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特許7551654原子メモリの多重化光学アドレッシングのための系および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】原子メモリの多重化光学アドレッシングのための系および方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20240909BHJP
   G02F 3/00 20060101ALI20240909BHJP
   G06E 3/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G02F1/035
G02F3/00
G06E3/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021568239
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020033100
(87)【国際公開番号】W WO2020236574
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】62/849,278
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】クリステン,イアン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド,ダーク,アール.
(72)【発明者】
【氏名】バーニアン,ハネス
(72)【発明者】
【氏名】オムラン,アーメド
(72)【発明者】
【氏名】キースリング コントレラス,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レビン,ハリー,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーキン,ミハイル,ディー.
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-045453(JP,A)
【文献】特開平01-158413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0193557(US,A1)
【文献】特開2006-018120(JP,A)
【文献】DEBNATH, S et al.,Demonstration of a small programmable quantum computer with atomic qubits,Nature,2016年08月03日,Vol. 536, No. 7614,pp.63-66
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00- 1/125, 1/21-7/00
B82B 1/00- 3/00
B82Y 5/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換するように適合された動力送達モジュール;
動力送達モジュールに光学的にカップリングされた少なくとも1つの光変調器、ここで該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;および
その中にトラップ面を有する真空チャンバー、ここで該真空チャンバーは、トラップ面でトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合され、複数の光チャンネルのそれぞれは、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされる、
を含む、複数の光チャンネルを光学的に変調するための系であって、該少なくとも1つの光変調器が、複数の電気光学的に制御されたマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を含み、複数のMZIのそれぞれが光チャンネルの1つを変調するように適合される、系
【請求項2】
動力送達モジュールに光学的にカップリングされたコヒーレント光源をさらに含む、請求項1記載の系。
【請求項3】
動力送達モジュールが、少なくとも1つのビームスプリッタおよび光ファイバーアレイを含む、請求項1または2記載の系。
【請求項4】
動力送達モジュールが、少なくとも1つのビームスプリッタを変調するように適合された少なくとも1つの電気的に制御された光変調器を含む、請求項3記載の系。
【請求項5】
少なくとも1つの光変調器が、複数の光チャンネルのそれぞれの上のシグナル振幅を変調するように構成される、請求項1~4いずれか記載の系。
【請求項6】
少なくとも1つの光変調器がフォトニック集積回路(PIC)である、請求項1~5いずれか記載の系。
【請求項7】
複数のMZIのそれぞれが、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、AlxGa1-xN、SiN、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BTO)またはアルミナから選択される材料を含む導波路を含む、請求項記載の系。
【請求項8】
該材料がニオブ酸リチウムである、請求項記載の系。
【請求項9】
少なくとも1つの光変調器がシリコンオン絶縁体(SOI)フォトニック集積回路(PIC)を含み、該SOI PICが、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される、請求項1~6いずれか記載の系。
【請求項10】
SOI PICに光学的にカップリングされた周波数変換モジュールをさらに含む系であって、該周波数変換モジュールが、第1の周波数を有する光シグナルを、第2の周波数を有する光シグナルに変換するように適合される、請求項記載の系。
【請求項11】
少なくとも1つの光変調器が基板上に配置され、複数の光チャンネルのそれぞれが出力導波路を含む、請求項1~10いずれか記載の系。
【請求項12】
複数の出力導波路が一次元出力アレイを形成するように構成される、請求項11記載の系。
【請求項13】
二次元出力アレイを形成するように構成される複数の積層された光変調器を含む、請求項12記載の系。
【請求項14】
複数の出力導波路のそれぞれが補助的導波路に光学的にカップリングされ、該補助的導波路が、二次元出力アレイを形成するように構成される、請求項12記載の系。
【請求項15】
それぞれの出力導波路が回格子に光学的にカップリングされる、請求項11記載の系。
【請求項16】
格子が二次元出力アレイを形成するように構成される、請求項15記載の系。
【請求項17】
マイクロレンズアレイをさらに含む系であって、アレイのそれぞれのマイクロレンズが、回格子の1つに光学的にカップリングされる、請求項16記載の系。
【請求項18】
それぞれの出力導波路が、第1の波長のトラップビームを運ぶように構成され、基板が複数のゲート導波路をさらに含み、それぞれのトラップ導波路が、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされ、それぞれのゲート導波路が、第1の波長とは異なる第2の波長のゲートビームを運ぶように構成される、請求項1117いずれか記載の系。
【請求項19】
少なくとも1つの出力導波路および少なくとも1つのゲート導波路が光学的にカップリングするように構成され、それにより合わされた波長多重化ゲート/トラップビームを生じる、請求項18記載の系。
【請求項20】
コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換する工程;
複数の光チャンネルを少なくとも1つの光変調器に送達する工程、ここで少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;
複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程;および
複数の光チャンネルの少なくとも1つを、真空チャンバーのトラップ面に配置された複数のトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングする工程、ここで該真空チャンバーは、その中で複数のトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合される、
を含む、複数の光チャンネルを光学的に変調するための方法であって、複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程が、複数のマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を電気光学的に制御することにより複数の光チャンネルのそれぞれの上のシグナル振幅を変調することを含み、複数のMZIのそれぞれが光チャンネルの1つを変調する、方法
【請求項21】
第1の周波数を有する光シグナルを、第2の周波数を有する光シグナルに周波数変換する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2019年5月17日に出願された米国仮出願第62/849,278の利益を主張し、該出願は、その全体において参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
リュードベリ相互作用を有する中性原子のアレイは、量子コンピューター計算のための強力なプラットフォーム(platform)として現れている。それらの全体において参照により本明細書に援用されるHannes Bernien, Sylvain Schwartz, Alexander Keesling, Harry Levine, Ahmed Omran, Hannes Pichler, Soonwon Choi, et al., Probing Many-Body Dynamics on a 51-Atom Quantum Simulator, Nature 551 (7682): 579-84 (2017);Manuel Endres, Hannes Bernien, Alexander Keesling, Harry Levine, Eric R. Anschuetz, Alexandre Krajenbrink, Crystal Senko, Vladan Vuletic, Markus Greiner, and Mikhail D. Lukin, Atom-by-Atom Assembly of Defect-Free One-Dimensional Cold Atom Arrays, Science 354 (6315): 1024-27 (2016)参照。より一般的なアルゴリズムを実現するために、個々の原子を光学的にアドレッシング(addressing)するための方法を開発することが必要である。原子のアレイまたは固体中の欠陥もしくはトラップされたイオン(例えばダイアモンド中の窒素-空孔(vacancy))のアレイなどの多体量子系の大規模化可能な(scalable)光学的制御は、特定の波長での多くの光チャンネルの正確な変調を必要とする。しかしながら現在利用可能な光学系は、数十~数百のレーザービームの、必要とされる波長(例えば370nm、420nm、780nmおよび1013nm)で密に間隔が開けられた(例えば3μm)原子への送達、50dBを超えるそれぞれのチャンネル上のオン-オフ振幅変調コントラスト、位相変調コントラスト、370nm、420nmおよび780nmの波長で1ビーム当たり1mWまでならびに1013nmで10mWまでの光学的動力(optical power)を含む所望の性能要件を満たすことができない。
【0003】
そのため、原子メモリの多重化光学アドレッシングのための系および方法についての継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
例示的態様において、本開示は、複数の光チャンネルを光学的に変調するための系を提供し、該系は、コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換するように適合される動力送達モジュール、および動力送達モジュールに光学的にカップリングされた少なくとも1つの光変調器を含み、該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される。該系はさらに、その中にトラップ面(trapping plane)を有する真空チャンバーを含み、該真空チャンバーは、トラップ面でトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生じるように適合され、ここで複数の光チャンネルのそれぞれは、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされる。
【0005】
別の例示的な態様において、本開示は、複数の光チャンネルを光学的に変調するための方法を提供し、該方法は、コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換する工程、複数の光チャンネルを少なくとも1つの光変調器に送達する工程、ここで少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程、および複数の光チャンネルの少なくとも1つを、その中の複数のトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合された真空チャンバーのトラップ面に配置される複数のトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングする工程を含む。
【0006】
上記の系および方法は、量子情報処理における用途のための多くの原子または原子様の系への正確なレーザー送達などの多くの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
開示される主題の種々の目的、特徴および利点は、以下の図面に関して考慮される場合に開示される主題の以下の詳細な説明を参照してより十分に理解され得、該図面において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
図1A図1Aは、本明細書に記載される系の光学的列(train)の例示的態様を示す概略図である。
図1B図1Bは、本明細書に記載される系の例示的態様において使用されるフォトニック集積回路を示す概略図である。
図1C図1Cは、本明細書に記載される系の例示的態様において使用されるフォトニック集積回路を示す別の概略図である。
図1D-E】図1Dは、本明細書に記載される系において使用され得るフォトニック集積回路の例示的態様を示す概略図である。図1Eは、本明細書に記載される系の例示的態様を示す概略図である。
図1F-G】図1Fは、本明細書に記載される系の例示的態様において使用されるフォトニック集積回路の側面図を示す概略図である。図1Gは、図1Fに示されるフォトニック集積回路の上面図を示す概略図である。
図2A図2Aは、本明細書に記載される系において使用され得る光変調器の例示的態様を示す概略図である。
図2B図2Bは、マイクロレンズアレイを使用する本明細書に記載される系の例示的態様を示す概略図である。
図3A図3Aは、本明細書に記載される系により使用され得るフォトニック集積回路の配置の例示的態様を示す概略図である。
図3B図3Bは、本明細書に記載される系により使用され得るフォトニック集積回路の配置の別の例示的態様を示す概略図である。
図4図4は、本明細書に記載される系の光変調器の例示的態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
いくつかの態様によると、本開示は、量子情報処理における用途のための多くの原子または原子様の系への正確なレーザー送達のための方法および系を記載する。いくつかの例示的な実施において、ナノフォトニック光変調器のアレイを含むフォトニック集積回路(PIC)の系は、原子の1Dおよび2Dアレイの高速同時制御を可能にする。量子情報処理のコア構成要素である多キュービットゲートは、両方の原子がリュードベリ状態にある場合に、強力でコヒーレントな相互作用を経験する隣接する原子を励起することにより適用され得る。この技術は潜在的に、量子現象の観測を越え、多体量子系の大規模制御に向かう新世代の量子実験を可能にする。原子の1Dおよび2Dアレイの高速同時制御のためのPICにおけるナノフォトニック光変調器のアレイが本明細書に記載され、これは、ニオブ酸リチウムオン絶縁体技術(lithium niobate-on-insulator technology)、続いて光学トラップのアレイにおける個々のルビジウム原子のリュードベリ遷移を制御するためのニオブ酸リチウム(LN)および窒化アルミニウムオンサファイア(aluminum nitride-on-sapphire)などの広いバンドギャップ材料における活性の(active)UV可視赤外フォトニクス(UV-visible-infrared photonics)に基づくPICにより開始される。その全体において参照により本明細書に援用されるLu, Tsung-Ju, Michael Fanto, Hyeongrak Choi, Paul Thomas, Jeffrey Steidle, Sara Mouradian, Wei Kong, Di Zhu, Hyowon Moon, Karl Berggren, Jeehwan Kim, Mohammad Soltani, Stefan Preble, and Dirk Englund, 「Aluminum Nitride Integrated Photonics Platform for the Ultraviolet to Visible Spectrum.」 Optics Express 26 (9): 11147-60 (2018)参照。いくつかの操作上の要件のうち、フォトニクスは、λ=420nmの波長、それぞれの原子でまで100μWの光学的動力、ならびに>4V変調および40dB減衰(extinction)を伴うナノ秒切り替え時間で高速パルスを送達することを必要とする。
【0009】
図1Aは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、複数の光チャンネルを光学的に変調するための系100の光学的列の例示的態様を示す概略図である。図1Aおよび1Bに示されるように、特定の態様において、動力送達モジュール130は、コヒーレント光ビーム120を複数の光チャンネル(例えば光チャンネル140a、140bおよび140cの16チャンネルを図1Bに示す)に変換するように適合される。いくつかの例示的態様において、コヒーレント光ビーム120は、複数の光チャンネル140a、140b、140c等に光学的にカップリングされる光ファイバーアレイ125を介して動力送達モジュール130に光学的にカップリングされるコヒーレント光源110により生成される。いくつかの態様において、動力送達モジュールは、光ファイバーアレイ125に加えて、それに光学的にカップリングされるかまたはその一部として、少なくとも1つのビームスプリッタ(示さず)を含む。これらの態様のあるものにおいて、動力送達モジュールは、少なくとも1つのビームスプリッタ(示さず)を変調するように適合される少なくとも1つの電気的に制御された光変調器を含む。光学系100はまた、動力送達モジュール130に光学的にカップリングされる少なくとも1つの光変調器(図1Bに示される150a、150b、150c等)を含む。光変調器150a、150b、150c等は、複数の光チャンネル140a、140b、140c等のそれぞれを光学的に変調するように適合される。図1Bに示される例示的態様において、変調の際に、光チャンネル140は、以下に詳細に記載されるフォトニック集積回路(PIC)160の縁159で、出力導波路155a、155b、155c等のアレイに広げられ得る。導波路155a、155b、155c等のアレイからの光は、対物レンズ189(図1A)、例えば高い(例えば0.9)開口数(NA)の対物レンズにより収集される。導波路155a、155b、155c等のアレイからの光は典型的に、一方向に偏光し、そのために図1Aに示されるように、対物レンズ189により生じたビーム175は、導波路155a、155b、155c等により運ばれる光シグナルを含む。ビーム175は、レンズ176および178により、ピンホール177、他の方向に偏光した迷光を除去するためのクリーンナップ偏光子180、迷走した非線形変換(stray non-linear conversion)187を除去するための光クリーンナップフィルター(例えばダイクロイックミラー)182を通って誘導され得、次いで1/2波(half-wave)(λ/2)プレート179および1/4波(quarter wave)(λ/4)プレート181により所望の(例えば円)偏光に変換され得、その後ミラー186および対物レンズ185により真空チャンバー195内部のトラップされた粒子(例えば原子)190のアレイに投影され得る。フリップミラー183および整列カメラ184も図1Aに示す。真空チャンバー195は、その中にトラップ面191を有し、真空チャンバー195は、トラップされた粒子のアレイ190がアドレス可能であるように適合される。図1Aに示される光学的列は、図1Bに示される複数の光チャンネル140a、140b、140c等のそれぞれがアレイ190のトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされるように構成される。
【0010】
図1Cに移ると、フォトニック集積回路(PIC)160の例示的態様が示される。PIC 160は、光変調器150a、150b、150c等および出力導波路155a、155b、155c等のアレイを含み、400nm~1600nmの範囲の波長で光学的に透明(すなわちAbs≦0.1)である基板105上に作製され得る。基板105についての適切な材料としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、AlxGa1-xN、窒化ケイ素(SiN)、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BTO)またはアルミナが挙げられる。ニオブ酸リチウム、特にMgOドーピングニオブ酸リチウムは、以下にさらに記載されるように、ミリメートルスケールの電気光学的に制御された光変調器の作製を可能にする優れた電気光学的特性を有する。図1Cにも示されるように、動力送達モジュール130および複数の光チャンネル140a、140b、140c等も、基板105上に作製され得る。
【0011】
図1Bに戻ると、いくつかの例示的な態様において、光変調器150a、150b、150c等はそれぞれ、電気光学的に制御されたマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を含み、複数のMZIのそれぞれは、光チャンネル140a、140b、140c等の1つを変調するように適合される。1つのMZIの構成要素、1つの制御光チャンネル140aは、明確化のために図1Bにおいて標識される。図1Bに示されるように、MZIにおいて、2つの50:50方向性カプラー(directional coupler)151aおよび151bは、2つの入力アーム152aおよび152bにより連結される。2つの入力アーム152aと152bの間の相対的位相シフトは、電気光学(EO)効果のために入力アーム152a上の屈折率(位相)を変化させる、入力アーム152aにかけられる電圧V0により誘導される。位相差は、入力アーム152aおよび出力アーム153bのカップリング比を変化させる。カップリング比を制御することにより、光学的動力出力は、出力方向性カプラー151bの1つの出力ポート153aから、出力導波路155aに連結される他の出力ポート153bへと切り替わり、それにより複数の光チャンネル140aのそれぞれのシグナル振幅が変調される。
【0012】
別の例示的態様において、本明細書に記載される系により使用され得る光変調器は、MZIにカップリングされた同調可能共振器(tunable resonator)を含む。この態様は、窒化アルミニウム(AlN)における電気光学(EO)位相シフトなどの比較的弱いEO位相シフトを使用して、かなり大きな効果を生じるために共鳴効果を利用する。1つ以上のかかる態様によると、図2Aに光変調器200が示される。図1A~1Dに示される光変調器150a、150b、150c等と同様に、光変調器200は、光チャンネル140a、140b、140c等の1つを変調するように適合され得る。光変調器200は、導波路220にカップリングされるループ210を含む共振器215を含む。臨界カップリングと称される条件が満足される場合、すなわちループ210における損失が入力と等しい場合およびループ210が光学的入力204の波長で共鳴する場合、光学動力は導波路204から完全に除去され、完全なオフスイッチ(off switch)を生じる。光学動力を迅速にオンに戻すために、EO効果を使用して、共振からループ210をわずかに離調し得る。この光変調スキームは、波長の正確な値が不定(arbitrary)である場合に十分に働く。変調された波長が特定の原子遷移により画定される場合、例えばランダム作製誤差(random fabrication error)が共振および臨界カップリング条件の両方に影響を及ぼし得、EO効果がこれらの誤差を十分に補正(correct)しない可能性があるので、さらなる同調が必要になる。臨界カップリング条件は、カップリング接合をMZI 230で置き換えることによりさらに同調され得る。共振および臨界カップリング条件の両方は、材料を加熱するために必要な時間のために、典型的におよそマイクロ秒で比較的ゆっくりである熱光学効果を使用して、局所ヒーターにより同調され得る。図2Aに示されるように、臨界カップリング条件は、カップリングをMZI 230で置き換えることにより同調され、MZIの1つのアーム250は、MZIヒーター245を備える。共振器215も共振器ヒーター247を備える。AlN同調のための標準的な幾何学を図2Aに示す:2つの接地電極225aおよび225bは導波路220aおよび220bにまたがり(straddle)、EOシグナル電極235は導波路220aおよび220bからの誘電体により緩衝される(buffered)。この幾何学は、AlN中のEO効果の方向であるz方向に場を生じる。DC電極240aおよび240bを通して、共振器ヒーター247およびMZIヒーター245として働くより高い抵抗性の金属電極(例えばチタン)に、ならびに熱光学同調のために接地電極225aおよび225bに電流を注入する。低い抵抗性(例えばAu)の上方の電極240aおよび240bはまた、非局所的な加熱を最小化して、デバイスに電流を伝送する(bus)ために使用される。この光変調器の動力要件を低減し、熱クロストークを低減し、小型であること(compactness)を増加するために、基板に断熱溝をエッチングし得(基板よりもかなり低い熱伝導性を有する空気)、それ自体の島上にそれぞれのヒーターを配置する。ブリッジは、導波路および電気的連結を支持するように保持される。回折格子260は、導波路206を通って移動する変調された出力シグナルを再度方向づける。
【0013】
MZIにカップリングされた同調可能共振器200a、200b、200c等のアレイを含むデバイス290を図2Bに示す。それぞれの回折格子(図2Bには示さず、図2Aで260と標識する)の出力は、マイクロレンズアレイ275を使用して高NAビームに変換され得る。それぞれの回折格子は、NA変換のためのそれ自体のレンズ276a、276b、276c等を有する。光学軸の外部のそれぞれのマイクロレンズ276a、276b、276c等の表面上の点は、遮断され得る異なる方向で平行にされる(collimate)。また、回折格子(示さず)の周囲に金属を作製して、それぞれのマイクロレンズの焦点に十分に近い迷光を抑制し得る。金属(例えばクロム)は、所望のレンズを通って移動しない光を除去するために、マイクロレンズアレイ275の面で作製され得る。代替的に、光変調器200a、200b、200c等のアレイが透明なフォトニック基板205上に形成される場合、基板205(示さず)の底部表面にマイクロレンズが作製され得、完全に集積されたデバイスが作製される。
【0014】
本明細書に記載される光変調器から、変調された出力を抽出する種々の態様を以下に提供する。
【0015】
図1Dに示されるように、いくつかのPIC 160a、160b、160c等は、それらの縁159a、159b、159c等が小さな角度(fine angle)(例えば≦10°の角度)まで磨かれるように製造され得、それぞれのPICについての出力導波路155a、155b、155c等の一次元アレイの組合せが二次元(2D)出力アレイを形成するように整列され得る。代替的に、図1Eに示されるように、単一のPIC 160は、2D出力アレイ157を形成するように導波路156a、156b、156c等のアレイに光学的にカップリングされ得る。
【0016】
図3Aに示されるように、いくつかの例示的な態様によると、光変調器320a、320b、320c等を含む光変調器アレイ300において、導波路330a、330b、330c等により運ばれる変調された出力シグナルは、回折格子アレイ310を通って出力される。回折格子310a、310b、310c等は、2Dまたは1Dパターンで整列され得る。代替的に、図3Bに示されるように、光変調器アレイ350を示す。アレイ350において、各光変調器355a、355b、355c等は、回折格子365a、365b、365c等と隣接して配置され得、単一ポンプ導波路340は、導波路351a、351b、351c等を介して、光学動力を各光変調器355a、355b、355c等に供給する。いくつかの態様において、単一ポンプ導波路340はそれぞれの列を供給し得、ここでピックオフカプラー(示さず)がそれぞれの格子カップリング変調器355a、355b、355c等についての光学動力の一部を取る。
【0017】
上述のUV可視PIC上420nmでレーザービームを変調することの代替として、この活性な(active)機能は、既に確立されたPIC技術:シリコンオン絶縁体(silicon-on-insulator)(SOI) PICを使用して達成され得る。図4に示されるSOI PIC 410などのSOI PIC技術は、数十~数百の入力導波路420を変調するために利用可能であり、SOIキャリア空乏変調(carrier depletion modulation)は、高い速度(20GHzを超える)を有し得、比較的高い動力(10mWを超える)を変調し得る。例えばElenion Technologies, New York, NY参照。かかるSOI PICは、NIR-IR波長(λ=1,100~1,700nm)における入力導波路420により保有される必要とされる数の光チャンネルを変調するために使用され得る。変調された出力ビーム430は、1,100nmの波長を超える原子光学遷移を制御するために使用され得る。UV原子光学遷移を制御するために、変調された出力ビーム430は続いて、SOI PIC 410を周波数変換モジュール440にカップリングすることにより例えば420nmへと周波数変換され得る。AlNまたはLN導波路のPIC 440は、第1の周波数を有する光学シグナルを、第2の周波数を有する光学シグナルに変換するように適合され得る。PIC 440内で、1,680nmから840nmおよび次いで420nmへの二段階で起こる第二次高調波発生(SHG)工程が行われ得るか、または図4に示されるように、約570nmで黄色(例えば色素)レーザー(入力445)を使用して、1550nm(変調されたSOI PIC出力430)から420nm出力450への和周波発生(SFG)が行われ得るか、または約1,300nmの変調されたSOI PIC出力430と620nmのポンプ(入力445としても示される)を合わせて、420nmで出力(ビーム450)を生じる。導波路440は、周波数変換における位相整合のために、周期分極(periodically poled)され得るかまたは幅変調(width modulated)され得る。
【0018】
本明細書に記載される系の種々の態様において、真空チャンバーの外部に配置されるPICの出力は、真空チャンバーの内部に位置するトラップされた粒子のアドレス可能なアレイ上に画像化される。この整列はいくつかの利点を有する。第1に、PICへの光学的および電気的なアクセスは、真空チャンバーの真空シールを通過する必要がなく、真空チャンバーの真空性能を向上し、その複雑さを低減する。第2に、操作の間、PICの表面は、トラップされた粒子のアドレス可能なアレイの性能に負に影響し得る望ましくない電場および磁場を生じ得る。第3に、操作の間に、PICは、真空チャンバー内部の真空および量子メモリとしてのアドレス可能なアレイの性能を低下し得る熱ゆらぎを生じ得る。
【0019】
いくつかの態様において、本発明のPICは、フォトニックハードウェアおよびトラップされた粒子を含む真空チャンバーの起こり得る相対的な動きの問題を解決する。この問題は、同じPICに、トラップ(ピンセット(tweezer))ビームおよびゲート(制御)ビームなどの複数の波長のビームを制御させ、次いで原子アレイ上に該ビームを連帯的に投影させることにより解決され得る。かかる整列は有利に、2種類のビームを扱うフォトニックハードウェアの小さな動きを説明することを可能にするので、原子は、ゲートビームの光学場内に残りながら、ピンセットビームの任意の小さな動きと一緒に引きずられる。(特定の態様において、PICの振動性の動きは数十Hz未満になるようにさらに弱められ得るので、原子は加熱されない。)近くの波長(すなわち中心波長の約20~30%の範囲内の波長)は、アレイ導波路回折格子、非対称の(unbalanced)マッハ・ツェンダー干渉計アド・ドロップマルチプレクサまたは共振器系アド・ドロップフィルターなどの波長分割多重化デバイスを使用して、同じ導波路上に容易に合わされ得る。例えば、ルビジウム(Rb)原子を制御するために、780nm(D2ライン)および795nm(D1ライン)のチャンネルは、約800~810nmのトラップビームと一緒になって、フォトニック集積回路の同じ層を使用して全て制御され得る。上述のように、2光子リュードベリ遷移は、420nmおよび1013nmでさらなるレーザー場を使用する。単一モード導波路操作が依然として確実にされるので、1013nmの波長は同じ導波路上で約800nmの波長と合わされ得るが、1013nmのレーザー場は、800nmの波長よりもわずかに大きいエバネッセント(evanescent)場を有する。420nmのレーザー場は波長が短すぎて、同じ導波路層中で容易に制御されない。
【0020】
ここで図1Fおよび図1Gを参照して、一例として420nmのリュードベリレーザー場を考慮すると、420nmのリュードベリレーザー場(1つの第2の層ゲート導波路170aのみを示す)などの第2の波長のゲートビームを運ぶように構成されたゲート導波路のさらなる(第2の)層が、基板105に付加され得、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされる第1の層のトラップ導波路(すなわち導波路155a、b、c等;1つの第1の層の導波路155dのみを図1Fおよび図1Gに示す)から分離され得る。第2の層のゲート導波路170a等は、図1Bに示されるPIC 160上に配置され得る。これらの第2の層のゲート導波路170a等は、基板105の作製の間にPICに付加され得る。図1Fおよび図1Gに示されるように、第2の層のゲート導波路170a等は、図1Fにおいて概略的であり一定の割合ではなく示されるように、クラッディング106により第1の層の導波路155a、b、c、d等から分離され得る。例示的な態様において、クラッディングは少なくとも2μmの二酸化ケイ素(SiO2)であり得る。図1Fに示されるように、それぞれが導波路材料の内部のそれぞれの波長の半分にほぼ等しい断面直径を有する2つの隣接する導波路(図1Fおよび図1Gに示される155dおよび170aなど)は、導波路155dおよび170aに関して図1Gで図示されるように、2つの導波路の少しずつずらした断熱的テーパリング(staggered adiabatic tapering)を通って1つのチャンネルに光学的にカップリングされ得る。より細い導波路170aの先細りする部分171aは、図1Gに示されるように、導波路170aの長さに沿って、より厚い導波路155dの先細りする部分161dよりも縁159に近くで始まる。これにより、より短い波長のエバネッセント場172a(例えば青色光)を、第1の層の導波路、例えば導波路155dの単一モードセクションのみを使用して、第2の層の導波路、例えば導波路170aから消えていくように移動させることが可能になり、短い波長のエバネッセント場172aおよびわずかに大きく長い波長のエバネッセント場162dの両方は、PICの縁159で同じ点でPICから出ていき、それにより合わされた多重化ゲート/トラップビームが生じる。
【0021】
したがって、第1の例示的態様において、本発明は、複数の光チャンネルを光学的に変調するための系である。第1の例示的態様の第1の局面において、該系は、コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換するように適合された動力送達モジュール;動力送達モジュールに光学的にカップリングされた少なくとも1つの光変調器、ここで該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;およびその中にトラップ面を有する真空チャンバー、ここで該真空チャンバーは、トラップ面でトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合される、を含み;複数の光チャンネルのそれぞれは、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされる。
【0022】
第1の例示的態様の第2の局面において、該系は、動力送達モジュールに光学的にカップリングされたコヒーレント光源をさらに含む。
【0023】
第1の例示的態様の第3の局面において、該動力送達モジュールは、少なくとも1つのビームスプリッタおよび光ファイバーアレイを含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第2の局面に関して上述されるとおりである。
【0024】
第1の例示的態様の第4の局面において、該動力送達モジュールは、少なくとも1つのビームスプリッタを変調するように適合された少なくとも1つの電気的に制御された光変調器を含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第3の局面に関して上述されるとおりである。
【0025】
第1の例示的態様の第5の局面において、該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれ上のシグナル振幅を変調するように構成される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第4の局面に関して上述されるとおりである。
【0026】
第1の例示的態様の第6の局面において、該少なくとも1つの光変調器はフォトニック集積回路(PIC)である。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第5の局面に関して上述されるとおりである。
【0027】
第1の例示的態様の第7の局面において、該少なくとも1つの光変調器は、複数の電気光学的に制御されたマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を含み、複数のMZIのそれぞれは光チャンネルの1つを変調するように適合される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6の局面に関して上述されるとおりである。
【0028】
第1の例示的態様の第8の局面において、複数のMZIのそれぞれは、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、AlxGa1-xN、SiN、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BTO)またはアルミナから選択される材料を含む導波路を含む。一例示的態様において、該材料はニオブ酸リチウムである。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第7の局面に関して上述されるとおりである。
【0029】
第1の例示的態様の第9の局面において、該少なくとも1つの光変調器は、複数の同調可能共振器を含み、該複数の同調可能共振器のそれぞれは、光チャンネルの1つを変調するように適合される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6の局面に関して上述されるとおりである。
【0030】
第1の例示的態様の第10の局面において、複数の同調可能共振器のそれぞれは、導波路ループおよびMZIを含むマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)にカップリングされた共振器である。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6および第9の局面に関して上述されるとおりである。
【0031】
第1の例示的態様の第11の局面において、それぞれの導波路ループは、導波路ループの屈折率を調節するように適合された、電気光学的に制御されたセクションを含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6および第9~第10の局面に関して上述されるとおりである。
【0032】
第1の例示的態様の第12の局面において、該同調可能共振器は、導波路ループの屈折率を調節するように適合された導波路加熱要素を含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6および第9~第11の局面に関して上述されるとおりである。
【0033】
第1の例示的態様の第13の局面において、該MZIは第1のアームおよび第2のアームを含み、該同調可能共振器は、少なくとも第1または第2のアームの屈折率を調節するように適合されたMZI加熱要素を含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6および第9~第12の局面に関して上述されるとおりである。
【0034】
第1の例示的態様の第14の局面において、該少なくとも1つの光変調器はシリコンオン絶縁体(SOI)フォトニック集積回路(PIC)を含み、該SOI PICは、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6の局面に関して上述されるとおりである。
【0035】
第1の例示的態様の第15の局面において、該系は、SOI PICに光学的にカップリングされた周波数変換モジュールをさらに含み、該周波数変換モジュールは、第1の周波数を有する光シグナルを、第2の周波数を有する光シグナルに変換するように適合される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6および第14の局面に関して上述されるとおりである。
【0036】
第1の例示的態様の第16の局面において、該少なくとも1つの光変調器は基板上に配置され、複数の光チャンネルのそれぞれは出力導波路を含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第15の局面に関して上述されるとおりである。
【0037】
第1の例示的態様の第17の局面において、該複数の出力導波路は、一次元出力アレイを形成するように構成される。
【0038】
該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第16の局面に関して上述されるとおりである。
【0039】
第1の例示的態様の第18の局面において、該系は、二次元出力アレイを形成するように構成される複数の積層された光変調器を含む。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第18の局面に関して上述されるとおりである。
【0040】
第1の例示的態様の第19の局面において、複数の出力導波路のそれぞれは補助的導波路に光学的にカップリングされ、該補助的導波路は、二次元出力アレイを形成するように構成される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第18の局面に関して上述されるとおりである。
【0041】
第1の例示的態様の第20の局面において、それぞれの出力導波路は回折格子に光学的にカップリングされる。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第19の局面に関して上述されるとおりである。
【0042】
第1の例示的態様の第21の局面において、該回折格子は二次元出力アレイを形成するように構成される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第21の局面に関して上述されるとおりである。
【0043】
第1の例示的態様の第22の局面において、該系は、マイクロレンズアレイをさらに含み、アレイのそれぞれのマイクロレンズは、回折格子の1つに光学的にカップリングされる。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第21の局面に関して上述されるとおりである。
【0044】
第1の例示的態様の第23の局面において、それぞれの出力導波路は、第1の波長のトラップビームを運ぶように構成され、基板は複数のゲート導波路をさらに含み、それぞれのトラップ導波路は、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされ、それぞれのゲート導波路は、第1の波長とは異なる第2の波長のゲートビームを運ぶように構成される。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第22の局面に関して上述されるとおりである。
【0045】
第1の例示的態様の第24の局面において、少なくとも1つの出力導波路および少なくとも1つのゲート導波路は光学的にカップリングするように構成され、それにより合わされた波長多重化ゲート/トラップビームを生じる。該系の他の特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第23の局面に関して上述されるとおりである。
【0046】
第2の例示的態様において、本発明は、複数の光チャンネルを光学的に変調するための方法500である。第2の例示的態様の第1の局面において、該方法は、コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換する工程510;該複数の光チャンネルを少なくとも1つの光変調器に送達する工程520、ここで該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程530;および複数の光チャンネルの少なくとも1つを、真空チャンバーのトラップ面に配置された複数のトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングする工程540、ここで該真空チャンバーは、その中に複数のトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合される、を含む。
【0047】
いくつかの例示的な態様はこのように記載されるが、種々の変形、改変および向上は、当業者に容易であることが理解される。かかる変形、改変および向上は、本開示の一部を形成することが意図され、本開示の精神および範囲内にあることが意図される。本明細書に示されるいくつかの例は、機能または構造的要素の特定の組合せを含むが、これらの機能および要素は、同じまたは異なる目的を達成するために、本開示による他の方法において組み合され得ることが理解されるべきである。特に、一態様に関して議論される行為、要素および特徴は、他の態様における同様または他の役割から排除されることは意図されない。さらに、本明細書に記載される要素および構成要素はさらに、さらなる構成要素に分割されるかまたは一緒に合わされて、同じ機能を行うためのより少ない構成要素を形成し得る。従って、前述の記載および添付の図面は、例示のみのものであり、限定を意図しない。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換するように適合された動力送達モジュール;
動力送達モジュールに光学的にカップリングされた少なくとも1つの光変調器、ここで該少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;および
その中にトラップ面を有する真空チャンバー、ここで該真空チャンバーは、トラップ面でトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合され、複数の光チャンネルのそれぞれは、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされる、
を含む、複数の光チャンネルを光学的に変調するための系。
項2
動力送達モジュールに光学的にカップリングされたコヒーレント光源をさらに含む、項1記載の系。
項3
動力送達モジュールが、少なくとも1つのビームスプリッタおよび光ファイバーアレイを含む、項1または2記載の系。
項4
動力送達モジュールが、少なくとも1つのビームスプリッタを変調するように適合された少なくとも1つの電気的に制御された光変調器を含む、項3記載の系。
項5
少なくとも1つの光変調器が、複数の光チャンネルのそれぞれの上のシグナル振幅を変調するように構成される、項1~4いずれか記載の系。
項6
少なくとも1つの光変調器がフォトニック集積回路(PIC)である、項1~5いずれか記載の系。
項7
少なくとも1つの光変調器が、複数の電気光学的に制御されたマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を含み、複数のMZIのそれぞれが光チャンネルの1つを変調するように適合される、項1~6いずれか記載の系。
項8
複数のMZIのそれぞれが、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、Al x Ga 1-x N、SiN、二酸化チタン(TiO 2 )、チタン酸バリウム(BTO)またはアルミナから選択される材料を含む導波路を含む、項7記載の系。
項9
該材料がニオブ酸リチウムである、項8記載の系。
項10
少なくとも1つの光変調器が、複数の同調可能共振器を含み、該複数の同調可能共振器のそれぞれが、光チャンネルの1つを変調するように適合される、項1~6いずれか記載の系。
項11
複数の同調可能共振器のそれぞれが、導波路ループおよびMZIを含むマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)にカップリングされた共振器である、項10記載の系。
項12
それぞれの導波路ループが、導波路ループの屈折率を調節するように適合された、電気光学的に制御されたセクションを含む、項11記載の系。
項13
同調可能共振器が、導波路ループの屈折率を調節するように適合された導波路加熱要素を含む、項11または12記載の系。
項14
MZIが第1のアームおよび第2のアームを含み、同調可能共振器が、少なくとも第1または第2のアームの屈折率を調節するように適合されたMZI加熱要素を含む、項11~13いずれか記載の系。
項15
少なくとも1つの光変調器がシリコンオン絶縁体(SOI)フォトニック集積回路(PIC)を含み、該SOI PICが、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される、項1~6いずれか記載の系。
項16
SOI PICに光学的にカップリングされた周波数変換モジュールをさらに含む系であって、該周波数変換モジュールが、第1の周波数を有する光シグナルを、第2の周波数を有する光シグナルに変換するように適合される、項15記載の系。
項17
少なくとも1つの光変調器が基板上に配置され、複数の光チャンネルのそれぞれが出力導波路を含む、項1~16いずれか記載の系。
項18
複数の出力導波路が一次元出力アレイを形成するように構成される、項17記載の系。
項19
二次元出力アレイを形成するように構成される複数の積層された光変調器を含む、項18記載の系。
項20
複数の出力導波路のそれぞれが補助的導波路に光学的にカップリングされ、該補助的導波路が、二次元出力アレイを形成するように構成される、項18記載の系。
項21
それぞれの出力導波路が回折格子に光学的にカップリングされる、項17記載の系。
項22
回折格子が二次元出力アレイを形成するように構成される、項21記載の系。
項23
マイクロレンズアレイをさらに含む系であって、アレイのそれぞれのマイクロレンズが、回折格子の1つに光学的にカップリングされる、項22記載の系。
項24
それぞれの出力導波路が、第1の波長のトラップビームを運ぶように構成され、基板が複数のゲート導波路をさらに含み、それぞれのトラップ導波路が、アドレス可能なアレイのトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングされ、それぞれのゲート導波路が、第1の波長とは異なる第2の波長のゲートビームを運ぶように構成される、項17~23いずれか記載の系。
項25
少なくとも1つの出力導波路および少なくとも1つのゲート導波路が光学的にカップリングするように構成され、それにより合わされた波長多重化ゲート/トラップビームを生じる、項24記載の系。
項26
コヒーレント光ビームを複数の光チャンネルに変換する工程;
複数の光チャンネルを少なくとも1つの光変調器に送達する工程、ここで少なくとも1つの光変調器は、複数の光チャンネルのそれぞれを光学的に変調するように適合される;
複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程;および
複数の光チャンネルの少なくとも1つを、真空チャンバーのトラップ面に配置された複数のトラップされた粒子の少なくとも1つに光学的にカップリングする工程、ここで該真空チャンバーは、その中で複数のトラップされた粒子のアドレス可能なアレイを生成するように適合される、
を含む、複数の光チャンネルを光学的に変調するための方法。
項27
複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程が、複数の光チャンネルのそれぞれの上のシグナル振幅を変調することを含む、項26記載の方法。
項28
複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程が、複数のマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)を電気光学的に制御することを含み、複数のMZIのそれぞれが光チャンネルの1つを変調する、項26または27記載の方法。
項29
複数の光チャンネルの少なくとも1つを光学的に変調する工程が、複数の同調可能共振器を変調することを含み、複数の同調可能共振器のそれぞれが光チャンネルの1つを変調する、項26または27記載の方法。
項30
第1の周波数を有する光シグナルを、第2の周波数を有する光シグナルに変換する周波数をさらに含む、項26または27記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D-E】
図1F-G】
図2A
図2B
図3A
図3B
図4