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特許7551669車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法
<図1>
  • 特許-車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法 図1
  • 特許-車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法 図2
  • 特許-車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法 図3
  • 特許-車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】車輪端部センサとの相関性を使用してタイヤ圧監視センサをロケーション判定する為の位置検知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B60C23/04 140D
B60C23/04 140A
B60C23/04 180A
B60C23/04 140E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021578218
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 US2020047603
(87)【国際公開番号】W WO2021055142
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】16/571,513
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506246748
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,ゲーリー,エイ.
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-190116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0150516(US,A1)
【文献】特開2007-008206(JP,A)
【文献】特表2017-520451(JP,A)
【文献】特開2016-022819(JP,A)
【文献】特開2015-013635(JP,A)
【文献】特開2013-103519(JP,A)
【文献】特表2013-505167(JP,A)
【文献】特開2004-133911(JP,A)
【文献】特開2003-157485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイヤを有する車両の為の検知システムであって、各タイヤが車両内位置を有し、
複数の車輪端部センサ(WES)であって、前記タイヤのうち少なくとも一つの所定タイヤの近位の車両内位置に各々が設けられて、前記少なくとも一つの所定タイヤでの角度データを検知するように構成されるセンサを各々が有するWESであり、前記車両の電子制御ユニット(ECU)と無線通信するように構成される送受信器を各々が含むWESと、
複数のタイヤ圧監視(TPM)センサであって、前記タイヤの一つの内側に設けられて前記タイヤ内の圧力と温度と角度データとを検知するように各々が構成されるTPMセンサであり、前記ECUと無線通信するように構成される送受信器を各々が含むTPMセンサと、
を具備する検知システムであり、
各WESにより検知された前記角度データを各TPMセンサにより検知された前記角度データと比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定すると共に、前記対応のWESの前記所定タイヤの前記車両内位置に基づいて、前記TPMセンサに対応する前記車両内位置を特定するように構成され
前記検知システムは、警告状態が存在するとき、前記車輪に対する前記警告状態の位置が内輪にあるか外輪にあるかを判断することによって、前記タイヤに対応する前記車輪端部センサの位置に基づいて前記タイヤの前記警告状態の位置を表示するように構成される、
検知システム。
【請求項2】
記ECUが、各WESにより検知された角速度データを各TPMセンサにより検知された角速度データと比較する、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記車両の前記ECUと通信するディスプレイを更に具備し、
前記TPMセンサの一つにより検知された圧力又は温度に基づいて前記警告状態を特定するように前記ECUが構成され、
前記タイヤに対応する前記WESの位置に基づく前記タイヤの位置を含む警告が前記ディスプレイに表示される、
請求項1のシステム。
【請求項4】
各WES及び各TPMセンサにより検知される前記角度データが、以下すなわち、角位置データと角変位データと角速度データと角加速度データのうち一以上を包含する、請求項1のシステム。
【請求項5】
複数のタイヤを有する車両の為の検知システムであって、各タイヤが車両内位置を有し、
複数の車輪端部センサ(WES)であって、前記タイヤのうち少なくとも一つの所定タイヤの近位に各々が設けられて、前記少なくとも一つの所定タイヤでの角度データを検知するように構成されるセンサを各々が有するWESであり、無線通信するように構成される送受信器を各々が含むWESと、
複数のタイヤ圧監視(TPM)センサであって、前記タイヤの一つの内側に各々が設けられて、前記タイヤ内の圧力と温度と角度データとを検知するように各々が構成されるTPMセンサであり、無線通信するように構成される送受信器を各々が含むTPMセンサと、
を具備する検知システムであり、
各WESにより検知された前記角度データを各TPMセンサにより検知された前記角度データと比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定すると共に、前記対応のWESの前記所定タイヤの車両内位置に基づいて、前記TPMセンサに対応する車両内位置を特定するように構成され
前記検知システムは、警告状態が存在するとき、前記車輪に対する前記警告状態の位置が内輪にあるか外輪にあるかを判断することによって、前記タイヤに対応する前記車輪端部センサの位置に基づいて前記タイヤの前記警告状態の位置を表示するように構成される、
検知システム。
【請求項6】
各WESが、前記WESの前記所定タイヤに対応する車輪ハブに取り付けられる、請求項5のシステム。
【請求項7】
各WESが、前記タイヤの少なくとも二つの間に延在する車軸に取り付けられる、請求項5のシステム。
【請求項8】
各WESが、前記WESの識別情報(ID)を確認する少なくとも一つの診断装置とペアリングするように構成され、前記少なくとも一つの診断装置のうち一つが更に、前記車両の電子制御ユニット(ECU)と通信して各WESの近位の前記所定タイヤの位置を前記ECUに通信するように構成される、請求項5のシステム。
【請求項9】
各WES及び各TPMセンサにより検知される前記角度データが角速度データを含み、前記検知システムが、各WESにより検知された角速度データを各TPMセンサにより検知された角速度データと比較して、各TPMセンサについて前記対応のWESを自動的に特定するように構成される、請求項5のシステム。
【請求項10】
各WES及び各TPMセンサにより検知される前記角度データが角速度データを含み、前記検知システムが、或る時間にわたって各WESにより検知された平均角速度を前記時間にわたって各TPMセンサにより検知された平均角速度と比較して、各TPMセンサについて前記対応のWESを自動的に特定するように構成される、請求項5のシステム。
【請求項11】
各WES及び各TPMセンサにより検知される前記角度データが角変位データを含み、前記検知システムが、或る時間にわたって各WESにより検知された角変位データを前記時間にわたって各TPMセンサにより検知された角変位データと比較して、各TPMセンサについて前記対応のWESを自動的に特定するように構成される、請求項5のシステム。
【請求項12】
各WESの前記センサが、角度データを検知するように構成される加速度計である、請求項9のシステム。
【請求項13】
各WESの前記センサが、振動及び角度データを検知するように構成される衝撃センサである、請求項5のシステム。
【請求項14】
前記WES及びTPMセンサが、前記TPMセンサの少なくとも一つからの送信を各WESが受信すべく無線通信するように構成され、
各WESが更に、前記WES及びTPMセンサの間で受信信号強度表示を比較して、各TPMセンサについて前記対応のWESを自動的に特定するように構成される、
請求項5のシステム。
【請求項15】
各WESにより検知された前記角度データを各TPMセンサにより検知された前記角度データと比較し、
前記TPMセンサの一つにより検知された圧力又は温度が閾値を下回る時にタイヤ圧アラートを表示して、前記TPMセンサに対応する前記車両内位置を前記タイヤ圧アラートが特定する、
ように構成される前記ECUを更に具備する、請求項5のシステム。
【請求項16】
検知された前記角速度に基づいて、各TPMセンサ及びWESが選択的に、低いサンプリング及び送信速度に適応した低出力モードで作動する、請求項9のシステム。
【請求項17】
各WES及び各TPMセンサにより検知される前記角度データが、以下すなわち、角位置データ、角変位データ、角速度データ、及び/又は、角加速度データのうち一以上を包含する、請求項5のシステム。
【請求項18】
前記検知システムが更に、或る時間にわたって各WESにより検知された角度データを前記時間にわたって各TPMセンサにより検知された角度データと比較して、各TPMセンサについて前記対応のWESを自動的に特定するように構成される、請求項5のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知技術に、より詳しくは、車両タイヤ圧の為の検知システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両タイヤは、タイヤ圧及び温度のような情報を測定して無線で通知するタイヤ圧監視(TPM)センサを含む。その際にTPMセンサにより通知される情報は、車両の中央電子制御ユニット(ECU)の一部であり得る一以上の無線受信機により受信されることが多い。この情報は、ドライバへいかなる出力が送られるべきかを判断するように処理される。これは一般的に、ドライバに提示される低タイヤ圧警告となる。
【0003】
残念なことに、車両は通常、TPMセンサ及びその位置を識別することができず、それ故、どのタイヤが影響を受けて修理を必要とするかについてユーザにアラートを発することができない。車両が多くの車輪を有するケースでは、これは特に問題となり得る。例えば或る種のトラクタトレーラは18個以上の車輪を有し得る。それ故、低タイヤ圧警告を受信した後にも、空気を必要とするか不具合を有し得る特定のタイヤに絞り込むのに多大な量の時間及び労力を要し得る。この問題に対する他の既存の解決法は、不正確なデータ、可変遅延を含むデータ、解釈及び統合が困難であるデータ、常時利用可能ではないデータ、その他により非効率的である車両情報ネットワークで利用可能な情報に依存する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、低圧を有するタイヤの位置を正確に特定する簡易システム及び方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも一つの態様において、当該技術は複数のタイヤを有する車両の為の検知システムに関しており、各タイヤは車両内位置を有する。システムは複数の車輪端部センサ(WES)を含み、各WESはタイヤのうち少なくとも一つの所定タイヤの近位に設けられて、少なくとも一つの所定タイヤで角度データを検知するように構成されるセンサを有する。各WESは、無線通信するように構成される送受信器を含む。幾つかのケースで、WESは車両の電子制御ユニット(ECU)と無線通信できる。システムは複数のタイヤ圧監視(TPM)センサを含み、各TPMセンサはタイヤの一つの内側に設けられて、このタイヤ内の圧力と温度と角度データとを検知するように構成される。各TPMセンサは無線通信するように構成される送受信器を含む。幾つかのケースで、TPMセンサはECUと無線通信できる。検知システムは、各WESにより検知された角度データを各TPMセンサにより検知された角度データと比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成される。対応のWESの所定タイヤの車両内位置に基づいて、システムはこのTPMセンサに対応する車両内位置を特定する。
【0006】
幾つかの実施形態において、検知システムはECUを含み、ECUは、各WESにより検知された角速度を各TPMセンサにより検知された角速度と比較するように構成される。システムは車両のECUと通信するディスプレイを含み、ECUは、TPMセンサの一つにより検知された圧力又は温度に基づいて警告状態を特定するように構成され得る。タイヤに対応するWESに基づいてこのタイヤの位置を含む警告がディスプレイに提示され得る。
【0007】
幾つかの実施形態において、各WESは、このWESの所定タイヤに対応する車輪ハブに取り付けられる。幾つかの実施形態において、各WESはタイヤのうち少なくとも2個のタイヤの間に延在する車軸に取り付けられる。幾つかの実施形態において、各WESは、このWESの識別情報(ID)を確認する診断装置と(例えば、近距離無線通信又は別の方法を通して)ペアリングするように構成され、同じ又は別の診断装置は車両の電子制御ユニット(ECU)と通信して、各WESの近位の所定タイヤの位置をECUに通信するように構成される。
【0008】
幾つかの実施形態において、各WESにより、そして各TPMセンサにより検知される角度データは角速度を含み、検知システムは、各WESにより検知された角速度を各TPMセンサにより検知された角速度と比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成される。幾つかのケースでは、検知された角速度に基づいて、各TPMセンサ及びWESが選択的に、低いサンプリング及び送信速度に適応した低出力モードで作動できる。
【0009】
幾つかの実施形態において、各WESにより、そして各TPMセンサにより検知される角度データは角速度を含み、検知システムは、或る時間にわたって各WESにより検知された平均角速度を、この時間にわたって各TPMセンサにより検知された平均角速度と比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成される。幾つかのケースで、各WESにより、そして各TPMセンサにより検知される角度データは角変位を含み、検知システムは、或る時間にわたって各WESにより検知された角変位をこの時間にわたって各TPMセンサにより検知された角変位と比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成される。幾つかの実施形態において、各WESのセンサは、角度データを検知するように構成される加速度計、或いは、振動及び/又は角度データを検知するように構成される衝撃センサである。
【0010】
幾つかの実施形態において、WES及びTPMセンサは、各WESがTPMセンサの少なくとも一つからの送信を受信すべく無線通信するように構成される。そして各WESは更に、受信信号強度表示をWESとTPMセンサとの間で比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成され得る。
【0011】
幾つかのケースにおいて、ECUは、各WESにより検知された角度データを各TPMセンサにより検知された角度データと比較するように構成され得る。そしてECUは、TPMセンサの一つにより検知された圧力が閾値を下回る時にタイヤ圧アラートを表示し、タイヤ圧アラートは、このTPMセンサに対応する車両内位置を特定している。
【0012】
幾つかの実施形態において、各WES及び各TPMセンサにより検知される角度データは、以下すなわち、角位置データ、角変位データ、角速度データ、及び/又は、角加速度データのうち一つ以上を包含する。幾つかの実施形態において、検知システムは更に、或る時間にわたって各WESにより検知された角度データをこの時間にわたって各TPMセンサにより検知された角度データと比較して、各TPMセンサについて対応のWESを自動的に特定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
開示のシステムが関係する技術の当業者がその製作及び使用方法をより容易に理解するには、以下の図面が参照され得る。
図1】当該技術による検知技術を取り入れるのに使用され得る車輪軸の概略図である。
図2】当該技術による車輪端部センサのブロック図である。
図3】当該技術による検知システムを取り入れた車両構成要素のブロック図である。
図4】当該技術による検知システムを取り入れた車両構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当該技術は、車両のタイヤ圧の検知と関連する先行技術の問題の多くを克服する。本明細書に開示されるシステム及び方法の利点と他の特徴とは、本発明の代表的な実施形態を提示する図面と併せて或る好適な実施形態についての以下の詳細な説明から、当業者にはより容易に明白となるだろう。同様の参照番号が同様の部品を指すのに本明細書で使用される。更に、「日本語(英語)」という形式に書きかえて下さい。例えば「上方(upper)」、「下方(lower)」、「遠位(distal)」、「近位(proximate)」のように配向を指す単語は、構成要素の互いに対するロケーションの説明に役立つように使用されるものに過ぎない。例えば、部品の「上方」面は、同じ部品の「下方」面とは別の表面を表すことを意味するに過ぎない。配向を指す単語は、絶対的な配向(つまり「上方」部品が常に上になければならない)を説明するのに使用されるものではない。
【0015】
さて図1を参照すると、車両の車軸100が示されている。車輪ハブ102は、車輪(不図示)を装着する為に車軸100のいずれかの端部に接続される。当該技術によれば、車軸に装着される各車輪は、その中に配設されるタイヤ圧監視(TPM)センサを含む。各TPMセンサは、対応のタイヤのタイヤ圧及び温度を測定する。各TPMセンサは、角位置、角変位、角速度、及び/又は、角加速度を含み得る角度データも測定する。
【0016】
車輪の一つの近位には車輪端部センサ(WES)も含まれ得る。WESは一般的に、WESが車輪に直接的に隣接するように車軸100に装着されるか、車輪ハブ102への装着により、或いは車輪ハブ102に接続された車輪ベアリングへの装着により、車輪に直接的に装着される。各WESも角度データを測定するように構成され、特にTPMセンサと同じ角度データの少なくとも幾つかを測定するように構成される。例えば、以下でより詳しく記されるように、TPMセンサにより測定される角度データに従って、角位置、角変位、角速度、及び/又は、角加速度を測定するようにWESが構成され得る。各WESは、少なくとも一つの所定タイヤの近位にある車両内位置に設置され、配置情報がプログラムされるか又は車両の処理及び通信ユニット、TPM、又は別のWESに伝えられる。
【0017】
さて図2を参照すると、ブロック図は、当該技術によるWES200の構成要素を示している。WES200は、幾つかの異なる手法で車両により使用され得る、角位置、角速度、角加速度、及び/又は、角変位を少なくとも含む角度データを測定する為の一以上の個別センサ202を含む。例えば、センサ202は加速度計を含み、WES200は加速度計で角速度を測定して角速度についてのデータを車両に提供するように構成される。測定された角速度に基づいて、WES200は、車両が走行しているか否かも判断して、サンプリング速度及び送信速度を適応させることなどにより、車両自体の挙動を適宜調節できる。付加的又は代替的に、振動及び角速度を検知するように構成される衝撃センサをセンサ202が含み得る。衝撃センサは同様に、角速度が或る閾値を上回った時を判断して、WES200にその挙動を適宜修正させることができる。センサ202は、車輪ベアリング状態又は正常性、温度、騒音、及び/又は振動のような車輪端部状態を測定する為の他のセンサも含む(或いは車輪端部状態を測定するのに加速度計及び/又は衝撃センサが使用され得る)。センサ202は測定されたデータを処理モジュール204へ通信する。処理モジュール204は概して、情報を処理及び記憶する為に必要な構成要素を含み、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路、及び/又は、本明細書に記載される機能を実行するのに必要な他の構成要素を含み得る。処理モジュール204は、処理済みデータを送受信器206へ送る前に、センサ202からのデータを処理できる。
【0018】
送受信器206は、WESと検知システム又は車両の他のプロセッサとの間においてデータを無線で送信及び受信する。無線通信は、RF、ブルートゥース(登録商標)、又は他の周知の無線送信方法を通して行われ得る。送受信器206は一般的に、処理モジュール204から処理済みデータを受信して、車両の他のWES、車両の為の中央電子制御ユニット(ECU)、或いは無線車両ネットワークの一部である無線ハブ又は無線ゲートウェイのような車両の他の構成要素へデータを送信する。送受信器206は、通信相手である装置からもデータを受信し、受信したデータを処理モジュール204へ送る。幾つかのケースで、WES200は、送信又は受信が可能な送受信器206ではなく、送信器のみを含む。
【0019】
さて図3を参照すると、当該技術による検知システムを取り入れた車両構成部品のブロック図が全体として300で示されている。車両302は車両車軸304を含む。車軸304は車両302の左側306と車両302の右側308との間に延在する。示される例示的実施形態において、車軸304は車両302の前車軸であるが、当該技術によれば、車両の各車軸は図3に示されていて本明細書に記載される車軸304と類似の構成を持つ。車軸304は車軸304のいずれかの端部で左側の車輪310と右輪312とに接続され、各車輪はタイヤ(明示されず)を含む。車軸304及び車輪310,312は車両302の重量を支承し、車軸304は、車両302を駆動する為に車輪310,312にトルクを伝達するのに時折使用される。車軸304は車両302の前部に配置されるので、車輪310,312(及びタイヤ)も同じように前輪と考えられ、車両302の左前及び右前の位置にそれぞれ配置される。2個の車輪310,312が図3に示されているが、各車軸上の車輪の数は車両タイプに応じて大きく変化し得るが、検知システムはやはり本明細書に記載のように構成され得る。例えば、所与の車軸はトラクタトレーラ車軸であってもよく、4個以上の車輪を含み、一方でオートバイは単一の車輪のみを含み得る。それ故、車軸上の2個の車輪310,312は例として示されているが、当該技術は各車軸上に異なる数の車輪を含む車軸を使用する車両に等しく適用可能であることが理解されるべきである。
【0020】
検知システムは、2個のWES314a,314b(全体として314)と2個のTPMセンサ316a,316b(全体として316)とを含む。各TPMセンサ316は車輪310,312の一つに対応する車両内のロケーションに配置され、特に車輪310,312の一つの車輪タイヤ内に配設されてタイヤ内の空気圧及び温度を測定する。各TPMセンサ316は更に、角度データを含む他の特性を測定するように構成される。角度データは、以下、すなわち角位置、角変位、角速度、そして角加速度のうち少なくとも一つに関する。TPMセンサ316は、当該技術による検知システムを備える車両のタイヤ全てに含まれる。WES200に関して上に記載したように、TPMセンサ316も処理モジュールと送受信器(又は送信器のみ)とを含み、車両302のECU318と無線通信し得る。大抵の車輪は内蔵TPMセンサを搭載するので、ECU318は一般的にローカルTPMセンサ316と自動的に無線同期してTPMセンサ316からのデータ受信を開始するようにプログラムされる。付加的に、ECU318が、他の車両(ここでは明示せず)のTPMセンサからの送信を受信することが時には起こり得る。ECU318は、適正な車両302の為のTPMセンサ316から受信した信号と、他の車両のTPMセンサから受信した信号とを判別するロジック及び/又は基準を含み、他車両からの信号は無視され、使用されない。TPMセンサ316から送信されたデータに基づいて、ECU318は、車両302のタイヤのうち一以上が膨張不足である時の低タイヤ圧警告のように、問題となる可能性のある状態についてドライバに警告する為に、(例えば低タイヤ圧表示灯を点灯することにより)車両302のドライバに警告を提供できる。同じように、TPMセンサ316は、例えばタイヤ温度のような他の測定状態について通知できる。当該技術によれば、そして以下により詳しく記すように、本開示の検知システムは各TPMセンサ316の位置も特定できるので、通知された状態が車両302の特定位置まで追跡され得る。
【0021】
左前輪310及びタイヤの近位にある左前位置の一方(314a)と、右前輪312及びタイヤの近位にある右前位置の第2WES(314b)である、まさに車軸304の端部に装着される2個のWES314も含まれる。示される例で、WES314は車輪ハブへの取り付けを介して最外位置で車軸304に接続される。他のケースにおいて、WES314は車輪の一方の近位で車軸304に直接取り付けられ得る。WES314は、上に記載されたWES200と同じく、角度データを測定してデータを処理し、車両302のECU318にデータを送信するように設計され得る。
【0022】
TPMセンサ316は通常は車輪310,312内に含まれるが、WES314は、技術者により所定のタイヤ又は車輪310,312の近位で車両302に(つまり車輪310,312又は車軸304に)載置される。各WES314は一般的に、WES314の処理モジュールに記憶され得る事前プログラムによるWES ID識別情報を有する。代替的に、幾つかのケースで、WES IDは、WES314上又はこれと共に含まれる簡易ラベルによるなど、他の手法で表示され得る。技術者がWES314を載置する際に、技術者は、載置されているWES314についてのWES IDを確認(或いは特定)する。技術者は、スマートフォン、又はこの目的の為に構成されたより特定の診断ツールにより、これを行うことができる。装置(不図示)は通常、近距離無線通信を使用して各WES314とペアリングして無線通信するように構成される。ブルートゥース又はWi‐Fiのような他の通信も利用され得る。そしてWES314は無線通信の為にECU318と同期する。同じように、診断ツール又はスマートフォンは、上述の無線通信方法のいずれかを通した無線通信の為にECU318と同期する(或いは幾つかのケースでは、有線接続を通して診断ツールがECU318と同期できる)。そして技術者は、WES314の近位のタイヤの位置に基づいて各WES IDと関連するWES314の車両302内位置を入力する。例えば、技術者は、左前のWES314aについて左前位置306を、そして右前のWES314bについて右前位置308を入力する。それ故、各WES314のセンサからのデータがECU318へ送信されると、ECU318は、技術者により入力されたWES314の所定位置に基づいてWES314から入来した測定データ全てについて車両302内位置を認識する。
【0023】
車両302及び車輪310,312が動く際に、車両302における類似の位置に対応するTPMセンサ316及びWES314は同じか実質的に同じ力を受けるはずであり、測定された角度データ(つまり同じ角変位、角速度、又は角加速度)を通してこれがECU318に通知される。車両302での位置が異なると、TPMセンサ316及びWES314は、車両302の他の位置でのTPMセンサ316及びWES314についてのものとは区別可能な角度データを有する。ECU318は、各WES314により検知された角度データを各TPMセンサ316により検知された角度データと比較し、類似の角度データに基づいて各TPMセンサ316について対応のWES314を自動的に特定するように構成される。ECU318は、対応のWES314の所定タイヤの車両302内位置から、また技術者の入力により、各WES314の位置を認知するので、各TPMセンサ316により通知された角度データをWES314により通知された角度データと照合することにより、ECU318は各TPMセンサ316に対応する車両302内位置を特定できる。故に、各WES314の位置が判明しているので、TPMセンサ316の角度データをWES314の角度データと相関させることにより、車両302内のTPMセンサ316の位置が確認され得る。
【0024】
この相関は、オートロケーションアルゴリズムを通して、さもなければ車両ネットワークに接続される別のプロセッサで、ECU318により完全又は部分的に行われ得る。対応のTPMセンサ316及びWES314を特定する為のTPMセンサ316の角度データとWES314の角度データとの相関は、一以上の特定タイプの角度データを様々な手法で比較することにより達成され得る。例えば、幾つかのケースで、ECU318は、各WES314により検知された角速度を各TPMセンサ316により検知された角速度と比較し、WES314とTPMセンサ316とが相関される。これは、瞬間角速度を比較することにより行われ得るか、又は代替的に、各WES314により、そして各TPMセンサ316により、所与の時間にわたって受信された角速度をECU318が検討できる。幾つかのケースでは、10分未満の時間が有効かつ有利であることが判明している。そしてECU318は、この時間にわたって各WES314及びTPMセンサ316により検知された角速度を平均して、最も類似した平均角速度を持つWES314及びTPMセンサ316を照合する。各WES314及び各TPMセンサ316は、任意で、測定された角速度に基づいて、そして特に測定された角速度が非常に低いか実質的にゼロであって車両302の低速走行又は停止を示す時には特に、低出力モードで作動するようにも構成され得る。低出力モードでは、その時にはセンサからの完全な最新情報が車両302によりそれほど必要とされないので、WES314及びTPMセンサ316はより低いサンプリング及び送信速度を採用してエネルギーを節約する。
【0025】
他のケースでは、センサ314,316により測定された他のタイプの角度データの間で角度データの比較が行われ得る。例えば、角速度の代わりに、角位置、角変位、及び/又は、角加速度が信頼され得る。このようなケースで、ECU318は、各WES314及び各TPMセンサ316について所与の時間にわたる角位置、角変位、及び/又は、角加速度を平均して、どのWES314がどのTPMセンサ316に対応するかを見つけることができる。
【0026】
他のケースで、各TPMセンサ316は一以上のWES314にデータを直接送信し、それからデータはWES314で処理され得る。そして各WES314は受信した信号強度インジケータ(RSSI)を比較できる。各WES314について、最も強いRSSIを持つTPMセンサ316が最も近くにある、それ故、(車両302の同じタイヤ及び位置の近位にある)対応のセンサであると考えられる。それ故、RSSIが利用される時に、WES314及びTPMセンサ316からの角度データの相関は必要ではない場合があるが、冗長性の為に行われてもよい。
【0027】
WES314とTPMセンサ316との間の相関が行われると、ECU318は、検知されたデータに基づいて様々な状態の車両302内位置について特定の表示をユーザに提供できる。例えば、TPMセンサ316はタイヤ圧を含むデータを測定し、車輪310,312の一つのタイヤが低圧閾値を超えた時にデータを適宜提供して、必要な低圧警告を発する。ECU318は各TPMセンサ316についての車両302内位置を今では把握しているので、ECU318は、TPMセンサ316から通知されたデータに基づいて低圧タイヤの位置も把握する。故に、単純な「低圧」アラートをユーザに表示するのでなく、ECU318は、低圧のタイヤが車両302のどこにあるかを明確に表示できる。こうして、ユーザの為にタイヤのロケーションを特定することに加えて、異なる車軸の間で推奨圧力が異なる時のように、そのロケーションに関係する適切な警告をシステムが提供できる。2個の車輪310,312と2個のWES314と2個のTPMセンサ316とを備える単一の車軸304が示されているが、所与の車両に含まれる任意の数のこれらの特徴に従って当該技術が等しく実行され得ることが理解されるべきである。
【0028】
これを目的として、図4を参照すると、当該技術による対になった複数の車輪404a~404h(全体として404)を各々が有する車軸402a,402b(全体として402)を備える車両400を示すブロック図が示されている。図4の例では、2本の車軸402が示され、各々が両端部に2個の車輪404を備えている。一つのWES406a~406d(全体として406)は、車輪の各対404に近接すると共に車両400の対応位置に近接している。例えば、第1WES406aは左前位置の車輪404a,404bに近接し、第2WES406bは右前位置の車輪404c,404dに近接し、第3WES406cは左後位置の車輪404e,404fに近接し、第4WES406dは右後位置の車輪404g,404hに近接している。各WES406は、車両ネットワーク410を通してECU408と無線電気通信する。TPMセンサ412a~412h(全体として412)は各車輪404のタイヤ内に含まれ、TPMセンサ412も同様に車両ネットワーク410を通してECU408と通信する。ECU408は、警告及び他の情報をドライバに提示する為のディスプレイモニタ又は他の車両ダッシュボード出力部であり得るディスプレイ414に接続される。WES406及びTPMセンサ412は、そうではないことが明確に記載される場合を除いて、本明細書に記載の他のWES及びTPMセンサに概ね準じた構成を持つ。その為、WES406及びTPMセンサ412は、とりわけ角度データを測定する。
【0029】
このケースで、各WES406に隣接して複数のタイヤとTPMセンサ412とが設けられ、各WES406の角度データはTPMセンサ412の角度データと合致又は類似している。故に、WES406及びTPMセンサ412の測定角度データが比較されると、各WES406に対応するものとして2個のTPMセンサ412が特定される。低タイヤ圧のような警告状態が存在する時に、警告がディスプレイを介してユーザに提供されて、この状態が発生している略位置(例えば車軸端部)を表示できる。代替的に、この状態が内輪にあるか外輪にあるかのように、車輪に対するこの状態の位置を判断するのに更なるロジックが使用されてもよい。
【0030】
例えば、TPMセンサ412が或る閾値より下のタイヤ圧を検出してタイヤが低圧を有することが表示される場合に、TPMセンサ412は未加工の測定データをECU408へ送り、ECU408は、圧力が閾値より低い時を判断できる(或いは代替的に、TPMセンサ412はECU408へ警告を送る)。ECU408は、これがユーザに通知される必要のある警告状態であると特定する。故に、ディスプレイ414を通してECU408は低タイヤ圧警告をユーザに表示できる。更に、上に記載のように測定された角度データに基づいてTPMセンサ412がWES406と相関されて、WES406の位置が把握されているので、ECU408は、TPMセンサ412の車両内位置を判断して低タイヤ圧を通知できる。故に、ディスプレイ414に表示される警告は、警告状態の位置を明確に特定できる。例えば、車輪404a,404bが車両400の左前位置にあると仮定すると、TPMセンサ412a,412bの一つが警告状態を通知する場合であれば、ECU408は、TPMセンサ412a,412bとWES406aとの相関に基づいて警告が左前位置からであると判断するだろう(WES406aの位置は把握されている)。こうして、システムは、低圧を有する可能性のある車輪404a,404bに対応する2個のタイヤにタイヤを絞り込んでいる。そしてユーザは、2個の左前輪404a,404bを点検してどのタイヤが低圧を有するかを確認し、正常なタイヤと交換する場合の時間と潜在的に重要なコストとを節約する。とりわけ、本明細書に示された実施形態は対応のタイヤを備える合計8個の車輪404を有するが、18輪のトラクタトレーラのように、車両が更に多数の車輪を有するケースでは、利便性及びコストについての節約が更に大きくなり得る。
【0031】
代替実施形態では幾つかの要素の機能はより少数の要素又は単一の要素により実行され得ることが関連技術の当業者には認識されるだろう。同じように、幾つかの実施形態では、例示される実施形態に関して記載されるものより少数の、又は異なる動作を任意の機能要素が実施し得る。又、例示を目的として別々のものとして示された機能要素(例えばプロセッサ、センサ、送信器、その他)が特定の実行例で他の機能要素に組み込まれてもよい。
【0032】
好適な実施形態に関して当該技術が説明されたが、当該技術の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な変更及び/又は修正が当該技術に加えられ得ることを当業者は容易に認識するだろう。例えば、各請求項は、原出願で請求されていなくてもいずれか又は全ての請求項に多数項従属方式で従属し得る。
【符号の説明】
【0033】
100 車軸
102 車輪ハブ
200 WES(ホイール端部センサ)
202 センサ
204 処理モジュール
206 送受信器
300 車両構成部品
302 車両
304 車軸
306 左側
308 右側
310 左前輪
312 右前輪
314a,b WES(ホイール端部センサ)
316a,b TPM(タイヤ圧監視)センサ
318 ECU(電子制御ユニット)
400 車両
402a,b 車軸
404a,b,c,d,e,f,g,h 車輪
406a,b,c,d WES(ホイール端部センサ)
408 ECU(電子制御ユニット)
410 車両ネットワーク
412a,b,c,d,e,f,g,h TPM(タイヤ圧監視)センサ
414 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4