(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電池熱暴走の早期警報方法、装置、媒体及び機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240909BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240909BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02H7/18
H02J7/00 S
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2022573453
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2021094162
(87)【国際公開番号】W WO2021238706
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】202010476565.2
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼林旺
(72)【発明者】
【氏名】尹永▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼天宇
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼思佳
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-021417(JP,A)
【文献】特開2009-184639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0260192(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110370984(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110696680(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109786872(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池熱暴走の早期警報方法であって、
電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、前記電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、
各温度センサから当該温度センサの位置する回路が切断されたため温度検出を行うことができないことを検出するためのセンサ断線データとを取得するステップと、
前記現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計するステップであって、前記一次特性は、
前記現在の温度データが昇温速度を含む場合に前記温度センサからの現在の昇温速度が所定の昇温速度閾値を超えることを含む温度異常特性を含み、前記現在時刻での一次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した
温度異常特性の出現数の和を指すステップと、
前記一次特性の出現数が0より大きい場合、前記現在の電圧データ及び前
記センサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計するステップであって、前記二次特性は、
前記電圧センサが断線したことと前記電圧センサからの現在の電圧が所定の上限電圧より大きいか下限電圧より小さいこととを含む電圧異常特性、及び前記温度センサの位置する回路が切断されたため温度検出を行うことができないことを指すセンサ断線特性を含み、前記現在時刻での二次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した
センサ断線特性の出現数と前記電池パック内に配置された全ての前記電圧センサからの現在時刻に出現した
電圧異常特性の出現数との和を指すステップと、
現在時刻での前記一次特性の出現数と前記二次特性の出現数の総和を計算するステップと、
前記総和が所定の特性数閾値より大きい場合、電池熱暴走の早期警報を行うステップと、
を含むことを特徴とする電池熱暴走の早期警報方法。
【請求項2】
前記現在の温度データが現在の温
度を含む場合、前記温度異常特性は、前記電池パック内の前記温度センサからの現在の温度が所定の温度閾値を超えるこ
とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一次特性の出現数が0に等しい場合、熱暴走が発生しないと決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
電池熱暴走の早期警報装置であって、
電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、前記電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、
各温度センサから当該温度センサの位置する回路が切断されたため温度検出を行うことができないことを検出するためのセンサ断線データとを取得する取得モジュールと、
前記現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計し、前記一次特性の出現数が0より大きい場合、前記現在の電圧データ及び前
記センサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計する統計モジュールであって、前記一次特性は、
前記現在の温度データが昇温速度を含む場合に前記温度センサからの現在の昇温速度が所定の昇温速度閾値を超えることを含む温度異常特性を含み、前記現在時刻での一次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した
温度異常特性の出現数の和を指し、前記二次特性は、
前記電圧センサが断線したことと前記電圧センサからの現在の電圧が所定の上限電圧より大きいか下限電圧より小さいこととを含む電圧異常特性、
及び前記温度センサの位置する回路が切断されたため温度検出を行うことができないことを指すセンサ断線特性を含み、前記現在時刻での二次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した
センサ断線特性の出現数と前記電池パック内に配置された全ての前記電圧センサからの現在時刻に出現した
電圧異常特性の出現数との和を指す統計モジュールと、
現在時刻での前記一次特性の出現数と前記二次特性の出現数の総和を計算する計算モジュールと、
前記総和が所定の特性数閾値より大きい場合、電池熱暴走の早期警報を行う早期警報モジュールと、
を含むことを特徴とする電池熱暴走の早期警報装置。
【請求項5】
前記現在の温度データが現在の温
度を含む場合、前記温度異常特性は、前記電池パック内の前記温度センサからの現在の温度が所定の温度閾値を超えるこ
とを含むことを特徴とする請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記早期警報モジュールはさらに、前記一次特性の出現数が0に等しい場合、熱暴走が発生しないと決定することを特徴とする請求項
4又は5に記載の装置。
【請求項7】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、該プログラムは、プロセッサに請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、
前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを実行することにより、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法のステップを実現するプロセッサと、
を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年5月29日に提出された出願番号が202010476565.2で、名称が「電池熱暴走の早期警報方法、装置、媒体及び機器」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池管理の技術分野に関し、具体的には、電池熱暴走の早期警報方法、装置、媒体及び機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電池熱暴走の早期警報を行うための一般的な方法は、様々な温度センサ、電圧センサ、煙センサ、気圧センサなどを用いて電池パックを監視することである。しかしながら、センサの数が多いほど、電池パックのコストが高くなり、設計が複雑になる。そして、熱暴走過程で発生する高温気流、火炎などは、センサ、ワイヤハーネスなどの電池パックの関連構造を損傷させ、センサの有効信号の欠失を引き起こし、熱暴走を正確に識別することができなくなる。加えて、センサ自体に障害が発生すると、誤警報を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、電池熱暴走の早期警報の正確性及び迅速性を向上させるために、電池熱暴走の早期警報方法、装置、媒体及び機器を提供する。
【0005】
第1態様において、本開示に係る電池熱暴走の早期警報方法は、
電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、前記電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、各温度センサからの現在のセンサ断線データとを取得するステップと、
前記現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計するステップであって、前記一次特性は、前記温度センサからの温度異常特性を含み、前記現在時刻での一次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した温度異常特性の数の和を指すステップと、
前記一次特性の出現数が0より大きい場合、前記現在の電圧データ及び前記現在のセンサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計するステップであって、前記二次特性は、前記電圧センサからの電圧異常特性及び前記温度センサからのセンサ断線特性を含み、前記現在時刻での二次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現したセンサ断線特性と前記電池パック内に配置された全ての前記電圧センサからの現在時刻に出現した電圧異常特性の和を指すステップと、
現在時刻での前記一次特性の出現数と前記二次特性の出現数の総和を計算するステップと、
前記総和が所定の特性数閾値より大きい場合、電池熱暴走の早期警報を行うステップと、を含む。
【0006】
第2態様において、本開示に係る電池熱暴走の早期警報装置は、
電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、前記電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、各温度センサからの現在のセンサ断線データとを取得する取得モジュールと、
前記現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計し、前記一次特性の出現数が0より大きい場合、前記現在の電圧データ及び前記現在のセンサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計する統計モジュールであって、前記一次特性は、前記温度センサからの温度異常特性を含み、前記現在時刻での一次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現した温度異常特性の数の和を指し、前記二次特性は、前記電圧センサからの電圧異常特性及び前記温度センサからのセンサ断線特性を含み、前記現在時刻での二次特性の出現数は、前記電池パック内に配置された全ての前記温度センサからの現在時刻に出現したセンサ断線特性と前記電池パック内に配置された全ての前記電圧センサからの現在時刻に出現した電圧異常特性の和を指す統計モジュールと、
現在時刻での前記一次特性の出現数と前記二次特性の出現数の総和を計算する計算モジュールと、
前記総和が所定の特性数閾値より大きい場合、電池熱暴走の早期警報を行う早期警報モジュールと、を含む。
【0007】
第3態様において、本開示に係るコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体では、該プログラムは、プロセッサに本開示の最初の実施例に記載の方法のステップを実行させる。
【0008】
第4態様において、本開示に係る電子機器は、コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを実行することにより、本開示の最初の実施例に記載の方法のステップを実現するプロセッサと、を含む。
【0009】
上記技術手段を用いることにより、熱暴走特性を一次特性と二次特性に分け、一次特性がトリガされた後にだけ二次特性が有効になるため、該技術手段は、熱暴走の誤報率を減少させ、熱暴走に対する応答速度を加速することができる。また、上記技術手段は、温度、電圧断線情報を合理的に利用するため、熱暴走の失報率を減少させることができる。また、本開示の実施例に係る方法により、ハードウェアのコストを増加させる必要がなく、簡便な方法を利用して熱暴走の早期警報の正確性及び迅速性を向上させる。
【0010】
本開示の他の特徴及び利点いついては、後の具体的な実施形態部分において詳細に説明する。
【0011】
以下の図面を参照して行われた非限定的な実施例に対する詳細な説明を読むことにより、本開示の他の特徴、目的及び利点は、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施例に係る電池熱暴走の早期警報方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の一実施例に係る電池熱暴走の早期警報装置の概略ブロック図である。
【
図3】例示的な実施例に係る電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
図1は、本開示の一実施例に係る電池熱暴走の早期警報方法のフローチャートである。
図1に示すように、該方法は、以下のステップS11~S15を含む。
【0015】
ステップS11では、電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、各温度センサからの現在のセンサ断線データとを取得する。
【0016】
例えば、電池パック内にM1個の温度センサ及びM2個の電圧センサが配置されると仮定すると、このM1個の温度センサにより検知された現在の温度データと、M2個の電圧センサにより検知された現在の電圧データと、このM1個の温度センサからの現在のセンサ断線データとを取得する。現在の温度データ、現在の電圧データ、現在のセンサ断線データは、電池管理システムから取得されてもよく、それぞれ温度センサと電圧センサから直接取得されてもよい。
【0017】
ステップS12では、現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計する。一次特性は、温度センサからの温度異常特性を含み、現在時刻での一次特性の出現数は、電池パック内に配置された全ての温度センサからの現在時刻に出現した温度異常特性の数の和を指す。
【0018】
現在の温度データが現在の温度及び現在の昇温速度を含む場合、温度異常特性は、電池パック内の温度センサからの現在の温度が所定の温度閾値を超えること、及び/又は、電池パック内の温度センサからの現在の昇温速度が所定の昇温速度閾値を超えることを含む。
【0019】
各時刻に統計を開始する場合、一次特性の出現数n1の初期値は、いずれも0である。すなわち、例えば、前の時刻に統計を開始する場合、一次特性の出現数n1の初期値は、0であり、その後、現在時刻に統計を開始する場合、一次特性の出現数n1の初期値は、0にリセットされる。
【0020】
該ステップでは、まず、前述のM1個の温度センサのうちのi番目の温度センサにより検知された現在の温度データが、(1)温度センサからの現在の温度が所定の温度閾値を超え、すなわち、Ti>Tmaxである(Tiはi番目の温度センサにより検知された現在の温度であり、Tmaxは所定の温度閾値である)という条件と、(2)温度センサからの現在の昇温速度が所定の昇温速度閾値を超える、すなわち、Ti-T’i>Smaxである(T’iはi番目の温度センサにより検知された前の時刻の温度であり、Smaxは所定の昇温速度閾値である)という条件とをトリガするか否かを判断することができる。
【0021】
本開示において、昇温速度は、温度センサからの現在の温度と前の時刻の温度との差値を指す。
【0022】
上記2つの条件のうちの1つの条件がトリガされるたびに、一次特性の出現数n1の数値に1を加算する。例えば、i番目の温度センサにより検知された現在の温度が所定の温度閾値を超えると、一次特性の出現数n1の数値に1を加算し、その後、i番目の温度センサからの現在の昇温速度も所定の昇温速度閾値を超えると、一次特性の出現数n1の数値に1をさらに加算する。全てのM1個の温度センサからの全ての現在の温度データを判断した後、一次特性の出現数n1の数値は、電池パック内の全ての温度センサからの現在時刻に出現した一次特性の和に等しいことにより、現在時刻での最終的な一次特性の出現数n1を得る。
【0023】
ステップS13では、一次特性の出現数が0より大きい(これは、一次特性が検出されたことを示す)場合、現在の電圧データ及び現在のセンサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計する。二次特性は、電圧センサからの電圧異常特性及び温度センサからのセンサ断線特性を含む。現在時刻での二次特性の出現数は、電池パック内に配置された全ての温度センサからの現在時刻に出現したセンサ断線特性と電池パック内に配置された全ての電圧センサからの現在時刻に出現した電圧異常特性の和を指す。
【0024】
該ステップでは、温度センサからの現在のセンサ断線信号に基づいて前述のM1個の温度センサが断線したか否かを順に判断し、断線した温度センサの数n2_Tを統計してもよい。そして、前述のM2個の電圧センサからの現在の電圧データが異常であるか否かを順に判断し、異常状態にある電圧センサの数n2_Vを統計する。具体的には、j番目の電圧センサからの現在の電圧データが異常であるか否かを判断することは、その現在の電圧データが、電圧センサが断線したという条件と、電圧センサからの現在の電圧が所定の上限電圧より大きいという条件と、電圧センサからの現在の電圧が所定の下限電圧より小さいという条件のうちのいずれか1つに合致するか否かを判断することを指す。この場合、現在時刻に出現した二次特性の出現数は、n2=n2_T+n2_Vとなる。各時刻に統計を開始する場合、n2、n2_T、n2_Vの初期値は、いずれも0である。すなわち、例えば、前の時刻に統計を開始する場合、n2、n2_T、n2_Vの初期値は、0であり、その後、現在時刻に統計を開始する場合、n2、n2_T、n2_Vの初期値は、0にリセットされる。
【0025】
本開示において、温度センサが断線したことは、温度センサの位置する回路が切断されたため温度検出を行うことができないことを指す。電圧センサが断線したことは、電圧センサの位置する回路が切断されたため電圧検出を行うことができないことを指す。
【0026】
また、一次特性の出現数が0に等しいと、現在時刻に一次特性が検出されないことを示すため、熱暴走が発生しないことを決定することができるので、二次特性の出現数をさらに統計する必要がない。これにより、本開示の実施例の方法によれば、次の時刻の温度データ及び電圧データを処理するまで待機する。
【0027】
ステップS14では、現在時刻での、一次特性の出現数と二次特性の出現数の総和N=n1+n2を計算する。
【0028】
ステップS15では、総和Nが所定の特性数閾値Nmaxより大きい場合は、現在時刻に熱暴走故障が検出されたことを示し、電池熱暴走の早期警報を行う。
【0029】
総和Nが所定の特性数閾値Nmax以下である場合、現在時刻に熱暴走故障が検出されないことを示し、本開示の実施例の方法によれば、次の時刻での温度データ及び電圧データを処理するまで待機する。
【0030】
上記技術手段を用いることにより、熱暴走特性を一次特性と二次特性に分け、一次特性がトリガされた後にだけ二次特性が有効になるため、熱暴走の誤報率を減少させ、熱暴走に対する応答速度を加速することができる。また、上記技術手段は、温度、電圧断線情報を合理的に利用するため、熱暴走の失報率を減少させることができる。また、本開示の実施例に係る方法により、ハードウェアのコストを増加させる必要がなく、簡便な方法を利用して熱暴走の早期警報の正確性及び迅速性を向上させる。
【0031】
図2は、本開示の一実施例に係る電池熱暴走の早期警報装置の概略ブロック図である。
図2に示すように、該装置は、電池パック内に配置された各温度センサからの現在の温度データと、電池パック内に配置された各電圧センサからの現在の電圧データと、各温度センサからの現在のセンサ断線データとを取得する取得モジュール21と、現在の温度データに基づいて、現在時刻での一次特性の出現数を統計し、一次特性の出現数が0より大きい場合、現在の電圧データ及び現在のセンサ断線データに基づいて、現在時刻での二次特性の出現数を統計する統計モジュール22であって、一次特性は、温度センサからの温度異常特性を含み、現在時刻での一次特性の出現数は、電池パック内に配置された全ての温度センサからの現在時刻に出現した温度異常特性の数の和を指し、二次特性は、電圧センサからの電圧異常特性及び温度センサからのセンサ断線特性を含み、現在時刻での二次特性の出現数は、電池パック内に配置された全ての温度センサからの現在時刻に出現したセンサ断線特性と電池パック内に配置された全ての電圧センサからの現在時刻に出現した電圧異常特性の和を指す統計モジュール22と、現在時刻での一次特性の出現数と二次特性の出現数の総和を計算する計算モジュール23と、総和が所定の特性数閾値より大きい場合、電池熱暴走の早期警報を行う早期警報モジュール24と、を含む。
【0032】
上記技術手段を用いることにより、熱暴走特性を一次特性と二次特性に分け、一次特性がトリガされた後にだけ二次特性が有効になるため、熱暴走の誤報率を減少させ、熱暴走に対する応答速度を加速することができる。また、上記技術手段は、温度、電圧断線情報を合理的に利用するため、熱暴走の失報率を減少させることができる。また、本開示の実施例に係る方法により、ハードウェアのコストを増加させる必要がなく、簡便な方法を利用して熱暴走の早期警報の正確性及び迅速性を向上させる。
【0033】
好ましくは、現在の温度データが現在の温度及び現在の昇温速度を含む場合、温度異常特性は、電池パック内の温度センサからの現在の温度が所定の温度閾値を超えること、及び/又は、電池パック内の温度センサからの現在の昇温速度が所定の昇温速度閾値を超えることを含む。
【0034】
好ましくは、電圧異常特性は、電池パック内の電圧センサが断線したことと、電池パック内の電圧センサからの現在の電圧が所定の上限電圧より大きいことと、電池パック内の電圧センサからの現在の電圧が所定の下限電圧より小さいことと、を含む。
【0035】
好ましくは、早期警報モジュール24はさらに、一次特性の出現数が0に等しい場合、熱暴走が発生しないと決定する。
【0036】
上記実施例における装置について、各モジュールが操作を実行する具体的な方式は、該方法に関連する実施例において詳細に説明されており、ここで詳細に説明しない。
【0037】
図3は、例示的な実施例に係る電子機器700のブロック図である。
図3に示すように、該電子機器700は、プロセッサ701と、メモリ702とを含んでもよい。該電子機器700は、マルチメディアコンポーネント703、入力/出力(I/O)インタフェース704、及び通信コンポーネント705のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
【0038】
プロセッサ701は、該電子機器700の全体的な操作を制御することにより、上記電池熱暴走の早期警報方法における全て又は一部のステップを完了する。メモリ702は、様々なタイプのデータを記憶して該電子機器700での操作をサポートする。これらのデータは、例えば、該電子機器700で操作する任意のアプリケーションプログラム又は方法の命令と、連絡先データ、送受信メッセージ、画像、オーディオ、ビデオなどの、アプリケーションプログラムに関連するデータを含む。該メモリ702は、任意のタイプの揮発性又は不揮発性記憶装置又はそれらの組み合わせにより実現でき、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、SRAMと略称する)、電気的消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROMと略称する)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory、EPROMと略称する)、プログラマブルリードオンリーメモリ(Programmable Read-Only Memory、PROMと略称する)、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROMと略称する)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク又は光ディスクである。マルチメディアコンポーネント703は、スクリーン及びオーディオコンポーネントを含んでもよい。スクリーンは、例えば、タッチスクリーンであってもよく、オーディオコンポーネントは、オーディオ信号を出力及び/又は入力する。例えば、オーディオコンポーネントは、外部オーディオ信号を受信するマイクロフォンを含んでもよい。受信されたオーディオ信号は、さらにメモリ702に記憶されてもよいか、又は通信コンポーネント705を介して送信されてもよい。オーディオコンポーネントは、オーディオ信号を出力する少なくとも1つのスピーカをさらに含む。I/Oインタフェース704は、プロセッサ701と他のインタフェースモジュールとの間にインタフェースを提供する。上記他のインタフェースモジュールは、キーボード、マウス、ボタンなどであってもよい。これらのボタンは、仮想的なボタン又は物理ボタンであってもよい。通信コンポーネント705は、該電子機器700と他の機器との間に有線又は無線通信を行う。無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、近距離無線通信(Near Field Communication、NFCと略称する)、2G、3G、4G、又はそれらのうちの1種又は複数種の組み合わせである。このため、対応する該通信コンポーネント705は、Wi-Fi(登録商標)モジュール、ブルートゥース(登録商標)モジュール、NFCモジュールを含んでもよい。
【0039】
1つの例示的な実施例において、電子機器700は、上記電池熱暴走の早期警報方法を実行するために、1つ以上の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASICと略称する)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSPと略称する)、デジタル信号処理装置(Digital Signal Processing Device、DSPDと略称する)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLDと略称する)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGAと略称する)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の電子素子により実現されてもよい。
【0040】
別の例示的な実施例において、プロセッサにより実行されると、上記電池熱暴走の早期警報方法のステップを実現するプログラム命令を含むコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。例えば、該コンピュータ可読記憶媒体は、電子機器700のプロセッサ701により実行されて上記電池熱暴走の早期警報方法を完了することができるプログラム命令を含む上記メモリ702であってもよい。
【0041】
以上、図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態における具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的概念の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更は、いずれも本開示の保護範囲内にある。
【0042】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0043】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容と見なすべきである。