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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/257 20210101AFI20240909BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20240909BHJP
【FI】
A61B5/257
A61B5/332
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022101551
(22)【出願日】2022-06-24
(62)【分割の表示】P 2020155574の分割
【原出願日】2011-05-12
(65)【公開番号】P2022126807
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】61/334,081
(32)【優先日】2010-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512290931
【氏名又は名称】アイリズム・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】iRhythm Technologies,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ウダイ・エヌ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エイチ・リビングストン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェイ・デイ
(72)【発明者】
【氏名】シーナ・エイチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エフ・ウィリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エイチ・ライター
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0056881(US,A1)
【文献】特開2004-121360(JP,A)
【文献】特表2008-532596(JP,A)
【文献】特開2006-136405(JP,A)
【文献】特表2009-525816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
A61N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物への長期粘着用の電子装置であって、該電子装置は、
生理学的データ収集回路を含むハウジングであって、該ハウジングは柔軟な層の上に位置し、この柔軟な層は、ハウジングの下から横方向に延在しており、ハウジングから横方向で柔軟な層の下側に位置する電極を含む、ハウジングを備えており、
ここで柔軟な層は、
当該電子装置を上方から見た状態でデータ収集回路から電極へ直線的に延在する電気的接続の上側を覆っている重合体上部層と、
重合体上部層の下に位置する上部粘着剤層であって、電気的接続の下にある重合体下部層に重合体上部層を付着させる上部粘着剤層と、
重合体下部層の下面に付着し、ハウジングの下から電極まで延在し、哺乳動物の皮膚への付着を提供する下部粘着剤層と、
を備えた、電子装置。
【請求項2】
柔軟な層は、複数の翼を備え、各翼は、ハウジングから延在する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
重合体上部層及びハウジングは、異なる材料から構成されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
柔軟な層は、ハウジングよりもより柔軟であるよう構成されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
下部粘着剤層は、流体を吸収するように構成された粘着剤を備える、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
下部粘着剤層は、感圧粘着剤を備える、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
生理学的データ収集回路は、哺乳動物から心調律データを収集するよう構成されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
重合体下部層は、ポリエステルを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
柔軟な層は、合成繊維を含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
哺乳動物への長期粘着用の電子装置であって、該電子装置は、
生理学的データ収集回路を含むハウジングと、
ハウジングの横方向端部から互いに重ならずに横方向に延在する複数の翼であって、各翼は、翼の底面に位置する下部粘着剤層を含み、下部粘着剤層は哺乳動物の皮膚への付着を提供する、翼と、
各翼の底面に位置し、生理学的データ収集回路に電気的に接続されている電極と、
を備え、
ここで各翼は、翼の上に位置し皮膚への付着のために翼に付着される上部粘着剤層を備え、該上部粘着剤層は、翼の横方向端部を超えて水平に外側へ延在している、電子装置。
【請求項11】
ハウジングと翼の間にヒンジ部をさらに備える、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
上部粘着剤層は、下部粘着剤層に加えて粘着剤表面領域を有し、広い領域にわたり力を分散させる、請求項10に記載の電子装置。
【請求項13】
下部粘着剤層は、流体を吸収可能な粘着剤を備える、請求項10に記載の電子装置。
【請求項14】
下部粘着剤層は、親水コロイド粘着剤を備える、請求項10に記載の電子装置。
【請求項15】
下部粘着剤層は、感圧粘着剤を備える、請求項10に記載の電子装置。
【請求項16】
下部粘着剤層の上に位置する合成材料層をさらに備える、請求項10に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願への相互参照]
この出願は、完全にここに述べられるかのように参考としてここに編入される、2010年5月12日出願の、発明の名称が「長期粘着用の装置機構及び構成要素」である米国仮特許出願番号61/334081に優先権を主張する。
【0002】
[参考による編入]
この明細書にて述べる全ての出版物及び特許出願は、参考として編入されるように、それぞれ個々の出版物あるいは特許出願が明確かつ個別に示されているかのように、同じ範囲まで参考としてここに編入される。
【0003】
この出願は、この装置を着用している人をモニターし、記録し、報告し、及び/又は治療するために身体に着用される装置に関する。装置構成要素及び機能性における改良は、一般的に24時間を超える長期間の装置の接触及び機能を維持するために開示される。
【背景技術】
【0004】
長期間、人体へ医療装置を付着させる能力は、様々な要因に依存する。選択された粘着剤のタイプ及び特質に加えて、別の要因は装置の機械設計である。この設計として、次のものに限定されないが、装置形状、サイズ、重さ、柔軟性、及び剛性に注意が向けられる。これらの設計要素は、次のものに限定されないが、この装置が取り付けられる身体の場所及び取り付けの期間、その場所の湿度状態、その場所の運動状態、その場所の伸縮状態、その場所の、衣類のような外的要因との相互作用、及び、その装置を装着している人と装置間の意図的及び/又は故意ではない相互作用、を含む多くの付加的な要因によって影響を受ける。
【0005】
多くの装置は、一般的に24時間未満の間で身体上に使用されるので、より長期間の粘着に耐えることができる装置は設計されていない。したがって、装置の機能性、形状、サイズ、重さ、柔軟性、及び剛性を提供しながら、24時間以上、人体への装置の粘着の可能性を向上させる能力を有している装置機構及び構成要素を実現する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
発明の一つの態様において、哺乳動物への長期粘着用の電子装置が存在する。この装置はハウジングを有し、このハウジングは、ハウジングと一体に形成した第1の翼及び第2の翼を有する電子部品を含んでいる。電極が電子部品に接続された状態で、それぞれの翼の底面に配置された電極がある。粘着剤層が哺乳動物の表面への粘着に提供される。この粘着剤層は、翼の底面の一部上を覆う。この粘着剤層は、電極、又はハウジングの底面を覆わない。
【0007】
本願明細書に記述されたいずれの装置における電子部品は、電子装置が哺乳動物に取り付けられている間、第1及び第2の電極からの信号を記録するため、コンピューター読み取り可能な命令を有するメモリがあるプロセッサを含んでいてもよい。このプロセッサは、単に、電極からの信号をデジタル信号に変換し、それらの信号をフィルターにかけて、メモリにその信号を蓄えるように構成されてもよい。
【0008】
別の態様において、装置は、各翼に接続されたフラップを含んでいる。このフラップは、ハウジングの下方で延在してもよい。さらに、あるいは、粘着剤層は、フラップの底面を覆う。
【0009】
別の態様において、装置は連結セグメントを含んでいる。一つの態様において、この連結セグメントは、各フラップをともに接続するように構成される。他の態様では、連結セグメントは、ハウジングより下で少なくとも部分的に位置する。さらに、連結セグメントは、ハウジングに取り付けられていない。
【0010】
また別のものでは、粘着剤層はフラップの底面を覆う。
【0011】
さらに別の態様において、哺乳動物の表面への粘着用の粘着剤は、流体を吸収可能な粘着剤である。別の態様では、流体を吸収可能な粘着剤は、親水コロイド粘着剤である。別の態様において、哺乳動物の表面への粘着用の粘着剤は、感圧粘着剤である。この感圧粘着剤は、ポリアクリル酸塩、ポリイソブチレン、及びポリシロキサンからなるグループから選択される。別のものでは、装置は、粘着剤層と各翼との間に拡散バリヤを含んでいる。装置は、また、哺乳動物への粘着用の粘着剤層と翼との間に、追加の粘着剤層及び材料層を含んでいるかもしれない。その材料層は、粘着剤層から翼へ粘着成分の拡散を防ぐように構成される。拡散バリヤは、ポリエステル、あるいは他の適当な合成材料から作製されてもよい。
【0012】
装置の一つの態様において、電子部品のすべて、あるいは略すべては、ハウジング内にある。別の態様では、翼は電子部品を有しない。一つの態様において、翼はハウジングより柔軟である。別のものでは、翼及びハウジングは、同じ材料から作製される。別の態様では、翼及びハウジングは、異材質から作製される。別のものでは、翼は織物から作製される。さらに別の態様では、翼を作製するために用いられる材料は、合成繊維を含んでいる。さらに別のものでは、翼及びフラップは、同じ材料から構成される。
【0013】
別のものでは、装置は、ハウジングと翼との間にヒンジ部を含んでいる。ヒンジ部は、ハウジングと翼との間で装置が曲がることを可能にするように構成される。一つの態様において、ヒンジ部は、装置の固い部分と装置の可撓性部分との間に存在する。別の態様では、装置の固い部分は、電子部品を含むハウジング部分に相当し、また、装置の可撓性部分は、翼を含んでいる。
【0014】
一つの態様において、翼の底面及びフラップの底面は接触する。別の態様では、翼、フラップ、及び連結部の底面は接触する。さらに別の態様において、フラップと連結部とは接触する。
【0015】
別の態様において、連結部にはそれを延在する少なくとも一つの穴部を有する。この穴部は、環状形、楕円形、円形、三角形のような多数の形状の何かを有していてもよい。
【0016】
一つの態様において、ハウジングは、ハウジングの端縁部よりもハウジングの中心部でより厚い。
【0017】
装置の別の態様において、電極が哺乳動物に接するとき、ハウジングは哺乳動物にはくっついていない。
【0018】
哺乳動物への長期粘着用の装置の別の態様において、装置は、ハウジングから横に延在する第1の翼、及び第1の翼と重ならずにハウジングから横に延在する第2の翼を有するハウジングを含んでいる。第1の翼の底面に配置された第1の電極、及び第2の翼の底面に配置された第2の電極がある。電子メモリは、ハウジング内に配置される。この電子メモリは、電子装置が哺乳動物に取り付けられている間、第1及び第2電極からの電子信号を受け入れて蓄えるように構成される。また、第1の翼及び第2の翼の底面の一部上に粘着剤層が存在する。その粘着剤は、ハウジングの底面上には存在しない。装置が哺乳動物に装着されるとき、粘着剤層のみが哺乳動物に取り付けられる。
【0019】
一つの態様において、第1の翼及び第2の翼の底面部分は、第1及び第2の電極を含んでいない。一つの装置の態様において、第1の翼、第2の翼、及びハウジングは、同じ材料から形成される。さらに別の態様では、第1の翼、第2の翼、及びハウジングは、一体としてモノリシック構造を構成する。他の態様において、第1の翼、第2の翼、及びハウジングによって形成された角度は、約90度と180度との間にある。一つの変形例では、その角度は、およそ180度である。別の変形例において、その角度は、およそ135度である。
【0020】
さらに別の実施態様において、第1の電極とプロセッサとの間に第1のヒンジ結合された部分があり、また、第2の電極とハウジングとの間に第2のヒンジ結合された部分がある。
【0021】
更なる態様において、電極からの信号がメモリに記録されているとき、覆われていない本体(body)の少なくとも一部は、哺乳動物に取り付けられない。
【0022】
別の態様において、装置は、第1の電極の内側にある第1の翼に接続された第1のフラップと、第2の電極の内側にある第2の翼に接続された第2のフラップとを含む。各フラップは、ハウジングの下方を延在してもよい。
【0023】
装置は、また、フラップをともに接続するように構成された連結セグメントを含んでもよい。一つの態様において、この連結セグメントは、ハウジングの下方で少なくとも部分的に位置するが、ハウジングに取り付けられていない。
【0024】
別の態様において、電子部品を含んでいるハウジングを含むパッチを有する電子装置がある。そのパッチの底面に位置する電極があり、この電極は、電子部品に電気的に接続される。パッチの周囲で延在する第1の粘着剤細片、及び第1の粘着剤細片の周囲で延在する第2の粘着剤細片がある。一つの態様において、第1の粘着剤カバーは、第1の粘着剤細片の上を覆い、第2の粘着剤カバーは、第2の粘着剤細片の上を覆う。第1及び第2の粘着剤カバーは、第1及び第2の粘着剤細片から別々に取り除かれるように構成されてもよい。別の一つの態様では、第1の粘着剤細片は、第1及び第2の粘着剤カバー間に延在する。別の態様では、第1及び第2の粘着剤細片における粘着剤は、流体を吸収可能な粘着剤である。さらに別の態様において、流体を吸収可能な粘着剤は、親水コロイド粘着剤である。別の一つの態様では、第1及び第2の粘着剤における粘着剤は、感圧粘着剤である。いくつかの態様において、感圧粘着剤は、ポリアクリル酸塩、ポリイソブチレン、又はポリシロキサンである。
【0025】
別の一つの態様において、第2の粘着剤細片は、第1の粘着剤細片と部分的に重なる。別の態様では、第2の粘着剤細片は、シェルに取り付けられ、ここでこのシェルは第1の粘着剤細片と重なる。
【0026】
さらに別の、哺乳動物への長期粘着用の装置において、装置は、そこに含まれる電子部品があるハウジングを有するパッチを含んでいる。このパッチの底面に配置された電極が存在する。この電極は、電子部品と電気的に接続する。電子部品と哺乳動物との間に位置するように構成された多孔性の発泡体パッドが存在する。一つの態様において、多孔性の発泡体パッドは、生体適合性発泡材を含む。一つの変形例において、多孔性の発泡体パッドは、流体を吸収することができる。さらに別の態様において、多孔性の発泡体パッドは、ハウジングに取り付けられている。別の態様では、多孔性の発泡体パッドは、哺乳動物に取り付けられるように構成される。別の要求において、多孔性の発泡体パッドは、流体を吸収することができる。
【0027】
電子装置を貼付する方法の一つの態様において、電極及び第1の翼の底面を覆う粘着剤を露出するために、電子装置の第1の翼から第1の粘着剤カバーを取り除く工程がある。第1の翼の粘着剤で覆われた底面を哺乳動物へ付着することにより、露出した電極を哺乳動物に接触して配置する工程がある。また、第2の翼の底面を覆う粘着剤及び別の露出した電極を露出するために電子装置の第2の翼から第2の粘着剤カバーを取り除く工程がある。また、第2の翼の粘着剤で覆われた底面を哺乳動物へ付着することにより、露出した別の電極を哺乳動物に接触して配置する工程がある。除去及び配置の工程を実行した後、ハウジングは哺乳動物にくっついていないが、第1及び第2の翼の粘着剤で覆われた底面を用いて哺乳動物の適所に保持される。
【0028】
装置を取り付ける一つの別の方法において、電子装置は、第1の翼に接続した第1のフラップと、第2の翼に接続した第2のフラップとを含んでいる。第1及び第2のフラップは、それぞれハウジングの下方で延在する。第1の翼から第1の粘着剤カバーを取り除く工程は、また、第1のフラップの底面を覆う粘着剤を露出することを含んでもよい。第2の翼から第2の粘着剤カバーを取り除く工程は、また、第2のフラップの底面を覆う粘着剤を露出することを含んでもよい。
【0029】
装置を取り付けるさらに別の方法では、除去及び配置の工程を行なった後、ハウジングは、第1の翼、第2の翼、第1のフラップ、及び第2のフラップの粘着剤で覆った底面のみを用いて哺乳動物の適所に保持される。
【0030】
長期粘着用の電子装置を哺乳動物へ貼付する方法の別の態様において、この方法は、電極及び第1の翼の底面を覆う粘着剤を露出するため、電子装置の第1の翼から第1の粘着剤カバーを取り除くことを含んでいる。また、第2の翼の底面を覆う粘着剤及び別の露出した電極を露出するために、電子装置の第2の翼から第2の粘着剤カバーを取り除く工程がある。第1及び第2の翼の底面を覆う粘着剤を哺乳動物へ付着させることにより、露出した電極を哺乳動物に接触して配置する工程がある。除去及び配置する工程を行なった後、ハウジングは哺乳動物にくっついていないが、第1及び第2の翼の底面を覆う粘着剤を用いて、哺乳動物上の適所に保持される。
【0031】
また、電子装置がパッチを含んでいる、長期粘着用の電子装置を哺乳動物へ貼付する方法が提供される。このパッチは、パッチの底面に配置されて電子部品に電気的に接続した電極と共に電子部品を含んでいる。そのパッチの周囲に延在する第1の粘着剤細片、及び第1の粘着剤細片の周囲に延在する第2の粘着剤がある。装置を貼付する方法の一つの態様は、電子装置の第2の粘着剤細片から粘着剤カバーを取り除く工程を含んでいる。電極が哺乳動物に接するように、第2の粘着剤細片を哺乳動物へ付着させるため、第2の粘着剤細片に圧力を加える工程がある。そしてしばらくして、電子装置の第1の粘着剤細片から粘着剤カバーを取り除く。次に、電極が哺乳動物に接したままであるように、第1の粘着剤細片を哺乳動物へ付着させるため、第1の粘着剤細片に圧力を加える工程がある。
【0032】
長期粘着用の電子装置を哺乳動物へ貼付するさらに別の方法において、電子装置は、パッチ、電子部品、及びパッチの底面に配置され電子部品に電気的に接続した電極を含んでいる。パッチの周囲に延在する第1の粘着剤細片がある。この方法は、電極が哺乳動物に接触するように、第1の粘着剤細片を哺乳動物へ付着させるため、第1の粘着剤細片に圧力を加える工程を含んでいる。しばらくして、第1の粘着剤細片の周囲に第2の粘着剤細片を配置する。その後、電極が哺乳動物に接したままであるように、第2の粘着剤細片を哺乳動物へ付着するため、第2の粘着剤細片に圧力を加える工程がある。
【0033】
上述した装置のいずれも追加の態様を含んでもよい。装置は、また、第1の電極及びプロセッサ又は電子メモリを接続する第1の電線、及び第2の電極及びプロセッサ又は電子メモリを接続する第2の電線を含んでもよい。第1及び第2の電線は、本体並びに第1及び第2の翼内を延在する。一つの態様において、第1及び第2の電線は、本体並びに第1及び第2の翼内を延在し、本体並びに第1及び第2の翼内に完全に封入されている。一つの態様において、コンジットが本体及び翼内に設けられ、電線はコンジットを通過する。別の一つの態様では、電線が完全にコンジット内にあるように、コンジットはプロセッサまたは電子メモリから電極まで延在する。上述した装置のさらに別の態様において、電極をプロセッサまたは電子部品へ接続する第1及び第2の電線のそれぞれは、電極とプロセッサとの間にたるみを含んでいる。一つの態様において、そのたるみは、平らな又は曲がって構成された各翼の一部に位置する。別の態様では、たるみは、翼内の電線の一部であり、第1又は第2の電極の周りに少なくとも部分的に巻かれている。さらに別の態様において、たるみは、電子部品上の接続点から電極上の接続点までのその長さに沿って、コイル、波パターン、あるいは正弦波パターンへ形成された電線の一部によって提供される。
【0034】
さらに他の別の態様において、上述した装置は、幅広い様々な従来の生理学的データのモニタリング、記録、及び/又は伝送装置のいずれに適用されてもよい。改善された粘着設計特微及び態様のいずれも、薬剤の電子的に制御された配送及び/又は時間で放出される配送、あるいはブドウ糖モニター又は他の血液検査装置のような血液検査において有益な従来の装置に適用されてもよい。記述された装置への追加の代替案は、電子機器、アンテナ、電源あるいは充電の接続部、装置からの情報のダウンロードあるいはオフロード用のデータポートあるいは接続部、装置からの流体の追加あるいは開放、電極、プローブ、センサ、あるいは他の部品、特定機能の装置で必要な部品のようなモニタリングあるいはセンシングエレメント、のような特別な応用例の特定の部品を含んでもよい。さらに別の態様において、上述の装置のいずれにおける電子部品は、電極によって検出された哺乳動物の電子信号とともに、以下の電子的機能つまり哺乳動物からの電子信号の一つ以上のアルゴリズムを用いたモニタリング、記録、分析、あるいは処理の一つ以上、又はいずれかの組み合わせを実行するために構成された電子システムである。さらに、上述の装置のいずれも、これらに限定しないがEKG、EEG及び/又はEMGの一つ以上によって生成された信号を含み、装置が取り付けられる哺乳動物によって生成される信号に関する信号又は情報の検出、記録、処理、あるいは伝送に装置が用いられるように、適切な部品を含んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、2つの翼を有するパッチの平面図である。
図1A図1Aは、図1に示すパッチの実施形態における代表的な断面図である。
図1B図1Bは、図1に示すパッチの別の実施形態における代表的な断面図である。
図1C図1Cは、図1に示すパッチの別の実施形態における代表的な断面図である。
図1D図1Dは、図1に示すパッチの別の実施形態における代表的な断面図である。
図1E図1Eは、図1に示すパッチの別の実施形態における代表的な断面図である。
図1F図1Fは、電極-電子部品-電極の配向を図示する3つの翼を有するパッチの平面図である。
図2A図2Aは、パッチ内に含まれる電子部品の概略図である。
図2B図2Bは、電子部品と電極との間にうねりの形のたるみを有する配線を持ったパッチの概略図である。
図2C図2Cは、電子部品と電極との間にコイルの形のたるみを有する配線を持ったパッチの概略図である。
図3図3は、その上に粘着剤を有するパッチの底面図である。
図4A図4Aは、側方へ転がった人にて装着されるようなパッチを示す。
図4B図4Bは、ゴル力る人にて装着されるようなパッチを示す。
図5A図5Aは、皮膚の凹状曲面に対応したパッチを示す。
図5B図5Bは、皮膚の凸状曲面に対応したパッチを示す。
図5C図5Cは、皮膚の凸状曲面に対応したパッチを示す。
図6A図6Aは、2つのフラップ間に連結部を有するパッチの底面図である。
図6B図6Bは、図6Aのパッチの断面図である。
図7A図7Aは、粘着剤の細片を形成する複数のカバーを有するパッチの底面図である。
図7B図7Bは、図7Aのパッチの断面図である。
図8A図8Aは、各電極まわりの粘着剤細片を形成する複数のカバーを有するパッチングの底面図である。
図8B図8Bは、図8Aのパッチの断面図である。
図9A図9Aは、その上に形成された複数の層を有するパッチを示す。
図9B図9Bは、その上に形成された複数の層を有するパッチを示す。
図10A図10Aは、その上に形成された複数の層を有するパッチングを示し、各層は粘着剤の複数のパッチを有する。
図10B図10Bは、その上に形成された複数の層を有するパッチングを示し、各層は粘着剤の複数のパッチを有する。
図11図11は、オープンセル支持体を有するパッチを示す。
図12図12は、環状のオープンセル支持体を有するパッチを示す。
図13A図13Aは、その上に保護シェルを有するパッチを示す。
図13B図13Bは、図13Aのパッチの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の新規な特徴は、特許請求の範囲に詳細に述べられている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、発明の原理が利用され、図を参照している模式的な実施形態を記述する以下の詳細な説明を参照することで得ることができるであろう。
【0037】
以下の装置特徴及び構成要素は、長期間、一般的に24時間を超えて人体に付着されているいずれの装置へも実施することができる。実施例として、以下の装置特徴及び構成要素は、人の胸への心調律モニタリングパッチ(「パッチ」)の長期間の粘着のために用いることができる。
【0038】
図1及び図1Aを参照して、長期粘着用のパッチ100は、ハウジング102を含んでいる。ハウジング102は、生体適合性の重合体、例えばシリコーン、のような柔軟で丈夫ないずれの材料から形成可能である。ハウジング102は、その中に電子部品108を含むことができる。図2に示すように、電子部品108は、プリント回路基板220、電池225、及びプリント回路基板220に装着された連通ポートを含むことができる。プリント回路基板220は、アナログ回路2110、デジタル回路215、及び起動又は事象表記ボタンあるいはスイッチ130を含むことができる。電子部品108は、例えば、パッチ100を着用している哺乳動物からの連続的な生理学的信号を記録するために用いることができる。データを連続的に記録するためのシステムは、共同所有する米国出願番号11/703,428号、2007年2月6日出願にさらに記述されており、その全ての内容は、参考として本願明細書に組み込まれる。
【0039】
図1及び図1Aに示すように、翼104、106は、ハウジング102に接続することができる。翼104、106は、ハウジング102と一体とすることができ、いくつかの実施形態において、ハウジング102と同じ材料で形成可能である。翼102、104は、実質的に固くなりえる電子部品108よりも柔軟になりえる。電極124、126は、各翼104、106の底面を通って延在することができる。電極は、電子部品108による処理のため、パッチ100を着用している哺乳動物のECGを検出するように位置決めすることができる。例えば、電極は、2cmを超えて離れ、3cmを超えて離れるように、例えば少なくとも6cm離れて存在する。電極124、126は、パッチが使用されているとき、翼104、106から分離できないように翼104、106と一体とすることができる。
【0040】
完全に柔軟で、伸びに順応し装置の真下の胸の動き及び状態に適応可能なパッチ100のために、粘着剤は、センサ、電子部品、あるいは装置の機能に関して身体と相互作用する電極のような他のエレメントが組み込まれるかもしれない領域を除いて、身体と接触する装置の全面を覆って配置することができる。よって図3に示すように、粘着剤層164、166は、皮膚への取り付けのためのパッチ100の底を覆うことができる。完全には柔軟でなく、伸びることができない、つまり収縮するかもしれないいくつかの領域(例えば電子部品108)が存在するかもしれないパッチ100に関して、粘着剤は、それらの領域の真下のパッチ100の部分から除外されてもよい。よって例えば、電子部品を含んでいるハウジング102の底面302は、粘着剤がないままとすることができる。図1Aに示すように、ハウジング102の底面に粘着剤をコーティングしないことにより、ハウジング102は、以下でさらに述べるように、貼着部の上方へ浮くことができ、これはパッチの柔軟性を増すことを可能にする。さらに、図3に示すように、電極124、126の底面は、粘着剤がないままとすることができる。例えば、粘着剤164から電極を分けるために、粘着剤の無いリング362が各電極124、126のまわりに形成可能である。粘着剤は、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリイソブチレン、あるいはポリシロキサンのような感圧粘着剤であり得る。あるいは、粘着剤は、有利に水を吸収する親水コロイドであり得る。
【0041】
翼104、106及びハウジング102は、パッチ100への滑らかで接触する外側表面を形成することができる。図1Aに示すように、上面から見たとき、ハウジング102及び翼104、106はともに、実質的に楕円形状の長方形を形成することができる。さらにハウジング102は、翼104、106の厚みよりも大きい厚みを有することができる。横から見たとき、ハウジング102及び各翼104、106は、それぞれ、それぞれの部品の端部よりも中央部で大きな高さを有するドームを形成することができ、即ち、いくつかの又は全ての部品は、端部及び/又は側部でテーパー状になることができる。
【0042】
電子部品108は、電極104と電極106との間の距離の一部だけに沿って延在することができる。例えば、電子部品は、電極間の距離の90%未満、例えば80%未満を占めることができる。電極124、126間の比較的制限されたスペースに電子部品108を有することによって、パッチ100の柔軟性を増加することができる。
【0043】
ハウジング102は、パッチ100の電子部品108のため防水筐体110を提供することができる。電子部品108が防水筐体110内で自由に移動することができるように、電子部品108はハウジング102と非結合にすることができる。比較的固い電子部品108をハウジング102内で自由に移動可能とすることは、パッチ100の全面的な柔軟性を有利に向上させる。翼104、106は、その中に各々防水筐体114、116を有することができ、それはハウジング102の防水筐体110に接触することができる。
【0044】
配線120あるいは他の適当な電気的接続は、電極124、126をハウジングの電気部品108に接続することができる。いくつかの実施形態において、図1Bから図1Eに示すように、筐体110及び筐体112,116の切れ目のない連続した特徴は、配線120が電極124、126から電子部品108までパッチ100内を延在することを可能にする。他の実施形態において、配線120用のスペースを提供するために、ハウジング102と翼104、106との間に一つ以上の溝、管あるいはコンジットが設けられる。管又は溝は、直線あるいは曲がっていてもよい。使用において、筐体110、112、116に、又は管あるいは溝内に位置する電線120は、ハウジング内で柔軟さを維持するため、それらに相対して移動してもよい。一つの態様において、ハウジングが伸ばされているときに、より固い構造物を接続するかもしれない電線のような部品の能力にハウジングが影響を与えずに移動あるいは延びるように、柔軟な溝又は管が装置ハウジング内に形成される。
【0045】
図1に示すように、電線120は、電極124、126と電子部品108との間の接続の直通ラインで直線である。図1は、電極124、126を電子部品108に接続する電線120の長さが電子部品108上の電極接続点と電極124、126との間の距離とほぼ同じであるところの実施形態を図示している。また図1Fは、電線120長さが電子部品108と電極124、126との間の間隔とほとんど同じであるところの直線タイプ接続を図示している。しかしながら、患者が移動するとき、パッチ100は患者の移動と共に屈曲する。図4B及び図5Cに示すように、パッチの屈曲は、厳しいかもしれないし、長期間のモニタリングの間に発生するだろう。電線120の可能性のある変位又は破損に対処するために、電線120の長さ又は形状は、電極または電子部品から電線120を引っ張る危険性を小さくするためパッチの屈曲を許容するように選択してもよい。パッチの屈曲を補償するために多数の代替案が可能である。例示的な確証は、図2Bに示されるうねり即ちジグザグ231、図2Cに示されるコイル233、あるいは、電極のまわりを部分的もしくは完全に包む構成を含む。いくつかの実施形態において、回路基板または電極のような他の部品は、伸びまたは移動に適応するのに役立つために代わりの、あるいはさらにその上に追加の長さを含むことができる。パッチ100が哺乳動物に取り付けられたとき、配線120におけるたるみは、配線120に応力をかけずにパッチ100が屈曲することを可能にする。
【0046】
図1Aから図1Dに図示される実施形態は、2つのみの翼を示し、直線上にある電極及び電子部品(つまり、電極124、電子部品108、電極126の配列が略180度にある)を示しているが、他の構成は可能である。例えば、図1Fに示すように、翼104、106は、180度未満の配向で配列される。図示する実施形態では、電極と電子部品とによって形成される角度は約135度である。ECGモニタリングを可能にするように電極間隔が提供される限り、他の範囲が可能である。ハウジング102への翼104、106の配向は、また、さらなる粘着性のタブ105の使用を例示する。タブ105は、本体102の半円伸張として示されている。タブ105の底面は、本願明細書に記述されるような粘着剤を含むことができ、患者にパッチのさらなる固定を提供するために用いられる。タブ105は、長方形、楕円形、円形、あるいは短冊状のような多くの別形状のいずれにおいて形成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、タブ105は、翼に類似した機能を行うことができ、例えば、電子部品108に接続する、それを通る電極を含むことができる。
【0047】
図1Aから図1D、及び図2Bから図2Cを参照して、パッチ100におけるヒンジ部194、196は、各電極124、126と、電子部品108との間で延在することができる。ヒンジ部194、196は、パッチ100の周囲部分の厚みよりも少ない厚みを有することができる。例えば、ヒンジ部194、196が翼104、106にあるならば、その厚みは、翼の隣接部分よりも少なくすることができる。同様に、ヒンジ部194、196は、パッチ100の隣接した部分未満の幅、例えば翼104、106の隣接部分未満の幅を有することができる。あるいは、ヒンジ結合された部分は、固い部分、つまり電子部品108と、より可撓性の部分との間の付属物によって形成することができる。ヒンジ結合された部分は、患者によってもたらされるいずれの動作を補うために、ハウジング102と翼104、106との間でパッチ100が曲がることを可能にする。図2B及び図2Cに示すように、配線120におけるたるみは、配線120を引っ張る又は破損することなくヒンジ部194、196で曲がることを可能にするために、ヒンジ部194、196に、またはその近くに設けることができる。
【0048】
図4A及び図4Bを参照して、略電極のまわりの領域及びハウジング102の直接真下の領域を除いてパッチ100の底面に粘着剤を有することは、パッチ100が取り付けられる哺乳動物の皮膚の上方へ浮いた部分455を生成することを可能にする。この浮いた部分455は、柔軟な翼104、106が皮膚に付着でき、適所にパッチ100を保持するのに必要な柔軟性を提供することを可能にしながら、より固いあるいは柔軟性の低い電子部品を収納可能とする。粘着領域及び非粘着領域の選択的使用の結果として、柔軟性の低い浮いた部分によって生じた装置柔軟性の制約は、一つ以上の粘着された柔軟領域で浮いた部分をバウンドさせることによって緩和あるいは低減することができる。よって、たとえ浮いた部分が皮膚の上方で自由に移動しながら身体の下にある部分が伸ばされ及び/又は収縮した場合でも、例えば、装置を着用している人が寝返りを打つ(図4Aに示すように)、あるいは皮膚の動きをもたらすことができる活動に熱中している(図4Bに示すように)場合でも、柔軟な部分は、身体に付着することができる。
【0049】
図1Bから図1Eを参照して、それぞれの翼104、106は、粘着剤164、166と、翼104、106との間に材料層214、216を含むことができる。材料層214、216は、例えばポリエステル層になり得る。材料層214、216は、粘着剤204、206の層とともにパッチ100へ取り付けることができる。粘着剤204、206は、粘着剤164、166と同じもの又は異なるものとすることができる。例えば、粘着剤204、206は、シリコーン粘着剤であり得る可能性がある。粘着剤164、166から翼104、106あるいはハウジング102内への、粘着付与剤のような粘着剤成分の拡散あるいは移動を防ぐために、材料層214は障壁として役立つことができる。よって材料層214は、粘着剤104、106の強度を長時間にわたり有利に維持する役目を行うことができる。
【0050】
また図1Bから図1Eを参照して、パッチ100は、さらに、第1の翼104に接続した第1フラップ154、及び第2の翼106に接続した第2フラップ156を含むことができる。フラップ154、156は、両方とも、翼104、106の電極の内側部分から、電子部品108の下方のような、ハウジング102の下方の部分まで延在することができる。フラップ154、156は、ハウジング102に非付着状態を維持させることができる。結果として、隙間144、146がフラップ134、136とハウジング102との間に形成可能である。この隙間は、ハウジング102及びそこに含まれる比較的固い部品108のための追加の「浮動状態」を提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、図1Bに示すように、フラップ154、156は、粘着剤134、136で翼104、106に取り付けることができる。粘着剤134、136は、粘着剤164、166と同じもの又は異なるものとすることができる。例えば、粘着剤134、136は、シリコーン粘着剤とすることができるかもしれない。他の実施形態において、図1Cから図1Eに示すように、フラップ154、156は、翼102、104と一体とすることができる。例えば、フラップ154、156は、ヒンジ184,186が翼104,106の下方に形成されるように、溶着されることができ及び/又は翼104,105の成型プロセスの間に形成されることができる。付加的にあるいは代わりに、一つ以上のフラップ132、136は、翼104、106に別々に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、図1B及び図1Cに示すように、フラップ154、156を構成する材料は、パッチ100の側端縁部までずっと延在することができる。他の実施形態では、図1Dに示すように、フラップは、電極の両側で延在することができ、つまり一つのフラップは内側へ延在することができ、他方は側方へ延在することができる。いくつかの実施形態において、側方及び内側へ延在するフラップは、同じ環状のフラップの一部である。他の実施形態において、図1Eに示すように、フラップ及びフラップを作製する材料は、ハウジングの真下の電極の内側の位置からのみ延在する。
【0052】
フラップ154、156は、使用に際し取り付けられるとき、一つ以上のフラップの取付が、装置に作用する予期される外力、特に、付着させられた柔軟な領域を移動させるかもしれない力を効果的に弱めるように、付着させられた柔軟な領域に事実上いずれかの関係において位置決めされてもよい。さらに、図1Fに示されるような2つを超える翼がある実施形態では、各追加の翼に対応するフラップが存在可能である。
【0053】
粘着剤層164、166は、それぞれのフラップ124、126の底面の全て又は一部を覆うことができる。いくつかの実施形態において、粘着剤164、166は、電極124、126に隣接した領域を除いて、翼104、106の底面からフラップ154、156の底面まで連続して延在する。さらに、フラップ154、156の上面、つまりハウジング102に最も近い表面は、ハウジング102が浮くことを維持することを確保するため、粘着剤がないままとすることができる。いくつかの実施形態において、皮膚への粘着用の粘着剤を含むパッチ100の部分のみが、フラップ154、156になり得る。
【0054】
図5Aから図5Cを参照して、フラップ154、156は、パッチ100に関してヒンジのような振る舞いを提供することができる。よって、図5Aに示すように、皮膚501が凹状に伸ばされるか曲げられる場合、フラップ154、156とハウジング102との間の隙間144、146は、パッチ100が皮膚501上で実質的に平らに設置可能なようにゼロに近づくことができる。示されるように、ハウジング102と翼104、106との間のヒンジ部194、196は、パッチ100が伸ばされるとき、平らになることによって凹状の屈曲にさらなる柔軟性を提供することができる。これに対し、図5B及び図5Cに示すように、皮膚501が次第に凸状に曲げられるとき、フラップ154、156とハウジング102との間の隙間144、146は増加することができる。これにより、柔軟な翼104、106の皮膚への粘着維持を可能とし、固いハウジング102が皮膚の上方に浮くことを可能にする。示されるように、ハウジングと翼104、106との間のヒンジ部194、196は、パッチ100が曲がるとき、内側に折り曲げることによって凸状の曲げにさらなる柔軟性を提供することができる。
【0055】
皮膚501に実質的に水平に配置されたとき、パッチ100は、皮膚から2cm以下に離れて延在する高さ、例えば皮膚から1.5cm以下の高さを有することができ、患者上に平らに置かれたときには4cm以下、皮膚の上方に浮いたとき、皮膚からcm以下である。パッチ100の比較的低い高さは、皮膚にさっと付くあるいははぎ取られるパッチ100の可能性を低減することにより、長期間の粘着を向上させることができる。
【0056】
有利には、フラップ154、156は、せん断力を緩和する粘着用のアンカーとして機能することができる。フラップ154、156は、柔軟な粘着領域とともにフラップの両方にわたって展開される伸び、収縮、あるいはねじりのために、装置が影響を受ける急性及び慢性的な力に関して異なる方向に設けることができる。さらに、浮いた部分、粘着された柔軟な領域、及びフラップの配向を予め整列することによって、装置は、装置が影響を受ける急性及び慢性的な力により良く耐えるために、装置に作用する力の相互作用をより良く許容でき(つまり身体への取り付けを維持し使用される)及び/又は調整できるかもしれない。予期される力への装置の応答を調整することは、長期的な装置粘着の可能性を改善する一つの要因である。
【0057】
特定の装置に作用する力を打ち消すためにフラップを用いることができることから、フラップと別の部品との間の寸法、柔軟性、取付技術、及び/又は配向は、特定のフラップの目的によって変化してもよいことが認識される。従って、あるフラップは、装置における別のフラップ又は部品とは同じか異なる特徴を有してもよい。一つの態様において、少なくとも一つのフラップは、特定の装置における他のフラップよりもより柔軟である。別の態様では、それぞれのフラップは同様の柔軟性を有する。さらに別の態様では、少なくとも一つのフラップは、取り付けられる又は既存の装置部品よりもより柔軟である。さらにまた別の態様では、少なくとも一つのフラップは、取り付けられる又は既存の装置部品ほど柔軟ではない。
【0058】
図6A及び図6Bを参照して、一つの実施形態において、フラップ154、156は、複数のフラップをともに連結するために使用される連結セグメント607によって増やされてもよい。連結セグメント607は、ハウジング102より下で延在することができるが、ハウジング102に非付着のままである。図6Aに示されるように、フラップ154、156及び連結セグメント607は、ともに蝶形状を形成することができる。一つの実施形態において、連結セグメント607、及びフラップ154、156は、単一ピースの材料から形成されている。連結セグメント607は、フラップ154、156と同じ又は異なる材料で作製することができる。一つの実施形態において、連結セグメントの底面は、粘着剤で覆われている。別の実施形態では、連結セグメントの底面は、いずれの粘着剤をも含んでいない。さらに、図6Bに示されるように、連結セグメント607は、ハウジング102の下で、端縁部の近くつまり電極により近いところよりも中間部において、より厚くなることができる。可変な厚みは、連結部分607がその下に水分を捕らえるのを防ぐのに役立つことができる。連結セグメント607は、患者に取り付けられたときに装置がひっくり返るのを有利に防ぐことができる。
【0059】
連結セグメント607は、一つ以上の穴部614、616を含むことができる。いくつかの構成において、連結セグメントは、水分をトラップし、及び/又は不注意に身体にくっつくかもしれない。穴部614、616は、望まない付着又は水分収集の可能性を有利に最小限にすることができる。穴部のサイズ、形状、及び配置は、連結セグメントに十分な構造的保全性(つまり、連結セグメントは、フラップが折り重なるのを防ぐために、フラップが互いに接続されることを可能にする)をさらに提供しながら、水分収集及び/又は望まない粘着を緩和するか低減する。追加あるいは代わりに、また、連結セグメントの穴部は、伸び、収縮、及びねじりによる影響の大きい急性及び慢性の力にもかかわらず、装置が長期間粘着する能力を最大にするために、連結セグメントのある軸に沿って力を優先的に分配させることを可能にすることができる場合がある。
【0060】
粘着剤は、装置の特定の使用に依存する、身体への所望の取付位置を提供するために連結セグメント及び/又はフラップに選択的に塗布することができる。例えば、フラップ及び連結セグメントを含む材料の一片は、2つ以上の端縁部に沿って、及び/又はある領域のみを覆う粘着剤で付着されることができる。別の態様では、単一のフラップ連結部構造の皮膚接触面の少なくとも一部は、いずれの粘着剤も含んでいない。追加あるいは代わりに、フラップを組み込む連結セグメントは、より大きな装置ハウジング(例えば、装置ハウジング又は筐体の一部として成型することができる)の一体部分であってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、パッチ100は、粘着に先立って粘着剤部分をカバーするために一つ以上の剥離ライナーを含むことができる。複数の粘着領域及び/又は複数の粘着部品(つまりフラップ及び柔軟な部分)を有する装置に特別なように、装置を貼付する方法は、装置及び粘着性部分が適切に係合することを保証するために、特に詳述されてもよい。一つの特定の態様において、剥離ライナーは、装置粘着剤が誤用される可能性を最小限にするため、特定の順で除去される。例えば、粘着剤の一部は、最初に露出されてもよく、身体に装置を貼付するために使用されてもよい。その後、粘着性ライナーの第2セットは、一つ以上のフラップを露出し身体に付けるために除去されてもよい。段階的な粘着剤の露出方法は、一つ以上のフラップのようなエレメントが例えばそれら自身上で折り重ならないように、装置取付の間、実行されてもよい。
【0062】
上述した他の技術のいずれかにおける、装置を粘着するため粘着剤が使用される領域を分割すること、フラップを作製するため、穴を有する連結セグメントを作製するために、固い領域までそれを分割しているか否かは、また、電極のような電気的な検出素子間で伝導路のように作用可能である水分ブリッジを防ぐ点で利点を有するかもしれない。水分ブリッジは、特に、装置が電極を介してセンシングするような電気的機能を有する場合には、電気的接続を短絡させ、及び/又は装置が適切に機能できなくするかもしれない。
【0063】
いくつかの応用例において、長時間パッチは、急性の(迅速及び/又は急速)あるいは慢性の(遅く及び/又は長期の)収縮、ストレッチング、あるいはねじりによる過度の力に悩むかもしれない。そのような応用例では、浮いている固い部分と柔軟な付着された部分との間のヒンジ部は、パッチに作用する力の優位方向に整列する、及び打ち消すあるいは緩和するために、変更されてもよい。いくつかの装置状態あるいは形態では、急性又は慢性の力の強さ及び方向が非常に強いかもしれないので、装置の粘着性表面あるいは部品に分け与えられた力は、上述のヒンジに加えてあるいはヒンジの代用として異なって分散されるかもしれない。
【0064】
さらに、ハウジングの軸が、睡眠のようなある状態の間おそらく様々な力の方向に沿ってあるいは逆らって組み立てられ置かれるように、ハウジングが形作られるような方法で装置構造は作製可能であり、その結果、装置自体は、それらの力を打ち消し、かつ長期粘着を改善するのに役立つことができる。
【0065】
有利には、本明細書に記述されたパッチは、皮膚への長期粘着を提供することができる。種々の可撓性部分及び/又はヒンジ結合された部分を有することは、固い部分を皮膚の上方へ浮かすことを可能にしながら、皮膚が伸ばされ又は曲げられるときに生じる応力を補償することができる。結果として、本明細書に記述された装置は、24時間を超え、3日を超えるような、例えば7日を超えて、14日を超えて、あるいは21日を超えて、皮膚に実質的に連続して付着することができる。
【0066】
長期間、皮膚へパッチを付着させる別のメカニズムは、図7から図10に関して記述されている。図7から図10の実施形態に示されるように、粘着を改善するために、パッチの一つ以上の部分が一時的な方法で用いられる。以下に述べる実施形態にて用いられる粘着剤は、ポリアクリル酸塩、ポリイソブチレン、あるいはポリシロキサンのような、親水コロイドあるいは感圧粘着剤を含むことができる。
【0067】
一つの実施形態において、図7A及び図7Bに示すように、パッチ700は、下の粘着剤760の細片を露出するために一連して剥離することができる複数のカバー701、703、705を上に有する粘着剤760で囲むことができる。カバー701、703、705は、互いに同心で、パッチ700の内側から始まり別々に連続してはぎ取られるように構成することができる。粘着剤760のそれぞれの追加の露出領域は、パッチ700の粘着寿命を増すことができる。図7Aでは3枚のカバーだけが示されるが、2、4、5枚、あるいはそれ以上の他の枚数が可能である。さらに、パッチ700の電極124、126は、それぞれ、短絡(shortage)から電極124、126を保護するために障壁714、716を含むことができる。
【0068】
図8A及び図8Bに示される別の実施形態において、各電極124、126は、粘着剤864、866のパッチによって囲むことができる。従って、1セットのカバー801、803、805、807は、粘着剤864、866の上で各電極124、126のまわりで連続して位置することができる。カバー801、803、805、807は、互いに同心で、内側から始まり連続してはぎ取るように構成することができる。粘着剤864、866のそれぞれの追加の露出された細片は、パッチ100の粘着寿命を増すことができる。図8Aでは4枚のカバーだけが示されるが、2、3、5のような、あるいはそれ以上の数の他の枚数が可能である。さらに、パッチ800の各電極124、126は、短絡(shortage)から電極124、126を保護するために障壁814、816を含むことができる。
【0069】
図9A及び図9Bを参照する他の実施形態において、シェル又は層901、902、903は、パッチ900の全部又は一部を覆って延在することができる。各層901、902、903は、底面に細長い粘着剤962、及び粘着剤を保護する粘着剤ガード982を含むことができる。図9Bに示すように、パッチ900がある期間にわたり着用されるとき、層901、902、903は、連続して除去することができる。新しい層が露出されるように、皮膚へパッチ900を付着するために新しい層の粘着剤962が使用可能であるように、その層の粘着剤ガード982は、はがすことができる。同様の実施形態において、図10Aから図10Bを参照して、層1001、1002、1003の各々は、皮膚及びパッチ自体の両方への層の付着を助けるために、粘着剤の複数の部分を含むことができる。図7から図8の実施形態でのように、図9及び図10の実施形態における層の数は、変更可能である。例えば、2、3、4、5、さらに多くの層が存在可能である。
【0070】
いくつかの実施形態において、本明細書に記述する実施形態の層またはカバーは、粘着を改善するため長い時間をかけて装置に加えることができる。さらに、本明細書に記述する実施形態の複数の層又はカバーは、部分的に重なり合うことができる。さらにいくつかの実施形態では、粘着剤の細片は重なり合うことができる。
【0071】
有利には、追加された表面領域又は組み合わされた外側層の粘着力は、層が引き離されるのを防ぐことを補助することから、及び/又は広い領域にわたりそれらの力を分散することによってコア装置から離れて影響を受けている力を分散するように作用するかもしれないことから、複数のカバーまたは層の使用は、ベースまたはコア装置の粘着剤の性能を助けることができる。
【0072】
図11及び図12を参照して、支持体1330あるいは多孔性のフォームで構成されたオープンセル(open cell)は、パッチ1300のより固いもしくは可撓性の低い部分1302を支持するために用いることができる。図11に示されるように、支持体1330で構成されたオープンセルは、固い部分1302より下の領域を完全にふさぐことができる。また、図12に示されるように、支持体1330で構成されたオープンセルは、環状の形状であり得る、又は支持体の隣接した部分間の空間を含む他の形状を有することができる。支持体1302を構成したオープンセルは、皮膚及び固い部分の両方に、固い部分だけに、又は皮膚だけに、取り付けられてもよい。支持体のオープンセル構造のために、固い部分が影響を与えない、あるいは、動きに適応し及び貼付状態に留まるために固い部分が装置の能力に低影響を有するように、皮膚の柔軟な動きは、その構造によって完全にあるいは部分的に吸収することができる。さらに、オープンセル支持体は、装置のより固い部分が皮膚を押さないように、患者の快適さを向上させるために選択された厚みを有しても良い。一つの態様において、オープンセル構造は、生体適合性の発泡材である。別の態様では、オープンセル材料は、患者に着用されたとき、装置の電子モジュールと皮膚との間に位置決めされる。オープンセル支持体は、短絡から電極を避けるために流体を有利に吸収することができる。
【0073】
図13を参照して、パッチはシェル構造を有することができる。粘着剤は、ボトムリングの周囲端縁部に設けることができる。回路基板及び電極ユニットは、ボトムリング内に配置することができる。また、シェルは、回路基板及び電極の上に配置することができる。周囲の粘着剤は、そこに防水のチャンバを生成することができる。
【0074】
特定の電子装置の実施形態の形状は、変わるかもしれない。装置の形状、設置面積、周囲あるいは境界は、円形あるいは円形状のもの(図13A参照)、楕円形(図1A図2A参照)、三角形あるいは一般に三角形状のもの(図1F参照)、又は合成された曲線であってもよい。合成された曲線形状を有する装置の実施形態例は、図2B図2C図3図6A図7A及び図8Aに示されている。いくつかの実施形態において、合成された曲線は、一つ以上の凹状曲面及び一つ以上の凸状曲面を含んでいる。図3は、上端(ここでは参照符号102で示す)に沿った凸状曲面、下端に沿った凹状曲面、及び電極124、126のまわりの凸形状端縁部を有する装置を図示している。図2B及び図2Cは、電子部品108の一方側、及び電極124、126のまわりに凸形状を有する装置の実施形態を図示している。凸形状は、凹部によって分離されている。凹部は、電子部品上の凸部分と電極上の凸部分との間にある。いくつかの実施形態において、凹部は、ヒンジ、ヒンジ領域、あるいは身体と翼との間の厚みが減った領域に少なくとも部分的に一致する。
【0075】
心臓モニターに関して記述しているが、本明細書に記述された装置粘着の改良は、それに制限されない。この出願に記載されていた改良は、種々様々な従来の生理学的データのモニタリング、記録、及び/又は伝送装置のいずれにも適用されてもよい。改善された粘着設計の特微もまた、電子的に制御された及び/又は時間で放出される薬剤の配送、又は、グルコースのモニターあるいは他の血液検査装置のような血液検査に役立つ従来の装置に適用されてもよい。このように、本明細書に記述された部品の記載、特徴及び機能は、電子部品、アンテナ、電源あるいは充電接続部、装置からの情報のダウンロードあるいはオフロード用のデータポートもしくは接続部、装置からの追加あるいはオフロード流体、電極、プローブあるいはセンサのようなモニターあるいは検出素子もしくは他の部品、又は装置の特定機能にて必要な部品のような、特定の応用例の特定部品を含むように、必要とされるように変更してもよい。さらに又は代わりにおいて、本明細書に記述された装置は、これらに限定されない、EKG、EEG及び/又はEMGの一つ以上を含む、身体によって生成される信号に関する信号あるいは情報を検出、記録あるいは伝送するために使用されてもよい。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B