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特許7551732光学フィードバック信号スプリッタを用いたターゲット識別
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】光学フィードバック信号スプリッタを用いたターゲット識別
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
A61B1/045 616
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022507462
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020044871
(87)【国際公開番号】W WO2021026145
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/882,837
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/931,360
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/008,940
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/018,262
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブケソヴ セルゲー エイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン クルト ジー
(72)【発明者】
【氏名】タルボット ブライアン エム
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-117407(JP,A)
【文献】国際公開第2011/021419(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0184827(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット識別システムであって、
近位端である第1端部及び遠位端である第2端部を有するプローブを備え、前記第2端部が解剖学的ターゲットに隣接して位置するように構成され、前記プローブが、共通光路を画成するように構成され、前記共通光路が、前記解剖学的ターゲットに向かうレーザビームで構成される第1光信号と、前記解剖学的ターゲットから反射され又は発生する第2光信号とを、同時に通過させるように構成されており、
前記ターゲット識別システムが、
分光システムと、
ビームスプリッタを備え、当該ビームスプリッタが、
前記プローブの前記第1端部に接続された第ポートと、
前記共通光路に位置合わせされるように構成され、且つ前記第1光信号を通過させるように構成された第ポートと、
前記共通光路に沿って直線状に配置された第1リフレクタ及び第2リフレクタと、
を備え、
前記第2リフレクタは、前記第2光信号の少なくとも一部を前記分光システムに方向変換させ、
前記第1リフレクタは、前記第2リフレクタよりも前記プローブの前記第1端部側に配置され、前記第2光信号の少なくとも一部を前記分光システムに方向変換させるとともに、前記第1光信号の光路と、前記第2リフレクタを経由した前記分光システムへのフィードバック光路である第2光路とを統合させ、
前記ビームスプリッタが、前記第2光信号の少なくとも一部を、前記共通光路から方向変換させるように構成され、
前記分光システムは、
前記ビームスプリッタと光学的に結合され、さらに、
前記方向変換された少なくとも一部の前記第2光信号を受信し、
受信した少なくとも一部の前記第2光信号に基づいて、前記解剖学的ターゲットの組成を識別する、
ように構成されている、ターゲット識別システム。
【請求項2】
前記分光システムは、前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器を含み、当該分光器が前記解剖学的ターゲットを代表する前記第2光信号を前記ビームスプリッタから受信するように、且つ、前記解剖学的ターゲットを代表するスペクトル測定値を提供するように構成されている、請求項1に記載のターゲット識別システム。
【請求項3】
前記分光システムは、前記スペクトル測定値を受け取るように、且つ前記解剖学的ターゲットの組成プロファイルを生成するように構成されたフィードバックアナライザを含む、請求項2に記載のターゲット識別システム。
【請求項4】
外科手術システムであって、
管腔及び光源を備え、前記管腔が、近位端及び遠位端を画成し、前記光源が、共通光路を介して解剖学的ターゲットをレーザビームによって照明するように構成され、前記共通光路が、前記光源から発生された前記レーザビームからなる第2光信号と、前記レーザビームが前記解剖学的ターゲットから反射され又は発生する光応答信号とを、同時に通過させるように構成されており、
前記外科手術システムが、さらに、
ターゲット識別システムを備え、当該ターゲット識別システムが、
前記管腔を通って延在するように構成され、近位端である第1端部及び遠位端である第2端部を有し、前記第2端部が前記解剖学的ターゲットに隣接して位置するように構成され、さらに前記共通光路を構成する、作業プローブと、
前記作業プローブの前記第1端部に接続されたビームスプリッタであって、前記光応答信号を、前記共通光路から分割するように構成されているビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器であって、前記ビームスプリッタから、少なくとも一部の前記光応答信号を受信し、且つ、前記解剖学的ターゲットを代表するスペクトル測定値を提供するように構成された分光器と、を含み、
前記ビームスプリッタは、前記共通光路に沿って直線状に配置された第1リフレクタ及び第2リフレクタと、を備え、
前記第2リフレクタは、前記光応答信号の少なくとも一部を前記分光器に方向変換させ、
前記第1リフレクタは、前記第2リフレクタよりも前記作業プローブの前記第1端部側に配置され、前記光応答信号の少なくとも一部を前記分光器に方向変換させるとともに、前記第2光信号の光路と、前記第2リフレクタを経由した前記分光器へのフィードバック光路である第2光路とを統合させる、
外科手術システム。
【請求項5】
前記ビームスプリッタが、
前記作業プローブの前記近位端に接続され、前記第2光信号及び前記光応答信号が通過するポートと、
前記共通光路に位置合わせされるように構成され、且つ前記第2光信号を通過させるように構成された第ポートと、を含む、請求項4に記載の外科手術システム。
【請求項6】
前記ターゲット識別システムが、前記スペクトル測定値を受信するように、且つ前記解剖学的ターゲットの組成プロファイルを生成するように構成されたフィードバックアナライザを含む、請求項4または5に記載の外科手術システム。
【請求項7】
前記フィードバックアナライザが、前記組成プロファイルに基づいてレーザビームの設定を調整するための制御信号を提供するように構成されている、請求項6に記載の外科手術システム。
【請求項8】
前記レーザビームが、前記共通光路を、前記ビームスプリッタから前記作業プローブの遠位端まで、前記光応答信号が前記共通光路を通過するのと同時に通過するように構成されている、請求項7に記載の外科手術システム。
【請求項9】
レーザ外科手術システムであって、
患者の身体内のターゲットをアブレーションするように動作可能なレーザビームを発生するように構成されたレーザシステムと、
光学プローブと、を備え、当該光学プローブが、
共通光路ならびに近位端である第1端部及び遠位端である第2端部を有し、前記共通光路を経由して前記レーザビームを前記ターゲットに伝送するように、且つ、前記共通光路を経由して前記ターゲットからターゲット光を伝送するように構成され前記第2端部が前記ターゲットに隣接して位置するように構成された、作業プローブと、
前記レーザビームを前記レーザシステムから前記作業プローブに通過させるように、且つ、前記ターゲット光を受光して前記ターゲット光を前記レーザビームから分割するように構成されたビームスプリッタと、を含み、
前記レーザ外科手術システムが、さらに、
前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器であって、前記レーザビームから分割されたターゲット光を受光するように、且つ前記ターゲット光のスペクトル情報を生成するように構成された分光器と、
前記スペクトル情報を受信して、前記ターゲットの組成情報を決定するように構成されたフィードバック路と、
を備え、
前記ビームスプリッタは、前記共通光路に沿って直線状に配置された第1リフレクタ及び第2リフレクタと、を備え、
前記第2リフレクタは、前記ターゲット光の少なくとも一部を前記分光器に方向変換させ、
前記第1リフレクタは、前記第2リフレクタよりも前記作業プローブの前記第1端部側に配置され、前記ターゲット光の少なくとも一部を前記分光器に方向変換させるとともに、前記ターゲットに向かって伝送された前記レーザビームの光路と、前記第2リフレクタを経由した前記分光器へのフィードバック光路である第2光路とを統合させる、
レーザ外科手術システム。
【請求項10】
前記レーザ外科手術システムが、前記組成情報を受信するように、且つ、前記組成情報に応答して前記レーザビームを調整するように構成されている、請求項9に記載のレーザ外科手術システム。
【請求項11】
前記第1リフレクタから前記分光システムまでのフィードバック光路と、前記第2光路とを接続する光カプラを備える、
請求項1に記載のターゲット識別システム。
【請求項12】
前記第1リフレクタから前記分光器までのフィードバック光路と、前記第2光路とを接続する光カプラを備える、
請求項4に記載の外科手術システム。
【請求項13】
前記第1リフレクタから前記分光器までのフィードバック光路と、前記第2光路とを接続する光カプラを備える、
請求項9に記載のレーザ外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年8月5日に出願された米国仮特許出願第62/882,837号、2019年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/931,360号、2020年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/008,940号、及び、2020年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/018,262号の優先権の利益を主張し、これらの全てを援用して本明細書の一部とする。
【0002】
本文献は、概して光学外科手術システムに関し、より詳細には、別の光信号と経路を共有する光応答信号を用いてターゲットを識別する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術用のレーザエネルギーを、軟組織又は硬組織などの様々なターゲット治療部位に照射するためにレーザシステム又はプラズマシステムが使用されてきた。レーザ治療の例は、アブレーション、凝固、気化、断片化などを含む。砕石術において、レーザが、腎臓、胆嚢、尿管、その他の結石形成部位内の結石構造を破壊し、又は、大きい結石をアブレーションして小さい断片にするために使用されてきた。
【0004】
一般的に、対象物の内部位置へのアクセスを医師に提供して目視を可能にするために内視鏡が使用される。内視鏡は、通常、患者の身体内に挿入され、検査されるターゲット(例えば、ターゲット生体組織又は対象物)に光を照射し、対象物から反射される光を収集する。反射された光が、検査対象物に関する情報を運んでくる。幾つかの内視鏡は作業チャネルを含み、この作業チャネルを介して、操作者が吸引を行うことができ、若しくは、ブラシ、生検針、鉗子などの器具を通すことができ、又は、患者の身体内から不要な組織又は異物を取り除く低侵襲性手術を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2002/045811号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/184827号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電磁エネルギーを用いる幾つかの処置において、処置の実行中にターゲットの組成を識別(特定)する方法はない。健康関連の処置に関し、ターゲットが軟部組織であるか硬部組織であるかを生体内で識別することが困難な場合がある。身体内から組織を取り出した後にその組織の組成を識別する手術方法もあるが、生体内で組織の組成を識別することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ターゲットの組成を、ターゲットに処置を行いながら判断するための技術を提供する。理解を容易にするために、この技術を健康関連の処置の観点から説明するが、これに限定されるものではない。組織の組成を、インビボ(In Vivo、患者の生体内)で、組織又は組織付近で医療処置を行いながら判断するための技術を提供する。一例として、腎結石などの閉塞性組織のアブレーションのために、組織組成情報が、処置をより効率的且つ効果的に実行することの補助となり得る。本発明の技術は、管腔を含む観察器具、作業器具、光源、ビームスプリッタ、及びレーザ光源を備えたシステムを含み、又は使用できる。前記観察器具は内視鏡又は腹腔鏡を含むことができ、これらは、例えば近位端及び遠位端を画成できる。前記作業器具は、前記観察器具の前記管腔を通って延在できるような作業プローブを含み得る。前記光源は、前記観察器具の遠位端の先の領域を、例えば、前記観察器具の光路を介して照明を提供することにより照明できる。前記ビームスプリッタは、前記作業器具の光路の近位端に位置するか又は当該近位端に接続され得る。前記レーザ光源は、ビームスプリッタに接続されることができ、レーザビームを発生できる。当該レーザビームは、前記作業器具の前記近位端から前記作業器具の前記遠位端まで、前記作業器具の光路を介して通過できる。前記作業器具の前記光路は、任意選択的に、前記遠位端の先の領域から受信した光応答信号を、例えば、前記作業器具の前記遠位端から、前記作業器具の前記近位端に位置する前記ビームスプリッタへの通信のために渡すことができる。
【0008】
実施例1は、ターゲット識別システムであり、当該ターゲット識別システムは、第1端部及び第2端部を有するプローブを備え、前記第2端部は、解剖学的ターゲットに隣接して位置するように構成されており、前記プローブは光路を画成するように構成されている。前記光路は、第1光信号と前記解剖学的ターゲットを代表する第2光信号とを同時に通過させるように構成されている。前記ターゲット識別システムは、さらにビームスプリッタを備え、当該ビームスプリッタは、前記プローブの前記第1端部に接続された第1ポートと、前記光路に位置合わせされるように構成され、且つ前記第1光信号を通過させるように構成された第2ポートと、を含む。前記ビームスプリッタは、前記解剖学的ターゲットを代表する前記第2光信号を、前記光路から、及び前記第1光信号から方向変換させるように構成されている。
【0009】
実施例2において、実施例1の主題は、前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器を任意選択的に含み、当該分光器は、前記解剖学的ターゲットを代表する前記第2光信号を前記ビームスプリッタから受信するように、且つ、前記解剖学的ターゲットを代表するスペクトル測定値を提供するように構成されている。
【0010】
実施例3において、実施例2の主題は、前記スペクトル測定値を受け取るように、且つ前記ターゲットの組成プロファイルを生成するように構成されたフィードバックアナライザ(分析器)を任意選択的に含む。
【0011】
実施例4において、実施例2~3のいずれか1つ以上の主題は、前記ビームスプリッタが、フォーカスレンズと、光学センサとを含み、前記フォーカスレンズが波長感受性層を含み、当該波長感受性層が、前記第1光信号を前記光路に沿って通過させるように、且つ前記第2光信号を前記光学センサに向けて方向変換させるように構成されていることを任意選択的に含む。
【0012】
実施例5において、実施例4の主題は、前記光学センサが、前記分光器に接続するように、且つ前記第2光信号を1以上の電気信号に変換するように構成されていることを任意選択的に含む。
【0013】
実施例6において、実施例2~5のいずれか1つ以上の主題は、前記ビームスプリッタが、波長感受性層を有するフォーカスレンズを含み、前記波長感受性層が、前記第1光信号を前記光路に沿って通過させるように、且つ前記第2光信号を方向変換させるように構成されており、前記ビームスプリッタが、さらに、分光システムに接続された第3光学ポートと、前記第2光信号を前記第3光学ポートにさらに方向変換させるように構成された積分球と、を含むことを任意選択的に含む。
【0014】
実施例7において、実施例2~6のいずれか1つ以上の主題は、前記ビームスプリッタが、第3光学ポートと、前記第1光信号を前記第1ポートから前記第2ポートに渡すように、且つ前記第2光信号を第3光学ポートへと方向変換させるように構成されたダイクロイックミラーと、を含むことを任意選択的に含む。
【0015】
実施例8は外科手術システムであり、当該外科手術システムは、管腔を含む観察器具を備え、当該観察器具及び当該管腔は、近位端及び遠位端を画成し、前記観察器具は、前記観察器具の光路を介して解剖学的ターゲットを照明するように構成された光源を含む。前記外科手術システムは、さらに、ターゲット識別システムを備え、当該ターゲット識別システムは、前記管腔を通って延在するように構成された作業プローブと、前記作業プローブの近位端に接続されたビームスプリッタであって、前記ターゲットを示す光応答信号を前記光路から分割するように構成されているビームスプリッタと、前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器であって、前記ビームスプリッタから、少なくとも前記光応答信号の代表を受信し、且つ、前記解剖学的ターゲットを代表するスペクトル測定値を提供するように構成された分光器と、を含む。
【0016】
実施例9において、実施例8の主題は、前記ビームスプリッタが、前記プローブの前記近位端に接続された第1ポートと、前記光路に位置合わせされるように構成され、且つ第2光信号を通過させるように構成された第2ポートとを含むことを任意選択的に含む。
【0017】
実施例10において、実施例9の主題は、前記ビームスプリッタが、フォーカスレンズと、光学センサとを含み、前記フォーカスレンズが波長感受性層を含み、当該波長感受性層が、前記第2光信号を前記光路に沿って通過させるように、且つ前記光応答信号を前記光学センサに向けて方向変換させるように構成されていることを任意選択的に含む。
【0018】
実施例11において、実施例10の主題は、前記光学センサが、前記分光器に接続するように、且つ、前記光応答信号を1以上の電気信号に変換するように構成されていることを任意選択的に含む。
【0019】
実施例12において、実施例9~11のいずれか1つ以上の主題は、前記ビームスプリッタが、前記光路の経路に位置するフォーカスレンズを含み、当該フォーカスレンズが波長感受性層を含み、当該波長感受性層が、前記第2光信号を前記光路に沿って通過させるように、且つ、前記光応答信号を方向変換し、それにより、方向変換された光応答信号を提供するように構成されており、前記ビームスプリッタが、さらに、前記分光器に接続された第3光学ポートと、前記方向変換された光応答信号を前記第3光学ポートに反射するように構成された積分球と、を含むことを任意選択的に含む。
【0020】
実施例13において、実施例9~12のいずれか1つ以上の主題は、前記ビームスプリッタが、前記分光器に接続された第3光学ポートと、記第2光信号を前記光路に沿って通過させるように、且つ、前記光応答信号を前記第3光学ポートへと反射させるように構成されたダイクロイックミラーと、を含むことを任意選択的に含む。
【0021】
実施例14において、実施例8~13のいずれか1つ以上の主題は、前記ターゲット識別システムが、スペクトル情報を受信するように、且つ前記ターゲットの組成プロファイルを生成するように構成されたフィードバックアナライザを含むことを任意選択的に含む。
【0022】
実施例15において、実施例14の主題は、前記光路を通過する前記光応答信号と同時期に前記作業プローブを利用するように構成された処置器具を含み、且つ、前記フィードバックアナライザが、前記組成プロファイルに基づいて前記処置器具に制御信号を提供するように構成されていることを任意選択的に含む。
【0023】
実施例16において、実施例15の主題は、前記処置器具が、レーザビームを発生するように構成されたレーザを含み、前記レーザビームが、前記光路を、前記ビームスプリッタから前記プローブの遠位端まで、前記光応答信号が前記光路を通過するのと同時に通過するように構成されていることを任意選択的に含む。
【0024】
実施例17は、レーザ外科手術システムであり、当該レーザ外科手術システムは、患者の身体内のターゲットをアブレーション(切除)するように動作可能なレーザビームを発生するように構成されたレーザシステムと、光学プローブと、を備えている。当該光学プローブは、前記レーザビームを前記ターゲットに伝送するように、且つ、前記ターゲットからターゲット光を伝送するように構成された光ファイバと、前記レーザビームを前記レーザシステムから前記光ファイバに通過させるように、且つ、前記ターゲット光を受光して前記ターゲット光を前記レーザビームから分割するように構成されたビームスプリッタと、を含む。前記レーザ外科手術システムは、さらに、前記ビームスプリッタに光学的に接続された分光器であって、前記レーザビームから分割されたターゲット光を受光するように、且つ前記ターゲット光のスペクトル情報を生成するように構成された分光器と、前記スペクトル情報を受信して、前記ターゲットの組成情報を決定するように構成されたフィードバック回路と、を備えている。
【0025】
実施例18において、実施例17の主題は、前記レーザシステムが、前記組成情報を受信するように、且つ、前記組成情報に応答して前記レーザビームを調整するように構成されていることを任意選択的に含む。
【0026】
実施例19は、方法であり、この方法は、作業器具を、観察器具の第1管腔を介して延在させるステップと、解剖学的ターゲットを、前記観察器具の光路を介して照明するステップと、前記解剖学的ターゲットの光応答信号を、前記作業器具の光路を介して通過させるステップと、前記光応答信号を前記作業器具の光路から分割するステップと、を含む。
【0027】
実施例20において、実施例19の主題は、前記観察器具が内視鏡であることを任意選択的に含む。
【0028】
実施例21において、実施例19~20のいずれか1つ以上の主題は、前記観察器具が腹腔鏡であることを任意選択的に含む。
【0029】
実施例22において、実施例19~21のいずれか1つ以上の主題は、前記光応答信号を分光システムに渡すステップを任意選択的に含む。
【0030】
実施例23において、実施例19~22のいずれか1つ以上の主題は、前記光応答信号を通過させているときに、第2光信号を、前記作業器具の前記光路を介して通過させるステップを任意選択的に含む。
【0031】
実施例24において、実施例23の主題は、前記第2光信号が、前記解剖学的ターゲットをアブレーションするように構成されたレーザビームであることを任意選択的に含む。
【0032】
実施例25において、実施例24の主題は、前記光応答信号を分光システムに渡すステップが、前記光応答を前記作業器具の前記光路から第3光路に分割するステップを含むことを任意選択的に含む。
【0033】
実施例26において、実施例25の主題は、前記レーザビームを通過させるステップが、前記レーザから延在する光路を前記作業器具の前記光路に合流させるステップを含むことを任意選択的に含む。
【0034】
実施例27において、実施例26の主題は、前記レーザから延在する光路を合流させる前記ステップが、前記レーザビームがダイクロイックミラーを通過するステップを含み、且つ、前記光応答を前記作業器具の前記光路から分割するステップが、前記光応答を前記ダイクロイックミラーの表面で反射させるステップを含むことを任意選択的に含む。
【0035】
この章は、本特許出願の主題の概要を説明することを目的としている。本発明の排他的又は網羅的な説明を行うことは意図していない。本特許出願に関するさらなる情報を提供するために詳細な説明が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】外科手術システム、例えばアブレーションシステム内の例示的なターゲット識別システムを概略的に示した図である。
図2】ターゲット識別システムの詳細な例を概略的に示した図である。
図3】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの例を概略的に示した図である。
図4】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの詳細な例を概略的に示した図である。
図5】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの詳細な例を概略的に示した図である。
図6】アブレーションシステムの動作方法の例を概略的に示した図である。
図7】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの例を概略的に示した図である。
図8】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの例を概略的に示した図である。
図9】例示的なターゲット識別システム内のビームスプリッタの例を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
身体内の組織の組成を内視鏡又は腹腔鏡を用いて識別することは多様な応用を有している。例えば、腎結石の組成を事前に判断できれば、治療方法の少なくとも一部を腎結石の組成に基づいて行うことが可能であろう。例えば、レーザを用いて結石を砕き、又は結石を「粉状にする」(“dust”)際に、結石が硬い組成であることが事前に分かっていれば、レーザの設定を、硬い腎結石をより良好に処理する設定に調整できる。
【0038】
また、組成を識別するために組織サンプルの取り出しを必要とする技術は、組織の組成を、処置全体のすべて又は一部を通して継続的に監視できない。本発明の技術は、解剖学的なターゲット又はターゲット組織の組成を内視鏡又は腔鏡の先端で測定及び分析することを可能にする。これらの技術は、外科手術又は診断処置などの健康関連の処置をしている間に、より多くの情報を提供でき、処置中の治療方法のより良好な適応を可能にする。例えば、処置が、表面は硬いが芯は柔らかい腎結石を細かい破片にする(例えば、腎結石を「粉状にする」(“dusiting”))ことを含む場合、ターゲット組織の組成を継続的な又はその他の方法で内視鏡又は腹腔鏡を介して監視することにより、処置中に「粉状にする」器具の設定、例えば、レーザアブレーション器具のためのレーザ設定の調整が可能になる。ターゲット組織の識別をすることで、最初に結石の硬い表面に適した設定を行い、次に結石の柔らかいコアに適した設定を行うことができる。
【0039】
図1は、外科手術システム110、例えばアブレーションシステム内の例示的なターゲット識別システム100全体を示している。外科手術システム110は、視覚化機器、例えば内視鏡101、ターゲット識別システム100、及び、主要医療機器、例えばレーザアブレーションシステム102を含むことができる。内視鏡101は、内視鏡プローブ103、レーザ又はその他の光源104、及び、ディスプレイアセンブリ105を含むことができる。内視鏡プローブ103は、カメラ106、1以上の光信号通信路107,108、及び少なくとも1つの作業管腔111を含むことができる。内視鏡プローブ103の遠位部を患者の身体内に挿入できる。光源104、1以上の光伝送媒体107,108、及びディスプレイアセンブリ105により、医師若しくは外科医又はロボット装置などのエンドユーザが、患者の身体の内部領域を内視鏡プローブ103の遠位端109又はその付近で照明及び観察することが可能である。例えば、光源104は、内視鏡プローブ103の遠位端109の位置又はその先の領域を、第1光伝送媒体108を介して照明でき、第2光伝送媒体107は、内視鏡プローブ103の遠位端109にあるカメラからの画像信号情報を、ディスプレイ105にある信号処理回路に通信して、内視鏡プローブ103の遠位端109の位置又はその先の領域の画像を表示できる。幾つかの例において、第2光又は電気伝送媒体107は、1以上の構成要素、例えば1以上の光ファイバを含むことができ、ディスプレイ105は、エンドユーザが内視鏡プローブ103の遠位端109の位置又はその先の領域を観察するための接眼レンズを含むことができる。特定の例において、第2光伝送媒体107は、カメラ106からの視覚画像信号情報を電子ディスプレイ105に、例えばエンドユーザが内視鏡プローブ103の遠位端109の位置又はその先の領域を観察するために接続できる。幾つかの例において、カメラ106は、内視鏡プローブ103の近位端又はその付近、例えばディスプレイ105の付近に配置されることができ、1以上の光ファイバが、第2光伝送媒体107を形成し、それにより、内視鏡プローブ103の遠位端109からの画像情報をカメラ106に伝送できる。幾つかの例において、カメラ106は内視鏡プローブ103の遠位端109に配置されることができ、画像情報はディスプレイ105に、内視鏡プローブ103に一体化された第2光伝送媒体107を形成している電気導体を介して伝送され得る。
【0040】
作業管腔111は、さらに、エンドユーザが、主要医療器具(例えば1以上の外科用ツール)の一部を、内視鏡プローブ103を用いて視覚化されている、ターゲットとなる患者の身体の内部領域周辺を処置するために挿入及び抜き出しすることを可能し得る。例えば、外科アブレーションシステム102の場合、主要医療器具は、内視鏡プローブ103の遠位端109又はその付近の組織のアブレーションを可能にするために、作業プローブ113及びレーザ112を含み得る。このようなシステムにおいて、内視鏡処置又は腹腔鏡処置のいずれかのために、レーザビーム118は、硬組織及び軟組織を効率的に処置するために、作業管腔111を介してエネルギーを通過させることができる。特定の例において、レーザシステム102は、紫外(UV)から赤外(IR)までの広い波長範囲(例えば、200nm~10000nm)のレーザ出力ビーム118を生成できる。幾つかのレーザは、軟組織又は硬組織により高度に吸収され得る波長範囲の出力を生成でき、これらの波長範囲は、例えば、水吸収のためには1900nm~3000nm、或いは、オキシヘモグロビン及び/又はデオキシヘモグロビン吸収のためには400nm~520nmである。
【0041】
作業プローブ113は、ターゲット識別システム100の一部であってもよい。ターゲット識別システム100は、作業プローブ113、光ビームスプリッタ114、及び、分光システム115を含むことができる。分光システム115は、スペクトロメータ(分光器)128、及び、オプショナルのフィードバックアナライザ116を含むことができる。ターゲット識別システム100は、画像応答情報、例えば、ターゲットから反射又は放射された電磁放射の内容を使用して、ターゲット組織などのターゲットの材料又は組成の判断を補助できる。このような電磁放射は、人間の目で見ることができる光、蛍光放射、紫外光、赤外光、又はそれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0042】
特定の例において、このような画像応答情報は、処置をより効率的に実行するために使用され得る。一例において、光源104からの光は、ターゲット組織117から反射することができ、又は、ターゲット組織に光学情報を、例えば蛍光により放出させることができる。このような光学情報を、本明細書において、例えば光応答信号119を介して伝達される「画像応答情報」又は「光応答情報」と称する。分光器128又は分光システム115はビームスプリッタ114に光学的に接続されることができ、スペクトル測定値を光応答信号119から提供できる。このようなスペクトル測定値を、ターゲットの特性(例えば材料、硬度)を決定するために使用でき、これを、処置をガイドするために使用できる。このようなガイダンスにより、異なるツールの選択、ツールの調整(例えばレーザ設定)又はそれらの組合せを行うことができ、処置をより効率的に進められる。
【0043】
分光(スペクトロスコピー)/分析(スペクトロメトリ)技術は、材料又は構造を、ターゲット表面により反射、透過、放出、吸収され、又は吸収されないスペクトルを介して識別するために使用され得る。光分光法は、有機又は無機材料のタイムリーな分析を可能にする。アブレーションに関して、光分光法は、幾つかの利点の提供に役立ち、これらは、ファイバレーザアブレーション技術との統合、材料の化学組成分析の非破壊的方法、リアルタイム又はほぼリアルタイムでの組成推定又はプロファイル、及び、様々な種類の生物学的材料(硬組織、軟組織、及び石など)の分析への適用などを含むがこれらに限定されない。分光技術は、単独で又は組み合わせて使用することで、硬組織又は軟組織の化学組成を分析してデジタルスペクトルデータを作成できる。幾つかの例において、1以上のタイプの分光法(色、紫外線、深紫外線、可視光、近赤外、及び蛍光分光法を含むがこれらに限定されない)を内視鏡103と共に用いて、ターゲット組織117の組成を識別できる。一例において、分光システム112は、ターゲット組織を、例えば内視鏡プローブ103の第1光伝送媒体108を介して照明する光源104を起動及び制御でき、また、ターゲット組織117から反射され又はターゲット組織117で生成された光応答信号を、例えば作業プローブ113の光伝送媒体を介して受信でき、また、光応答信号119に基づいたスペクトルデータを生成できる。幾つかの例において、光源103は、可視光源、赤外光源、紫外光源、蛍光光源、又はそれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0044】
フィードバックアナライザ116は、分光器128から送出された分光応答信号を受信でき、スペクトルデータにより示された材料の組成又は組成プロファイルを推定でき、そのような推定値を表示でき、又は、主要手術器具102を制御するための1以上の制御信号を提供できる。組成又は構造の情報は、外科手術をより効率的に行うために使用されるフィードバックの提供を補助するために有用であろう。例えば、フィードバックアナライザ116は、分光応答信号を、組織組成データの利用可能なデータベースライブラリと比較できる。フィードバックアナライザ116は、ターゲット材料の組成を分光応答信号に基づいて推定でき、構成を主要手術器具102に提示して、識別された組織組成に対する効果的な組織治療を実現できる。特定の例において、フィードバックアナライザ116は、主要手術器具102の1以上のパラメータ設定を調整するために、1以上の制御信号又は制御データを提供できる。レーザアブレーションの例において、フィードバックアナライザ116又は中間装置は、レーザ設定を、ターゲット材料の組成推定値に基づいて自動的にプログラムできる。幾つかの例において、レーザ設定の調整は、設定された個々の又は多変量安全動作範囲内(例えば、処置の開始時にエンドユーザにより選択された設定に基づく)になるように限定又は制限され得る。
【0045】
特定の例において、分光システム115は、データベース129と任意選択的に通信できる。幾つかの例において、データベース129は、処置に関連する測定値及びその他の情報のためのリポジトリであり得る。幾つかの例において、データベースがより多くの情報を収集すると、分光システム102又はその一部、例えばフィードバックアナライザ116が、データベース129の情報と相互作用して、例えば、レーザシステム112の最も効率的な適用を、処置中に収集又は分析された分光情報に基づいて決定でき、そして、データベース129で利用可能な履歴情報と比較できる。特定の例において、データベースは、主要手術器具102の構成のための一時的なレシピを、処置の分光情報が収集及び分析されるときに提供できる。特定の例において、データベース129は、インターネットベース又はクラウドベースのデータベースを含むことができ、また、フィードバックアナライザ116、或いは分光システム102の幾つかの別の部分と相互作用するように設計されたアプリケーションを含み得、これにより、履歴処置情報に基づき、且つ、処置中に収集された特定の分光情報に適応した効果的な外科処置の実行をアシストできる。
【0046】
例えば、レーザアブレーションシステムの場合、主要手術器具102の構成のためのレシピの一部となり得るレーザ設定は、レーザ動作モード(例えばパルス又は連続波)、パワー、エネルギー、周波数、パルス形状、パルスプロファイル、又はこれらの1以上の組合せを含み得るが、これらに限定されない。特定の例において、レーザシステム112は、幾つかのモードのうち、自動モード又は半自動モードで動作できる。自動モードでは、レーザ設定が、ターゲット材料の組成推定値に基づいて自動的に制御され得る。半自動モードでは、設定変更を行うことへの操作者の承認の何らかの確認表示を受けた後に、ターゲット材料の組成推定値に基づいてレーザ設定が調整され得る。レーザシステム112と分光システム115とフィードバックアナライザ116との組合せが、進行中の術中フィードバックモードで使用されて例えば、ターゲット組織117の組成を、作業プローブ113を介して連続的又は反復的に識別し、レーザ設定を、処置中又は処置全体を通じて更新する。本明細書で論じるようなレーザベースの外科技術以外の別の外科技術を、本主題の範囲から逸脱せずに、ターゲット識別システム100と共に使用できることが理解されよう。
【0047】
特定の例において、ターゲット識別システム100の作業プローブ113の単一の光伝送媒体を使用して、第1のタイプの電磁放射又はビームを、作業プローブ113の遠位端109に位置するターゲット組織117へ又はターゲット組織117から輸送できる。また、この単一の光伝送媒体を使用して、光応答信号を作業プローブ113の遠位端109から分光システム115に輸送できる。光スプリッタ114を使用して、複数の光路を単一の光路に統合でき、或いは、共通光路からの光情報を1以上の別々の光路に分離できる。光スプリッタ114は、波長感受性コーティング(例えば、反射防止性のコーティング若しくは材料、又は、ダイクロイックのコーティング若しくは材料、又はこれらの組合せ)を利用できる。反射防止性コーティングに適した材料は、SiO2(屈折率が約1.4~約1.5)、SiO(屈折率が約1.8~約1.9)、Si3N4(屈折率が約1.9)、TiO2(屈折率が約2.3)、Ta2O5(屈折率が約2.1~約2.3)、MgF2(屈折率が約1.4~約1.5)、BaF2(屈折率が約1.47)などを含み得る。
【0048】
図2は、ターゲット識別システム200の詳細な例を概略的に示している。ターゲット識別システム200は、ビームスプリッタ214、プローブ113、及び、分光システム215を含むことができる。ビームスプリッタ214は、少なくとも3つのポート221,222,223、コリメーションレンズ220、フォーカスレンズ224、及び積分球225を含むことができる。3つのポート221,222,223は、第1光路用の第1ポート221、分光システムへのフィードバック光路用の第2ポート222、及び、共通光路130用の第3ポート223を含むことができ、共通光路130は、第1光信号(例えばレーザビーム118)及び光応答信号119を、ビームスプリッタ214とプローブ113の遠位端との間で伝送するためにある。一例として、レーザエネルギーが、第1ポート221から第3ポート223に、例えばコリメーションレンズ220及びフォーカスレンズ224を介して接続されることができ、光応答信号119が、第3ポート223から第2ポート222に、例えばフォーカスレンズ224及び積分球225の組合せを介して接続されることができる。フォーカスレンズ224は、波長感受性の材料又はコーティング226、例えば、レーザの波長に対しては透過性又は反射防止性であるが光応答信号119の関心波長に対しては高反射性であり得るAR材料を含むことができる。このようにして、レーザエネルギーの、全てではなくともその多くを、第1ポート221から第3ポート223に渡すことができる。光応答信号119は第3ポート223を介して受信されることができ、そして、例えばフォーカスレンズ224のコーティング表面により、反射され又は方向変換されて積分球225に戻ることができる。積分球225の内部表面は、光応答信号119を、光応答信号119が第2ポート222を介して積分球225から出るまで、周囲へと方向変換し続けることができる。光応答信号119は、第2ポート222を介して積分球225を出ると、分光システムに送信され得る。
【0049】
図3は、ターゲット識別システム300の詳細な例を概略的に示している。ターゲット識別システム300は、ビームスプリッタ314、プローブ113、及び、分光システム315を含むことができる。ビームスプリッタ314は、少なくとも3つのポート321,322,323、フォーカスレンズ324、及び、積分球325を含むことができる。3つのポート321,322,323は、レーザに接続されたレーザ光路用の第1ポート321と、分光システムへのフィードバック光路用の第2ポート322と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ314と作業プローブ113の遠位端との間で伝送するための共通光路130用の第3ポート323とを含むことができる。図2のビームスプリッタとは異なり、フォーカスレンズ324は、レーザ光のコリメート機能と、第3ポート323へのレーザ光の集束機能との両方を実行するように設計され得る。動作において、レーザエネルギーが、第1ポート321から第3ポート323にフォーカスレンズ324を介して接続され、光応答信号119が、第3ポート323から第2ポート322に、フォーカスレンズ324と積分球325との組合せを介して接続される。特定の例において、フォーカスレンズ324は、波長感受性の材料又はコーティング326、例えば、レーザの波長に対しては透過性又は反射防止性であるが光応答信号119の波長に対しては高反射性のAR材料を含むことができる。こうして、レーザエネルギーの多くが第1ポート321から第3ポート323に渡され、一方、第3ポート323から受信された光応答信号119は積分球325へと反射される。積分球325は光応答信号119を、画像情報が第2ポート322を介して積分球325から出るまで周囲へと方向変換し続けることができる。光応答信号119は、第2ポート322を介して積分球325から出ると、分光システムに送信され得る。
【0050】
図4は、ターゲット識別システム400の詳細な例を概略的に示している。ターゲット識別システム400は、ビームスプリッタ414、プローブ113、及び、分光システム415を含むことができる。ビームスプリッタ414は、2つのポート421,423、コリメーションレンズ420、フォーカスレンズ424、及び、光学センサ425を含むことができる。2つのポート421,423は、レーザに接続されたレーザ光路用の第1ポート421と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ414と作業プローブの遠位端との間で伝送するための共通光路130用の第2ポート423とを含むことができる。動作において、レーザエネルギーは、第1ポート421から第3ポート423に、コリメーションレンズ420及びフォーカスレンズ424を介して接続される。フォーカスレンズ424は、波長感受性の材料又はコーティング426、例えば、レーザの波長に対しては透過性又は反射防止性であるが光応答信号119の関心波長に対しては高反射性のAR材料を含むことができる。このようにして、レーザエネルギーの、全てではなくともその多くが第1ポート421から第3ポート423に渡される。光応答信号119は、第3ポート423を介して受信されることができ、そして、反射され又は方向変換されて光学センサ425に戻ることができる。上述した例において、分光システムは、典型的には、光応答信号119を受信するための光学センサを含むことができる。図4のビームスプリッタ414において、光応答信号119を受信するための光学センサ425は、ビームスプリッタ414の一部であってよく、光応答信号119のための光路又は光伝送媒体の少なくとも一部を形成できる。
【0051】
図5は、ターゲット識別システム500の詳細な例を概略的に示している。ターゲット識別システム500は、ビームスプリッタ514、プローブ113、及び分光システム515を含むことができる。ビームスプリッタ514は、少なくとも3つのポート521,522,523、コリメーションレンズ520、第1フォーカスレンズ524、及び、ダイクロイックミラー526を含むことができる。幾つかの例において、ビームスプリッタは、オプショナルの第2フォーカスレンズ527を含むことができる。3つのポート521,522,523は、レーザに接続されたレーザ光路用の第1ポート521と、分光システムへのフィードバック光路用の第2ポート522と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ514と作業プローブの遠位端との間で伝送するための共通光路130用の第3ポート523とを含むことができる。動作において、レーザエネルギーが、第1ポート521から第3ポート523に、コリメーションレンズ520及び第1フォーカスレンズ524を介して接続され、光応答信号119が、第3ポート523から第2ポート522に、フォーカスレンズ324とダイクロイックミラー526との組合せを介して接続される。ダイクロイックミラー526は特定の波長の光を通過させ、別の波長の光を反射させる。図5のような特定の例において、このような別の波長は、光応答信号119の波長を含み得る。特定の例において、ダイクロイックミラー526は、レーザエネルギーに関連する波長を通過させ、光応答信号119に関連する波長は反射させるように作製される。こうして、ダイクロイックミラー526は、レーザエネルギーも含む光応答信号119を共通光路130から抽出でき、光応答信号119を分光システムに、ビームスプリッタ514の第2ポート522を介して向けさせることができる。特定の例において、フォーカスレンズ524は、レーザエネルギーの全てではなくても多くが第1ポート521から第3ポート523に渡されるように、レーザの波長に対して透明又は反射防止性であるAR材料などの波長感受性材料又はコーティング526を含むことができる。
【0052】
図6は、アブレーションシステムの動作方法の例を概略的に示している。601において、作業器具が、観察器具、例えば内視鏡の第1管腔を介して延在され得る。603において、観察器具の遠位端の先の領域が、観察器具の光路を介して照明され得る。光源(例えば図1の104)が、観察器具の近位端又は遠位端に配置され得る。光源は、可視光源、赤外光源、紫外光源、蛍光光源、又はこれらの組合せであり得る。605において、光応答情報を、前記領域の照明に応答して、作業器具の光路を介して作業器具の近位端で受信できる。光応答情報は、内視鏡の遠位端の領域におけるターゲット組織から反射された光を含み得る。特定の例において、光応答情報は、内視鏡の遠位端の領域におけるターゲット組織から放出又は発生された光を含み得る。607において、光応答信号は、作業器具の光路から、例えば上述したようなビームスプリッタにより分離され得る。特定の例において、第2光信号は、作業器具の光路を介して、光応答信号が伝送されて作業器具の光路から分離又は分割されるのと同時に伝送され得る。一例として、第2光信号はレーザビームであり得る。例えば、レーザビームは、作業器具の近位端と遠位端の領域との間を、作業器具の光路を介して渡され得る。こうして、作業器具の単一の光路が、レーザビーム及び光応答情報の両方を同時に伝送するための光伝送媒体になり得る。
【0053】
光応答情報を用いて、ターゲット組織の構造及び組成を検出することができる。例えば、光応答情報は分光システムに提供され得る。分光システムは、分光器及びスペクトルアナライザを含み得る。分光器は、光応答情報のスペクトル測定値を提供できる。スペクトルアナライザは、スペクトル測定値を、予想される組成の1以上のサンプルと比較できる。スペクトルアナライザは、ターゲット組織の組成の推定値をベースにすることができる。幾つかの例において、アブレーションシステムのエンドユーザは、患者をより効果的に治療するためにレーザの動作パラメータを調整できる。例えば、スペクトルアナライザにより提供される組成推定値は、現在治療されているターゲット組織が、以前に治療された組織よりも硬いか又は軟らかいかを示すことができる。このような情報により、エンドユーザは、例えば、レーザの強度を調整して、より硬い又はより軟らかいターゲット組織をより効果的にアブレーションできる。幾つかの例において、スペクトルアナライザは、組成推定値に応答して、レーザ又は光源の動作パラメータを自動的又は半自動的に調整できる。
【0054】
図7は、ターゲット識別システム700の一例の詳細図を概して示している。ターゲット識別システム700は、ビームスプリッタ714、作業プローブ113、及び、ビームスプリッタ714に光学的に接続された分光システム715を含むことができる。ビームスプリッタ714は、少なくとも3つのポート721,722,723、コリメーションレンズ720、第1フォーカスレンズ724、及びリフレクタ726を含むことができる。リフレクタ726はガラスであってよく、コーティングを有していてもいなくてもよい。リフレクタ726は、レーザビーム118からのレーザ光を通過させるための開口部を含むことができる。幾つかの例において、ビームスプリッタ714は、オプショナルの第2フォーカスレンズ727を含むことができる。3つのポート721,722,723は、レーザに接続されたレーザ光路のための第1ポート721と、分光システムへのフィードバック光路のための第2ポート722と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ714と作業プローブ113の遠位端との間で伝送するための共通光路130のための第3ポート723とを含むことができる。動作において、レーザエネルギーが、第1ポート721から第3ポート723に、コリメーションレンズ720、リフレクタの開口部、及び、第1フォーカスレンズ724を介して接続される。光応答信号119は、第3ポート723から第2ポート722に、フォーカスレンズ724とリフレクタ726との組合せを介して接続され得る。特定の例において、第3ポート723における光路の直径及び開口数は、第1ポート721にてレーザビームを提供する光路の直径及び開口数よりも大きくてよい。光学ポートと開口数との寸法関係により、ビームスプリッタを介した光応答を、レーザビーム118の光信号よりも遠くに拡張できる。こうして、拡張がより少ない光応答の経路と比較して、レーザビームの経路に影響を与えずにより多くの光を光応答から収集できる。
【0055】
図8は、ターゲット識別システムの一例であるシステム800の詳細図を概略的に示している。ターゲット識別システム800は、ビームスプリッタ814、作業プローブ113、及び、分光システム815を含むことができる。ビームスプリッタ814は、少なくとも3つのポート821,822,823,832、コリメーションレンズ820、第1フォーカスレンズ824、並びに、第1リフレクタ826及び第2リフレクタ836を含むことができる。リフレクタ826,836はガラスであってよく、コーティングを有しても有さなくてもよい。幾つかの例において、ビームスプリッタ814は、オプショナルの第2フォーカスレンズ827,837を含むことができる。4つのポート821,822,823,832は、レーザに接続されたレーザ光路のための第1ポート821と、分光システムへの第1フィードバック光路のための第2ポート822と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ814と作業プローブ113の遠位端との間で伝送するための共通光路130のための第3ポート823と、分光システムへの第2フィードバック光路のための第4ポートとを含むことができる。動作において、レーザエネルギーが、第1ポート821から第3ポート823に、コリメーションレンズ820、リフレクタ826,836、及び第1フォーカスレンズ824を介して接続される。光応答信号119が、第3ポート823から第2ポート822に、フォーカスレンズ824と第1リフレクタ826との組合せを介して接続され得る。また、光応答信号は、第3ポート823から第4ポート832にも、フォーカスレンズ824と第2リフレクタ836との組合せを介して接続され得る。このシステムは、第1フィードバック光路と第2フィードバック光路とを接続する光カプラ830を含むことができ、光応答信号119を提供する。図8の図示された例は、リフレクタがガラスである場合に、レーザビームと共通光路130との効率的な接続を可能にする。同時に、2つのガラス製リフレクタを有することで、単一のリフレクタを使用するよりも、応答光路から、より多くのエネルギーを収集することができ、その結果、より強力な光応答信号119が得られる。特定の例において、リフレクタは開口部を含むことができ、図7の単独のリフレクタ726と同様の方法で使用され得る。開口部は、レーザエネルギーが妨害されずに通過することを可能にし、2つのガラスリフレクタは、レーザビーム周辺のコリメート光からの光応答エネルギーを捕捉できる。
【0056】
図9は、ターゲット識別システムの一例であるシステム900の詳細図を概略的に示している。ターゲット識別システム900は、ビームスプリッタ914、作業プローブ113、及び、分光システム915を含むことができる。ビームスプリッタ914は、少なくとも2つのポート921,923、コリメーションレンズ920、フォーカスレンズ924、及び、1以上のフィードバックファイバ931を含むことができる。フィードバックファイバ又は複数のファイバ束は光応答エネルギーを受け取ることができ、光応答エネルギー又は信号919が分光システム915にて受信されるための光路を提供できる。2つのポート921,923は、レーザに接続されたレーザ光路用の第1ポート921と、レーザ及び光応答信号119の両方をビームスプリッタ914と作業プローブ113の遠位端との間で伝送するための共通光路130用の第2ポート923とを含むことができる。動作において、レーザエネルギーが、第1ポート921から第3ポート923に、コリメーションレンズ920及び第1フォーカスレンズ924を介して接続される。上述したように、光応答信号119は、第3ポート923から分光システムに、フォーカスレンズ924とフィードバックファイバ(複数可)931との組合せを介して接続され得る。特定の例において、第2ポート923における光路の直径及び開口数は、第1ポート921にてレーザビームを提供する光路の直径及び開口数よりも大きくてよい。光学ポートと開口数との寸法関係により、ビームスプリッタを介した光応答信号119を、レーザビーム118の光信号よりも遠くまで拡張できる。こうして、拡張がより少ない光応答の経路と比較して、レーザビームの経路に影響を与えずにより多くの光を光応答から収集できる。特定の例において、追加のフィードバックファイバ931を、レーザの、コリメーションレンズ920とフォーカスレンズ924との間のコリメート経路周辺に配置することにより、光スプリッタ内の光応答信号919のより多くのエネルギーを収集できる。極端には、光応答信号の全ての光を収集するために、フィードバックファイバ931のアセンブリ(例えばリングの形状)がレーザ光の経路周辺に配置されてもよい。
【0057】
付記
上記の詳細な説明は、添付の図面への参照を含み、添付の図面は詳細な説明の一部を成す。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態もまた、本明細書において「実施例」として参照される。そのような例は、示されているか又は記載されているものに加えて、要素を含み得る。しかし、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素のみが提供される例を検討する。更に、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素(又はそれらの1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は置換を、特定の例(又はそれらの1つ以上の態様)か、あるいは本明細書に示されているか又は記載されている別の例(又はそれらの1つ以上の態様)のどちらか一方に関して使用する例を検討する。
【0058】
本文献では、「a」又は「an」という用語は、任意の他の例、又は「少なくとも1つ」若しくは「1つ以上」の使用と無関係に、特許文献において一般的であるように、1つ又は2つ以上を含むように用いられる。本文献では、用語「又は(or)」は、包括的なものを指すように、又は別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、及び「A及びB」を含むように、用いられる。本文献では、「含んでいる(including)」及び「in which」という用語は、「含んでいる(comprising)」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の同意義のものとして用いられる。また、下記の特許請求の範囲では、「含んでいる(including)」及び「含んでいる(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち請求項の範囲内でそのような用語の後に列挙されているものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又は工程が、依然として請求項の範囲内に入ると見なされる。更に、下記の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などという用語は単にラベルとして用いられており、それらの対象物に数的な要件を課することは意図されていない。
【0059】
上記説明は例示的であることが意図され、制限的であることは意図されていない。例えば、前述の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記説明を検討する際に当業者によるなど、他の実施形態が使用され得る。要約は37C.F.R 1.72(b)に従うように提供され、読者が技術的開示の本質を迅速に確認することを可能にする。要約は、それが特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈するか又は制限するのに使用されないという理解の下に提示される。また、上記の発明を実施するための形態では、様々な特徴がグループ化されて、本開示を効率化し得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に不可欠であるよう意図していると見なされるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示される実施形態の全特徴より少ない特徴にある場合がある。したがって、下記の特許請求の範囲は、本明細書によって、発明を実施するための形態に、例又は実施形態として組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせ及び交換において互いに組み合わせられ得ると考えられる。本発明の範囲は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている同等物の完全な範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9