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特許75516662Kクリアコート組成物、その製造およびそれを使用する方法
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  • 特許-2Kクリアコート組成物、その製造およびそれを使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】2Kクリアコート組成物、その製造およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/08 20060101AFI20240909BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20240909BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20240909BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240909BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240909BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
C09D201/08
C09D167/00
C09D133/02
C09D7/63
B05D1/36 Z
B05D7/14 L
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021577850
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020067286
(87)【国際公開番号】W WO2021001187
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/094430
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ホー,レイ
(72)【発明者】
【氏名】シェファー,クリスティアン ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェン メイ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴィ,ランジット
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゼマン,シュテファン
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-226181(JP,A)
【文献】特開平04-057819(JP,A)
【文献】特開平11-080649(JP,A)
【文献】国際公開第2019/110808(WO,A1)
【文献】特表2010-512427(JP,A)
【文献】特表2021-505739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/08
C09D 167/00
C09D 133/02
C09D 7/63
B05D 1/36
B05D 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a).1質量%~60質量%の、カルボン酸官能性ポリエステルから選択される、酸価が70300mgKOH/gのカルボン酸基を有する少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、およびヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、前記各質量%は成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).50質量%~90質量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシラン;
f).10質量%~50質量%の、アルキル化メラミンおよび/またはメラミン樹脂から選択されるヒドロキシル基に反応性の少なくとも1種の架橋剤
を含み、上記各質量%は成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、
成分Iの成分IIに対する質量比が1.2~3.5であることを特徴とする、2Kクリアコート組成物。
【請求項2】
前記カルボン酸官能性ポリエステルが、100~200mgKOH/gの酸価を有する、請求項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸官能性ポリエステルが、500~50000g/モルの質量平均分子量を有する、請求項1または2に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項4】
ヒドロキシル官能基を有する前記樹脂のヒドロキシル価が60~500mgKOH/gである、請求項1からのいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項5】
ヒドロキシル官能基を有する前記樹脂のヒドロキシル価が80~400mgKOH/gである、請求項1から4のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項6】
前記エポキシ官能性アルコキシシランが、式Iおよび/または式II:
【化1】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数である]の構造を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項7】
記メラミン樹脂が、式IV:
【化3】
[式中、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、r、sは1~100の整数である]の構造を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項8】
前記式IV中、R6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、R7はメトキシル基またはブトキシル基である、請求項7に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項9】
前記アルキル化メラミンが、式V:
【化4】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基である]の構造を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項10】
前記触媒が、単官能性、二官能性、三官能性および四官能性カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸、第四級アミン、スズ系触媒ならびに第三級アミン系触媒から選択される少なくとも1種である、請求項1からのいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項11】
前記触媒が、アジピン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ジメチルドデシルアミンおよびテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項12】
前記溶媒が、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族化合物および芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種である、請求項1から11のいずれか一項に記載2Kクリアコート組成物。
【請求項13】
前記成分IまたはIIが、少なくとも1種のブロックされた(ポリ)イソシアネートをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項14】
前記成分IIが、エポキシ官能性アクリレートコポリマー、エポキシ官能性ポリウレタン、エポキシ官能性ポリエステル、エポキシ官能性ポリエチレン、エポキシ官能性ポリプロピレン、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、シロキサンエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂から選択される、少なくとも1種のエポキシ官能性樹脂をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物。
【請求項15】
乾燥し硬化した請求項1から14のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物で被覆された、基材。
【請求項16】
請求項15に記載の基材を含む自動車。
【請求項17】
自動車を被覆する方法であって、
i).E-コーティングする工程、
ii)プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートを被覆する工程、
iii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートの層の上にベースコートを被覆する工程、および
iv).請求項1から14のいずれか一項に記載の2Kクリアコート組成物を、ベースコートの層の上に被覆する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車に使用されるクリアコート組成物に関し、より詳細には、本発明は自動車に使用される2Kクリアコート組成物、その製造およびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用コーティングは、いくつかの層、すなわち、E-コート、プライマーまたはプライマー機能を有するベースコート、ベースコートおよびクリアコートに適用される。E-コーティング工程の後に、プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートは、適用される最初のコートであり、ベースコートはプライマーコートの後に適用される。クリアコートは、保護機能および装飾機能の両方を提供するベースコートの上に噴霧される、光沢があり透明なコーティングである。クリアコートは、1K(一液型配合物)系または2K(二液型配合物)系であり得る。2K系に対して、クリアコート製品は2バレルにパッケージされ、2バレルの配合物は、ベースコート上に適用する前に混合される。大部分の2K系はポリウレタン化学に基づき、これはヒドロキシル官能性ポリアクリレートまたはポリエステル樹脂またはポリオールおよびイソシアネート系硬化剤の使用に由来する。
【0003】
クリアコート組成物は、水性または有機溶媒性であり得る。VOC(揮発性有機化合物)放出が少ない利点を有するが、コーティング性能、例えば、外観、機械的特性などが劣る水性クリアコートと比較して、有機溶媒性クリアコートは、高いVOCを保有したとしても、外観および全般的なコーティング性能において利点を有する。その上、良好な外観を保有する従来の2Kクリアコートは、通常、耐引っかき性のような機械的特性が劣る。これを克服するために、現行の有機溶媒性クリアコートは、ナノシリカなどの無機粒子を導入するか、または標準的なイソシアネート硬化剤によるプレ反応を介したシランカップリング剤を組み込んで、有機-無機ハイブリッド系を形成している。無機粒子の組み込みは、有機および無機相の不適合性に起因してクリアコートの外観を悪化させる傾向があり、一方、イソシアネート硬化剤へのシランの組み込みは、余分な合成工程を必要とし、プロセスコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、外観および耐引っかき性のような機械的特性の両方において良好な性能を有し、同時に比較的低いVOCを保有する、新しいクリアコート組成物を提供することが依然として必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、
a).酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸基を有する少なくとも1種の樹脂;
b).ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の樹脂
c).少なくとも1種の触媒;
d).少なくとも1種の溶媒
を含む成分I、ならびに
e).少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).ヒドロキシル基に反応性の少なくとも1種の架橋剤
を含む成分II
を含む、2Kクリアコート組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、乾燥し硬化した本発明の2Kクリアコート組成物で被覆された、基材を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、乾燥し硬化した本発明の2Kクリアコート組成物で被覆された基材を含む、自動車を提供する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、自動車を被覆する方法であって、i)E-コートを被覆する工程、ii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートを被覆する工程、iii).プライマーの層の上にベースコートを被覆する工程、およびiv).本発明の2Kクリアコート組成物をベースコートの層の上に被覆する工程、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】波長(Du、Wa、Wb、Wc、Wd、We)によって差別化された6つのスケールレベルにおける、BYKウエーブ-スキャンデュアル測定の結果を示すグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味を有する。本明細書で使用する場合、特に明記されない限り、以下の用語は以下に帰される意味を有する。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「a」および「an」は、用語の文法上の目的語の1個または複数(すなわち、少なくとも1個)を指す。例として、「要素(an element)」は1個または複数の要素を意味する。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「2K」は、それぞれがいくつかの化合物の混合物でもあり得る、2つの成分を含む組成物を指す。必要であれば、2つの成分は一緒にブレンドされ得る。さらに2つの成分は、用途のためにその場で混合され得る2つの独立したパッケージでもあり得る。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「酸価」は、1グラムの化学物質を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラムでの質量を指し、化合物中または化合物の混合物中のカルボン酸基の数の指標である。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル価」は、遊離ヒドロキシル基を含有する1グラムの化学物質をアセチル化する際に吸収される酢酸を、中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラムでの質量を指し、化学物質中の遊離ヒドロキシル基の含有量の指標である。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「カルボン酸基を有する樹脂」は、限定されるものではないが、カルボン酸基を側鎖または末端基として有する、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーを含む、任意のタイプの樹脂を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル官能基を有する樹脂」は、限定されるものではないが、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ポリウレタンを含む任意のタイプの樹脂を指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「エポキシ官能性アルコキシシラン」は、任意のタイプのエポキシまたはエポキシ系基を有する任意のタイプのアルコキシシランを指す。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「オリゴマー」は、モノマーのはるかにより多くの繰り返し単位からなるポリマーとは対照的に、少数の繰り返し単位からなる化学物質の分子複合体を指す。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「遊離(ポリ)イソシアネート」は、活性水素含有化合物と反応するための少なくとも2個の遊離NCO基を有する、(ポリ)イソシアネートを指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「ブロックされた(ポリ)イソシアネート」は、特定の脱ブロック化温度または薬剤に暴露されるまで反応することができない、(ポリ)イソシアネートを指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル化メラミン」は、メラミンの任意の第一級アミンに連結された任意のタイプのアルキル基を有するメラミンに由来する、化学物質の分子複合体を指す。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「カルボン酸官能性ポリエステル」は、側鎖または末端基としてカルボン酸を有する、任意のタイプのポリエステルを指す。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「ポリ(メタ)アクリレート系コポリマー」は、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーを含む、主要部分としてポリ(メタ)アクリレートを有する任意のタイプのコポリマーを指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「固形分」は、コーティング、ペイントまたは他の懸濁液に含有される、揮発性溶媒が蒸発した後に残された材料である不揮発性材料の割合を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「E-コーティング」は、電流を使用して金属表面へペイント製品を引き寄せる、浸漬湿潤ペイント仕上げプロセスを指す。
【0026】
クリアコートは、基材に適用されるペイントの最後のコートである、ペイントの透明な層である。クリアコートは、紫外線、酸性雨などからの劣化を防止する、光沢レベルおよび外観を変更する、および下のコーティング層を保護するために使用される。クリアコートは有機溶媒性系または水性系であるが、2つの系は両方とも欠点を有する。水性系は、VOC(揮発性有機化合物)の問題を解決することができたが、外観、機械的特性などの性能は十分ではない。水性系と比較して有機溶媒性系はより良好な性能を提供するが、高いVOCの問題を有し、従って最も効果的な手法は、系におけるVOCを低減する、すなわち、クリアコート組成物の固形分を増加させることである。
【0027】
有機溶媒性系に基づくと、当該技術分野のクリアコートは外観において良好な性能を示すが、耐引っかき性などの機械的特性は、クリアコートを乾燥し硬化した後に通常それほど十分ではない。耐引っかき性などの機械的特性を改善するために、現行の溶液は、ナノシリカのような無機粒子を添加するか、または硬化剤の中へシランカップリング剤のような無機セグメントを組み込んでいる。しかしながら、添加された無機粒子は、クリアコートの外観を悪化させる傾向があり、硬化剤の中へシランカップリング剤を組み込むことは、余分なコストをもたらす追加の合成作業を必要とする。
【0028】
本発明は、より高い固形分、従って比較的低いVOCを有し、さらに得られたクリアコートは、外観および耐引っかき性のような機械的特性においてバランスのとれた良好な性能を有する、新しいタイプの2Kクリアコート組成物を提供することである。
【0029】
本発明は、
a).酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸基を有する少なくとも1種の樹脂;
b).ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の樹脂;
c).少なくとも1種の触媒;
d).少なくとも1種の溶媒
を含む成分I、ならびに
e).少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).ヒドロキシル基に反応性の少なくとも1種の架橋剤
を含む成分II
を含む2Kクリアコート組成物を提供する。
【0030】
好ましくは、2Kクリアコート組成物の成分Iにカルボキシル酸基(carboxyl acid group)を有する樹脂は、50~400mgKOH/gの酸価を有し、より好ましくはカルボキシル酸基を有する樹脂は、カルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種である。好ましくは、カルボン酸官能性ポリエステルは、好ましくは50~400mgKOH/g、より好ましくは70~300mgKOH/g、さらにより好ましくは100~200mgKOH/gの酸価を有する。好ましくは、カルボン酸官能性ポリエステルは、500~50000g/モル、より好ましくは1000~10000g/モル、さらにより好ましくは1500~5000g/モルの質量平均分子量を有する。
【0031】
好ましくはカルボン酸官能性ポリエステルは、50質量%~95質量%の少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸および/またはその無水物のモノマー単位、5質量%~50質量%の少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリオールのモノマー単位、0質量%~40質量%のC2~C12を有するカルボン酸、ならびに0%~20%のC5~C12を有するグリシジルエステルを含む、少なくとも1種である。
【0032】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、50~400mgKOH/g、より好ましくは70~300mgKOH/g、さらにより好ましくは100~200mgKOH/gの酸価、および0~150mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、1000~50000g/モル、より好ましくは1000~10000g/モル、さらにより好ましくは1500~5000g/モルの質量平均分子量を有する。
【0033】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、25質量%~95質量%の(メタ)アクリレートのモノマー単位、5質量%~75質量%の(メタ)アクリレート酸((meth)acrylate acid)のモノマー単位、0質量%~25質量%のスチレンのモノマー単位および0質量%~10質量%のヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートのモノマー単位を含む少なくとも1種のコポリマーであり、質量パーセントはポリ(メタ)アクリレート系コポリマーの全質量に対するものである。
【0034】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、25質量%~95質量%の(メタ)アクリレートのモノマー単位、5質量%~40質量%のヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートのモノマー単位、0質量%~25質量%のスチレンのモノマー単位および0質量%~25質量%の(メタ)アクリレートのモノマー単位を含む主鎖、ならびに2質量%~25質量%のC4~C6を有するヒドロキシカルボン酸の環状エステルのモノマー単位および2質量%~25質量%の少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸および/またはその無水物のモノマー単位を含むグラフト部分、を有する少なくとも1種のグラフトポリマーであり、質量パーセントはグラフトポリマーの全質量に対するものである。
【0035】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、1000~40000g/モルの質量平均分子量を有する主鎖、および250~60000g/モルの質量平均分子量を有するグラフト部分を含む、少なくとも1種のグラフトポリマーである。
【0036】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、0~200mgKOH/gの酸価および25~200mgKOH/gのヒドロキシル価を有する主鎖、ならびに50~400mgKOH/gの酸価および0~150mgKOH/gのヒドロキシル価を有するグラフト部分を含む、少なくとも1種のグラフトポリマーである。
【0037】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーは、グラフトのための反応部位を提供する1質量%~40質量%のモノマー単位を有する主鎖を含む少なくとも1種のグラフトポリマーであり、質量パーセントは主鎖の全質量に対するものである。
【0038】
好ましくは、b)ヒドロキシル官能基を有する樹脂ヒドロキシル価が10~800mgKOH/g、より好ましくは60~500mgKOH/g、さらにより好ましくは80~400mgKOH/gである


【0039】
好ましくは、ヒドロキシル官能基を有する樹脂は、ヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種である。
【0040】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーは、式Iおよび/または式II:
【0041】
【化1】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数である]の構造を有している。
【0042】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランの前記オリゴマーの質量平均分子量は、2000g/モル以下である。
【0043】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランポリマーは、アルコキシシランおよび/またはエポキシ基末端または側基を有する、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種の主鎖を有するコポリマーである。
【0044】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランポリマーは、少なくとも2個のアルコキシシランおよび少なくとも2個のエポキシ基を含有するコポリマーである。
【0045】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランポリマーは、2000~50000g/モルの質量平均分子量を有するコポリマーである。
【0046】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランポリマーは、250~25,000のエポキシ当量および250~25,000のアルコキシシラン当量を有するコポリマーである。
【0047】
好ましくは、エポキシ官能性アルコキシシランポリマーは、式III:
【0048】
【化2】
[式中、波線はポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種であり、R9は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R10はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R11は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、pは2~350の整数であり、qは0~350の整数である]の構造を有している。
【0049】
好ましくは、ヒドロキシル基に反応性の架橋剤は、アミノ樹脂、アルキル化メラミンおよび遊離(ポリ)イソシアネートから選択される少なくとも1種を含む。
【0050】
好ましくは、前記アミノ樹脂は少なくとも1種のメラミン樹脂を含み、より好ましくは前記メラミン樹脂は、式IV:
【0051】
【化3】
[式中、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、好ましくはR6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、好ましくはR7はメトキシル基またはブトキシル基であり、r、sは1~100の整数である]の構造を有している。
【0052】
好ましくは、前記アルキル化メラミンは、式V:
【0053】
【化4】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基である]の構造を有している。
【0054】
好ましくは、触媒は、単官能性、二官能性、三官能性および四官能性カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸、スズ系触媒、第三級アミン系触媒、および第四級アミン(quandary amine)から選択される少なくとも1種、より好ましくは、アジピン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニル(dinoyl)ナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ジメチルドデシルアミンおよびテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される少なくとも1種である。
【0055】
好ましくは溶媒は、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族化合物、芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種である。
【0056】
好ましくは、2Kクリアコート組成物の成分Iまたは成分IIは、少なくとも1種のブロックされた(ポリ)イソシアネートをさらに含む。
【0057】
好ましくは、2Kクリアコート組成物の成分IIは、エポキシ官能性アクリレートコポリマー、エポキシ官能性ポリウレタン、エポキシ官能性ポリエステル、エポキシ官能性ポリエチレン、エポキシ官能性ポリプロピレン、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、シロキサンエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂から選択される、少なくとも1種のエポキシ官能性樹脂をさらに含む。
【0058】
好ましくは、2Kクリアコート組成物は、(ジ)尿素結晶、ポリアミドワックス、ならびにポリマー、金属および金属酸化物のナノ粒子から選択される、少なくとも1種のレオロジー改質剤をさらに含む。
【0059】
好ましくは、2Kクリアコート組成物は、均展剤、消泡剤(deformer)、湿潤剤、UV吸収剤、光安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む。
【0060】
好ましくは、2Kクリアコート組成物の成分Iの成分IIに対する質量比は、1~5、より好ましくは1.2~3.5である。
【0061】
本発明は、乾燥し硬化した本発明の2Kクリアコート組成物で被覆された基材も提供する。
【0062】
本発明は、乾燥し硬化した本発明の2Kクリアコート組成物で被覆された基材を含む、自動車も提供する。
【0063】
さらに、本発明は、自動車を被覆する方法であって、
i).E-コーティングする工程、
ii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートを被覆する工程、
iii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートの層の上に、ベースコートを被覆する工程、および
iv).本発明の2Kクリアコート組成物をベースコートの層の上に被覆する工程
を含む、方法を提供する。
【0064】
実施形態
以下の実施形態を使用して、本発明をより詳細に説明する。
【0065】
第1番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、アルキル化メラミン、メラミン樹脂および遊離(ポリ)イソシアネートから選択される少なくとも1種
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0066】
第2番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が70~300mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性のポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).50質量%~90質量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~50質量%の少なくとも1種のアルキル化メラミンおよび/またはメラミン樹脂
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1.2~3.5である、2Kクリアコート組成物である。
【0067】
第3番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e)10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式II:
【0068】
【化5】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数である]の構造を有する、少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマー;
f).10質量%~90質量%の少なくとも1種のアルキル化メラミンおよび/またはメラミン樹脂
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0069】
第4番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式III:
【0070】
【化6】
[式中、波線はポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種であり、R9は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R10はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R11は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、pは2~350の整数であり、qは0~350の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランポリマー;
f).10質量%~90質量%の、少なくとも1種のアルキル化メラミンおよび/またはメラミン樹脂
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0071】
第5番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸基を有する少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式IV:
【0072】
【化7】
[式中、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、好ましくはR6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、好ましくはR7はメトキシル基またはブトキシル基であり、r、sは1~100の整数である]の構造を有する、少なくとも1種のメラミン樹脂;
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0073】
第6番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸基を有する少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式V:
【0074】
【化8】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基である]の構造を有する少なくとも1種のアルキル化メラミン;
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0075】
第7番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式II:
【0076】
【化9】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキルエン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式IV:
【0077】
【化10】
[式中、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、好ましくはR6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、好ましくはR7はメトキシル基またはブトキシル基であり、r、sは1~100の整数である]の構造を有する少なくとも1種のメラミン樹脂
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0078】
第8番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式II:
【0079】
【化11】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマー;
f).10質量%~90質量%の、式V:
【0080】
【化12】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基である]の構造を有する少なくとも1種のアルキル化メラミン
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0081】
第9番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10質量%の、アジピン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)およびジオクチルスズジラウレート(DOTL)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ジメチルドデシルアミンならびにテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族化合物および芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式IIおよび/または式III:
【0082】
【化13】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数であり、波線はポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種であり、R9は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R10はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R11は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、pは2~350の整数であり、qは0~350の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式III:
【0083】
【化14】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基である]の構造を有する少なくとも1種のアルキル化メラミン
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0084】
第10番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01質量%~10の質量%の、アジピン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)およびジオクチルスズジラウレート(DOTL)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ジメチルドデシルアミンならびにテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族化合物および芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式IIおよび/または式III:
【0085】
【化15】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数であり、波線はポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種であり、R9は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R10はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R11は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、pは2~350の整数であり、qは0~350の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式IV:
【0086】
【化16】
[式中、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、好ましくはR6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、好ましくはR7はメトキシル基またはブトキシル基であり、r、sは1~100の整数である]の構造を有する少なくとも1種のメラミン樹脂
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1~5である、2Kクリアコート組成物である。
【0087】
第11番目の実施形態は、
a).1質量%~60質量%の、酸価が50~400mgKOH/gのカルボン酸官能性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリ(メタ)アクリレート系コポリマーから選択される少なくとも1種の樹脂;
b).10質量%~50質量%の、ヒドロキシル価が10~800mgKOH/gのヒドロキシル官能性ポリアクリレート、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ポリアクリルポリオール、ヒドロキシル官能性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の樹脂;
c).0.01%~10質量%の、アジピン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)およびジオクチルスズジラウレート(DOTL)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ジメチルドデシルアミンならびにテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される少なくとも1種の触媒;
d).20質量%~60質量%の、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族化合物および芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種の溶媒
を含み、質量パーセントは成分Iの全質量に対するものである成分I、ならびに
e).10質量%~90質量%の、式Iおよび/または式II:
【0088】
【化17】
[式中、R1は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基、R2はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基、R3はアルキレン、シクロアルキレン、複素環、アリーレン、アルコキシレン、アラルキレン、アルケニレン、シクロアルキレンおよびポリマー部分からなる群から選択される少なくとも1種であり、R4は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R8は独立して水素またはC1~C6を有するアルコキシル基であり、少なくとも1個はアルコキシル基であり、nは整数0または1であり、mは0~5の整数であり、波線はポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリオレフィンから選択される少なくとも1種であり、R9は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、R10はヒドロキシ基またはC1~C6を有するアルキル基もしくはC1~C6を有するアルコキシ基であり、R11は独立して水素またはC1~C6を有するアルキル基であり、pは2~350の整数であり、qは0~350の整数である]の構造を有する少なくとも1種のエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはそのオリゴマーおよび/またはそのポリマー;
f).10質量%~90質量%の、式IVの構造を有する少なくとも1種のメラミン樹脂および式Vの構造を有する少なくとも1種のアルキル化メラミン:
【0089】
【化18】
[式中、R5は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R6は独立して水素、C1~C12を有するアルキロール基またはアルコキシ基であり、R7は独立してC1~C12を有するアルコキシ基であり、好ましくはR6は水素、-CH2OHまたは-CH2OR7であり、好ましくはR7はメトキシル基またはブトキシル基であり、r、sは1~100の整数である]
を含み、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものであり、質量パーセントは成分IIの全質量に対するものである成分II
を含み、成分Iの成分IIに対する質量比が1.2~3.5である、2Kクリアコート組成物である。
【0090】
第12番目の実施形態は、成分Iまたは成分IIが少なくとも1種のブロックされた(ポリ)イソシアネートをさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物である。
【0091】
第13番目の実施形態は、成分IIが、エポキシ官能性アクリレートコポリマー、エポキシ官能性ポリウレタン、エポキシ官能性ポリエステル、エポキシ官能性ポリエチレン、エポキシ官能性ポリプロピレン、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、シロキサンエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂から選択される、少なくとも1種のエポキシ官能性樹脂をさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物である。
【0092】
第14番目の実施形態は、(ジ)ウレア結晶、ポリアミドワックスならびにポリマー、金属および金属酸化物のナノ粒子から選択される、少なくとも1種のレオロジー改質剤をさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物である。
【0093】
第15番目の実施形態は、均展剤、消泡剤、湿潤剤、UV吸収剤および光安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物である。
【0094】
第16番目の実施形態は、乾燥し硬化した実施形態1~15のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物で被覆された基材である。
【0095】
17番目の実施形態は、実施形態16に記載の基材を含む自動車である。
【0096】
第18番目の実施形態は、自動車を被覆する方法であって、
i).E-コーティングする工程、
ii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートを被覆する工程、
iii).プライマーまたはプライマー機能を有するベースコートの層の上に、ベースコートを被覆する工程、および
iv).実施形態1~15のいずれか1つに記載の2Kクリアコート組成物を、ベースコートの層の上に被覆する工程
を含む、方法である。
【実施例
【0097】
本発明は実施例および比較例を参照してこれから記述されるが、これらは本発明を限定する意図ではない。
【0098】
カルボン酸官能性ポリエステルの製造
29.4質量部のヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)、0.8質量部のシクロヘキサン(CH)、10.6質量部のドデカン酸(DDA)および13.4質量部のペンタエリスリトール(Penta)を、還流冷却器、水分離器およびN入口を装備したステンレス鋼反応器に充填する。得られた反応混合物を、N下で185℃まで加熱する。150mgKOH/gの酸価に到達した後、反応混合物を120℃に冷却し、32.1質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)中10.1質量部のヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)溶液を添加することによって、ポリマーを希釈する。180mgKOH/gの酸価に到達するまで、反応混合物を120℃に保持する。その後、反応混合物を1-ブタノール(1-Bu)によって希釈して、62%の最終固形分に到達する。得られたポリエステルは、1000g/モルの数平均分子量(M)、3000g/モルの質量平均分子量(M)、10mgKOH/gのOH価および181mgKOH/gの酸価を保有する。
【0099】
ヒドロキシル官能性ポリアクリレートの製造
還流冷却器およびN入口を装備したステンレス鋼反応器に、26.2質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を充填し、この初期充填物を140℃に加熱する。その後、4.75時間の期間にわたって、開始剤溶液(3.8質量部の溶媒ナフサ160/180中、1.1質量部のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(TBPEH))を撹拌しながら一定速度で計量供給する。5.7質量部のスチレン(St)、17.2質量部のブタンジオールモノアクリレート(BDA)、26.7質量部の2-エチルへキシルアクリレート(EHA)、7.7質量部の1-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含有するモノマー混合物を、撹拌しながら一定速度で4時間の期間にわたって計量供給する。その後、反応混合物を60℃に冷却し、11.4質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を添加することによって希釈する。ポリアクリレートの得られた溶液の固形分は、58%である。得られたポリアクリレートは、8300g/モルの質量平均分子量(M)および170mgKOH/gのOH価を保有する。
【0100】
ヒドロキシル官能性ポリエステルの製造
21.2質量部のヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)、17.4質量部のイソノナン酸(isononaic acid)(INA)、0.3質量部のシクロヘキサン(CH)、8.8質量部のエチルブチルプロパンジオール-1,3(EBPD)、7.4質量部のトリメチロールプロパン(TMP)および9.4質量部のペンタエリスリトール(Penta)を、還流冷却器、水分離器およびN入口を装備したステンレス鋼反応器に充填する。得られた反応混合物を、N下で2時間以内に185℃に加熱する。12.5mgKOH/gの酸価に到達した後、反応混合物を160℃に冷却し、35.5質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を添加することによってポリマーを希釈する。得られたポリエステルの溶液の固形分は、60%である。得られたポリエステルは、3500g/モルの質量平均分子量(MW)および167mgKOH/gのOH価を保有する。
【0101】
エポキシド官能性ポリアクリレートの製造
還流冷却器およびN入口が装備されたステンレス鋼反応器に、24.3質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を充填し、この初期充填物を圧力(1.5bar)下で155℃に加熱する。その後、4.75時間の期間にわたって、開始剤溶液(1.4質量部の溶媒ナフサ160/180中の、3.5質量部のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(TBPEH))を撹拌しながら一定速度で計量供給する。6.2質量部のスチレン(St)、6.2質量部のメチルメタクリレート(MMA)、15.5質量部の2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)、30.9質量部のグリシジルメタクリレート(GMA)および0.8質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を含有するモノマー混合物を、撹拌しながら一定速度で4時間の期間にわたって計量供給する。その後、反応混合物を60℃に冷却し、11.2質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を添加することによって希釈する。ポリアクリレートの得られた溶液の固形分は、64.5%である。得られたポリアクリレートは、28300g/モルの質量平均分子量(M)および378のエポキシ当量(EEW)を保有する。
【0102】
エポキシ官能性アルコキシシランポリマーの製造
反応器に16.6質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)を充填し、この初期充填物を145℃に加熱する。反応器を圧力下(3.5bar)に置く。その後、5時間の期間にわたって、開始剤溶液(3.0質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)中、3.6質量部のジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP))を撹拌しながら一定速度で計量供給する。開始剤供給開始の15分後に、25.6質量部のビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、撹拌しながら一定速度で1時間の期間にわたって計量供給する。同時に、4.9質量部のメチルメタクリレート(MMA)、12.2質量部のn-ブチルアクリレート(nBA)、4.9質量部のスチレン(St)、24.5質量部のグリシジルメタクリレート(GMA)および2.5質量部のn-ドデカンチオール(nDT)からなるモノマー混合物を、撹拌しながら一定速度で4.5時間の期間にわたって同時に計量供給する。開始剤溶液の完全な添加に続いて反応器を155℃に加熱し、撹拌を規定の圧力で0.75時間継続して、その後、1.0質量部の溶媒ナフサ160/180(SN)中、1.2質量部のジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP)からなる溶液を、1.2時間の経過にわたって一定速度で再度添加する。続いて、バッチを規定の温度および規定の圧力で、さらに1.1時間保持する。ポリアクリレートの得られた溶液の固形分は、74.8%である。コポリマーは、1350g/モルの数平均分子量(M)および4760g/モルの質量平均分子量(M)を保有する。コポリマーのエポキシ当量(EEW)は、539である。
【0103】
樹脂特性評価
当業者は、酸価、OH価、エポキシ当量、固形分ならびに数平均分子量および質量平均分子量を決定する方法を知っている。それらは、以下に記述する規格に準拠して決定される。酸価は、DIN EN ISO2114(日付:2002年6月)に準拠して決定される。OH価は、DIN53240-2(日付:2007年11月)に準拠して決定される。エポキシ当量は、DIN EN ISO3001(日付:1999年11月)に準拠して決定される。固形分は、DIN EN ISO3251(日付:2008年6月)に準拠して決定される。数平均分子量および質量平均分子量は、DIN55672-1(日付:2007年8月)に準拠して決定される。
【0104】
2Kクリアコート組成物の製造
表1の量に従って、カルボン酸基を有する樹脂、触媒、溶媒およびヒドロキシル官能基を有する樹脂ならびに均展剤、消泡剤、レオロジー改質剤の添加剤を混合して、成分Iを得;エポキシ官能性アルコキシシランまたはそのオリゴマーまたはポリマー、アルキル化メラミンまたはメラミン樹脂、および任意にエポキシ樹脂を混合して、成分IIを得る。実施例1~6は、得られた2Kクリアコート組成物である。
【0105】
乾燥し硬化したフィルムの製造
実施例1~6の各組成物の成分Iおよび成分IIを混合して、混合物を均一に撹拌し;鋼板の上に混合物を噴霧して140℃で20分間焼く。乾燥し硬化した実施例1~6のフィルムが、実施例#1~#6として得られる。実施例#1~#6の性能試験を、表2に列挙する。
【0106】
固形分
表1に列挙する2Kクリアコート実施例の固形分は、成分Iおよび成分IIの個別成分の固形分に基づいて計算した。
【0107】
クリアコートの性能試験
(1)外観
乾燥し硬化したクリアコートの外観は、BYKウエーブ-スキャンデュアルによって測定される、その表面テクスチャーによって評価する。表面テクスチャーは、非常に微細なものから非常に粗いもの(course)まで及ぶ様々なテクスチャーの混合物である。BYKウエーブ-スキャンデュアルは、波長(Du、Wa、Wb、Wc、Wd、We)によって識別される6つのカテゴリーに区別された、異なるスケールレベルで表面テクスチャーを測定し、図1に示すようなグラフで視覚化することができる。これらの測定されたデータに基づいて、装置によってDu、Lw、Swが計算され、平面(pain)の外観レベルを表示する。より小さいDu、Lw、Sw値は、より良好な外観性能を表す。通常良好な外観性能は、Lw<5かつ同時にSw<20によって定義される。
【0108】
(2)耐引っかき性
耐引っかき性は、ドライ引っかき後の20°での光沢保留性によって評価される。ドライ引っかきは、PERSI研摩紙(粒子サイズ:10ミクロン)を装備したクロックメーターによって形成される。試験中に、15回の後退/前進繰り返しを実施した。ドライ引っかき前後の20°での光沢を比較した。より高い光沢保留性は、耐引っかき性のより良好な性能を表す。従来のポリウレタン2Kクリアコートの20°での光沢保留性は、最後の節に記述する方法によって測定して約40%である。
【0109】
実施例1および実施例2は黒色ベースコート上に適用され、実施例3~6は白色ベースコート上に適用される。異なるベースコートは、ベースコートの表面の粗さに影響を及ぼす異なる顔料/バインダー比を含有し、これが今度は外観に影響を及ぼす可能性がある。
【0110】
このため、実施例1~6から、発明された技術的手法によって、従来の2Kポリウレタンクリアコートと比較して、高い固形分、良好な外観およびより良好な耐引っかき性を実現できることが、明確に理解され得る。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
図1