(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】撮像用回路およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240909BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240909BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240909BHJP
H04N 25/42 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/50
H04N23/63 110
H04N25/42
(21)【出願番号】P 2022007149
(22)【出願日】2022-01-20
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤義
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-129321(JP,A)
【文献】特開2009-130582(JP,A)
【文献】特開2022-131605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/50
H04N 23/63
H04N 25/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に適用可能な撮像用回路であって、
複数の光電変換素子をマトリクス状に配置した画素アレイと、
第1の解像度の第1の画像データと第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の第2の画像データとを前記画素アレイから読み出し可能な読み出し部と、
前記読み出し部により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを保存するためのメモリと、
前記読み出し部
により前記画素アレイから読み出
された前記第1の画像データを前記第1の解像度よりも低い第3の解像度の第3の画像データに変換する変換部と、
第1のインターフェースと、
第2のインターフェースと、
前記第1のインターフェースまたは前記第2のインターフェースを使用して出力される前記第2の画像データまたは前記第3の画像データを表示する表示部と、
前記読み出し部により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを前記変換部に入力すると同時に前記メモリに書き込み、前記メモリから読み出した前記第1の画像データと前記読み出し部により前記画素アレイから読み出されて前記メモリに保存されていない前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを出力し、出力した前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記表示部により表示する場合に、前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力するとともに前記第2の画像データまたは前記第3の画像データのブランキング期間に前記第1の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力する第1の送信モードと、前記第1の画像データを前記第1のインターフェースを使用して出力するとともに前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第2のインターフェースを使用して出力する第2の送信モードとを切り替える制御部と、
を備
えることを特徴とする撮像用回路。
【請求項2】
前記撮像用回路は、第1のカメラモードと第2のカメラモードとを有し、
前記第1のカメラモードにおいては前記第1の送信モードを使用し、前記第2のカメラモードにおいては前記第2の送信モードを使用することを
特徴とする請求項
1に記載の撮像用回路。
【請求項3】
前記第3の解像度は前記第2の解像度に等しいことを特徴とする請求項
1又は2に記載の撮像用回路。
【請求項4】
前記第3の解像度は前記第1の解像度よりも低く前記第2の解像度よりも高いことを特徴とする請求項
1又は2に記載の撮像用回路。
【請求項5】
前記第1の画像データを前記画素アレイから読み出すのに必要な時間は、前記第2の画像データを前記画素アレイから読み出すのに必要な時間よりも長いことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項6】
前記第1の画像データは静止画像であり、
前記第2の画像データはライブビュー動画像であり、
前記第3の画像データは縮小静止画像であることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項7】
前記画素アレイと前記変換部とは同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項8】
前記画素アレイと前記変換部とは別基板上に設けられ積層されて単一チップを形成していることを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項9】
前記画素アレイと前記変換部とは同一基板上、別チップに設けられていることを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項10】
前記画素アレイと前記メモリとは同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項
1乃至9のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項11】
前記画素アレイと前記メモリとは別基板上に設けられ積層されて単一チップを形成していることを特徴とする請求項
1乃至9のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項12】
前記画素アレイと前記メモリとは同一基板上、別チップに設けられていることを特徴とする請求項
1乃至9のいずれか一項に記載の撮像用回路。
【請求項13】
撮像装置に適用可能な撮像用回路の制御方法であって、
複数の光電変換素子をマトリクス状に配置した画素アレイから第1の解像度の第1の画像データを読み出す工程と、
前記画素アレイから前記第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の第2の画像データを読み出す工程と、
前記画素アレイから読み出
された前記第1の画像データをメモリに保存する工程と、
前記画素アレイから読み出
された前記第1の画像データを
変換部で前記第1の解像度よりも低い第3の解像度の第3の画像データに変換すると同時に前記メモリにも書き込む工程と、
第1のインターフェースまたは第2のインターフェースを使用して出力される前記第2の画像データまたは前記第3の画像データを表示部により表示する工程と、
前記読み出す工程により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを前記変換部に入力すると同時に前記メモリに書き込み、前記メモリから読み出された前記第1の画像データと前記読み出す工程により前記画素アレイから読み出されて前記メモリに保存されていない前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを出力し、出力した前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記表示部により表示する場合に、前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力するとともに前記第2の画像データまたは前記第3の画像データのブランキング期間に前記第1の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力する第1の送信モードと、前記第1の画像データを前記第1のインターフェースを使用して出力するとともに前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第2のインターフェースを使用して出力する第2の送信モードとを切り替える制御工程と、
を有することを特徴とする撮像用回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に適用可能な撮像用回路およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや、カメラ機能を備えた電子機器(以下、まとめて「撮像装置」と記す)。には、「ライブビュー機能(LV機能)」を有するものがある。「LV機能」とは、動画像等の撮影を行いながら、得られた画像を表示部に表示する機能である。ユーザーは、ライブビュー機能により表示される動画を確認しながら、静止画撮影や動画撮影の撮影範囲を調整することができる(以下、この撮影範囲の調整操作を「フレーミング」と記す)。
【0003】
ユーザーが意図通りの撮影を行うためには、フレーミングの容易性が重要(このフレーミングの容易性の指標を「フレーミング性能」と称する)である。例えば、動画像の撮影を行っている間に静止画像を撮影する場合、静止画像を撮影したフレームでは動画像を取得できなくなってしまう。このような場合、ライブビュー機能を使用して表示する画像が取得できないため、フレーミング性能が低下してしまう。そのため、フレーミング性能には、静止画像を撮影した場合にでもフレームが欠損しないような処理を実行することが重要である。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている技術によれば、撮影したライブビュー用動画像撮影中の1フレームに撮影した静止画像を縮小して表示することで、ライブビュー用動画像にフレーム欠損を生じさせない処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術にあっては、静止画像を動画像に変換する際に一度メモリに保存してから変換を行うため、縮小静止画像を表示する際に必ず一定量の遅延が発生してしまうという問題があった。一方で、例えばスポーツシーンの撮影を主眼とするようなカメラにおいては、表示遅延を低減させることが重要である。このように、静止画を縮小して表示する処理は、撮像装置の使用目的に応じて複数存在する。
【0007】
本発明の目的は、複数の使用目的に対して最適な画像データ経路を取りライブビュー画像を得ることを可能とする撮像用回路およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像用回路は、撮像装置に適用可能な撮像用回路であって、複数の光電変換素子をマトリクス状に配置した画素アレイと、第1の解像度の第1の画像データと第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の第2の画像データとを前記画素アレイから読み出し可能な読み出し部と、前記読み出し部により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを保存するためのメモリと、前記読み出し部により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを前記第1の解像度よりも低い第3の解像度の第3の画像データに変換する変換部と、第1のインターフェースと、第2のインターフェースと、前記第1のインターフェースまたは前記第2のインターフェースを使用して出力される前記第2の画像データまたは前記第3の画像データを表示する表示部と、前記読み出し部により前記画素アレイから読み出された前記第1の画像データを前記変換部に入力すると同時に前記メモリに書き込み、前記メモリから読み出した前記第1の画像データと前記読み出し部により前記画素アレイから読み出されて前記メモリに保存されていない前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを出力し、出力した前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記表示部により表示する場合に、前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力するとともに前記第2の画像データまたは前記第3の画像データのブランキング期間に前記第1の画像データを前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースの両方を使用して出力する第1の送信モードと、前記第1の画像データを前記第1のインターフェースを使用して出力するとともに前記第2の画像データおよび前記第3の画像データを前記第2のインターフェースを使用して出力する第2の送信モードとを切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の使用目的に対して最適なデータ経路を取りライブビュー画像を得ることが可能な撮像用回路を提供することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の撮像装置のブロック図である。
【
図2】単位画素の回路図と画素配列と周辺回路の構成図である。
【
図3】基板別の回路構成図と撮像素子の構成図である。
【
図4】第1実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
【
図7】第2実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
【
図9】第3実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
【
図10】第3の実施形態のタイミングチャートである。
【
図11】第4実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータ経路図の模式的な説明図である。
【
図12】第4実施形態のタイミングチャートである。
【
図13】第5実施形態の撮像装置のブロック図である。
【
図14】第5実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータ経路図の模式的な説明図である。
【
図15】第5実施形態のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施の形態に記載される構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施の形態に記載される構成によって限定されることはない。まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の撮像装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように撮像装置1は、撮像光学系104を有する。撮像光学系104は、第1レンズ100、絞り101、第2レンズ102および第3レンズ103を有する。第1レンズ100は、撮像光学系104の先端に配置されている。絞り101は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行う。絞り101は、絞りアクチュエータ119の駆動によりその開口径が調節される。第2レンズ102および第3レンズ103は、後述のフォーカスアクチュエータ117の駆動により、光軸方向に進退して撮像光学系104の焦点を調節する。
【0013】
撮像光学系104の後ろ側には、フォーカルプレーンシャッタ105、光学的ローパスフィルタ106および撮像素子107がこの順で設けられている。フォーカルプレーンシャッタ105は、静止画撮影時に露光秒時を調節する機能を有する。光学的ローパスフィルタ106は、撮影画像の偽色やモアレを低減する機能を有する。撮像素子107は、撮像光学系104で結像された被写体の光学像を電気信号に光電変換する。
【0014】
撮像装置1は、CPU110、DSP108、RAM109等の電子デバイスを備えている。DSP108は、画像データの受信や画像処理を行う。DSP108が行う画像処理例として「静止画」の画像データから表示部112に表示する表示用画像データを生成することが挙げられる。また、画像処理以外にも、撮像素子107からの情報に基づいて、フォーカスレンズ(第2レンズ102、第3レンズ103)の駆動に用いる情報の演算を行う。RAM109は、DSP108で処理された画像データを記憶する「画像データ記憶手段の機能」と、後述のCPU110が動作を行う際の「ワークメモリの機能」とを有する。なお、本実施形態においては、RAM109を用いて両機能を実現する構成であるが、アクセス速度が十分に高速で動作上問題の無いメモリであれば他種類のメモリを用いることも可能である。また本実施形態では、RAM109は、DSP108、CPU110の外部に配置されているが、その一部または全部の機能をDSP108、CPU110に搭載する構成としても良い。つまり、DSP108やCPU110に専用RAMを搭載した構造のプロセッサを使用することもできる。
【0015】
CPU110は、撮像装置1の動作を統括的に制御する。CPU110は、撮像装置1の各部を制御するためのプログラムを実行する。CPU110は、撮像素子107に各種設定を行うことによって、後述する「動画」と「静止画」の撮影タイミングの制御を行う機能を有する。また、DSP108から出力される演算結果を用いて、後述のフォーカス駆動回路116を駆動制御することにより、撮像光学系104の焦点を調節する機能も有する。
【0016】
CPU110には、操作部111,表示部112、記録媒体113,ROM114、シャッター駆動回路115、フォーカス駆動回路116および絞り駆動回路118が接続されている。操作部111は、ボタン、レバー等の操作子で成る。ユーザーは操作部111を操作することにより、CPU110を制御して撮影を行う。操作部111には、「静止画撮影開始釦」が含まれている。CPU110は、ユーザーによる「静止画撮影開始釦」の押下操作を検知すると、それから一定時間が経過した後に「静止画」の撮影を行う。表示部112は、DSP108によって処理された「静止画像」、「動画像」およびメニュー等の表示を行う。表示部112としてはディスプレイの他に「電子ビューファインダー(EVF)」などを用いても良い。記録媒体113は、「静止画データ」および「動画データ」を記録する着脱可能な記録媒体であり、例えばメモリカード等によって実現できる。ROM114は、CPU110が各部の動作を制御するためのプログラムを記憶する。
【0017】
シャッター駆動回路115は、フォーカルプレーンシャッタ105を駆動制御する。フォーカス駆動回路116は、撮像光学系104の焦点位置を変更する焦点位置変更手段として機能する。フォーカス駆動回路116は、CPU110の出力に基づいてフォーカスアクチュエータ117を駆動制御することより、フォーカスレンズ(第2レンズ102、第3レンズ103)を光軸方向に進退方向に移動させ焦点調節を行なう。絞り駆動回路118は、絞りアクチュエータ119を駆動制御して絞り101の開口を制御する。
【0018】
<単位画素の回路、画素配列の周辺回路>
図2(a)は単位画素の回路図であり、
図2(b)は画素配列と周辺回路の構成図である。
図2を参照して、撮像素子107の特に画素周辺の回路について説明する。まず、
図2(a)を参照して、単位画素206の回路構成について説明する。フォトダイオード(PD)200は、マイクロレンズの下に配置されて単位画素206を構成する素子であり「光電変換部」を構成する。光電変換部転送スイッチ201は、信号「φtx」によって制御されるスイッチである。信号「φtx」の値をHigh(以下、「H」)にすることによって、PD200に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョン部(FD)202に転送することができる。
【0019】
リセットスイッチ203は、FD202を初期化するように信号「φres」によって制御されるスイッチである。画素のリセット動作は、「φtx」と「φres」を双方とも「H」にすることにより、PD200とFD202の双方を電源電圧(VDD)とすることにより実現する。画素アンプ用トランジスタ204は、セレクトスイッチ205に接続されているとともに、垂直出力線208(後述する)を介して定電流源209(後述する)に接続されている。セレクトスイッチ205の入力信号「φsel」の値が「H」になると、画素アンプ用トランジスタ204が定電流源209に接続されて「画素アンプ」を形成する。FD202はこの画素アンプに接続されている。このため、PD200からFD202に転送された電荷は、画素アンプによって電荷量に応じた電圧値に変換され、垂直出力線208に画素信号として出力される。
【0020】
次に、
図2(b)を参照して、撮像素子107の回路系にブロック図について説明する。画素アレイ207は、行列状(マトリクス状)に複数の単位画素206が配置されている。具体的には、水平方向に「(m+1)個」、垂直方向に「(n+1)個」の単位画素206が配置されている。なお、「m」、「n」は自然数である。かくして、画素アレイ207は、複数の光電変換素子をマトリクス状に配置したものとなる。駆動パルス生成回路210は、単位画素206のリセット動作や読み出し動作を行うためのパルスを生成する。駆動パルス生成回路210により生成されたパルスは、画素駆動回路212に供給される。行選択回路211(読み出し部)は、駆動パルス生成回路210によって生成されたパルスを供給する特定の行を選択し、画素駆動回路212に選択した特定の行を設定する。画素駆動回路212は、行選択回路211により選択されて設定された特定の行に、駆動パルス生成回路210によって生成されたパルスを供給する。
【0021】
行選択回路211を複数の方法で使用することによって、画素アレイ207からのデータの読み出しを複数の方法で行うことができる。例えば、「静止画像」に使用するデータを読み出す場合には、高解像度のデータが必要なため、行選択回路211は、画素配列を1行ずつ1行おきに選択して読み出す動作を行う。一方で、「LV用の動画像(ライブビュー動画像)」に使用するデータを読み出す場合には解像度がそれほど求められないため、行選択回路211は、画素アレイ207を1行ずつ2行おきに選択して読み出す動作を行う。
【0022】
すると、0行目の次には3行目が読み出されることになる。このように読み出すことにより、先に説明した「静止画像」と比較して垂直解像度が3分の1に低下した「動画像」を読み出すことができる。「静止画像」と「動画像」を比較すると、「静止画像」は解像度に優れる一方で、「動画像」は垂直解像度が低下した分だけ読み出し時間も短くなり読み出しを低電力で行うことができるという特徴がある。このように、行選択回路211の行選択制御態様により、それぞれの目的に適した複数の種類の画像を取得することができる。
【0023】
画素信号は、画素駆動回路212から供給されるパルスに応じて垂直出力線208上に行毎に出力される。定電流源209は、画素アンプ用トランジスタ204と組み合わさりソースフォロワ回路が形成される。AD変換回路213(以下「ADC213」とも記す)は、垂直出力線208に出力されたアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0024】
<第1実施形態:チップ構成>
図3は、基板別の回路構成図と撮像素子の構成図である。
図3を参照して、本実施例の撮像素子107の特にチップ構成に関して説明する。一般的に、複数の半導体基板に別々の回路の構成要素を設け、その後積層して接続することにより「単一チップ」とする方法がある。本実施例の撮像素子107においても、第1の半導体基板300と第2の半導体基板301を積層することにより、単一のチップをなす構成とする。
【0025】
図3(a)を参照して、第1の半導体基板300および第2の半導体基板301の各々の半導体基板の回路構成例を説明する。第1の半導体基板300上には画素アレイ207が設けられる。また、第2の半導体基板301上には、ADC213と、画像メモリ302と、縮小回路303と、IFコントローラー304と、「IF_A305」と、「IF_B306」が設けられている。「IF_A305」はインターフェースA305であり、「IF_B306」はインターフェースB306である。
【0026】
画像メモリ302は、画素アレイ207から読み出されADC213でデジタル値に変換された画素データを一時的に保存するメモリである。本実施形態にあっては、このメモリは、保存されたデータを非破壊で読み出せる構成であれば、どのようなメモリを採用しても良い。また、縮小回路303は、静止画像を縮小する回路である。IFコントローラー304は、ADC213、画像メモリ302、縮小回路303等と接続され、IF_A305やIF_B306でデータを送信できるようにするためのデータ加工を行ったり、データのルーティングを行ったりする。
【0027】
図3(b)は、第1の半導体基板300と第2の半導体基板301とが積層されて、単一のチップである撮像素子107を構成している例を示す模式的な説明図である。第2の半導体基板301の上に第1の半導体基板300を積層した状態を示している。積層された半導体基板間を電気的に接続するための技術は、公知のいずれの技術を使用しても構わない。
【0028】
<第1実施形態:データ経路>
図4は、第1実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
図4を参照して、「静止画像」、「縮小静止画像」、「LV用動画像」の各々がどのような回路ブロック(データ経路)を通って撮像素子107の外部に出力されるかについて説明する。
【0029】
図4(a)は、「静止画像」と「LV用動画像」が通るデータ経路を説明するデータ経路図である。画素アレイ207から出力された画像データは、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に蓄積される。その後、画像データは、画像メモリ302から読み出され、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」および「IF_B306」を使用して出力される。
【0030】
図4(b)は、「縮小静止画像」が通るデータ経路を説明するデータ経路図である。画素アレイ207から出力された「静止画像」のデータは、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に蓄積される。その後、画像メモリ302から静止画像データを読み出し、縮小回路303(変換部)に画像データを入力する。縮小回路303は、静止画像データに対して縮小処理を行う。
【0031】
縮小静止画の解像度は様々なものが挙げられる。例えば「LV用動画像」と同一の解像度まで縮小回路303で縮小することで、後段のDSP108での処理を「LV用動画像」と共通化することができる。また、縮小回路303では水平方向の解像度のみを「LV用動画像」の解像度まで落として送信することも考えられる。この場合、DSP108では垂直方向の縮小処理を行う必要はあるものの、縮小回路303の回路規模を小さく抑えることができる。
【0032】
縮小回路303で縮小された画像は、その後、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」および「IF_B306」を使用して出力される。
図4に示すように、各画像のパスを設計することによって、大部分のパスを共通化できるほか、総ての画像を画像メモリ302に一度保存する。このため、制御タイミング等に関して自由度が有るため制御が簡素になるという特徴がある。
【0033】
<第1実施形態:タイミングチャート>
図5は第1実施形態のタイミングチャートである。
図5を参照して、第1実施形態における「動画」および「静止画」の撮影動作について説明する。「静止画像」の撮影開始は、例えばユーザーが操作部111に含まれる「静止画撮影開始釦」を押下操作してから一定時間以上経過したタイミングに設定することができる。なお、図中の「斜線」のうち、「破線」は、画素アレイ207に含まれる各単位画素206のリセット走査を表し、「実線」は画素アレイ207からの読み出しを表している。
【0034】
時刻「t500」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、画像メモリ302に「LV用動画像」の書き込みを開始する。時刻「t501」で「LV用動画像」の読み出しが完了すると、画像メモリ302への書き込みも停止する。このタイミングで、画像メモリ302から、時刻「t500」から書き込みが開始された「LV用動画像」が読み出され始める。画像メモリ302から読みだされた「LV用動画像」は、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」と「IF_B306」とから「LV用動画像」が出力される。時刻「t502」において、画像メモリ302からの読み出しが完了する。
【0035】
時刻「t503」において撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「静止画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、画像メモリ302に「静止画像」に書き込みを開始する。それと同時に、画像メモリ302から「静止画像」を読み出し、縮小回路303に入力を開始する。このため、本実施例における画像メモリ302は、「読み出し」と「書き込み」とが同時に行える構成になっている。縮小回路303で縮小された「静止画像」は、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」と「IF_B306」とから出力される。この「縮小静止画」は、表示部112などでLV用動画像と同様に表示することができる。時刻「t504」で読み出しが完了し、それとともに画像メモリ302への「静止画像」の書き込み、および、画像メモリ302からの「静止画像」の読み出し、「IF_A305」と「IF_B306」からの縮小静止画の転送が完了する。
【0036】
ところで、画像メモリ302は非破壊で読み出せるため、時刻「t503」から書き込みが始まった「静止画像」のデータは失われていない。そこで、表示部112で表示に用いる画像の送信を停止するブランキングのタイミングで、垂直解像度が高くデータ量の多い「静止画像」のデータを送信することにする。時刻「t505」で「静止画」のデータを元の解像度のまま画像メモリ302から読み出し始める。画像メモリ302から読み出された「静止画」は、縮小回路303を通ることなく、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」と「IF_B306」から出力される。この「静止画像」は、表示部112に表示することを第一の目的としていないため、表示しないまま記録媒体113に保存することができる。
【0037】
時刻「t506」において、次の「LV用動画像」の読み出しおよび画像メモリ302への書き込みが開始されるが、「静止画像」はその間も送信し続ける。時刻「t507」において、静止画像の送信を一度停止する。時刻「t507」の時点では、「静止画像」の全てのデータを送信しきっていない。時刻「t508」において、時刻「t506」で開始した「LV用動画像」の読み出しと画像メモリ302への書き込みが完了する。同時にIFコントローラー304を経由し、「IF_A305」と「IF_B306」からの送信が始まる。時刻「t509」において、時刻「t508」から開始された「LV用動画像」の送信が完了する。
【0038】
時刻「t510」では、時刻「t503」で読み出しを開始した「静止画像」の残りを読み出し始める。時刻「t511」において、次の「LV用動画像」の読み出しが開始し、画像メモリ302への書き込みが開始される。そして、時刻「t512」において、時刻「t503」で読み出しが開始された「静止画像」の読み出しと、「IF_A305」と「IF_B306」からの送信が完了する。
【0039】
以上説明したように第1実施形態によれば、行選択回路211(読み出し部)により、画素アレイ207から、第1の解像度の「静止画像」と第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の「LV用動画像」とを読み出す。第1の解像度の「静止画像」は、第1の画像データに対応し、第2の解像度の「LV用動画像」は、第2の画像データに対応する。画像メモリ302は、読み出された「「LV用動画像」と「静止画像」とを保存可能である。また、読み出した「静止画像」は第1の解像度よりも低い第3の解像度の「縮小静止画像」(第3の画像データ)に縮小変換する。そして、「静止画像」(第1の画像データ)を画像メモリ302から読み出して縮小変換して出力することと縮小変換を行わずに「静止画像」を出力することとを行い、「動画像」は、画像メモリ302から読み出して縮小変換を行わずに出力する。
【0040】
また、本実施形態においては、「IF_A305」と「IF_B306」とを備え、「静止画像」は、「LV用動画像」または「縮小静止画」のブランキング期間に「IF_A305」と「IF_B306」の両方を使用して送られる第1の送信モードを有する。なお、「IF_A305」、「IF_B306」は第1のインターフェース、第2のインターフェースに対応する。また、第3の解像度は第2の解像度に等しくすることや、第3の解像度は第1の解像度よりも低く第2の解像度よりも高くすることもできる。
【0041】
以上説明したように本実施形態にあっては、「LV用動画像」も一度メモリに保存してから、撮像素子の外部に出力する方法について説明した。総ての画像を一度メモリに保存することによって、制御タイミングに対する制約を緩和させることができるという効果を得ることができる。
【0042】
<変形例>
第1実施形態に示した例では、撮像素子107が第1基板300と第2基板301の積層により構成されている例を示したが、本発明はこの限りではなく種々の回路構成態様を採用しても良い。
【0043】
図6は半導体基板の変形例である。
図6(a)は、単一の半導体基板600上に、画素アレイ207、ADC213、画像メモリ302、縮小回路303、IFコントローラー304、IF_A305、IF_B306を設けた例である。例えば、画素アレイ207が小さい場合等には、単一の半導体基板で製造することにより撮像装置全体の構成を簡素にすることが可能となる。
図6(b)は、構成回路を複数のチップに分けて製造し、単一の半導体基板601の上に各種回路を製造した例の模式的な説明図である。画素アレイ207、ADC213は「第1チップ602」上に、また、画像メモリ302は「第2チップ603」上に、縮小回路303、IFコントローラー304、IF_A305、IF_B306は「第3チップ604」上に製造されている。このような構成は、半導体基板の積層技術を必要としないチップのみで構成されているので、各チップの製造を容易化することができる。その他、図示していないあらゆる回路構成を取ることが可能である。
【0044】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の「静止画像」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
図3を参照して、第2の実施形態において、「静止画像」、「LV用動画像」、「縮小静止画像」の各々がどのようなデータ経路を通って撮像素子107の外部に出力されるかについて説明する。
【0045】
<第2実施形態:データ経路>
図7(a)は「静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図であり、
図4(a)と同一のパス構成となっている。
図7(b)は「縮小静止画像」が通るデータ経路を模式的に説明したデータ経路図であり、
図4(b)と同一のパス構成となっている。
図7(c)は「LV用動画像」が通るデータ経路を模式的に説明したデータ経路図である。画素アレイ207から出力されたLV用動画像は、ADC213でデジタル値に変換され、IFコントローラー304を経由して「IF_A305」および「IF_B306」を使用して出力される。この時、「LV用動画像」は、一度も画像メモリ302に格納されないため、本回路構成を取れば、「LV用動画像」が表示されるまでの表示遅延を低減することができる。
【0046】
<第2実施形態:タイミングチャート>
図8は第2実施形態のタイミングチャートである。
図8を参照して、第2実施形態における「動画」および「静止画」の撮影動作について説明する。「静止画像」の撮影開始は、例えばユーザーが操作部111に含まれる「静止画撮影開始釦」を押下操作してから一定時間以上経過したタイミングに設定することができる。なお、図中の「斜線」のうち「破線」は画素アレイ207に含まれる各単位画素206のリセット走査を表し、「実線」は画素アレイ207からの読み出しを表している。
【0047】
時刻「t800」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」および「IF_B306」を使用して「LV用動画像」を出力する。時刻「t801」において「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに、「IF_A305」および「IF_B306」からのデータ転送も完了する。
【0048】
時刻「t802」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「静止画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、画像メモリ302に書き込みを開始する。それと同時に、画像メモリ302から「静止画像」を読み出し、縮小回路303に入力を開始する。このため、本実施形態における画像メモリ302は「読み出し」と「書き込み」を同時に行える構成になっている。縮小回路303で縮小された「縮小静止画像」は、IFコントローラー304を経由し、「IF_A305」および「IF_B306」から出力される。この「縮小静止画」は、表示部112等で「LV用動画像」と同様に表示することができる。時刻「t803」において読み出しが完了する。それとともに画像メモリ302への「静止画像」の書き込みおよび読み出し、「IF_A305」および「IF_B306」からの「縮小静止画」の転送が完了する。
【0049】
時刻「t804」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」および「IF_B306」を使用して「LV用動画像」を出力する。時刻「t805」において、「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに「IF_A305」および「IF_B306」からのデータ転送も完了する。また、時刻「t805」において、「LV用動画像」の転送が完了すると同時に、画像メモリ302に保存された「静止画像」の転送を開始する。
【0050】
時刻「t806」において、「静止画像」の転送を中断すると同時に、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートする。すると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」および「IF_B306」を使用して「LV用動画像」を出力する。時刻「t807」において、「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに「IF_A305」および「IF_B306」からのデータ転送も完了する。また、時刻「t807」において、「LV用動画像」の転送が完了する。同時に、時刻「t806」において中断された画像メモリ302に保存された「静止画像」の転送を再開する。この「静止画像」の転送は、時刻「t808」において完了する。
【0051】
以上説明したように第2実施形態によれば、行選択回路211(読み出し部)により、画素アレイ207から、第1の解像度の「静止画像」と第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の「LV用動画像」とを読み出す。画像メモリ302は、読み出された「静止画像」を保存可能である。また、読み出した「静止画像」は第1の解像度よりも低い第3の解像度の「縮小静止画像」(第3の画像データ)に縮小変換する。そして、「静止画像」(第1の画像データ)を画像メモリ302から読み出して縮小変換して出力することと縮小変換を行わずに「静止画像」を出力することとを行い、「動画像」は、画像メモリ302に保存せずに出力する。
【0052】
以上、第2実施形態で説明した動作によって、「LV用動画像」の表示遅延を低減させつつ、ライブビュー画像を中断させないまま「静止画像」を撮像素子107から送信することができる。
【0053】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の「静止画像」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータの経路図の模式的な説明図である。
図9を参照して、「静止画像」、「LV用動画像」、「縮小静止画像」の各々がどのようなデータ経路を通って撮像素子107の外部に出力されるかを説明する。
【0054】
<第3実施形態:データ経路>
図9(a)は、「静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から出力された「静止画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に保存される。その後、「静止画像」は画像メモリ302から読み出され、IFコントローラー304を経由し「IF_B306」を使用して出力される。
図9(b)は、「縮小静止画像」が通るデータ経路を模式的に示した経路図である。画素アレイ207から出力された「静止画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に保存される。その後、画像メモリ302から「静止画像」を読み出し、縮小回路303に画像を入力する。縮小回路303においては、「静止画像」に対して縮小処理を行う。「縮小静止画」の画像はどのような解像度でも構わない事は、第1実施形態で説明した通りである。「縮小静止画」は、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して出力される。
【0055】
図9(c)は「LV用動画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から出力された「LV用動画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して出力される。
図9に示すように、各画像の経路を設計することにより、表示部112に表示する画像の転送に使われる「IF(IF_A305)」と、「静止画像」の転送に使われる「IF(IF_B306)」を独立とすることができる。このような構成によって、制御を簡素化することが可能になる。
【0056】
<第3実施形態:タイミングチャート>
図10は第3実施形態のタイミングチャートである。
図10を参照して、第3実施形態における「動画」および「静止画」の撮影動作について解説する。静止画像の撮影開始は、例えばユーザーが操作部111に含まれる「静止画撮影開始釦」を押下操作してから一定時間以上経過したタイミングに設定することができる。なお、図中の「斜線」のうち「破線」は画素アレイ207に含まれる各単位画素206のリセット走査を表し、「実線」は画素アレイ207からの読み出しを表している。
【0057】
時刻「t1000」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して「LV用動画像」を出力する。時刻「t1001」において、「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに「IF_A305」からのデータ転送も完了する。この時、「LV用動画像」は、画像メモリ302に保存していない。このため、「LV用動画像」の読み出しのデータレートが「IF_A305」のみを用いて十分に送り切れる程度に小さいことが要求される。
【0058】
時刻「t1002」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「静止画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、画像メモリ302に「静止画像」の書き込みを開始する。それと同時に、画像メモリ302から画像を読み出し、縮小回路303への入力を開始する。このため、第3実施形態における画像メモリ302は、読み出しと書き込みとを同時に行える構成になっている。縮小回路303で縮小された「縮小静止画像」は、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」から出力される。この「縮小静止画」は、表示部112等で「LV用動画像」と同様に表示することができる。時刻「t1003」において、読み出しが完了する。それとともに画像メモリ302への書き込み、読み出し「IF_A305」からの「縮小静止画」の転送が完了する。
【0059】
時刻「t1004」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して「LV用動画像」を出力する。また、それと同時に「IF_B306」を用いて画像メモリ302に保存された「静止画像」の転送を開始する。このように、異なるIFを使用することによって、「静止画像」の転送と「LV用動画像」の転送を独立に行うことができる。「静止画像」の転送は、時刻「t1005」に完了するが、その間に複数回「LV用動画像」の転送が行われてもよい(本実施形態においては「IF_A305」を使用して2回の転送が行われている)。
【0060】
本実施形態の構成によれば、簡易な制御で「静止画像」と「LV用動画像」の転送を行うことができる。しかし前述のように、この構成は「LV用動画像」の読み出し帯域が「IF_A305」の帯域以下である時のみ使用できる。このため、例えば高解像度の「動画」の記録と「静止画」の記録を同時に行うために本発明を適用した場合、動画像の読み出し帯域が「IF_A305」の帯域を超える場合もある。その場合、第2実施形態で開示した方法を適用することによりデータ転送を行えば、制御は複雑になるが、「動画像」の記録を途切れさせない状態で「動画像」と「静止画像」の転送を行うことができる。そこで、第2実施形態で示した方法と、第3実施形態で示した方法は、撮像装置のモードによって切り替え可能になっていることが望ましい。
【0061】
本実施形態においては、「IF_B306」と「IF_A305)」とを備え、「静止画像」(第1の画像データ)は「IF_B306」を使用して送る。これとともに、「LV用動画像」、「縮小静止画像」は「IF_A305」を使用して送る「第2の送信モード」を有する。なお、「IF_B306」、「IF_A305」は、第1のインターフェース、第2のインターフェースに対応する。また、第1のカメラモードと第2のカメラモードとを有し、第1のカメラモードにおいては、前述した「第1の送信モード」を使用し、第2のカメラモードにおいては「第2の送信モード」を使用する構成とすることもできる。
【0062】
以上、第3実施形態で説明した動作をさせることによって、単純な構成でライブビュー画像を中断させないまま「静止画像」を撮像素子107から送信できる。
【0063】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態の「静止画」、「縮小静止画」、「LV画像」のデータ経路図の模式的な説明図である。
図11を参照して、「静止画像」、「LV用動画像」、「縮小静止画像」の各々がどのようなデータ経路を通って撮像素子107の外部に出力されるかを説明する。
図11(a)は「静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から出力された画像は、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に蓄積される。その後、画像は画像メモリ302から読み出され、IFコントローラー304を経由し「IF_B306」を使用して出力される。
【0064】
<第4実施形態:データ経路>
図11(b)は「縮小静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から読み出された「静止画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、縮小回路303に画像を入力される。縮小回路303においては、「静止画像」に対して縮小処理を行う。「縮小静止画」の画像はどのような解像度でも構わないことは第1実施形態で説明した通りである。縮小回路303で縮小された画像は、その後、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して出力される。
【0065】
図11(c)は「LV用動画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から出力された「LV用動画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して出力される。つまり、
図9(c)のデータ経路図と同一となる。
【0066】
図11に示すように、各画像の経路を設計することにより、「縮小静止画」を、画像メモリ302を経由しないで生成できる。このような構成を取った場合、「静止画」の読み出しレートのまま、縮小回路303にデータが入力される。このため、縮小回路303の回路規模が大きくなってしまう。しかしながら、その一方で、画像メモリ302は「静止画像」のためにしか使用されなくなる。その結果、画像メモリ302に対しするメモリサイズやアクセス速度等の要求が緩和される。例えば、本実施形態において、後述するように、画像メモリ302に対して書き込みと読み出しとを同時に行わなくても良くなる。
【0067】
<第4実施形態:タイミングチャート>
図12は第4実施形態のタイミングチャートである。
図12を参照して、本実施形態における「動画」および「静止画」の撮影動作について説明する。「静止画像」の撮影開始は、例えばユーザーが操作部111に含まれる「静止画撮影開始釦」を押下操作してから一定時間以上経過したタイミングに設定することができる。なお、図中の「斜線」のうち「破線」は画素アレイ207に含まれる各単位画素206のリセット走査を表し、「実線」は画素アレイ207からの読み出しを表している。
【0068】
時刻「t1200」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して「LV用動画像」を出力する。時刻「t1201」において、「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに、「IF_A305」からのデータ転送も完了する。この時、「LV用動画像」は画像メモリ302に保存されていない。このため、「LV用動画像」の読み出しのデータレートが「IF_A305」のみを用いて十分に送り切れる程度に小さいことが要求される。
【0069】
時刻「t1202」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「静止画像」の読み出しを行う。これと同時に、画像メモリ302への「静止画」の保存と、縮小回路303に対する「静止画像」の入力を開始する。この時、縮小回路303への入力は、画像メモリ302に一度保存したデータでは無い。このため、縮小回路303の処理可能レートは「静止画像」の読み出しレート以上になっている必要がある。また、本実施形態における画像メモリ302は、必ずしも読み出しと書き込みを同時に行える構成でなくても良い。縮小回路303で縮小された「縮小静止画像」は、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」から出力される。この「縮小静止画」は、表示部112などで「LV用動画像」と同様に表示することができる。そして、時刻「t1203」において、読み出しが完了する。これとともに「IF_A305」からの「縮小静止画」の転送が完了する。
【0070】
時刻「t1204」において、撮像素子107に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像素子107は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」を使用して「LV用動画像」を出力する。また、これと同時に、「IF_B306」を用いて画像メモリ302に保存された「静止画像」の転送を開始する。このように、異なるIFを使用することにより、「静止画像」の転送と「LV用動画像」の転送を独立に行うことができる。「静止画像」の転送は、時刻「t1205」に完了するが、その間に複数回の「LV用動画像」の転送が行われても良い。本実施形態においては、2回の転送が行われている。
【0071】
本実施形態によれば、行選択回路211(読み出し部)が、第1の解像度の「静止画像」(第1の画像データ)と第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の「動画像」(第2の画像データ)とを画素アレイ207から読み出す。読み出された「静止画像」は画像メモリ302に保存される。縮小回路303は、読み出した「静止画像」を第1の解像度よりも低い第3の解像度の「縮小静止画像」(第3の画像データ)に変換する。そして、「静止画像」を縮小回路303に入力すると同時に画像メモリ302にも書き込み、画像メモリ302から読み出して出力し、「縮小静止画像」」と「動画像」は画像メモリ302に書き込みことなく出力する。
【0072】
以上、第4実施形態で説明したように動作をさせることにより、「縮小静止画」の表示遅延も短縮させながら、ライブビュー画像を中断させない状態で「静止画像」を撮像素子107から送信できる。また、画像メモリ302の回路構成を簡素化することも可能である。
【0073】
<第5実施形態>
図13は、本発明の第5実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図1との相違点は、撮像素子107の光軸方向の後部に撮像基板1300が設けられている。撮像基板1300には、撮像チップ1301とフロントエンド1302が搭載された基板である。フロントエンド1302には、表示部1303とDSP108とが接続されている。
【0074】
<第5実施形態:データ経路>
図14は、第5実施形態におけるデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。
図14を参照して、「静止画像」、「LV用動画像」、「縮小静止画像」の各々がどのようなデータ経路を通って撮像基板1300の外部に出力されるかを説明する。
図14(a)は「静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から出力された「静止画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、画像メモリ302に蓄積される。その後、「静止画像」は、画像メモリ302から読み出され、IFコントローラー304を経由し「IF_A305」と「IF_B306」とを使用して出力される。
【0075】
図14(b)は「縮小静止画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から読み出された「静止画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、縮小回路303に入力される。縮小回路303は「静止画像」に対して縮小処理を行う。「縮小静止画」のどのような解像度でもかまわないが、本実施形態においては、「LV用動画像」と同程度の解像度まで縮小することが好ましい。縮小回路303で縮小された「縮小静止画像」は、その後、表示部IF1400を介して表示部1303に出力される。このため、例えば水平方向しか縮小されない場合、表示部1303で垂直方向の縮小を行う必要がある。縮小回路303において、「縮小静止画」を「LV用動画像」と同一の解像度まで低下させることにより、表示部1303が画像縮小機能を備える必要がなくなる。
【0076】
図14(c)は「LV用動画像」が通るデータ経路を模式的に示したデータ経路図である。画素アレイ207から読み出された「LV用動画像」は、ADC213でデジタル値に変換され、表示部IF1400を介して表示部1303に出力される。
図14に示すように、各画像のパスを設計することにより、「縮小静止画」および「LV用動画像」をDSP108に送信しなくて済む。このような構成により、「IF_A305」および「IF_B306」のデータ帯域を低くすることもできる。このように、インターフェースに要求されるデータ帯域を低くすることによって、インターフェースの回路規模を小型化でき消費電力や製造コストの低減を図れる。
【0077】
<第5実施形態:タイミングチャート>
図15は第5実施形態のタイミングチャートである。
図15を参照して、本実施形態における「動画」および「静止画」の撮影動作について解説する。「静止画像」の撮影開始は、例えばユーザーが操作部111に含まれる「静止画撮影開始釦」を押下操作してから一定時間以上経過したタイミングに設定することができる。なお、図中の「斜線」のうち「破線」は画素アレイ207に含まれる各単位画素206のリセット走査を表し、「実線」は画素アレイ207からの読み出しを表している。
【0078】
時刻「t1500」において撮像基板1300に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像基板1300は、「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、表示部IF1400を経由し表示部1303に「LV用動画像」を出力する。時刻「t1501」において、「LV用動画像」の読み出しが完了するとともに表示部IF1400からのデータ転送も完了する。
【0079】
時刻「t1502」において、撮像基板1300に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像基板1300は「静止画像」の読み出しを行う。これと同時に、画像メモリ302への「静止画」の保存と、縮小回路303に「静止画像」の入力を開始する。この時、縮小回路303への入力は、画像メモリ302に一度保存したデータではない。このため、縮小回路303の処理可能レートは「静止画像」の読み出しレート以上になっている必要がある。また、本実施形態における画像メモリ302は、必ずしも読み出しと書き込みを同時に行える構成でなくてもよい。縮小回路303で縮小された「縮小静止画像」は、表示部IF1400を介して表示部1303に出力される。この「縮小静止画」は、表示部1303で「LV用動画像」と同様に表示することができる。時刻「t1503」で読み出しが完了し、それとともに表示部IF1400を介しての「縮小静止画」の転送が完了する。
【0080】
時刻「t1504」において、撮像基板1300に対して垂直同期信号(VD)をアサートすると、撮像基板1300は「LV用動画像」の読み出しを行う。また、読み出しを開始するとともに、IFコントローラー304を経由して、表示部IF1400を介して「LV用動画像」を出力する。また、これと同時に、「IF_A305」、「IF_B306」を用いて画像メモリ302に保存された「静止画像」の転送を開始する。
【0081】
このように、表示部1303に表示する画像は、DSP108に送信しない構成としている。これにより、「静止画像」の送信レートだけで「IF_A305」および「IF_B306」のデータレートを決めることができる。ここでは、例えば、第4実施形態よりも帯域の低いIFを採用したと仮定し、時刻「t1504」に開始された「静止画」のデータの転送は時刻「t1505」で完了すると定義する。すると、時刻「t1504」から時刻「t1505」までの時間は、
図12に示した時刻「t1204」から時刻「t1205」までの時間よりも長くなる。
【0082】
本実施形態によれば、行選択回路211(読み出し部)が、第1の解像度の「静止画像」(第1の画像データ)と第1の解像度よりも低解像度の第2の解像度の「動画像」(第2の画像データ)とを画素アレイ207から読み出す。読み出された「静止画像」は画像メモリ302に保存される。縮小回路303は、読み出した「静止画像」を第1の解像度よりも低い第3の解像度の「縮小静止画像」(第3の画像データ)に変換する。そして、「静止画像」は表示部1303に表示せずにDSP108(画像処理部)に出力し、「LV用動画像」、「縮小静止画像」は、DSP108には出力せずに表示部1303に表示する。
【0083】
以上、本実施形態で説明した構成を備えることにより、インターフェース部に求められる帯域性能を低下することができる。このため、回路規模、消費電力、製造コストのいずれも小さなインターフェースを採用可能となり、ライブビュー画像を中断させないまま「静止画像」の撮影を行うことができる撮像装置を提供できる。
【0084】
<チップ構成のまとめ>
図6(a)に示すように、画素アレイ207と縮小回路303(変換部)とは同一基板上(600)に製造されることができる。また、
図3に示すように、画素アレイ207と縮小回路303(変換部)とは別基板上(300、301)に製造され積層されて単一チップ(109)に設けることもできる。また、
図6(b)に示すように、画素アレイ207と縮小回路303(変換部)とは同一基板上に製造され、別チップ(602、604)に設けることもできる。
【0085】
また、
図6(a)に示すように、画素アレイ207と画像メモリ(メモリ)302とは同一半導体基
板600上に
設けられることができる。
図3に示すように、画素アレイ207と画像メモリ(メモリ)302とは別々の半導体基
板300、301上に
設けられ、積層されて単一チップに設けられることもできる。また、
図6に示すように、画素アレイ207と画像メモリ(メモリ)302とは同一基
板601上に
設けられ、別チップ(602、603)に設けることもできる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 撮像装置
108 DSP
200 フォトダイオード
207 画素アレイ
211 行選択回路
302 画像メモリ
303 縮小回路