふるいを使用して、より小さい片及びより大きい片を除去し、所望のサイズの胚芽粒子を提供する、実施形態9に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0127】
11.U.S.Sieve No.7又はNo.8が、所望のサイズを保持しより小さい片を通すために使用され、U.S.Sieve No.6が、より大きい望ましくない片及びゴミを保持するために使用される、実施形態10に記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0128】
12.コーン胚芽が、湿式粉砕以外のプロセスを通じて生産される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0129】
13.組成物(i)が、Aspergillusの非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まないか、又は(ii)コーンの湿式粉砕プロセスにより生産されたコーン胚芽から本質的になる組成物と比較して同等又はより少ない細菌を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0130】
14.コーン胚芽が、精白、焙煎、及び/又は蒸しを含まないプロセスによって生産される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の農業用バイオコントロール組成物。
【0131】
15.農業用バイオコントロール組成物を生成するための方法であって、
(1)コーン胚芽を得ることと、
(2)コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することと、を含む、方法。
【0132】
16.コーン胚芽が、コーンの湿式粉砕プロセスの副産物として生産される、実施形態15に記載の方法。
【0133】
17.コーン胚芽をふるいにかけて、破片を除去する、実施形態15又は16に記載の方法。
【0134】
18.US SieveサイズNo.5(5メッシュ)若しくはサイズNo.6(6メッシュ)が、より大きい片及びゴミを除去するために使用され、US SieveサイズNo.7(7メッシュ)又はNo.8(8メッシュ)が、より小さい片を除去し、より小さい片を通すために使用される、実施形態17に記載の方法。
【0135】
19.方法が、
(1)コーンの湿式粉砕プロセスの副産物としてコーン胚芽を生産することと、
(2)ステップ(1)で生産されたコーン胚芽をふるい分けして、破片を除去することと、
(3)ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することと、を含む、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
20.農業用バイオコントロール組成物がAspergillusの非毒素産生性株の芽胞形成に好適な条件下に置かれた後約48時間以内に、農業用バイオコントロール組成物が、ソルガムの2倍以上のAspergillusの非毒素産生性株の芽胞形成を支援する、実施形態1~14のいずれか一項に記載の組成物、又は実施形態15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
21.Aspergillusの非毒素産生性株が、Aspergillus oryzae株、Aspergillus flavus株、Aspergillus sojae株、又はこれらの混合物である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物、又は実施形態15~20のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
22.方法が、コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせるか又はAspergillusの非毒素産生性株でコーティングする前に、当該コーン胚芽を失活させるステップ、焙煎によって滅菌するステップ、及び/又は冷却するステップを含まない、実施形態15~21のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
23.農業用バイオコントロール組成物が、Aspergillusの非毒素産生性株以外の真菌を本質的に含まず、疾患原因の腸内細菌を本質的に含まないか、又は方法が、コーンの湿式粉砕プロセスと比較して同等又はより少ない細菌を導入する、実施形態15~22のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
24.農業植物又は当該植物に由来する農業生産物におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法であって、アフラトキシン低減有効量の(i)実施形態1~14若しくは20~21のいずれか1つに記載の、又は(ii)実施形態15~23のいずれか1つに記載の方法によって生成された、農業用バイオコントロール組成物を植物、増殖の遺伝子座、又は植物生産物に適用することを含む、方法。
【0141】
25.農業用バイオコントロール組成物が、水分散性顆粒状配合物中にある、実施形態24に記載の方法。
【0142】
26.栽培領域におけるアフラトキシン汚染を制御するための方法であって、栽培領域に、アフラトキシン低減有効量の(i)実施形態1~14若しくは20~23のいずれか1つに記載の、又は(ii)実施形態15~23のいずれか1つに記載の方法によって生成された、農業用バイオコントロール組成物を植物、増殖の遺伝子座、又は植物生産物に適用することを含む、方法。
【0143】
27.栄養担体が、コーン胚芽から本質的になる、実施形態1~14若しくは20~23のいずれか1つに記載の組成物、又は実施形態15~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0144】
28.栽培領域が、デンプン製造工場付近にある、実施形態26又は27に記載の方法。
【0145】
29.1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種によって汚染された領域、又は汚染されるリスクのある領域における1つ以上の毒素産生性Aspergillus属種の農業用バイオコントロールのコストを低減するための方法であって、アフラトキシン低減有効量の(i)実施形態1~14、20~23、若しくは
27のいずれか1つに記載の、又は(ii)実施形態15~23若しくは27のいずれか1つに記載の方法によって生成された、農業用バイオコントロール組成物を当該領域に適用することを含む、方法。
【0146】
30.Aspergillusの非毒素産生性株の速い芽胞形成のための方法であって、
(1)非毒素産生性株の栄養担体としてコーン胚芽を得ることと、
(2)コーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することと、
(3)好適な条件下でAspergillusの非毒素産生性株を芽胞形成させることと、を含み、方法が、栄養担体としての同じ量のソルガム穀粒の使用と比較して、コーン胚芽1グラム当たり少なくとも2倍多く芽胞を約48時間以内に産生する、方法。
【0147】
31.コーンの湿式粉砕プロセスの副産物を利用するための方法であって、
(1)コーンの湿式粉砕プロセスの副産物としてコーン胚芽を生産することと、
(2)ステップ(1)で生産されたコーン胚芽をふるい分けして、破片を除去することと、
(3)ふるい分けしたコーン胚芽をAspergillusの非毒素産生性株と合わせて農業用バイオコントロール組成物を生成することと、を含む、方法。
【0148】
本明細書に引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、世界中の任意の国における有効な先行技術を構成するか、又は通常の一般知識の一部を形成することを認容するか又は示唆する任意の形態として解釈されるものではなく、解釈されるべきではない。
【0149】
特に定義されない限り、本明細書における全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載されている。引用された全ての刊行物、特許、及び特許公報は、全ての目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0150】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書のいかなる記載も、本発明が先行発明に基づくそのような出版物に先んじる権利を有さないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0151】
発明は、その特定の実施形態に関連して記載されているが、更なる修正が可能であり、本出願が以下の発明の任意の変形、使用、又は適応を網羅することを意図していること、一般に、本開示からのそのような逸脱を含む発明の原理が、発明が関連する当該技術分野において既知又は慣習的な実施内に含まれるものとして、本明細書に以前記載の不可欠な特色に適用することができるものとして、かつ添付の特許請求の範囲に従うものとして、理解されるであろう。