(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/15 20230101AFI20240909BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240909BHJP
H10K 50/155 20230101ALI20240909BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240909BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240909BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240909BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
H10K50/15
G09F9/30 365
H10K50/155
H10K50/17
H10K85/60
H10K59/12
H10K59/35
(21)【出願番号】P 2022181449
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194126
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミナ
(72)【発明者】
【氏名】キル, ムンソン
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/116418(WO,A1)
【文献】特表2021-513516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0378981(US,A1)
【文献】特開2001-273978(JP,A)
【文献】特開平07-126615(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0132018(KR,A)
【文献】国際公開第2021/200876(WO,A1)
【文献】特開2016-058519(JP,A)
【文献】特開2016-111098(JP,A)
【文献】特開2021-118358(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129201(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0106037(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の副画素が定義された基板と、
前記基板上の各副画素に備えられた第1電極と、
前記第1電極上の第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層上の第2正孔輸送層と、
前記第2正孔輸送層上の第3正孔輸送層と、
前記第3正孔輸送層上の発光物質層と、
前記発光物質層上の電子輸送層と、
前記電子輸送層上の第2電極を含み、
前記第1正孔輸送層は、P型ドーパントと第1正孔輸送物質を含み、前記第2正孔輸送層は、前記第1正孔輸送物質を含み、前記第3正孔輸送層は、第2正孔輸送物質を含み
、
前記第1正孔輸送物質は、1つのN原子を含むモノアミン系化合物を含み、前記第2正孔輸送物質は、2つのN原子を含むジアミン系化合物を含
み、
前記第2正孔輸送物質は、前記第1正孔輸送物質より高い屈折率を有し、
前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の総厚さは、前記第3正孔輸送層の厚さより大きく、
前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の総厚さと、前記第3正孔輸送層の厚さの比は、1.8:1である、電界発光表示装置。
【請求項2】
前記第2正孔輸送物質は、460nm波長において2.1以上の屈折率を有する、請求項
1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記第1正孔輸送物質は、下記の化学式で表される化合物のうちから選択される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【化1】
【請求項4】
前記第2正孔輸送物質は、下記の化学式で表される化合物のうちから選択される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【化2】
【請求項5】
前記複数の副画素は、第1副画素、第2副画素、第3副画素を含み、
前記第1副画素と前記第2副画素のそれぞれには、前記第3正孔輸送層と前記発光物質層との間において第4正孔輸送層がさらに備えられ、
前記第4正孔輸送層は、前記第1正孔輸送物質を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記第4正孔輸送層は、前記第3副画素における前記第3正孔輸送層と前記発光物質層との間に設けられておらず、
前記第1副画素の前記第4正孔輸送層の厚さは、前記第2副画素の前記第4正孔輸送層の厚さよりも大きい、請求項
5に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記第3正孔輸送層と前記発光物質層との間に位置する電子遮断層と、
前記発光物質層と前記電子輸送層との間に位置する正孔遮断層をさらに含む、請求項1~請求項
6のうち、いずれか1項に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記第2電極上において、有機キャッピング層および/または無機キャッピング層をさらに含む、請求項
7に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記電子遮断層の厚さは、前記第3正孔輸送層の厚さよりも小さい、請求項
7に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光表示装置に関するものであり、特に複数の正孔輸送層を含む電界発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ装置の1つである電界発光表示装置(Electroluminescent Display Device)は、自己発光型であることから、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)に比べ、視野角などに優れている。また、バックライトを必要としないため、軽量および薄型が可能であり、消費電力の面でも有利である。
【0003】
また、電界発光表示装置は、直流低電圧による駆動が可能であり、応答速度が速く、構成要素が全て固体であるため、外部からの衝撃に強く、使用温度の範囲も広い。特に、製造コストが安価であるというメリットがある。
【0004】
電界発光表示装置は、発光ダイオードが発する光を利用し、映像を具現化する。発光ダイオードとは、電子注入電極である陰極(cathode)と正孔注入電極である陽極(anode)との間に形成された発光層に電荷を注入すると、電子と正孔とが励起子(exciton)を形成するが、該励起子が発光再結合(radiative recombination)することで光を放出する素子である。
【0005】
かかる発光ダイオードは、構造、および/または材料により発光効率が異なり、寿命にも差が出る。これは、電界発光表示装置の発光効率および寿命に大きな影響を与えるため、発光ダイオードの発光効率および寿命を向上させるための研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するために提示されたものであって、発光効率および寿命が向上した電界発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明の電界発光表示装置は、複数の副画素が定義された基板と、前記基板上の各副画素に備えられた第1電極と、前記第1電極上の第1正孔輸送層と、前記第1正孔輸送層上の第2正孔輸送層と、前記第2正孔輸送層上の第3正孔輸送層と、前記第3正孔輸送層上の発光物質層と、前記発光物質層上の電子輸送層と、前記電子輸送層上の第2電極を含み、前記第1正孔輸送層は、P型ドーパントと第1正孔輸送物質を含み、前記第2正孔輸送層は、前記第1正孔輸送物質を含み、前記第3正孔輸送層は、第2正孔輸送物質を含み、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の総厚さは、前記第3正孔輸送層の厚さより大きい、もしくは同じである。
【0008】
前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の総厚さは、前記第3正孔輸送層の厚さより大きく、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の総厚さと、前記第3正孔輸送層の厚さの比は、1.8:1である。
【0009】
前記第2正孔輸送物質は、前記第1正孔輸送物質より高い屈折率を有する。
【0010】
前記第2正孔輸送物質は、460nm波長において2.1以上の屈折率を有する。
【0011】
前記第1正孔輸送物質は、モノアミン系化合物であり、前記第2正孔輸送物質は、ジアミン系化合物である。
【0012】
前記第1正孔輸送物質は、下記の化学式で表される化合物のうちから選択される。
【0013】
【0014】
前記第2正孔輸送物質は、下記の化学式で表される化合物のうちから選択される。
【0015】
【0016】
前記複数の副画素は、第1副画素、第2副画素、第3副画素を含み、前記第1副画素と前記第2副画素のそれぞれには、前記第3正孔輸送層と前記発光物質層との間において第4正孔輸送層がさらに備えられ、前記第4正孔輸送層は、前記第1正孔輸送物質を含む。
【0017】
本発明の電界発光表示装置は、前記第3正孔輸送層と前記発光物質層との間に位置する電子遮断層と、前記発光物質層と前記電子輸送層との間に位置する正孔遮断層をさらに含む。
【0018】
また、本発明の電界発光表示装置は、前記第2電極上において、有機キャッピング層および/または無機キャッピング層をさらに含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、電界発光表示装置の発光ダイオードが、互いに異なる物質からなる第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、第3正孔輸送層を備え、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さを、第3正孔輸送層の厚さより大きく、もしくは同一にすることで、発光効率を向上させ、寿命を増加させることができる。また、信頼性を向上させ、視野角を改善することができる。
【0020】
さらに、マイクロキャビティ効果により、発光効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る電界発光表示装置を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る電界発光表示装置における1つの副画素を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施例に係る電界発光表示装置における1つの副画素を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る電界発光表示装置における1つの画素を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の第2実施例に係る電界発光表示装置における1つの画素を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施例に係る電界発光表示装置について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施例に係る電界発光表示装置を概略的に示す図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施例に係る電界発光表示装置1000は、表示パネル100、タイミング制御部200、データ駆動部300、そしてゲート駆動部400を含む。
【0025】
タイミング制御部200は、グラフィックカード、またはTVシステムのような外部システム(不図示)から供給される映像信号と、データイネーブル信号や水平同期信号、垂直同期信号、クロックなど複数のタイミング信号を利用し、映像データ、データ制御信号、およびゲート制御信号を生成することができる。また、タイミング制御部200は、生成した映像データおよびデータ制御信号をデータ駆動部300に伝達し、生成したゲート制御信号をゲート駆動部400に伝達する。
【0026】
データ駆動部300は、タイミング制御部200から伝達されるデータ制御信号および映像データを利用し、データ信号であるデータ電圧を生成し、生成したデータ電圧を表示パネル100のデータ配線DLに印加する。
【0027】
ゲート駆動部400は、タイミング制御部200から伝達されるゲート制御信号を利用し、ゲート信号であるゲート電圧を生成し、生成したゲート電圧を表示パネル100のゲート配線GLに印加する。
【0028】
ゲート駆動部400は、表示パネル100の基板において、ゲート配線GL、データ配線DL、および副画素SPと共に形成されるゲートインパネル(GIP)タイプであり得る。
【0029】
表示パネル100は、ゲート電圧およびデータ電圧を利用し、映像を表示するが、そのため、表示領域に配置される複数の副画素SP、複数のゲート配線GL、複数のデータ配線DLを含む。
【0030】
複数の副画素SPのそれぞれは、赤色、緑色、青色の副画素のうち、1つであり、ゲート配線GLとデータ配線DLは、互いに交差し、各副画素SPを区画する。
【0031】
各副画素SPには、発光ダイオードが備えられる。また、各副画素SPは、スイッチング薄膜トランジスタおよび駆動薄膜トランジスタのような複数の薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタを含むことができる。これについて、
図2を参照し、詳細に説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施例に係る電界発光表示装置における1つの副画素を示す回路図である。
【0033】
図2に示すように、本発明の実施例に係る電界発光表示装置の各副画素SPは、互いに交差するゲート配線GLとデータ配線DLにより区画され、各副画素SPには、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、ストレージキャパシタCst、および発光ダイオードDeが形成される。
【0034】
例えば、スイッチング薄膜トランジスタTsと駆動薄膜トランジスタTdは、P型であり得る。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。スイッチング薄膜トランジスタTsと駆動薄膜トランジスタTdは、N型であってもよい。
【0035】
スイッチング薄膜トランジスタTsのゲート電極は、ゲート配線GLに接続され、ソース電極は、データ配線DLに接続される。駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極は、スイッチング薄膜トランジスタTsのドレイン電極に接続され、ソース電極は、高電位電圧VDDに接続される。発光ダイオードDeのアノードは、駆動薄膜トランジスタTdのドレイン電極に接続され、カソードは、低電位電圧VSSに接続される。ストレージキャパシタCstは、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極およびドレイン電極に接続される。
【0036】
かかる電界発光表示装置が映像を表示する動作を説明すると、ゲート配線GLを介して印加されたゲート信号に応じ、スイッチング薄膜トランジスタTsがオンする。このとき、データ配線DLに印加されたデータ信号がスイッチング薄膜トランジスタTsを介し、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極およびストレージキャパシタCstの一電極に印加される。
【0037】
駆動薄膜トランジスタTdは、データ信号に応じてオンし、発光ダイオードDeを流れる電流を制御し、映像を表示する。発光ダイオードDeは、駆動薄膜トランジスタTdを介して伝達される高電位電圧VDDの電流により発光する。
【0038】
すなわち、発光ダイオードDeを流れる電流の量はデータ信号の大きさに比例し、発光ダイオードDeから発せられた光の強度は、発光ダイオードDeを流れる電流の量に比例するため、副画素SPはデータ信号の大きさに応じて異なる階調を表示し、その結果、電界発光表示装置は、映像を表示する。
【0039】
ストレージキャパシタCstは、データ信号に対応する電荷を1フレームの間に維持し、発光ダイオードDeを流れる電流の量を一定にすることで、発光ダイオードDeが表示する階調を一定に維持させる役割を果たす。
【0040】
一方、各副画素SPには、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、そしてストレージキャパシタCstの他に、別の薄膜トランジスタとキャパシタをさらに設けることができる。
【0041】
すなわち、電界発光表示装置では、データ信号が駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極に印加され、発光ダイオードDeが発光し、階調を表示する相対的に長時間、駆動薄膜トランジスタTdがオン状態を維持するが、このようなデータ信号の長時間印加により、駆動薄膜トランジスタTdは劣化することがある。そのため、駆動薄膜トランジスタTdの移動度(mobility)および/または閾値電圧(threshold voltage:Vth)が変わり、電界発光表示装置の副画素SPは、同じデータ信号に対し、異なる階調を表示することになる。その結果、輝度のばらつきが生じ、電界発光表示装置の画質が低下する。
【0042】
したがって、かかる駆動薄膜トランジスタTdの移動度、および/または閾値電圧の変化を補償するため、各副画素SPに電圧変化を感知するための少なくとも1つのセンシング薄膜トランジスタ、および/またはキャパシタをさらに設けることができる。センシング薄膜トランジスタ、および/またはキャパシタは、基準電圧を印加し、センシング電圧を出力するための基準配線に接続することができる。
【0043】
かかる電界発光表示装置の構成について、
図3を参照し、詳細に説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施例に係る電界発光表示装置を概略的に示す断面図であって、1つの副画素を示す。
【0045】
図3に示すように、本発明の実施例に係る電界発光表示装置では、基板110上にバッファー層120が形成される。バッファー層120は、実質的に基板110の全面に位置する。基板110は、ガラス基板であってもよく、プラスチック基板であってもよい。例えば、プラスチック基板にはポリイミドを用いることができるが、これに限定されるものではない。バッファー層120は、酸化シリコン(SiO
2)や窒化シリコン(SiN
X)のような無機物質から形成することができ、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0046】
バッファー層120上には、パターニングされた半導体層122が形成される。半導体層122は、酸化物半導体物質で形成することができるが、この場合、半導体層122の下部には遮光パターン(不図示)をさらに形成することができる。遮光パターンは、半導体層122に入射する光を遮断し、半導体層122が光により劣化することを防止する。
【0047】
あるいは、半導体層122は、多結晶シリコンで形成することもできるが、この場合、半導体層122の両端部に不純物がドープされることがある。
【0048】
半導体層122上には、絶縁物質からなるゲート絶縁膜130が、実質的に基板110の全面に形成される。ゲート絶縁膜130は、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)のような無機絶縁物質で形成することができる。
【0049】
半導体層122が酸化物半導体物質からなる場合、ゲート絶縁膜130は、酸化シリコン(SiO2)で形成することができる。あるいは、半導体層122が多結晶シリコンからなる場合、ゲート絶縁膜130は、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)で形成することができる。
【0050】
ゲート絶縁膜130上には、金属のような導電性物質からなるゲート電極132が、半導体層122の中央に対応して形成される。また、ゲート絶縁膜130上には、ゲート配線(不図示)と第1キャパシタ電極(不図示)を形成することができる。ゲート配線は第1方向に沿って延伸し、第1キャパシタ電極はゲート電極132に接続される。
【0051】
一方、本発明の実施例では、ゲート絶縁膜130が基板110の全面に形成されているが、ゲート絶縁膜130はゲート電極132と同じ形にパターニングされてもよい。
【0052】
ゲート電極132上には、絶縁物質からなる層間絶縁膜140が、実質的に基板110の全面に形成される。層間絶縁膜140は、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)のような無機絶縁物質で形成してもよく、ベンゾシクロブテンやフォトアクリルのような有機絶縁物質で形成してもよい。
【0053】
層間絶縁膜140は、半導体層122の両側上面を露出する第1コンタクトホール140aおよび第2コンタクトホール140bを有する。第1コンタクトホール140aおよび第2コンタクトホール140bは、ゲート電極132の両側に、ゲート電極132と離間して位置する。ここで、第1コンタクトホール140aおよび第2コンタクトホール140bは、ゲート絶縁膜130内にも形成される。あるいは、ゲート絶縁膜130がゲート電極132と同じ形にパターニングされる場合、第1コンタクトホール140aおよび第2コンタクトホール140bは、層間絶縁膜140内にのみ形成される。
【0054】
層間絶縁膜140上には、金属のような導電性物質からなるソース電極142およびドレイン電極144が形成される。また、層間絶縁層140上には、第2方向に沿って延伸するデータ配線(不図示)、電源配線(不図示)、および第2キャパシタ電極(不図示)を形成することができる。
【0055】
ソース電極142とドレイン電極144は、ゲート電極132を介在し、離間して位置し、それぞれ第1コンタクトホール140aと第2コンタクトホール140bを介し、半導体層122の両側に接触する。示していないが、データ配線は、第2方向に沿って延伸し、ゲート配線と交差して各画素領域を区画し、高電位電圧を供給する電源配線は、データ配線と離間して位置する。第2キャパシタ電極は、ドレイン電極144に接続され、第1キャパシタ電極と重畳し、両電極間における層間絶縁層140を誘電体としてストレージキャパシタを構成する。あるいは、第1キャパシタ電極がドレイン電極144に接続され、第2キャパシタ電極がゲート電極132に接続されてもよい。
【0056】
一方、半導体層122、ゲート電極132、ソース電極142、およびドレイン電極144は、薄膜トランジスタTを構成する。ここで、薄膜トランジスタTは、半導体層122の一側、すなわち、半導体層122の上にゲート電極132、ソース電極142およびドレイン電極144が位置するコプラナ構造を有する。
【0057】
あるいは、薄膜トランジスタTは、半導体層の下にゲート電極が位置し、半導体層の上にソース電極およびドレイン電極が位置する逆スタッガード(Inverted staggered)構造を有することができる。この場合、半導体層は、酸化物半導体物質、または非晶質シリコンで形成することができる。
【0058】
ここで、薄膜トランジスタTは、駆動薄膜トランジスタ(
図2のTd)に該当し、薄膜トランジスタTと同じ構造のスイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)が、各副画素における基板110上にさらに形成される。薄膜トランジスタTのゲート電極132は、スイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)のドレイン電極(不図示)に接続され、薄膜トランジスタTのソース電極142は、電源配線(不図示)に接続される。スイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)のゲート電極(不図示)とソース電極(不図示)は、ゲート配線とデータ配線にそれぞれ接続される。
【0059】
また、薄膜トランジスタTと同じ構造のセンシング薄膜トランジスタを、各副画素における基板110上にさらに形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
ソース電極142およびドレイン電極144上には、絶縁物質からなるオーバーコート層150が、実質的に基板110の全面に形成される。オーバーコート層150はフォトアクリルやベンゾシクロブテンのような有機絶縁物質で形成することができる。かかるオーバーコート層150の上面は、平坦であり得る。
【0061】
一方、オーバーコート層150の下、すなわち、薄膜トランジスタTとオーバーコート層150との間には、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)のような無機絶縁物質からなる絶縁膜をさらに形成することができる。
【0062】
オーバーコート層150は、ドレイン電極144を露出するドレインコンタクトホール150aを有する。ドレインコンタクトホール150aは、第2コンタクトホール140bと離間し、形成することができる。あるいは、ドレインコンタクトホール150aは、第2コンタクトホール140bの直上に形成することもできる。
【0063】
オーバーコート層150上には、比較的に高い仕事関数を有する導電性物質で形成された第1電極160が設けられる。第1電極160は、副画素毎に形成され、ドレインコンタクトホール150aを介し、ドレイン電極144に接触する。例えば、第1電極160は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)や酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)のような透明導電性物質で形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0064】
一方、本発明の実施例に係る電界発光表示装置は、発光ダイオードの光が基板110とは反対方向に出射するトップエミッション型であり得る。そのため、第1電極160は、透明導電性物質の下において、高い反射率を有する金属物質で形成される反射電極、または反射層をさらに含むことができる。例えば、反射電極、または反射層は、アルミニウム・パラジウム・銅(Al‐Pd‐Cu:APC)合金、または銀(Ag)やアルミニウム(Al)で形成することができる。このとき、第1電極160は、ITO/APC/ITO、ITO/Ag/ITO、またはITO/Al/ITOの3層構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0065】
第1電極160上には、絶縁物質からなるバンク165が形成される。バンク165は、第1電極160の端部に重畳して第1電極160の端部を覆い、第1電極160の中央部を露出する。
【0066】
バンク165の少なくとも上面は疎水性であり、バンク165の側面は、疎水性であってもよく、親水性であってもよい。かかるバンク165は、疎水性を示す有機絶縁物質で形成することができる。あるいは、バンク165は、親水性を示す有機絶縁物質で形成し、疎水性処理を施してもよい。
【0067】
本発明では、バンク165を単層構造にしているが、二層構造にすることもできる。すなわち、バンク165は、下部の親水性バンクと上部の疎水性バンクを含む二層構造にすることもできる。
【0068】
バンク165を介し、露出された第1電極160上には、発光層170が形成される。
【0069】
図に示していないが、発光層170は、第1電極160上に順次位置する第1電荷補助層、発光物質層(light-emitting material layer)、そして第2電荷補助層を含むことができる。発光物質層は、赤色、緑色、青色の発光物質のうち、いずれか1つからなり得るが、これに限定されるものではない。かかる発光物質は、燐光化合物、または蛍光化合物のような有機発光物質であってもよく、量子ドットのような無機発光物質であってもよい。
【0070】
第1電荷補助層182は、正孔補助層(hole auxiliary layer)であり得る。そして、正孔補助層は、正孔注入層(hole injection layer:HIL)と正孔輸送層(hole transport layer:HTL)のうち、少なくとも1つを含むことができる。また、第2電荷補助層は、電子補助層(electron auxiliary layer)であり得る。そして、電子補助層は、電子注入層(electron injection layer:EIL)と電子輸送層(electron transport layer:ETL)のうち、少なくとも1つを含むことができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0071】
かかる発光層170は、溶液工程、または蒸着工程により形成することができる。発光層170が溶液工程により形成された場合、バンク165付近において、発光層170は、バンク165に近接するほど高くなり得る。
【0072】
発光層170上には、比較的に低い仕事関数を有する導電性物質からなる第2電極180が、実質的に基板110の全面に形成される。ここで、第2電極180は、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、またはこれらの合金で形成することができる。このとき、第2電極180は、発光層170からの光が透過できるよう、その厚さが相対的に薄い。
【0073】
あるいは、第2電極180は、酸化インジウムガリウム(Indium Gallium Oxide:IGO)のような透明導電性物質で形成することもできるが、これに限定されるものではない。
【0074】
第1電極160と発光層170、第2電極180は、発光ダイオードDeを構成する。ここで、第1電極160はアノードとして働き、第2電極180はカソードとして働くことができる。
【0075】
前述した通り、本発明の実施例に係る電界発光表示装置は、発光ダイオードDeの発光層170からの光が基板110とは反対方向、すなわち、第2電極180を通り外部へ出射するトップエミッション型であり得る。トップエミッション型は、同じ面積のボトムエミッション型に比べ、より広い発光領域を有し得るため、輝度を向上させ、消費電力を低下させることができる。
【0076】
実質的に基板110の全面に亘り、第2電極180上にキャッピング層190が形成される。キャッピング層190は、比較的に屈折率の高い絶縁物質で形成することができる。キャッピング層に沿って移動する光の波長が表面プラズマ共振により増幅するため、ピークの強度が増加し、トップエミッション型の電界発光表示装置における発光効率を向上させることができる。例えば、キャッピング層190は、有機膜や無機膜の単一膜にしてもよく、有機無機積層膜にしてもよい。
【0077】
また、実質的に基板110の全面に亘り、キャッピング層190上には保護層、および/または封止層を形成し、外部からの水分や酸素を遮断することで、発光ダイオードDeを保護することができる。
【0078】
かかる本発明の実施例に係る電界発光表示装置における発光層170の構造について、
図4を参照し、さらに詳細に説明する。
【0079】
図4は、本発明の第1実施例に係る電界発光表示装置における1つの画素を概略的に示す図である。
【0080】
図4に示すように、本発明の第1実施例に係る電界発光表示装置における1つの画素は、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3を含む。基板110上に第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3が定義され、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3にはそれぞれ第1発光ダイオードDe1、第2発光ダイオードDe2、第3発光ダイオードDe3が形成される。各発光ダイオードDe1、De2、De3は、第1電極160、発光層170、そして第2電極180を含み、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3のそれぞれは、
図3に示す断面構造を有することができる。
【0081】
ここで、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3は、それぞれ赤色、緑色、青色の副画素であり得る。また、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3の第1発光ダイオードDe1、第2発光ダイオードDe2、第3発光ダイオードDe3は、それぞれ赤色、緑色、青色の発光ダイオードであり得る。
【0082】
さらに詳細に説明すると、基板110上における第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3のそれぞれには、第1電極160が形成される。第1電極160は、正孔を供給するアノードであり、比較的に高い仕事関数を有する導電性物質で形成することができる。例えば、第1電極160は、ITOやIZOのような透明導電性物質で形成することができる。
【0083】
一方、本発明の電界発光表示装置は、発光層170からの光が第2電極180を通り、外部へ出射するトップエミッション型であり得る。第1電極160の下には、反射電極、または反射層をさらに形成することができる。例えば、反射電極、または反射層は、アルミニウム・パラジウム・銅(APC)合金、または銀(Ag)で形成することができる。
【0084】
あるいは、第1電極160は、反射電極を含むこともできる。このとき、第1電極160は、ITO/Ag/ITO、またはITO/APC/ITOの積層構造を有することができる。
【0085】
かかる第1電極160は、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3毎に分離して形成される。
【0086】
各副画素P1、P2、P3の第1電極160上には、発光層170が形成される。
【0087】
発光層170は、第1電極160上に順次位置する第1正孔輸送層171、第2正孔輸送層172、第3正孔輸送層173、電子遮断層174、発光物質層175、正孔遮断層176、電子輸送層177、そして電子注入層178を含む。
【0088】
ここで、第1副画素P1と第2副画素P2の発光層170a、170bは、第3副画素P3の発光層170cに比べ、第4正孔輸送層179をさらに含む。この第4正孔輸送層179は、第3正孔輸送層173と電子遮断層174との間に位置する。
【0089】
すなわち、第1副画素P1および第2副画素P2の発光層170a、170bは、第1電極160上に順次位置する第1正孔輸送層171、第2正孔輸送層172、第3正孔輸送層173、第4正孔輸送層179、電子遮断層174、発光物質層175、正孔遮断層176、電子輸送層177、そして電子注入層178を含み、第3副画素P3の発光層170cは、第1電極160上に順次位置する第1正孔輸送層171、第2正孔輸送層172、第3正孔輸送層173、電子遮断層174、発光物質層175、正孔遮断層176、電子輸送層177、そして電子注入層178を含む。
【0090】
第1正孔輸送層(HTL1)171は、第1電極160からの正孔を発光物質層175にスムーズに注入する役割を果たす。ここで、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第1正孔輸送層171は、互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第1正孔輸送層171は、互いに分離されてもよい。かかる第1正孔輸送層171は、第1正孔輸送物質とP型ドーパントを含むことができる。
【0091】
一方、第1電極160と第1正孔輸送層171との間には正孔注入層HILをさらに備えることもできる。
【0092】
第1正孔輸送層171上における第2正孔輸送層(HTL2)172および第3正孔輸送層(HTL3)173は、第1電極160からの正孔を発光物質層175にスムーズに伝達する役割を果たす。ここで、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第2正孔輸送層172は、互いに接続することができる。また、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第3正孔輸送層173は、互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第2正孔輸送層172は、互いに分離されてもよく、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における第3正孔輸送層173は、互いに分離されてもよい。
【0093】
第1正孔輸送層171の厚さと第2正孔輸送層172の厚さの合計(d1)は、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)と同じである。すなわち、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172の総厚さ(d1)と、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)は、その比が1:1である。
【0094】
かかる第2正孔輸送層172と第3正孔輸送層173は、互いに異なる物質を含む。第2正孔輸送層172は、第1正孔輸送物質を含むことができ、第3正孔輸送層173は、第2正孔輸送物質を含むことができる。したがって、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172は、同じ物質を含むことができる。
【0095】
第2正孔輸送物質は、第1正孔輸送物質より高い屈折率を有する。このとき、第2正孔輸送物質は、460nm波長において2.1以上の屈折率を有する。
【0096】
第1正孔輸送物質および第2正孔輸送物質は、アミン系化合物で形成することができる。具体的に、第1正孔輸送物質は、モノアミン系化合物で形成することができる。例えば、第1正孔輸送物質は、下記の化学式(1)~化学式(7)で表される化合物のうちから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
また、第2正孔輸送物質は、ジアミン系化合物で形成することができる。第2正孔輸送物質は、下記の化学式(8)~化学式(13)で表される化合物のうちから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
一方、P型ドーパントは、下記の化学式(14)と化学式(15)で表される化合物のうちから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
【0113】
【0114】
次に、第1副画素P1および第2副画素P2において、第3正孔輸送層173上の第4正孔輸送層(HTL4)179は、光学補助層であって、第1電極160と第2電極180との間の距離、すなわち、発光層170の厚さを調節する。したがって、発光層170から発せられた光が第1電極160と第2電極180との間において干渉を起こすマイクロキャビティ効果により、発光効率をさらに向上させることができる。
【0115】
このとき、第1副画素P1における第4正孔輸送層(R’HTL)179の厚さが、第2副画素P2における第4正孔輸送層(G’HTL)179の厚さより大きい。その結果、第2副画素P2における発光層170bの厚さは、第1副画素P1における発光層170aの厚さより小さく、第3副画素P3における発光層170cの厚さより大きい。
【0116】
かかる第4正孔輸送層179は、第3正孔輸送層173より低い屈折率を有する。このとき、第4正孔輸送層179は、第2正孔輸送層172と同じ物質で形成することができる。すなわち、第4正孔輸送層179は、第1正孔輸送物質を含むことができる。
【0117】
しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。第4正孔輸送層179は、省略することもできる。
【0118】
次に、第1副画素P1および第2副画素P2における第4正孔輸送層179上の電子遮断層(electron blocking layer:EBL)174と、第3副画素P3における第3正孔輸送層173上の電子遮断層174は、発光物質層175内の電子が第3正孔輸送層173に移動することを遮断する。第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子遮断層174は互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子遮断層174は、互いに分離されてもよい。
【0119】
例えば、電子遮断層174は、下記の化学式(16)と化学式(17)で表される化合物のうちから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0120】
【0121】
【0122】
かかる電子遮断層174の厚さは、第2正孔輸送層172、または第3正孔輸送層173の厚さより小さい。
【0123】
次に、電子遮断層174上の発光物質層175は、第1副画素P1、第2副画素P2、第3副画素P3にそれぞれ対応する第1発光物質層EML(R)、第2発光物質層EML(G)、第3発光物質層EML(B)を含む。
【0124】
第1発光物質層EML(R)は、赤色光を発する赤色の発光物質で形成し、第2発光物質層EML(G)は、緑色光を発する緑色の発光物質で形成し、第3発光物質層EML(B)は、青色光を発する青色の発光物質で形成することができる。
【0125】
赤色の発光物質は、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、イミダゾール誘導体、またはナフタレン誘導体で形成することができる。緑色の発光物質は、カルバゾール誘導体、またはフルオレン誘導体で形成することができ、青色の発光物質は、ジスチリルアリーレン誘導体、アントラセン誘導体、またはピレン誘導体で形成することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0126】
かかる第1発光物質層EML(R)、第2発光物質層EML(G)、第3発光物質層EML(B)の厚さは、互いに異なってもよい。具体的に、第2発光物質層EML(G)の厚さが第1発光物質層EML(R)の厚さより小さく、第3発光物質層EML(B)の厚さより大きくてもよい。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0127】
発光物質層175上の正孔遮断層(hole blocking layer:HBL)176は、発光物質層175内の正孔が電子輸送層177に移動することを遮断する。第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における正孔遮断層176は、互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における正孔遮断層176は、互いに分離されてもよい。
【0128】
例えば、正孔遮断層176は、下記の化学式(18)と化学式(19)で表される化合物のうちから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0129】
【0130】
【0131】
正孔遮断層176上の電子輸送層(electron transport layer:ETL)177は、第2電極180からの電子を発光物質層175にスムーズに伝達する役割を果たす。第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子輸送層177は、互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子輸送層177は、互いに分離されてもよい。
【0132】
例えば、電子輸送層177は、Alq3、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体で形成することができる。
【0133】
電子輸送層177上の電子注入層(electron injection layer:EIL)178は、第2電極180からの電子を発光物質層175にスムーズに注入する役割を果たす。第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子注入層178は、互いに接続することができる。あるいは、第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3における電子注入層178は、互いに分離されてもよい。
【0134】
例えば、電子注入層178は、LiF、Ba、またはNaFで形成することができるが、これに限定されるものではない。電子注入層178は、省略することもできる。
【0135】
次に、電子注入層178上には第2電極180が形成される。第2電極180は、電子を供給するカソードであり、比較的に低い仕事関数を有する導電性物質で形成することができ、実質的に第1副画素P1、第2副画素P2、および第3副画素P3を含む基板110の全面に形成することができる。
【0136】
前述した通り、本発明の電界発光表示装置は、トップエミッション型であり得る。このとき、第2電極180は、光が透過できるよう比較的に薄い厚さを有することができる。
【0137】
かかる第2電極180は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、またはこれらの合金から形成することができる。
【0138】
あるいは、第2電極180は、酸化インジウムガリウム(IGO)のような透明導電性物質で形成することもできる。
【0139】
一方、第2電極180上には、キャッピング層(CPL)190が形成される。キャッピング層190は、第2電極180と同様、実質的に基板110の全面に形成することができる。
【0140】
キャッピング層190は、第1キャッピング層(CPL1)192と第2キャッピング層(CPL2)194を含むことができる。第1キャッピング層192は、有機物からなる有機キャッピング層であり、第2キャッピング層194は、無機物からなる無機キャッピング層であり得る。かかるキャッピング層190は、省略することもできる。
【0141】
このように、本発明の第1実施例に係る電界発光表示装置では、各副画素P1、P2、P3における発光層170が、互いに異なる物質で形成される第1正孔輸送層171、第2正孔輸送層172、第3正孔輸送層173を備え、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172の総厚さ(d1)と、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)の比を1:1にすることで、発光効率を向上させて寿命を増加させ、視野角を改善することができる。
【0142】
このとき、第1正孔輸送層171は、P型ドーパントと第1正孔輸送物質を含み、第2正孔輸送層172は第1正孔輸送物質を含み、第3正孔輸送層173は第2正孔輸送物質を含み、第2正孔輸送物質の屈折率が第1正孔輸送物質の屈折率より大きい。
【0143】
一方、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172の総厚さ(d1)と、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)の比を調節することで、発光効率をさらに向上させることができる。これに関する本発明の第2実施例について、
図5を参照し、詳細に説明する。
【0144】
図5は、本発明の第2実施例に係る電界発光表示装置における1つの画素を概略的に示す図である。本発明の第2実施例に係る電界発光表示装置は、第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、および第3正孔輸送層の厚さを除けば、本発明の第1実施例と同一構成を有する。同一構成には同一符号を付し、その説明は省略、または簡略にする。
【0145】
図5に示すように、本発明の第2実施例に係る電界発光表示装置において、第1正孔輸送層171の厚さと第2正孔輸送層172の厚さの合計(d1)は、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)より大きい。このとき、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172の総厚さ(d1)と、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)の比は、約1.8:1であり得るが、これに限定されるものではない。
【0146】
このように、本発明の第2実施例に係る電界発光表示装置では、第1正孔輸送層171と第2正孔輸送層172の総厚さ(d1)を、第3正孔輸送層173の厚さ(d2)より大きくすることで、発光効率をさらに向上させることができる。以下、これについて詳述する。
【0147】
表1に、本発明の第1実施例および第2実施例に係る電界発光表示装置(実施例1、実施例2)の閾値電圧の変動値(ΔVth)、駆動電圧の変動値(ΔVd)、発光効率、寿命、側面電流、そして輝度低下に関するデータを示す。各データは、比較例1に対する相対値であり、比較例1は、P型ドーパントと第1正孔輸送物質で形成された第1正孔輸送層と、第1正孔輸送物質で形成された第2正孔輸送層を正孔輸送層に含む。ここで、寿命は、輝度が95%と低くなったときの相対的な時間を意味し、輝度低下は、正面における輝度を基準にして、45度の視野角での輝度を意味する。
【0148】
一方、比較例2は、P型ドーパントと第2正孔輸送物質で形成された第1正孔輸送層と、第2正孔輸送物質で形成された第2正孔輸送層を正孔輸送層に含み、比較例3は、P型ドーパントと第2正孔輸送物質で形成された第1正孔輸送層と、第2正孔輸送物質で形成された第2正孔輸送層と、第1正孔輸送物質で形成された第3正孔輸送層を正孔輸送層に含む。
【0149】
前述した通り、本発明の第1実施例において、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さと、第3正孔輸送層の厚さの比は、1:1であり、第2実施例において、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さと、第3正孔輸送層の厚さの比は、約1.8:1である。一方、比較例1および比較例2における第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さと、比較例3における第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、第3正孔輸送層の総厚さは、本発明の第1実施例および第2実施例における第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、第3正孔輸送層の総厚さと同じであり、比較例3において、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さと、第3正孔輸送層の厚さの比は、1:1である。
【0150】
【0151】
表1から、比較例1に比べ、実施例1および実施例2の閾値電圧(Vth)が向上したことが分かる。したがって、ブラック輝度が改善され、コントラスト比が向上する。
【0152】
また、比較例1に比べ、実施例1および実施例2は、駆動電圧が減少したことが分かる。したがって、寿命が増加する。比較例1に比して実施例1および実施例2は、寿命が15%増加したことが分かる。これは、第1正孔輸送物質で形成された実施例1および実施例2における第2正孔輸送層の厚さが、比較例1における第2正孔輸送層の厚さより減少したためである。
【0153】
また、比較例1に比べ、実施例1および実施例2は、発光効率が向上したことが分かる。そして、第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、第3正孔輸送層の厚さを最適化することにより、実施例2の発光効率はさらに向上する。
【0154】
また、比較例1に比べ、実施例2は、側面電流も減少したことが分かる。それにより、階調表現が潰れるガンマクラッシュが改善され、信頼性が向上する。
【0155】
また、比較例1に比べ、実施例1および実施例2は、45度の視野角での輝度が高いことが分かる。したがって、輝度視野角および視野角の分布が改善される。これは、相対的に低い屈折率を有する第2正孔輸送層の厚さが減少するためである。
【0156】
一方、比較例1に比べ、比較例2および比較例3は、閾値電圧が減少し、発光効率が低下し、特に側面電流が2倍以上に増加して信頼性に問題があることが分かる。
【0157】
このように、本発明では、電界発光表示装置の発光ダイオードが、互いに異なる物質で形成される第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、第3正孔輸送層を備え、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の総厚さを、第3正孔輸送層の厚さより大きく、もしくは同一にする。このとき、第1正孔輸送層は、P型ドーパントと第1正孔輸送物質を含み、第2正孔輸送層は第1正孔輸送物質を含み、第3正孔輸送層は第2正孔輸送物質を含む。これにより、発光効率を向上させ、寿命を増加させることができる。また、信頼性が向上し、視野角を改善することができる。
【0158】
さらに、第4正孔輸送層を適用することにより、発光波長別の発光層の厚さを異なるようにし、マイクロキャビティ効果を実現させることで、発光効率を一層向上させることができる。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における通常の技術者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想および領域を逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正し、変更することができることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0160】
110…基板、160…第1電極、170…発光層、171…第1正孔輸送層、172…第2正孔輸送層、173…第3正孔輸送層、174…電子遮断層、175…発光物質層、176…正孔遮断層、177…電子輸送層、178…電子注入層、180…第2電極、190…キャッピング層、192…第1キャッピング層、194…第2キャッピング層、De:発光ダイオード、P1…第1副画素、P2…第2副画素、P3…第3副画素