(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】車両において電動モータを動作させるための配置
(51)【国際特許分類】
H02P 7/29 20160101AFI20240909BHJP
B60J 7/057 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H02P7/29 G
B60J7/057 C
(21)【出願番号】P 2023018361
(22)【出願日】2023-02-09
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 103 093.8
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ホイザーマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヴィティヒ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ フェルシュ
(72)【発明者】
【氏名】イムレ フェケテ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クレハー
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-311751(JP,A)
【文献】特開2004-040931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 7/29
B60J 7/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において、電動モータ(M
)を動作させるための配置(10)であって、
前記電動モータ(M)は、少なくとも二つの駆動ライン(A、B)を介してモータ制御ユニット(20)に電気的に接続され、
前記モータ制御ユニット(20)は、パルス幅変調を用いて前記電動モータ(M)を制御するように構成され、
前記電動モータ(M)が制御されるとき、前記モータ制御ユニット(20)は、前記二つの駆動ライン(A,B)のうちの第1の駆動ラインを非アクティブ・ラインとして動作させ、前記二つの駆動ライン(B,A)のうちの第2の駆動ラインをアクティブ・ラインとして動作させるように構成され、
前記電動モータ(M)に組み合わされたスイッチング・モジュール(14)が、前記電動モータ(M)の磁極ハウジングの端子(15)を、前記非アクティブ・ラインとして動作させられる前記駆動ライン(A、B)に
直接、別個の接地ラインを介さずに、接続するように構成される、配置。
【請求項2】
検出回路(17)が設けられ、
前記検出回路(17)は、前記駆動ライン(A、B)のそれぞれに接続され、前記駆動ライン(A、B)のどちらが前記非アクティブ・ラインとして現在動作させられているかを検出し、前記検出の結果に応じて、前記磁極ハウジングの前記端子(15)を前記非アクティブ・ラインとして動作させられている前記駆動ライン(A、B)に直接接続するように前記スイッチング・モジュール(14)のスイッチング・デバイス(16)を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の配置(10)。
【請求項3】
前記電動モータ(M)は、前記車両のルーフ構成要素を駆動するよう
に構成されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の配置(10)。
【請求項4】
前記電動モータ(M)は、前記車両のルーフ・ライト又はルーフ・ブラインドを移動させるように構成されることを特徴とする請求項3に記載の配置(10)。
【請求項5】
前記電動モータ(M)は、直流モー
タとして構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項6】
前記電動モータ(M)は、ブラシレス直流モータとして構成されることを特徴とする請求項5に記載の配置(10)。
【請求項7】
前記電動モータ(M)はブラシ火花を抑制するための回路が備えら
れることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項8】
前記ブラシ火花を抑制するための回路は容量性分圧器(18)を含むことを特徴とする請求項7に記載の配置(10)。
【請求項9】
前記スイッチング・モジュール(14)は、モータ回路基板(12)及び/又は前記電動モータ(M)のハウジングに組み込まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項10】
前記スイッチング・モジュール(14)は、電界効果トランジスタ(T
1)を備
えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項11】
第1及び第2のスイッチング・モジュール(14)が、前記第1及び第2の駆動ライン(A、B)に対してそれぞれ設けられることを特徴とする請求項10に記載の配置(10)。
【請求項12】
前記スイッチング・モジュール(14)は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備えることを特徴とする請求項10に記載の配置(10)。
【請求項13】
第1及び第2のスイッチング・モジュール(14)が、前記第1及び第2の駆動ライン(A、B)に対してそれぞれ設けられることを特徴とする請求項12に記載の配置(10)。
【請求項14】
前記スイッチング・モジュール(14)は、ダイオード(D
1
)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項15】
前記スイッチング・モジュール(14)は、前記ダイオード(D
1
)及び抵抗器(R
1
)から形成される整流器を備えることを特徴とする請求項14に記載の配置(10)。
【請求項16】
前記スイッチング・モジュール(14)は、バイポーラ・トランジスタ又はリレーを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置(10)。
【請求項17】
車両用
の電動モータ(M)であって、
第1及び第2の駆動ライン(A、B)を接続するための少なくとも二つの端子を備え、
前記電動モータ(M)は、前記端子を介してパルス幅変調を用いて制御されるように構成され、
前記電動モータ(M)が制御されるとき、前記二つの駆動ライン(A,B)のうちの第1の駆動ラインが非アクティブ・ラインとして動作可能であり、前記二つの駆動ライン(B,A)のうちの第2の駆動ラインがアクティブ・ラインとして動作可能であり、
スイッチング・モジュール(14)が、前記電動モータ(M)に組み合わされ、前記スイッチング・モジュール(14)は、前記電動モータ(M)の磁極ハウジングの端子(15)を前記電動モータの動作中に前記非アクティブ・ラインとして動作させられている前記駆動ライン(A、B)に
直接、別個の接地ラインを介さずに、接続するように構成される、電動モータ(M)。
【請求項18】
検出回路(17)が、前記電動モータ(M)に組み合わされ、
前記検出回路(17)は、前記駆動ライン(A、B)のそれぞれに接続され、前記駆動ライン(A、B)のどちらが前記非アクティブ・ラインとして現在動作させられているかを検出し、前記検出の結果に応じて、前記磁極ハウジングの前記端子(15)を前記非アクティブ・ラインとして動作させられている前記駆動ライン(A、B)に直接接続するように前記スイッチング・モジュール(14)のスイッチング・デバイス(16)を制御するように構成されることを特徴とする請求項17に記載の電動モータ(M)。
【請求項19】
車両において、電動モータ(M
)を動作させる方法であって、
前記電動モータ(M)は、少なくとも二つの駆動ライン(A、B)を介してパルス幅変調を用いて制御され、
前記電動モータ(M)が制御されるとき、前記二つの駆動ライン(A,B)のうちの第1の駆動ラインが非アクティブ・ラインとして動作させられ、前記二つの駆動ライン(B,A)のうちの第2の駆動ラインがアクティブ・ラインとして動作させられ、
スイッチング・モジュール(14)が、前記電動モータ(M)の磁極ハウジングの端子(15)を前記電動モータ(M)の運転中に前記非アクティブ・ラインとして動作させられている前記駆動ライン(A、B)に
直接、別個の接地ラインを介さずに、接続する、方法。
【請求項20】
前記駆動ライン(A、B)のそれぞれに接続される検出回路(17)が、前記駆動ライン(A、B)のどちらが前記非アクティブ・ラインとして現在動作させられているかを検出し、前記検出の結果に応じて、前記磁極ハウジングの前記端子(15)を前記非アクティブ・ラインとして動作させられている前記駆動ライン(A、B)に直接接続するように前記スイッチング・モジュール(14)のスイッチング・デバイス(16)を制御する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において、電動モータ、例えばルーフ構成要素を駆動するための電動モータを動作させるための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、サンルーフ、ウィンドウ・レギュレータ、その他のデバイスに使用されるような直流電動モータは、回転速度制御のためにパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号を用いて動作させられることが多い。制御ユニットと制御されるべきモータとの間に空間的距離がある場合、PWM信号は、用途によっては、ワイヤ・ハーネスを介して長距離にわたって電磁干渉を受けやすい領域を通って送られなければならない。
【0003】
通常は、この構成によりモータを制御するために、ちょうど二つのモータ・ラインが使用され、必要な場合はセンサ信号用のラインが追加される。別個の接地ラインは設けられていない。
【0004】
一般的なモータは、ブラシ・モータとして構成されている限りにおいて、ブラシ火花を抑制するための回路が更に備えられている。とりわけ、このような回路は磁極ハウジングとの接続ごとに一つのコンデンサを含み、したがって、磁極ハウジングは容量性分圧器を介して二つのモータ・ラインの中間に配置される。それゆえに、磁極ハウジングは、常にPWM信号の半分の電圧レベルにある。
【0005】
磁極ハウジングは、その大きな表面積ゆえに、この信号を車載アンテナに結合して、特に中波帯において、無線受信との干渉を引き起こし得る。
【0006】
このような干渉を低減するために、これまで、例えば、モータ内のブラシ火花を抑制するために使用されるキャパシタンスが低減されてきた。しかし、モータ内のキャパシタンスのこの低減は、ブラシ火花の抑制に関する問題を招く。これとは別に、干渉はこの方法でも依然受容されなければならないので、この手法は唯一の手段としては十分でない。
【0007】
更に、磁極ハウジングを接地して放射電磁波の発生を回避するために、追加の接地ラインが使用され得る。しかし、接地ラインは追加コストをもたらし、対応する接続のためにコネクタピンを増設する必要がある。更に、帰還電流が更なる干渉を引き起こし得る。
【0008】
PWM動作時は一度にただ一つのラインがアクティブであるので、モータを動作させるための二つのラインのうちの一つに磁極ハウジングを接続することによってカウンタ信号を印加して、干渉を抑制する試みも行われている。しかし、これは、モータがある一方向に回転するように動作させられる場合にのみ問題を解決し得るのであって、もう一方向に回転する場合には影響が増幅されてしまう。
【0009】
なお、ブラシレス・モータでも電磁干渉は発生し得る。
【0010】
特許文献1は、干渉信号の能動的抑制のための配置を記載している。そこでは、電磁環境適合性(EMC:electromagnetic compatibility)フィルタが使用され、その配置について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許発明第102017111396B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、低コストで実現され得る特に効率的な干渉抑制を可能とする、冒頭に記載したような種類の配置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、冒頭に記載したような種類の、請求項1の特徴を有する配置によって解決される。本発明の有利な実施形態及び更なる発展形態は、従属項に示される。
【0014】
車両において、電動モータ、例えばルーフ構成要素を駆動するための電動モータを動作させるための配置において、電動モータが、少なくとも二つの駆動ラインを介してモータ制御ユニットに電気的に接続される。それにより、モータ制御ユニットが、パルス幅変調によって電動モータを制御するように構成される。電動モータを制御するとき、モータ制御ユニットは、二つの駆動ラインのうちの第1の駆動ラインを非アクティブ・ラインとして動作させ、二つの駆動ラインのうちの第2の駆動ラインをアクティブ・ラインとして動作させるように構成される。電動モータに組み合わされたスイッチング・モジュールが、電動モータの磁極ハウジングの端子を電動モータの動作中に非アクティブ・ラインとして動作させられる方の駆動ラインに接続するように構成されている。
【0015】
これにより、電磁干渉を発生させることなく、ブラシ火花の抑制が実現され得る。
【0016】
本発明の基本的な思想は、磁極ハウジングの接地を実現するために非アクティブ・ラインが使用されることに基づく。このラインが使用できるのは、適切なモータの制御はアクティブ・ラインを介して達成されるためである。これは、このような観点から、更に多くの要素を追加することなく、結果として得られるシステムの効率的な減結合が実現され得ることを意味する。かくして本発明は、更なる要素に関する変更なしに、コスト効率の良い方式で完成し得る。
【0017】
したがって、本発明の利点のいくつかは、使用される制御デバイスから独立していること、2線式ケーブルのみに基づいて、すなわち追加的に電圧や信号が供給される必要なしに、動作が可能であること、更に、既存の又は利用可能なモータに、それぞれのモータ自体には変更を加えることなく、組み合わせ可能であること、に関係する。
【0018】
本構成の一実施形態では、電動モータは、車両のルーフ構成要素を駆動するように構成される。このようなルーフ構成要素は、例えば、ルーフ・ライトやルーフ・ブラインドを移動させるように構成され得る。他の適用分野及び対応する電動モータが、例えば、窓、テールゲート/ハッチ、ドアなど別の構成要素を駆動又は調整するために車両内に設けられ得る。
【0019】
更なる実施形態では、電動モータはDCモータとして具現化され得る。このようなモータは、パルス幅変調によって直接駆動され得る。
【0020】
DCモータは、例えばブラシレスDCモータ(BLDCモータ)であり得る。
【0021】
特に、電動モータは内部ロータモータであり得る。更に、外部ロータモータを使用することも考えられる。
【0022】
DCモータは、更に、ブラシ・モータであり得る。
【0023】
一実施形態では、電動モータは、ブラシ火花を抑制するための回路が備えられ、その回路は、例えば容量性分圧器を含み得る。有利なことに、これによって更に干渉のない電動モータの動作が実現される。
【0024】
ブラシ火花を抑制するための回路は、例えば、容量性分圧器を含むことができ、この場合、例えば磁極ハウジングとの接続ごとに一つのコンデンサを含むことができる。その結果、磁極ハウジングは、したがって容量性分圧器を介して二つの駆動ラインの中間に配置され、アクティブ・ラインを介して供給されるPWM信号の半分の電圧レベルで常に動作させられる。
【0025】
一実施形態では、スイッチング・モジュールは、モータ回路基板及び/又は電動モータのハウジングに組み込まれる。結果として、電動モータの減結合が、モータの製造時に直接処理され得るという利点が実現される。すなわち、このような観点から、モータ制御ユニットに変更を加える必要なしに、モータの製造業者又はその供給業者が、減結合に関して有利な特性を有する電気モジュールを提供し得る。したがって、制御ユニットは、電動モータのどの種類の減結合が望まれるかという問題とは無関係に使用され得る。特に、本発明による電動モータは、非常に柔軟に実装されることができ、複数のモータ制御ユニットと適合性がある。
【0026】
特に、スイッチング・モジュールは半導体スイッチを備え得る。これにより、電動モータが動作させられる方向に応じて、及びしたがってアクティブに動作させられる駆動ラインに応じて、高速且つ効率的な切り替えが容易になる。
【0027】
一実施形態において、スイッチング・モジュールは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、より詳細には金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を備える。ここに、構成の第1及び第2の駆動ラインに対して、第1及び第2のスイッチング・モジュールがそれぞれ別個に設けられる。
【0028】
これらの構成要素により、半導体スイッチを使用する特に小型で効率的な動作構造が可能なとなる。
【0029】
更なる実施形態では、スイッチング・モジュールは、ダイオード、特に、ダイオード及び抵抗を備えた整流器を備える。これにより、所望のスイッチング及び磁極ハウジングの非アクティブ・ラインとの接続を得るために、半導体スイッチ又は同様の構成要素が容易に制御され得るという利点が実現される。
【0030】
代替的又は追加的に、特に制御信号に基づくアクティブなスイッチングを実行するために、別の構成要素がスイッチとして設けられ得る。そこに、モータ回路基板に内蔵されることができ、駆動ラインのうちのどちらが非アクティブ・ラインとして動作させられているかを決定し、それぞれの切り替えもさせる、検出回路が更に備えられ得る。
【0031】
一実施形態では、スイッチング・モジュールは、バイポーラ・トランジスタ又はリレーを備える。
【0032】
例えば車両のルーフ構成要素を動作させるための車両用電動モータは、第1及び第2の駆動ラインを接続するための少なくとも二つの端子を備える。それによって、電動モータは、端子を介してパルス幅変調を用いて制御され得る。電動モータを制御するとき、二つの駆動ラインのうちの第1の駆動ラインが非アクティブ・ラインとして動作させられることができ、二つの駆動ラインのうちの第2の駆動ラインがアクティブ・ラインとして動作させられることができる。それによって、スイッチング・モジュールが、電動モータに組み合わされ、電動モータの磁極ハウジングの端子を電動モータの動作中に非アクティブ・ラインとして動作させられている駆動ラインに接続するように構成される。
【0033】
スイッチング・モジュールはモータ回路基板に組み込まれることができ、更にそのモータ回路基板は電動モータの構成部品となり得る。
【0034】
車両において、電動モータ、例えばルーフ構成要素を駆動するための電動モータを動作させる方法において、電動モータは、少なくとも二つの駆動ラインを介してパルス幅変調を用いて制御される。そこで、電動モータが制御されるとき、二つの駆動ラインのうちの第1の駆動ラインが非アクティブ・ラインとして動作させられ、二つの駆動ラインのうちの第2の駆動ラインがアクティブ・ラインとして動作させられる。スイッチング・モジュールが、電動モータの磁極ハウジングの端子を電動モータの運転中に非アクティブ・ラインとして動作させられている駆動ラインに接続する。
【0035】
本方法は、上述の構成及び上述の電動モータを動作させるように特に構成されている。したがって、本方法は、本発明による構成及び電動モータと同じ利点を含む。
【0036】
以下において、添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~
図3を参照しながら、本配置の一実施形態を詳述する。
【0039】
本実施形態では、配置10は制御ユニット20を含む。更なる実施形態では、制御ユニットは、配置10に含まれる必要はなく、外部ユニットとして配置10に接続されてもよい。
【0040】
モータ回路基板12が更に設けられる。
【0041】
電動モータM及びそれに接続されたスイッチング・モジュール14が、モータ回路基板12に結合される。
【0042】
この実施形態では、電動モータMはブラシ・モータとして構成される。
【0043】
更なる実施形態によれば、電動モータはBLDCモータとして構成され得る。
【0044】
モータ基板12は、電源端子として構成される端子12a,12bを更に含む。これは、電動モータMを動作させるために、電圧が端子12a,12bを介して供給されることを意味する。更に、補助信号が供給され得るが、以下の説明には関係しない。
【0045】
本実施形態では、モータ回路基板、電動モータM及びスイッチング・モジュール14が、同一のハウジング内に配置され、又は互いに組み合わされて配置される。端子12a,12bは、この場合、外部からアクセス可能であり、又は外部ユニットに接続され得る。
【0046】
端子12a,12bのそれぞれは、二つの駆動ラインA,Bのうちの一つに接続される。
【0047】
制御ユニット20は、パルス幅変調(PWM)によって電動モータMを動作させるための信号を生成する。そして、信号は「アクティブ・ライン」である駆動ラインAにより伝送され、他方の駆動ラインBはこの場合「非アクティブ・ライン」として動作させられる。
【0048】
アクティブ・ラインと非アクティブ・ラインとの選択は、電動モータMを動作させる回転方向に応じて決定される。非アクティブ・ラインとして動作させられる他方の駆動ラインBは、アースに接続される、すなわち接地される。
【0049】
本実施形態では、電動モータMは、動作中のブラシ火花を抑制するための回路を備える。この回路は、本実施の形態によれば、一つの端子に一つのコンデンサを有する、容量性分圧器18を備える。この分圧器は、磁極ハウジング端子15を介して、電動モータの磁極ハウジングに接続される。これにより、磁極ハウジングは、二つの駆動ラインの間に配置され、PWM信号の半分の電圧レベルに継続的に維持される。
【0050】
電動モータがBLDCモータとして構成される実施形態では、電磁干渉を招き得る、又はそのような干渉を抑制する、更なる回路が実装され得る。
【0051】
本実施形態の配置10において、スイッチング・モジュール14は、非アクティブ・ラインとして動作させられる方の駆動ラインA,Bに磁極ハウジングを自動的に接続するために設けられている。
【0052】
より一般的に表現すると、このような観点から、アクティブPWM検出器、すなわち検出回路17が設けられる。検出回路17は、駆動ラインA,Bに接続され、駆動ラインA,Bのどちらが非アクティブ・ラインとして現在動作させられているかを検出する役割を務める。その検出の結果に応じて、その非アクティブ・ラインに磁極ハウジング端子15を接続するために、半導体スイッチ16などのスイッチング・デバイスが制御される。
【0053】
そのような回路を、具体的な実施形態で
図3に示す。この回路は対称に配置されているので、その半分だけに参照符号が付与されている。残りの半分も同様に配置されて
図3に示されている。
【0054】
本実施形態では、ダイオードD1とコンデンサC1とが共同で整流器を形成する。整流器は、第1の駆動ラインAに結合されている。ダイオードD1とコンデンサC1との間に配置された抵抗R1は、電流を制限する役割を務める。また、更なる抵抗器R2が設けられ、それを介してコンデンサC1が放電し得る。
【0055】
抵抗R1とコンデンサC1との間に、第2の駆動ラインB内に配置された半導体スイッチT1のゲート入力との接続が設けられている。
【0056】
電動モータMのPWM制御時に第1の駆動ラインAがアクティブ・ラインとして動作させられる第1の場合、半導体スイッチT1のゲートは、駆動ラインAを介して供給される電圧レベルにある。一般的なPWM制御では、これは約12Vに相当する。更なる実施形態によれば、他の電圧レベルが供給され得る。
【0057】
これにより半導体スイッチT1のトランジスタが導通状態に切り替えられ、その結果、磁極ハウジング端子15は更なるコンデンサC2及び更なる抵抗R3を介して駆動ラインBに接続され、このとき駆動ラインBは非アクティブ・ラインとして動作させられている。
【0058】
同時に、磁極ハウジング端子15と駆動ラインAとの間の接続は、対称に配置された部分においてそこに設けられたトランジスタのゲートにゲート電圧が供給されていないので、この場合は切断されている。
【0059】
駆動ラインBと磁極ハウジング端子15との間の接続部の更なるコンデンサC2は、発生するかもしれない短絡電流を回避する役割を務める。上流側の抵抗R3は、干渉抑制コンデンサと電源ラインとの間に発生し得る随意的に起こる発振を減衰させる役割を務める。
【符号の説明】
【0060】
10 配置
12 モータ回路基板
12a、12b 端子
14 スイッチング・モジュール
15 磁極ハウジング端子
16 半導体スイッチ
17 検出回路
18 容量性分圧器
20 制御ユニット
A 駆動ライン
B 駆動ライン
C1、C2 コンデンサ
D1 ダイオード
M 電動モータ
R1、R2、R3 抵抗
T1 半導体スイッチ、MOSFET