(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール及びそれを含むバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20240909BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240909BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20240909BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/204 401F
H01M50/507
H01M50/293
H01M50/224
H01M50/251
H01M50/249
H01M50/291
H01M50/35 201
H01M50/383
(21)【出願番号】P 2022579842
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2022000498
(87)【国際公開番号】W WO2022149962
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003554
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユ-ダム・コン
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-フ・オ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ミン・オク
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヒョン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ゴン・ホン
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-517607(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176415(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0102852(KR,A)
【文献】国際公開第2020/039722(WO,A1)
【文献】特開2018-174147(JP,A)
【文献】特許第7355765(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-392
H01M 50/20-298
H01M 50/50-598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルが上下に積層されて形成されるセル積層体と、
前記セル積層体を支持するベースプレート及び前記セル積層体の両側部を覆う一対のサイドプレートを含むモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの長手方向の一側に形成される開口部を覆うバスバーフレームアセンブリと、
前記サイドプレートの内側面上に突出した形態で形成され、前記サイドプレートの高さ方向に沿って互いに離隔して形成され
、前記バッテリーセルから排出されるスパークの進路において障害物として、前記進路を妨害するように構成される複数のスパーク遅延部と、を含むバッテリーモジュール。
【請求項2】
複数のバッテリーセルが上下に積層されて形成されるセル積層体と、
前記セル積層体を支持するベースプレート及び前記セル積層体の両側部を覆う一対のサイドプレートを含むモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの長手方向の一側に形成される開口部を覆うバスバーフレームアセンブリと、
前記サイドプレートの内側面上に突出した形態で形成され、前記サイドプレートの高さ方向に沿って互いに離隔して形成される複数のスパーク遅延部と、を含み、
前記一対のサイドプレートのそれぞれは、
その長手方向の一側端部が前記セル積層体に向かって折り曲げられて形成されたスパーク方向転換部を備える
、バッテリーモジュール。
【請求項3】
前記開口部は、前記一対のサイドプレートのそれぞれに設けられた一対のスパーク方向転換部の間に形成され、
前記バッテリーセルの電極リードは、前記開口部を通って前記モジュールハウジングの外側に露出している、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記バスバーフレームアセンブリは、
前記開口部を覆い、前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のフレームスリットを備えるバスバーフレームと、
前記バスバーフレームの外側面上に配置され、前記フレームスリットを通過した電極リードと結合される少なくとも一つのバスバーと、を含む、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記バッテリーモジュールは、
前記バスバーフレームアセンブリと前記セル積層体との間に介在し、前記バスバーフレームアセンブリに結合される防火シートアセンブリをさらに含む、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記防火シートアセンブリは、
前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のシートスリットを備える防火シートを含む、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記防火シートアセンブリは、
前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のカバースリットを備え、前記防火シートを覆うシートカバーをさらに含む、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記防火シートは、
雲母シートである、請求項6または7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記シートカバーは、
前記防火シートが外気に露出しないように、前記防火シートを完全に覆っている、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記カバースリットは、
前記バスバーフレームアセンブリに向かう方向に沿ってその幅が次第に狭くなる形状を有する、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記モジュールハウジングは、金属材質からなり、
前記スパーク遅延部は、樹脂材質からなる、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記スパーク遅延部は、
互いに向かう方向において前記ベースプレートを基準にして上方または下方に傾いた形態で配置される第1遅延プレート及び第2遅延プレートを含む、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記第1遅延プレートと第2遅延プレートとは、
相互に離隔している、請求項12に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
請求項1から13のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項15】
請求項14に記載のバッテリーパックを含む、エネルギー貯蔵装置 。
【請求項16】
請求項14に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール及びそれを含むバッテリーパック、そしてこのようなバッテリーパックを含むESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵装置)及び自動車に関し、より具体的には、バッテリーセルのベンティング(venting)が発生したとき、ガスを外側に放出する一方、高温の電極活物質及び金属粒子を含むスパークのバッテリーモジュール外側への流出を抑制し、さらにバッテリーモジュールの内部への酸素流入を遮断することで、バッテリーモジュールの内部で火災が発生することを防止できる構造を有するバッテリーモジュール及びそれを含むバッテリーパック、そしてこのようなバッテリーパックを含むESS及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2021年1月11日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0003554号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ESS及び/または電気自動車に適用されるバッテリーパックは、高出力及び高容量を実現可能なリチウム二次電池が適用されたバッテリーモジュールを複数個含む形態で製造され得る。ESS及び/または電気自動車が要求するバッテリーパックの出力特性を満足し、高容量を実現するため、一つのバッテリーモジュールに含まれるリチウム二次電池の個数を増加させ、さらに一つのバッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの個数を増加させることができる。
【0004】
しかし、このように多数のリチウム二次電池を含むバッテリーパックの場合、火災及び爆発が発生すると、その被害は一層大きくなる。
【0005】
バッテリーパックで発生する火災は、バッテリーモジュールの内部に配置されたリチウム二次電池の異常な温度上昇と内部ガスの発生とから始まる。リチウム二次電池の温度が異常に上昇し、内部ガスの発生によってリチウム二次電池の内圧が一定水準以上に上昇すれば、リチウム二次電池にベンティングが発生し、それによってリチウム二次電池の外側へと高温のガスが噴出され、さらに電極活物質及びアルミニウム粒子などを含む高温のスパークが噴出される。
【0006】
バッテリーモジュール及び/またはバッテリーパックの使用上の安全性を確保するためには、イベント発生時にバッテリーモジュールの内圧がそれ以上増加しないように、ベンティングガス(venting gas)をバッテリーモジュールの外側へと速かに排出しなければならない。しかし、ベンティングガスとともに高温のスパークがバッテリーモジュールの外部に排出されると、ベンティングガスと高温のスパークと酸素とが反応して火災が発生し得る。
【0007】
したがって、バッテリーセル内部の短絡発生などの異常現象によって熱暴走が発生しても、ベンティングガスをバッテリーモジュールの外側へと迅速に排出させる一方、電極活物質及びアルミニウム粒子などを含む高温のスパークが外部に流出することを効果的に防止できる構造を有するバッテリーモジュールの開発が求められている。
【0008】
また、複数のリチウム二次電池同士の短絡を防止するために適用されるバスバーフレームのような構造物が高温のガス及びスパークとの持続的な接触によって損傷される場合、バッテリーモジュールの外部から内部へと酸素が流れ込み易くなり、バッテリーモジュールの内部にまで火災が拡散するおそれがある。また、バスバーフレームが損傷されると、バスバーフレームによって離隔状態を維持していた隣接したリチウム二次電池の電極リード同士が接触してしまい、イベントが拡散し得る。
【0009】
したがって、高温のガス及びスパークによって一部構造物が損傷されても、外部酸素の流入を遮断し、また隣接したリチウム二次電池の間で短絡が発生してイベントが拡散することを防止することが可能な構造を有するバッテリーモジュールの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、内部イベントが発生したとき、ベンティングガスを迅速に排出させる一方、高温のスパークが外部に流出することを効果的に防止し、さらにベンティングガスが排出された後は、外部空気がバッテリーモジュールの内側へと流れ込むことを遮断することが可能な構造を有するバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、高温のガス及びスパークによって一部構造物が損傷されても、外部の酸素をバッテリーモジュールの内部へと容易に流入できなくし、また隣接したリチウム二次電池の間で短絡が発生することを防止可能な構造を有するバッテリーモジュールを提供することを他の目的とする。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は上記の課題に制限されず、その他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが上下に積層されて形成されるセル積層体と、前記セル積層体を支持するベースプレート及び前記セル積層体の両側部を覆う一対のサイドプレートを含むモジュールハウジングと、前記モジュールハウジングの長手方向の一側に形成される開口部を覆うバスバーフレームアセンブリと、前記サイドプレートの内側面上に突出した形態で形成され、前記サイドプレートの高さ方向に沿って互いに離隔して形成される複数のスパーク遅延部と、を含む。
【0014】
前記一対のサイドプレートのそれぞれは、その長手方向の一側端部が前記セル積層体に向かって折り曲げられて形成されたスパーク方向転換部を備え得る。
【0015】
前記開口部は、前記一対のサイドプレートのそれぞれに備えられた一対のスパーク方向転換部の間に形成され、前記バッテリーセルの電極リードは前記開口部を通って前記モジュールハウジングの外側に露出し得る。
【0016】
前記バスバーフレームアセンブリは、前記開口部を覆い、前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のフレームスリットを備えるバスバーフレームと、前記バスバーフレームの外側面上に配置され、前記フレームスリットを通過した電極リードと結合される少なくとも一つのバスバーと、を含み得る。
【0017】
前記バッテリーモジュールは、前記バスバーフレームアセンブリとセル積層体との間に介在し、前記バスバーフレームアセンブリに結合される防火シートアセンブリをさらに含み得る。
【0018】
前記防火シートアセンブリは、前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のシートスリットを備える防火シートを含み得る。
【0019】
前記防火シートアセンブリは、前記バッテリーセルの電極リードが通過する複数のカバースリットを備え、前記防火シートを覆うシートカバーをさらに含み得る。
【0020】
前記防火シートは、雲母(mica)シートであり得る。
【0021】
前記シートカバーは、前記雲母シートが外気に露出しないように、前記雲母シートを完全に覆うように形成され得る。
【0022】
前記カバースリットは、前記バスバーフレームアセンブリに向かう方向に沿ってその幅が次第に狭くなる形状を有し得る。
【0023】
前記モジュールハウジングは金属材質からなり、前記スパーク遅延部は樹脂材質からなり得る。
【0024】
前記スパーク遅延部は、互いに向かう方向において前記ベースプレートを基準にして上方または下方に傾いた形態で配置される第1遅延プレート及び第2遅延プレートを含み得る。
【0025】
前記第1遅延プレートと第2遅延プレートとは、互いに離隔して配置され得る。
【0026】
上記の課題を達成するため、本発明の他の一態様によるESSは、上述した本発明の一態様によるバッテリーパックを含む。
【0027】
上記の課題を達成するため、本発明のさらに他の一態様による自動車は、上述した本発明の一態様によるバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、イベント発生による高温のガス及びスパークによって一部構造物が損傷されても、ベンティングガスは迅速に排出させる一方、高温のスパークが外部に流出することは効果的に防止し、さらにベンティングガスが排出された後は、外部空気がバッテリーモジュールの内側へと流れ込むことを遮断することができる。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、高温のガス及びスパークによって一部構造物が損傷されても、外部の酸素がバッテリーモジュールの内部へと容易に流入できなくし、また隣接したリチウム二次電池の間で短絡が発生することを防止することができる。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した図である。
【
図2】
図1に示されたバッテリーモジュールにおいて、バスバーフレームアセンブリ及び防火シートアセンブリが除去された状態を示した平面図である。
【
図3】
図1に示されたバッテリーモジュールの部分断面図である。
【
図4】本発明のバスバーフレームアセンブリ及び防火シートアセンブリがモジュールハウジングに結合された状態を示した図である。
【
図5】本発明のモジュールハウジングの一部、バスバーフレームアセンブリ及び防火シートアセンブリを示した分解斜視図である。
【
図6】本発明の防火シートアセンブリを示した図である。
【
図7】本発明のモジュールハウジングを構成するサイドプレートの内側面形状を示した図である。
【
図8】本発明のモジュールハウジングを構成するサイドプレートの内側面形状を示した図である。
【
図9】本発明のモジュールハウジングを構成するサイドプレートの内側面形状を示した図である。
【
図10】本発明のモジュールハウジングを構成するサイドプレートの内側面形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0033】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル100が上下方向(Z軸に平行な方向)に沿って積層されて形成されるセル積層体、セル積層体を収容するモジュールハウジング200、及びモジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の一側に形成される開口部を覆うバスバーフレームアセンブリ300を含む。前記バッテリーモジュールは、上述した構成要素の他に、バスバーフレームアセンブリ300とセル積層体との間に介在されてバスバーフレームアセンブリ300に結合される防火シートアセンブリ400をさらに含み得る。
【0034】
前記バッテリーセル100としては、パウチ型バッテリーセルが適用され得る。この場合、前記バッテリーセル100は、電極組立体(図示せず)、電極組立体を収容するパウチケース110、及び電極組立体と連結されてパウチケース110の外側に引き出される一対の電極リード120を含む。前記一対の電極リード120は、バッテリーセル100の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って互いに反対方向に引き出される。
【0035】
前記モジュールハウジング200は、前記セル積層体を支持するベースプレート210、セル積層体の幅方向(Y軸に平行な方向)の両側部を覆う一対のサイドプレート220、及びサイドプレート220の内側面上に突出した形態で形成される複数のスパーク遅延部240を含む。前記モジュールハウジング200は、イベント状況での高温に対する抵抗性及び剛性を確保するため、金属材質からなり得る。
【0036】
前記一対のサイドプレート220は、その長手方向の一端部及び他端部が前記セル積層体に向かって折り曲げられて形成されたスパーク方向転換部200aを備え得る。前記スパーク方向転換部200aは、スパーク方向転換部200aを除いたサイドプレート220の他の部分と区別される別個の部品として提供され、サイドプレート220の他の部分とボルティングまたは溶接などによって結合され得る。前記スパーク方向転換部200aは、これとは異なり、スパーク方向転換部200aを除いたサイドプレート220の他の部分と一体的に形成されてもよい。
【0037】
前記モジュールハウジング200の長手方向の一側及び他側に形成される開口部は、一対のサイドプレート220のそれぞれに備えられた一対のスパーク方向転換部200aの間に形成される。前記バッテリーセル100の電極リード120は、一対のスパーク方向転換部200aの間に形成された開口部を通ってモジュールハウジング200の外側に露出し得る。
【0038】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、上述したようにスパーク方向転換部200aを備えることで、バッテリーセル100のベンティング時に排出される高温のスパークがモジュールハウジング200の長手方向に沿ってモジュールハウジング200の外側に噴出されることを防止する。すなわち、前記バッテリーセル100のベンティング時、セル積層体を構成するそれぞれのバッテリーセル100の幅方向(Y軸に平行な方向)の両側部から噴出される高温のスパークは、バッテリーモジュールの長手方向(X軸に平行な方向)の一端部及び/または他端部に向かって移動してからセル積層体に向かう方向に、その移動方向が転換される(
図2に示された矢印方向を参照)。これにより、前記スパーク方向転換部200aは、モジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の両側の開口部からバッテリーモジュールの外側へとスパークが排出されることを防止する。
【0039】
図2とともに
図7~
図10を参照すると、前記スパーク遅延部240は、サイドプレート220の内側面上に突出した形態で複数個が設けられる。前記スパーク遅延部240は、サイドプレート220とバッテリーセル100との間の距離に対応する高さに突設される。複数の前記スパーク遅延部240は、サイドプレート220の高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って互いに離隔して形成される。
【0040】
隣接したスパーク遅延部240の間に形成される流路を通ってベンティングガスが通過し得る。また、ベンティングガスとともに噴出される活物質と金属粒子を含むスパークも、隣接したスパーク遅延部240の間の流路を通過し得る。ただし、前記スパーク遅延部240は、スパークの進路において障害物として作用し、スパークがモジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の両側に形成された開口部から流出することを最小化する。
【0041】
前記スパーク遅延部240は、樹脂材質からなり得る。前記スパーク遅延部240が樹脂材質である場合、スパーク遅延部240は、高温のベンティングガス及びスパークとの持続的な接触によって少なくとも部分的に溶融する。これにより、隣接したスパーク遅延部240の間の隙間が塞がれて、セル積層体とサイドプレート220との間に外部空気が流入し難い環境が造成されることで、バッテリーモジュールの内部に存在するベンティングガス及びスパークに供給される酸素の量が足りなくなって発火を抑制できる。
【0042】
前記スパーク遅延部240は、互いに向かう方向においてベースプレート210を基準にして上方に傾いた形態(
図7及び
図9を参照)または下方に傾いた形態(
図8及び
図10を参照)で配置される第1遅延プレート241及び第2遅延プレート242を含む。また、前記第1遅延プレート241と第2遅延プレート242とは、対向するそれぞれの一側端部が互いに離隔していてもよく(
図7及び
図8を参照)、相互に連結されていてもよい(
図8及び
図10を参照)。前記第1遅延プレート241と第2遅延プレート242とが互いに離隔して配置される場合、スパークが第1遅延プレート241と第2遅延プレート242との間に形成された隙間を通ってバッテリーモジュールの高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って分散されることで、モジュールハウジング200の開口部を通ってスパークが噴出される可能性をさらに減少させることができる。
【0043】
上述したように、前記スパーク遅延部240は、バッテリーセル100の幅方向(Y軸に平行な方向)の両側部から噴出されるスパークがサイドプレート220の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って移動するとき、その経路を延ばして進路を妨害する。したがって、前記スパーク遅延部240は、上述したスパーク方向転換部200aとともに、スパークがモジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の両側に形成された開口部を通って排出されることを防止することができる。
【0044】
前記スパーク遅延部240とスパーク方向転換部200aとの組合せによる相乗効果を極大化するため、前記スパーク遅延部240は、サイドプレート220においてスパーク方向転換部200aを除いた部分の長手方向(X軸に平行な方向)の一側端部及び他側端部に形成され得る。これは、前記スパーク遅延部240とスパーク方向転換部200aとを互いに隣接して位置させるためである。
【0045】
勿論、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールが、上述したスパーク方向転換部200aを備えず、スパーク遅延部240のみを備えてもよい。
【0046】
図1~
図5を参照すると、前記バスバーフレームアセンブリ300は、バスバーフレーム310、及び少なくとも一つのバスバー320を含む。前記バスバーフレームアセンブリ300は、一対で設けられ得、この場合、一対のバスバーフレームアセンブリ300のそれぞれは、モジュールハウジング200の長手方向(X軸に平行な方向)の一側に形成された開口部及び他側に形成された開口部を覆う。
【0047】
前記バスバーフレーム310は、モジュールハウジング200に形成された開口部を覆い、バッテリーセル100の電極リード120が通過する複数のフレームスリット310bを備える。前記バスバーフレーム310は、防火シートアセンブリ400との結合のための少なくとも一つのフレーム突起310aをさらに備え得る。
【0048】
前記バスバーフレーム310は、モジュールハウジング200の長手方向の一端部及び/または他端部に対応する形状を有してモジュールハウジング200に密着される。前記モジュールハウジング200が締結フレーム230を備える場合、バスバーフレーム310は、スパーク方向転換部200a及び締結フレーム230に密着される。
【0049】
前記バスバー320は、バスバーフレーム310の外側面上に配置されてフレームスリット310bを通過した電極リード120と結合され、これによって複数のバッテリーセル100を電気的に接続することができる。前記バスバー320は、電極リード120が通過するバスバースリット320bを備え得る。この場合、前記バスバースリット320bとフレームスリット310bとは互いに対応する位置に形成され得る。
【0050】
図1~
図6を参照すると、前記防火シートアセンブリ400は、防火シート410及びシートカバー420を含む。前記防火シートアセンブリ400は、バスバーフレームアセンブリ300と同じ個数で備えられ得る。
【0051】
前記防火シート410としては、高温のベンティングガス及びスパークに耐えられ、火炎にも耐えられる雲母(mica)材質のシートが適用され得る。前記防火シート410は、電極リード120が通過する複数のシートスリット410bを備える。
【0052】
前記防火シート410は、高温のベンティングガス及びスパークによって樹脂材質のバスバーフレーム310が損傷されてもその構造を維持でき、これによって複数のシートスリット410bのそれぞれに挿入された複数の電極リード120がその位置を維持できるようにする。また、前記防火シート410は、高温のベンティングガスをシートスリット410bと電極リード120との間の隙間から外側へと排出させる一方、活物質及びアルミニウム粒子などを含む高温のスパークが外部に噴出されることを最小化できる。また、前記防火シート410は、樹脂材質のバスバーフレーム310が損傷されても、バッテリーモジュールの外部から酸素が容易に流れ込まないようにする。
【0053】
したがって、前記防火シート410は、バッテリーモジュールの内部でイベントが発生した状況でも、バスバーフレーム310の付近で火災が発生する可能性を最小化し、バスバーフレーム310の付近で火災が発生したとしても、火災がバッテリーモジュールの内部で拡散する現象を遅延させることができる。また、前記防火シート410は、バスバーフレーム310の損傷によってバッテリーセル100の間で短絡が発生してイベントが拡がることを防止することができる。
【0054】
前記シートカバー420は、防火シート410が外側に露出しないように防火シート410を完全に覆う。これは、雲母材質の防火シート410が吸湿性を有するため、雲母材質の防火シート410がシートカバー420の外気に晒されると、水分を吸収し、水分を吸収すれば、絶縁性能が低下するおそれがあるためである。
【0055】
前記シートカバー420は、樹脂射出物であり得、この場合、防火シート410はインサート射出によってシートカバー420内に配置され得る。前記シートカバー420は、電極リード120が通過する複数のカバースリット420bを備える。前記カバースリット420bは、バスバーフレームアセンブリ300に向かう方向に沿ってその幅が次第に狭くなる形状を有し得る。
【0056】
これは、高温のベンティングガス及びスパークによって樹脂射出物からなるシートカバー420が溶融する場合、カバースリット420bが迅速に閉鎖されてバッテリーモジュールの外部から空気が流入することを遮断するためである。このように外部空気の流入が迅速に遮断されれば、バッテリーモジュール内部への酸素の供給が遮断されるため、バッテリーモジュールの内部で火災が拡散することを防止することができる。
【0057】
前記カバースリット420bとシートスリット410bとフレームスリット310bとは、互いに対応する位置に形成される。
【0058】
前記バスバーフレーム310がフレーム突起310aを備える場合、防火シート410及びシートカバー420は、バスバーフレーム310との締結のためのフレーム突起310aと対応する位置に形成され、対応する形状を有する少なくとも一つのシート孔410a及びカバー孔420aをそれぞれ備える。
【0059】
本発明では、前記防火シートアセンブリ400が防火シート410及びこれを覆うシートカバー420を全て含む場合のみを図示しているが、本発明はこれに限定されず、前記防火シートアセンブリ400がシートカバー420を省略して防火シート410のみで構成されてもよい。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを含む。前記バッテリーパックは、複数のバッテリーモジュールを含み得る。本発明の一実施形態によるESSは、上述した本発明の一実施形態によるバッテリーパックを含む。本発明の一実施形態による自動車は、上述した本発明の一実施形態によるバッテリーパックを含む。前記自動車は、電気自動車を含む。
【0061】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
100 ・・・バッテリーセル
110 ・・・パウチケース
120 ・・・電極リード
200 ・・・モジュールハウジング
210 ・・・ベースプレート
200a ・・・スパーク方向転換部
220 ・・・サイドプレート
230 ・・・締結フレーム
240 ・・・スパーク遅延部
241 ・・・第1遅延プレート
242 ・・・第2遅延プレート
300 ・・・バスバーフレームアセンブリ
310 ・・・バスバーフレーム
310a ・・・フレーム突起
310b ・・・フレームスリット
320 ・・・バスバー
320b ・・・バスバースリット
400 ・・・防火シートアセンブリ
410 ・・・防火シート
410a ・・・シート孔
410b ・・・シートスリット
420 ・・・シートカバー
420a ・・・カバー孔
420b ・・・カバースリット