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特許7551790光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体
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  • 特許-光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体 図1
  • 特許-光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体 図2
  • 特許-光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20240909BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/122
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022578299
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2022001902
(87)【国際公開番号】W WO2022163481
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2021012621
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相良 晃史
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0008419(US,A1)
【文献】特開2008-216905(JP,A)
【文献】特開2007-003722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0202420(US,A1)
【文献】特開2014-038174(JP,A)
【文献】特開2019-121691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12- 6/14
G02B 6/26- 6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/42- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する配線基板と、
前記上面に位置する光導波路と、
を含み、
前記配線基板は、前記上面に光学部品の実装領域を有し、
前記光導波路は、前記実装領域に隣接する領域に位置し、前記上面から下部クラッド層、該下部クラッド層上を前記実装領域に向かう第1方向に延びる複数のコア、該複数のコアを被覆する上部クラッド層、および前記下部クラッド層上に位置するアライメントマークを有し、
前記下部クラッド層は、前記光導波路に位置する第1領域と、溝を挟んで前記第1領域と対向する位置に、前記実装領域を挟むように位置する2つの第2領域とを有しており、
前記光導波路は、前記実装領域に面する第1面に、前記複数のコアの端面が露出しており、
前記アライメントマークは、前記溝を挟んで対向し、前記下部クラッド層における前記第1領域および前記第2領域に、該アライメントマークの側面および上面が前記上部クラッド層によって被覆されず、前記下部クラッド層から突出する状態で位置しており、
前記光導波路における前記第1面と、前記第1領域に位置しており、前記第2領域に対向している前記アライメントマークの端面を含む前記光導波路における第2面とが面一である、
光回路基板。
【請求項2】
前記光導波路が、前記配線基板表面に位置する金属層の上面に位置している、請求項1に記載の光回路基板。
【請求項3】
前記コアと前記アライメントマークとが同じ素材である、請求項1または2のいずれかに記載の光回路基板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の光回路基板と光学部品とを含む、電子部品実装構造体。
【請求項5】
前記光学部品がシリコンフォトニクスデバイスであり、該シリコンフォトニクスデバイスがシリコン導波路を有し、
該シリコン導波路が、前記光回路基板に含まれる前記光導波路の前記コアと対向するように位置している、請求項4に記載の電子部品実装構造体。
【請求項6】
上面を有し、該上面に光学部品の実装領域を有する配線基板を準備する工程と、
前記配線基板の上面に、下部クラッド層、該下部クラッド層上を前記実装領域に向かう第1方向に延びる複数のコア、該複数のコアを覆う上部クラッド層を順に積層するとともに、前記下部クラッド層が、前記複数のコアが位置する中央部および該中央部を前記第1方向に沿って挟む側部を有する基部と、前記側部から前記第1方向に突出する凸部とを有し、前記下部クラッド層における前記側部から前記凸部に跨る位置に、側面および上面が前記下部クラッドから突出するアライメントマーク用部材を形成する工程と、
前記アライメントマーク用部材を分断し、かつ、前記基部において前記複数のコアの端面が露出するように直線状の溝を形成する工程と、
を含む光回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記コアと前記アライメントマーク用部材とを同じ素材で形成する、請求項6に記載の光回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回路基板およびそれを用いた電子部品実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量のデータを高速で通信可能な光ファイバーが情報通信に使用されている。光信号の送受信は、例えば、この光ファイバーと光学部品(シリコンフォトニクスデバイス)との間で行われる。したがって、光ファイバーが接続された光導波路を含む光回路基板に、精度良く光学部品を実装させる必要がある。そのため、特許文献1に記載のように、アライメントマークが使用される。
【0003】
光学部品の受発光部と対向するコア(光導波路に含まれる部材)の端面は、一般的にダイシングによって加工される。そのため、ダイシングによる加工の位置がずれると、光学部品とコアとの位置精度が悪くなる。その結果、光学部品とコアとの間の光損失が増加する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-155215号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る光回路基板は、上面を有する配線基板と、上面に位置する光導波路とを含む。配線基板は、上面に光学部品の実装領域を有している。光導波路は、実装領域に隣接する領域に位置し、上面から下部クラッド層、第1方向に延びる複数のコア、上部クラッド層、および下部クラッド層上に位置するアライメントマークを有している。下部クラッド層は、複数のコアが位置する第1領域と、複数のコアを挟んだ位置において第1領域と溝を挟んで位置する2つの第2領域とを有している。光導波路は、実装領域に面する第1面に、複数のコアの端面が露出している。アライメントマークは、溝を挟んで対向し、下部クラッド層における第1領域および第2領域に位置している。光導波路における第1面と、第1領域に位置しており、第2領域に対向しているアライメントマークの端面を含む光導波路における第2面とが面一である。
【0006】
本開示に係る電子部品実装構造体は、上記の光回路基板と光学部品とを含む。
【0007】
本開示に係る光回路基板の製造方法は、配線基板を準備する工程と、配線基板の上面に、下部クラッド層、複数のコア、少なくとも複数のコアを覆う上部クラッド層を順に積層するとともに、下部クラッド層が、複数のコアが位置する基部と、複数のコアを挟んだ位置において基部から突出する凸部とを有し、下部クラッド層における基部から凸部に跨る位置にアライメントマーク用部材を形成する工程と、アライメントマーク用部材を分断し、かつ、基部において複数のコアの端面が露出するように直線状の溝を形成する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る光回路基板に、シリコンフォトニクスデバイスおよび電子部品が実装された電子部品実装構造体を示す平面図である。
図2】(A)は、図1に示す領域Xの断面を説明するための拡大説明図であり、(B)は、図1に示す領域Xの平面図(但し、光導波路が有する上部クラッド層を除く)である。
図3】本開示に係る光回路基板の製造方法の一実施形態を説明するための説明図であり、左図は平面視した場合の説明図であり、右図は左図に示すX-X線で切断した際の断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、ダイシングによる加工の位置がずれると、光学部品とコアとの位置精度が悪くなる。その結果、光学部品とコアとの間の光損失が増加する場合がある。したがって、光学部品を高精度で実装することができる光回路基板が求められている。
【0010】
本開示に係る光回路基板は、アライメントマークの端面を基準にすることで、複数のコアの端面と光学部品の光出射部とが所定の間隔になるように光学部品を実装することが容易になる。したがって、本開示に係る光回路基板によれば、光学部品を高精度で実装することができる。
【0011】
本開示に係る光回路基板の製造方法は、直線状の溝を形成することでコアの延在方向において、複数のコアの端面とアライメントマークの端面とを同じ位置に形成することができる。これにより、アライメントマークの端面を基準にすることで、複数のコアの端面と光学部品の光出射部とが所定の間隔になるように光学部品を実装することが容易になる。したがって、本開示に係る光回路基板の製造方法によれば、光学部品を高精度で実装することができる光回路基板が得られる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る光回路基板を、図1および2に基づいて説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る光回路基板1に、光学部品4が実装された電子部品実装構造体10を示す平面図である。
【0013】
本開示の一実施形態に係る光回路基板1は、配線基板2と光導波路3とを含む。一実施形態に係る光回路基板1に含まれる配線基板2としては、一般的に光回路基板に使用される配線基板が挙げられる。
【0014】
このような配線基板2には、具体的に図示していないが、例えば、コア基板と、コア基板の両面に積層されたビルドアップ層とを含む。コア基板は、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。コア基板は、通常、コア基板の上下面を電気的に接続するために、スルーホール導体を有している。
【0015】
コア基板は、補強材を含んでいてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、コア基板には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機フィラーが、分散されていてもよい。
【0016】
ビルドアップ層は、絶縁層と導体層とが交互に積層された構造を有している。最表面の導体層の一部は、光導波路3が位置する第1導体層21aを含んでいる。ビルドアップ層に含まれる絶縁層は、コア基板と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。ビルドアップ層に絶縁層が2層以上存在する場合、それぞれの絶縁層は、同じ樹脂でもよく、異なる樹脂でもよい。ビルドアップ層に含まれる絶縁層とコア基板とは、同じ樹脂でもよく、異なる樹脂でもよい。ビルドアップ層は、通常、層間を電気的に接続するためのビアホール導体を有している。
【0017】
さらに、ビルドアップ層に含まれる絶縁層には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機フィラーが、分散されていてもよい。
【0018】
配線基板2は、両表面の一部に、ソルダーレジストを有していてもよい。ソルダーレジストは、例えば、アクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。
【0019】
一実施形態に係る光回路基板1に含まれる光導波路3は、配線基板2の上面(一方の主面)に形成された導体層21aの表面に位置している。導体層21aは、例えば銅などの金属で形成された金属層である。配線基板2の一方の主面に金属層が形成されていると、ダイシングの際に、配線基板2の樹脂部分を破損しにくくなる。光導波路3は、図2(A)に示すように、導体層21a側から下部クラッド層31、コア32および上部クラッド層33の順に積層された構造を有している。図2(A)は、図1に示す領域Xの断面を説明する拡大説明図である。上面とは、配線基板2が有する比較的面積の大きな2つの面のうち、説明の便宜上、図面の上側の面のことを意味する。
【0020】
光導波路3に含まれる下部クラッド層31は、配線基板2の表面、具体的には配線基板2の表面に形成された第1導体層21aの表面に位置している。下部クラッド層31の材料は限定されず、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0021】
下部クラッド層31は、実装領域22の第1辺221に沿って位置する第1領域311と、直線状の溝35を挟んで第1領域311と対向する位置に、実装領域22の第2辺222に沿うように位置する2つの第2領域312とを有している。下部クラッド層31は、溝35の底部でつながっていても構わないが、第1領域311と第2領域312とに分断されていると、光学部品4の実装時に邪魔になりにくい。図2(B)に示すように、実装領域22の第1辺221は、平面視した場合に、コア32の延伸方向(第1方向)と略直交する方向の辺である。実装領域22の第2辺222は、平面視した場合に、第1辺221の両端に接続されコア32の延伸方向と略平行な2つの辺である。
【0022】
光導波路3に含まれる上部クラッド層33についても、下部クラッド層31と同様の材料である。上部クラッド層33は、下部クラッド層31の第1領域311に位置し、コア32の端面(第1端面3aおよび第2端面3b)および第2領域312と対向する部分以外を被覆するように位置している。下部クラッド層31と上部クラッド層33とは同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよいが、同等の屈折率であることが望ましい。さらに、下部クラッド層31および上部クラッド層33は、同じ厚みを有していてもよく、異なる厚みを有していてもよい。下部クラッド層31および上部クラッド層33は、例えば、それぞれ5μm以上100μm以下程度の厚みを有する。
【0023】
光導波路3に含まれるコア32は、光導波路3に侵入した光が伝搬する部分である。コア32の材料は限定されず、例えば、光の透過性や伝搬する光の波長特性などを考慮して、適宜設定される。材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。コア32は、例えば、5μm以上50μm以下程度の厚みを有する。
【0024】
図2(B)に示すように、1つの光導波路3は、複数のコア32を有している。図2(B)は、図1に示す領域Xの平面図(但し、光導波路が有する上部クラッド層33を除く)である。コア32は、下部クラッド層31の第1領域311に位置しており、コア32の第1端面3aは、光導波路3の実装領域22に面する第1面S1に露出している。すなわち、コア32は、第1面S1と同一平面にある第1端面3aにおいて、光学部品4に含まれる光出射部と対向するように位置している。この第1端面3aにおいて、コア32と光出射部との間で光信号の送受信が行われる。光学部品4がシリコンフォトニクスデバイスの場合、コア32は、第1端面3aにおいて、シリコンフォトニクスデバイスに含まれるシリコン導波路(Si導波路)41と対向するように位置している。この第1端面3aにおいて、コア32とSi導波路41との間で光信号の送受信が行われる。
【0025】
下部クラッド層31において、上部クラッド層33によって被覆されていない部分、すなわち第1領域311と第2領域312とが対向する部分にアライメントマーク34が位置している。アライメントマーク34は、第1領域311および第2領域312に溝35を挟んで互いに対向するように位置している。第1領域311に位置しており、第2領域312に対向するアライメントマーク34の端面は、光導波路3の第2領域312に対向する第2面S2と同一平面にある。言い換えれば、第1領域311に位置しており、第2領域312に対向するアライメントマーク34の端面は、第2領域312に対向する下部クラッド層31の側面(第2面S2)と同一平面内にある。そして、複数のコア32の端面(第1端面3a)が露出している第1面S1、および第1領域311に位置しており、第2領域312に対向しているアライメントマーク34の端面を含む第2面Sが面一である。このため、コア32の延在する第1方向において、複数のコア32の端面(第1端面3a)と、第1領域311に位置しており第2領域312に対向しているアライメントマーク34の端面とが同じ位置にある。これにより、第1領域311に位置しており第2領域312に対向しているアライメントマーク34の端面を基準にすることで、複数のコア32の端面(第1端面3a)と光学部品4の光出射部とが所定の間隔になるように光学部品4を実装することが容易になる。したがって、本開示に係る光回路基板によれば、光学部品を高精度で実装することができる。
【0026】
アライメントマーク34の素材は、視認可能な素材であれば限定されない。このような素材としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。アライメントマーク34は、例えばコア32と同じ素材であってもよい。
【0027】
本開示に係る光回路基板の製造方法は、特に限定されない。本開示に係る光回路基板の製造方法は、例えば下記の工程(a)~(c)を含む。以下、一実施形態に係る製造方法について説明する。図1および2に記載された部材については、同じ符号を付して、詳細な説明については省略する。
(a)配線基板を準備する工程。
(b)上面に、下部クラッド層、複数のコア、少なくとも複数のコアを覆う上部クラッド層を順に積層するとともに、下部クラッド層が、複数のコアが位置する基部と、複数のコアを挟んだ位置において基部から突出する凸部とを有し、下部クラッド層における基部から凸部に跨る位置にアライメントマーク用部材を形成する工程。
(c)アライメントマーク用部材を分断し、かつ、基部において複数のコアの端面が露出するように直線状の溝を形成する工程。
【0028】
工程(a)では、配線基板2を準備する。配線基板2は、上面(一方の主面)に、第1辺221と、第1辺221の両端に略直交するように各々接続される二つの第2辺222とを含む実装領域22を有していれば限定されない。配線基板2の上面には、導体層21aが形成されていてもよい。導体層21aは、例えば銅などの金属で形成された金属層である。上面とは、配線基板2が有する比較的面積の大きな2つの面のうち、説明の便宜上、図面の上側の面のことを意味する。
【0029】
次いで、工程(b)では、工程(a)で準備した配線基板2の上面に、下部クラッド層、複数のコア、少なくとも複数のコアを覆う上部クラッド層を順に積層するとともに、アライメント用部材を形成する。図3(A)に示すように、下部クラッド層31は、実装領域22の第1辺221に沿うように実装領域22と反対側に位置する基部311p、および第2辺222の各々に沿った二つの凸部312pを有するように形成する。下部クラッド層31は、例えば、感光性樹脂で形成されたシートを配線基板2に貼り付け、露光および現像することによって形成される。
【0030】
次いで、図3(B)に示すように、下部クラッド層31の基部311pに、二つの端部を有する複数のコア32を形成する。コア32は、例えば、感光性樹脂で形成されたシートを下部クラッド層31の基部311pに貼り付け、露光および現像することによって形成される。さらに、下部クラッド層31の上面に、基部311pおよび凸部312pにわたる二つのアライメントマーク用部材34aを形成する。アライメントマーク用部材34aは、例えば、感光性樹脂で形成されたシートを、下部クラッド層31の基部311pと凸部312pとにわたるように貼り付け、露光および現像することによって形成される。
【0031】
コア32とアライメントマーク用部材34aとは同じ部材で形成してもよいし、同じ部材で同じ工程で同時に形成してもよい。具体的には、コア32と同じ感光性樹脂で形成されたシートで、アライメントマーク用部材34aを形成してもよい。さらに、コア32と同じ感光性樹脂で形成されたシートで、コア32を形成する際にアライメントマーク用部材34aを形成してもよい。コア32とアライメントマーク用部材34aとを同じ工程で同時に形成することによって、工程間誤差を無くしてコア32とアライメントマーク34との位置関係の精度を向上することができる。さらに、感光性樹脂で形成されたシートの貼り付け、露光および現像のサイクルを、1サイクル減らすことができる。
【0032】
次いで、下部クラッド層31の基部311pに、コア32を被覆するように上部クラッド層33を形成する。上部クラッド層33は、図3(C)に示すように、アライメントマーク用部材34aを被覆しないように、すなわち第2領域312と対向する部分を被覆しないように形成する。上部クラッド層33は、例えば、感光性樹脂で形成されたシートがコア32を被覆するように貼り付け、露光および現像することによって形成される。
【0033】
最後に、工程(c)では、実装領域22の第1辺221に沿って直線状の溝35を形成することで、複数のコア32の端部を切断して、実装領域22に面するコアの一端面(第1端面3a)を形成する。さらに、直線状の溝35を形成することで、図3(D)に示すように、下部クラッド層31の基部311pと凸部312pとにわたるように形成されたアライメントマーク用部材34aも分断される。基部311pと凸部312pとは、それぞれ第1領域311と第2領域312とに分断され、両領域にアライメントマーク34が形成される。切断は、例えばダイシングなどによって行われる。
【0034】
このような一実施形態に係る製造方法によれば、アライメントマーク34は、下部クラッド層31の基部311pと凸部312pとにわたるように形成されたアライメントマーク用部材34aを直線状の溝35を形成して切断することによって形成される。このように形成することで、複数のコア32の延在方向において、コア32の端面(第1端面3a)と、第1領域311に位置しており第2領域312に対向しているアライメントマーク34の端面と、を同じ位置に形成することができる。これにより、アライメントマーク34の端面を基準にすることで、複数のコア32の端面と光学部品4の光出射部とが所定の間隔になるように実装することが容易になる。したがって、一実施形態に係る製造方法によれば、光学部品を高精度で実装することができる光回路基板が得られる。
【0035】
次に、本開示の電子部品実装構造体について説明する。本開示の一実施形態に係る電子部品実装構造体10は、一実施形態に係る光回路基板1に光学部品4および電子部品6が実装された構造を有している。電子部品6としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ドライバICなどが挙げられる。
【0036】
光学部品4は、図2(A)に示すように、配線基板2の実装領域22に位置する電極21とはんだ7を介して電気的に接続されている。光学部品4としては、例えば、シリコンフォトニクスデバイスが挙げられる。
【0037】
これらの中でも、シリコンフォトニクスデバイスは、例えばケイ素(Si)をコアとし、二酸化ケイ素(SiO)をクラッドとする光導波路の1種である。シリコンフォトニクスデバイスは、上述のようにSi導波路41を含み、図示していないが、パッシベーション膜、光源部、光検出部などをさらに含んでいる。上述のように、Si導波路41は、コア32の第1端面3aにおいて、光導波路3に含まれるコア32と対向するように位置している。
【0038】
例えば、配線基板2からの電気信号が、はんだ7を介して光学部品4に含まれる光源部に伝搬される。伝搬された電気信号を受信した光源部は発光する。発光した光信号が信号伝播用のSi導波路41および光導波路3のコア32を経由して、光コネクター5aを介して接続されている光ファイバー5に伝播される。
【符号の説明】
【0039】
1 光回路基板
2 配線基板
21a 導体層
21b 電極
22 実装領域
221 第1辺
222 第2辺
3 光導波路
31 下部クラッド層
311 第1領域
311p 基部
312 第2領域
312p 凸部
32 コア
33 上部クラッド層
34 アライメントマーク
34a アライメントマーク用部材
35 溝
3a 第1端面
3b 第2端面
4 光学部品(シリコンフォトニクスデバイス)
41 シリコン導波路(Si導波路)
5 光ファイバー
5a 光コネクター
6 電子部品
7 はんだ
10 電子部品実装構造体
S1 第1面
S2 第2面
図1
図2
図3