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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/531 20210101AFI20240909BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240909BHJP
   H01M 50/55 20210101ALN20240909BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/533
H01M50/534
H01M50/538
H01M50/557
H01M50/55 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022567941
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2020045818
(87)【国際公開番号】W WO2022123680
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 謙次
(72)【発明者】
【氏名】田中 政典
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋聡
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/093338(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/155521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び周壁を備え、前記底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される外装容器と、
前記内部空洞の開口を塞ぐ状態で前記外装容器の前記周壁に取付けられる蓋部材と、
正極及び負極を備え、前記外装容器の前記内部空洞に収納される電極群と、
厚さ方向の一方側を向く第1のリード面と、前記第1のリード面とは反対側を向く第2のリード面と、を備えるリードであって、前記内部空洞において前記蓋部材が位置する側を前記第1のリード面が向く状態に配置され、前記第2のリード面にリード接合部が形成されるリードと、
前記蓋部材が位置する側へ前記電極群において突出する集電タブであって、前記内部空洞において前記リードの前記第2のリード面と対向するタブ対向面を備え、前記タブ対向面にタブ接合部が形成される集電タブと、
前記蓋部材の外表面において外部に露出し、前記リードに接続される電極端子であって、前記集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を前記リードが形成する電極端子と、
厚さ方向の一方側を向く第1の延設面と、前記第1の延設面とは反対側を向く第2の延設面と、を備え、前記蓋部材が位置する側を前記第1の延設面が向く状態で前記内部空洞に配置される中間リードと、
を具備
前記中間リードは、前記第1の延設面において前記リードの前記第2のリード面の前記リード接合部に接合されるとともに、前記第2の延設面において前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に接合され、
前記リードの前記厚さ方向に対して交差する前記リードの長さ方向、及び、前記リードの前記厚さ方向及び前記リードの前記長さ方向の両方に対して交差する前記リードの幅方向を規定した場合、前記中間リードへの前記リードの前記第2のリード面の前記リード接合部は、前記リードへの前記電極端子の接続位置、及び、前記中間リードへの前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に対して、前記リードの前記幅方向にずれて位置する、
電池。
【請求項2】
前記中間リードでは、前記厚さ方向に沿った寸法は、前記厚さ方向に対して交差する幅方向に沿った寸法、及び、前記厚さ方向及び前記幅方向の両方に対して交差する長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい、請求項の電池。
【請求項3】
前記中間リードは、前記電極端子、前記リード及び前記集電タブのいずれか1つ以上に対して、材料の組成が異なる、請求項又はの電池。
【請求項4】
前記リードへの前記電極端子の接続位置は、前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に対して、前記リードの前記長さ方向にずれて位置する、請求項1乃至のいずれか1項の電池。
【請求項5】
前記リードでは、前記厚さ方向に沿った寸法は、前記幅方向に沿った寸法、及び、前記長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい、請求項1乃至のいずれか1項の電池。
【請求項6】
前記リードは、前記電極端子及び前記集電タブのいずれか1つ以上に対して、材料の組成が異なる、請求項1乃至のいずれか1項の電池。
【請求項7】
前記集電タブは、前記電極群において前記蓋部材が位置する側へ突出する正極集電タブ、及び、前記正極集電タブから離れて設けられ、前記正極集電タブが突出する側へ前記電極群において突出する負極集電タブの少なくとも一方であり、
前記電極端子は、前記正極集電タブに電気的に接続される正極端子、及び、前記蓋部材の前記外表面において前記正極端子から離れて配置され、前記負極集電タブに電気的に接続される負極端子の少なくとも一方であり、
前記リードは、前記正極端子が接続され、前記正極端子と前記正極集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する正極側リード、及び、前記負極端子が接続され、前記負極端子と前記負極集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する負極側リードの少なくとも一方である、
請求項1乃至のいずれか1項の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池として、外装容器の内部空洞に、正極及び負極を備える電極群が収納されるものがある。このような電池では、外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器の内部空洞は、電池の高さ方向について底壁とは反対側へ開口する。そして、外装容器の周壁に蓋部材が取付けられ、内部空洞の開口は、蓋部材によって塞がれる。また、電池では、電極端子が、電池の外部に露出する状態で、蓋部材の外表面に設けられる。
【0003】
前述のように外装容器の内部空洞に電極群が収納される電池として、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出するものがある。このような電池の内部空洞では、電池の高さ方向について集電タブと蓋部材との間に、リード等の接続部材が配置される。そして、リード等の接続部材によって、電極端子が集電タブに電気的に接続され、電極端子と集電タブとの間の電気経路が形成される。
【0004】
前述のように内部空洞に収納される電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する電池では、内部空洞においてリード等の接続部材が占めるスペースを小さくし、内部空洞において電極群が占めるスペースを大きくすることが求められている。そして、電極群の占めるスペースを大きくすることにより、電極群の高容量化を実現することが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2016-4776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する構成において、外装容器の内部空洞における電極群が占めるスペースを大きくすることが可能な電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電池は、外装容器、蓋部材、電極群、リード、集電タブ電極端子及び中間リードを備える。外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器では、底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される。蓋部材は、内部空洞の開口を塞ぐ状態で外装容器の周壁に取付けられる。電極群は、正極及び負極を備え、外装容器の内部空洞に収納される。リードは、厚さ方向の一方側を向く第1のリード面と、第1のリード面とは反対側を向く第2のリード面と、を備える。リードは、内部空洞において蓋部材が位置する側を第1のリード面が向く状態に配置され、リードの第2のリード面に、リード接合部が形成される。集電タブは、蓋部材が位置する側へ電極群において突出する。集電タブは、内部空洞においてリードの第2のリード面と対向するタブ対向面を備え、集電タブのタブ対向面に、タブ接合部が形成される。電極端子は、蓋部材の外表面において外部に露出し、リードに接続される。電極端子と集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を、リードが形成する。中間リードは、厚さ方向の一方側を向く第1の延設面と、第1の延設面とは反対側を向く第2の延設面と、を備え、蓋部材が位置する側を第1の延設面が向く状態で内部空洞に配置される。中間リードは、第1の延設面においてリードの第2のリード面のリード接合部に接合されるとともに、第2の延設面において集電タブのタブ対向面のタブ接合部に接合される。リードの厚さ方向に対して交差するリードの長さ方向、及び、リードの厚さ方向及びリードの長さ方向の両方に対して交差するリードの幅方向を規定した場合、中間リードへのリードの第2のリード面のリード接合部は、リードへの電極端子の接続位置、及び、中間リードへの集電タブのタブ対向面のタブ接合部に対して、リードの前記幅方向にずれて位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る電池を、部材ごとに分解して状態で示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電池を、奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す断面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る電池において、電極端子のそれぞれと電極群との間の通電構造、蓋部材、及び、それらの近傍を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る電池において、電極端子のそれぞれと電極群との間の通電構造、蓋部材、及び、それらの近傍を、電池の高さ方向について底壁が位置する側から視た状態で示す平面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る電池において、電極端子の一方と電極群との間の通電構造、及び、その近傍を、部材ごとに分解して示す斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る電池において、電極端子の一方と電極群との間の通電構造、及び、その近傍を、電池の奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す断面図である。
図7図7は、第1の変形例に係る電池において、電極端子の一方と電極群との間の通電構造、及び、その近傍を示す斜視図である。
図8図8は、第1の変形例に係る電池において、電極端子の一方と電極群との間の通電構造、及び、その近傍を、部材ごとに分解して示す斜視図である。
図9図9は、第1の変形例に係る電池において、電極端子の一方と電極群との間の通電構造、及び、その近傍を、電池の奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、第1の実施形態に係る電池1を示す。図1及び図2に示すように、電池1は、電極群2、外装容器3及び蓋部材5を備える。外装容器3及び蓋部材5のそれぞれは、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銅又はステンレス等の金属から形成される。ここで、電池1(外装容器3)では、奥行き方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、奥行き方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、奥行き方向及び横方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電池1及び外装容器3のそれぞれでは、奥行き方向についての寸法が、横方向についての寸法、及び、高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さい。なお、図1は、電池1を部材ごとに分解して示す斜視図であり、図2は、電池1を奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す。
【0011】
外装容器3は、底壁6及び周壁7を備える。外装容器3の内部には、電極群2が収納される内部空洞8が、底壁6及び周壁7によって規定される。外装容器3では、内部空洞8は、高さ方向について、底壁6が位置する側とは反対側へ開口する。周壁7は、二対の側壁11,12を備える。一対の側壁11は、横方向について内部空洞8を挟んで対向する。一対の側壁12は、奥行き方向について内部空洞8を挟んで対向する。側壁11のそれぞれは、側壁12の間に、奥行き方向に沿って連続して延設される。側壁12のそれぞれは、側壁11の間に、横方向に沿って連続して延設される。蓋部材5は、底壁6とは反対側の端部で、周壁7に取付けられる。このため、蓋部材5は、外装容器3の内部空洞8の開口を塞ぐ。蓋部材5及び底壁6は、高さ方向について内部空洞8を挟んで対向する。
【0012】
なお、図1及び図2等の一例では、蓋部材5の外表面は、電池1の高さ方向の一方側を向き、蓋部材5の内表面は、電池1の高さ方向について蓋部材5の外表面とは反対側を向く。また、蓋部材5の内表面は、電極群2が位置する側を向く。ある一例では、蓋部材5の外表面及び内表面のそれぞれは、電池1の奥行き方向及び電池1の横方向の両方に対して平行又は略平行である。
【0013】
電極群2は、正極13A及び負極13Bを備える。電極群2では、正極13Aと負極13Bとの間にセパレータ(図示しない)が介在する。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極13Aを負極13Bに対して電気的に絶縁する。
【0014】
正極13Aは、正極集電箔等の正極集電体と、正極集電体の表面に担持される正極活物質含有層(図示しない)と、を備える。正極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極集電体は、正極活物質含有層が未担持の部分として、正極集電タブ15Aを備える。
【0015】
負極13Bは、負極集電箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に担持される負極活物質含有層(図示しない)と、を備える。負極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素材料等が挙げられる。負極集電体は、負極活物質含有層が未担持の部分として、負極集電タブ15Bを備える。
【0016】
図1等の一例の電極群2では、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間でセパレータが挟まれた状態で、正極13A、負極13B及びセパレータが捲回軸Bを中心として捲回される。そして、電極群2の捲回軸Bが電池1の高さ方向に沿う状態で、電極群2は、内部空洞8に収納される。また、別のある一例では、電極群2は、複数の正極13A及び複数の負極13Bが交互に積層されるスタック構造を有し、正極13Aと負極13Bとの間にはセパレータが設けられる。
【0017】
電極群2は、前述のように、一対の集電タブ15の一方として正極集電タブ15Aを備え、一対の集電タブ15の正極集電タブ15Aとは別の一方として負極集電タブ15Bを備える。正極集電タブ15Aでは、正極集電体から形成される複数の帯状部が重ねられ、負極集電タブ15Bでは、負極集電体から形成される複数の帯状部が重ねられる。電極群2では、正極集電タブ15Aは、正極活物質含有層、負極活物質含有層及びセパレータに対して突出する。そして、電極群2では、負極集電タブ15Bは、正極活物質含有層、負極活物質含有層及びセパレータに対して、正極集電タブ15Aが突出する側へ突出する。すなわち、一対の集電タブ15は、互いに対して同一の側に、電極群2において突出する。
【0018】
外装容器3の内部空洞8には、電極群2は、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側へ集電タブ15のそれぞれが突出する状態で、配置される。また、内部空洞8に収納される電極群2では、一対の集電タブ15は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。したがって、正極集電タブ15Aは、負極集電タブ15Bとは接触しない。
【0019】
また、内部空洞8では、電極群2に、電解液(図示しない)が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、水溶液等の水系電解液であってもよい。電解液の代わりに、ゲル状電解質が用いられてもよく、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群2において、固体電解質が、セパレータの代わりに、正極13Aと負極13Bとの間に介在する。この場合、固体電解質により、正極13Aが負極13Bに対して電気的に絶縁される。
【0020】
電池1では、蓋部材5に、一対の電極端子16が取付けられる。電極端子16は、金属等の導電材料から形成される。一対の電極端子16の一方が電池1の正極端子(16A)であり、一対の電極端子16の正極端子(16A)とは別の一方が電池1の負極端子(16B)である。電極端子16のそれぞれは、電池1の外部に露出する状態で、蓋部材5の外表面に配置される。一対の電極端子16は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。また、図2等の一例では、正極端子16Aは、電池1の横方向について、正極集電タブ15Aに対して外側に配置され、負極端子16Bは、電池1の横方向について、負極集電タブ15Bに対して外側に配置される。
【0021】
また、蓋部材5には、一対の貫通孔17が設けられ、貫通孔17のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5を貫通する。したがって、貫通孔17のそれぞれは、蓋部材5の外表面から内表面まで形成される。蓋部材5の外表面では、電極端子16のそれぞれと蓋部材5との間には、絶縁部材18が設けられる。また、貫通孔17のそれぞれには、絶縁ガスケット19が配置される。電極端子16のそれぞれは、絶縁部材18及び絶縁ガスケット19によって、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0022】
外装容器3の内部空洞8には、一対のリード20、一対の中間リード21、及び、一対のバックアップリード22が配置される。リード20、中間リード21及びバックアップリード22のそれぞれは、金属等の導電材料から形成され、リード20、中間リード21及びバックアップリード22を形成する材料としては、アルミニウム、ステンレス、銅及び鉄等が挙げられる。また、リード20及び中間リード21は、電池1の高さ方向について、電極群2と蓋部材5との間に配置される。
【0023】
一対のリード20の一方が正極側リード(20A)であり、一対のリード20の正極側リード(20A)とは別の一方が負極側リード(20B)である。また、一対の中間リード21の一方が正極側中間リード(21A)であり、一対の中間リード21の正極側中間リード(21A)とは別の一方が負極側リード(20B)である。そして、一対のバックアップリード22の一方が正極側バックアップリード(22A)であり、一対のバックアップリード22の正極側バックアップリード(22A)とは別の一方が負極側バックアップリード(22B)である。正極側リード20A、正極側中間リード21A及び正極側バックアップリード22Aは、電池1の横方向について、負極側リード20B、負極側中間リード21B及び負極側バックアップリード22Bから離れて配置される。したがって、正極側リード20A、正極側中間リード21A及び正極側バックアップリード22Aのそれぞれは、負極側リード20B、負極側中間リード21B及び負極側バックアップリード22Bとは接触しない。
【0024】
集電タブ15の一方である正極集電タブ15Aは、バックアップリード22A、中間リード21A及びリード20Aを順に介して、電極端子16の一方である正極端子16Aに電気的に接続される。このため、バックアップリード22A、中間リード21A及びリード20Aによって、正極集電タブ15Aと正極端子16Aとの間の電気経路が形成され、リード20Aは、正極集電タブ15Aと正極端子16Aとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。また、集電タブ15の他方である負極集電タブ15Bは、バックアップリード22B、中間リード21B及びリード20Bを順に介して、電極端子16の他方である負極端子16Bに電気的に接続される。このため、バックアップリード22B、中間リード21B及びリード20Bによって、負極集電タブ15Bと負極端子16Bとの間の電気経路が形成され、リード20Bは、負極集電タブ15Bと負極端子16Bとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。
【0025】
また、外装容器3の内部空洞8では、一対の電極群押さえ23が配置される。電極群押さえ23のそれぞれは、電気的絶縁性を有する材料から形成される。また、一対の電極群押さえ23は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。電極群押さえ23の一方である電極群押さえ23Aは、リード20Aと蓋部材5との間で挟まれ、電極群押さえ23の他方である電極群押さえ23Bは、リード20Bと蓋部材5との間で挟まれる。電極群押さえ23A等によって、蓋部材5及び外装容器3への正極集電タブ15A、リード20A、中間リード21A及びバックアップリード22Aの接触が防止され、正極集電タブ15A、リード20A、中間リード21A及びバックアップリード22Aは、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。そして、電極群押さえ23B等によって、蓋部材5及び外装容器3への負極集電タブ15B、リード20B、中間リード21B及びバックアップリード22Bの接触が防止され、負極集電タブ15B、リード20B、中間リード21B及びバックアップリード22Bは、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0026】
また、図1及び図2等の一例では、蓋部材5に、ガス開放弁26及び注液口27が、形成される。そして、蓋部材5の外表面に、注液口27を塞ぐ封止板28が、溶接される。ガス開放弁26及び注液口27は、電池1の横方向について、電極端子16の間に配置される。なお、ある一例では、ガス開放弁26及び注液口27等は、電池1に設けられなくてもよい。
【0027】
本実施形態では、集電タブ15A、バックアップリード22A、中間リード21A及びリード20Aによって、正極端子16Aと電極群2との間の通電構造が形成され、集電タブ15B、バックアップリード22B、中間リード21B及びリード20Bによって、負極端子16Bと電極群2との間の通電構造が形成される。
【0028】
図3及び図4は、電極端子16のそれぞれと電極群2との間の通電構造、蓋部材5、及び、それらの近傍を示す。また、図5及び図6は、電極端子16の一方と電極群2との間の通電構造、及び、その近傍を示す。図3は、斜視図であり、図4は、電池1の高さ方向について底壁6が位置する側から視た状態を示す。図5は、部材ごとに分解して示す斜視図であり、図6は、奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。以下、電極端子16のそれぞれと電極群2との間の通電構造について、図1乃至図6等を参照して説明する。
【0029】
リード20のそれぞれでは、厚さ方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)、厚さ方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)、及び、厚さ方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)長さ方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)が、規定される。リード20のそれぞれでは、厚さ方向に沿った寸法が、幅方向に沿った寸法、及び、長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて、小さい。リード20のそれぞれは、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。また、内部空洞8では、リード20のそれぞれは、電池1の高さ方向について、集電タブ15の対応する一方と蓋部材5との間に配置される。
【0030】
リード20のそれぞれは、一対の主面としてリード面31,32を備える。リード20のそれぞれでは、リード面(第1のリード面)31は、厚さ方向の一方側を向き、リード面(第2のリード面)32は、リード面31とは反対側を向く。リード20のそれぞれは、蓋部材5が位置する側をリード面31が向く状態で、内部空洞8に配置される。ある一例では、リード20のそれぞれにおいて、リード面31,32のそれぞれは、電池1の横方向及び奥行き方向に対して平行又は略平行になり、蓋部材5の外表面及び内表面に対して平行又は略平行になる。
【0031】
リード20のそれぞれには、貫通孔33が形成される。リード20のそれぞれでは、貫通孔33が、リード面31からリード面32まで、厚さ方向に沿って形成される。したがって、通電構造のそれぞれでは、電池1の高さ方向に沿って、リード20に貫通孔33が形成される。また、電極群押さえ23のそれぞれには、電池1の高さ方向に沿って、貫通孔35が形成される。
【0032】
通電構造のそれぞれでは、電極端子16は、蓋部材5の貫通孔17、電極押さえ23の貫通孔35、及び、リード20の貫通孔33に順に挿通される。そして、通電構造のそれぞれでは、電極端子16は、カシメ固定等によって、リード20に貫通孔33で接続される。したがって、リード20のそれぞれでは、貫通孔33が、電極端子16の対応する一方の接続位置となる。
【0033】
集電タブ15のそれぞれでは、突出部分の根元位置E1が規定され、集電タブ15のそれぞれは、根元位置E1とは反対側の端である遠位端まで、根元位置E1から延設される。また、集電タブ15のそれぞれには、根元位置E1と遠位端との間に、折曲がり部37が形成される。集電タブ15のそれぞれは、根元位置E1から折曲がり部37まで、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側へ向かって延設される。そして、集電タブ15のそれぞれは、折曲がり部37から遠位端まで、電池1の奥行き方向に沿って延設される。したがって、集電タブ15のそれぞれは、折曲がり部37において、電池1の奥行き方向の一方側へ向かって折曲がる。
【0034】
集電タブ15のそれぞれでは、折曲がり部37と遠位端との間の延設部分に、タブ対向面38が形成される。通電構造のそれぞれでは、集電タブ15のタブ対向面38は、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側を向き、リード20のリード面(第2のリード面)32と対向する。ある一例では、集電タブ15のそれぞれにおいて、タブ対向面38は、電池1の横方向及び奥行き方向に対して平行又は略平行になり、蓋部材5の外表面及び内表面に対して平行又は略平行になる。集電タブ15のそれぞれでは、折曲がり部37と遠位端との間の延設部分において、複数の帯状部が、電池1の高さ方向に沿って、重ねられる。また、集電タブ15のそれぞれでは、折曲がり部37と遠位端との間の延設部分において、複数の帯状部が束ねられ、束ねられた帯状部が、バックアップリード22の対応する一方によって挟まれる。
【0035】
中間リード21のそれぞれでは、厚さ方向(矢印Z5及び矢印Z6で示す方向)、厚さ方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印X5及び矢印X6で示す方向)、及び、厚さ方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)長さ方向(矢印Y5及び矢印Y6で示す方向)が、規定される。中間リード21のそれぞれでは、厚さ方向に沿った寸法が、幅方向に沿った寸法、及び、長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて、小さい。中間リード21のそれぞれは、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。また、通電構造のそれぞれでは、中間リード21は、電池1の高さ方向について集電タブ15とリード20との間に配置される。したがって、通電構造のそれぞれでは、集電タブ15のタブ対向面38は、中間リード21が間に位置する状態で、リード20のリード面32と対向する。
【0036】
中間リード21のそれぞれは、一対の主面として延設面41,42を備える。中間リード21のそれぞれでは、延設面(第1の延設面)41は、厚さ方向の一方側を向き、延設面(第2の延設面)42は、延設面41とは反対側を向く。中間リード21のそれぞれは、蓋部材5が位置する側を延設面41が向く状態で、内部空洞8に配置される。通電構造のそれぞれでは、中間リード21において、延設面(第1の延設面)41がリード20のリード面(第2のリード面)32と対向し、延設面(第2の延設面)42が集電タブ15のタブ対向面38と対向する。ある一例では、中間リード21のそれぞれにおいて、延設面41,42のそれぞれは、電池1の横方向及び奥行き方向に対して平行又は略平行になり、蓋部材5の外表面及び内表面に対して平行又は略平行になる。
【0037】
中間リード21のそれぞれの延設面41には、凹部43が形成される。中間リード21のそれぞれでは、凹部43は、厚さ方向について延設面42が位置する側へ凹む。また、中間リード21のそれぞれでは、凹部43は、長さ方向について一端から他端に渡って形成され、幅方向について中央部に形成される。そして、中間リード21のそれぞれの延設面41では、凹部43は、幅方向について両側に隣接する部位に対して、凹んだ状態になる。内部空洞8では、中間リード21のそれぞれは、電池1の高さ方向について電極群2が位置する側へ凹部43が凹む状態に、配置される。
【0038】
通電構造のそれぞれでは、中間リード21は、延設面(第1の延設面)41においてリード20のリード面(第2のリード面)32に接合される。したがって、通電構造のそれぞれのリード20では、中間リード21に接合されるリード接合部45が、リード面32に形成される。ある一例では、通電構造のそれぞれにおいて、リード20のリード接合部45での中間リード21との接合面は、電池1の横方向及び奥行き方向に対して平行又は略平行になり、蓋部材5の外表面及び内表面に対して平行又は略平行になる。
【0039】
通電構造のそれぞれでは、中間リード21は、延設面(第2の延設面)42において集電タブ15のタブ対向面38に接合される。したがって、通電構造のそれぞれの集電タブ15では、中間リード21に接合されるタブ接合部46が、タブ対向面38に形成される。図1乃至図6の一例では、集電構造のそれぞれにおいて、集電タブ15のタブ接合部46は、バックアップリード22を間に介して、中間リード21に接合される。なお、バックアップリード22は、必ずしも設けられる必要はなく、通電構造の少なくとも一方において、集電タブ15のタブ接合部46が、中間リード21に直接的に接合されてもよい。
【0040】
ある一例では、通電構造のそれぞれにおいて、集電タブ15のタブ接合部46での中間リード21との接合面は、電池1の横方向及び奥行き方向に対して平行又は略平行になり、蓋部材5の外表面及び内表面に対して平行又は略平行になる。そして、通電構造のそれぞれにおいて、集電タブ15のタブ接合部46での中間リード21との接合面は、リード20のリード接合部45での中間リード21との接合面に対して、平行又は略平行となる。また、通電構造のそれぞれでは、リード20の中間リード21への接合、及び、集電タブ15の中間リード21への接合は、例えば、超音波溶接によって行われる。
【0041】
本実施形態では、一対の通電構造のそれぞれにおいて、リード20への電極端子16の接続位置(貫通孔33)は、リード20の長さ方向について、中間リード21の延設面(第2の延設面)42への集電タブ15のタブ対向面38のタブ接合部46に対して、ずれて位置する。そして、通電構造のそれぞれでは、リード20への電極端子16の接続位置は、電池1の横方向について、中間リード21への集電タブ15のタブ接合部46に対して、外側に位置する。
【0042】
また、一対の通電構造のそれぞれでは、中間リード21の延設面(第1の延設面)41へのリード20のリード面(第2のリード面)32のリード接合部45は、リード20の幅方向について、リード20への電極端子16の接続位置(貫通孔33)、及び、中間リード21への集電タブ15のタブ接合部46に対して、ずれて位置する。したがって、一対の通電構造のそれぞれでは、中間リード21へのリード20のリード接合部45は、電池1の奥行き方向について、リード20への電極端子16の接続位置、及び、中間リード21への集電タブ15のタブ接合部46に対して、離れて位置する。
【0043】
通電構造のそれぞれでは、電極端子16の上端(一端)は、蓋部材5の外表面に位置する。そして、通電構造のそれぞれでは、電極端子16の下端(他端)は、電池1の高さ方向について、リード20のリード面(第2のリード面)32と中間リード21の凹部43の底部との間の隙間に配置される。前述のように電極端子16が配置されるため、通電構造のそれぞれでは、中間リード21への電極端子16の接触が、防止される。すなわち、通電構造のそれぞれでは、電極端子16は、リード20を間に介してのみ、中間リード21へ電気的に接続される。
【0044】
通電構造のそれぞれでは、集電タブ15、電極端子16、リード20及び中間リード21の少なくとも1つが、他の部材に対して、材料の組成が異なることが好ましい。また、通電構造のそれぞれでは、部材ごとに、材料の組成が異なってもよい。この場合、通電構造のそれぞれでは、集電タブ15、電極端子16、リード20及び中間リード21は、互いに対して材料の組成が異なる。ある一例では、電極端子16は、5000番台のアルミニウム合金(Al-Mg系合金)から形成され、リード20は、1000番台のアルミニウム合金(純アルミニウム系合金)から形成され、中間リード21は、3000番台のアルミニウム合金(Al-Mn系合金)から形成される。
【0045】
電池1の製造においては、集電タブ15のそれぞれを中間リード21の対応する一方に超音波溶接等によって接合する。そして、電極端子16のそれぞれを蓋部材5に取付けるとともに、電極端子16のそれぞれをリード20の対応する一方にカシメ固定等によって接続する。そして、リード20のそれぞれに電極端子16の対応する一方が接続された状態で、リード20のそれぞれに中間リード21の対応する一方を、超音波溶接等によって接合する。これにより、電極群2、蓋部材5、電極端子16、リード20及び中間リード21を含む組立て体が、形成される。そして、前述の組立て体を外装容器3の内部空洞8に挿入し、蓋部材5を外装容器3に取付けることにより、電池1が製造される。
【0046】
本実施形態では、リード20のそれぞれに電極端子16の対応する一方が接続された状態で、リード20のそれぞれに、中間リード21の対応する一方が接合される。このため、リード20のそれぞれに中間リード21の対応する一方が接合する作業において、蓋部材5が変形し難く、電極端子16のそれぞれを電極群2に電気的に接続する作業において、蓋部材5が変形し難い。これにより、前述の組立て体を内部空洞8に挿入した後、蓋部材5を外装容器3に取付け易くなり、電池1の生産性が向上する。
【0047】
また、本実施形態では、前述のように、リード20のそれぞれは、蓋部材5が位置する側をリード面(第1のリード面)31が向き、かつ、リード面(第2のリード面)32がリード面31とは反対側を向く状態で、内部空洞8に配置される。そして、通電構造のそれぞれでは、リード20のリード面32に、中間リード21に接合されるリード接合部45が形成される。前述のような構成であるため、内部空洞8に配置されるリード20のそれぞれでは、電池1の高さ方向の一方側を向くリード面32に、リード接合部45が形成される。このため、通電構造のそれぞれでは、電池1の高さ方向に沿ったリード20の寸法を小さくしても、中間リード21とのリード20の接合領域を適切に確保可能となる。電池1の高さ方向に沿ったリード20のそれぞれの寸法が小さくなることにより、内部空洞8においてリード20が占めるスペースが小さくなる。
【0048】
また、本実施形態の通電構造のそれぞれでは、集電タブ15のタブ対向面38は、内部空洞8において、リード20のリード面(第2のリード面)32と対向する。そして、通電構造のそれぞれでは、集電タブ15のタブ対向面38に、中間リード21に接合されるタブ接合部46が形成される。前述のような構成であるため、内部空洞8に配置される集電タブ15のそれぞれでは、電池1の高さ方向の一方側を向くタブ対向面38に、タブ接合部46が形成される。このため、通電構造のそれぞれでは、電池1の高さ方向に沿った集電タブ15の寸法を小さくしても、中間リード21との集電タブ15の接合領域を適切に確保可能となる。電池1の高さ方向に沿った集電タブ15のそれぞれの寸法が小さくなることにより、内部空洞8において集電タブ15が占めるスペースが小さくなる。
【0049】
前述のように実施形態では、接続部材であるリード20が内部空洞8において占めるスペース、及び、集電タブ15が内部空洞8において占めるスペースを、小さくすることが可能となる。このため、内部空洞8においてリード20等が占めるスペースを小さくすることにより、内部空洞8において電極群2が占めるスペースを大きくすることが可能になる。内部空洞8において電極群2が占めるスペースが大きくなることにより、電極群2(電池1)の高容量化が実現される。
【0050】
また、本実施形態では、リード20のそれぞれは、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。そして、リード20のそれぞれでは、厚さ方向に沿った寸法は、幅方向に沿った寸法、及び、長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい。これにより、電池1の高さ方向に沿ったリード20のそれぞれの寸法が適切に小さくなり、内部空洞8においてリード20が占めるスペースが適切に小さくなる。
【0051】
また、本実施形態では、前述のように、中間リード21のそれぞれは、蓋部材5が位置する側を延設面(第1の延設面)41が向き、かつ、延設面(第2の延設面)42が延設面41とは反対側を向く状態で、内部空洞8に配置される。そして、通電構造のそれぞれでは、中間リード21の延設面41が、リード20のリード面32(リード接合部45)に接合され、中間リード21の延設面42が、集電タブ15のタブ対向面38(タブ接合部46)に接合される。前述のような構成であるため、内部空洞8に配置される中間リード21のそれぞれでは、電池1の高さ方向の一方側を向く延設面41にリード接合部45が接合され、電池1の高さ方向について延設面41とは反対側を向く延設面42にタブ接合部46が接合される。このため、通電構造のそれぞれでは、電池1の高さ方向に沿った中間リード21の寸法を小さくしても、リード20との接合領域、及び、集電タブ15との接合領域を適切に確保可能となる。
【0052】
電池1の高さ方向に沿った中間リード21のそれぞれの寸法が小さくなることにより、内部空洞8において中間リード21が占めるスペースが小さくなる。内部空洞8において中間リード21が占めるスペースを小さくすることにより、内部空洞8において電極群2が占めるスペースをさらに大きくすることが可能になる。これにより、電極群2(電池1)をさらに高容量化することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、中間リード21のそれぞれは、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。そして、中間リード21のそれぞれでは、厚さ方向に沿った寸法は、幅方向に沿った寸法、及び、長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい。これにより、電池1の高さ方向に沿った中間リード21のそれぞれの寸法が適切に小さくなり、内部空洞8において中間リード21が占めるスペースが適切に小さくなる。
【0054】
また、本実施形態の通電構造のそれぞれでは、電極端子16の下端は、電池1の高さ方向について、リード20のリード面(第2のリード面)32と中間リード21の延設面(第1の延設面)41との間の隙間に配置される。そして、通電構造のそれぞれでは、集電タブ15は、中間リード21の延設面(第2の延設面)42に接合される。このため、通電構造のそれぞれでは、電池1の横方向(リード20の長さ方向)についての集電タブ15の寸法(幅)を大きくしても、電極端子16及びリード20への集電タブ15の接触が防止される。電池1の横方向についての集電タブ15のそれぞれの寸法が大きくなることにより、集電タブ15のそれぞれを通して大電流を流すことが可能になる。このため、電池1(電極群2)の出力特性及び入力特性等を向上させることが可能になる。
【0055】
また、通電構造のそれぞれにおいて、集電タブ15、電極端子16、リード20及び中間リード21の少なくとも1つを、他の部材に対して、材料の組成を異ならせることにより、電池1の設計における自由度が向上する。ある一例では、電極端子16の材料の組成を他の部材に対して異ならせることにより、電極端子16の材料硬度を、調整する。これにより、カシメ固定等によって、電極端子16をリード20に強固に固定可能となる。また、別のある一例では、リード20の材料の組成を他の部材に対して異ならせることにより、リード20の熱伝導率を低くする。これにより、リード20の中間リード21への接合作業等において、リード20から他の部材へ熱が伝達し難くなる。
【0056】
(変形例)
また、図7乃至図9に示す第1の変形例では、前述の通電構造のそれぞれに、中間リード21が設けられない。図7乃至図9は、電極端子16の一方と電極群2との間の通電構造、及び、その近傍を示す。図7は、斜視図であり、図8は、部材ごとに分解して示す斜視図であり、図9は、奥行き方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。
【0057】
本変形例でも、リード20のそれぞれは、蓋部材5が位置する側をリード面(第1のリード面)31が向き、かつ、リード面(第2のリード面)32がリード面31とは反対側を向く状態で、内部空洞8に配置される。そして、集電タブ15のタブ対向面38は、内部空洞8において、リード20のリード面(第2のリード面)32と対向する。ただし、本変形例では、通電構造のそれぞれにおいて、リード20のリード面(第2のリード面)32のリード接合部45は、集電タブ15のタブ対向面38のタブ接合部46に接合される。
【0058】
本変形例の通電構造のそれぞれでは、リード20への電極端子16の接続位置(貫通孔33)は、リード20の長さ方向について、リード20のリード面(第2のリード面)32への集電タブ15のタブ対向面38のタブ接合部46に対して、ずれて位置する。そして、通電構造のそれぞれでは、リード20への電極端子16の接続位置は、電池1の横方向について、リード20への集電タブ15のタブ接合部46に対して、外側に位置する。
【0059】
また、本変形例のリード20のそれぞれでは、長さ方向について貫通孔33(電極端子16の対応する一方の接続位置)とリード接合部45(集電タブ15の対応する一方の接合位置)との間に、段差47が形成される。リード20のそれぞれでは、段差47によって、貫通孔33が位置する側の部位は、リード接合部45が位置する側の部位に対して、厚さ方向にずれる。そして、リード20のそれぞれは、リード接合部45が位置する側の部位に対して貫通孔33が位置する側の部位が、段差47によって電池1の高さ方向にずれた状態で、内部空洞8に配置される。リード20のそれぞれでは、段差47よりリード接合部45が位置する側の部位に対して、段差47より貫通孔33が位置する側の部位が、蓋部材5に近い位置に配置される。
【0060】
本変形例では、電池1の製造において、集電タブ15のそれぞれを、リード20の対応する一方に超音波溶接等によって接合する。そして、電極端子16のそれぞれを蓋部材5に取付けるとともに、電極端子16のそれぞれをリード20の対応する一方にカシメ固定等によって接続する。これにより、電極群2、蓋部材5、電極端子16及びリード20を含む組立て体が、形成される。
【0061】
本変形例では、リード20のそれぞれに集電タブ15の対応する一方を接合した後に、リード20のそれぞれに電極端子16の対応する一方が接続される。このため、本変形例でも、電極端子16のそれぞれを電極群2に電気的に接続する作業において、蓋部材5が変形し難い。これにより、前述の実施形態等と同様に、組立て体を内部空洞8に挿入した後、蓋部材5を外装容器3に取付け易くなり、電池1の生産性が向上する。
【0062】
また、本変形例でも、前述のような構成であるため、内部空洞8に配置されるリード20のそれぞれにおいて、電池1の高さ方向の一方側を向くリード面(第2のリード面)32に、リード接合部45が形成される。そして、内部空洞8に配置される集電タブ15のそれぞれでは、電池1の高さ方向の一方側を向くタブ対向面38に、タブ接合部46が形成される。このため、通電構造のそれぞれでは、電池1の高さ方向に沿ったリード20の寸法、及び、電池1の高さ方向に沿った集電タブ15の寸法のそれぞれを小さくしても、集電タブ15とリード20との接合領域を適切に確保可能となる。
【0063】
したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、接続部材であるリード20が内部空洞8において占めるスペース、及び、集電タブ15が内部空洞8において占めるスペースを、小さくすることが可能となる。そして、内部空洞8においてリード20等が占めるスペースを小さくすることにより、内部空洞8において電極群2が占めるスペースを大きくすることが可能になる。すなわち、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、内部空洞8において電極群2が占めるスペースが大きくすることが可能となり、電極群2(電池1)の高容量化が実現可能となる。
【0064】
なお、前述の実施形態等では、正極端子16Aと電極群2との間の通電構造、及び、正極端子16Aと電極群2との間の通電構造は互いに対して同様の構成であるが、これに限るものではない。ある変形例では、一対の通電構造の一方が、第1の実施形態等と同様に中間リード21が設けられる通電構造であり、一対の通電構造の他方が、第1の変形例等と同様に中間リード21が設けられない通電構造であってもよい。また、一対の通電構造の一方のみが、前述の実施形態等と同様の通電構造であってもよい。すなわち、一対の通電構造の少なくとも一方が、前述の実施形態等と同様の通電構造であればよい。
【0065】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、リードは、第1のリード面、及び、第1のリード面とは反対側を向く第2のリード面を備え、蓋部材が位置する側を第1のリード面が向く状態に内部空洞に配置される。リードでは、第2のリード面にリード接合部が形成される。集電タブは、内部空洞においてリードの第2のリード面と対向するタブ対向面を備え、集電タブでは、タブ対向面にタブ接合部が形成される。これにより、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する構成において、外装容器の内部空洞における電極群が占めるスペースを大きくすることが可能な電池を提供することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]底壁及び周壁を備え、前記底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される外装容器と、
前記内部空洞の開口を塞ぐ状態で前記外装容器の前記周壁に取付けられる蓋部材と、
正極及び負極を備え、前記外装容器の前記内部空洞に収納される電極群と、
厚さ方向の一方側を向く第1のリード面と、前記第1のリード面とは反対側を向く第2のリード面と、を備えるリードであって、前記内部空洞において前記蓋部材が位置する側を前記第1のリード面が向く状態に配置され、前記第2のリード面にリード接合部が形成されるリードと、
前記蓋部材が位置する側へ前記電極群において突出する集電タブであって、前記内部空洞において前記リードの前記第2のリード面と対向するタブ対向面を備え、前記タブ対向面にタブ接合部が形成される集電タブと、
前記蓋部材の外表面において外部に露出し、前記リードに接続される電極端子であって、前記集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を前記リードが形成する電極端子と、
を具備する、電池。
[2]厚さ方向の一方側を向く第1の延設面と、前記第1の延設面とは反対側を向く第2の延設面と、を備え、前記蓋部材が位置する側を前記第1の延設面が向く状態で前記内部空洞に配置される中間リードをさらに具備し、
前記中間リードは、前記第1の延設面において前記リードの前記第2のリード面の前記リード接合部に接合され、前記第2の延設面において前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に接合される、
[1]の電池。
[3]前記中間リードでは、前記厚さ方向に沿った寸法は、前記厚さ方向に対して交差する幅方向に沿った寸法、及び、前記厚さ方向及び前記幅方向の両方に対して交差する長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい、[2]の電池。
[4]前記中間リードは、前記電極端子、前記リード及び前記集電タブのいずれか1つ以上に対して、材料の組成が異なる、[2]又は[3]の電池。
[5]前記リードの前記厚さ方向に対して交差する前記リードの長さ方向、及び、前記リードの前記厚さ方向及び前記リードの前記長さ方向の両方に対して交差する前記リードの幅方向を規定した場合、前記中間リードへの前記リードの前記第2のリード面の前記リード接合部は、前記リードの前記幅方向について、前記リードへの前記電極端子の接続位置、及び、前記中間リードへの前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に対してずれて位置する、[2]乃至[4]のいずれか1つの電池。
[6]前記リードの前記第2のリード面の前記リード接合部は、前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に接合される、[1]の電池。
[7]前記リードへの前記電極端子の接続位置は、前記リードの前記厚さ方向に対して交差する前記リードの長さ方向について、前記集電タブの前記タブ対向面の前記タブ接合部に対してずれて位置する、[1]乃至[6]のいずれか1つの電池。
[8]前記リードでは、前記厚さ方向に沿った寸法は、前記厚さ方向に対して交差する幅方向に沿った寸法、及び、前記厚さ方向及び前記幅方向の両方に対して交差する長さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて小さい、[1]乃至[7]のいずれか1つの電池。
[9]前記リードは、前記電極端子及び前記集電タブのいずれか1つ以上に対して、材料の組成が異なる、[1]乃至[8]のいずれか1つの電池。
[10]前記集電タブは、前記電極群において前記蓋部材が位置する側へ突出する正極集電タブ、及び、前記正極集電タブから離れて設けられ、前記正極集電タブが突出する側へ前記電極群において突出する負極集電タブの少なくとも一方であり、
前記電極端子は、前記正極集電タブに電気的に接続される正極端子、及び、前記蓋部材の前記外表面において前記正極端子から離れて配置され、前記負極集電タブに電気的に接続される負極端子の少なくとも一方であり、
前記リードは、前記正極端子が接続され、前記正極端子と前記正極集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する正極側リード、及び、前記負極端子が接続され、前記負極端子と前記負極集電タブとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する負極側リードの少なくとも一方である、
[1]乃至[9]のいずれか1つの電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9