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特許7551664低濃度のジイソシアネートモノマーを有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】低濃度のジイソシアネートモノマーを有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240909BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240909BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240909BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
C09J175/04
C08G18/10
C08G18/76 057
C08G18/28 015
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574307
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020039616
(87)【国際公開番号】W WO2020264159
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】62/866,142
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509292766
【氏名又は名称】エイチ.ビー.フラー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ダブリュー・カールソン
(72)【発明者】
【氏名】スディプト・ダス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジェイ・ファン・ダイク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・イー・グール
(72)【発明者】
【氏名】リトゥパルナ・ポール
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0275512(US,A1)
【文献】特開2019-077817(JP,A)
【文献】特表2004-534132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08G 18/00- 18/87,71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であって、
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーであって、
ジイソシアネートモノマー成分であって、
前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマーと、
対称ジイソシアネートモノマーと、
を含む、ジイソシアネートモノマー成分、
1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール、
1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物、及び、
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物
の、反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー
を含み、
0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記ジイソシアネートモノマー成分が、前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の2,4’-ジイソシアネートモノマーと、前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも10重量%の4,4’-対称ジイソシアネートモノマーと、を含む、請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
イソシアネート基の、前記ポリオール上に存在する水酸基、前記単官能性化合物の前記イソシアネート反応性基、及び、前記多官能性化合物の前記イソシアネート反応性基の合計に対する化学量論比が、1.15:1~1.35:1である、請求項1及び2のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
前記単官能性化合物の重量の、前記多官能性化合物の重量に対する比が、0.5:1未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記単官能性化合物の重量の、前記多官能性化合物の重量に対する比が、0.49:1未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
ジイソシアネートモノマー成分が、ジイソシアネートモノマーの重量に基づいて、30重量%~65重量%の非対称ジイソシアネートモノマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
多官能性架橋剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の調製方法であって、
1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール、
1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物、
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物、及び、
ジイソシアネートモノマー成分であって、
前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマーと、
対称ジイソシアネートモノマーと、を含む、ジイソシアネートモノマー成分、
を反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成することを含み、
前記湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む、方法。
【請求項9】
第1の段階及び第2の段階を含み、
前記第1の段階は、前記反応させることを含み、
前記第2の段階は、多官能性湿気硬化架橋剤、触媒、又はこれらの組み合わせを前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに添加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性ポリマーを前記組成物に添加することを更に含む、請求項8及び9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ジイソシアネートモノマー成分が、前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であって、
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーであって、
ジイソシアネートモノマー成分であって、
前記ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマーと、
対称ジイソシアネートモノマーと、を含む、ジイソシアネートモノマー成分、
1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール、
1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物、及び、
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物の、反応生成物を含み、
前記単官能性化合物の重量の前記多官能性化合物の重量に対する比は、0.5:1未満であり、
前記単官能性化合物と前記多官能性化合物との合計は、前記湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の重量に基づいて0.1重量%~10重量%である、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー
を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物中に存在するモノマー性ジイソシアネート分の量を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、多くの場合、イソシアネート末端プレポリマー(NCO末端プレポリマー)に基づく。NCO末端プレポリマーは、水、例えば空気湿度の存在下で反応して、尿素系接着剤結合を形成し、それと同時に二酸化炭素が除去される。NCO末端プレポリマーは、多くの場合、ポリオール、及びモル過剰のモノマー性ジイソシアネートなどの多官能性イソシアネートから誘導される。多くの場合、有意な量のモノマー性ジイソシアネートが、NCO末端プレポリマー組成物中に残存する。このモノマー性ジイソシアネートの存在は望ましくない。したがって、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物中のモノマー性ジイソシアネートの残存量を0.1重量%未満に低減する必要がある。
【0003】
イソシアネート反応性組成物から残存モノマー性ジイソシアネートを除去するために、いくつかのアプローチが用いられてきた。1つのアプローチは、システムから残存モノマー性ジイソシアネートを真空ストリッピングすることを伴う。ストリッピングは、高価で時間のかかる追加の精製工程である。ポリウレタン発泡体に適用されてきたアプローチでは、イソシアネート成分、噴射剤、単官能性アルコール、触媒、安定剤及びポリマー性ポリオールを一緒にブレンドして、低残存モノマー性ジイソシアネートを有する発泡体を製造しようとした(例えば、欧州特許第2894181(A)号を参照されたい)。モノマー性ジイソシアネート含量を低下させる別のアプローチでは、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(2,4-’MDI)などの非対称ジイソシアネートをポリオールと反応させた。他のアプローチは、2,4’-MDIを第1の段階でジオールと反応させることと、所望により、得られた反応性ポリウレタンを第2の段階でポリエステルポリオールと反応させることとを伴う(例えば、米国特許出願公開第2004/0162385号を参照されたい)。
【0004】
単官能性アルコールをイソシアネート末端プレポリマーに添加することは、結果として得られるイソシアネート末端プレポリマーの接着特性を著しく低下させ得る。低分子量ジオールを添加することは、結果として得られるイソシアネート末端プレポリマーの粘度を著しく増加させ得、組成物を、商用の接着剤塗布機器で使用するのに適さないものにし得る。
【0005】
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物中のモノマー性ジイソシアネートの残存量を0.1%未満に低減すると同時に、商業用途に有用な湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物も達成するためのより効率的かつ便利な方法を見出す必要性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/165652号
【文献】米国特許第4623709号明細書
【文献】米国特許出願第2005/137377号明細書
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の2,4’-ジイソシアネートモノマー及びジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも10重量%の4,4’-対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を特徴とし、この湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む。
【0008】
一実施形態では、ポリオール上に存在する水酸基と、第1の単官能性化合物のイソシアネート反応性基と、多官能性化合物のイソシアネート反応性基との合計に対するイソシアネート基の化学量論比は、1.15:1~1.35:1である。
【0009】
いくつかの実施形態では、単官能性化合物の重量と多官能性化合物の重量との比は、0.5:1未満である。他の実施形態では、単官能性化合物の重量と多官能性化合物の重量との比は、0.49:1未満である。
【0010】
他の実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、熱可塑性ポリマーを更に含む。別の実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、多官能性湿気硬化架橋剤を更に含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の調製方法を特徴とし、この方法は、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物と、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分とを反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成することを含み、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む。一実施形態では、方法は、第1の段階及び第2の段階を含み、第1の段階は、上記反応させることを含み、第2の段階は、多官能性湿気硬化架橋剤、触媒、又はこれらの組み合わせをイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに添加することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、熱可塑性ポリマーを添加することを更に含む。この方法の一実施形態では、ジイソシアネートモノマー成分は、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートを含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を特徴とし、この湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む。
【0013】
他の態様では、本発明は、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を特徴とし、単官能性化合物の重量と多官能性化合物の重量との比は、0.5:1未満であり、単官能性化合物と多官能性化合物との合計は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の重量に基づいて0.1重量%~10重量%である。
【0014】
その他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の説明から、また特許請求の範囲から、明らかとなるであろう。
【0015】
用語集
本発明に関し、下記の用語は以下に記載する意味を有するものである。
【0016】
用語「イソシアネート反応性基」は、イソシアネートと反応する基を意味する。
【0017】
用語「多官能性化合物」は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400グラム毎モル(g/モル)以下の分子量を有する化合物を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、非対称ジイソシアネートと、対称ジイソシアネートと、1000g/モルを超える数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物であるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む。ホットメルト接着剤組成物は、0.3重量%以下、0.2重量%以下、又は更には0.1重量%以下のジイソシアネートモノマー(例えば、残存ジイソシアネートモノマー)を含む。
【0019】
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、好ましくは、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの重量に基づいて0.3重量%以下、0.2重量%以下、又は更には0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー以外の成分と共に配合される。結果として、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの重量に基づいて0.1重量%を超えるジイソシアネートモノマーを含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと共に配合されるとき、結果として得られる湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー以外の成分が、組成物中のジイソシアネートモノマーの百分率を全体として低減するのに十分な量で存在することにより、0.3重量%以下、0.2重量%以下、又は更には0.1重量%以下のジイソシアネートモノマー(湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の重量に基づく)を含み得る。
【0020】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、100重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は更には25重量%~100重量%のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む。
【0021】
単官能性化合物が寄与するイソシアネート反応性基の当量に対する多官能性化合物が寄与するイソシアネート反応性基の当量の比は、好ましくは、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、又は少なくとも2:1である。
【0022】
ポリオール上に存在する水酸基(OH)と、第1の単官能性化合物のイソシアネート反応性基と、多官能性化合物のイソシアネート反応性基との合計に対するイソシアネート基(NCO)の化学量論比は、好ましくは、1.60:1以下、1.50:1以下、1.40:1以下、1.35:1以下、1.25:1以下、少なくとも1.10:1、1.15:1~1.50:1、又は更には1.15:1~1.35:1である。参照を容易にするために、この比はNCO:OH比と称される。単官能性化合物及び多官能性化合物のイソシアネート反応性官能基がヒドロキシル以外であってもよいことは理解される。したがって、NCO:OH比のOH成分は、イソシアネート反応性官能基を広く指し、OH基のみを指すわけではない。
【0023】
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成するために使用される単官能性化合物(M)の重量と多官能性化合物(D)の重量との比(M:D)は、好ましくは、0.1:1~10:1未満、0.1:1~0.6:1以下、0.1:1~0.5:1未満、0.2:1~0.5:1未満、0.3:1~0.5:1未満、0.4:1~0.5:1未満、又は更には0.4:1~0.49:1未満である。
【0024】
ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、適用温度で、120℃で、130℃で、140℃で、150℃で、又は更には160℃で、1時間当たり12%以下、1時間当たり8%以下、又は更には1時間当たり4%以下の粘度の増加を呈する。
【0025】
ホットメルト接着剤組成物は、適用温度で、160℃で、150℃で、140℃で、130℃で、又は更には120℃で30,000センチポアズ(cP)以下、20,000cP以下、15,000cP以下、10,000cP以下、又は更には5000cP以下を含む任意の好適な粘度を呈するように配合することができる。
【0026】
本発明者らは、有用な接着特性及び商用の塗布器で使用するのに好適な粘度を有する湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を提供するために十分な反応性を有するイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを維持しながら、非対称ジイソシアネート、1000g/モルを超えるMnを有する少なくとも1つのポリオール、400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物、及び400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物の単一の段階での反応からイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成することができるという驚くべき発見をした。イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、単一の段階(すなわち、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成するためのジイソシアネート、ポリオール、単官能性化合物、及び多官能性化合物の反応)で形成することができるが、複数の段階で形成することもでき、これには、例えば、第1の段階でジイソシアネート及びポリオールを反応させ、続いて単官能性化合物と反応させ、次いで多官能性化合物と反応させて形成すること、第1の段階でジイソシアネート及びポリオールを反応させ、続いて多官能性化合物と反応させ、次いで単官能性化合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、第1の段階でジイソシアネート及びポリオールを反応させ、続いて多官能性化合物と単官能性化合物との混合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、第1の段階でジイソシアネート、ポリオール、及び単官能性化合物を反応させ、続いて多官能性化合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、第1の段階でジイソシアネート、ポリオール、及び多官能性化合物を反応させ、続いて単官能性化合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、第1の段階でジイソシアネートを単官能性化合物と反応させ、続いてポリオール及び多官能性化合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、ジイソシアネートを多官能性化合物と反応させ、続いてポリオール及び単官能性化合物と反応させてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成すること、ジイソシアネートを単官能性化合物及び多官能性化合物と反応させ、続いてポリオールと反応させてポリウレタンプレポリマーを形成すること、並びにこれらの組み合わせが含まれる。前述の反応のそれぞれにおいて、単一又は複数の各種成分を添加することができる。例えば、ポリオールは、2つ以上のポリオールであってもよく、少なくとも1つのポリオールが各段階で添加されてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0027】
任意のシーケンス及び組み合わせでのジイソシアネート、ポリオール、単官能性化合物、及び多官能性化合物の反応は、例えば、60℃~160℃の範囲の温度を含む、様々な条件下で起こることができる。
【0028】
単官能性化合物
単官能性化合物は、1つのイソシアネート反応性官能基、例えば、ヒドロキシル(例えば、第一級、第二級又は第三級ヒドロキシル)、アミン(例えば、第一級アミン及び第二級アミン)、チオール(例えば、第一級、第二級又は第三級チオール)、及びカルボン酸基を含む。単官能性化合物は、分枝状、非分枝状、芳香族、脂肪族、及びこれらの組み合わせであり得る。単官能性化合物は、所望により、イソシアネート反応性官能基とは反対側の端部上のシラン基、又はイソシアネート反応性官能基の反対側の端部上のオキサゾリジンで終端される。
【0029】
有用な部類の単官能性化合物の一例は、2~20個の炭素原子を有するアルコールであり、これには、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、イコサノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。シラン基を含む単官能性化合物の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、そのエトキシ及びメトキシ/エトキシバージョン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
単官能性化合物は、400グラム毎モル(g/モル)以下、300g/モル以下、又は更には200g/モル以下の分子量を有する。
【0031】
多官能性化合物
多官能性化合物は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含む。イソシアネート反応性官能基は、独立して、ヒドロキシル(例えば、第一級、第二級又は第三級ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせ)、アミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、及びこれらの組み合わせ)、チオール(例えば、第一級、第二級又は第三級チオール及びこれらの組み合わせ)、カルボン酸基、及びこれらの組み合わせから選択される。多官能性化合物は、分枝状、非分枝状、芳香族、脂肪族、及びこれらの組み合わせであり得る。有用な多官能性化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、4,4’-メチレンビス[N-sec-ブチルアニリン]、エタノールアミン、イソソルビド、ビスフェノールAのアルコキシル化生成物、ビスフェノールFのアルコキシル化生成物、異性体ジヒドロキシアントラセンのアルコキシル化生成物、異性体ジヒドロキシナフタレンのアルコキシル化生成物、カテコールのアルコキシル化生成物、レゾルシノールのアルコキシル化生成物、芳香族ヒドロキシ基当たり8個以下のアルコキシ単位を有するヒドロキノンのアルコキシル化生成物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
多官能化合物は、所望により、少なくとも1つのシラン基を含む。少なくとも1つのシラン基を含む多官能性化合物の例としては、[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、そのエトキシ及びメトキシ/エトキシバージョン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
多官能性化合物は、400グラム毎モル(g/モル)以下、300g/モル以下、200g/モル以下、又は更には150g/モル以下の分子量を有する。
【0034】
単官能性化合物及び多官能性化合物の量の合計は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.25重量%~5重量%、0.5重量%~4重量%、又は更には0.75重量%~3重量%である。
【0035】
ジイソシアネートモノマー成分
ジイソシアネートモノマー成分は、非対称ジイソシアネートモノマー及び対称モノマーを含む。好適な非対称ジイソシアネートモノマーとしては、芳香族、脂環式、及び脂肪族の非対称ジイソシアネートモノマーが挙げられる。ジイソシアネートモノマー成分は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるジイソシアネートモノマーの総量に基づいて、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、20重量%~80重量%、25重量%~70重量%、30重量%~65重量%、又は更には45重量%~60重量%の非対称ジイソシアネートモノマーを含む。ジイソシアネートモノマー成分は、好ましくは、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるジイソシアネートモノマーの総量に基づいて、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、又は更には55重量%以下、40重量%~75重量%、45重量%~70重量%、又は更には45重量%~60重量%の対称ジイソシアネートモノマーを含む。
【0036】
好適な非対称芳香族ジイソシアネートモノマーとしては、例えば、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(すなわち、2,4’-MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)(例えば、2,4-TDI)、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な非対称脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-メチル-2,4-ジイソシアナト-シクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、前述の芳香族ジイソシアネートの水素化生成物(例えば、水素添加2,4’-MDI)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な非対称脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
対称ジイソシアネートモノマーの有用な例としては、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(すなわち、4,4’-MDI)、水素添加4,4’-MDI、2,6-TDI、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート(NDI)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
2,4’-MDIの市販の供給源は、多くの場合、2,4’-MDI、4,4’-MDI及びジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート(すなわち、2,2’-MDI)の混合物を含む。特に有用な2,4’-MDIの供給源は、ジイソシアネートモノマー、2,4’-MDI/4,4’-MDIの50/50混合物、2,4’-MDI/4,4’MDIの30/70混合物、又は更には2,4’-MDI/4,4’MDIの35/65混合物の重量に基づいて、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%又は更には少なくとも30重量%の2,4’-MDI、80%以下、70%以下、又は更には60%以下の、4,4’-MDI、所望により2,2’-MDI、及びこれらの組み合わせを含む。
【0039】
有用なジイソシアネートモノマーは、様々な商品名で市販されており、これには、例えば、COVESTRO LLC社(ペンシルベニア州、ピッツバーグ)からDESMODURシリーズの商品名で市販されているものが含まれ、このシリーズには、例えば、製造業者によって報告されているように、少なくとも50%の2,4’-MDI、少なくとも39.2%の4,4’-MDI、及び0.8%以下の2,2’-MDIを含むDESMODUR 2460 Mモノマー性ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。
【0040】
ポリオール
イソシアネート末端プレポリマーの形成に使用されるポリオールは、少なくとも約2の平均ヒドロキシル官能性と、少なくとも1000g/モル、少なくとも1500g/モル、1000g/モル~10,000g/モル、又は更には1,000g/モル~5,000g/モルの数平均分子量とを含む。ポリオールは、所望の湿気硬化型接着剤組成物及びイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを達成するのに適している任意のポリオール又はポリオールの組み合わせであり得る。有用な部類のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリアセタール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
有用なポリエステルポリオールとしては、例えば、結晶性ポリエステルポリオール、アモルファス性ポリエステルポリオール及び液状ポリエステルポリオールが挙げられる。好適なポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸(脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族及び複素環式ジカルボン酸)、ジカルボン酸の誘導体(例えば、無水物、エステル及び酸塩化物)、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、直鎖状ジオール、分枝状ジオール、及びこれらの組み合わせから誘導されるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールを誘導することができる有用なジカルボン酸及び無水物の例としては、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン二酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸、三量体脂肪酸、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリエステルポリオールを誘導することができる有用な脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサンジオール、ヘキシンジオール、1,7-ヘプタンジオール、ヘプテンジオール、ヘプチンジオール、1,8-オクタンジオール、オクテンジオール、オクチンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びグルコース、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
好適な結晶性ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリ(ヘキサンジオールアジペート)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジペートネオペンチルグリコール)ポリオール、ポリ(ブタンジオールアジペート)ポリオール、ポリ-ε-カプロラクトンポリオール、ポリ(ヘキサンジオールドデカンジオアート)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジピン酸テレフタラート)ポリオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
有用なアモルファス性ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリ(ヘキサンジオールフタレート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールフタレート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールヘキサンジオールフタレート)ポリオール、ポリ(ジエチレングリコールフタレート)ポリオール、ポリ(エチレングリコールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、ポリエチレンテレフタレートポリオール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸及びテレフタル酸のランダムコポリマージオール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
有用な市販のポリエステルポリオールは、様々な商品名で入手可能であり、これには、例えば、Evonik社(ニュージャージー州、パーシッパニー)からDYNACOLLシリーズの商品名で入手可能なものが含まれ、このシリーズには、例えば、DYNACOLL 7110、7111、7130、7131、7140及び7150アモルファス性ポリエステルポリオール、DYNACOLL 7210、7230、7231、7500及び7255液状ポリエステルポリオール、並びにDYNACOLL 7362、7360、7363、7361、7381、7380、7330、7320、7340、7331、7390、7321、及び7490結晶性ポリエステルポリオールが含まれる。
【0045】
好適なポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化プロピレン、エチレンオキシド、及びブチレン酸化物のホモポリマーと、酸化プロピレン及びエチレンオキシドのコポリマーと、酸化プロピレン及びブチレン酸化物のコポリマーと、ブチレン酸化物及びエチレンオキシドのコポリマーと、これらの混合物が挙げられる。好適なポリエーテルポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリエーテルポリオールは、不規則構成やブロック構成等を含む多様な構成を取ることができる。
【0046】
好適な市販のポリエーテルポリオールは、様々な商品名で入手可能であり、これには、例えば、Dow Chemical社(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能なVORANOL 220-056ポリエーテルポリオール、Covestro LLC社(ペンシルベニア州、ピッツバーグ)から入手可能なDESMOPHEN 2061 BDポリプロピレンエーテルポリオール、ARCOL PPG-2000ポリプロピレングリコール、ARCOL PPG-1000ポリプロピレングリコール、及びACCLAIMポリオール703、Invista North America社(カンザス州、ウィチタ)から入手可能なTERATHANE 1000ポリエーテルグリコール、並びにMonument Chemical Kentucky LLC社(ケンタッキー州、ブランデンバーグ)から入手可能なPolyGポリプロピレングリコールが含まれる。
【0047】
架橋剤
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、多官能性架橋剤を含む。有用な架橋剤としては、2を超える平均官能性(例えば、2つを超える官能基、少なくとも3つの官能基、少なくとも4つの官能基、及びこれらの混合物)を有する多官能性化合物が挙げられ、これには、例えば、ジ-イソシアネート、トリ-イソシアネート、テトラ-イソシアネート、及びこれらの混合物が含まれる。好適な架橋剤は、様々な商品名で市販されており、これには、例えば、COVESTRO LLC社(ペンシルベニア州、ピッツバーグ)からDESMODURシリーズの商品名で市販されているものが含まれ、このシリーズには、例えば、DESMODUR N 3300ヘキサンジイソシアネート(HDI)三量体、DESMODUR N 3200A HDI-ビウレット、DESMODUR ECO N 7300ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)三量体、DESMODUR N 3400 HDI-ウレトジオン、及びDESMODUR Z2470イソホロンポリイソシアネートが含まれる。
【0048】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、0重量%~10重量%、又は更には0.1重量%~10重量%の架橋剤を含む。
【0049】
追加成分
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、例えば、触媒、熱可塑性ポリマー、粘着付与剤、可塑剤、ワックス、安定剤、酸化防止剤、充填剤(タルク、粘土、シリカ及びその処理済みバージョン、カーボンブラック及びマイカ、例えば、マイクロスフィア(例えば、ガラスマイクロスフィア、ポリマーマイクロスフィア、及びこれらの組み合わせ)を含むマイクロパーティクル、紫外線(UV)捕捉剤及び吸収材、顔料(例えば、反応性又は非反応性酸化物)、蛍光剤、臭気マスク、接着促進剤(すなわち、シラン系接着促進剤)、界面活性剤、消泡剤、並びにこれらの組み合わせを含む様々な追加成分を含む。
【0050】
有用な所望による触媒は、硬化を促進し、エーテル及びモルホリン官能基(例えば、2,2’-ジモルホリノエチルエーテル、ジ(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、及び4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルホリン)、例えば、カルボン酸のスズ(II)塩(例えば、スズ(II)アセテート)、並びにエチルヘキサノアート及びジエチルヘキサノアート、ジアルキルスズ(IV)カルボキシレートを含むスズ、鉄、亜鉛、チタン、ビスマス及びカリウムに基づく有機金属化合物を含む。有機金属触媒を形成するために使用されるカルボン酸は、例えば、2~32個の炭素原子を含む、任意の数の炭素原子を含むことができ、ジカルボン酸であってもよい。有用な酸としては、例えば、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸及び2-エチルヘキサン酸も、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸並びにステアリン酸が挙げられる。触媒の例としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレアート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノアート)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズマレアート、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノアート)、ジオクチルスズジラウレート、トリブチルスズアセテート、ビス(β-メトキシカルボニルエチル)スズジラウレート、及びビス(β-アセチルエチル)スズジラウレートが挙げられる。
【0051】
好適な触媒は、様々な商品名で市販されており、これには、例えば、JEFFCAT DMDEE 4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルホリンが含まれ、これは、Huntsman Corp社(テキサス州、ヒューストン)から入手可能である。
【0052】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、0.01重量%~2重量%又は更には0.05重量%~1重量%の触媒を含む。
【0053】
有用な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセテート(例えば、エチレンビニルアセテートコポリマー)、エチレンビニルアセテート/ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、エチレンビニルブチレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリルアミドコポリマー、エチレンメタクリルアミドコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンn-ブチルアクリレート、及びエチレンヒドロキシエチルアクリレート)、エチレンn-ブチルアクリレート一酸化炭素ターポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン)、熱可塑性ポリウレタン、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート、熱可塑性ポリエステル(例えば、熱可塑性ポリエステル/ポリエーテルコポリマー)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、天然ゴム及び他のポリイソプレン、スチレン-ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン及びスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンのブロックコポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルフルオリド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロース誘導体、エポキシ、ポリエステル、フェノール樹脂、ポリウレタン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
有用な市販の熱可塑性ポリマーとしては、例えば、EVONIK Industries AG社(ドイツ)から、例えば、85℃のガラス転移及び27,000g/molの重量平均分子量を有するDYNACOLL AC 1920メチルメタクリレート/n-ブチルメタクリレートコポリマー、並びに60℃のガラス転移及び55,000g/molの重量平均分子量を有するDYNACOLL AC 1630メチルメタクリレート/n-ブチルメタクリレートコポリマーを含むDYNACOLLシリーズの商品名で入手可能な熱可塑性ポリマー、DuPont de Nemours,Inc.社(デラウェア州、ウィルミントン)からHYTRELシリーズの商品名で入手可能な熱可塑性ポリエステルエラストマー、並びにTicona GmbH社(ドイツ)からRITEFLEXシリーズの商品名で入手可能な熱可塑性ポリエステルエラストマーが挙げられる。
【0055】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、0重量%~60重量%以下、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、又は更には10重量%~30重量%の熱可塑性ポリマーを含む。
【0056】
有用な粘着付与剤としては、例えば、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族脂肪族混合系変性樹脂、芳香族変性炭化水素樹脂、及びこれらの水素添加バージョン、テルペン、変性テルペン、及びこれらの水素添加バージョン、ロジンエステル(例えば、グリセロールロジンエステル、ペンタエリスリトールロジンエステル、及びこれらの水素添加バージョン)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な芳香族樹脂としては、例えば、芳香族変性炭化水素樹脂、α-メチルスチレン樹脂、クマロン(coumorone)-インデン樹脂、及びスチレン化テルペン樹脂、ポリフェノール、ポリテルペン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な脂肪族及び脂環式石油炭化水素樹脂としては、例えば、分枝状及び非分枝状のC5~C9樹脂、並びにこれらの水素添加誘導体が挙げられる。有用なポリテルペン樹脂としては、天然テルペン(例えば、スチレン-テルペン、α-メチルスチレン-テルペン、及びビニルトルエン-テルペン)のコポリマー及びターポリマーが挙げられる。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、0重量%~60重量%以下、少なくとも0.1重量%、0.1重量%~55重量%、1重量%~50重量%、又は更には1重量%~45重量%の粘着付与剤を含む。
【0057】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物中の所望による熱可塑性ポリマーと所望による粘着付与剤との合計は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の0重量%~80重量%以下、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、5重量%~75重量%、10重量%~70重量%、10重量%~60重量%とすることができる。
【0058】
1つの有用な部類の安定剤としては、カルボジイミド安定剤(例えば、Lanxess社(ドイツ)のSTABAXOL 7000)が挙げられる。
【0059】
有用な市販の酸化防止剤の例としては、BASF社(ドイツ)から入手可能なIRGANOX 565、1010及び1076ヒンダードフェノール性酸化防止剤、並びにGreat Lakes Chemicals社(インディアナ州、ウェストラファイエット)からのANOX 20ヒンダードフェノール性酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は、フリーラジカルスカベンジャーとして働くことができ、単独で使用しても、例えば、亜リン酸酸化防止剤(例えば、BASF社から入手可能なIRGAFOS 168)を含む他の酸化防止剤と併用してもよい。他の酸化防止剤としては、Cytec Industries社(コネチカット州、スタンフォード)から入手可能なCYANOX LTDPチオエーテル酸化防止剤、及びAlbemarle社(ルイジアナ州、バトンルージュ)から入手可能なETHANOX 330ヒンダードフェノール性酸化防止剤が挙げられる。
【0060】
有用な顔料の例としては、無機、有機、反応性、及び非反応性顔料、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、有機官能性シラン接着促進剤を含む。好ましい有機官能性シラン接着促進剤としては、アルコキシシリル、アリールオキシシリル、及びこれらの組み合わせなどのシリル基が挙げられる。有用なアルコキシシリル基の例としては、例えば、酢酸、2-エチルヘキサン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸を含む様々な酸のシリルエステルを含む、メトキシシリル、エトキシシリル、プロポキシシリル、ブトキシシリル、及びアシルオキシシリル反応性基が挙げられる。
【0062】
好適なシラン系接着促進剤としては、例えば、エポキシグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アルキルオキシイミノシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、並びにこれらのエトキシ及びメトキシ/エトキシバージョン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
好適な市販の接着促進剤は、例えば、SILQUEST A-187、A-174、A-186、A-171、A-172、A-137、及びA-162を含む様々な商品名で入手可能であり、これらは全てMomentive Performance Materials社(ニューヨーク州、ウォーターフォード)から入手可能である。
【0064】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、所望により、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、又は更には0.2重量%~1.5重量%の接着促進剤を含む。
【0065】
使用
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、自動微細線分注、ジェット分注、スロットダイコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、転写式塗布、パターンコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、フィラメントコーティング、押し出し式、エアナイフ、トレーリングブレード、はけ塗り、浸し塗り、ドクターブレード、オフセットグラビアコーティング、輪転グラビアコーティング、及びこれらの組み合わせを含む、任意の好適な塗布法を使用して、塗布することができる。湿気硬化型接着剤組成物は、連続又は不連続コーティングとして、単層又は複数層で、及びこれらの組み合わせで塗布することができる。
【0066】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、60℃~約200℃、80℃~175℃、90℃~120℃、又は更には120℃~160℃を含む、様々な温度での塗布用に配合することができる。
【0067】
所望により、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を塗布する基材の表面は、接着を強化するために、例えば、コロナ処理、化学処理(例えば、化学エッチング)、火炎処理、研磨、及びこれらの組み合わせを含む、基材表面への接着を強化するための任意の好適な方法を使用して、表面処理する。
【0068】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、様々な基材を結合する際の使用に適したものとなるように配合することができ、そのような基材には、例えば、硬質基材(すなわち、この基材は、一人では両手で曲げることができないか、又は両手で基材を曲げようとすると破断する)、可撓性基材(例えば、可撓性基材(すなわち、この基材は、両手の力以下で曲げることができる)、多孔質基材、導電性基材、絶縁性基材、及びこれらの組み合わせ、並びに、例えば、繊維、糸、撚り糸、織布、不織布、フィルム(例えば、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、連続フィルム、不連続フィルム、及びこれらの組み合わせ)、箔(例えば、金属箔)、シート(例えば、金属シート、ポリマーシート、連続シート、不連続シート、及びこれらの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせを含む、様々な形態の基材が含まれる。
【0069】
有用な基材としては、例えば、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及び配向ポリプロピレン、ポリオレフィンと他のコモノマーとのコポリマー)、ポリエーテルテレフタラート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸イオノマー、エチレンビニルアルコール、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアミド、例えば、ナイロン-6とナイロン-6,6、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、ポリスチレン、及びエポキシ)、ポリマー複合材(例えば、ポリマーと、金属、セルロース、ガラス、ポリマー、及びこれらの組み合わせとの複合材)、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、金、銀、プラチナ、及びマグネシウム、並びにスチール、スズ、黄銅、及びマグネシウムとアルミニウム合金などの金属合金)、炭素繊維複合材、他の繊維系複合材、グラフェン、フィラー、ガラス(例えば、アルミノケイ酸アルカリ強化ガラス及びホウケイ酸塩ガラス)、石英、窒化ホウ素、窒化ガリウム、サファイア、シリコン、炭化物、セラミック、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
次に、本発明を以下の実施例により説明する。特に指示がない限り、実施例に記載される全ての部、比、百分率、及び量は、重量を基準としたものである。
【実施例
【0071】
試験手順
実施例で使用する試験手順には、以下のものが含まれる。特に指示がない限り、全ての比及び百分率は、重量を基準としたものである。別途指定されない限り、この手順は、室温(つまり、約20℃から約25℃までの周囲温度)で実施する。
【0072】
NCOの決定(%)
イソシアネート含量は、「Standard Test Method for Isocyanate Groups In Urethane Materials or Prepolymers」と題されたASTM D2572に従って決定される。
【0073】
残存ジイソシアネートモノマーの決定(重量%)
ジイソシアネートモノマーの重量%は、RESTEK ULTRA C18 5μm、150×4.6mmカラム(又は同等物)及び254nmの波長に設定された検出器を備えた、逆相HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)を使用して決定される。勾配溶出中に使用される移動相は、アセトニトリル及び水性酢酸アンモニウム緩衝液(20mM、pH6.0)である。標準は、OSHA Method 47,Analytical Methods Manual(1985)に従って調製されるが、初期誘導体化工程において0.7gの代わりに1.4gの1-(2-ピリジル)ピペラジン(「1-2PP」)が使用され、塩化メチレンの体積が乾燥窒素流で減少されない点が異なる。試験サンプルは、試験対象のサンプルに過剰な1-2PPを添加し(0.0001g単位で計量しておよそ0.5g)、サンプルを乾燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、サンプルをメスフラスコ内で乾燥THFにより50mLに希釈することによって調製される。濃度は、移動相溶液で希釈することによって標準曲線の作用範囲内に収まるように調整される。
【0074】
粘度試験法
溶融粘度は、Brookfield Thermosel粘度計モデルDX2TRVKBO DV2T Extraを使用し、27番スピンドル及び20%~80%トルクを達成するのに十分な回転速度を使用して、所定の温度で決定される。
【0075】
1時間当たりの粘度の増加率の試験方法(%)
1時間当たりの粘度の増加率(%)は、粘度試験方法に従って組成物の粘度を所定の温度(T)で所定の時間の期間(t)にわたって測定することにより決定される。時間の期間(t)での最低粘度の読み取り値はViとして記録され、最高粘度の読み取り値はVtとして記録される。1時間当たりの粘度の増加百分率は、以下の式に従って計算される:1時間当たりの粘度の増加%=[[(Vt-Vi)/Vi]100]/t。
【0076】
実施例1
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を3つの段階で調製した。
各成分は、表1に記載の量を使用した。第1の段階では、約2000のMnを有するポリプロピレングリコールポリオールを、窒素下でDYNACOLL AC 1630メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレートコポリマーと組み合わせ、温度を130℃に上昇させた。DYNACOLL AC 1630が完全に融解した後、真空を約1時間適用して混合物を乾燥させた。次いで、約3500のMnを有するPIOTHANE 3500HA結晶性ポリエステルポリオール及び約3500のMnを有するPIOTHANE 3500HD結晶性ポリエステルポリオールを混合物に添加し、温度を100℃に低下させ、真空を約1時間再適用して混合物を乾燥させた。次いで、少なくとも50重量%の2,4’-MDIを含有するDESMODUR 2460Mモノマー性MDIを混合物に添加し、反応を1時間進行させた。
【0077】
第2の段階では、ジエチレングリコール及び1-ヘキサノールを混合物に添加した。混合物を窒素下で保持し、2時間反応させた。
【0078】
第3の段階では、DESMODUR N3300A脂肪族ポリイソシアネート、DESMODUR ECO N 7300脂肪族ポリイソシアネート、及びJEFFCAT DMDEEジモルホリノジエチルエーテルを、均質になるまで撹拌しながら添加し、真空を約20分間適用した。
【0079】
粘度、第2及び第3の段階後のNCOの%、並びに第3の段階後の残存ジイソシアネートモノマーの%を、上記のそれぞれの試験方法に従って決定した。粘度は130℃で測定した。実施例1のホットメルト接着剤組成物の1時間当たりの粘度の増加率(%)を、130℃の温度で4時間の期間にわたって測定した。結果を表1に示す。NCO:OH比を段階1及び2に対して計算した。値を表1に報告する。
【0080】
【表1】
【0081】
比較実施例1
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、2段階の方法で調製した。第1の段階では、約2000のMnを有する37.51重量%のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び約3500のMnを有する37.51重量%のPIOTHANE 3500HD結晶性ポリエステルポリオールを、反応器に添加し、120℃に加熱し、真空を約1時間適用して混合物を乾燥させた。次いで、温度を100℃に低下させた。次いで、19.23重量%のLUPRANATE M(4,4’-MDI)を混合物に添加し、反応を1時間進行させた。
【0082】
第2の段階では、1.95重量%のジエチレングリコール及び3.75重量%の1-ヘキサノールを混合物に添加した。混合物を窒素下で保持し、4時間反応させた。次に、0.05重量%のMODAFLOWアクリル樹脂を添加した。
【0083】
結果として得られたイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、1.18:1のNCO:OH比、1.06%のNCOの%及び120℃における5387cPの粘度を有した。120℃における1時間にわたっての粘度の増加率(%)は4.6%であった。残存ジイソシアネートモノマーは0.367%であった。
【0084】
実施例2
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、2段階の方法で調製した。第1の段階では、約2000のMnを有する37.51重量%のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び約3500のMnを有する37.51%のPIOTHANE 3500HD結晶性ポリエステルポリオールを、反応器に添加し、120℃に加熱し、真空を約1時間適用して混合物を乾燥させた。次いで、温度を100℃に低下させた。次いで、少なくとも50重量%の2,4’-MDIを含有する19.25重量%のDESMODUR 2460Mモノマー性MDIを混合物に添加し、反応を1時間進行させた。
【0085】
第2の段階では、1.94重量%のジエチレングリコール及び3.74重量%の1-ヘキサノールを混合物に添加した。混合物を窒素下で保持し、4時間反応させた。次に、0.05重量%のMODAFLOWアクリル樹脂を添加した。
【0086】
結果として得られたイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、1.18:1のNCO:OH比、1.06%のNCOの%、及び120℃における4387cPの粘度を有した。120℃における1時間にわたっての粘度の増加率(%)は4.0%であった。残存ジイソシアネートモノマーは0.104%であった。
【0087】
実施例3及び4
実施例3及び4の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、実施例1に上述した方法に従って調製したが、DYNACOLL AC 1630の代わりにDYNACOLL AC 1920メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレートコポリマーが使用され、PIOTHANE 3500HA及びPIOTHANE 3500HDの代わりに、約3500のMnを有するHOOPOL F-931結晶性ポリエステルポリオールが使用された点が異なっている。各成分は、以下の表2に記載の量を使用した。
【0088】
実施例3及び4の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物について、粘度、第2及び第3の段階後のNCOの%、並びに第3の段階後の残存ジイソシアネートモノマーの%を、上記のそれぞれの試験方法に従って決定したが、粘度が、120℃で29番スピンドルを使用して決定された点が異なっている。実施例3及び4のホットメルト接着剤組成物のそれぞれの1時間当たりの粘度の増加率(%)を、120℃の温度で75分の期間にわたって測定した。結果を表2に示す。NCO:OH比を段階1及び2に対して計算した。計算した値を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
実施例5
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を2つの段階で調製した。各成分は、表3に記載の量を使用した。第1の段階では、約2000のMnを有するポリプロピレングリコールポリオールを、窒素下でDYNACOLL AC 1920メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレートコポリマーと組み合わせ、温度を130℃に上昇させた。DYNACOLL AC 1920が完全に融解した後、真空を約1時間適用して混合物を乾燥させた。次いで、約3500のMnを有するHOOPOL F-931結晶性ポリエステルポリオールを混合物に添加し、温度を100℃に低下させ、真空を約1時間再適用して混合物を乾燥させた。次いで、ジエチレングリコール及び1-ヘキサノールを混合物に添加した。次いで、約50重量%以上の2,4’-MDIを含有するDESMODUR 2460Mモノマー性MDIを混合物に添加し、反応を3時間進行させた。
【0091】
第2の段階では、DESMODUR N3300A脂肪族ポリイソシアネート、DESMODUR ECO N 7300脂肪族ポリイソシアネート、及びJEFFCAT DMDEEジモルホリノジエチルエーテルを、均質になるまで撹拌しながら添加し、真空を約20分間適用した。
【0092】
実施例5の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物について、粘度、第1及び第2の段階後のNCOの%、並びに第2の段階後の残存ジイソシアネートモノマーの%を、上記のそれぞれの試験方法に従って決定したが、粘度が、120℃で29番スピンドルを使用して決定された点が異なっている。実施例5のホットメルト接着剤組成物の1時間当たりの粘度の増加率(%)を、120℃の温度で75分の期間にわたって測定した。結果を表3に示す。NCO:OH比を段階1に対して計算した。計算した値を表3に示す。
【0093】
【表3】
【0094】
実施例6及び比較例2
実施例6及び比較例2(C2)のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、実施例2の手順に従って調製したが、比較例2においてDESMODUR 2460Mの代わりにLUPRANATE Mを使用した点が異なっている。各成分は、表4に記載の量を使用した。
【0095】
実施例6及び比較例2のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーについて、粘度、120℃での粘度の増加率(%)、第2の段階後のNCOの%、及び第2の段階後の残存ジイソシアネートモノマーの%を、上記のそれぞれの試験方法に従って決定した。結果を表4に示す。NCO:OH比を段階1及び2に対して計算した。計算した値を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
その他の実施形態は、請求項内にある。
1.湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であって、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含み、この湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
2.湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であって、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の2,4’-ジイソシアネートモノマー及びジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも10重量%の4,4’-対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含み、この湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
3.ポリオール上に存在する水酸基と、第1の単官能性化合物のイソシアネート反応性基と、多官能性化合物のイソシアネート反応性基との合計に対するイソシアネート基の化学量論比が、1.15:1~1.35:1である、上記の段落1及び2のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
4.多官能性化合物の重量に対する単官能性化合物の重量の比が0.5:1未満である、上記の段落1~3のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
5.多官能性化合物の重量に対する単官能性化合物の重量の比が0.49:1未満である、上記の段落1~3のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
6.熱可塑性ポリマーを更に含む、上記の段落1~5のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
7.多官能性湿気硬化架橋剤を更に含む、上記の段落1~6のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
8.湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の調製方法であって、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物と、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分とを反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成することを含み、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、0.1重量%以下のジイソシアネートモノマーを含む、方法。
9.第1の段階及び第2の段階を含み、第1の段階は、上記反応させることを含み、第2の段階は、多官能性湿気硬化架橋剤、触媒、又はこれらの組み合わせをイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに添加することを含む、上記の段落8に記載の方法。
10.熱可塑性ポリマーを組成物に添加することを更に含む、上記の段落8及び9のいずれか1つに記載の方法。
11.ジイソシアネートモノマー成分が、少なくとも20重量%の2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、上記の段落1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であって、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいた少なくとも20重量%の非対称ジイソシアネートモノマー及び対称ジイソシアネートモノマーを含むジイソシアネートモノマー成分と、1000g/モルを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオールと、1つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する単官能性化合物と、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含み、かつ400g/モル以下の分子量を有する多官能性化合物との反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含み、単官能性化合物の重量と多官能性化合物の重量との比は、0.5:1未満であり、単官能性化合物の重量と多官能性化合物の重量との合計は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の重量に基づいて0.1重量%~10重量%である、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
13.ポリオール上に存在する水酸基と、第1の単官能性化合物のイソシアネート反応性基と、多官能性化合物のイソシアネート反応性基との合計に対するイソシアネート基の化学量論比が、1.15:1~1.35:1である、上記の段落12に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
14.多官能性化合物の重量に対する単官能性化合物の重量の比が0.49:1未満である、上記の段落12及び13のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
15.熱可塑性ポリマーを更に含む、上記の段落12~14のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
16.多官能性湿気硬化架橋剤を更に含む、上記の段落12~15のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
17.ジイソシアネートモノマー成分が、ジイソシアネートモノマー成分の重量に基づいて少なくとも20重量%の2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、上記の段落12~15のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
18.対称モノマーが4,4’-対称ジイソシアネートモノマーを含む、上記の段落12~17のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。