(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】ナット、電子膨張弁、電子膨張弁のストッパ構造および冷却機器
(51)【国際特許分類】
F16K 1/32 20060101AFI20240909BHJP
F25B 41/345 20210101ALI20240909BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20240909BHJP
【FI】
F16K1/32 Z
F25B41/345
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2022537216
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2021121790
(87)【国際公開番号】W WO2022127285
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202023026394.8
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516265089
【氏名又は名称】広東美芝制冷設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】黄龍華
(72)【発明者】
【氏名】陳超
(72)【発明者】
【氏名】楊茂
(72)【発明者】
【氏名】江波
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-533718(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105333197(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106246983(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/32
F16K 31/00-31/05
F25B 41/345-41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁のストッパ構造に使用されるナットであって、前記ストッパ構造はさらにスプリングガイドレールとスライドリングとを含み、前記スプリングガイドレールは、前記ナットの外に嵌装される案内部と、前記案内部の一端に設けられた第1ストッパ部とを含み、前記第1ストッパ部は、前記案内部に接続されている第1軸方向セグメントと、前記第1軸方向セグメントの末端に接続されている第1周方向セグメントとを含み、前記スライドリングは、前記案内部と互いに嵌められて螺合され、前記案内部に沿って前記ナットの長手方向にスライド可能であり、かつ、前記ナットの長手方向における、前記第1軸方向セグメントに対応する位置までスライドすると停止され、前記ナットは、
前記案内部の内側に嵌装され、第1端の外周壁上にリミット係着凸起が凸設されているパイプボディと、
前記パイプボディの第1端に接続された接続座と、を含み、
前記リミット係着凸起と前記接続座との間には、前記第1ストッパ部を取り付けるために用いられる、第1逃げ間隔が設けられており、
前記リミット係着凸起は、周方向において前記第1軸方向セグメントを位置制限するための第1軸方向面と、前記第1逃げ間隔を挟んで前記接続座と対向して、軸方向において前記第1周方向セグメントを位置制限するための第1周方向面とを有し、
前記スプリングガイドレールが前記パイプボディの外に嵌装されている状態では、前記第1軸方向セグメントの全体が前記第1軸方向面に当接する
ナット。
【請求項2】
前記第1ストッパ部はさらに、前記第1周方向セグメントの末端に接続されている第2軸方向セグメントを含み、
前記リミット係着凸起はさらに、周方向において前記第2軸方向セグメントを位置制限するための第2軸方向面を有する
請求項1に記載のナット。
【請求項3】
前記接続座の前記パイプボディに接続される一端には延在部が前記パイプボディに向かって延設されており、前記延在部は前記リミット係着凸起からずれて設けられ、前記リミット係着凸起の第1軸方向面側と第2軸方向面側にそれぞれ第2逃げ間隔および第3逃げ間隔が形成され、前記第1逃げ間隔と前記第2逃げ間隔と前記第3逃げ間隔とは一体に繋がれてU型のリミット溝を形成して、前記第1ストッパ部の位置を制限するために用いられ、
前記リミット係着凸起は、前記パイプボディの前記第1端の反対方向に位置する第2端に向かう方向において、前記延在部より凸出して設けられ、前記スライドリングは、前記ナットの長手方向における、前記第1軸方向セグメントに対応する位置までスライドすると、前記第1軸方向セグメントにおける、前記リミット係着凸起の前記延在部より凸出している部分に対応して前記スライドリングのスライド経路に露出している表面に当接して停止される
請求項2に記載のナット。
【請求項4】
前記パイプボディの第1端の外周壁にさらにブロッキング係着凸起が設けられており、前記ブロッキング係着凸起は、前記リミット係着凸起と前記ナットの周方向に間隔をおいて設けられ、前記リミット係着凸起の第1軸方向面側に第2逃げ間隔が形成され、前記第1軸方向セグメントの周方向位置を制限するために用いられ
、
前記ブロッキング係着凸起は、前記スライドリングが、前記ナットの長手方向における、前記第1軸方向セグメントに対応する位置までスライドすると、前記ブロッキング係着凸起に当接して停止されるように設けられている
請求項1に記載のナット。
【請求項5】
前記リミット係着凸起の周面は、少なくとも部分的に、前記パイプボディの第2端から離れるにつれて前記パイプボディの中心線から離れる方向に傾いて設けられている
請求項1から4の何れか一項に記載のナット。
【請求項6】
前記第1周方向面にはリミット凹溝が設けられており、又は、
前記リミット係着凸起の自由端には、前記パイプボディの第2端から離れる方向に凸設されるリミット凸部が設けられて、前記リミット凸部と前記パイプボディの外周壁との間に係着溝が形成されており、又は、
前記第1周方向面は、前記ナットの周方向において傾いて設けられている
請求項1から4の何れか一項に記載のナット。
【請求項7】
電子膨張弁のストッパ構造であって、前記ストッパ構造は、
請求項1から6の何れか一項に記載のナットと、
前記パイプボディの外に嵌装された案内部と、前記案内部の一端に設けられた第1ストッパ部とを含むスプリングガイドレールと、
前記案内部と互いに嵌められて螺合され、前記案内部に沿って前記ナットの長手方向にスライド可能なスライドリングと、を含み、
前記第1ストッパ部は、前記案内部に接続された第1軸方向セグメントと、前記第1軸方向セグメントの末端に接続された第1周方向セグメントとを含み、前記第1軸方向セグメントは、前記ナットの長手方向において前記パイプボディの前記第1端に近づく方向に延びており、前記第1周方向セグメントは、前記ナットの周方向に延在し、前記第1軸方向セグメントは、前記リミット係着凸起の第1軸方向面側に位置し、かつその全体が前記第1軸方向面に当接し、前記第1周方向セグメントは前記第1逃げ間隔内に位置して且つ前記第1周方向面に当接しており、
前記スライドリングは、前記ナットの長手方向における、前記第1軸方向セグメントに対応する位置までスライドすると停止される
電子膨張弁のストッパ構造。
【請求項8】
前記第1ストッパ部はさらに、前記第1周方向セグメントの末端に接続されている第2軸方向セグメントを含み、前記第2軸方向セグメントは前記ナットの長手方向において前記パイプボディの前記第1端の反対方向に位置する第2端に近づく方向に延在し、前記ナットにおける前記リミット係着凸起はさらに、周方向において前記第2軸方向セグメントを位置制限するための第2軸方向面を有し、前記第2軸方向セグメントは、前記リミット係着凸起の第2軸方向面側に位置し、かつ前記第2軸方向面に当接している
請求項7に記載の電子膨張弁のストッパ構造。
【請求項9】
前記第1ストッパ部はさらに、前記第2軸方向セグメントの末端に接続されている第2周方向セグメントを含み、前記第2周方向セグメントは、前記ナットの周方向に延在し、前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端に向かう側に位置し、前記第2周方向セグメントの末端は、前記第1軸方向セグメントおよび/または前記案内部に接続されている
請求項8に記載の電子膨張弁のストッパ構造。
【請求項10】
前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端に向かう側面と前記第1軸方向セグメントの始端とは、前記ナットの長手方向において近接して設けられている
請求項7から9の何れか一項に記載の電子膨張弁のストッパ構造。
【請求項11】
請求項7から10の何れか一項に記載の電子膨張弁のストッパ構造を含む
電子膨張弁。
【請求項12】
請求項11に記載の電子膨張弁を含む
冷却機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年12月14日に出願された、出願番号が202023026394.8である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は電磁弁の技術分野に関し、特にナット、電子膨張弁、電子膨張弁のストッパ構造および冷却機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、電子膨張弁のストッパ構造は通常、雌ねじを有するナットと、ナットの外に嵌装されたスプリングガイドレール及びスライドリングとを含み、スプリングガイドレールの下端は、軸方向に延在する第1ストッパ部を有し、当該第1ストッパ部の下端は、ナット下端の接続座の中部に設けられた金属接続片に係接する。しかし、スライドリングがスプリングガイドレールに沿って移動するとき、スプリングガイドレールに一定の衝撃が生じるので、時間が経つにつれて、スプリングガイドレールのがたつきが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、従来技術におけるスプリングガイドがたつきやすいという技術的問題を解決することを目的とするナット、及び当該ナットを有するストッパ構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願は電子膨張弁のストッパ構造に使用されるナットを提案し、前記ストッパ構造はさらにスプリングガイドレールを含む。前記ナットは、第1端の外周壁上にリミット係着凸起が凸設されているパイプボディと、前記パイプボディの第1端に接続された接続座と、を含み、前記リミット係着凸起と前記接続座との間には、前記スプリングガイドレールの第1ストッパ部を取り付けるために用いられる、第1逃げ間隔が設けられている。
【0006】
一実施例において、前記接続座の前記パイプボディに接続される一端には延在部が前記パイプボディに向かって延設されており、前記延在部は前記リミット係着凸起からずれて設けられ、前記リミット係着凸起の周方向両側にそれぞれ第2逃げ間隔および第3逃げ間隔が形成され、前記第1逃げ間隔と前記第2逃げ間隔と前記第3逃げ間隔とは一体に繋がれてU型のリミット溝を形成して、前記第1ストッパ部の位置を制限するために用いられる。
【0007】
一実施例において、前記リミット係着凸起は、前記パイプボディの第2端に向かう方向において、前記延在部より凸出している。
【0008】
一実施例において、前記パイプボディの第1端の外周壁にさらにブロッキング係着凸起が設けられており、前記ブロッキング係着凸起は、前記リミット係着凸起と前記ナットの周方向に間隔をおいて設けられ、前記第1ストッパ部の周方向位置を制限するために用いられる。
【0009】
一実施例において、前記リミット係着凸起の周面は、少なくとも部分的に、前記パイプボディの第2端から離れるにつれて前記パイプボディの中心線から離れる方向に傾いて設けられている。
【0010】
一実施例において、前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端から離れた側面にはリミット凹溝が設けられており、又は、
前記リミット係着凸起の自由端には、前記パイプボディの第2端から離れる方向に凸設されるリミット凸部が設けられて、前記リミット凸部と前記パイプボディの外周壁との間に係着溝が形成されており、又は、
前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端から離れた側面は、前記ナットの周方向において傾いて設けられている。
【0011】
本願はさらに電子膨張弁のストッパ構造を提案し、前記ストッパ構造は、上記ナットと、前記パイプボディの外に嵌装された案内部と、前記案内部の一端に設けられた第1ストッパ部とを含むスプリングガイドレールと、を含み、前記第1ストッパ部は、前記案内部に接続された第1軸方向セグメントと、前記第1軸方向セグメントの末端に接続された第1周方向セグメントとを含み、前記第1軸方向セグメントは、前記ナットの長手方向に延びており、前記第1周方向セグメントは、前記ナットの周方向に延在し、前記第1軸方向セグメントは、前記リミット係着凸起の一方側に位置し、前記第1周方向セグメントは前記第1逃げ間隔内に位置して且つ前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端から離れた側面に当接している。
【0012】
一実施例において、前記第1ストッパ部はさらに、前記第1周方向セグメントの末端に接続されている第2軸方向セグメントを含み、前記第2軸方向セグメントは前記パイプボディの第2端に近づく方向に延在し、前記リミット係着凸起の他方側に位置する。
【0013】
一実施例において、前記第1ストッパ部はさらに、前記第2軸方向セグメントの末端に接続されている第2周方向セグメントを含み、前記第2周方向セグメントは、前記ナットの周方向に延在し、前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端に向かう側に位置し、前記第2周方向セグメントの末端は、前記第1軸方向セグメントおよび/または前記案内部に接続されている。
【0014】
一実施例において、前記リミット係着凸起の前記パイプボディの第2端に向かう側面と前記第1軸方向セグメントの始端とは、前記ナットの長手方向において近接して設けられている。
【0015】
本願はさらに、上記電子膨張弁のストッパ構造を含む電子膨張弁を提案する。
【0016】
本願はさらに、上記電子膨張弁を含む冷却機器を提案する。
【発明の効果】
【0017】
本願において、スプリングガイドレールの第1ストッパ部を取り付けるために、パイプボディの接続座に近い一端にリミット係着凸起を設置することにより、第1ストッパ部を接続座上の金属接続片まで延在させてから固定する必要がなく、第1ストッパ部の軸方向延在長さを短くすることができるので、第1ストッパ部の耐衝撃性を向上させて、変位や変形を生じ難くすることができる。これによって、スプリングガイドレールのがたつきを防止することができるとともに、スプリングガイドレールの案内部とパイプボディとの同軸度を確保することができ、ストッパ構造の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる図面を簡単に紹介する。下記説明における図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの図面が示す構造に基づいて他の図面を得ることができる。
【0019】
【
図1】本願の電子膨張弁の一実施例の構造模式図である。
【
図2】
図1における電子膨張弁のストッパ構造の一つの角度から見た構造模式図である。
【
図3】
図2におけるストッパ構造の分解模式図である。
【
図6】
図2におけるストッパ構造のもう一つの角度から見た構造模式図である。
【
図8】
図2におけるスプリングガイドレールの構造模式図である。
【
図9】
図2におけるスライドリングの構造模式図である。
【
図10】本願の電子膨張弁のもう一つの実施例における、スプリングガイドレールの構造模式図である。
【
図11】本願の電子膨張弁のまた別の実施例における、ナットの構造模式図である。
【0020】
図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面と結び付けて本願の実施例の技術案を明確かつ全体的に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得た全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属す。
【0022】
もし本願実施例で方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後…)に関わる場合、当該方向性指示はある特定の姿勢(図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、もし当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれに応じて変わることは説明すべきである。
【0023】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。
【0024】
また、全文において現れた「及び/又は」は三つの並行する案を含むことを意味する。「A及び/又はB」を例に取ると、A案、或いはB案、或いはAとBとが同時に満たされる案を含むことになる。
【0025】
本願は、ナット、このナットを有するストッパ構造、およびこのストッパ構造を有する電子膨張弁を提案する。具体的には、
図1~
図6および
図9に示すように、前記電子膨張弁1000はストッパ構造100を含み、前記ストッパ構造100はナット10と、スプリングガイドレール20と、スライドリング30とを含み、前記スプリングガイドレール20はスライドリング30に螺合してからナット10に嵌装される。
【0026】
本発明の一実施例において、
図1~
図6および
図7に示すように、前記ナット10は、パイプボディ11と接続座12とを含み、前記パイプボディ11の第1端の外周壁上にはリミット係着凸起111が凸設され、前記接続座12はパイプボディ11の第1端に接続され、前記リミット係着凸起111と接続座12との間には、前記スプリングガイドレール20の第1ストッパ部22を取り付けるために、第1逃げ間隔a1が設けられている。
【0027】
具体的には、
図2及び
図7に示す状態において、前記接続座12はパイプボディ11の下端(即ち第1端)に設けられ、前記リミット係着凸起111はパイプボディ11の外周壁の下端に設けられている。
【0028】
一般性を失うことなく、前記パイプボディ11は雌ねじを有し、前記接続座12の外径又は等価外径はパイプボディ11の外径又は等価外径より大きく、前記接続座12とパイプボディ11との間に段差構造が形成されている。前記接続座12の内径又は等価内径は、パイプボディ11の内径又は等価内径より大きい。
【0029】
なお、本明細書の説明を容易にするために、以下では
図2および
図7に示す状態を補助的に用いてストッパ構造100を詳細に説明するが、これによって本明細書を限定するわけではない。
【0030】
具体的には、
図1~6および
図8に示すように、前記スプリングガイドレール20は、パイプボディ11の外に嵌装された案内部21と、案内部21の一端に設けられた第1ストッパ部22とを含み、前記第1ストッパ部22は、案内部21に接続された第1軸方向セグメント221と、第1軸方向セグメント221の末端に接続された第1周方向セグメント222とを含み、前記第1軸方向セグメント221は、前記ナット10の長手方向(かつ前記パイプボディ11の第2端から離れる方向)に延びており、前記第1周方向セグメント222は、前記ナット10の周方向に延在し、前記第1軸方向セグメント221は、リミット係着凸起111の一方側に位置し、前記第1周方向セグメント222は第1逃げ間隔a1内に位置して且つ前記リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端から離れた側面に当接しており、すなわち、第1周方向セグメント222は、スプリングガイドレール20が前記パイプボディ11の第2端に近づく方向にスライドするのを制限するように、リミット係着凸起111に引っ掛かる。
【0031】
図2に示す状態において、前記第1軸方向セグメント221は、リミット係着凸起111の右側に位置し、そして一つの実施例において、リミット係着凸起111の右側面に当接して、構造のコンパクト化を図る。
【0032】
具体的には、前記スライドリング30と案内部21とが互いに嵌められて螺合され、スライドリング30が案内部21に沿ってナット10の長手方向にスライドすることが可能である。
【0033】
具体的には、前記案内部21の接続座12に向かう一端は、接続座12からナット10の長手方向に間隔をおいて設けられている。
【0034】
第1軸方向セグメント221は、スライドリング30の下降ストローク上に位置しており(スライドリング30の下降はすなわち、スライドリング30の、パイプボディ11の第1端へ向かうスライドである)、スライドリング30が下降するとき、スライドリング30の下降を制限して下降の停止を達成するように、スライドリング30の接続座12に向かう一端を第1軸方向セグメント221に当接させることができる。そして、前記スライドリング30の接続座12へ向かう一端は、第1軸方向セグメント221のリミット係着凸起111から離れた側に当接する(ように構成されている)。なお、第1軸方向セグメント221がリミット係着凸起111の右側面に当接すれば、スライドリング30の衝撃力が第1ストッパ部22に与える影響をさらに低減することができる。
【0035】
本願では、スプリングガイドレール20の第1ストッパ部22を取り付けるために、パイプボディ11の接続座12に近い一端にリミット係着凸起111を設置することにより、第1ストッパ部22を接続座12上の金属接続片300まで延在させてから固定する必要がなく、第1ストッパ部22の軸方向延在長さを短くすることができるので、第1ストッパ部22の耐衝撃性を向上させて、変位や変形を生じ難くすることができる。これによって、スプリングガイドレール20のがたつきを防止することができるとともに、スプリングガイドレール20の案内部21とパイプボディ11との同軸度を確保することができ、ストッパ構造100の信頼性を向上させることができる。
【0036】
具体的な応用において、第1ストッパ部22と嵌合可能であれば、前記リミット係着凸起111を円形、矩形、台形等の比較的規則的な形状としてもよいし、規則的でない形状としてもよい。ここでは、それを円形、矩形、又は台形等の比較的規則的な形状とすることで、設計及び生産を容易にすることができ、以下では、主にリミット係着凸起111を矩形とする場合を例として説明する。なお、上記形状とは、パイプボディ11の周面へのリミット係着凸起111の投影形状である。
【0037】
さらに、
図7に示すように、前記接続座12の前記パイプボディ11に接続される一端には、延在部13が前記パイプボディ11に向かって延設されており、前記延在部13は前記リミット係着凸起111からずれて設けられ、前記リミット係着凸起111の周方向両側にそれぞれ第2逃げ間隔a2および第3逃げ間隔a3を形成する。前記第1逃げ間隔a1と前記第2逃げ間隔a2、前記第3逃げ間隔a3は一体に繋がれてU型のリミット溝を形成して、前記第1ストッパ部22の位置を制限するために用いられる。
【0038】
具体的には、
図2、および
図4~
図6に示すように、前記第1周方向セグメント222は、第1逃げ間隔a1内に配置されるように構成されている。これにより、第1周方向セグメント222の位置を第1逃げ間隔a1内に制限して、スプリングガイドレール20の軸方向位置制限を実現することができる。
【0039】
具体的には、
図2および
図6に示すように、前記第1軸方向セグメント221は、第2逃げ間隔a2または第3逃げ間隔a3内に配置されるように構成され、これにより、第1軸方向セグメント221の位置を制限して、スプリングガイドレール20の周方向位置制限を実現することができる。
【0040】
上述した構造設定により、スプリングガイドレール20の周方向及び軸方向での位置の制限を実現することができ、さらに、第1ストッパ部22の耐衝撃性を向上させることができるので、スプリングガイドレール20の取付安定性を向上させることができる。
【0041】
組み付け時には、外力によって第1ストッパ部22を開いて、第1周方向セグメント222にリミット係着凸起111を乗り越えさせ、そして第1ストッパ部22自体の弾性力によって復元するようにすることにより、第1周方向セグメント222が第1逃げ間隔a1内に係止され、第1軸方向セグメント221が第2逃げ間隔a2または第3逃げ間隔a3内に係止されるようにする。
【0042】
さらに、
図7に示すように、前記リミット係着凸起111は、パイプボディ11の第2端に向かう方向において、延在部13より凸出している。このようにすれば、スライドリング30が下降するときに、スライドリング30の下端の、第1軸方向セグメント221に当接する部位は、リミット係着凸起111の延在部13より凸出している部分に対応するので、第1軸方向セグメント221への衝撃を低減することができる。
【0043】
具体的には、延在部13の外周面はテーパ状環状面または弧状環状面とされている。一実施例において、前記接続座12のパイプボディ11に接続される一端の外周面はテーパ状環状面または弧状環状面とされている。
【0044】
さらに、
図2に示すように、前記リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端に向かう側面と第1軸方向セグメント221の始端とは、前記ナット10の長手方向において近接して設けられている。すなわち、前記リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端に向かう側面は、前記ナット10の長手方向において、第1軸方向セグメント221の始端に近接して設けられている。これにより、好適に、第1軸方向セグメント221の長さを短くして、構造のコンパクト性および耐衝撃性を向上させることができる。
【0045】
さらに、前記リミット係着凸起111の周面は、少なくとも部分的に、前記パイプボディ11の第2端から離れるにつれて前記パイプボディ11の中心線から離れる方向に傾いて設けられている。換言すれば、前記リミット係着凸起111の厚さは、前記パイプボディ11の第2端から離れる方向に、少なくとも部分的に逓増するように設けられている。これにより、スプリングガイドレール20の装着時に、第1周方向セグメント222を前記パイプボディ11の第2端から離れる方向にスライドするように案内して、組み付けの難易度を低減することができる。
【0046】
さらに、
図1~
図6および
図8に示すように、前記第1ストッパ部22はさらに、前記第1周方向セグメント222の末端に接続されている第2軸方向セグメント223を含み、前記第2軸方向セグメント223は前記パイプボディ11の第2端に近づく方向に延在し、前記リミット係着凸起111の他方側に位置する。
【0047】
具体的には、前記第1軸方向セグメント221と第2軸方向セグメント223とのうちの一方は、第2逃げ間隔a2内に配置されるように構成され、他方は、第3逃げ間隔a3内に配置されるように構成されている。
【0048】
これにより、第1ストッパ部22の接続安定性及び信頼性をより向上させることができ、そのがたつきの可能性をさらに低減することができる。
【0049】
さらに、ナット10の長手方向におけるリミット係着凸起111の幅に対する前記第2軸方向セグメント223の長さの比は1/4以上である。このようにして、第2軸方向セグメント223が一定の耐衝撃能力を有するように保証することができる。
【0050】
本実施例において、
図1~
図6および
図8に示すように、前記第2軸方向セグメント223の長さは、ナット10の長手方向におけるリミット係着凸起111の幅に相当する。
【0051】
本発明のもう一つの実施例において、
図10に示すように、第1ストッパ部22の接続安定性をより向上させるために、前記第1ストッパ部22が前記第2軸方向セグメント223の末端に接続された第2周方向セグメント224をさらに含むようにしてもよい。前記第2周方向セグメント224は、前記ナット10の周方向に延在し、リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端に向かう側に位置し、前記第2周方向セグメント224の末端は、前記第1軸方向セグメント221および/または案内部21に接続されている。これにより、第1ストッパ部22の構造的強度を向上させることにより、第1ストッパ部22の取付安定性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0052】
もちろん、他の実施例において、他の形態によって第1ストッパ部22の接続安定性を向上させることも可能である。例えば、一部の実施例において、前記リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端から離れた側面にリミット凹溝を設けて、前記第1周方向セグメント222を当該リミット凹溝内に係止させてもよい。さらにいくつかの実施例において、前記リミット係着凸起111の自由端(すなわち、パイプボディ11の中心線から離れた端部)に、前記パイプボディ11の第2端から離れる方向に凸設されるリミット凸部を設けて、前記リミット凸部とパイプボディ11の外周壁との間に、前記第1周方向セグメント222を係止するための係着溝を形成するようにしてもよい。さらにいくつかの実施例において、リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端から離れた側面が前記ナット10の周方向において傾いて設けられ、前記第1周方向セグメント222が第1軸方向セグメント221から離れるにつれて前記パイプボディ11の第2端に近づく方向に傾いて設けられるようにすることで、第1周方向セグメント222が、リミット係着凸起111の前記パイプボディ11の第2端から離れた側面にフィットして当接するように構成してもよい。その他の例も挙げられる。
【0053】
なお、具体的な適用において、上記の第1ストッパ部22の接続安定性を向上させる構造形態を単独で適用してもよいし、矛盾しないかぎり互いに組み合わせて適用してもよい。
【0054】
なお、本発明の他の実施例において、他の方法で第1ストッパ部22とスプリングガイドレール20との周方向の位置制限を形成してもよい。
【0055】
本願のまた別の実施例において、
図11に示すように、前記パイプボディ11の第1端の外周壁にさらにブロッキング係着凸起112が設けられ、前記ブロッキング係着凸起112とリミット係着凸起111とがナット10の周方向に間隔をおいて設けられ、第1軸方向セグメント221がリミット係着凸起111とブロッキング係着凸起112との間に係止されることで、前記第1ストッパ部22とスプリングガイドレール20の周方向位置制限を実現し、前記スライドリング30が下降する時に、当該ブロッキング係着凸起112の他方側又は第1軸方向セグメント221に当接できるようにしてもよい。
【0056】
本実施例において、前記リミット係着凸起111及び第1ストッパ部22に対する他の限定は、以上の実施例を参照でき、ここで説明を省く。
【0057】
また、本願のさらに別の実施例において、前記第1ストッパ部22が少なくとも、それぞれリミット係着凸起111の少なくとも三方側に設けられる第1軸方向セグメント221、第1周方向セグメント222および第2軸方向セグメント223を含むようにして、前記第1ストッパ部22とスプリングガイドレール20の周方向位置制限を実現するとともに、前記スライドリング30が下降する時に、第1軸方向セグメント221に当接できるようにしてもよい。なお、本実施例において、延在部13とブロッキング部を設ける必要はない。
【0058】
当該実施例において、一実施例として、前記第1ストッパ部22は、それぞれリミット係着凸起111の四方側に設けられる第1軸方向セグメント221、第1周方向セグメント222、第2軸方向セグメント223および第2周方向セグメント224を含む。
【0059】
本実施例において、前記リミット係着凸起111及び第1ストッパ部22に対する他の限定は、以上の実施例を参照でき、ここで説明を省く。
【0060】
以下、電子膨張弁1000の他の構造について簡単に説明する。
【0061】
さらに、
図1に示すように、前記電子膨張弁1000はさらに弁箱200を含み、前記弁箱200はハウジング210と弁座220とを含み、前記ストッパ構造100は前記弁箱200内に設けられている。
【0062】
具体的には、前記接続座12の外周面には、弁座220に接続される金属接続シート300が設けられている。一実施例において、前記金属接続シート300は、前記接続座12と一体に射出成形されている。
【0063】
さらに、
図1~
図6及び
図7に示すように、前記スプリングガイドレール20はさらに第2ストッパ部23を含み、前記スライドリング30は、案内部21に沿って第2ストッパ部23と第1ストッパ部22との間でスライドする。
【0064】
具体的には、スプリングガイドレール20としては通常、円筒バネを採用している。
【0065】
本願における電子膨張弁1000のストッパ構造100は構造が簡単でコンパクトであり、取り付けが容易であり、電子膨張弁の製造コストを低減できることが理解される。
【0066】
本願はまた、冷却装置を提案する。当該冷却装置は電子膨張弁を含み、当該電子膨張弁の具体的な構造については、上記実施例を参照されたい。本冷却機器は上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての技術的効果を有し、ここでは説明を省く。
【0067】
前記冷却機器は一実施例においてエアコン、又は冷蔵庫などである。
【0068】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた等価構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100 ストッパ構造
10 ナット
11 パイプボディ
111 リミット係着凸起
112 ブロッキング係着凸起
12 接続座
13 延在部
20 スプリングガイドレール
21 案内部
22 第1ストッパ部
221 第1軸方向セグメント
222 第1周方向セグメント
223 第2軸方向セグメント
224 第2周方向セグメント
23 第2ストッパ部
30 スライドリング
a1 第1逃げ間隔
a2 第2逃げ間隔
a3 第3逃げ間隔
1000 電子膨張弁
200 弁箱
210 ハウジング
220 弁座
300 金属接続片