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特許7551667コーティング組成物、その製造方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】コーティング組成物、その製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/14 20060101AFI20240909BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20240909BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20240909BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
C09D133/14
C09D167/00
C09D175/04
C09D4/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021577852
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2020067297
(87)【国際公開番号】W WO2021001190
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/094428
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ユワン ユワン
(72)【発明者】
【氏名】スイ,リン ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゼマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コルテン,カトリン
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-113085(JP,A)
【文献】特開平04-088009(JP,A)
【文献】特開2004-051944(JP,A)
【文献】特表2009-511733(JP,A)
【文献】特表2005-522560(JP,A)
【文献】特表2015-504462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0157003(US,A1)
【文献】特開2001-002981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/14
C09D 167/00
C09D 175/04
C09D 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%のポリマーバインダー、
b) 成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、16~25質量%の架橋剤、及び
c) 成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、35~50質量%の少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤
を含むコーティング組成物であって、
質量パーセントはコーティング組成物の合計質量に基づくものであり、
架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリアクリレート(A1)が、ヒドロキシ官能基を有しない(メタ)アクリレート、少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有する(メタ)アクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸、及び場合により、前述の(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外の、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する他のモノマーから合成された(メタ)アクリレートコポリマーであり、
架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリエステル(A2)が、重縮合モノマー単位の形態で、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールと、1分子当たり2個以上のカルボキシ基又は潜在性カルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸とを含むか、又は重縮合モノマー単位の形態の、前述の有機ポリオールと前述の多塩基性有機カルボン酸とからなり、
成分(C)としての前記反応性希釈剤が、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、及びヘキサ(メタ)アクリレート及びイソシアネート官能性(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上であり、
前記コーティング組成物が、コーティング層内へ熱硬化させた後、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも110秒の硬度を有する、コーティング組成物。
【請求項2】
前記コーティング組成物が、コーティング層内へ熱硬化させた後、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも120秒の硬度を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記コーティング組成物が、コーティング層内へ熱硬化させた後、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも130秒の硬度を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記コーティング組成物が、コーティング層内へ熱硬化させた後、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも150秒の硬度を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリアクリレート(A1)が、20~200mgKOH/gのOH数を有する、及び/又は、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリエステル(A2)が、20~200mgKOH/gのOH数を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリアクリレート(A1)が、0~200mgKOH/gの酸価を有する、及び/又は、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリエステル(A2)が、1~200mgKOH/gの酸価を有する、請求項1からのいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシ官能基を有しない(メタ)アクリレートが、アルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレートである;及び/又は前記少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有する(メタ)アクリレートが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである;及び/又は前記(メタ)アクリル酸が、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの任意の組合せである;及び/又は前述の(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外の、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する前記他のモノマーが、ビニル芳香族炭化水素である、請求項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールが、脂肪族ポリオール及び芳香族ポリオールからなる群から選択される1種以上である;及び/又は前記1分子当たり2個以上のカルボキシ基又は潜在性カルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸が、脂肪族ポリカルボン酸及びその無水物、芳香族ポリカルボン酸及びその無水物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトン、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトンからなる群から選択される1種以上である、請求項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
成分(B)としての前記架橋剤が、ブロックされていない、部分的にブロックされた、及び完全にブロックされた、ポリイソシアネート及びアミノ樹脂からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
成分(B)としてのポリイソシアネート架橋剤が、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上を含む;及び/又は成分(B)としてのアミノ樹脂架橋剤が、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される1種以上である、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
成分(C)としての前記反応性希釈剤が、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化グリセロールのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、及びポリアルコキシル化ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種以上である、請求項1から10のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリアクリレート(A1)が、1000~5000g/molの質量平均分子量Mを有する;及び/又は架橋可能な量のヒドロキシ基を有する前記ポリエステル(A2)が、1000~5000g/molの数平均分子量Mを有する;及び/又は、2000~20000g/molの質量平均分子量Mを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記コーティング組成物のVOC含有量が、40質量%以下である、請求項1から12のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
2成分コーティング組成物であり、成分(A)が成分(B)と別々に貯蔵される、請求項1から13のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載のコーティング組成物に含まれる前記成分を混合することによる、該組成物を製造するための方法。
【請求項16】
基材上に硬化したコーティング層を製造するための、請求項1から14のいずれか1項に記載のコーティング組成物を施与し、その後続いて熱硬化させることによる、請求項1から14のいずれか1項に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか1項に記載のコーティング組成物を用いて基材上に製造されたコーティング層。
【請求項18】
硬化させた後に、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも110秒の硬度を有する、請求項17に記載のコーティング層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関するものであり、そして具体的には、溶媒系の自動車用コーティングに関するものである。本発明は、そのようなコーティング組成物の製造方法及びその自動車用の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の仕上げでは、金属又はプラスチックの基材を、eコーティング、プライマー、ベースコート及びクリアコートを含む多層コーティングで塗装する。クリアコートはベースコートに付着している最外層であり、下にあるコーティング層を保護すると同時に、光沢のある外観を提供する。クリアコートの重要な要件の1つは傷がつきにくいことであり、従ってクリアコートは高硬度を有している必要がある。
【0003】
通常、クリアコートのためのコーティング組成物は溶媒系である。それは、溶媒が、クリアコートの粘度を低下させ、且つ外観を改善するための重要な成分であるのに対し、水系コーティング組成物は、同じ又は同等の性能を達成することが困難だからである。しかし、高い溶媒含有量の欠点、すなわち環境に負の影響をもたらすVOC問題も明白である。従って、良好な性能と環境保護の間のバランスを見出すこと、すなわちコーティング組成物中のVOCを低減し、且つその一方でなおクリアコートの満足な性能を達成することが必要である。
【0004】
よって、硬化後に低VOCであるだけでなく、高硬度でもあるコーティング組成物を得ることが依然として望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリマーバインダーと、ヒドロキシ基に対して反応性の架橋剤と、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤とを含むコーティング組成物を提供する。このコーティング組成物は、硬化後に低VOCであるだけでなく、高硬度でもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって本発明の1つの態様において、以下の成分:
a) 成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%のポリマーバインダー、
b) 成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、15~25質量%の架橋剤、及び
c) 成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、35~50質量%の少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤
を含むコーティング組成物を提供し、
質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0007】
本発明の別の態様において、本発明のコーティング組成物に含まれる成分を混合することにより、本発明のコーティング組成物を製造する方法を提供する。
【0008】
本発明の別の態様において、本発明によるコーティング組成物を施与し、その後続いて熱硬化させることによって、基材上に硬化したコーティング層を製造するための、本発明によるコーティング組成物の使用を提供する。
【0009】
本発明のさらなる態様において、本発明のコーティング組成物を用いて基材上に製造されるコーティング層を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、以下の成分:
a) 成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%のポリマーバインダー、
b) 成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、15~25質量%の架橋剤、及び
c) 成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、35~50質量%の少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤
を含むコーティング組成物を提供するものであり、
質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0011】
本発明によるコーティング組成物は、コーティング層内へ硬化させた後に高硬度を有する。いくつかの実施態様では、コーティング層内へ硬化させた後のコーティング組成物は、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも110秒、好ましくは少なくとも120秒、より好ましくは少なくとも130秒、さらにより好ましくは少なくとも150秒の硬度を有する。さらに、コーティング組成物は、非反応性有機溶媒を、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤で置換することによって、大幅に低減されたVOCを有する。コーティング組成物のVOC含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、及びさらにより好ましくは20質量%以下である。コーティング組成物を基材上に施与し、硬化させて、満足のいく硬度を有するコーティング層を得る。基材の例は、金属製又はプラスチック製のボディ及び車体部品である。
【0012】
水酸基価(hydroxyl value)又は水酸基数(hydroxyl number)とは、遊離ヒドロキシ基を含有する化学物質1グラムをアセチル化したときに取り込まれる酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を指す。水酸基価とは、化学物質中の遊離ヒドロキシ基の含有量の尺度であり、通常、化学物質1グラムのヒドロキシ含有量に等しいミリグラムで表される水酸化カリウム(KOH)の質量の単位で表される。本発明の文脈において、別段の指示がない限り、水酸基数は、DIN53240-2(水酸基価の決定-パート2:触媒を用いる方法)に準拠して、滴定により実験的に決定される。
【0013】
酸価(acid value)又は酸数(acid number)とは、化学物質1gを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラムで表される質量を指す。酸数は、成分(A)のような化学化合物又は化合物の混合物中のカルボン酸基の数の尺度である。典型的な手順では、既知量の試料を有機溶媒(しばしばイソプロパノール)中に溶解し、色指示剤としてフェノールフタレインを用いて、既知濃度の水酸化カリウム(KOH)溶液で滴定する。酸数は物質の酸性度を定量するために用いられる。試料1g中の酸性構成成分を中和するのに必要な塩基の量を水酸化カリウムのミリグラムで表したものである。
【0014】
成分A
コーティング組成物は、成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%のポリマーバインダーを含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0015】
成分(A)は、コーティング組成物のバインダーである。成分(A)として、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する1種以上のポリアクリレート(A1)、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する1種以上のポリエステル(A2)、又はそれらの任意の組み合わせであってよい。コーティング組成物が硬化している際に架橋構造を得るために、成分(A)はOH官能性である必要があり、そしてその中に含有されるヒドロキシ基の量は、コーティング組成物の架橋を達成するのに十分にな多くなければならない。よって成分(A)としてのポリアクリレート及びポリエステルは、それぞれポリアクリレートポリオール(A1)及びポリエステルポリオール(A2)とも呼ばれる。これらのポリアクリレートポリオール及びポリエステルポリオールはそれぞれ、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基、例えば1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシ基を含有している必要がある。いくつかの実施態様において、ポリアクリレートポリオールは、20~200mgKOH/g、好ましくは80~180mgKOH/g、より好ましくは110~180mgKOH/gのOH数を有していてよい。
【0016】
ポリアクリレートポリオール(A1)は、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを指す。(コ)ポリマーという用語は、既知のように、ホモポリマー、コポリマー、又はそれらの組み合わせを指す。いくつかの実施態様において、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(コ)ポリマーは、ヒドロキシ官能基を有しない(メタ)アクリレート、少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有する(メタ)アクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸、及び場合により、モノマーとして、前述の(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外の、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する他のモノマーから合成されたポリマー有機化合物であってよい。本発明の文脈における(メタ)アクリレートという用語は、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。本発明の文脈における(メタ)アクリル酸という用語は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0017】
ヒドロキシ官能基を有しないアクリレート及びメタクリレートモノマーの例には、種々のアルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばC~C18-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC~C12-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC~C-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。前記のヒドロキシ官能基を有しないアルキル(メタ)アクリレートの例として、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。前記のヒドロキシ官能基を有しないシクロアルキル(メタ)アクリレートの例として、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0018】
少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有するアクリレート及びメタクリレートモノマーの例には、種々のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシC~C-アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはヒドロキシC~C-アルキル(メタ)アクリレートが含まれる。前記の少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの例として、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0019】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレートは、場合により、モノマー単位の形態で、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの任意の組合せをコモノマーとして含んでよい。この場合、ポリアクリレートポリオールは、遊離又は未反応のカルボン酸基を含んでよい。いくつかの実施態様において、ポリアクリレートポリオールは一般に、0~200mgKOH/g、好ましくは0~50mgKOH/gの酸価を有してよい。
【0020】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)は、場合により、モノマー単位の形態で、前記(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外に、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有するさらなるモノマーを含む。これらのさらなるモノマーは、ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、又はそれらの任意の組合せ、及び好ましくはスチレン、アクリル酸又はメタクリル酸のアミド又はニトリル、ビニルエステル、ビニルエーテル、又はそれらの任意の組合せであってよい。
【0021】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)の分子量は、当業者によく知られている範囲内であり、最終的にはいかなる制限も受けない。1000~5000g/mol、より好ましくは1500~4000g/molの数平均分子量Mが好ましい。あるいは、3000~20000g/mol、より好ましくは5000~15000g/molの質量平均分子量Mが好ましい。
【0022】
数平均分子量M及び質量平均分子量Mは、高圧液体クロマトグラフィーポンプ及び屈折率検出器を用いて40℃でゲル浸透クロマトグラフィーにより決定した。使用した溶離液はテトラヒドロフランであり、溶離速度は1ml/分であった。較正はポリスチレン標準によって行った。
【0023】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)として、市販のものだけでなく、独立して調製した(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを用いることも可能である。(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)の調製は、プロセスに関して技術的な特異性はないが、その代わりに、例えば、プラスチック分野で慣用的及び既知の方法を用いて、連続的に又はバッチ式で、バルク、溶液、エマルジョン、ミニエマルジョン又はマイクロエマルジョン中、大気圧又は超大気圧下で、撹拌タンク、オートクレーブ、チューブ反応器、ループ反応器又はテイラー反応器において、好ましくは50~200℃の温度で、フリーラジカル開始(共)重合を行うことで達成される。
【0024】
ポリエステルポリオール(A2)とは、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールと1分子当たり2個以上のカルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸とを重縮合モノマー単位の形態で含むか、又は重縮合モノマー単位の形態の前記有機ポリオールと前記多塩基性有機カルボン酸とからなる架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、ポリマー有機化合物を指す。これらのポリオールとポリカルボン酸は、エステル化、換言すれば縮合反応によって、互いに結合している。よってポリエステルは重縮合樹脂の群に属する。出発成分の性質、官能性、使用する画分、及び割合に応じて、例えば、直鎖状又は分岐状の生成物が得られる。一方で、より高度な多官能性アルコール(OH官能性、換言すれば、1分子当たりのOH基の数が2個を超える)の使用は、例えば、分岐をもたらす。調製の過程で、単官能性成分、例えばモノカルボン酸、例えばC~C10-カルボン酸を比例的に使用することも当然可能である。既知のように、ポリエステルは、対応する有機カルボン酸の代わりに、又はそれに加えて、カルボン酸の無水物、好ましくはジカルボン酸の無水物を用いて調製してもよい。無水物の調製の一例は、ヒドロキシカルボン酸又は分子内エステル化によってヒドロキシカルボン酸から誘導されたラクトンの使用を介するものである。
【0025】
ポリエステルの調製において、ポリカルボン酸、例えばアジピン酸のような脂肪族ポリカルボン酸、及びポリオール、例えば脂肪族三価及び四価アルコールのような脂肪族ポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、又はそれらの任意の組み合わせを使用することが可能である。
【0026】
同様に使用可能なものは、芳香族ポリカルボン酸及び芳香族ポリオールか、又は化合物のクラスを同定する官能基に加えて(直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状)脂肪族基だけでなく芳香族基も含有するポリカルボン酸及びポリオールである。また、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸、及びラクトン、すなわち、化合物のクラスを同定する官能基に加えて、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族基を有するヒドロキシカルボン酸及びラクトンの使用も可能である。
【0027】
よって本発明のいくつかの実施態様において、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールは、脂肪族ポリオール及び芳香族ポリオールからなる群から選択される1種以上、好ましくは脂肪族三価及び四価アルコールからなる群から選択される1種以上、より好ましくはトリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリスリトールからなる群から選択される1種以上である。
【0028】
本発明のいくつかの実施態様において、1分子当たり2個以上のカルボキシ基又は潜在性カルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸は、脂肪族ポリカルボン酸及びその無水物、芳香族ポリカルボン酸及びその無水物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトン、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトンからなる群から選択される1種以上、好ましくは分子中に2~44個、好ましくは4~36個の炭素原子を有するジカルボン酸及びその無水物、3個以上のカルボキシ基を有する多官能性カルボン酸及びその無水物、及び分子中に1~18個、好ましくは4~12個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸及びそのラクトンからなる群から選択される1種以上、より好ましくはo-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロロヘプタンジカルボン酸、テトラクロロフタル酸、及びそれらの無水物、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブチル酸、ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びそれらのラクトンからなる群から選択される1種以上である。
【0029】
ポリエステル(A2)もOH官能性であり、そして架橋可能な量のヒドロキシ基を有する。このように本発明のコーティング組成物は、好ましくは少なくとも1種、好ましくは正確に1種のポリエステル(A2)を含む。いくつかの実施態様において、ポリエステルポリオールは、20~200mgKOH/g、好ましくは80~180mgKOH/g、非常に好ましくは120~180mgKOH/gのOH数を有してよい。従ってポリエステル(A2)は、好ましくは多量のOH基を有する。
【0030】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)を調製するための、1分子当たり2個以上のカルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸の種類及び量に応じて、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)は、遊離又は未反応のカルボン酸基を含んでよい。いくつかの実施態様において、ポリエステルポリオール(A2)は一般に、1~200mgKOH/g、好ましくは10~50mgKOH/gの酸価を有してよい。
【0031】
架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)の分子量は、当業者によく知られている範囲内であり、最終的にはいかなる制限も受けない。1000~5000g/mol、より好ましくは1000~3000g/molの数平均分子量Mが好ましい。あるいは、2000~20000g/mol、より好ましくは2500~5000g/molの質量平均分子量Mが好ましい。
【0032】
ポリエステル(A2)に関して、市販のポリエステルを使用することができ、自己調製したポリエステルを使用することもできる。ポリエステルの調製は、プロセスに関して特異性はなく、一般に、従来の既知の重合プロセス、例えば重縮合プロセスによって、バルク、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン中、撹拌タンク、オートクレーブ、チューブ反応器、ループ反応器又はテイラー反応器において、好ましくは50~300℃の温度で、必要に応じて、そのような反応に典型的な触媒、及び/又は縮合反応に典型的に使用される水分離器を使用して、行われる。
【0033】
本発明によれば、コーティング組成物は一般に、成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%のポリマーバインダーを含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。いくつかの実施態様において、コーティング組成物は、成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、好ましくは28~40質量%、より好ましくは30~35質量%のポリマーバインダーを含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0034】
バインダーとして、重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂も存在してよい。重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂の例には、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂-アミン付加物、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリエーテル-ポリウレタン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
既知のように、バインダーとしての成分(A)は、例えば、熱的に及び/又は化学線によって硬化させてよい。
【0036】
すでに述べたように、成分(A)は架橋可能な量のヒドロキシ基を含有し、よってOH官能性である。当業者が認識しているように、官能基としてのOH基を介してバインダー中に架橋反応をもたらすことが可能である。本発明の文脈において、成分(A)のOH基は、架橋剤の補完的な官能基を用いて、本発明のコーティング組成物の三次元架橋、すなわち硬化をもたらすために利用される。よってそれらの現存するOH基に関して、成分(A)は主として外部架橋として理解されるべきであり、そして本発明のコーティング組成物は、成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する架橋剤を含む。
【0037】
成分B
コーティング組成物は、成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、15~25質量%の架橋剤を含む。本発明の文脈において、架橋剤は、クロスリンカー又は硬化剤とも呼ばれる。成分(B)としての架橋剤は、上記で同定したバインダーとしての成分(A)中のヒドロキシ基と架橋反応に入ることができるあらゆる有機モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物を指す。
【0038】
クロスリンカー成分(B)は、ブロックされていない、部分的にブロックされた及び/又は完全にブロックされたポリイソシアネート、アミノ樹脂、又はそれらの任意の組み合わせを含んでよい。ブロックされていないポリイソシアネートが好ましい。本発明の目的のために、架橋剤としてのポリイソシアネートは、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有する有機化合物であると理解される。原理的には、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有するあらゆる有機化合物を使用することが可能である。イソシアネート基を含有し、そして例えば、ポリオール及びポリアミン及びポリイソシアネートから形成される反応生成物を使用することも可能である。
【0039】
脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネート、非常に好ましくは脂肪族ジイソシアネート、しかしより好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、二量化ヘキサメチレンジイソシアネート、三量化ヘキサメチレンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせを使用することも可能である。
【0040】
ポリイソシアネートのさらなる例は、イソホロンジイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、二量体脂肪酸から誘導されるジイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、1,7-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルヘプタン、1-イソシアナト-2-(3-イソシアナトプロピル)シクロヘキサン、又はそれらの任意の組合せである。
【0041】
同様に、挙げるに値するものは、例えば、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、シクロヘキシル1,4-ジイソシアネート、1,5-ジメチル-2,4-ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5-ジメチル-2,4-ジ(イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメチル-2,4-ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、ジシクロヘキシルジメチルメタン4,4’-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0042】
特に好ましい実施態様では、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの三量体が架橋剤として使用され、この化合物は、例えば、Desmodur3370、BL3575、及びN3390(Bayer MaterialScience社)の名称で市販品として入手可能である。
【0043】
ポリイソシアネートのさらなる例は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族に結合した遊離イソシアネート基を有する、いわゆるペイントポリイソシアネートである。1分子当たり2~5個のイソシアネート基を有し、そして100~10000、好ましくは100~5000、及びより好ましくは100~2000mPa・s(23℃)の粘度を有するポリイソシアネートを用いることが好ましい。場合により、ポリイソシアネートは、少量の、好ましくは、純粋なポリイソシアネートに基づいて1質量%~25質量%の有機溶媒と混合してよく、これによってイソシアネートの取り込みやすさが改善され、そして場合によりポリイソシアネートの粘度が上記範囲内のレベルまで低下する。ポリイソシアネートへの溶媒付加の例には、エトキシエチルプロピオネート、アミルメチルケトン又は酢酸ブチルが含まれる。さらに、ポリイソシアネートは、従来の親水性又は疎水性修飾を受けていてもよい。
【0044】
イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーも同様に使用することができる。これらはポリオールと過剰のポリイソシアネートとを反応させることによって調製され、そして好ましくは低粘度を有する。ポリイソシアネートのさらなる例は、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、尿素及び/又はウレトジオン基を含有するポリイソシアネートである。ウレタン基を含有するポリイソシアネートは、例えば、イソシアネート基のいくつかを、ポリオール、例えばトリメチロールプロパン及びグリセロールと反応させることによって得られる。
【0045】
上記ポリイソシアネートは、遊離の形態で存在する架橋剤である。遊離ポリイソシアネートは、多成分コーティング系、好ましくは2成分コーティング系で使用される。本発明において、これは、本発明のコーティング組成物の成分(A)及びクロスリンカー成分(B)が、2成分コーティング組成物の場合、互いに別々に貯蔵され、コーティング組成物の施与直前にのみ合わされることを意味する。これは、成分(A)及び遊離ポリイソシアネートクロスリンカーのOH基を介したバインダーの尚早な架橋を防止するために行われる。
【0046】
しかしながら上述のように、ブロックされたポリイソシアネートの使用も同様に可能である。このブロックされたポリイソシアネートは、本発明において、1成分コーティング組成物の場合に架橋剤として使用され、これは従って、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)及びクロスリンカー成分(B)は、互いとの混合物として貯蔵できることを意味する。遊離イソシアネートとは対照的に、ブロックされたポリイソシアネートクロスリンカーは、三次元ネットワークを構築することによって組成物の硬化をもたらすために、高温においてのみ、成分(A)のOH基を介してバインダーの官能基と反応することができる。このようなブロックされたポリイソシアネート架橋剤は、多成分系、例えば2成分系において使用してもよい。
【0047】
ブロックされた架橋剤が高温(約>80℃~100℃)においてのみ組成物の硬化をもたらす理由は、ブロック剤が、こうした温度においてのみイソシアネート官能基から除去され、そのため次いで成分(A)のOH基を介してバインダーの補完的な基と反応できるためであることが知られている。
【0048】
典型的なブロック剤の例には、フェノール、アルコール、オキシム、ピラゾール、アミン、及びジエチルマロネートなどのCH酸性化合物が含まれる。ブロック反応は、典型的には、遊離NCO基と上記ブロック剤との反応によって、例えば、ジブチルスズジラウレート又はスズ(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)などの触媒の存在下で行われる。ブロック剤及び対応する反応は当業者に知られており、例えば、米国特許明細書US-A-4,444,954に包括的に記載されている。ブロック剤としての使用には、カプロラクタム、ブタノンオキシム、アセトンオキシム、ジエチルマロネート、ジメチルピラゾール又はフェノールが好ましい。
【0049】
本発明の文脈において、アミノ樹脂は、さらなる架橋剤として使用することができる。アミノ樹脂の例として、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂が挙げられ、そしてメラミン-ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。それらは、典型的には、低級アルコール、例えば分子中に1~6個の炭素原子を有する脂肪族一価アルコール、通常はメタノール、ブタノール、又はそれらの任意の組み合せでエーテル化された形態で使用される。好適なアミノ樹脂の1つは、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミンである。しかしながら、他のアミン及びアミドの縮合生成物、例えばトリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアニジン、グアニミン、及びそのような化合物のアルキル置換及びアリール置換誘導体(アルキル置換及びアリール置換メラミンを含む)も同様に使用することができる。そのような化合物のいくつかの例は、N,N’-ジメチルウレア、ベンゾウレア、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン(formaguanamine)、アセトグアナミン、アンメリン、2-クロロ-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、6-メチル-2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、3,5-ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2-メルカプト-4,6-ジアミノピリミジン、3,4,6-トリス(エチルアミノ)-1,3,5-トリアジン、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)-トリアジンなどである。ホルムアルデヒドとの縮合生成物に加えて、他のアルデヒドとの縮合生成物も使用できることが理解されよう。
【0050】
慣用的及び既知のアミノ樹脂も好適であり、そのうちの一部のメチロール基及び/又はメトキシメチル基は、カルバメート基又はアロファネート基によって脱官能化されていてよい。この種の架橋剤は、特許明細書US-A-4710542及びEP-B-0245700に記載されている。
【0051】
本発明の文脈における好適なアミノ樹脂は、例えば、Cymel、Luwipal(Luwipal014、018及び072を含む)、Maprenal、Resimene、及びBeetleの商標で市販されている。
【0052】
イソシアネート基を含有する好ましい架橋剤の場合、少なくとも1種の架橋剤が、バインダーとして使用される上記化合物中のヒドロキシ基の合計量と比較して、使用される架橋剤中の反応性NCO基の合計量が過剰になるような量で使用されることが好ましい。好ましくは、バインダーとして使用される化合物のヒドロキシル化合物の、少なくとも1種の架橋剤のNCO基に対する比は、1:1~1:1.5の間、好ましくは1:1.05~1:1.25の間、及びより好ましくは1:1.05~1:1.15の間である。
【0053】
コーティング組成物は、成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、15~25質量%の架橋剤、好ましくはポリイソシアネート及び/又はアミノ樹脂、及びより好ましくはブロックされていないポリイソシアネートを含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。いくつかの実施態様において、コーティング組成物は、好ましくは、成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、16~20質量%の架橋剤を含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0054】
成分C
本発明によるコーティング組成物は、成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤を含む。成分(C)は、成分(A)の合成において不活性希釈剤として使用してもよい。前記反応性希釈剤は、モノ不飽和、ジ不飽和、又はポリ不飽和であってよい。それらは、慣用的に、コーティング組成物の粘度及び架橋密度などの技術的特性に影響を与える。
【0055】
そのような反応性希釈剤の例は、(メタ)アクリル酸、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、及びヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、マレイン酸及びそのジエステル及び/又はモノエステル、ビニルアセテート、ビニルエーテル、ビニルウレアなどであってよい。
【0056】
それらには例えば、2-アルキル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオール、2-アルキル-2-ヒドロキシアルキル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジヒドロキシアルキル-1,3-プロパンジオール、ポリアルコキシル化2-アルキル-1,3-プロパンジオール、ポリアルコキシル化2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオール、ポリアルコキシル化2-アルキル-2-ヒドロキシアルキル-1,3-プロパンジオール及び/又はポリアルコキシル化2,2-ジヒドロキシアルキル-1,3-プロパンジオールのアクリレート及び/又はメタクリレートエステルが含まれ、アルキルはC~C直鎖又は分岐アルカニルであり、及びポリアルコキシル化は1~20個のアルコキシ単位を有するポリエトキシル化、ポリプロポキシル化及び/又はポリブトキシル化である。それらにはさらに、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、フェノキシエチルアクリレート、ジメチル-アミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド及びジシクロペンチルアクリレートが含まれる。
【0057】
成分(C)としての反応性希釈剤は、本発明の特に好ましい実施態様においては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化グリセロールのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、及びポリアルコキシル化ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートである。ここで、ポリアルコキシル化とは、好ましくはポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化である。成分(C)のさらに好適な例には、ビニル、アリル及び/又はメタリルエーテル、スチレン、ビニルトルエン及び/又はジビニルベンゼンが含まれる。
【0058】
本発明のいくつかの好ましい実施態様において、反応性希釈剤は、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-及び/又はヘキサ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリレート化ジペンタエリスリトール、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、又はそれらの任意の組合せである。好ましい反応性希釈剤には、BASF AG社からのLaromer LR9000などのイソシアネート官能性(メタ)アクリレートも含まれる。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリレート化ジペンタエリスリトール、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンエストキシトリアクリレート、及びイソシアネート官能性(メタ)アクリレート(例えばLaromer LR9000)からなる群から選択される1種以上を用いることが、より好ましい。
【0059】
本発明によれば、コーティング組成物は、成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、一般に35~50質量%の少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤を含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0060】
その他の成分
本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物中、化合物(A)及び(B)に対して化学的に不活性であり、本発明のコーティング組成物の硬化時に(A)及び(B)と反応しない、少なくとも1種の有機溶媒をさらに含んでよい。
【0061】
有機溶媒は、本発明のコーティング組成物の架橋を阻害しないもの、及び/又は本発明のコーティング組成物の他の構成成分と化学反応を起こさないものが使用される。従って当業者は、その既知の溶解度及びその反応性に基づいて、好適な溶媒を容易に選択することができる。
【0062】
そのような溶媒の例は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、Solvesso100、又はHydrosol(登録商標)(ARAL社製)、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルグリコールアセテート、酢酸ペンチル又はエチルエトキシプロピオネート、エーテル、又は前記溶媒の混合物である。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、40質量%以下、好ましくは30質量%以下の上記有機溶媒を含み、質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0064】
本発明のコーティング組成物は、水を含有する、すなわち、コーティング組成物は、存在する有機溶媒に加えて、組成物の合計量に基づいて1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、及びより好ましくは0.25質量%以下の水をさらに含有する。
【0065】
さらに、本発明のコーティング組成物は、少なくとも1種の従来のコーティング添加剤を含んでよい。
【0066】
コーティング添加剤の例は、UV吸収剤;光安定剤、例えばヒンダードアミン光安定剤、ベンゾトリアゾール又はオキサルアニリド;透明充填剤、例えばSiOナノ粒子、硫酸バリウム、酸化亜鉛及びアエロジル;遊離ラジカル捕捉剤;スリップ添加剤;重合阻害剤;消泡剤;湿潤剤、例えばシロキサン、フッ素含有化合物、カルボン酸モノエステル;リン酸エステル、ポリアクリル酸及びコポリマー;ポリウレタン;接着促進剤、例えばトリシクロデカンジメタノール;膜形成補助剤、例えばセルロース誘導体;及び難燃剤である。
【0067】
本発明のコーティング組成物に加えて、本発明はさらに、本発明のコーティング組成物の製造を提供する。
【0068】
よって本発明の第2の態様から、本発明のコーティング組成物に含まれる成分を混合することにより、本発明のコーティング組成物を製造する方法を提供する。
【0069】
方法に関して、製造に特異性はないが、代わりに、上記構成成分を従来の混合技術及び装置、例えば撹拌槽、攪拌ミル、押出機、配合機、Ultraturrax(登録商標)、インライン溶解機、静的ミキサー、歯付きホイール分散機、圧力除去ノズル及び/又はマイクロ流動化機を用いて、場合により化学線を除外して、混合及び均質化することによって行われる。
【0070】
好ましい2成分コーティング系では、成分(A)のOH基を介した遊離ポリイソシアネートとのバインダーの尚早な架橋を防止するために、成分(B)及び成分(A)中のクロスリンカーとしてのブロックされていないポリイソシアネートは別々に貯蔵され、基材上に施与されるまで合わせて混合されない。2成分コーティング系では、コーティング組成物の上記の成分、とりわけ、レオロジー補助剤、反応性希釈剤、及び存在する有機溶媒及び任意のコーティング添加剤を成分(A)と混合し、場合により貯蔵する。次いで、この得られた混合物を、基材上に施与する直前に、有機溶媒との混合物として存在する成分(B)と混合する。施与直前の混合とは、本発明の文脈において、施与前30分以内、好ましくは15分以内に混合することを意味する。
【0071】
本発明の第3の態様から、本発明によるコーティング組成物の施与及びその後の熱硬化によって、基材上に硬化したコーティングを製造するための本発明によるコーティング組成物の使用を提供する。
【0072】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、異なる基材上にコーティングを製造するための自動車用仕上げに使用するものである。よって本発明により、本発明のコーティング組成物を用いて基材上に製造されるコーティングも提供される。
【0073】
本発明のコーティング組成物の基材への施与は、あらゆる慣用の施与方法、例えば噴霧、ナイフコーティング、拡散、注入、浸漬、含浸、滴下又は圧延などによって達成してよい。このような施与の間、被覆される基材は、それ自体が静止していて、施与ユニット又は装置が動いてよい。或いは、被覆される基材、好ましくはコイルが動き、動く基材に対して施与ユニットが適切に静止していてもよい。
【0074】
好ましくは、噴霧塗布法、例えば、圧縮空気噴霧(空気塗布システム)、エアレス噴霧、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)が、場合により、高温空気噴霧のような高温噴霧塗布と共に用いられる。
【0075】
硬化乾燥状態における膜厚は好ましくは、20~70マイクロメートル、好ましくは30~50マイクロメートルである。
【0076】
本発明のコーティング組成物の施与後及び硬化前に、一定の休止時間又は蒸発時間が存在してよい。休止時間は、例えば、コーティングフィルムのレベリング及び脱揮、又は溶媒などの揮発性構成成分の蒸発に役立つ。休止時間は、例えば、尚早な完全架橋などの、塗膜の損傷又は変質のいかなる例も伴わない限り、高温の適用及び/又は低減された大気湿度によって、支持及び/又は短縮してよい。
【0077】
施与後、及び実施される場合には、基材上で本発明のコーティング組成物の蒸発時間後、硬化が起こってコーティングが形成される。
【0078】
本発明のコーティング組成物の熱硬化は、方法に関して特異性はないが、代わりに、強制空気オーブン中での加熱又はIRランプを用いた照射などの従来の方法によって行われる。ここで、熱硬化も段階的に行ってよい。他の硬化方法は、近赤外線(NIR照射)を用いる硬化法である。コーティング組成物の熱硬化が、本発明により好ましい。熱硬化は一般に、40~190℃、好ましくは50~180℃、及びより好ましくは120~160℃の温度で、1分~10時間、好ましくは2分~5時間、より好ましくは3分~3時間、及びさらにより好ましくは10~30分行われる。2成分コーティング系では、熱硬化は、好ましくは80~160℃の温度で20~60分行われる。金属基材では、熱硬化は、好ましくは100℃~160℃で20~40分行われる。プラスチック基材では、熱硬化は、60~100℃で30~60分行われる(「低ベーク」法)。
【0079】
基材が直接被覆される(単一被覆仕上げ)か、又は既に施与されそして場合により乾燥及び/又は硬化させた既存の塗装膜上にコーティングフィルムが形成されると、結果はマルチコート塗装系となる。基材は、好ましくは、金属基材又はプラスチック基材であり、例えば、PP/EPDM、ポリアミド及び/又はABSなどの自動車構造において車両内又は車両上に取り付けるための部品を製造するために使用される種類のものである。プラスチック基材が特に好ましい。
【0080】
金属基材の場合、コーティングは、電着被覆、プライマーサーフェイサーコート、ベースコート、及び本発明のコーティングを含むマルチコート塗装系の一部として有利に使用される。プラスチック基材の場合、単一被覆仕上げ又は同様にマルチコート塗装系が構築される。後者の場合には、プラスチック塗装に用いることができる慣用のプライマーサーフェイサー、単一被覆トップコート、ベースコート、及びコーティング組成物が使用され、これらの組成物の選択及び使用は、当業者に知られている。
【0081】
本発明の最終態様から、本発明のコーティング組成物を用いて基材上に製造されたコーティング層を提供する。硬化後、このコーティング層の厚さは、通常30~50μm、好ましくは35~45μm、より好ましくは38~42μmである。このコーティング層は、硬化後に非常に高い硬度を有する。硬度は、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、通常は少なくとも110秒、好ましくは少なくとも120秒、より好ましくは少なくとも130秒、及びさらにより好ましくは少なくとも150秒である。
【0082】
以下の非限定的な実施例は、本開示の様々な実施態様をさらに例示するために含まれ、本開示の範囲を限定するものではない。
【0083】
実施態様
本発明は、以下の成分:
a) 成分(A)として、ポリアクリレート(A1)及び/又はポリエステル(A2)から選択される、架橋可能な量のヒドロキシ基を有する、25~50質量%、好ましくは28~40質量%、より好ましくは30~35質量%のポリマーバインダー、
b) 成分(B)として、OH基に対して反応性の官能基を有する、15~25質量%、好ましくは16~20質量%の架橋剤、及び
c) 成分(C)として、少なくとも1つのオレフィン二重結合を有する、35~50質量%の少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマー反応性希釈剤
を含むコーティング組成物を提供するものであり、
質量パーセントは、コーティング組成物の合計質量に基づく。
【0084】
好ましくは、コーティング層内へ硬化させた後のコーティング組成物は、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも110秒、より好ましくは少なくとも120秒、さらにより好ましくは少なくとも130秒、及び特に好ましくは少なくとも150秒の硬度を有する。
【0085】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)は、20~200mgKOH/g、より好ましくは80~180mgKOH/g、及びさらにより好ましくは110~180mgKOH/gのOH数を有し、及び/又は架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)は、20~200mgKOH/g、好ましくは80~180mgKOH/g、より好ましくは120~180mgKOH/gのOH数を有する。
【0086】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)は、0~200mgKOH/g、より好ましくは0~50mgKOH/gの酸価を有する。好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)は、1~200mgKOH/g、及びより好ましくは10~50mgKOH/gの酸価を有する。
【0087】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)は、ヒドロキシ官能基を有しない(メタ)アクリレート、少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有する(メタ)アクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸、及び場合により、前述の(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外の、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する他のモノマーから合成された(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0088】
好ましくは、ヒドロキシ官能基を有しない(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばC~C18-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC~C12-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレート、さらにより好ましくはC~C-アルキル(メタ)アクリレート及びC~C-シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、又はこれらの任意の組合せ、特にメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される1種以上である。
【0089】
好ましくは、少なくとも1個のヒドロキシ官能基を有する(メタ)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはヒドロキシC~C-アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはヒドロキシC~C-アルキル(メタ)アクリレート、及びさらにより好ましくは2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種以上である。好ましくは、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0090】
好ましくは、前述の(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸以外の、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する他のモノマーは、ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、又はそれらの任意の組合せ、特にスチレン、アクリル酸又はメタクリル酸のアミド又はニトリル、ビニルエステル、ビニルエーテル又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される1種以上である。
【0091】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)は、重縮合モノマー単位の形態で、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールと、1分子当たり2個以上のカルボキシ基又は潜在性カルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸とを含むか、又は重縮合モノマー単位の形態の前記有機ポリオールと前記多塩基性有機カルボン酸とからなる。
【0092】
好ましくは、1分子当たり2個を超えるヒドロキシ基を含有する有機ポリオールは、脂肪族ポリオール及び芳香族ポリオールからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは脂肪族3価及び4価アルコールからなる群から選択される1種以上であり、そしてさらにより好ましくはトリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリスリトールからなる群から選択される1種以上である。
【0093】
好ましくは、1分子当たり2個以上のカルボキシ基又は潜在性カルボキシ基を含有する多塩基性有機カルボン酸は、脂肪族ポリカルボン酸及びその無水物、芳香族ポリカルボン酸及びその無水物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトン、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトンからなる群から選択される1種以上、より好ましくは分子中に2~44個、より好ましくは4~36個の炭素原子を有するジカルボン酸及びその無水物、3個以上のカルボキシ基を有する多官能性カルボン酸及びその無水物、及び分子中に1~18個、より好ましくは4~12個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸及びそのラクトンからなる群から選択される1種以上、及びさらにより好ましくはo-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロロヘプタンジカルボン酸、テトラクロロフタル酸及びそれらの無水物、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブチル酸、ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びそれらのラクトンからなる群から選択される1種以上である。
【0094】
好ましくは、成分(B)としての架橋剤は、ブロックされていない、部分的にブロックされた、及び完全にブロックされた、ポリイソシアネート及びアミノ樹脂、好ましくはブロックされていないポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上を含む。
【0095】
好ましくは、成分(B)としてのポリイソシアネート架橋剤は、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネート、より好ましくはジイソシアネート、非常に好ましくは脂肪族ジイソシアネート、及びさらにより好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、二量化ヘキサメチレンジイソシアネート、三量化ヘキサメチレンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種以上を含む。
【0096】
好ましくは、成分(B)としてのアミノ樹脂架橋剤は、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、より好ましくはメラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及びさらにより好ましくは分子中に1~6個の炭素原子を有する脂肪族一価アルコール、通常はメタノール、ブタノール、又はそれらの任意の組み合わせでエーテル化されたメラミン-ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される1種以上である。
【0097】
好ましくは、成分(C)としての反応性希釈剤は、(メタ)アクリル酸、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、及びヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、マレイン酸及びそのジエステル及びモノエステル、ビニルアセテート、ビニルエーテル及びビニルウレアからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、及びヘキサ(メタ)アクリレート及びイソシアネート官能性(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上であり、及びさらにより好ましくは、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化グリセロールのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ポリアルコキシル化ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、及びポリアルコキシル化ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート(ポリアルコキシル化は、好ましくはポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化である)、より好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリレート化ジペンタエリスリトール、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、イソシアネート官能性(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種以上である。
【0098】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリアクリレート(A1)は、1000~5000g/mol、より好ましくは1500~4000g/molの数平均分子量Mを有し、及び/又は、3000~20000g/mol、より好ましくは5000~15000g/molの質量平均分子量Mを有する。
【0099】
好ましくは、架橋可能な量のヒドロキシ基を有するポリエステル(A2)は、1000~5000g/mol、より好ましくは1000~3000g/molの数平均分子量Mを有し、及び/又は、2000~20000g/mol、より好ましくは2500~5000g/molの質量平均分子量Mを有する。
【0100】
好ましくは、コーティング組成物のVOC含有量は、40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、及びさらにより好ましくは20質量%以下である。
【0101】
好ましくは、2成分コーティング組成物は、成分(B)とは別々に貯蔵される成分(A)を有する。
【0102】
好ましくは、本発明によるコーティング組成物の製造方法は、その中に含まれる成分を混合することによるものである。
【0103】
好ましくは、基材上に硬化したコーティング層を製造するための本発明によるコーティング組成物の使用は、コーティング組成物の施与及びその後の熱硬化によるものである。
【0104】
好ましくは、コーティング層は、本発明によるコーティング組成物を用いて基材上に製造される。好ましくは、硬化後に得られるコーティング層は、規格DIN EN ISO1522に準拠して測定して、少なくとも110秒、より好ましくは少なくとも120秒、さらにより好ましくは少なくとも130秒、及び特に好ましくは少なくとも150秒の硬度を有する。
【実施例
【0105】
材料情報:
Laromer LR9000:BASF AG社から市販されている反応性希釈剤、イソシアネート官能性アクリレート
Desmodur3300:Covestro AG社から市販されている硬化剤、脂肪族ポリイソシアネート(HDI三量体)
Desmodur3370:Covestro AG社から市販されている硬化剤、脂肪族ポリイソシアネート(ブロック化HDI三量体)
Desmodur BL3575:Covestro AG社から市販されている硬化剤、脂肪族ポリイソシアネート(ブロック化HDI三量体)
Luwipal014:BASF AG社から市販されている硬化剤、n-ブタノールでエーテル化したメラミン-ホルムアルデヒドアミノ樹脂
Luwipal018:BASF AG社から市販されている硬化剤、n-ブタノールでエーテル化したメラミン-ホルムアルデヒドアミノ樹脂
Luwipal072:BASF AG社から市販されている硬化剤、エタノールでエーテル化したメラミン-ホルムアルデヒドアミノ樹脂
【0106】
調製例1:ポリアクリレートA~Eの合成
ポリアクリレートA~Eの合成に用いた原材料を表1に示す。ソルベントナフサ160/180を反応器中に一度に加え、次いで攪拌しながら、反応温度100~200℃、好ましくは100~140℃、より好ましくは110~130℃に加熱した。開始剤を少量のソルベントナフサ160/180に予め溶解して開始剤溶液を形成し、次いで、開始剤溶液全体の0.1~5質量%を10~20分の時間にわたって最初に反応器に投入した。残りの開始剤溶液及び全てのモノマーを、さらに1~4時間の時間にわたって反応器に投入した。全ての原材料の添加が完了した後、反応をさらに1~3時間、好ましくは1.5~2.5時間保持した。その後、反応器を冷却し、そして反応が完了し、生成物混合物が得られた。生成物混合物を精製に供した後、(メタ)アクリレートコポリマーが得られた。反応全体を不活性雰囲気下、相対圧力0~2バールの圧力で行った。
【0107】
得られた各ポリマーの生成物情報を、以下の表2にまとめた。
【0108】
【表1】
【0109】
上の表で、A~Iはそれぞれ次の化合物を表す。
A:ヒドロキシエチルアクリレート
B:ブチルアクリレート
C:スチレン
D:アクリル酸
E:n-ブチルメタクリレート
F:ブタンジオールモノアクリレート
G:ヒドロキシプロピルメタクリレート
H:t-ブチルアクリレート
I:ヒドロキシエチルメタクリレート
J:エチルヘキシルアクリレート
溶媒:SN、ソルベントナフサ160/180
開始剤:DTBP、ジ-tert-ブチルペルオキシド
【0110】
調製例2:ポリエステルFの合成
17.4gのイソノナン酸、9.4gのペンタエリスリトール、7.4gのトリメチロールプロパン、21.2gのヘキサヒドロ無水フタル酸、43.8gのソルベントナフサ160/180、及び0.8gのトルエンを、反応器中に一度に加えた。反応器の内容物を、水が生成されるまで撹拌しながら130~160℃の温度に加熱した。その後、反応混合物のOH価及び/又は酸価が所望の仕様に達するまで、反応器を200~250℃の温度に連続的に加熱した。次いで、反応器を冷却し、そして反応が完了し、生成物混合物が得られた。生成物混合物を精製に供した後、ポリエステルFと称されるポリエステルが得られた。
【0111】
【表2】
【0112】
コーティング組成物の調製及び硬度試験
全ての成分を表3に示す量で混合し、撹拌機を用いて室温で撹拌し、本発明のコーティング組成物1~10を得た。全ての成分を表4に示す量で混合し、撹拌機を用いて室温で撹拌し、比較例コーティング組成物11~16を得た。コーティング組成物1~10及び比較例コーティング組成物11~16の各々を、スズで前処理した鉄製のパネル上にドクターブレードした。その後、パネルを、オーブン中120~160℃の範囲の温度で10~30分間加熱して硬化させ、厚さ38~42μmのコーティングフィルムを得た。パネルを23℃及び相対湿度50%で48時間貯蔵した後、DIN EN ISO1522に準拠してKonig振り子で硬度を測定した。硬度の結果も表3に示した。
【0113】
【表3】

【0114】
表3に示すデータから、成分(A)としての樹脂バインダーの含有量が25質量%未満又は50質量%を超え、成分(B)としての硬化剤の含有量が15質量%未満である、又は成分(C)としての反応性希釈剤の含有量が35質量%未満又は50質量%を超える場合、得られるコーティング層の硬度は、本発明のコーティング組成物から得られるコーティング層の硬度よりも有意に低いことが分かる。