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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】化学混合物の特性予測
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240909BHJP
   G16C 20/30 20190101ALI20240909BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G16C20/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022571323
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021063403
(87)【国際公開番号】W WO2021234065
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】20176111.1
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シュタインメッツ,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブリュンネマン,ミヒャエル
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10515715(US,B1)
【文献】特開2020-038495(JP,A)
【文献】国際公開第2019/198644(WO,A1)
【文献】特表2019-502988(JP,A)
【文献】特表2008-509486(JP,A)
【文献】特表2001-507675(JP,A)
【文献】特開平02-113337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G16C 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするコンピュータ実装方法(100)であって、
-複数の化学混合物レシピの履歴及び/又は校正データと、各化学混合物レシピの特性を含むデータをトレーニングモジュールによって取得すること(110)、ここで、前記各化学混合物レシピは2つ以上の成分を含むものである、
-各化学混合物レシピ中の少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つにトレーニングモジュールによって割り当てること(120)、ここで、事前定義した物質クラスタの各々は単一の成分又は類似の化学的性質を有する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより各化学混合物レシピをトレーニングモジュールによって改訂すること(130)、及び
-新たな化学混合物の特性の予測に活用できるデータ駆動型モデルのトレーニングを行うために、改訂した化学混合物レシピを、化学混合物レシピの特性とともに、機械学習プロセスにトレーニングモジュールによって提供すること(140)
を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
さらに、
-前記トレーニングに基づいて、少なくとも1つの事前定義した物質クラスタと特性の1つ以上の特徴との相関関係を特定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
化学混合物の特性を予測するコンピュータ実装方法であって、
-2つ以上の成分を含む化学混合物レシピを予測モジュールによって取得すること(210)、
-少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに予測モジュールによって割り当てること(220)、ここで、事前定義した物質クラスタの各々は単一の成分又は化学的性質が類似する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより、前記化学混合物レシピを予測モジュールによって改訂すること(230)、
-化学混合物レシピの特性測定値を予測するために、改訂した化学混合物レシピをデータ駆動型モデルで予測モジュールによって処理すること(240)、ここで、該データ駆動型モデルは請求項1又は2に記載の方法に従ってトレーニングをしたものである、
-前記化学混合物レシピの予測した特性測定値を予測モジュールによって出力すること(250)
を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項4】
さらに、
-予測した特性測定値を特性性能目標値と比較すること、及び
-特性性能目標値を満たすように化学混合物レシピを調整すること
を含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
各化学混合物レシピの特性が、測定した各特性について、それぞれの化学混合物レシピの性能評価を示すそれぞれの性能スコアをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
樹脂及び/又は添加剤から選択された少なくとも1つの成分を物質クラスタで表す、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記化学混合物が塗料処方物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
塗料処方物の特性が、湿潤塗料の特性及び/又は該塗料から形成したコーティングの特性を含む、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記化学混合物が
-農業用多成分混合物、
-医薬用多成分混合物、
-栄養用多成分混合物、
-インク用多成分混合物、
-建設目的の化学混合物
-石油生産内で使用する化学混合物
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記データ駆動型モデルが、ルールベースの機械学習モデルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記ルールベースの機械学習モデルが、
-学習分類子システム、
-相関ルール学習、及び
-人工免疫システム
のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
請求項1、2及び5~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成したトレーニングモジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項3~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成した予測モジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
プログラムを処理装置によって実行する場合において請求項1から11のいずれか一項に記載の方法をその処理装置に実施させるための命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラム要素を格納したことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、化学混合物の特性を予測することに関し、詳細には、化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするためのコンピュータ実装方法及び関連装置、化学混合物の特性を予測するためのコンピュータ実装方法及び関連装置、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用塗料及び栄養用多成分混合物などの化学混合物は、特性測定値によって示される望ましい特性を達成するために処方することが一般的である。しかし、これらの特性をバランスよく的確に実現するためには、研究所の担当者は多大な労力をかけて処方物を開発しなければならない。
【0003】
例えば、自動車用塗料又はコーティング処方物(formulation)は、色合わせ、外観、耐久性、塗布性、及びフィルム特性を考慮して諸特性のバランスを実現するために処方した、着色剤(ティント)、バインダー、添加剤及び溶媒の複雑な混合物を含むものである。混合物の色を定量的に予測するモデルは存在するが、他の特性については存在しない。そのため、コーティング処方物の特性を測定し、その値が許容範囲内であることを確認するために、労力を要する検証実験が必要となる。
【0004】
このような実験が必要なのは、混合物の成分と測定する特性との関係が一般に複雑で未知であるためである。このような場合、混合物の各成分とその特性とを関連付けて新しい混合物の特性を推定できるようにすることができる予測モデルを開発することが有利になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化学混合物にあっては、その諸特性を予測する必要性がある場合がある。
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決することができる。これらの独立請求項には、さらなる実施形態が従属請求項により組み込まれている。以下に説明する本発明の各種の態様は、化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするためのコンピュータ実装方法及び関連装置、化学混合物の特性を予測するためのコンピュータ実装方法及び関連装置、コンピュータプログラム製品及びコンピュータ可読媒体にも適用できることに留意されたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするためのコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、下記のステップ:
-複数の化学混合物レシピの履歴及び/又は校正データ、並びに各化学混合物レシピの特性を含むデータを取得すること、ここで、前記各化学混合物レシピは2つ以上の成分を含むものである、
-各化学混合物レシピ中の少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ、ここで、事前定義した物質クラスタの各々は、単一の成分又は類似の化学的性質を有する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより各化学混合物レシピを改訂するステップ、及び
-新たな化学混合物の特性の予測に活用できるデータ駆動型モデルのトレーニングを行うために、改訂した化学混合物レシピを、化学混合物レシピの特性とともに、機械学習(machine learning)プロセスに提供するステップ
を含む。
【0008】
すなわち、実証データは、例えば、ライブラリ又はデータベース(市販のデータベース又は企業の専有データベースなど)から取得することができる可能性がある。実証データには、履歴及び/又は校正実験による履歴データ及び/又は校正データが含まれる。ここで提案する手法は、化学混合物の特性を予測するデータ駆動型モデルをトレーニングするのに直接、実証データを直接使用するのではなく、各化学混合物レシピ中の少なくとも1つの成分を事前定義した化学物質クラスタに割り当てることによって実証データを修正し、各化学混合物レシピにおいて、少なくとも1つの成分を割り当てた事前定義した物質クラスタと置き換えるものである。例えば、ある化学混合物のレシピが、成分A、成分B、及びエタノールから構成される場合がある。エタノールは「アルコール」という名称の溶媒クラスタに割り当てることができる。そこで、成分A、成分B、及び物質クラスタ「アルコール」を含む、改訂版化学混合物レシピをトレーニング用データとして使用する。このように、データ駆動型モデルが、同じ物質に属する、化学的性質が似ている成分をさらに区別することはない。例えば、70種類の樹脂を15個の樹脂クラスタに分類することができる。そのため、提案するトレーニング方法では、化学的性質が類似している可能性がある70種類の樹脂を考慮する代わりに、15個の樹脂クラスタを考慮するだけである。これにより、トレーニング用データセットの複雑さが大幅に軽減され、したがって、データ駆動型モデルの複雑さもさらに軽減されるのである。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、このコンピュータ実装方法は、トレーニングに基づいて、少なくとも1つの事前定義した物質クラスタと1つ以上の特性との間の相関関係を特定するステップをさらに含む。
【0010】
言い換えれば、処方物(formulation)内の物質クラスタ、例えば樹脂クラスタ、又は添加剤クラスタ、又は溶媒クラスタが占める割合を調べることで、別の様々な処方物における、その物質クラスタの効果を理解することが提案される。例えば、物質クラスタの量が、ある特性と正の相関を持つか、あるいは、負の相関を持つかを判断することができる。もし当該物質クラスタの量がある特性と正の相関がある場合には、その物質クラスタの量を増やすと、特性(property)のより良い、すなわちより望ましい特徴(characteristic)を達成することができる。一方、物質クラスタの量がある特性と負の相関がある場合には、処方物内の当該物質クラスタの量を増やすと、その特性のより悪い、すなわち望ましくない特徴を得ることになる可能性がある。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、各化学混合物レシピの特性には、測定した各特性について、それぞれの化学混合物レシピの性能評価を示すそれぞれの性能(パフォーマンス)スコアがさらに含まれる。
【0012】
例えば、性能スコアは、1(非常に良い、すなわち望ましい)から5(非常に悪い、すなわち望ましくない)までの十進カテゴリ順序スケールのような順序尺度とすることができる。性能スコアを特性に含めることで、化学混合物レシピの性能を評価することが可能となる。
【0013】
各化学混合レシピの性能スコアは、例えば、顧客のフィードバック、顧客の期待又は仕様、又は競合他社の材料との比較に基づいて与えられる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、樹脂及び/又は添加剤から選択される少なくとも1つの成分がある物質クラスタで表される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、化学混合物には塗料処方物が含まれる。
【0016】
例えば、塗料処方物は自動車用塗料処方物であってもよい。
【0017】
本発明の実施形態によれば、塗料処方物の特性は、湿潤塗料の特性及び/又は湿潤塗料から形成されるコーティングの特性を含んでいる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記化学混合物は、農業用多成分混合物、医薬用多成分混合物、栄養用多成分混合物、インク用多成分混合物、建設目的の化学混合物、及び石油生産内で使用する化学混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、データ駆動型モデルはルールベースの機械学習モデルを含む。
【0020】
ルールベースの機械学習モデルは、記憶、操作(manipulate)、又は適用するための「ルール」を特定し、学習し、又は進化させる、あらゆる機械学習方法を含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ルールベースの機械学習モデルは、学習分類子システム、相関(association)ルール学習、及び人工免疫システムのうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、化学混合物の特性を予測するためのコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、下記のステップ
-2つ以上の成分を含む化学混合物レシピを取得するステップ、
-少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ、ここで、事前定義した物質クラスタの各々は、単一の成分を、又は化学的性質が類似する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てられた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより、前記化学混合物レシピを改訂するステップ、
-化学混合物レシピの特性測定値を予測するために、改訂した化学混合物レシピをデータ駆動型モデルで処理するステップ、ここで、該データ駆動型モデルは先行する請求項のいずれか一項に記載の方法に従ってトレーニングをしたものである、及び
-前記化学混合物レシピの予測した特性測定値を出力するステップ
を含む。
【0023】
つまり、化学混合物の特性を予測するためのトレーニングをしたデータ駆動型モデルは、同じクラスタの成分を区別又は識別しない。これらの成分の化学的性質が似ているからである。
【0024】
本発明の実施形態によれば、本発明のコンピュータ実装方法は、予測された特性測定値を特性性能目標値と比較するステップと、特性性能目標値を満たすように化学混合物のレシピを調整するステップとをさらに含む。
【0025】
本発明の実施形態によれば、各化学混合物レシピの特性には、測定された各特性について、各化学混合物レシピの性能評価を示すそれぞれの性能スコアがさらに含まれる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、樹脂及び/又は添加剤から選択された少なくとも1つの成分を物質クラスタで表す。
【0027】
本発明の実施形態によれば、化学混合物は塗料処方物を含む。
【0028】
本発明の実施形態によれば、塗料処方物の特性は、湿潤塗料の特性及び/又は湿潤塗料から形成されるコーティングの特性を含む。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記化学混合物は、農業用多成分混合物、医薬用多成分混合物、栄養用多成分混合物、インク用多成分混合物、建設目的の化学混合物、及び石油生産内で使用する化学混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、データ駆動型モデルはルールベースの機械学習モデルを含む。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ルールベースの機械学習モデルは、学習分類子システム、相関ルール学習、及び人工免疫システムのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様に係る方法及び関連する例を実行するように構成したトレーニングモジュールを含む装置が提供される。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、第2の態様に係る方法及び関連する例を実行するように構成した予測モジュールを含む装置が提供される。
【0034】
本発明の別の態様によれば、上述した方法及び後述する方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、プログラム要素を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0036】
有利なことに、上記の態様のいずれかによって提供される利点は、他の態様のすべてに等しく適用される。逆もまた同様である。
【0037】
本明細書で使用されているように、機械学習に関連して「学習(ラーニング)」という用語は、関心のあるタスクを達成するための適切なアルゴリズムの特定(identification)とトレーニング(training)を意味する。「学習」には、相関(又はアソシエーション)学習、分類学習、クラスタリング(クラスタ化:clustering)、及び数値予測などが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本書で使用する「機械学習(machine-learning)」という用語は、過去の経験からパターン、規則性、又はルールを導き出し、将来のデータに対する適切な対応を開発し、又はそのデータを何らかの有意義な形で記述することができるコンピュータプログラムの設計を研究するコンピュータサイエンスの分野をいう。
【0039】
同様に本明細書で使用する、機械学習に関連する「データ駆動型モデル」という用語は、適切なトレーニングデータに基づいて学習させる適切なアルゴリズムのことを指す。
【0040】
前述の概念及び以下でより詳細に議論する追加の概念のすべての組合せ(ただし、そのような概念が相互に矛盾しないことを条件とする)は、本明細書に開示する発明的主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の末尾に記載する特許請求の範囲に記載する主題の全ての組合せは、本明細書に開示する発明的主題の一部であると考えられる。
【0041】
本発明のこれら態様や他の態様は、以下に説明する実施形態を参照することにより明らかとなり、また、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図面中、同じ参照符号は、一般的に、各図を通して同じ部品を示す。また、各図面は必ずしも一定の縮尺で作成しているわけではなく、一般に本発明の原理を示すことに重点を置いている。
図1】本開示のいくつかの、ある実施形態に係るコンピュータ実装方法を示すフローチャート図である。
図2】本開示のいくつかの、ある実施形態に係るコンピュータ実装方法を示すフローチャート図である。
図3】メラミンホルムアルデヒド樹脂の化学構造を示す図である。
図4】ジケトピロロピロール顔料の化学構造の中心部位を示す図である。
図5】同一の顔料クラスタに帰属するための一つの基準として、異なる顔料であっても中心部位が同一であることを示す図である。
図6】本開示のある実施形態に係るトレーニングモジュール及び予測モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の第1の態様によれば、化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするためのコンピュータ実装方法100が提供される。このコンピュータ実装方法は、下記のステップ、すなわち、
-複数の化学混合物レシピの履歴及び/又は校正データと、各化学混合物レシピの特性を含むデータを取得するステップ110、ここで、前記各化学混合物レシピは2つ以上の成分を含むものである、
-各化学混合物レシピ中の少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ120、ここで、事前定義した物質クラスタの各々が、単一の成分又は類似の化学的性質を有する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより各化学混合物レシピを改訂するステップ130、及び
-新たな化学混合物の特性の予測に活用できるデータ駆動型モデルのトレーニングを行うために、改訂した化学混合物レシピを、化学混合物レシピの特性とともに、機械学習プロセスに提供するステップ140
を含む。
【0044】
図1は、本開示の第1の態様によるコンピュータ実装方法100を示すフローチャート図である。
【0045】
実証データ収集
ステップ110において、実証データは、例えば、ライブラリ又はデータベース(市販のデータベース又は企業の専有データベースなど)から取得することができる。実証データは、複数の化学混合物レシピの履歴及び/又は校正実験からの履歴及び/又は校正データ、並びに各化学混合物レシピの特性から構成される。
【0046】
各化学混合物レシピは2つ以上の成分を含む。いくつかの例では、1つの化学混合物レシピが、最大50種の異なる原料、すなわち成分を含む場合もある。2つ以上の成分は、化学混合物の総量に対する分画(fractional)濃度で表される。一般に、化学混合物の特性は、化学混合物の総量ではなく、成分の分画濃度に依存する。混合物の処方は、質量、体積、又は、その他の量的単位で表すことができる。分画濃度とは、簡単に言えば、化学混合物中のある成分の量をその混合物の総量で割って求めたものである。分画濃度の総和は1(unity)となる。分画濃度は0と1との間の範囲の連続変数である。
【0047】
化学混合物の特性(properties)は、測定可能なあらゆる特徴(characteristic)であることができる。この特徴は、連続的、順序的又は名目的な測定値の場合もある。例えば、処方したコーティング塗料の場合は、液体混合物の粘度を連続的な尺度(スケール)で測定することができる。例えば、塗布したコーティングフィルムについてのオレンジピール(すなわちゆず肌)の測定は、1(非常に滑らかでない)~10(非常に滑らかである)の十進法カテゴリ順序スケールで行うことができる。別の例では、各化学混合物のレシピの特性には、さらに、測定した各々の特性について、例えば、1(非常に良い)から5(非常に悪い)といったように、個々の化学混合物レシピの性能評価を示すそれぞれの性能スコアが含まれる。名目上の測定の例としては,ある欠陥の観察について、合格又は不合格というコード化されたカテゴリがある。
【0048】
いくつかの例では、化学混合物は自動車用コーティング処方物であることができる。自動車用コーティング処方物の特性には、例えば、化学混合物レシピの配合、例えば塗料成分の量に依存する物性(粘度、垂れ)及び外観性(隠蔽性、光沢、写像鮮明性)が含まれる場合がある。
【0049】
表1に水性ベースコートの典型的な特性と対応する属性を示す。
【0050】
【表1】

【0051】
なお、本開示の方法はその他の種類の化学混合物の性質を予測する場合にも有用であることが当業者であれば理解されるであろう。これらの混合物には、固体又は液体があり、その他の種類の塗料及びコーティング、インクジェットインキを含むインキ、アルコール類、ディーゼル燃料、油、プラスチック、ポリマーブレンド、フィルム等が含まれるがこれらに限定されない。
【0052】
以下に、化学混合物と測定特性とのさらなる例をいくつか説明する。
【0053】
1.農業用多成分混合物
例えば、殺虫剤、殺菌剤などで農作物を管理するためのスプレー製品として使用する処方剤のような、農業用に使用する混合物がある。これに関し、一方では、その活性成分の噴霧性は当該処方剤内の残りの成分によって保証されるものである。すなわち、所与の噴霧方法で使用できる処方剤を得る目的で、処方剤には、活性成分以外に様々な他の成分が用いられている。すなわち、噴霧性(例えば、液滴サイズの形成及び液滴の形成の容易さなど)は、活性成分の性質とともに、そのような処方剤中の様々な成分によって影響を受ける特性である。
【0054】
さらに、噴霧した処方剤の植物への吸着、及び、活性成分又は噴霧した処方剤全体の吸収、すなわち、ここでは再収着(resorption)は、活性成分及び処方剤中の残りの成分に依存する。また、植物又は生物体内における活性成分を標的に向かわせる方法、より詳しくは活性成分の細胞の標的部位への移動は、処方剤中の残りの成分により影響を受ける。つまり、効果の発現速度及び効果の発現それ自体が、これら成分が処方剤に占める割合に依存する。
【0055】
2.医薬用多成分混合物
また、ここでは、活性成分以外の医薬品処方剤中に存在する成分が、医薬品のライフサイクル全体(ここでは、製造から排泄又は「消化」まで)に影響を及ぼす。
【0056】
例えば、活性成分を錠剤、坐剤、液剤(主に活性成分の分散液)のいずれで提供するかは、これらの処方割合により決まる。
【0057】
さらに、これらの処方割合により、活性成分が生体内のどこで遊離し、どこで吸収され、どこで再収着されるかが決まる。
【0058】
最後に、これらの処方割合により、活性成分が体内、細胞内のどの部分に輸送され、消化されて期待される効果を示すか、あるいは、生体内で全く「消化」されない場合、「消化」されずに排泄されるかが決まる。
【0059】
これらの特性は、各々,適切な処方、すなわち医薬用多成分混合物の適切な組成を見出すのに重要となることがある。
【0060】
3.栄養用多成分混合物
多くの食品は、私たちの生体が適切に機能するために必要な、様々な種類の化学的サブグループを含む多成分混合物としてみることができる。例えば、ビタミン及び無機栄養素などの栄養添加物も食品の一部であり、これらを生体の適切な部位で利用できるように、食品「処方物」に組み込むことが重要である。ここでも、両パラメータは、食品「処方物」の残り成分の割合による影響を受ける可能性がある。例えば、無機栄養素を適切な方法で生体に供給すれば、その生体による良好な再収着が保証される一方、その供給方法が悪いとその再収着が低下し健康に影響を及ぼす可能性がある。
【0061】
4.多成分混合物としてのインク
塗料と同様に、インク類も多成分混合物であり、インク処方物と定義することができる。また、色を付与する成分(この場合は主に染料)以外の残りの成分が、インクの安定性、処理加工性、インク付着表面への定着性を保証する。このような、さまざまな作業と特性は、表1の水性ベースコートについてより詳細に述べた、コーティングの特性に関する箇所で説明したものと非常によく似ている。
【0062】
ここで、特に重要な特性には、インク付着面への接着性、塗布後の処方物の耐垂れ性又は粘度安定性、及び、得られたプリント印刷物の耐光性、すなわち得られる印刷物の非褪色性などの諸特性がある。
【0063】
5.建設目的の化学混合物
また、建設用途で使用される材料の多くは、化学的混合物としてみることができる。例えば、コンクリートは、セメント、さまざまな大きさのロケット及び水の混合物から形成される。さらに、現代のコンクリート処方物は、コンクリート添加剤とコンクリート混和剤を含有する。これらは、ともに、コンクリート処方物の特有な特性を誘発し特殊な目的等に合わせ調整するために該処方物へ加える添加物である。このような特性は、例えば、塗布挙動、沈降挙動、硬化、引張強度、曲げ特性、及び湿潤状態又は乾燥状態でのコンクリートの耐久性などである。これらの特性はすべて、コンクリート添加剤及びコンクリート混和剤の影響を受けることがある。コンクリート添加剤材料として使用される物質は、大抵、例えば岩粉、フライアッシュ又はシリカフュームのような無機物であるのに対して、コンクリート混和剤材料として使用される物質は、例えばアクリル樹脂又は他のオリゴマー物質又はポリマー物質のような有機物であることもある。
【0064】
また、関連する用途としては、漆喰塗りの材料として使用される化学混合物も考えられる。これに関しても、コンクリート処方物と同様の処方物が使用される。しかし、この漆喰モルタルは、通常、ロケットの大きさに制限がある。つまり、岩石骨材のサイズは4mmまでに制限されており、それを超える大きさのものはこのモルタルに使用することができない。適切な添加剤の使用によって達成される必要がある主な特性は、上記のものと非常によく似ており、主に塗布特性や作業性の領域にある。ポンプ圧送性、平滑化特性だけでなく、接着特性の評価も通常、このような漆喰処方物の開発時に実施される。
【0065】
6.石油生産で使用する化学混合物
また、石油生産の分野では、化学混合物を用いて石油抽出効率の程度を最適化している。フラッキング及び従来の石油抽出法では、特に石油坑井のライフサイクルの後期において、これらの処方物を坑井内に注入することで効率レベルを向上させている。これに関し、主に水を含む有機ポリマーが使用される。総合的に見て、石油生産の効率レベルは、使用する添加剤の有効性を判定するパラメータである。細かく見れば、岩石から石油を放出する能力又はその条件下で圧力と粘性を発生させる能力などの特性が重要な特性となる場合がある。
【0066】
物質クラスタ
収集した実証データをそのままトレーニングデータとして使用するわけではない。むしろ、ステップ120で、各化学混合物レシピ内の少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てる。事前定義した物質クラスタの各々は、類似の化学的性質を持つ成分の一群を表すことができる。ただし、物質クラスタは単一の成分のみである場合もあること、つまり、1つの化学物質のみで構成されるクラスタが存在する可能性があることに言及しておく必要がある。これは、その成分の化学的性質が他の成分との類似性を具備していないため、どのクラスタにも帰属させることができない場合である。例えば、「オリゴ-又はポリエチレングリコール」のクラスタはトリエチレングリコールのみで構成されている。なぜなら、これが、オリゴ-又はポリエチレングリコールという化学物質グループのうち、使用する唯一の成分だからである。
【0067】
例えば、遊離OH基を持たないメチル化のみされたメラミンホルムアルデヒド樹脂と遊離OH基を持たないブチル化のみされたメラミンホルムアルデヒド樹脂は、どちらも高エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂としてみることができるが、エーテル化の違いにより、その物理的及び/又は化学的挙動は互いに異なる。したがって、この結果として、2つの異なるクラスタが存在することになる。
【0068】
例えば、「アルコール」という物質には、エタノールとメタノールが含まれることがある。これらは共に、化学構造が似ており、水に完全に溶けて混合可能であるためである。以下、さらなるクラスタの例について説明する。
【0069】
各種成分は様々な方法でクラスタ化することができる。例えば、自動化学クラスタリングアルゴリズムを用いて各種成分をクラスタ化することができる。例えば、専門家であれば、複数の物質クラスタを定義し、それぞれの物質クラスタに、クラスタ全体を十分に代表する代表的成分を属させることができる。自動化学クラスタリングアルゴリズムは、化学混合物レシピの各種成分と物質クラスタの各々の代表的物質を、例えばバイナリフィンガープリント、グラフプロパティ、又は最大共通部分構造などに基づいて比較し、類似度が許容限度内であれば、当該成分を一物質クラスタに割り当てることができる。
【0070】
一例では、化学構造のバイナリ部分構造フィンガープリントを生成することができる。部分構造とは、化学構造の断片のことである。フィンガープリントは、バイナリビットの順序付きリストである。各ビットは、例えば、化学構造中の元素数、環系の種類、原子対、原子環境(最近接)などの存在についてのブール値判定又はテストを表す。これらのフィンガープリントは、類似性近傍検索や類似性検索に利用することができる。
【0071】
別の例では、最大共通部分構造をクラスタリングに使用することができる。最大共通部分構造とは、グラフに基づく類似性の概念であって、2つの化合物が共有する最大の部分構造(サブグラフ)として定義され、同じ類似性係数の計算に用いることができる。
【0072】
代替的又は追加的に、処方をする者などの担当者は、収集した各化学混合物レシピの各種成分に物質クラスタを割り当てることができる。
【0073】
本明細書に記載した物質クラスタの理解を容易にするために、以後、自動車用塗料の各種成分に関する例示的な物質クラスタについて説明する。自動車用塗料又はコーティング処方物は、色合わせ、外観、耐久性、塗布性、膜特性のバランスを考慮して配合した樹脂、顔料、溶剤、添加剤の複雑な混合物から構成されている。
【0074】
第1サブグループ:樹脂(すなわちバインダー)
図3は、水性ベースコートシステム内の架橋剤として使用されるメラミンホルムアルデヒド樹脂(mfr)の化学構造を示したものである。
【0075】
これに関し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、メチル、ブチル又は水素の基のうちから選択される。異なる原料、すなわち異なる供給元から供給された異なるmfrを分析的に比較することによって、そのようなmfrが、例えば、遊離OH基を有さないメチル化のみされたmfrであるか、遊離OH-基を有さないブチル化のみされたmfrであるかどうかなどでグループ化することができる。これに基づいて、そのようなクラスタへの帰属を行うことができる。さらに、アミン基、オリゴホルムアルデヒド部位、及び、自己架橋反応によって得られた構造体が、典型的なメラミンホルムアルデヒド樹脂の内部に含まれることがあることを、完全性の理由から述べておかなければならない。これらの基はすべて、クラスタの定義に使用することができる。
【0076】
さらに、ポリウレタン樹脂もその一例であり、水性ベースコート系の「樹脂=バインダー」として使用される。この樹脂は、アルコール(遊離OH基が特徴)とイソシアネート(NCO基が特徴)を反応させた、いわゆるウレタン結合を含むことが特徴である。しかし、このようなポリウレタンの製造に使用されるイソシアネート及びアルコールの化学構造は、全く異なる場合がある。この結果、この合成の遊離体の重要な指標(OH価、NCO価、分子質量、ガラス転移点、遊離体の分子比など)が、ポリウレタンの構造と性質を決定している。これらの重要な指標が分かれば、重要な指標が非常に似ていることによる「類似性」を主張し、特定のクラスタへ帰属させることが可能となる。
【0077】
例えば、WO92/15405A1の第14頁第13行目~第15頁第20行目に記載されているように、水性ベースコート系に3種類のポリウレタンが用いられている。これらのポリマーは類似するものとして記載されている。
【0078】
このようにして、70種類の樹脂を、例えば15個の樹脂クラスタに分類することができる。
【0079】
第2サブグループ:顔料
ここでも、顔料自体の化学構造に基づいて、特定のクラスタへの帰属を行う。例えば、白色顔料は通常、二酸化チタンを主原料としているが、表面処理及び/又は粒度分布など、個々の種類で違いがある。しかし、結局のところ、これらの顔料はすべて二酸化チタンであり、その化学的挙動は非常によく類似しているため、この類似性に基づいて特定のクラスタに帰属させることが合理的である。
【0080】
第2の例として、図4に示す化学的基本構造で定義されるジケト-ピロロ-ピロール顔料を挙げることができる。
【0081】
図4は、ジケト-ピロロ-ピロール顔料の中心部位を示している。この特定の顔料の色はR1とR2の化学構造に依存していて、R1とR2は両方とも変化し、それによって異なる顔料を形成することができる。しかし、その一方、これらの顔料の化学的挙動は、この中心部位にかなり大きく依存している。したがって、あるクラスタへの帰属をこの中心の構成単位に基づいて行う。これについての具体例を図5に示す。
【0082】
第3サブグループ:溶剤
溶媒は、一方ではアルコール又はエステルなどの化学的性質によってクラスタ化し、他方ではそれらの物理的性質によってクラスタ化する。例えば、各種アルコールは、その個々のアルコールの化学構造によって水に溶解する物質又は水に不溶解性の物質とみなすことができる。
【0083】
エタノール及びメタノールなどは、水に完全に溶け、混ざりやすいので、同じクラスタに帰属することになる。
【0084】
別の例として、2-エチルヘキサノール、1-オクタノール、イソ-トリデシルアルコールなどのように、水と混合しない、又は水との混合性が非常に悪いアルコール類へ帰属させる場合が挙げられる。
【0085】
第4サブグループ:添加剤
ここでは、記載した事項の中で最大の種類が使用されている。なお、ここでも、ある特定のクラスタへの帰属は、各物質の化学構造を調べることによって行う。
【0086】
一例として、ポリプロピレングリコール、すなわち、Pluracol 1010、Uniol 1000及びPluriol P900を用いることが考えられる。これらは、いずれもポリプロピレングリコールで、その銘柄に続く数字は、この生原料に存在するポリプロピレングリコールの平均分子量を示している。したがって、ポリプロピレングリコール類クラスタへの帰属を行う。
【0087】
別の例としては、変性シロキサンのクラスタがあり、ここでは、例えばByk-345、Byk-346、及びByk-347を使用する。これらはすべてエチレンオキシド変性シロキサンであり、すなわちこの情報に基づいて「類似性」ひいては特定のクラスタへの帰属を決定する。
【0088】
このようにして、70種類を超える添加剤を約20個程度の添加剤クラスタにクラスタ化することができる。
【0089】
トレーニングデータの準備
ステップ130では、各化学混合物レシピを改訂(revised)して、その少なくとも1つの成分を割り当てた事前定義した物質クラスタで置き換える。つまり、トレーニングデータセットを、修正した実証データを用いて構築する。トレーニングデータセットにおいて、入力した化学混合物レシピと出力した特性のセットの1つの例を例示と呼ぶ。入力した各化学混合物レシピにおいて、化学混合物レシピの1つの成分が事前定義した物質クラスタに割り当てられた場合、割り当てられた物質クラスタにより化学混合物レシピの対応する成分を置き換えることになる。
【0090】
例えば、一化学混合物レシピが成分A、成分B、成分C、及び遊離OH基を持たないメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂からなる場合、対応する化学混合物レシピの入力は成分A、成分B、成分C、及び「mfr-メチル化のみされたもの」という命名の物質群となることがある。また、例えば、一化学混合物レシピが成分B、成分D、及び遊離OH基を持たないブチル化のみされたものを含む場合、対応する化学混合レシピの入力は成分B、成分D、及び「mfr-ブチル化のみされたもの」という命名の物質群となる可能性がある。
【0091】
つまり、トレーニングデータセットでは、同じ物質クラスタ中の各成分を識別しない。これら成分は化学的性質が類似しているからである。したがって、トレーニングデータセットの複雑さを軽減することができ、それによって、データ駆動型モデルのトレーニングプロセスの複雑さも軽減することができる。
【0092】
データ駆動型モデルのトレーニング
ステップ140において、改訂された化学混合物レシピは、化学混合物レシピの諸特性と共に、新しい化学混合物の特性を予測するために使用可能な、データ駆動型モデルをトレーニングするために、機械学習プロセスに提供される。
【0093】
機械学習における表現「データ駆動型モデル」とは、適切なトレーニングデータに基づいて学習される適切なアルゴリズムのことである。この場合、このような学習型データ駆動型モデルは、対応する化学混合物レシピの成分と物質群に基づいて、化学混合物の特性を予測することを意図しています。
【0094】
例えば、データ駆動型モデルは、ルールベースの機械学習モデルであることができる。ルールベースの機械学習モデルは、記憶、操作、又は適用するための「ルール」を特定(識別)、学習、又は進化させる、あらゆる機械学習方法から構成されてもよい。ルールベースの機械学習器の決定的な特徴は、システムが取得した知識をまとめて表す一連の関係ルールを特定し、活用することである。これは、予測を行うためにあらゆる事例に普遍的に適用することができる単一のモデルを一般的に特定する他の機械学習器とは対照的である。
【0095】
ルールベースの機械学習アプローチには、学習分類子システム、相関ルール学習、人工免疫システム、その他、それぞれが文脈的知識をカバーする一連のルールに依存する方法が含まれる場合がある。
【0096】
例えば、相関ルール学習アルゴリズムは、1つ又は複数の機械学習アルゴリズムによる予測に利用することができる。機械学習アルゴリズムは、次のものから選択する:特徴評価アルゴリズム、特徴サブセット選択アルゴリズム、ベイジアン(Bayesian)ネットワーク(Cheng及びGreiner(1999)、Comparing Bayesian network classifiersを参照)、インスタンスベースアルゴリズム、サポートベクターマシン(例えば、Shevadeら、(1999)、Improves to SMO Algorithm for SVM Regression、Technical Report CD-99-16、Control Division Dept of Mechanical and Production Engineering、National University of Singapore;Smolaら、(1998)、A Tutorial on Support Vector Regression、NeuroCOLT2 Technical Report Series-NC2-TR-1998-030;Scholkopf、(1998).SVM-a practical consequence of learning theory、IEEE Intelligent Systems。IEEE Intelligent Systems 13.4:18-21;Boserら、(1992)、A Training Algorithm for Optimal Margin Classifiers V 144-52;及びBurges(1998)、A tutorial on Support Vector Machine for pattern recognition、Data Mining and Knowledge Discovery 2(1998):121-67参照)、投票アルゴリズム、コストセンシティブ分類子、スタッキングアルゴリズム、分類ルール、決定木アルゴリズム(Witten及びFrank(2005)、Data Mining Practical machine learning Tools and Techniques、Morgan Kaufmann、サンフランシスコ、第2版参照)
事前定義した物質クラスタと特性との相関関係
任意で、コンピュータ実装方法は、トレーニングに基づいて、少なくとも1つの事前定義した物質クラスタと1つ以上の特性との間の相関関係を特定するステップを含むことができる。
【0097】
一例では、この相関関係により、どの原料が、特定の特性値が割り当てられたレシピ内に含まれるかを特定することができる。
【0098】
別の例では、この相関関係から、特定の特性値に対して、どのような原料の組合せが頻繁に使用されるかを判断することができる。
【0099】
さらなる例では、この相関関係から、どの原料が、良い特性値又は悪い特性値をもたらすかを判断することができる。つまり、どの原料が特性値と正の相関関係を持ち、どの原料が特性値と負の相関関係を持つかを判断することができる。
【0100】
例えば、自動車用塗料の品質として非常に重要である「耐衝撃性」は、水性ベースコート内の架橋剤の量や架橋剤の性質と相関関係にあることが分かった。クラスタmfr-メチル化のみされたもの、の内に定義された架橋剤の量が多いために架橋剤比が高くなると耐衝撃性の悪いコーティングになるのに対し、クラスタmfr-メチル化のみされたもの、の内に定義された架橋剤の量が少ないために架橋剤比が低くなると耐衝撃性が改善したコーティングとなる。
【0101】
予測
データ駆動型モデルのトレーニングが完了すると、化学混合物レシピの入力と測定特性の出力との関係を示すモデルを提供することができる。なお、各化学レシピの入力では、少なくとも1つの成分が、割り当てられた事前定義した物質クラスタで置き換えられることに留意されたい。つまり、提案するトレーニング済みデータ駆動型モデルでは、同じ物質クラスタの各成分を区別することはしない。これにより、データ駆動型モデルの複雑さだけでなく、入力データの複雑さも軽減される可能性がある。
【0102】
この目的のため、本開示の第2の態様によれば、化学混合物の特性を予測するためのコンピュータ実装方法200が提供される。この方法は、下記のステップ:
-2つ以上の成分を含む化学混合物レシピを取得するステップ210、
-少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ220、ここで、事前定義した物質クラスタの各々は、1つの成分又は化学的性質が類似する成分の一群を表す、
-前記少なくとも1つの成分を、割り当てられた事前定義した物質クラスタで置き換えることにより、化学混合物レシピを改訂するステップ230、
-改訂した化学混合物レシピをデータ駆動型モデルで処理して化学混合物レシピの特性測定値を予測するステップ240、ここで、該データ駆動型モデルは第1の態様に係る方法や関連する例に従ってトレーニングをしたものである、及び
-予測した化学混合物レシピの特性測定値を出力するステップ250
を含む。
【0103】
図2は、本開示の第2の態様に係るコンピュータ実装方法200を説明するフローチャート図である。
【0104】
ステップ210では、化学混合物のレシピを取得する。化学混合物レシピは2つ以上の成分から構成されている。化学混合物の例としては、塗料処方物、農業用多成分混合物、医薬用多成分混合物、栄養用多成分混合物、インク用多成分混合物、建設目的の化学混合物、石油生産内で使用する化学混合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0105】
ステップ220では、化学混合物レシピの少なくとも1つの成分を、事前定義した物質クラスタの1つに割り当てる。事前定義した各クラスタは、1つの成分又は化学的性質の類似した成分の一群を表す。例えば、エタノールとメタノールなどは完全に水に溶解し混合可能であるため、同じクラスタに帰属することになる。
【0106】
ステップ230では、前記少なくとも1つの成分を前記割り当てた事前定義した物質クラスタと置き換えることにより、前記化学混合物レシピを改訂する。つまり、化学混合物レシピ中の1つの成分がある物質クラスタに割り当てられている場合、当該成分ではなく、前記割り当てられた物質クラスタがトレーニング済みデータ駆動型モデルへの入力として提供されることになる。
【0107】
ステップ240では、改訂した化学混合物レシピをデータ駆動型モデルで処理し、化学混合物レシピの特性測定値を予測する。このデータ駆動型モデルは、第1の態様に係る方法及び関連する例に従ってトレーニングされたものである。例えば、データ駆動型モデルがルールベースの機械学習モデルである場合、関係する一連のルールがトレーニングデータセットから導かれることになる。これらのルールに基づいて、新しいレシピ組成物の特性を高い確率で予測することができる。
【0108】
ステップ250では、化学混合物レシピの予測される特性測定値が提供される。
【0109】
本コンピュータ実装方法は、その予測された特性測定値を特性性能目標値と比較するステップと、その特性性能目標値を満たすように化学混合物レシピを調整するステップとを、任意で、含むこともできる。
【0110】
コンピュータ実装方法100、200は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、ファームウェア、フラッシュメモリなどの非一過性の機械可読又はコンピュータ可読記憶媒体に、例えば、プログラマブルロジックアレイ(PLAs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLDs)などの構成可能ロジックに、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、相補性金属酸化物半導体(CMOS)又はトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)技術のような回路技術を用いた固定機能ハードウェアロジックに、又は、これらのいずれかの組合せに格納された、一組の論理命令で、装置、モジュール、又は関連コンポーネントとして実装することができる。例えば、方法100、200に示される動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、JAVA(登録商標)、SMALLTALK(登録商標)、C++、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語、又は類似するプログラミング言語を包含する、1つ以上のプログラミング言語の組合せで記述することができる。
【0111】
また、本明細書に記載の方法において、2つ以上のステップ又は動作を含む方法であっても、明確にこれに反する記載がない限り、そのステップ又は動作の順序が、必ずしも、当該方法のステップ又は動作を記述した順番に限定されないことを理解されたい。
【0112】
トレーニングモジュール
本発明の第3の態様によれば、化学混合物の特性を予測するためのデータ駆動型モデルをトレーニングするための装置10が提供される。この装置は、第1の態様に係る方法及び関連する例を実行するように構成したトレーニングモジュール12を含む。
【0113】
図6は、本開示の第3の態様に係る装置10を示す図である。データ駆動型モデルとしては、例えば、相関ルール学習(ラーニング)モデルを用いることができる。
【0114】
したがって、トレーニングモジュール12は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ又は複数のソフトウェアプログラム又はファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)及び/又はメモリ(共有、専用、又はグループ)、組合せ論理回路、及び/又は、説明した機能を提供する他の適切なコンポーネントを指し、又はその一部であってもよく、又は含むことができる。さらに、このようなトレーニングモジュール12は、当業者に知られているように、揮発性又は不揮発性のストレージ、表示インターフェース、通信インターフェースなどに接続することもできる。トレーニングモジュール12の埋め込みは、特定の実装において位置情報を表現するために使用される信号の選択によって暗示される計算強度及びレイテンシ要件に依存していることが熟練者であれば理解できるであろう。
【0115】
予測モジュール
本開示の第4の態様によれば、本開示の第2の態様に係る方法及び関連する例を実行するように構成した予測モジュール22を含む装置20が提供される。
【0116】
本開示の第4の態様に係る装置20も図3に示す。
【0117】
したがって、予測モジュール22は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ又は複数のソフトウェアプログラム又はファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)及び/又はメモリ(共有、専用、又はグループ)、組合せ論理回路、及び/又は、記載した機能性を提供する他の適切なコンポーネントを指し、又はその一部であってもよく、又は含むことができる。さらに、この予測モジュール22は、当業者に知られているように、揮発性又は不揮発性のストレージ、表示インターフェース、通信インターフェースなどに接続することもできる。また、予測モジュール22の埋め込みは、特定の実装において位置情報を表現するために使用される信号の選択によって暗示される計算強度及びレイテンシ要件に依存することが熟練者であれば理解できるであろう。
【0118】
本書で定義し使用するすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義した用語の通常の意味を支配するものと理解されるべきである。
【0119】
本明細書及び特許請求の範囲において使用する不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0120】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか一方又は両方」を意味し、すなわち、ある場合には結合して存在する要素を、他の場合には分離して存在する要素を意味すると理解されるべきである。また、「及び/又は」で示される複数の要素についても同様に解釈されるべきであり、そのように結合された要素の「1つ又は複数」を意味する。また、「及び/又は」節で具体的に特定した要素以外に、具体的に特定した要素に関連するかしないかに関わらず、他の要素が、任意で、存在する場合もある。
【0121】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙した項目を区切って記載する場合、「又は」又は「及び/又は」は包括的な内容と解釈されなければならない。すなわち、数ある要素又は列挙項目のうち少なくとも1つを含むが2つ以上をも包含し、また、任意で、列挙していない項目もさらに包含するものと解釈されなければならない。なお、例えば、「~の1つだけ」又は「正確に~の1つ」のような、反対に明確に示されている用語のみ、又は特許請求の範囲で使用する「~からなる(consisting of)」の用語は、数ある要素又は列挙する要素のうちの正確に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書で使用する用語「又は」は、「どちらか一方」、「いずれかの1つ」、「どちらか一方のみ」、あるいは「まさにそのうちの1つ」のような排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち「いずれか一方であって両方ではない」)を示すものと解釈するものとする。
【0122】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、1つ以上の要素を列挙する場合の「少なくとも1つ」という語句は、列挙した要素内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも列挙した要素内に具体的に列挙された各々及び全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、列挙した要素内の要素の組合せを除外するものでもない。また、この定義は、「少なくとも1つ」の語句が指す列挙した要素内に具体的に特定した要素以外の要素が、具体的に特定した要素に関連するかどうかにかかわらず、任意に、存在する場合を認めるものである。
【0123】
特許請求の範囲では、上記明細書と同様に、「含む」、「包含する」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「含む又は包含する」、「保持する」、「からなる、又は構成される」等のすべての移行表現は、開放的表現であって、~を含むがこれに限定しないことを意味するものと理解される。「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる」の移行的表現のみが、それぞれ、閉鎖的又は半閉鎖的表現である。
【0124】
さらに、本書の詳細な説明に関し、当業者は、「一般的に」、「実質的に」、「主に」などの定量的修飾語は、一般的に、言及した対象、特徴、又は品質がその言及の主題の大部分を構成することを意味するために使用されていることに留意されたい。また、これらの用語の意味は、その用語が使用されている文脈に依存するものであって、特別に、その意味が変更される場合がある。
【0125】
本発明の別の例示的実施形態では、前述の実施形態の1つに係る方法のステップを適切なシステムで実行するように構成したことを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。したがって、コンピュータプログラム要素をコンピュータユニットに格納することができる。これもまた、本発明の実施形態の一部である。このコンピュータユニットは、上述方法のステップを実行するように、又は実行を誘導するように構成することができる。さらには、上述した装置のコンポーネントを動作させるように、そのコンピュータユニットを構成することができる。コンピュータユニットは、自動で動作するように、及び/又は、ユーザーの命令を実行するように構成することができる。ある種のピュータプログラムを、データ処理装置の作業メモリ内にロードする場合がある。このように、データ処理装置を、本発明の方法を実施するように装備することができる。
【0126】
本発明の例示的な実施形態は、最初から本発明を利用したコンピュータプログラム、及びアップデートすることにより既存のプログラムを、本発明を利用したプログラムに変更したコンピュータプログラムの両方を対象としている。
【0127】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述した方法の例示的実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができる場合がある。
【0128】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示される。このコンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム要素を格納したものであって、このコンピュータプログラム要素は先の欄で説明している。
【0129】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその一部として供給される、光記憶媒体や固体媒体などの適切な媒体に、格納及び/又は配布することができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介する他の形態で、配布することもまた可能である。
【0130】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されることもあり、そのようなネットワークからデータ処理装置のワーキングメモリにダウンロードすることも可能である。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロード可能にするための媒体が提供される。このコンピュータプログラム要素は、先に説明した本発明の実施形態の1つに係る方法を実行するように配置される。
【0131】
すべての機能を組み合わせることで、これら機能を単純に総和した場合を超える相乗効果を得ることができる。
【0132】
本明細書で、本発明について幾つかの実施形態について説明し図示してきた。当業者であれば、本明細書に記載した機能を実行し、及び/又は結果を得るため、及び/又は1以上の利点を得るための、様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定することであろうが、かかる変形及び/又は改良の各々は、本明細書に記載した本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が活用される特定の用途により変化するものであることを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に記載した特定の本発明の実施形態に対する同等物を認識し、又は日常的な実験以上のことを行わずに、そのような同等物を確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、本発明の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、具体的に説明し及び特許請求したものとは別の方法で実施され得ることを理解されるべきである。本開示の本発明実施形態は、本明細書に記載した各々の、個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に向けられている。さらに、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しないのであれば、これらの2つ以上の組合せのあらゆるものは、本開示の本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0133】
100 第1の態様によるコンピュータ実装方法
110 データを取得するステップ
120 事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ
130 化学混合物レシピを改訂するステップ
140 改訂した化学混合物レシピを機械学習プロセスに提供するステップ
200 第2の態様に係るコンピュータ実装方法
210 化学混合物レシピを取得するステップ
220 事前定義した物質クラスタの1つに割り当てるステップ
230 化学混合物レシピを改訂するステップ
240 化学混合物レシピの特性測定値を予測するステップ
250 予測した化学混合物レシピの特性測定値を出力するステップ
10 第3の態様に係る装置(トレーニングするための装置)
12 トレーニングモジュール
20 第4の態様に係る装置
22 予測モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6