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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】信号測定方法および信号測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/304 20210101AFI20240909BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20240909BHJP
   A61B 5/276 20210101ALI20240909BHJP
   A61B 5/28 20210101ALI20240909BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240909BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20240909BHJP
【FI】
A61B5/304
A61B5/256 130
A61B5/276 100
A61B5/28
A61B5/11 200
A61B5/332
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022551723
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2020123695
(87)【国際公開番号】W WO2021169339
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202010132725.1
(32)【優先日】2020-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 翔宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 宜欣
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217016(JP,U)
【文献】特表2014-528328(JP,A)
【文献】特表2013-528070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図検査ECGの信号測定装置に適用される信号測定方法であって、前記方法は、
マルチリード測定モードを有効化し、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得するステップと、
前記複数のリードの前記信号の特徴を抽出し、前記複数のリードの前記信号の前記特徴に基づいて前記複数のリードの前記信号の品質を取得するステップと、
前記複数のリードの前記信号の前記品質が第1の閾値よりも大きいか、または、前記ユーザが静止状態にある場合、
前記複数のリードの前記信号の前記抽出された特徴を出力するステップと、
前記複数のリードの前記信号の前記品質が第1の閾値以下であり、かつ、前記ユーザが運動状態にある場合、
右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるステップと、
シングルリードの信号を取得するステップと、
前記シングルリードの前記信号からコモンモード信号を除去するステップと、
除去処理が実行された前記シングルリードの前記信号の特徴を抽出し出力するステップと
を含み、
前記信号測定装置は、左耳電極、右耳電極、頸部電極、これら3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器、ウィルソンネットワーク回路、コモンモード生成回路、モード選択スイッチ、およびプロセッサを備え、前記左耳電極は左耳測定アセンブリに接続され、前記右耳電極は右耳測定アセンブリに接続され、前記モード選択スイッチは接続されている前記頸部電極、頸部測定アセンブリと右脚駆動電極と選択に接続可能であり、前記コモンモード生成回路は前記右脚駆動電極およびコモンモード増幅器を備え、前記コモンモード増幅器の正電極が基準レベルに接続され、出力電極が前記右脚駆動電極に接続され、
前記左耳電極および前記右耳電極は、前記対応する前置増幅器および前記ウィルソンネットワーク回路の正電極にそれぞれ別々に接続され、前記モード選択スイッチにより、前記ウィルソンネットワーク回路の前記正電極は、前記マルチリード測定モードでは、前記頸部電極に接続され、前記シングルリードモードでは、前記頸部電極から切り離され、前記ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、前記3つの電極の前記前置増幅器の負電極に別々に接続され、前記3つの電極にそれぞれ対応する前記前置増幅器は、前記プロセッサに接続され、
前記ウィルソンネットワーク回路の前記中央電気端子は、前記コモンモード増幅器の負電極にさらに接続され、
マルチリード測定モードを有効化する前記ステップは、
前記マルチリード測定モードを有効化するために、前記ウィルソンネットワーク回路の前記正電極が前記頸部電極に接続されるように前記モード選択スイッチを制御するステップ
を含み、
右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える前記ステップは、
前記頸部電極が前記右脚駆動電極に接続されるように前記モード選択スイッチを制御するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
複数のリードの信号を取得する前記ステップは、
リードIの信号を取得するために、前記左耳電極と前記右耳電極との間の信号を測定するステップと、
リードIIの信号を取得するために、前記右耳電極と前記頸部電極との間の信号を測定するステップと、
リードIIIの信号を取得するために、前記左耳電極と前記頸部電極との間の信号を測定するステップと、
前記リードIの前記信号、前記リードIIの前記信号、および前記リードIIIの前記信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リードIの前記信号、前記リードIIの前記信号、および前記リードIIIの前記信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する前記ステップは、
前記リードaVRの前記信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、
前記リードaVLの前記信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、
前記リードavFの前記信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たす
ことを含み、
REが前記右耳電極の信号であり、LEは前記左耳電極の信号であり、Nは前記頸部電極の信号である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のリードの前記信号の特徴を抽出する前記ステップは、
前記複数のリードの前記信号の平均値を取得するステップと、
前記複数のリードの前記信号のうちの各リードの信号と、前記複数のリードの前記信号の前記平均値とに基づいて、各リードの前記信号の特徴として、各リードの前記信号に対応する相関係数を取得するステップと
を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のリードの前記信号の前記特徴に基づいて前記複数のリードの前記信号の品質を取得する前記ステップは、
各リードの前記信号に対応する前記相関係数に基づいて、前記複数のリードの前記信号の前記品質として、前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の平均値を取得するステップと、
前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の前記平均値が前記第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値以下である場合、前記複数のリードの前記信号の前記特徴を出力する前記ステップを実行するステップ、または
前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の前記平均値が前記第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第3の閾値以上である場合、前記右脚駆動による前記シングルリードモードに切り替える前記ステップを実行するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記複数のリードの前記信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜するステップと、
前記選抜された信号の特徴を抽出するステップと
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ユーザの状態を取得する前記ステップは、
前記加速度信号を取得するステップと、
前記加速度信号が前記第2の閾値以下である場合、前記ユーザが前記静止状態にあると判定するステップ、または、
前記加速度信号が前記第3の閾値以上である場合、前記ユーザが前記運動状態にあると判定するステップと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
心電図検査ECGの信号測定装置であって、前記装置が、
マルチリード測定モードを有効化するように構成されたモード選択スイッチと、
複数のリードの信号およびユーザの状態を取得するように構成された信号取得モジュールと、
前記複数のリードの前記信号の特徴を抽出するように構成された特徴抽出モジュールと、
前記複数のリードの前記信号の前記特徴に基づいて前記複数のリードの前記信号の品質を取得するように構成された信号品質取得モジュールと、
前記複数のリードの前記信号の前記品質が第1の閾値よりも大きいか、または、前記ユーザが静止状態にある場合、前記複数のリードの前記信号の前記抽出された特徴を出力するように構成された出力モジュールと、
シングルリードの前記信号からコモンモード信号を除去するように構成されたコモンモード信号除去モジュールと、
を備え、
前記複数のリードの前記信号の前記品質が第1の閾値以下であり、かつ、前記ユーザが運動状態にある場合、
前記モード選択スイッチが、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えられるようにさらに構成され、
前記信号取得モジュールが、前記シングルリードの信号を取得するようにさらに構成され、
前記特徴抽出モジュールが、除去処理が実行された前記シングルリードの前記信号の特徴を抽出するようにさらに構成され、
前記出力モジュールが、前記シングルリードの前記信号の前記抽出された特徴を出力するようにさらに構成され、
前記信号取得モジュールは、左耳電極、右耳電極、頸部電極、これら3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器、ウィルソンネットワーク回路、およびプロセッサを備え、前記コモンモード信号除去モジュールは右脚駆動電極およびコモンモード増幅器を備え、前記コモンモード増幅器の正電極が基準レベルに接続され、出力電極が前記右脚駆動電極に接続され、前記左耳電極は左耳測定アセンブリに接続され、前記右耳電極は右耳測定アセンブリに接続され、前記モード選択スイッチは接続されている前記頸部電極、頸部測定アセンブリと前記右脚駆動電極と選択に接続可能であり、前記左耳電極および前記右耳電極は、前記対応する前置増幅器および前記ウィルソンネットワーク回路の正電極にそれぞれ別々に接続され、前記モード選択スイッチにより、前記ウィルソンネットワーク回路の前記正電極は、前記マルチリード測定モードでは、前記頸部電極に接続され、前記シングルリードモードでは、前記頸部電極から切り離され、前記ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、前記3つの電極の前記前置増幅器の負電極に別々に接続され、前記3つの電極にそれぞれ対応する前記前置増幅器は、前記プロセッサに接続され、前記ウィルソンネットワーク回路の前記中央電気端子は、前記コモンモード増幅器の負電極にさらに接続され、
前記モード選択スイッチは、
前記マルチリード測定モードを有効化する場合には、前記ウィルソンネットワーク回路の前記正電極が前記頸部電極に接続され、
前記右脚駆動によるシングルリードモードを行う場合には、前記頸部電極と前記右脚駆動電極とが接続されるように構成される、
信号測定装置。
【請求項9】
前記信号取得モジュールは、
リードIの信号を取得するために、前記左耳電極と前記右耳電極との間の信号を測定し、
リードIIの信号を取得するために、前記右耳電極と前記頸部電極との間の信号を測定し、
リードIIIの信号を取得するために、前記左耳電極と前記頸部電極との間の信号を測定し、
前記リードIの前記信号、前記リードIIの前記信号、および前記リードIIIの前記信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する
ように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記リードaVRの前記信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、
前記リードaVLの前記信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、
前記リードavFの前記信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たし、
REが前記右耳電極の信号であり、LEは前記左耳電極の信号であり、Nは前記頸部電極の信号である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記特徴抽出モジュールは、前記複数のリードの前記信号の平均値を取得し、前記複数のリードの前記信号のうちの各リードの信号と、前記複数のリードの前記信号の前記平均値とに基づいて、各リードの前記信号の特徴として、各リードの前記信号に対応する相関係数を取得するように構成される、請求項8から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記信号品質取得モジュールは、各リードの前記信号に対応する前記相関係数に基づいて、前記複数のリードの前記信号の前記品質として、前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の平均値を取得するように構成され、
前記出力モジュールは、前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の前記平均値が前記第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値以下である場合、前記複数のリードの前記信号の前記特徴を出力するように構成され、
前記モード選択スイッチは、前記複数のリードの前記信号に対応する前記相関係数の前記平均値が前記第1の閾値以下であり、かつ、前記加速度信号が第3の閾値以上である場合、前記右脚駆動による前記シングルリードモードに切り替えるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、
前記複数のリードの前記信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜するように構成された信号選抜モジュールをさらに備え、
前記特徴抽出モジュールは、前記選抜された信号の特徴を抽出するように構成される、請求項8から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記信号取得モジュールは、前記加速度信号を取得するようにさらに構成され、
前記装置は、
前記加速度信号が前記第2の閾値以下である場合、前記ユーザが前記静止状態にあると判定するように構成された判定モジュールをさらに備え、
前記判定モジュールが、前記加速度信号が前記第3の閾値以上である場合、前記ユーザが前記運動状態にあると判定するようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月29日付で中国国家知識産権局に出願された、「信号測定方法および信号測定装置」という名称の中国特許出願第202010132725.1号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、医療用電子技術の分野に関し、特に、信号測定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
中国における心血管疾患の罹患率は増加を続けており、心血管疾患の死亡率は1位であり、腫瘍および他の疾患の死亡率よりも高い。
【0004】
心電図検査(electrocardiography、ECG)は、心臓病学における最も一般的な検査手段であり、心血管疾患を測定および診断するための最良の方法である。しかしながら、医療用の標準的な12リード心電計は、サイズが大きく検査部位が限られているため、家族や個人には適さない。
【0005】
現在、ウェアラブルデバイス、例えば心電図腕時計やリストバンドが発売されている。3つの電極が腕時計本体に配置され、左手と右手との間の電位を測定し、リードIのECGを測定することができる。具体的な測定方法は、腕時計(リストバンド)を装着することによって、腕時計(リストバンド)の背面に配置された1つまたは2つの電極が手首の皮膚と接触し、他方の手の指が残りの電極に能動的に接触してリードIの測定を形成することである。しかしながら、計測には左手と右手の協働が必要であり、リアルタイム計測を実現することは困難である。さらに、左手と右手との間にはシングルリード測定のみを形成することができる。
【0006】
別の解決策では、2つまたは3つの電極がヘッドセットに配置され、ヘッドセットが装着されたときにリアルタイムのECG測定を実施することができる。しかしながら、ECG測定を行うために電極がヘッドセット上に配置される現在の解決策は、現在、シングルリード解決策であり、情報はほとんど得られていない。
【0007】
加えて、現在、心電図情報の静的測定中にユーザが移動状態にあるときに心電図の信号品質を保証する方法についての解決策はない。
【0008】
このことを考慮して、測定された心電信号の品質をどのように改善するかが、本出願において解決される必要がある問題である。
【発明の概要】
【0009】
本出願は、測定信号の品質を改善するための信号測定方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、信号測定装置に適用される信号測定方法が提供される。本方法は、マルチリード測定モードを有効化し、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得するステップと、複数のリードの信号の特徴を抽出し、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得するステップと、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいか、または、ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力するステップ、または、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得するステップと、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するステップと、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出し出力するステップとを含む。
【0011】
この態様では、3電極ECGシステムの右脚駆動電極を有するマルチリードECG測定モードとシングルリードECG測定モードとの間の自動切り替えは、信号の品質およびユーザの運動状態を判定することによって実施される。複数のリードの信号の品質が良好である場合、複数のリードの信号の抽出された特徴が出力される。あるいは、シングルリードの信号からコモンモード信号が除去された後にのみ、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴が抽出され出力されることにより、ユーザの心電信号を正確に測定するために、より高品質な心電信号が得られることができる。
【0012】
可能な実装形態では、信号測定装置は、左耳電極、右耳電極、頸部電極、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器、ウィルソンネットワーク回路、コモンモード生成回路、モード選択スイッチ、およびプロセッサを含む。左耳電極は左耳測定アセンブリに接続され、右耳電極は右耳測定アセンブリに接続され、モード選択スイッチは頸部測定アセンブリに接続される。コモンモード生成回路は右脚駆動電極およびコモンモード増幅器を備える。左耳電極、右耳電極、および頸部電極は、対応する前置増幅器およびウィルソンネットワーク回路の正電極にそれぞれ別々に接続され、ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、3つの電極の前置増幅器の負電極に別々に接続され、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器は、プロセッサに接続される。ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、コモンモードアンプの負電極にさらに接続される。マルチリード測定モードを有効化するステップは、マルチリード測定モードを有効化するために、頸部電極に接続されるようにモード選択スイッチを制御するステップを含む。
【0013】
本実装形態では、信号測定装置は回路実装が簡単であり、測定モードの切り替えに便利である。
【0014】
別の可能な実装形態では、複数のリードの信号を取得するステップは、リードIの信号を取得するために、左耳電極と右耳電極との間の信号を測定するステップと、リードIIの信号を取得するために、右耳電極と頸部電極との間の信号を測定するステップと、リードIIIの信号を取得するために、左耳電極と頸部電極との間の信号を測定するステップと、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得するステップとを含む。
【0015】
本実装形態では、3つの測定電極およびウィルソンネットワークを使用することにより6つのリードの信号が取得され得る。ユーザの測定操作は簡単である。
【0016】
さらに別の可能な実装形態では、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得するステップは、リードaVRの信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、リードaVLの信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、リードavFの信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たすことを含む。REは右耳電極の信号であり、LEは左耳電極の信号であり、Nは頸部電極の信号である。
【0017】
さらに別の可能な実装形態では、複数のリードの信号の特徴を抽出するステップは、複数のリードの信号の平均値を取得するステップと、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と、複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得するステップとを含む。
【0018】
本実装形態では、リードの信号に対応する相関係数は、リードの信号の特徴を正確に表すことができる。
【0019】
さらに別の可能な実装形態では、方法は、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号の品質として、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得するステップと、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値以下である場合、複数のリードの信号の特徴を出力するステップを実行するステップ、または複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第3の閾値以上である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるステップを実行するステップとをさらに含む。
【0020】
本実装形態では、複数のリードの信号の品質が悪く、ユーザが運動状態にあるとき、測定によって取得された複数のリードの信号は不安定であり、測定結果として出力され得ない。したがって、右脚駆動によるシングルリード測定モードに切り替えると、右脚駆動電極の負帰還を用いてシングルリードの信号からコモンモード信号を除去することができ、良好な品質のシングルリードの信号を取得することができる。
【0021】
さらに別の可能な実装形態では、本方法は、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜するステップと、選抜された信号の特徴を抽出するステップとをさらに含む。
【0022】
本実装形態では、出力結果の品質を改善するために、要求に基づいて複数のリードの信号から良好な信号品質を有する信号が選抜されることができ、次いで、選抜された信号の特徴が抽出される。
【0023】
さらに別の可能な実施態様では、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得するステップは、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、シングルリードモードを有効化するために、右脚駆動電極に切り替えるようにモード選択スイッチを制御するステップを含む。シングルリードの信号を取得するステップは、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得するステップを含む。シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するステップは、中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得するステップと、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するステップとを含む。
【0024】
本実装形態では、複数のリードの信号の品質が悪く、ユーザが運動状態にあるとき、測定によって取得された複数のリードの信号は不安定であり、測定結果として出力され得ない。したがって、右脚駆動によるシングルリード測定モードに切り替えると、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりシングルリードの信号からコモンモード信号を除去することができ、良好な品質のシングルリードの信号を取得することができる。
【0025】
さらに別の可能な実装形態では、ユーザの状態を取得するステップは、加速度信号を取得するステップと、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザが静止状態にあると判定し、または、加速度信号が第3の閾値以上である場合、ユーザが運動状態にあると判定するステップとを含む。
【0026】
本実装形態では、ユーザの状態は信号測定に大きな影響を及ぼす。したがって、加速度信号を決定することによって、ユーザの正確な状態が取得され得る。
【0027】
第2の態様によれば、信号測定装置が提供される。本装置は、マルチリード測定モードを有効化するように構成されたモード選択スイッチと、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得するように構成された信号取得モジュールと、複数のリードの信号の特徴を抽出するように構成された特徴抽出モジュールと、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得するように構成された信号品質取得モジュールと、複数のリードの信号が第1の閾値よりも大きいか、または、ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力し、モード選択スイッチは、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるようにさらに構成され、信号取得モジュールは、シングルリードの信号を取得するようにさらに構成される、ように構成された出力モジュールと、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するように構成されたコモンモード信号除去モジュールとを備える。特徴抽出モジュールは、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出するようにさらに構成される。出力モジュールは、シングルリードの信号の抽出された特徴を出力するようにさらに構成される。
【0028】
可能な実装形態では、信号取得モジュールは、左耳電極、右耳電極、頸部電極、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器、ウィルソンネットワーク回路、およびプロセッサを含む。コモンモード信号除去モジュールは右脚駆動電極およびコモンモード増幅器を含む。左耳電極は左耳測定アセンブリに接続され、右耳電極は右耳測定アセンブリに接続され、モード選択スイッチは頸部測定アセンブリに接続される。左耳電極、右耳電極、および頸部電極は、対応する前置増幅器およびウィルソンネットワーク回路の正電極にそれぞれ別々に接続され、ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、3つの電極の前置増幅器の負電極に別々に接続され、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器は、プロセッサに接続される。ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、コモンモードアンプの負電極にさらに接続される。モジュール選択スイッチは、マルチリード測定モードを有効化するために頸部電極に接続するように構成される。
【0029】
別の可能な実装形態では、信号取得モジュールは、リードIの信号を取得するために、左耳電極と右耳電極との間の信号を測定し、リードIIの信号を取得するために、右耳電極と頸部電極との間の信号を測定し、リードIIIの信号を取得するために、左耳電極と頸部電極との間の信号を測定し、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得するように構成される。
【0030】
さらに別の可能な実装形態では、リードaVRの信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、リードaVLの信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、リードavFの信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たす。REは右耳電極の信号であり、LEは左耳電極の信号であり、Nは頸部電極の信号である。
【0031】
さらに別の可能な実装形態では、特徴抽出モジュールは、複数のリードの信号の平均値を取得し、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と、複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得するように構成される。
【0032】
さらに別の可能な実装形態では、信号品質取得モジュールは、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号の品質として、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得するように構成される。出力モジュールは、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値よりも小さい場合、複数のリードの信号の特徴を出力するように構成される。モード選択スイッチは、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第2の閾値以上である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるように構成される。
【0033】
さらに別の可能な実装形態では、本装置は、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜するように構成された信号選抜モジュールをさらに含む。特徴抽出モジュールは、選抜された信号の特徴を抽出するように構成される。
【0034】
さらに別の可能な実装形態では、モード選択スイッチは、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、シングルリードモードを有効化するために、右脚駆動電極に切り替えるように構成される。信号取得モジュールは、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得するように構成される。コモンモード信号除去モジュールは、中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得し、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するように構成される。
【0035】
さらに別の可能な実装形態では、信号取得モジュールは、加速度信号を取得するようにさらに構成される。本装置は、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザが静止状態にあると判定するように構成された判定モジュールをさらに含む。判定モジュールは、加速度信号が第3の閾値以上である場合、ユーザが運動状態にあると判定するようにさらに構成される。
【0036】
第3の態様によれば、入力装置と、出力装置と、メモリと、プロセッサとを含む信号測定装置が提供される。メモリはプログラム命令を記憶し、プロセッサは、以下の動作を実行するためにプログラム命令を呼び出すように構成され、動作は、
マルチリード測定モードを有効化し、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得する動作と、複数のリードの信号の特徴を抽出し、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得する動作と、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいか、または、ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力するように出力装置を制御する動作と、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得する動作と、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作と、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出する動作と、シングルリードの信号の抽出された特徴を出力するように出力装置を制御する動作と
である。
【0037】
可能な実装形態では、プロセッサは、以下の動作、すなわち、マルチリード測定モードを有効化するために、頸部電極に接続されるようにモード選択スイッチを制御する動作を実行するようにさらに構成される。
【0038】
別の可能な実装形態では、プロセッサが複数のリードの信号を取得する動作を実行することは、リードIの信号を取得するために、左耳電極と右耳電極との間の信号を測定する動作と、リードIIの信号を取得するために、右耳電極と頸部電極との間の信号を測定する動作と、リードIIIの信号を取得するために、左耳電極と頸部電極との間の信号を測定する動作と、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する動作とを含む。
【0039】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサが、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する動作を実行することは、リードaVRの信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、リードaVLの信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、リードavFの信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たすことを含む。REは右耳電極の信号であり、LEは左耳電極の信号であり、Nは頸部電極の信号である。
【0040】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサが複数のリードの信号の特徴を抽出する動作を実行することは、複数のリードの信号の平均値を取得する動作と、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と、複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得する動作とを含む。
【0041】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサは、以下の動作、すなわち、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号の品質として、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得する動作と、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値以下である場合、複数のリードの信号の特徴を抽出する動作を実行し、または、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第3の閾値以上である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える動作を実行する動作とをさらに実行する。
【0042】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサは、以下の動作、すなわち、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜する動作と、選抜された信号の特徴を抽出する動作とをさらに実行する。
【0043】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサが、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得する動作を実行することは、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、シングルリードモードを有効化するために、右脚駆動電極に切り替えるようにモード選択スイッチを制御する動作を含む。プロセッサが、シングルリードの信号を取得する動作を実行することは、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得する動作を含む。プロセッサが、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作を実行することは、中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得する動作と、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作とを含む。
【0044】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサがユーザの状態を取得する動作を実行することは、加速度信号を取得する動作と、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザが静止状態にあると判定し、または、加速度信号が第3の閾値以上である場合、ユーザが運動状態にあると判定する動作とを含む。
【0045】
第4の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つによる方法を実行することが可能になる。
【0046】
第5の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ上でコンピュータプログラム製品が実行されると、コンピュータは、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つによる方法を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本出願の一実施形態によるネックバンド型ヘッドセットの構造の概略図である。
図2】本出願の一実施形態による信号測定装置の構造の概略図である。
図3】本出願の一実施形態による信号測定方法の概略フローチャートである。
図4A】本出願の一実施形態による別の信号測定方法の概略フローチャートである。
図4B】本出願の一実施形態による別の信号測定方法の概略フローチャートである。
図5図1に示されるネックバンド型ヘッドセットを使用することによるマルチリード測定モードでの測定の概略図である。
図6】マルチリード測定モードにおける信号測定装置の内部回路の構造の一例の概略図である。
図7】シングルリード測定モードにおける信号測定装置の内部回路の構造の一例の概略図である。
図8】ユーザが信号測定装置を用いることにより測定を実行するシナリオの概略図である。
図9】本出願の一実施形態による別の信号測定装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、本出願の実施形態における添付図面を参照して本出願の実施形態を説明する。
【0049】
現在、次のような解決策があり、すなわち、ヘッドセットが装着されたときにリアルタイムのECG測定を実施するために、2つまたは3つの電極がヘッドセットに配置される。しかしながら、ECG測定を行うために電極がヘッドセット上に配置される現在の解決策は、現在、シングルリード解決策であり、情報はほとんど得られていない。図1は、本出願の一実施形態によるネックバンド型ヘッドセットの構造の概略図である。ネックバンド型ヘッドセットにおいて、電極の配置方法は以下の通りであり、すなわち、左耳(left ear、LE)イヤピースのハウジング部上の測定アセンブリ1(LE電極に接続される)および右耳(right ear、RE)イヤピースのハウジング部上の測定アセンブリ2(RE電極に接続された)は、それぞれ、ユーザの左右の耳の耳介の皮膚に接触するように構成される。しかしながら、これに限られるわけではないが、左イヤピースおよび右イヤピースのハウジングは、例えばイヤマウントなどの構造で実現されてもよい。頸部(neck、N)測定アセンブリ3(N電極に接続される)は、6リード解決策における第3の電極およびシングルリード解決策における「右脚駆動電極」として使用される。処理回路4は、アナログフロントエンド(analog front end、AFE)と、加速度計(accelerometer、ACC)と、マイクロ制御ユニット(micro control unit、MCU)とを含む。AFEは、前述の電極、演算増幅器(amplifier、AMP)、アナログ・デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)などを含む。一実施形態では、ネックバンド型ヘッドセットは、ネックバンド型ヘッドセットによる測定信号を処理することができる。別の実施形態では、各電極の信号を測定した後、ネックバンド型ヘッドセットは、代替的に、ヘッドセットに無線接続された端末に信号を送信してもよく、端末が処理を実行する。回路4は、通信モジュール、例えばBluetooth送信モジュールをさらに含んでもよい。通信モジュールの通信方式は、無線または有線の接続方式であってもよい。端末は、携帯電話、スマートウォッチ、スマートバンド、コンピュータなどであってもよい。
【0050】
本実施形態におけるネックバンド型ヘッドセットは、マルチリード測定モードおよびシングルリード測定モードで動作し得る。具体的には、電極1、2、および3による測定によって取得された信号が処理された後に、複数のリードの信号が取得され得る。複数のリードの信号の品質が良好であるか、またはユーザが比較的静止状態にある場合、複数のリードの信号の特徴が抽出される。複数のリード線の信号の品質が悪いか、またはユーザが運動状態にある場合、ネックバンド型ヘッドセットは、シングルリード測定モードに切り替えられてもよい。この場合、右脚駆動電極として頸部電極が使用され、左耳電極および右耳電極の表面上の電気信号のコモンモード成分が右脚駆動電極に伝達される。右脚駆動の負帰還を使用することによって人体のコモンモード電圧を基準レベルに近づけることにより、すべての電極の入力の中心が入力範囲の中心に位置するようにして、システムのコモンモードノイズを低減し、シングルリードの信号の信号品質を向上させる。
【0051】
図2は、本出願の一実施形態による信号測定装置の構造の概略図である。信号測定装置1000は、マルチリード測定モードを有効化するように構成されたモード選択スイッチ11と、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得するように構成された信号取得モジュール12と、複数のリードの信号の特徴を抽出するように構成された特徴抽出モジュール13と、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得するように構成された信号品質取得モジュール14と、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいか、または、ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力し、モード選択スイッチ11は、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるようにさらに構成され、信号取得モジュール12は、シングルリードの信号を取得するようにさらに構成される、出力モジュール15と、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するように構成されたコモンモード信号除去モジュール16とを含む。特徴抽出モジュール13は、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出するようにさらに構成される。出力モジュール15は、シングルリードの信号の抽出された特徴を出力するようにさらに構成される。
【0052】
可能な実装形態では、信号取得モジュール12は、左耳電極、右耳電極、頸部電極、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器、ウィルソンネットワーク回路、およびプロセッサを含む。コモンモード信号除去モジュール16は右脚駆動電極およびコモンモード増幅器を含む。左耳電極は左耳測定アセンブリに接続され、右耳電極は右耳測定アセンブリに接続され、モード選択スイッチ11は頸部測定アセンブリに接続される。左耳電極、右耳電極、および頸部電極は、対応する前置増幅器およびウィルソンネットワーク回路の正電極にそれぞれ別々に接続され、ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、3つの電極の前置増幅器の負電極に別々に接続され、3つの電極にそれぞれ対応する前置増幅器は、プロセッサに接続される。ウィルソンネットワーク回路の中央電気端子は、コモンモードアンプの負電極にさらに接続される。モジュール選択スイッチ11は、マルチリード測定モードを有効化するために頸部電極に接続するように構成される。
【0053】
別の可能な実装形態では、信号取得モジュール12は、リードIの信号を取得するために、左耳電極と右耳電極との間の信号を測定し、リードIIの信号を取得するために、右耳電極と頸部電極との間の信号を測定し、リードIIIの信号を取得するために、左耳電極と頸部電極との間の信号を測定し、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得するように構成される。
【0054】
さらに別の可能な実装形態では、リードaVRの信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、リードaVLの信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、リードavFの信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たす。REは右耳電極の信号であり、LEは左耳電極の信号であり、Nは頸部電極の信号である。
【0055】
さらに別の可能な実装形態では、特徴抽出モジュール13は、複数のリードの信号の平均値を取得し、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と、複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得するように構成される。
【0056】
さらに別の可能な実装形態では、信号品質取得モジュール14は、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得するように構成される。出力モジュール15は、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値よりも小さい場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力するように構成される。モード選択スイッチ11は、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第2の閾値以上である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えるように構成される。
【0057】
さらに別の可能な実装形態では、本装置は、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜するように構成された信号選抜モジュール18をさらに含む。特徴抽出モジュール13は、選抜された信号の特徴を抽出するように構成される。
【0058】
さらに別の可能な実装形態では、モード選択スイッチ11は、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、シングルリードモードを有効化するために、右脚駆動電極に切り替えるように構成される。信号取得モジュール12は、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得するように構成される。コモンモード信号除去モジュール16は、中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得し、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去するように構成される。
【0059】
さらに別の可能な実装形態では、信号取得モジュール12は、加速度信号を取得するようにさらに構成される。本装置は、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザが静止状態にあると判定するように構成された判定モジュール17をさらに含む。判定モジュールは、加速度信号が第3の閾値以上である場合、ユーザが運動状態にあると判定するようにさらに構成される。
【0060】
次に、図2に示される信号測定装置を参照して、信号測定プロセスについて詳細に説明する。
【0061】
図3は、本出願の一実施形態による信号測定方法の概略フローチャートである。本方法は以下のステップを含み得る。
【0062】
S101:モード選択スイッチは、マルチリード測定モードを有効化し、信号取得モジュールは、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得する。
【0063】
本実施形態では、信号測定装置は、複数の測定電極(例えば、図1に示されるネックバンド型ヘッドセットの電極LE、RE、およびN)を含み、複数の測定アセンブリ(LE、RE、およびN測定アセンブリ)の信号を測定することができる。信号測定装置は、右脚駆動電極をさらに含む。右脚駆動電極を含む右脚駆動回路は、本質的に負帰還を実現する。右脚駆動回路の機能は、増幅器に入力されるコモンモード信号を除去してコモンモード除去比(common-mode rejection ratio、CMRR)を改善するために通常使用される。コモンモードを除去するために、コモンモード信号が逆増幅され人体に接続される。右脚駆動は、生体電気収集におけるコモンモード電圧を低減するために主に使用される。右脚駆動は、コモンモード干渉を低減するために必要な方法である。
【0064】
モード選択ユニットの一端は、測定アセンブリ(例えば、N個の測定アセンブリ)のうちの1つに接続され、モード選択ユニットの他端は、1つの測定電極(例えば、N電極)に接続されてもよく、または右脚駆動電極に接続されてもよい。モード選択ユニットの他端が測定電極(例えば、N電極)に接続される場合、信号測定装置は、マルチリード測定モードを有効化する。モード選択部の他端が右脚駆動電極に接続される場合、信号測定装置は、シングルリード測定モードを有効化する。
【0065】
モード選択ユニットは、端末によって送信された命令を受信することによって、または信号測定装置のデフォルト構成に基づいて、マルチリード測定モードを有効化することができる。具体的には、端末によって送信された命令は、マルチリード測定モードを有効化するように信号測定装置に命令するために使用される。あるいは、信号測定装置は、デフォルトで、信号測定装置の電源がオンになったときにマルチリード測定モードが有効化されるように構成する。また、マルチリード測定モードが有効化される前に信号測定装置がシングルリードモードである場合、モード選択ユニットの切り替え制御信号に基づいて信号測定装置はマルチリード測定モードに切り替えられてもよい。
【0066】
本実施形態では、複数のリードは6つのリードであってもよい。信号測定装置は、3つの測定電極を含み、ウィルソンネットワークを使用することにより6リードの信号を取得することができる。
【0067】
S102:特徴抽出モジュールは、複数のリードの信号の特徴を抽出する。
【0068】
複数のリード線の取得された信号は、ユーザの完全な心電信号である。心電信号は、一般に心電図によって表され得る。心電図の各心拍周期は、P波、QRS群、およびT波を含む一連の規則的な波形を含む。これらの波形の始点、終点、ピーク、谷、および間隔は、心臓活動状態の詳細な情報を記録し、これは心疾患診断の重要な分析基礎を提供する。したがって、複数のリードの信号が取得された後に、複数のリードの信号の特徴が抽出され得る。
【0069】
具体的には、疾患診断のための特徴、例えば、R-R間隔(R-R interval、RRI)または周波数領域を取得するために、複数のリードの信号のECG波形におけるP波、PR間隔、QRS群、J点、ST区間、T波、U波、およびQT間隔などの波形情報が抽出される。P波は心房の興奮を表し、前半は右心房の興奮を表し、後半は左心房の興奮を表す。PR間隔は、洞房結節で生成された刺激が心房、房室接合部および房室束を介して心室に到達し、心室筋を興奮させ始めるまでに要する期間を表す。したがって、PR間隔は房室伝導期間とも呼ばれる。QRS群は心室脱分極を表し、興奮時間限界は0.11秒未満である。心臓の左右の束枝の伝導ブロック、または心室の拡大もしくは肥大などが生じると、QRS群が広がって変形し、時間限界が長くなる。J点は、QRS波の終端とSTセグメントの始端との交点である。J点は、すべての心室筋細胞が脱分極していることを示す。それは、すべての心室筋が脱分極しており、再分極がまだ開始していない期間である。このとき、すべての位置の心室筋は脱分極状態にあり、細胞間に電位差はない。したがって、STセグメントは通常等電位線上にあるべきである。ある位置の心筋に虚血または壊死が現れると、脱分極の完了後も心室は依然として電位差を有する。このとき、心電図上のSTセグメントがシフトする。その後のT波は心室の再分極を表す。QRS波の主波の上りリードにおいて、T波の方向はQRS波の主波の方向と同じであるべきである。U波は心室の再分極に関連する。QT間隔は、心室の脱分極から再分極までの期間を表す。
【0070】
S103:信号品質取得モジュールは、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得する。
【0071】
複数のリードの信号の取得された品質は、複数のリードの信号の特徴が測定結果として使用され得るかどうかを判定する。複数のリードの信号の全体的な品質は、各リードの信号の特徴に基づいて取得され得る。例えば、すべてのリードの信号の特徴の平均値に基づいて、複数のリードの信号の品質が取得され得る。
【0072】
S104:モード選択スイッチは、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいかどうかを判定する。複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きい場合、ステップS106が実行される。複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下である場合、ステップS105が実行される。
【0073】
複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きい場合、複数のリードの信号の品質が良好であることを示し、複数のリードの信号は測定結果として使用され得る。複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下である場合、複数のリードの信号の品質が悪いことを示し、複数のリードの信号は測定結果として使用され得ない。モード選択スイッチは、モード切り替えを実行する必要がある。第1の閾値は、経験に基づいて設定されてもよい。
【0074】
S105:モード選択スイッチは、ユーザが静止状態にあるかどうかを判定する。ユーザが静止状態である場合、ステップS106が実行され、ユーザが運動状態である場合、ステップS107が実行される。
【0075】
ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの測定信号は安定しており、マルチリード測定モードでの測定によって取得された複数のリードの信号が測定結果として使用され得る。しかし、ユーザが運動状態にある場合、測定にコモンモード干渉が引き起こされる。また、複数のリードの信号の品質が悪い場合、右脚駆動によるシングルリード測定モードで測定が実行される必要がある。
【0076】
なお、ステップS105とステップS104との間に特に順序はない。具体的には、モード選択スイッチは、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいかどうかを最初に判定し、次いで、ユーザが静止状態にあるかどうかを判定することができ、または、ユーザが静止状態にあるかどうかを最初に判定し、次いで、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいかどうかを判定することができ、または、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいかどうかと、ユーザが静止状態にあるかどうかとを同時に判定することができる。
【0077】
複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きい場合、またはユーザが静止状態にある場合、マルチリード測定モードでの動作が継続して実行される。モード選択スイッチは、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替えて測定を実行する。
【0078】
S106:出力モジュールは、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力する。
【0079】
複数のリードの信号の抽出された特徴は、例えば音声または画面表示の方法で出力されてもよい。
【0080】
S107:モード選択スイッチが、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にあると判定した場合、モード選択スイッチは、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える。信号取得モジュールは、シングルリードの信号を取得する。
【0081】
複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、モード選択スイッチは、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える。信号取得モジュールは、シングルリードの信号を取得する。具体的には、信号取得モジュールは、モード選択スイッチに接続された測定電極以外の他の2つの電極を使用することにより測定を実行し、シングルリードの信号を取得する。
【0082】
S108:コモンモード信号除去モジュールは、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する。
【0083】
2つの電極の表面上の電気信号のコモンモード成分は右脚駆動回路に送信される。右脚駆動の負帰還を使用することにより人体のコモンモード電圧を基準レベルに近づけることにより、すべての電極の入力の中心が入力範囲の中心に位置するようにして、システムのコモンモードノイズを低減する。具体的には、システムの信号品質を向上させるために、コモンモード信号はシングルリードの信号から除去され得る。
【0084】
S109:特徴抽出モジュールは、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出する。
【0085】
複数のリードの信号の特徴を抽出する場合と同様に、特徴抽出モジュールは、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出してもよい。
【0086】
また、シングルリードの信号の特徴を抽出する前に、シングルリードの信号はフィルタリングされ得る。
【0087】
S110:シングルリードの信号の抽出された特徴を出力する。
【0088】
シングルリードの信号の抽出された特徴は、例えば音声または画面表示の方法で出力されてもよい。
【0089】
本出願のこの実施形態で提供される信号測定方法によれば、3電極ECGシステムの右脚駆動電極を用いたマルチリードECG測定モードとシングルリードECG測定モードとの間の自動切り替えは、信号の品質およびユーザの運動状態を判定することによって実施される。複数のリードの信号の品質が良好である場合、複数のリードの信号の抽出された特徴が出力される。あるいは、シングルリードの信号からコモンモード信号が除去された後にのみ、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴が抽出され出力されることにより、ユーザの心電信号を正確に測定するために、より高品質な心電信号が得られることができる。
【0090】
図4Aおよび図4Bは、本出願の一実施形態による別の信号測定方法の概略フローチャートである。本方法は以下のステップを含み得る。
【0091】
S201:マルチリード測定モードを有効化するために、モード選択スイッチが頸部電極に接続される。
【0092】
本実施形態では、信号測定装置は、図1に示されるネックバンド型ヘッドセットであってもよい。マルチリード測定モードを有効化するために、モード選択スイッチは、ユーザ命令または内部動作命令に基づいて頸部電極に接続される。モード選択スイッチは、頸部電極に接続されると、右脚駆動電極から切り離される。
【0093】
S202:信号取得モジュールは、リードIの信号を取得するために左耳電極と右耳電極との間の信号を測定し、リードIIの信号を取得するために右耳電極と頸部電極との間の信号を測定し、リードIIIの信号を取得するために左耳電極と頸部電極との間の信号を測定する。
【0094】
S203:信号取得モジュールは、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する。
【0095】
図5は、図1に示されるネックバンド型ヘッドセットを使用することによるマルチリード測定モードでの測定の概略図である。左耳LE電極、右耳RE電極、および頸部N電極は、いずれも中央電気端子に接続されている。電極LEおよび電極REがリードIを構成し、電極Nおよび電極REがリードIIを構成し、電極Nおよび電極LEがリードIIIを構成する。
【0096】
図6は、マルチリード測定モードにおける信号測定装置の内部回路の一例の模式図である。もちろん、信号測定のための回路構造はこれに限定されない。皮膚の表面の心電信号は、左耳(left ear、LE)電極、右耳(right ear、RE)電極、および頸部(neck、N)電極を使用することにより収集される。3つの電極の表面の電気信号は、マルチプレクサ(multiplexer、MUX)回路およびウィルソン(Wilson)ネットワークを通過して6リードシステムを構成し、2段利得調整可能演算増幅器(例えば、AD761)によって増幅およびフィルタリングされる。増幅およびフィルタリングされ、アナログ・デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)によって変換された信号は、MCUに送信される。ウィルソンネットワークは抵抗器ネットワークである。LE、RE、およびN電極は、3つの等しい抵抗器を使用することにより互いに接続され、平均電位を有する中央端子を構成し、これは、ウィルソン中央電気端子、中央電位端子、またはウィルソン中央電気末端と呼ばれる。中央電気端子の電圧は、体の平均電圧を表す。そして、加速度計(accelerometer、ACC)を使用することにより測定して取得された加速度信号がADCで処理され、MCUに送信される。MCUは、LE、RE、およびN電極、ならびに中央電気端子の信号を処理して、複数のリードの信号を取得する。具体的には、測定モードの選択および測定中に、マルチプレクサの内部スイッチがECG3に切り替えられ、それにより、頸部(N)電極がAFEモジュールのECG3の入力に接続される。この場合、頸部電極は右脚駆動回路(RLD)から切り離されており、右脚駆動回路は機能しない。3つの電極の信号は、演算増幅器Aの正電極に入力される。演算増幅器Aには、3つの電極チャネルを介して人体コモンモード電圧が入力される。演算増幅器Aは、Wilson中央電気端子のVcmを取得するために出力を実行する。Vcmは、3つのECGの前置増幅器(すなわち、ECG1の前置増幅器、ECG2の前置増幅器、およびECG3の前置増幅器)の負電極に入力される。このようにして、3つの電極入力を有する6リードシステムが構成され得る。
【0097】
6つのリードは、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、およびリードavFを指す。電極LEおよび電極REがリードIを構成し、電極Nおよび電極REがリードIIを構成し、電極Nおよび電極LEがリードIIIを構成する。リードI、リードII、およびリードIIIに基づいて、リードaVR、リードaVL、およびリードavFは、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)、およびリードavF=N-0.5×(LE+RE)と推定され得る。
【0098】
引き続き図5を参照されたい。左耳LE電極、右耳RE電極、および頸部N電極は中央電気端子にすべて接続され、電極LEおよび電極REはリードIを構成し、電極Nおよび電極REはリードIIを構成し、電極Nおよび電極LEはリードIIIを構成する。中央電気端子は、6つのリードを構成するために、3つのECG電極の前置増幅器の負電極に入力される。具体的には、リードI、リードII、およびリードIIIに基づいて、リードaVR、リードaVL、およびリードavFは、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)、およびリードavF=N-0.5×(LE+RE)と推定され得る。
【0099】
S204:特徴抽出モジュールは、複数のリードの信号の平均値を取得する。
【0100】
S205:特徴抽出モジュールは、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得する。
【0101】
電極LE、RE、およびNの信号はMCUに入力され、MCUは、前述の6つのリードの組成に基づいて6つのリードの信号A1~A6を取得することができる。さらに、すべての電極の信号が取得された後、信号がMCUに送信される前に、信号はフィルタリングされ得る。
【0102】
特徴抽出は、複数のリードの信号からPearson相関係数、Spearman相関係数などの相関係数を抽出することを含む。相関係数は、変数間の相関の近さを反映するために使用される統計的指標である。Pearson相関係数(Pearson correlation coefficient)は、2つのデータセットが同一線上にあるかどうかを測定するために使用され、固定範囲変数間の線形関係を測定するために使用される。統計学では、チャールズ・スピアマンの名前を付けたランク付けされたデータに対するスピアマンの相関係数がSpearman相関係数である。スピアマン相関係数は、ギリシャ文字ρでしばしば表される。スピアマン相関係数は、2つの変数間の依存性を測定するノンパラメトリック指標である。スピアマン相関係数は、2つの統計的変数間の相関を評価するために単調な方程式を使用する。データに重複する値がなく、2つの変数が完全に単調に相関している場合、スピアマン相関係数は+1または-1である。
【0103】
ECG信号の場合、リードと複数のリードの平均値との間の相関係数が高いほど、信号品質が良好であることを示す。各リードの信号と6つのリードの信号の平均値とに基づいて計算することにより、6つの相関係数が取得され得る。6つのリードの平均値は、A=(|A1|+|A2|+|A3|+|A4|+|A5|+|A6|)/6である。A1に対応する相関係数は、γ1=cov(A,A1)/σAσA1であり、A2に対応する相関係数は、γ2=cov(A,A2)/σAσA2であり、以下同様である。
【0104】
S206:信号品質取得モジュールは、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号の品質として、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得する。
【0105】
各リードの信号の相関係数が取得された後、6つの相関係数の平均値Feat1=(|γ1|+|γ2|+|γ3|+|γ4|+|γ5|+|γ6|)/6が取得されることができ、複数のリードの信号の全体的な信号品質を反映する。
【0106】
信号の品質は、複数のリードの信号に基づいて代替的に決定されてもよいことが理解されよう。信号の品質は、特定の信号値であってもよい。
【0107】
S207:モード選択スイッチは、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいかどうかを判定する。平均値が第1の閾値よりも大きい場合、ステップS209が実行される。平均値が第1の閾値よりも大きくない場合、ステップS208が実行される。
【0108】
モード選択スイッチは、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいかどうかを判定する。具体的には、モード選択スイッチは、複数のリードの信号に対応する相関係数の取得された平均値に基づいて、当該平均値が第1の閾値よりも大きいかどうかを判定する。
【0109】
S208:判定モジュールは、加速度信号が第2の閾値以下であるかどうかを判定する。加速度信号が第2の閾値以下である場合、ステップS209が実行される。加速度信号が第2の閾値よりも大きい場合、ステップS211が実行される。
【0110】
ユーザが静止状態にあるか運動状態にあるかは、装置の加速度信号を使用することにより判定され得る。この場合、信号取得モジュールは、加速度信号をさらに取得することができる。具体的には、加速度センサを使用することによりユーザの加速度信号が収集され得る。加速信号はMCUに送信される。加速度センサは、具体的には、重力センサなどであってもよい。ユーザがヘッドセットを装着して運動状態にあるとき、ネックバンド型ヘッドセットは、加速度によってネックバンド型ヘッドセットの重力センサ内部の結晶変形が引き起こされるという特性を利用する。変形は電圧を生成するので、生成された電圧と印加された加速度との間の関係が計算される限り、加速度は出力のための電圧に変換され得る。
【0111】
加速度信号が第2の閾値以下である場合、判定モジュールは、ユーザが静止状態にあると判定する。加速度信号が第3の閾値以上である場合、判定モジュールは、ユーザが運動状態にあると判定する。判定モジュールは、判定された結果をモード選択スイッチに出力する。
【0112】
S207とS208との間に順序はないことに留意されたい。複数のリードの信号または加速度信号に対応する相関係数の平均値が第2の閾値以下である場合、S209が実行される。
【0113】
S209:複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または加速度信号が第2の閾値以下である場合、信号選抜モジュールは、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜する。
【0114】
複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きい場合、マルチリードシステムの取得された全体的な信号品質が第1の閾値よりも大きく、全体的な信号品質が良好であることが示される。あるいは、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザは現在基本的に静止状態にあり、マルチリードシステムを使用することにより取得された複数のリードの信号の品質が良好であることが示される。
【0115】
複数のリードの信号が出力され得ると判定された場合、リードの所望の信号が要件に基づいて選抜され得る。例えば、特定のリードを観察することによってのみ診断することができる疾患、例えば冠動脈心疾患の場合、リードの所望の信号が選抜される。別の例では、各リードの信号が第4の閾値と比較され、第4の閾値以上のリード信号が選抜される。
【0116】
さらに、選抜されたリード信号はフィルタリングされてもよい。
【0117】
S210:選抜された信号の特徴を出力する。
【0118】
複数のリードの信号のうちの各リードの信号の特徴が予め抽出されているので、選抜された信号の特徴は選抜されたリード信号に基づいて出力され得る。
【0119】
S211:判定モジュールは、加速度信号が第3の閾値以上であるかどうかを判定する。加速度信号が第3の閾値以上である場合、ステップS212が実行される。加速度信号が第3の閾値未満である場合、ステップS208が実行される。
【0120】
複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下である、すなわち、複数のリードの信号の品質が悪く、判定モジュールが、加速度信号が第3の閾値以上である、すなわち、ユーザが運動状態にあると判定した場合、判定結果はモード切り替えスイッチに出力される。
【0121】
S212:モード切替スイッチは、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える。
【0122】
複数のリードの信号の品質が悪く、かつ、ユーザが運動状態にあると判定された場合、モード切替スイッチは、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える。
【0123】
S213:信号取得モジュールは、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得する。
【0124】
S214:中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得する。
【0125】
S215:シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する。
【0126】
具体的には、図7は、シングルリード測定モードにおける信号測定装置の内部回路の構造の一例の概略図である。複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、加速度信号が第2の閾値以上である場合、マルチプレクサの内部スイッチはRLDに切り替えられ、その結果、頸部(N)電極はAFEモジュールのRLDに接続され、同時にAFEモジュールのECG3から切り離され、AFEモジュールのECG3チャネルは機能しない。2つの電極(LEおよびRE)の信号は、ECGの前置増幅器の正電極に入力される。演算増幅器Aには、2つの電極チャネル(LEおよびRE)を介して、人体のコモンモード電圧(2つの電極の表面上の電気信号のコモンモード成分)が入力される。演算増幅器Aは、Wilson中央電気端子のVcmを取得するために出力を実行する。Vcmは、2つのECGの前置増幅器の負電極に入力されるとともに、右脚駆動回路の演算増幅器Bの負電極に入力され、右脚駆動回路を介して人体に帰還される。演算増幅器Bの正電極には1.3 Vの基準レベルが入力され、右脚駆動の負帰還を使用することにより人体のコモンモード電圧を基準レベルに近づけることにより、すべての電極の入力の中心が入力範囲の中心に位置するようにして、「右脚駆動」によるシングルリード回路を構成している。これにより、シングルリードの信号を良好な品質で取得するために、シングルリードの信号からコモンモード信号が除去され得る。
【0127】
S216:除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出する。
【0128】
シングルリードの信号からコモンモード信号が除去された後、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴が抽出され得る。抽出プロセスについては、ステップS204およびS205を参照されたい。
【0129】
S217:シングルリードの信号の抽出された特徴を出力する。
【0130】
本出願のこの実施形態で提供される信号測定方法によれば、3電極ECGシステムの右脚駆動電極を用いたマルチリードECG測定モードとシングルリードECG測定モードとの間の自動切り替えは、信号の品質およびユーザの運動状態を判定することによって実施される。複数のリードの信号の品質が良好である場合、複数のリードの信号の抽出された特徴が出力される。あるいは、シングルリードの信号からコモンモード信号が除去された後にのみ、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴が抽出され出力されることにより、ユーザの心電信号を正確に測定するために、より高品質な心電信号が得られることができる。
【0131】
図8は、ユーザが信号測定装置を使用することにより測定を実行するシナリオの概略図である。前述の説明を参照すると、実際の使用プロセスにおいて、ユーザが前述のネックバンド型ヘッドセットを装着し、心電信号を測定するためにヘッドセットをオンにすると、ヘッドセットはデフォルトでマルチリード測定モードに入る。また、加速度信号を測定するためにヘッドセット内の加速度センサが使用される。ユーザが比較的静止状態にあると判定された場合、複数のリードの信号を取得するために、左耳電極、右耳電極、および頸部電極を使用することによる測定によって取得された信号が処理される。複数のリードの信号の品質が良好であるか、またはユーザが比較的静止状態にある場合、複数のリードの信号の特徴が抽出される。複数のリードの信号の品質が悪いか、またはユーザが運動状態にある場合、ネックバンド型ヘッドセットは、シングルリード測定モードに切り替えられてもよい。この場合、右脚駆動電極として頸部電極が使用され、左耳電極および右耳電極の表面上の電気信号のコモンモード成分が右脚駆動電極に伝達される。右脚駆動の負帰還を使用することによって人体のコモンモード電圧を基準レベルに近づけることにより、すべての電極の入力の中心が入力範囲の中心に位置するようにして、システムのコモンモードノイズを低減し、シングルリードの信号の信号品質を向上させる。
【0132】
ヘッドセットが測定によって電極の信号を取得した後、ヘッドセット内で信号が処理され複数のリードの信号またはシングルリードの信号を取得することができ、リード信号の特徴が抽出される。また、ヘッドセットプレーヤを使用することによりリード信号の特徴が出力されてもよい。測定によって電極の信号を取得した後、ヘッドセットは、代替的に、ヘッドセットへの無線接続を確立する端末、例えば、携帯電話またはユーザの別のウェアラブルデバイスに信号を送信してもよい。携帯電話または別のウェアラブルデバイスは、複数のリードの信号またはシングルリードの信号を取得するために信号を処理し、リード信号の特徴を抽出し、携帯電話または別のウェアラブルデバイスによって特徴を出力する。このようにして、信号測定装置の計算能力、信号出力能力などに関する要件が低減され得る。
【0133】
図9は、信号測定装置の構造の概略図である。信号測定装置は、前述の信号測定方法を実行するように構成される。前述の方法の一部またはすべては、ハードウェアを使用することにより実施されてもよく、ソフトウェアまたはファームウェアを使用することにより実施されてもよい。
【0134】
任意選択で、信号測定装置は、特定の実装形態ではチップまたは集積回路であってもよい。
【0135】
任意選択で、前述の実施形態における信号測定方法の一部またはすべてがソフトウェアまたはファームウェアを使用することにより実施される場合、図9に提供される信号測定装置2000が実施のために使用され得る。図9に示されるように、信号測定装置2000は、
メモリ23およびプロセッサ24(本装置には1つまたは複数のプロセッサ24があってよく、図9では1つのプロセッサがある例が用いられている)を含み、入力装置21および出力装置22をさらに含むことができる。本実施形態では、入力装置21、出力装置22、メモリ23、およびプロセッサ24は、バスを介して、または別の方法で接続されてもよい。図9の例では、バスを介した接続が使用されている。
【0136】
プロセッサ24は、図3ならびに図4Aおよび図4Bで実行される方法ステップを実行するように構成される。
【0137】
具体的には、プロセッサ24は、以下の動作を実行するためにプログラム命令を呼び出すように構成され、動作は、
マルチリード測定モードを有効化し、複数のリードの信号およびユーザの状態を取得する動作と、複数のリードの信号の特徴を抽出し、複数のリードの信号の特徴に基づいて複数のリードの信号の品質を取得する動作と、複数のリードの信号の品質が第1の閾値よりも大きいか、または、ユーザが静止状態にある場合、複数のリードの信号の抽出された特徴を出力するように出力装置を制御する動作と、複数のリードの信号の品質が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得する動作と、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作と、除去処理が実行されたシングルリードの信号の特徴を抽出する動作と、シングルリードの信号の抽出された特徴を出力するように出力装置を制御する動作と
である。
【0138】
可能な実装形態では、プロセッサ24は、以下の動作、すなわち、マルチリード測定モードを有効化するために、頸部電極に接続されるようにモード選択スイッチを制御する動作を実行するようにさらに構成される。
【0139】
別の可能な実装形態では、プロセッサ24が複数のリードの信号を取得する動作を実行することは、リードIの信号を取得するために、左耳電極と右耳電極との間の信号を測定する動作と、リードIIの信号を取得するために、右耳電極と頸部電極との間の信号を測定する動作と、リードIIIの信号を取得するために、左耳電極と頸部電極との間の信号を測定する動作と、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する動作とを含む。
【0140】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24が、リードIの信号、リードIIの信号、およびリードIIIの信号に基づいて、リードaVRの信号、リードaVLの信号、およびリードavFの信号を取得する動作を実行することは、リードaVRの信号が、リードaVR=RE-0.5×(LE+N)を満たし、リードaVLの信号が、リードaVL=LE-0.5×(N+RE)を満たし、リードavFの信号が、リードavF=N-0.5×(LE+RE)を満たすことを含む。REは右耳電極の信号であり、LEは左耳電極の信号であり、Nは頸部電極の信号である。
【0141】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24が複数のリードの信号の特徴を抽出する動作を実行することは、複数のリードの信号の平均値を取得する動作と、複数のリードの信号のうちの各リードの信号と、複数のリードの信号の平均値とに基づいて、各リードの信号の特徴として、各リードの信号に対応する相関係数を取得する動作とを含む。
【0142】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24は、以下の動作、すなわち、各リードの信号に対応する相関係数に基づいて、複数のリードの信号の品質として、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値を取得する動作と、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値よりも大きいか、または、加速度信号が第2の閾値以下である場合、複数のリードの信号の特徴を抽出する動作を実行し、または、複数のリードの信号に対応する相関係数の平均値が第1の閾値以下であり、かつ、加速度信号が第3の閾値以上である場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替える動作を実行する動作とをさらに実行する。
【0143】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24は、以下の動作、すなわち、複数のリードの信号から第4の閾値よりも大きい信号を選抜する動作と、選抜された信号の特徴を抽出する動作とをさらに実行する。
【0144】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24が、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、右脚駆動によるシングルリードモードに切り替え、シングルリードの信号を取得する動作を実行することは、複数のリードの信号が第1の閾値以下であり、かつ、ユーザが運動状態にある場合、シングルリードモードを有効化するために、右脚駆動電極に切り替えるようにモード選択スイッチを制御する動作を含む。プロセッサ24が、シングルリードの信号を取得する動作を実行することは、左耳電極の信号、右耳電極の信号、および中央電気端子の信号に基づいて、シングルリードの信号を取得する動作を含む。プロセッサ24が、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作を実行することは、中央電気端子の信号および基準レベル信号に基づいて、右脚駆動電極の負帰還を使用することによりユーザのコモンモード信号を取得する動作と、シングルリードの信号からコモンモード信号を除去する動作とを含む。
【0145】
さらに別の可能な実装形態では、プロセッサ24がユーザの状態を取得する動作を実行することは、加速度信号を取得する動作と、加速度信号が第2の閾値以下である場合、ユーザが静止状態にあると判定し、または、加速度信号が第3の閾値以上である場合、ユーザが運動状態にあると判定する動作とを含む。
【0146】
任意選択で、信号測定方法のためのプログラムがメモリ23に記憶されてもよい。メモリ23は、物理的に独立したユニットであってもよく、またはプロセッサ24と統合されてもよい。メモリ23はまた、データを記憶するように構成されてもよい。
【0147】
任意選択で、前述の実施形態における信号測定方法の一部またはすべてがソフトウェアを使用することにより実施される場合、信号測定装置は代替的にプロセッサのみを含んでもよい。プログラムを記憶するように構成されたメモリは、信号測定装置の外部に配置される。プロセッサは、回路または配線を使用することによりメモリに接続され、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行するように構成される。
【0148】
プロセッサは、中央処理装置(central processing unit、CPU)、ネットワークプロセッサ(network processor、NP)、またはWLANデバイスであってもよい。
【0149】
プロセッサはハードウェアチップをさらに含んでもよい。ハードウェアチップは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device、PLD)、またはこれらの組合せであってよい。PLDは、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(complex programmable logic device,CPLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field-programmable gate array,FPGA)、ジェネリック・アレイ・ロジック(generic array logic,GAL)、またはこれらの組合せであってよい。
【0150】
メモリは、揮発性メモリ(volatile memory)、例えばランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)を含み得る。メモリは、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えば、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)、またはソリッドステートドライブ(solid-state drive、SSD)を含み得る。メモリは、前述したタイプのメモリの組合せを代替的に含み得る。
【0151】
簡便な説明のために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳しい動作プロセスについては、前述の方法実施形態における対応するプロセスを参照すべきことが、当業者には明確に理解されよう。ここでは詳細は繰り返されない。
【0152】
本出願において提供されるいくつかの実施形態においては、開示されたシステム、装置、および方法が他のやり方で実装され得ることを理解されたい。例えば、ユニットに分割することは、単なる論理的機能分割であって、実際の実施時には他の分割であってもよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントが組み合わされ、または統合して別のシステムとされる場合もあり、いくつかの特徴が無視され、または実行されない場合もある。表示または考察された相互結合または直接結合または通信接続が、いくつかのインターフェースを介して実施されてもよい。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電気的形態、機械的形態、または別の形態で実現されてもよい。
【0153】
別々の部分として説明されているユニットは物理的に分離していてもしていなくてもよく、ユニットとして表示されている部分は物理的なユニットであってもなくてもよく、一箇所に配置されてよく、または複数のネットワークユニットに分散されてもよい。実施形態の解決手段の目的を達成するために、実際の要求に基づいて部位の一部または全部が選択されてもよい。
【0154】
上記の実施形態の全部または一部はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組合せを使用することにより実施されてもよい。ソフトウェアが、実施形態を実施するために使用される場合、実施形態の全部または一部は、コンピュータプログラム製品の形式で実施されてもよい。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ実行されると、本出願の実施形態における手続きまたは機能の全部または一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてもよく、または、コンピュータ可読記憶媒体を使用することにより送信されてもよい。コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者回線(digital subscriber line、DSL))またはワイヤレス(例えば、赤外線、無線、もしくはマイクロ波)の方式で、任意のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよいし、1つまたは複数の利用可能な媒体を統合するデータ記憶装置、例えば、サーバまたはデータセンタであってもよい。使用可能な媒体は、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、またはランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、または磁気媒体、例えばフロッピーディスク、ハードディスクドライブ、磁気テープ、または磁気ディスク、または光学媒体、例えばデジタル多用途ディスク(digital versatile disc、DVD)、または半導体媒体、例えばソリッドステートドライブ(solid-state disk、SSD)であってもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 左耳(left ear、LE)イヤピースのハウジング部上の測定アセンブリ
2 右耳(right ear、RE)イヤピースのハウジング部上の測定アセンブリ
3 頸部(neck、N)測定アセンブリ
4 処理回路
11 モード選択スイッチ
12 信号取得モジュール
13 特徴抽出モジュール
14 信号品質取得モジュール
15 出力モジュール
16 コモンモード信号除去モジュール
17 判定モジュール
18 信号選抜モジュール
21 入力装置
22 出力装置
23 メモリ
24 プロセッサ
1000 信号測定装置
2000 信号測定装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9