(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】塗布容器の中栓の打栓方法及び打栓装置
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B65D47/42 100
(21)【出願番号】P 2022095952
(22)【出願日】2022-06-14
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390009656
【氏名又は名称】同仁医薬化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 和吉
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-190779(JP,A)
【文献】特開2016-210427(JP,A)
【文献】特開2007-269394(JP,A)
【文献】特開2021-187530(JP,A)
【文献】米国特許第6758620(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布容器の中栓の打栓方法であって、
液体を収容した容器本体を準備する準備工程と、
スポンジ状の塗布部と、弁体及び弁座を備え且つ前記容器本体の内部と前記塗布部とを連通可能にする開閉弁とを有する中栓を中栓把持部材で把持する把持工程と、
前記中栓を前記容器本体の開口部に打栓する打栓工程と
前記開閉弁を開放させる開放工程と、を含むことを特徴とする打栓方法。
【請求項2】
前記開放工程が、前記把持工程において行われる請求項1に記載の打栓方法。
【請求項3】
前記中栓把持部材が、前記中栓を把持したときに前記塗布部を介して前記弁体を押圧して前記開閉弁を開放させる押圧部を有する請求項2に記載の打栓方法。
【請求項4】
スポンジ状の塗布部と、弁体及び弁座を備え且つ容器本体の内部と前記塗布部とを連通可能にする開閉弁とを有する中栓を把持する中栓把持部材を具備する塗布容器の中栓の打栓装置であって、
前記中栓把持部材が、前記中栓を把持したときに前記塗布部を介して前記弁体を押圧して前記開閉弁を開放させる押圧部を有することを特徴とする打栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジ状の塗布部を備えた中栓を容器本体の開口部に打栓する打栓方法及び打栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体、例えば医薬成分等の有効成分を含有する液体を収容した容器本体の開口部に配置される中栓が公知である(例えば、特許文献1)。こうした中栓を有する一般的な塗布容器について、
図2を参照しながら説明する。
【0003】
図2は、塗布容器1の部分断面図である。塗布容器1は、容器本体2と、キャップ3と、中栓10とを有している。中栓10は、容器本体2の開口部に取り付けられている。中栓10は、先端にスポンジ状の塗布部11を有している。キャップ3は、中栓10の塗布部11を保護するために中栓10を覆うようにして、容器本体2に対して着脱可能に取り付けられる。
【0004】
中栓10は、上述した塗布部11と、弁体12と、弁座13と、容器本体2と嵌合するよう構成された中栓本体14と、弁体12を弁座13に対して付勢する付勢部材15とを有している。弁体12と弁座13とは、容器本体2の内部と塗布部11とを流体的に開放し又は閉鎖する、すなわち流体的に連通可能にする開閉弁16として機能する。付勢部材15は、開閉弁16が閉鎖するよう前方に弁体12を付勢している。開閉弁16が閉鎖した状態で、弁体12の先端は、塗布部11に当接して塗布部11を内側から支持している。
【0005】
中栓10が取り付けられた塗布容器1を使用するときには、使用者が塗布容器1を逆さにしながら対象領域に中栓10の塗布部11を押し当て、付勢部材15の付勢力に抗して弁体12を後退させる。それによって開閉弁16が開放され、重力によって下降した容器本体2の内部の液体が塗布部11に到達する。塗布部11に到達した液体が、塗布部11を介して外部に漏出し、対象領域に対して適量の液体の塗布が行われる。
【0006】
図3は、塗布容器1の中栓10の打栓に用いられる、従来の打栓装置の一部の拡大図である。具体的には、
図3は、中栓把持部材120の拡大図であり、中栓10を把持した状態を示している。中栓把持部材120は、全体として柱状の部材であり、先端に把持部121を有している。把持部121は、環状に形成され、中栓把持部材120の先端に円形の開口を画成している。塗布部11周辺の中栓本体14の外周面を把持部121の内面に嵌合させることによって、中栓10が中栓把持部材120に把持される。塗布容器1は、容器本体2に液体が充填された後、中栓把持部材120によって把持された中栓10を容器本体2の開口部に圧入させることによって、すなわち打栓することによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
中栓10の容器本体2の開口部に対する圧入によって、中栓10の内面と容器本体2の内面、さらには内部の液面とによって画成された空間内の空気が圧縮され、内圧が高まる。そのため、塗布容器1を最初に使用するとき、対象領域に中栓10の塗布部11を押し当てて開閉弁16が開放されると、内部の圧縮された空気が液体と共に勢いよく噴出し、対象領域以外の部分に過剰な液体が飛び散る虞がある。
【0009】
本発明は、製品完成時の塗布容器における内圧の増加を抑制する塗布容器の中栓の打栓方法及び打栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、塗布容器の中栓の打栓方法であって、液体を収容した容器本体を準備する準備工程と、スポンジ状の塗布部と、弁体及び弁座を備え且つ前記容器本体の内部と前記塗布部とを連通可能にする開閉弁とを有する中栓を中栓把持部材で把持する把持工程と、前記中栓を前記容器本体の開口部に打栓する打栓工程と前記開閉弁を開放させる開放工程と、を含むことを特徴とする打栓方法が提供される。
【0011】
本発明の別態様によれば、スポンジ状の塗布部と、弁体及び弁座を備え且つ前記容器本体の内部と前記塗布部とを連通可能にする開閉弁とを有する中栓を把持する中栓把持部材を具備する塗布容器の中栓の打栓装置であって、前記中栓把持部材が、前記中栓を把持したときに前記塗布部を介して前記弁体を押圧して前記開閉弁を開放させる押圧部を有することを特徴とする打栓装置が提供される。
【0012】
前記開放工程が、前記把持工程において行われてもよい。前記中栓把持部材が、前記中栓を把持したときに前記塗布部を介して前記弁体を押圧して前記開閉弁を開放させる押圧部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、製品完成時の塗布容器における内圧の増加を抑制する塗布容器の中栓の打栓方法及び打栓装置を提供するという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、塗布容器の中栓の打栓に用いられる、本発明の実施形態による打栓装置の部分拡大図である。
【
図3】
図3は、塗布容器の中栓の打栓に用いられる、従来の打栓装置の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に亘り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0016】
図1は、塗布容器1の中栓10の打栓に用いられる、本発明の実施形態による打栓装置の部分拡大図である。具体的には、
図1は、中栓把持部材20の拡大図であり、中栓把持部材20が中栓10を把持した状態を示している。塗布容器1及び中栓10の構造は、
図2を参照しながら上述したとおりである。
【0017】
打栓装置は、全体は図示しないが、塗布容器1の製造工程において、液体が収容された容器本体2が打栓装置に搬送されると、中栓把持部材20に把持された中栓10を容器本体2の開口部に圧入し、打栓するための装置である。中栓10が打栓された容器本体2に対して、後の工程において、キャップ3の取り付けやラベルの付与等が行われる。液体は、医薬成分等の有効成分を含有する液体、例えばローションであるが、接着剤や食品等であってもよい。
【0018】
中栓把持部材20は、
図3を参照しながら上述した中栓把持部材120と同様に、全体として柱状の部材であり、先端に把持部21を有している。把持部21は、環状に形成され、中栓把持部材20の先端に円形の開口を画成している。塗布部11周辺の中栓本体14の外周面を把持部21の内面と嵌合させることによって、中栓10が中栓把持部材20に把持される。
【0019】
中栓把持部材20は、把持部21によって画成された開口内において、前方に突出する突起状の押圧部22を有している。
図1に示されるように、中栓把持部材20が中栓10を把持した状態では、押圧部22が塗布部11を押圧し、塗布部11が変形している。中栓10の内部では、上述したように、付勢部材15が、開閉弁16が閉鎖する方向に弁体12を付勢し、弁体12の先端は、塗布部11に当接して塗布部11を内側から支持している。したがって、中栓把持部材20が、中栓10を把持したときに、押圧部22によって塗布部11を介して弁体12が押圧され、弁座13から弁体12が離間することで、開閉弁16が開放される。
【0020】
開閉弁16が開放した状態で、中栓把持部材20によって把持された中栓10を容器本体2の開口部に圧入させたとしても、容器本体2の内部の空気が圧縮されることはなく、内圧の増加が抑制される。その結果、塗布容器1を最初の使用時における液体の噴出が防止される。
【0021】
押圧部22は、中栓把持部材20が中栓10を把持したとき、開閉弁16が開放するように塗布部11を介して弁体12を押圧することができる限りにおいて、任意の長さ又は形状に構成してもよい。上述した実施形態における中栓把持部材20は、押圧部22を有する点以外は、従来の中栓把持部材120と基本的構造は同一である。すなわち、同様の課題を抱える既存の打栓装置において、中栓把持部材に対して中栓の弁体を押圧する押圧部を付加することで、容易に課題を解決することができる。
【0022】
上述した実施形態によれば、液体を収容した容器本体2を準備する準備工程と、スポンジ状の塗布部11と、弁体12及び弁座13を備え且つ容器本体2の内部と塗布部11とを連通可能にする開閉弁16とを有する中栓10を中栓把持部材20で把持する把持工程と、中栓10を容器本体2の開口部に打栓する打栓工程と開閉弁16を開放させる開放工程と、を含む打栓方法が提供される。
【0023】
上述した実施形態によれば、開放工程が、把持工程において行われる、すなわち中栓10が中栓把持部材20によって把持されると押圧部22によって開閉弁16が開放される。しかしながら、中栓把持部材20に押圧部22を設けずに、把持工程とは別の工程で、開放工程が行われるようにしてもよい。例えば、把持工程において、押圧部を有する中栓把持部材で、押圧部が中栓10に当接しないように中栓10を把持する。次いで、打栓工程において、中栓10を容器本体2の開口部に圧入させると同時に、押圧部で以て弁体12を押圧し、開閉弁16を開放させて増加した内圧を低下させてもよい。要するに、押圧部を、中栓把持部材に対して軸線方向に移動可能に設けてもよい。また、打栓工程の後の製造工程において、弁体12を押圧し、開閉弁16を開放させて増加した内圧を低下させてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 塗布容器
2 容器本体
3 キャップ
10 中栓
11 塗布部
12 弁体
13 弁座
14 中栓本体
15 付勢部材
16 開閉弁
20 中栓把持部材
21 把持部
22 押圧部