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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240909BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20240909BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20240909BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240909BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G09G5/00 530H
G09G5/00 550C
G09G5/37 300
G09G5/373 200
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023026771
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2018224017の分割
【原出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2023078145
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0001449
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】申 東蓉
(72)【発明者】
【氏名】沈 長▲華▼
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-172616(JP,A)
【文献】特表2017-515213(JP,A)
【文献】特開2015-194761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0348453(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0294438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
G09G 3/20-3/38
G02B 27/02
H04N 5/64
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
前記表示装置は、
平面部及び前記平面部から伸びた曲面部を有する表示パネルと、
前記平面部及び前記曲面部に表示される映像を示すデータ信号を前記表示パネルに提供する制御部とを含み、
前記制御部は、前記平面部から離れて配置された前記曲面部ほど、前記平面部に表示される映像より縮小した映像を示すデータ信号を提供し、
前記表示装置は、ヘッドマウント表示装置である、表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルが装着されるケース部と、
前記ケース部と使用者の間に配置されるクッション部と、
前記ケース部と接続されるストラップ部とをさらに含み、
前記ケース部、前記クッション部及び前記ストラップ部は前記表示パネルを基準に前記使用者の視点を定義する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルを基準に使用者の視点を測定するセンサーをさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルから所定の距離で離隔した光学系をさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、使用者を基準に左右方向に配列された左眼用表示パネル及び右眼用表示パネルを含み、
前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルはそれぞれ前記平面部及び前記曲面部を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルはその間の突出部によって分離されている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの前記曲面部は、それぞれ前記平面部の左側に配置された左側曲面部及び前記平面部の右側に配置された右側曲面部を含む、請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記縮小した映像は、使用者の視点で見るとき、前記平面部から伸びた仮想の平面上の縮小しなかった前記映像と同一である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間の有機発光層を含み、平面部と、前記平面部から延在する曲面部とを有する表示パネルと、
前記平面部及び前記曲面部に表示される映像を示すデータ信号を前記表示パネルに提供する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記平面部から離れて配置された前記曲面部ほど、前記平面部に表示される映像より縮小した映像を示すデータ信号を提供する、表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、
前記平面部及び前記曲面部を含む基板と、
前記基板上に配置されると共に、前記第1の電極が配置される平坦化層と、
平坦化層上に配置され、前記第1の電極の少なくとも一部を露出させて画素領域を定義する画素定義膜と、
を含む請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記曲面部は、第1方向において前記平面部の両側に配置された第1曲面部と、
前記第1方向に垂直な第2方向において前記平面部の両側に配置された第2曲面部と、
を含む請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1曲面部において前記第1方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供し、前記第2曲面部において前記第2方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供する、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記縮小した映像は、使用者の視点で見るとき、前記平面部から伸びた仮想の平面上の縮小しなかった前記映像と同一である、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
平面部と前記平面部から延在する曲面部とを有し、前記曲面部が第1方向において前記平面部の両側に配置された第1曲面部と前記第1方向に垂直な第2方向において前記平面部の両側に配置された第2曲面部とを含む、表示パネルと、
前記平面部及び前記曲面部に表示される映像を示すデータ信号を前記表示パネルに提供する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記平面部から離れて配置された前記曲面部ほど、前記平面部に表示される映像より縮小した映像を示すデータ信号を提供し、
前記第1曲面部及び前記第2曲面部は前記平面部のコーナー部で互いに離隔している、表示装置。
【請求項15】
前記平面部のコーナー部は使用者によって視認されない、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第1曲面部において前記第1方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供する、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第2曲面部において前記第2方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供する、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
前記曲面部全体に対する前記映像の縮小比率はA/Lであり、
Aは曲面部の前記第1方向への長さであり、
Lは前記曲面部の等価領域の前記第1方向への長さであり、
前記等価領域は前記平面部から伸びた仮想の平面上にあり、使用者の視点で見るとき、前記第1方向において前記曲面部と同じ視野角を提供する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項19】
前記曲面部全体に対する前記映像の前記縮小比率は下記の式によって決定されたA/Lである、請求項18に記載の表示装置。

Rは前記曲面部の曲率半径であり、
θは前記曲面部の中心角であり、
Dは使用者の視点と前記平面部との間の距離であり、
Bは前記視点を通る前記平面部の法線及び前記平面部と前記曲面部が会う地点間の前記第1方向への距離である。
【請求項20】
前記曲面部の一側は前記平面部と接する(tangential)、請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドマウント表示装置に関し、より詳しくは視野角が向上したヘッドマウント表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウント表示装置は頭部に着用する装置であり、表示パネルを含むことができる、または、表示パネルと接続することができる。ヘッドマウント表示装置は拡張現実(augmented reality)又は仮想現実(virtual reality)の具現のために使うことができる。拡張現実を具現するためのヘッドマウント表示装置は半透明のディスプレイを介して仮想のグラフィック映像を提供することができる。この場合、使用者は仮想のグラフィック映像と実際の事物を同時に視認することができる。仮想現実を具現するためのヘッドマウント装置は使用者の眼に仮想のグラフィック映像を提供する。使用者は仮想のコンテンツを介して仮想の現実を体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第2015-0093054号公報
【文献】特開2015-194761号公報
【文献】特開2005-293197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は視野角が向上したヘッドマウント表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によるヘッドマウント表示装置は、平面部及び前記平面部から伸びた曲面部を有する表示パネルと、前記平面部及び前記曲面部に表示される映像を示すデータ信号を前記表示パネルに提供する制御部と、前記表示パネルが装着されるケース部とを含み、前記制御部は、前記平面部に比べて前記曲面部に所定の比率で縮小した映像を示すデータ信号を提供する。
【0006】
一実施形態において、前記ケース部と使用者の間に配置されるクッション部と、前記ケース部と接続されるストラップ部とをさらに含むことができ、前記ケース部、前記クッション部及び前記ストラップ部は前記表示パネルを基準に前記使用者の視点を定義してもよい。
【0007】
一実施形態において、前記表示パネルを基準に前記使用者の視点を測定するセンサーをさらに含んでもよい。
【0008】
一実施形態において、前記曲面部は、第1方向において前記平面部の両側に配置された第1曲面部を含むことができ、前記制御部は、前記第1曲面部において前記第1方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供してもよい。
【0009】
一実施形態において、前記制御部は、前記第1曲面部において前記第1方向に垂直な第2方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供してもよい。
【0010】
一実施形態において、前記曲面部は、前記第1方向に垂直な第2方向において前記平面
部の両側に配置された第2曲面部をさらに含むことができ、前記制御部は、前記第2曲面部において前記第2方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供してもよい。
【0011】
一実施形態において、前記制御部は、前記第2曲面部において前記第1方向に縮小した映像を示すデータ信号を提供してもよい。
【0012】
一実施形態において、前記第1曲面部及び前記第2曲面部は前記平面部のコーナー部で互いに離隔してもよい。
【0013】
一実施形態において、前記平面部のコーナー部は前記使用者によって視認されなくてもよい。
【0014】
一実施形態において、前記第1曲面部及び前記第2曲面部は互いに連結されてもよい。
【0015】
一実施形態において、前記制御部は、前記平面部から遠くなるほど次第に縮小した映像を示すデータ信号を提供してもよい。
【0016】
一実施形態において、前記曲面部全体に対する前記比率はA/Lであり、Aは曲面部の前記第1方向への長さであり、Lは前記曲面部の等価領域の前記第1方向への長さであり、前記等価領域は前記平面部から伸びた仮想の平面上にあり、前記使用者の視点で見るとき、前記第1方向において前記曲面部と同じ視野角を提供してもよい。
【0017】
一実施形態において、前記縮小した映像は、前記使用者の視点で見るとき、前記平面部から伸びた仮想の平面上の縮小しなかった前記映像と同一であってもよい。
【0018】
一実施形態において、前記曲面部の一側は前記平面部と接してもよい。
【0019】
一実施形態において、前記曲面部全体に対する前記比率は下記の式によって決定されたA/Lであってもよい。

Rは前記曲面部の曲率半径であり、θは前記曲面部の中心角であり、Dは前記使用者の視点と前記平面部との間の距離であり、Bは前記視点を通る前記平面部の法線及び前記平面部と前記曲面部が会う地点間の前記第1方向への距離である。
【0020】
一実施形態において、前記比率は前記平面部と前記曲面部が接する境界で1であり、前記平面部から遠くなるほど次第に急激に減少してもよい。
【0021】
一実施形態において、前記曲面部の他側は前記使用者の視線に垂直であってもよい。
【0022】
一実施形態において、前記比率は下記の式によって決定されたA/Lであってもよい。

θは前記曲面部の中心角である。
【0023】
一実施形態において、前記表示パネルから所定の距離で離隔した光学系をさらに含んでもよい。
【0024】
一実施形態において、前記表示パネルは、使用者を基準に左右方向に配列された左眼用表示領域及び右眼用表示領域を含むことができ、前記左眼用表示領域及び前記右眼用表示領域はそれぞれ前記平面部及び前記曲面部を含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、前記表示パネルは、使用者を基準に左右方向に配列された左眼用表示パネル及び右眼用表示パネルを含むことができ、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルはそれぞれ前記平面部及び前記曲面部を含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルはその間の突出部によって分離されていてもよい。
【0027】
一実施形態において、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの前記曲面部は、それぞれ前記平面部の左側に配置された左側曲面部及び前記平面部の右側に配置された右側曲面部を含んでもよい。
【0028】
一実施形態において、前記左側曲面部と前記右側曲面部は左右側方向に同じ長さを有してもよい。
【0029】
一実施形態において、前記左側曲面部と前記右側曲面部は左右側方向に互いに異なる長さを有してもよい。
【0030】
一実施形態において、前記左眼用表示パネルの左側曲面部は前記左眼用表示パネルの右側曲面部より左右側方向にさらに長くてもよく、前記右眼用表示パネルの右側曲面部は前記右眼用表示パネルの左側曲面部より左右側方向にさらに長くてもよい。
【0031】
一実施形態において、前記左眼用表示パネルの前記右側曲面部の等価領域及び前記右眼用表示パネルの前記左側曲面部の等価領域は互いに接してよく、前記等価領域は前記平面部から伸びた仮想の平面上にあってもよく、前記曲面部と前記等価領域は、前記使用者の視点で見るとき、左右方向に同じ視野角を提供してもよい。
【0032】
一実施形態において、前記左眼用表示パネルの前記右側曲面部の等価領域及び前記右眼用表示パネルの前記左側曲面部の等価領域は互いに重なってもよく、前記等価領域は前記平面部から伸びた仮想の平面上にあり、前記曲面部と前記等価領域は、前記使用者の視点で見るとき、左右方向に同じ視野角を提供してもよい。
【0033】
一実施形態において、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの前記曲面部はそれぞれ前記平面部の上下側に配置された上下側曲面部を含んでもよい。
【0034】
本発明の一実施形態によるヘッドマウント表示装置は、平面部及び前記平面部から伸びた曲面部を有する表示パネルと、前記表示パネルが装着されるケース部とを含み、前記曲面部は前記平面部に表示される映像に比べて縮小した映像を表示する。
【0035】
一実施形態において、前記曲面部は前記平面部より高い解像度を有してもよい。
【0036】
一実施形態において、前記表示パネルは、複数のゲートラインと、前記複数のゲートラインと交差する複数のデータラインと、前記複数のゲートラインと前記複数のデータライ
ンによって定義される複数の画素とを含むことができ、前記曲面部に配置された画素の単位面積当たり数が前記平面部に配置された画素の単位面積当たり数より多くてもよい。
【0037】
一実施形態において、前記曲面部に配置された前記複数のゲートライン間の間隔は前記平面部から遠くなるほど減少してもよい。
【0038】
一実施形態において、前記曲面部に配置された前記複数のデータライン間の間隔は前記平面部から遠くなるほど減少してもよい。
【0039】
一実施形態において、前記曲面部に配置された前記複数の画素のそれぞれの面積はその位置が前記平面部から遠くなるほど減少してもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一実施形態によると、ヘッドマウント表示装置は向上した視野角を提供することができる。
【0041】
また、本発明の一実施形態によるヘッドマウント表示装置は、使用者に視認される映像の歪曲を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置のブロック図である。
図2a】本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の斜視図である。
図2b】本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の使用図である。
図3】本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の一部を分解した分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の概略断面図である。
図5a】本発明の一実施形態による表示パネルの概略断面図である。
図5b】本発明の一実施形態による表示パネルの概略断面図である。
図6】本発明の一実施形態による表示パネルの正面図及び側面図である。
図7】本発明の一実施形態による縮小しなかった映像と縮小した映像を示す図である。
図8】本発明の一実施形態によって曲面部に表示される映像の変換を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態による光学系の概略断面図である。
図10】本発明の一実施形態による両眼分離型ヘッドマウント装置の概略斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による両眼分離型ヘッドマウント装置の概略断面図である。
図12】本発明の一実施形態による両眼分離型ヘッドマウント装置の概略断面図である。
図13a】本発明の一実施形態による両眼統合型表示パネルの概略斜視図である。
図13b】本発明の一実施形態による両眼統合型表示パネルの断面図である。
図13c】本発明の一実施形態による両眼統合型表示パネルの断面図である。
図14】本発明の一実施形態による両眼分離型表示パネルの概略斜視図である。
図15a】本発明の一実施形態による両眼統合型表示パネルの概略展開図である。
図15b】本発明の一実施形態による両眼統合型表示パネルの概略展開図である。
図16】本発明の一実施形態による両眼分離型表示パネルの概略展開図である。
図17】本発明の一実施形態による表示パネルの一部を拡大した部分拡大図である。
図18図14のIV-IV’線に沿って切断した断面図である。
図19】本発明の一実施形態による表示パネルの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付図面に基づいて詳細に後述する実施形態を参照すると明らかになるであろう。しかし、本発明は以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに違う多様な形態に具現さできる。ただ、本実施形態は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求範囲の範疇によって定義されるだけである。したがって、いくつかの実施形態において、よく知られた工程段階、よく知られた素子構造及びよく知られた技術は本発明があいまいに解釈されることを避けるために具体的に説明しない。明細書全般にわたって同じ参照符号は同一構成要素を指す。
【0044】
空間的に相対的な用語である下(below)、下(beneath)、下部(lower)、上(above)、上部(upper)などは、図面に示しているように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使用し得る。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加え、使用時又は動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語と理解しなければならない。例えば、図面に示されている素子を覆す場合は、他の素子の下(below)又は下(beneath)に配置されていると記述された素子は、他の素子の上(above)に置かれることができる。したがって、例示的な用語である下は、下と上の方向のいずれも含むことができる。素子は、他の方向にも配向されることができ、よって空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0045】
本明細書で使用した用語は実施形態を説明するためのもので、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は、文句で特に言及しない限り、複数型も含む。明細書で使う含む(comprises)及び/又は含む(comprising)は言及された構成要素、段階、動作及び/又は素子が一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/又は素子の存在又は追加を排除しないことを意味する。
【0046】
他の定義がない限り、本明細書で使われる全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解可能な意味として使用可能であろう。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、特に定義しない限り、理想的に又は過度に解釈されてはいけない。
【0047】
図1は本発明の一実施形態によるヘッドマウント表示装置の構成を示すブロック図である。本発明によるヘッドマウント表示装置は、映像処理部10、表示部20、制御部30、通信部40、記憶部50及び使用者入力部60を含むことができる。
【0048】
映像処理部10が遂行する映像処理プロセスの種類は限定されない。例えば、所定の信号を各特性別に信号に分配するデマルチプレックシング(de-multiplexing)、映像信号の映像フォーマットに対応するデコーディング(decoding)、インタレース(interlace)方式の映像信号をプログレッシブ(progressive)方式に変換するデインタレーシング(de-interlacing)、映像画質改善のためのノイズ減少(noise reduction)、ディテール強化(detail enhancement)、フレームリフレッシュレート(frame refresh rate)変換などを含むことができ、エンコードされたソース映像の映像フォーマットに対応してソース映像をデコードするデコーダー(図示せず)及びデコードされたソース映像をフレーム単位で記憶するフレームバッファー(図示せず)を含むことができる。
【0049】
映像処理部10はこのような多くの機能を統合させたSOC(system-on-chip)、又はこのような各プロセスを独自に遂行することができる個別的な構成がプリント基板上に装着されることによって映像処理ボード(図示せず)に具現されてヘッドマウント表示装置に内蔵されることができる。
【0050】
映像処理部10は、通信部40から受信する映像信号を含む放送信号及び映像供給源(図示せず)から受けた映像信号を含むソース映像に対して既設定の多様な映像処理プロセスを遂行する。映像処理部10はこのようなプロセスが遂行された映像信号を表示部20に出力することにより、処理されたソース映像が表示部20に表示されることができる。映像処理部10(又は後述する制御部30)は、後述するように、曲面部に映像を縮小して表示するプロセスを遂行することができる。
【0051】
表示部20は、映像処理部10から出力される映像信号に基づいて映像を表示することができる。表示部20は映像が表示される表示パネル200と入力される映像信号を処理して表示パネルに映像を表示するパネル駆動部を含むことができ、詳細な具現方式において限定されない。インターフェースを介して外部の入力ソースから受信された映像信号はデコーディング(decoding)、デインタレーシング(deinterlacing)、スケーリング(scaling)などの映像処理過程によって表示部20に表示されることができる。
【0052】
制御部30はヘッドマウント表示装置内部の全般的な構成を制御することができる。制御部30は映像処理部10と分離又は統合可能である。
【0053】
通信部40は外部入力による信号を受信して映像処理部10又は制御部30に伝達することができる。通信部40は多様な外部入力ケーブルが接続されることによって該当外部入力からの信号を有線で受信し、あるいは無線で受信される信号を所定の無線通信規格にしたがって受信することができる。
【0054】
通信部40は、各ケーブルが個別的に接続される複数のコネクター(図示せず)を含むことができる。通信部40は、接続された外部入力からの信号、例えばHDMI(登録商標)、USB、コンポーネント(component)規格による放送信号、映像信号、データ信号などを受信するとか、あるいは通信ネットワークを介しての通信データを受信することができる。
【0055】
通信部40は、外部入力からの信号/データを受信する構成だけでなくヘッドマウント表示装置の設計方式によって、無線通信のための無線通信モジュール(図示せず)又は放送信号のチューニングのためのチューナー(図示せず)のような多様な付加的な構成をさらに含むことができる。通信部40は、外部装置から信号を受信することの他にも、ヘッドマウント表示装置の情報/データ/信号を外部装置に伝送することもできる。すなわち、通信部40は外部装置から信号を受信する構成のみに限定することができなく、両方向通信が可能なインターフェース(interface)によって具現できる。通信部40は、複数の制御装置からUIを選択するための制御信号を受信することができる。通信部40はブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、IR(Infrared)、UWB(Ultra Wideband)、ジグビー(Zigbee(登録商標))などの公知の近距離無線通信のための通信モジュールから構成されることができ、有線通信のための公知の通信ポートから構成されることもできる。通信部40は、UIを選択するための制御信号の他に、ディスプレイ操作のための命令、データの送受信などの多様な目的で活用可能である。
【0056】
記憶部50はヘッドマウント表示装置への電源が遮断されてもデータが残っていなければならなく、使用者の変動事項を反映するように書込み可能な非揮発性メモリ(Writable ROM)からなることが好ましい。すなわち、記憶部50はフラッシュメモリ(Flash Memory)又はEPROM又はEEPROMのいずれか一つからなることができる。
【0057】
使用者入力部60は、使用者の操作及び入力によって既設定の多様な制御コマンド又は情報を制御部30に伝達することができる。使用者入力部60はヘッドマウント表示装置の外側に取り付けられたメニューキー(menu-key)又は入力パネル(panel)、あるいはヘッドマウント表示装置から分離又は離隔したリモートコントローラー(remote controller)などから具現されることができる。
【0058】
使用者入力部60は使用者のモーション及び音声を受信することができる。使用者のモーションはタッチ入力を含むことができる。使用者入力部60は使用者のモーション及び音声を直接受信することもでき、あるいは使用者のモーション及び音声についての情報を外部装置から受信することもできる。
【0059】
また、使用者入力部60は、後述する表示パネル200、光学系400及び使用者の視点間の距離を調整することができる調整系(図示せず)を含むことができる。使用者の操作によって、調整系は表示パネル200及び/又は光学系400の位置を使用者の視点の前後方向(図3のZ軸方向)に移動させることができる。
また、使用者入力部60は、使用者の視点を測定することができるセンサー部(図示せず)を含むことができる。測定された使用者の視点と表示パネル200間の距離によって、後述する曲面部220に表示される映像の縮小比率を変更することができる。
【0060】
図2aは本発明の一実施形態によるヘッドマウント表示装置(Head-mounted display device)の斜視図、図2bは本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の使用図である。
【0061】
図2a及び図2bを参照すると、ヘッドマウント表示装置は使用者500の頭部に着用される装置である。ヘッドマウント表示装置は使用者500の実際の周辺視野を遮断した状態で映像を提供することができる。ヘッドマウント表示装置を着用した使用者500は仮想現実にさらに容易に沒入することができる。
【0062】
ヘッドマウント表示装置は、ケース部(case part)100、クッション部(cushion part)300及びストラップ部(strap part)350を含むことができる。
【0063】
ケース部100は使用者500の頭部に着用できる。ケース部100の内部には、映像を表示する表示パネル200(図3参照)、及び加速度センサー(図示せず)などを収納することができる。加速度センサーは使用者500の動きを感知し、表示パネルに所定の信号を伝達することができる。これにより、表示パネルは使用者500の視線変化による映像を提供することができる。よって、使用者500は実際現実のような仮想現実を体験することができる。
【0064】
ケース部100には、前記開示したものの他に、多様な機能を有する部品を収納することができる。例えば、前述した映像処理部10、表示部20、制御部30、通信部40、記憶部50及び使用者入力部60を収納することができる。
【0065】
クッション部300はケース部100と使用者500の頭部の間に配置されることがで
きる。クッション部300は形状の変形が自在な物質から構成されることができる。例えば、クッション部300は高分子樹脂(例えば、ポリウレタン(polyurethane)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリプロピレン(polypropylene)又はポリエチレン(polyethylene))から形成されるとか、ゴム液、ウレタン系物質、又はアクリル系物質を発泡成形したスポンジから形成されることができる。ただ、これに制限されるものではない。
【0066】
クッション部300はケース部100が使用者500に密着することができるようにして使用者500の着用感を向上させることができる。クッション部300はケース部100に着脱可能である。本発明の他の実施形態において、クッション部300は省略することもできる。
【0067】
ストラップ部350はケース部100と接続され、ケース部100が使用者500に容易に着用できるようにする。ストラップ部350はメインストラップ351及びトップストラップ352を含むことができる。
【0068】
メインストラップ351は使用者500の頭部の周囲に沿って着用できる。メインストラップ351は、ケース部100が使用者500の頭部に密着することができるように、ケース部100を使用者500に固定させることができる。トップストラップ352は使用者500の頭部の上部に沿ってケース部100とメインストラップ351を連結することができる。トップストラップ352はケース部100が下がることを防止することができる。また、トップストラップ352はケース部100の荷重を分散させて使用者500の着用感を一層向上させることができる。
【0069】
図2aにはメインストラップ351とトップストラップ352の長さを調節することができる形態を例示的に示したが、これに限定されるものではない。例えば、他の実施形態においては、メインストラップ351とトップストラップ352が弾性を有し、長さを調節することができる部分を省略することができる。
ケース部100を使用者500に固定することができれば、ストラップ部350は図2a及び図2bに示した形態の他にも多様な形態に変形可能である。例えば、本発明の他の実施形態において、トップストラップ352は省略することもできる。また、本発明のさらに他の実施形態においては、ストラップ部350はケース部100と接続されたヘルメット、又はケース部100と接続されためがねのつるなどの多様な形態に変形可能である。
【0070】
図3は本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の一部を分解した分解斜視図である。図3にはストラップ部(図1の200)の構成は示されていない。
【0071】
図3を参照すると、ケース部100は胴体部101とカバー部102に分離可能である。胴体部101とカバー部102の間に表示パネルが装着され、カバー部102は表示パネルが装着された空間をカバーすることができる。図3には胴体部101とカバー部102が分離される形態を例示的に示したが、これに制限されるものではない。例えば、図4に示したように、胴体部101とカバー部102は一体型に提供されることができ、互いに分離されないようにすることもできる。
【0072】
胴体部101とカバー部102の間には表示パネル200が配置されることができる。表示パネル200はヘッドマウント表示装置の内部に一体的に内蔵されて映像を提供することができる。しかし、これに制限されるものではない。例えば、表示パネル200を含む表示装置(例えば、携帯用端末機)がヘッドマウント装置と接続して映像を提供することもできる。
【0073】
図3には左眼映像と右眼映像が一つの表示パネル200を介して表示されるもの(両眼統合型)を例として挙げて説明する。表示パネル200は左眼映像が表示される左眼映像表示領域201と右眼映像が表示される右眼映像表示領域202に区分されることができる。左眼映像表示領域201と右眼映像表示領域202は別個のパネル駆動部によって駆動できる。ただ、これに制限されるものではなく、単一パネル駆動部によって左眼映像表示領域201と右眼映像表示領域202が共に駆動されることもできる。また、図10に示したように、本発明のさらに他の実施形態において、表示パネル200は互いに分離された左眼用表示パネル241と右眼用表示パネル242を含むこともできる。表示パネル200の具体的な形状は後述する。
【0074】
表示パネル200は入力された映像データに対応する映像を生成する。表示パネル200は、有機発光表示パネル、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、電気泳動表示パネル、及びエレクトロウェッティング表示パネルなどの多様な形態の表示パネルのいずれか一つを含むことができる。本実施形態においては表示パネル200が有機発光表示パネルであるものを例として説明するが、これに制限されるものではない。有機発光表示パネルの詳細な構造は図17及び図18に基づいて後述する。
【0075】
ケース部100の胴体部101の内部には光学系400が配置されることができる。光学系400は凸形の非球面レンズであり得る。また、光学系400は、レンズの厚さを減らすために複数の環形レンズに分割されたフレネル(Fresnel)レンズであり得る。光学系400は表示パネル200から提供された映像を拡大することができる。光学系400は表示パネル200から第1方向(Z)に離隔して配置されることができる。光学系400は表示パネル200と使用者眼510の間に配置されることができる。
【0076】
光学系400は左眼光学系401と右眼光学系402を含むことができる。左眼光学系401は使用者(図2の500)の左側瞳孔511に映像を拡大して提供し、右眼光学系402は使用者(図2の500)の右側瞳孔512に映像を拡大して提供することができる。左眼光学系401と右眼光学系402は左右方向(X軸方向)に離隔して配置されることができる。使用者(図2の500)の両眼501、502間の距離に対応して左眼光学系401と右眼光学系402間の距離が調節できる。
【0077】
図4は本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の概略断面図である。図4図3のI-I’線に沿って切断した断面図である。また、図4には、ケース部100、表示パネル200、使用者眼510及び使用者顔面線520を除いた他の構成は示されていない。以下では、説明の便宜上、左右方向(図面のX軸方向)、上下方向(図面のY軸方向)及び前後方向(図面のZ軸方向)は使用者500がヘッドマウント表示装置を着用した状態での使用者500(以下、使用者という)の視線を基準に定義される。
【0078】
図4に示したように、表示パネル200は使用者500の眼を基準に凹むように左右側が曲がっている。より具体的に、表示パネル200は中央の平面部210と左右側の曲面部220を有する。平面部210は実質的に平面である。すなわち、平面部210は曲率が0又はほぼ0である。曲面部220は平面部210から左右方向に伸びる。断面図上で、左側の曲面部221と右側の曲面部222は、表示パネル200の中心を通るとともに表示パネル200に垂直な対称線263を基準に対称である。
【0079】
一方、他の言及がなければ、本明細書の平面部210及び曲面部220は映像が表示される領域を意味する。
【0080】
曲面部220は左右方向への所定の幅と上下方向への長さを有する。幅方向は0ではな
い所定の曲率(曲率半径の逆数と定義する)を有する。長手方向は0の曲率を有し得る。
【0081】
ケース部100は表示パネル200が曲がった状態を維持するように支持する。平面部210はカバー部102によって支持されることができ、曲面部220は前後方向に伸びた胴体部101によって支持されることができる。
【0082】
図5aは本発明の一実施形態によって曲面部220に表示される映像の左右方向の縮小比率を説明するための断面図で、図4の右側部に対応する。図5aに示したように、本発明の一実施形態によると、より小さな表示パネル200でより広い視野角を提供することができる。
【0083】
図5aは平面部210の右側一部、右側曲面部222及び使用者の右眼512を示す。一方、以下の説明で、断面図を基準に説明する点又は線はそれぞれその点又はその線を通るとともに断面図に垂直な線又は面を意味し得る。
【0084】
まず、仮想平面230は平面部210から伸びた平面である。Dは使用者500の右眼512の視点420と仮想平面230又は平面部210間の距離である(あるいはDは仮想平面230の法線を示す)。距離Dはケース100内の表示パネル200の配置、クッション部300の構造、光学系400の屈折率などによって決定された所定の値であり得る。もしくは、距離Dは使用者によって設定された値であり得る。もしくは、距離Dは前述したセンサー部によって測定された値であり得る。
【0085】
Rは曲面部222の曲率半径である。曲面部222の中心は平面部210と曲面部222が会う地点、すなわち曲面部の開始点422を通る表示パネル200の法線上にある。すなわち、曲面部222は仮想平面230と接している。θは曲面部222の中心角である。Aは曲面部220の左右方向への幅、すなわち断面図である図5aにおいて曲面部220の弧の長さである。
【0086】
Bは視点420を通る仮想平面230の法線Dと曲面部222の開始点422を通る仮想平面230の法線間の距離である。
【0087】
点線410、411は使用者500の視点420からの視線を示す直線である。点線410は視点420と曲面部222上の終点421を通過する直線であり、点線411は視点420と曲面部222(又は仮想平面230)上の開始点422を通過する直線である。仮想平面230上の終点423は仮想平面230と点線410が交差する地点である。
【0088】
Lは仮想平面230上の開始点422と仮想平面230上の終点423間の距離を示す。仮想平面230上の開始点422と仮想平面230上の終点423間の平面を曲面部222の等価領域231と定義する。
【0089】
等価領域231の長さLは前記式(1)、(2)及び(3)から下記の式(4)のように導出される。
【0090】
一方、曲面部の長さAは下記の式(5)の通りである。
【0091】
したがって、平面部に対する曲面部の左右方向映像縮小比率A/Lは次の式(6)のようである。
【0092】
図5bは本発明の一実施形態によって曲面部220に表示される映像の縮小比率を説明するための断面図で、図5aと違うR及びθを有する曲面部を示す。
【0093】
図5bに示したように、曲面部222の中心点が使用者500の視点420及び曲面部222の終点421を通過する視線410上に位置する。よって、視線410は終点421で曲面部222と垂直に交差する。その他の条件は同一である。この実施形態によると、L=Rtanθであるので、平面部に対する曲面部の左右方向映像縮小比率A/Lは次の式(7)の通りである。
【0094】
一方、平面部に対する曲面部の映像縮小比率は同じ映像が平面部210に表示される場合の大きさに対する曲面部222に表示される場合の大きさの比率と定義される。例えば、平面部210に表示された任意の映像の大きさがL1であると仮定しよう。その映像が等価領域231に表示されると仮定するとその大きさもやはりL1である。しかし、その映像が曲面部222に表示される場合にはその大きさがL2に縮小する。したがって、映像縮小比率はL2/L1である。
【0095】
一方、曲面部222の各地点の平面部に対する曲面部の左右方向映像縮小比率はいずれもA/Lであって同一であることも、曲面部222上の位置によって違うこともある。例えば、曲面部222の開始点422での左右方向映像縮小比率は1、すなわち平面部と同一の比率で縮小し、その地点が開始点422から遠くなるほど、映像縮小比率が次第に急激に減少することができる。すなわち、曲面部222に表示される映像は平面部210から遠くなるほど次第に縮小することができる。一方、映像が次第に縮小するというのは平面部に対する曲面部の映像の比率又は映像縮小比率がさらに小さいことを意味する。映像縮小比率が曲面部222上の位置によって違っても、曲面部の全体映像縮小比率はA/Lであり得る。
【0096】
例えば、図5bに示した実施形態において、任意の地点(中心角θ)での映像縮小比率dA/dLは下記の式(8)の通りである。
【0097】
したがって、θ=0、すなわち平面部210と曲面部222の境界線422で映像縮小比率は1であり、θが大きくなるに従い、すなわち平面部210から遠くなるほど映像縮小比率は次第に急激に減少する。
【0098】
図6は本発明の一実施形態による表示パネル一部の正面図(a)及び側面図(b)である。図6に基づき、曲面部220に表示される映像の上下方向縮小比率を説明する。図5a及び図5bを参照して説明したように、平面部210の左右側に配置された曲面部220に表示される映像は左右方向に縮小することができる。また、本発明の一実施形態によると、図6に示したように、平面部210の左右側に配置された曲面部220に表示される映像は上下方向に縮小することができる。
【0099】
例えば、図5a及び図5bに示した実施形態において、任意の地点(中心角θ)での上下方向映像縮小比率W2/W1は次の式(9)のように求めることができる。
【0100】
W2は曲面部222の上下方向の長さ、W1は曲面部222に対応する等価領域231の上下方向の長さ、R(1-cosθ)は任意の地点(中心角θ)と等価領域231間の距離、Dは平面部210と視点420間の距離である。
【0101】
したがって、式(9)から上下方向映像縮小比率W2/W1は次の式(10)の通りである。
【0102】
したがって、θ=0、すなわち平面部210と曲面部222の境界線422で上下方向映像縮小比率は1であり、θが大きくなるに従い、すなわち平面部210から遠くなるほど上下方向映像縮小比率は次第に急激に減少する。
【0103】
図7は本発明の一実施形態による縮小しなかった映像(a)及び縮小した映像(b)を示す図である。
【0104】
一実施形態によると、通信部40又は記憶部50は制御部30又は映像処理部10(以下、説明の便宜上、制御部30という)に図7(a)のような映像のデータを提供する。制御部30は提供された図7(a)のような映像のデータを図7(b)のような縮小した映像のデータに変換することができる。ただ、これに限定されるものではなく、通信部40又は記憶部50は制御部30に図7(b)のように既に縮小した映像のデータを提供し、制御部30は図7(b)のような縮小した映像のデータを表示部20に提供することもできる。
【0105】
図7(a)に示したように、一般的に映像は平面表示パネルに表示されるように構成され、表示パネルの各部分、例えば表示パネルの中央部及び周辺部は映像を同じ比率で表示する。よって、図7(a)のような平面用映像を図4のような表示パネル200の曲面部220に表示すれば、映像が歪曲することがある。よって、一実施形態によるヘッドマウント表示装置は、曲面部220に図5a~図6を参照して説明したように左右方向及び/又は上下方向に縮小した映像を表示する。
【0106】
まず、図7(a)に示した平面用映像Imは同じ大きさの部分映像Im(i、j)を含む。全ての部分映像Im(iは1以上16以下の自然数、jは1以上8以下の自然数)は
表示パネルに同じ比率で表示されることができる。平面用映像Imは原本映像であり得る。もしくは、原本映像は本発明の一実施形態による平面部210及び等価領域231の大きさによって、制御部30によって全体的に、すなわち各部分映像Im(i、j)に対して同じ比率でスケーリングされた映像であり得る。
【0107】
制御部30は、平面用映像Imにおいて平面部210に表示される部分映像Im(i、j)と等価領域231の(曲面部220に表示される)部分映像Im(i、j)を決定することができる。制御部30は、等価領域231の部分映像Im(i、j)を左右方向及び/又は上下方向に部分的に縮小させる。
【0108】
図7に示したように、等価領域231の部分映像Im(i、j)は平面部から遠くなるほど左右方向及び上下方向に次第に縮小する。このように部分的に縮小した映像Im’に対するデータを表示部20のパネル駆動部に提供し、パネル駆動部は表示パネル200に図7(b)のような映像Im’が表示されるようにする。
【0109】
したがって、本発明の一実施形態による曲面部220に表示された図7(b)の映像Im’は、平面部210から伸びた仮想平面230又は等価領域231に図7(a)の映像Imが表示されるもののように視認される。したがって、本発明の一実施形態はより小さな表示パネルを使いながらも使用者にさらに広い視野角を提供することができ、さらに図7(a)の映像が一般的な平面表示パネルに表示されるもののように映像の歪曲を減らすことができる。
【0110】
図8は本発明の一実施形態によって曲面部に表示される映像の変換を説明する図である。
【0111】
前述したように、本発明の一実施形態による曲面部220に表示される曲面用映像Im’は、平面部210から伸びた等価領域231に平面用映像Imが表示されるものと同様に視認されることができる。
【0112】
視点420からの一直線が通過する曲面部220の一地点及び等価領域231の一地点は互いに対応し、互いに対応する二つの地点には同じ映像が表示されることができる。したがって、曲面部220の一地点には等価領域231の対応する地点の部分映像Im(i、j)に対応する部分映像Im’(i、j)が表示される。また、前述したように、曲面用部分映像Im’(i、j)は左右方向及び上下方向に縮小することができる。
【0113】
一方、図8は円柱の一部形状を有する曲面部を示したが、これに限定されない。任意の形状を有する曲面部に対しても図8を参照して説明したイメージ変換方法を適用することができる。
【0114】
一方、図4図8は平面部210の左右側に配置された曲面部220を例として説明したが、これに限定されない。図4図8を参照して説明した実施形態は平面部210の上下側に配置された曲面部にも同様に適用することができる。
【0115】
図9は本発明の一実施形態によるヘッドマウント装置の概略断面図で、光学系400による視線の屈折を示す。図6は右眼光学系402を中心に説明するが、左眼光学系401にも同様に適用することができる。
【0116】
図9に示したように、実際使用者の視点430からの視線412、413は光学系を経ながら屈折される。よって、図5a及び図5bを参照した説明で、曲面部222及び等価領域230を透視する視線410、411は実際使用者500の視点430と直線を成し
ていない。
【0117】
一方、光学系400の屈折率nは下記の式(11)の通りである。
【0118】
図9で、OLは平面部210と右眼光学系402間の距離、D’は実際使用者500の視点430と平面部210間の距離、Dは曲面部222を通る視線410、411の仮想視点420と平面部210間の距離である。
【0119】
したがって、光学系が含まれた場合、前述した視点420は実際使用者の視点430ではなく仮想の視点420を指し、前記式(1)~(7)に使用されたDは実際使用者の視点430までの距離D’ではなく仮想の視点420までの距離Dを意味する。
【0120】
仮想の視点420までの距離Dは実際使用者の視点430までの距離D’及び右眼光学系402の屈折率によって決定することができる。
【0121】
図10は本発明の一実施形態による表示パネルの概略斜視図で、両眼分離型表示パネル240を示す。図11図10の断面図である。先に説明した部分と共通の事項の詳細な説明は省略する。
【0122】
図10に示したように、本発明の一実施形態による表示パネル240は、左眼用表示パネル241及び右眼用表示パネル242を含む。
【0123】
図10及び図11に示したように、それぞれの表示パネル241、242は使用者500の眼を基準に左右側が曲がっている。より具体的に、左眼用表示パネル241は中央の平面部251Lと左右側の曲面部262L、261Lを有する。平面部251Lは実質的に平面である。すなわち、平面部251Lは0又はほぼ0の曲率を有する。曲面部260Lは平面部251Lから左右方向に伸びる。曲面部260Lは左右方向の所定の幅と上下方向の長さを有する。幅方向は0ではない所定の曲率を有する。長手方向は0の曲率を有し得る。
【0124】
一実施形態において、左眼用表示パネル241の断面図上で左側の曲面部262Lと右側の曲面部261Lは、左眼用表示パネル241の中心を上下方向に通るとともに表示パネル241に垂直な対称面(図示せず)を基準に対称であり得る。左眼用表示パネル241と右眼用表示パネル242は、その中間を上下方向に通るとともに表示パネル241に垂直な対称面263を基準に対称である。
【0125】
ケース部100は表示パネル240の曲がった状態を維持するように支持する。また、ケース部100は、両表示パネル241、242を分離し、左眼用表示パネル241の右側曲面部261Lと右眼用表示パネル242の左側曲面部262Rを支持する突出部103をさらに含むことができる。突出部103は左眼用表示パネル241が右眼に視認されるとか右眼用表示パネル242が左眼に視認されるとかすることがないように各眼の視野を遮断することができる。以下では左眼用表示パネル241を中心に説明するが、右眼用表示パネル242にも同様に適用することができる。
【0126】
図12は本発明の一実施形態による両眼分離型表示パネル240の断面図である。
【0127】
図5a及び図5bを参照して説明した平面部に対する曲面部映像縮小比率も本実施形態
に適用することができ、これについての詳細な説明は省略する。
【0128】
まず、左側曲面部262Lと右側曲面部261Lは同じ曲率半径Rを有する。ただ、これに限定されるものではなく、左側曲面部262Lと右側曲面部261Lは互いに異なる曲率半径を有することもできる。
【0129】
また、左側曲面部262Lと右側曲面部261Lはそれぞれ中心角θ3及びθ1を有する。中心角θ3及びθ1は互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、左眼511の左側視野角をより広く確保するために、中心角θ3が中心角θ1より大きくてもよい。
【0130】
一方、映像が表示される右側曲面部261Lの領域が変わってもよい。例えば、中心角θ1の曲面部261L全体に映像が表示されることができる。これとは違い、ある場合には右側曲面部261Lの一部、すなわち中心角θ1より小さな任意の中心角θまでの曲面部にだけ映像が表示されることができる。
【0131】
例えば、使用者500の入力によって、表示される映像の種類(例えば、2D又は3D映像)によって映像が表示される領域の中心角θを決定することができる。よって、曲面部に表示される映像に対応する等価領域の長さL2が可変することができる。一方、右側曲面部261Lを中心に説明したが、これに限定されるものではなく、左側曲面部262Lはもちろんのこと、先に説明した全ての曲面部において映像が表示される領域が可変することができる。
【0132】
例えば、対称線263と中心角θ2までの曲面部の終点を通る視線が仮想平面230で会うように中心角θ2を決定することができる。よって、左眼用表示パネル241の右側曲面部261Lの等価領域L2及び右眼用表示パネル242の左側曲面部262Rの等価領域(L2と対称な領域)は互いに接することができる。
【0133】
一方、中心角θ2より大きな中心角θ1まで映像が表示されることができる。よって、左眼用表示パネル241の右側曲面部261Lの等価領域L1及び右眼用表示パネル242の左側曲面部262Rの等価領域(L1と対称な領域)は互いに重なることができる。よって、本実施形態による両眼分離型表示パネルは前述した両眼統合型表示パネル200が提供することができない視野角を提供することができる。
【0134】
図13aは本発明の一実施形態による表示パネルの斜視図、図13b及び図13cはそれぞれ図13aの左右方向及び上下方向への断面図である。
【0135】
図13a~図13cに示した表示パネル270は左眼用及び右眼用表示領域の両者を含む。
【0136】
また、表示パネル270はドーム(dome)状を有する。より具体的に、表示パネル270は、平面部271及び平面部271の左右側及び上下側の曲面部272~275を有する。左右側曲面部272、273の曲率半径及びその中心角は上下側曲面部274、275の曲率半径及びその中心角と同一でも異なっていてもよい。曲面部の具体的形態及び平面部に対する曲面部映像縮小比率は先に既に説明したので、その詳細な内容は省略する。
【0137】
左右側曲面部272、273には左右方向に縮小した映像が表示され、上下側曲面部274、275には上下方向に縮小した映像が表示されることができる。ただし、これに限定されるものではなく、左右側曲面部272、273には上下方向にも縮小した映像が表示され、上下側曲面部274、275には左右方向にも縮小した映像が表示されることが
できる。
【0138】
一方、図10aで表示パネル270は縁端に曲面部272~275が連結されたものとして示されているが、これに限定されなく、表示パネル270の縁端に曲面部272~275が互いに連結されずに開口していてもよい。
【0139】
また、一実施形態において、平面部271は四角形の形状を有する。ただ、これに限定されるものではなく、平面部271は楕円形、円形、六角形などの多角形のような多様な形状を有することができる。
【0140】
図14は本発明の一実施形態による表示パネルの斜視図である。図13a~図13cで説明した事項と重複する内容は省略する。
【0141】
図14に示した表示パネル280は左眼用表示パネル281と右眼用表示パネル282を含み、それぞれの表示パネル281、282は互いに分離されていてもよい。
【0142】
また、それぞれの表示パネル281、282はドーム状を有する。すなわち、それぞれの表示パネル281、282は平面部及び平面部の左右側及び上下側の曲面部を有する。それぞれの表示パネル281、282は左右方向への長さを除き、図10a~図10bに示した表示パネル270と同一であってもよい。また、表示パネル281、282のそれぞれの左右側曲面部は図7及び図8を参照して説明した曲面部と同一又は類似の構造を有する。
【0143】
また、一実施形態において平面部271は四角形の形状を有する。ただ、これに限定されるものではなく、平面部271は楕円形、円形、六角形などの多角形のような多様な形状を有することができる。
【0144】
図15a及び図15bは本発明の一実施形態による表示パネルの展開図である。図15a及び図15bに示した表示パネル270は左眼用及び右眼用表示領域の両者を含む。
【0145】
表示パネル270は図15aに示した平面の表示パネルを曲げことによって形成することができる。すなわち、平面部271から上下方向及び左右方向に伸びた領域を所定の曲率を有するように曲げることによって曲面部272~275を形成する。曲面部272~275が別に曲げられるように、各曲面部間のコーナー部276は四角形に切断されている(notch cut)。したがって、図15aの展開図を有する表示パネル270はそのコーナー部が開口している。
【0146】
一方、図15bに示した展開図のそれぞれのコーナー部276は曲線形に切断されている。よって、曲げられた表示パネル270はそのコーナー部が開口しなく、表示パネル270のそれぞれの曲面部272~275が互いに連結されることができる。ただ、表示パネルの形状がこれに限定されず、多様な方式によって多様な形態のドーム状の表示パネルを含む。
【0147】
一方、左眼511及び右眼512の視野領域277、278は使用者がヘッドマウント表示装置を着用した状態で使用者に視認される領域を意味する。各視野領域277、278は楕円形又は円形であり得る。本発明の一実施形態によると、視野領域277、278は平面部271及び曲面部272~275の一部と重畳し、コーナー部276には重畳しない。すなわち、使用者に曲面部272~275間のコーナー部は見えない。また、各視野領域277、278は互いに重畳しない。
【0148】
図16は本発明の一実施形態による表示パネル280の展開図である。図16に示した表示パネル280は左眼用表示パネル281と右眼用表示パネル282を含み、それぞれの表示パネル281、282は互いに分離されていてもよい。
【0149】
それぞれの表示パネル281、282は、左右方向への長さを除き、図15aに示した表示パネル270と同一であり得る。また、表示パネル281、282のそれぞれの左右側曲面部は図10及び図11を参照して説明した曲面部と同一又は類似の構造を有する。
【0150】
図15aで説明したように、各曲面部間のコーナー部が四角形に切断されて、図16の展開図を有する表示パネル270はそのコーナー部が開口している。また、開口したコーナー部は左眼511及び右眼512の視野領域283に含まれていなくてもよい。
【0151】
図示されていないが、それぞれの表示パネル281、282の各曲面部間のコーナー部は図15bのように切断され、曲面部が互いに連結されることができる。
【0152】
一方、図16に示したように、それぞれの表示パネル281、282は、映像が表示される表示領域286と映像が表示されない周辺の非表示領域285を含むことができる。非表示領域285には表示パネル281、282を駆動するための各種の配線が配置されることができる。図示されていないが、非表示領域285は前述した全ての表示パネル200に含まれることができる。
【0153】
図17は本発明の一実施形態による表示パネルの一部を拡大した部分拡大図、図18図4のIV-IV’線に沿って切断した断面図である。
【0154】
図17及び図18を参照すると、本発明の一実施形態による表示パネル200は、表示領域DAに配置されたスイッチング薄膜トランジスタ、駆動薄膜トランジスタ、蓄電素子及び有機発光素子810を含む複数の画素を有する。有機発光素子810は相対的に低い温度で蒸着可能であり、低電力、高輝度などの理由でフレキシブル表示装置に主に適用されることができる。ここで、画素は画像を表示する最小単位を言い、表示パネルは複数の画素を介して画像を表示する。
【0155】
また、単一画素に二つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)と一つの蓄電素子(capacitor)が配置されたものが添付図面に示されているが、これに限定されるものではなく、一つの画素は三つ以上の薄膜トランジスタと二つ以上の蓄電素子を備えることもでき、別途の配線をさらに含んで多様な構造を有することができる。
【0156】
表示パネル200は、基板710、基板710上に配置されたゲートライン751、ゲートライン751と絶縁状態で交差するデータライン771及び共通電源ライン772を含むことができる。一般に、一つの画素はゲートライン751、データライン771及び共通電源ライン772を境界として定義されることができるが、画素が前述した定義に限定されるものではない。画素はブラックマトリックス(図示せず)又は画素定義膜790によって定義されることができる。
【0157】
基板710は柔軟性材料からなることができる。このような柔軟性材料としてはプラスチック物質がある。例えば、基板710は、カプトン(kapton)、ポリエーテルスルホン(polyethersulphone、PES)、ポリカーボネート(polycarbonate:PC)、ポリイミド(polyimide:PI)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)
、ポリアクリレート(polyacrylate、PAR)及び纎維強化プラスチック(fiber reinforced plastic:FRP)などからなる群から選択されるいずれか1種からなることができる。
【0158】
また、基板710は5μm~200μmの厚さを有する。基板710が5μm未満の厚さを有すれば、基板710が有機発光素子810を安定的に支持しにくい。一方、基板710が200μm以上の厚さを有する場合、基板710のフレキシブルな特性が低下することがある。
【0159】
基板710上にバッファー層720が配置される。バッファー層720は不純元素の浸透を防止するとともに表面を平坦化する役割をするものであり、このような役割を果たすことができる多様な物質から形成されることができる。例えば、バッファー層720は窒化珪素(SiN)膜、酸化珪素(SiO)膜、酸窒化珪素(SiO)膜のいずれか1種からなることができる。しかし、バッファー層720は必ずしも必要なものではなく、基板710の種類及び工程条件によって省略することもできる。
【0160】
バッファー層720上にスイッチング半導体層731及び駆動半導体層732が配置される。スイッチング半導体層731及び駆動半導体層732は多結晶珪素膜、非晶質珪素膜、及びIGZO(Indium-Galuim-Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)のような酸化物半導体のいずれか1種から形成されることができる。例えば、駆動半導体層732が多結晶珪素膜からなる場合、駆動半導体層732は、不純物がドープされていないチャネル領域と、チャネル領域の両側にp+でドープされて形成されたソース領域及びドレイン領域とを含む。ここで、ドープされるイオン物質はホウ素(B)のようなP型不純物であり、主にB2H6が使われる。このような不純物は薄膜トランジスタの種類によって違う。本発明の一実施形態では駆動薄膜トランジスタとしてP型不純物を使ったPMOS構造の薄膜トランジスタを使ったが、駆動薄膜トランジスタがこれに限定されるものではない。したがって、駆動薄膜トランジスタとしてNMOS構造又はCMOS構造の薄膜トランジスタのいずれも使うことができる。
【0161】
スイッチング半導体層731及び駆動半導体層732上にゲート絶縁膜740が配置される。ゲート絶縁膜740はテトラエトキシシラン(Tetra Ethyl Ortho Silicate、TEOS)、窒化珪素(SiN)及び酸化珪素(SiO)の少なくとも1種を含むことができる。一例として、ゲート絶縁膜740は40nmの厚さを有する窒化珪素膜と80nmの厚さを有するテトラエトキシシラン膜が順次積層された二重膜構造を有することができる。
【0162】
ゲート絶縁膜740上にゲート電極752、755を含むゲート配線が配置される。ゲート配線は、ゲートライン751、第1蓄電板758及びその他の配線をさらに含む。そして、ゲート電極752、755は半導体層731、732の少なくとも一部、特にチャネル領域と重畳するように配置される。ゲート電極752、755は、半導体層731、732の形成過程で半導体層731、732のソース領域とドレイン領域に不純物がドープされるときにチャネル領域に不純物がドープされることを遮断する役割をする。
【0163】
ゲート電極752、755と第1蓄電板758は同じ層に配置され、実質的に同じ金属からなる。ゲート電極752、755と第1蓄電板758は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)の少なくとも1種を含むことができる。
【0164】
ゲート絶縁膜740上にはゲート電極752、755を覆う層間絶縁膜760が配置される。層間絶縁膜760は、ゲート絶縁膜740と同様に、窒化珪素(SiN)、酸化
珪素(SiO)又はテトラエトキシシラン(TEOS)などから形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0165】
層間絶縁膜760上にはソース電極773、776及びドレイン電極774、777を含むデータ配線が配置される。データ配線は、データライン771、共通電源ライン772、第2蓄電板778及びその他の配線をさらに含む。そして、ソース電極773、776及びドレイン電極774、777はゲート絶縁膜740及び層間絶縁膜760に形成されたコンタクトホールを介して半導体層731、732のソース領域及びドレイン領域とそれぞれ連結される。
【0166】
このように、スイッチング薄膜トランジスタは、スイッチング半導体層731、スイッチングゲート電極752、スイッチングソース電極773及びスイッチングドレイン電極774を含み、駆動薄膜トランジスタは、駆動半導体層732、駆動ゲート電極755、駆動ソース電極776及び駆動ドレイン電極777を含む。薄膜トランジスタの構成は前述した例に限定されず、当該技術分野の専門家が容易に実施することができる公知の構成に多様に変形可能である。
【0167】
また、蓄電素子は層間絶縁膜760を挟んで配置された第1蓄電板758と第2蓄電板778を含む。
【0168】
スイッチング薄膜トランジスタは発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として使われる。スイッチングゲート電極752はゲートライン751に連結される。スイッチングソース電極773はデータライン771に連結される。スイッチングドレイン電極774はスイッチングソース電極773から離隔して配置され、第1蓄電板758と連結される。
【0169】
駆動薄膜トランジスタは選択された画素内の有機発光素子810の発光層812を発光させるための駆動電源を画素電極811に印加する。駆動ゲート電極755は第1蓄電板758と連結される。駆動ソース電極776及び第2蓄電板778はそれぞれ共通電源ライン772と連結される。駆動ドレイン電極777はコンタクトホールを介して有機発光素子810の画素電極811と連結される。
【0170】
このような構造により、スイッチング薄膜トランジスタはゲートライン751に印加されるゲート電圧によって作動し、データライン771に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタに伝達する役割をする。共通電源ライン772から駆動薄膜トランジスタに印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタから伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子に保存され、蓄電素子に保存された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスタを介して有機発光素子810に流れることによって有機発光素子810が発光するようになる。
【0171】
層間絶縁膜760上に配置されたデータライン771、共通電源ライン772、ソース電極773、776及びドレイン電極774、777、第2蓄電板778などのように同一層にパターンされたデータ配線を覆う平坦化膜765が配置される。
【0172】
平坦化膜765は、その上に形成される有機発光素子810の発光効率を高めるために、段差を無くして平坦化させる役割をする。平坦化膜765は、ポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、
ポリフェニレン系樹脂(polyphenylenethers resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(polyphenylenesulfides resin)、及びベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)の1種以上の物質からなることができる。
【0173】
平坦化膜765上に有機発光素子810の画素電極811が配置される。画素電極811は平坦化膜765に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極777と連結される。
【0174】
平坦化膜765上に画素電極811の少なくとも一部を露出させて画素領域を定義する画素定義膜790が配置される。画素電極811は画素定義膜790の画素領域に対応するように配置される。画素定義膜790はポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides resin)などの樹脂からなることができる。
【0175】
画素領域内の画素電極811上に発光層812が配置され、画素定義膜790及び発光層812上に共通電極813が配置される。発光層812は低分子有機物又は高分子有機物からなる。画素電極811と発光層812の間に正孔注入層(Hole Injection Layer、HIL)及び正孔輸送層(Hole Transporting Layer、HTL)の少なくとも一つがさらに配置されることができ、発光層812と共通電極813の間に電子輸送層(Electron Transporting Layer、ETL)及び電子注入層(Electron Injection Layer、EIL)の少なくとも一つがさらに配置されることができる。
【0176】
画素電極811及び共通電極813は透過型電極、半透過型電極及び反射型電極のいずれか一つから形成されることができる。
【0177】
透過型電極の形成のために、透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conductive Oxide)を使うことができる。透明な導電性酸化物(TCO)としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)又はIn(Indium Oxide)などがある。
【0178】
半透過型電極及び反射型電極の形成のために、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、金(Au)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)のような金属又はこれらの合金を使うことができる。ここで、半透過型電極と反射型電極は厚さによって決定される。一般に、半透過型電極は約200nm以下の厚さを有し、反射型電極は300nm以上の厚さを有する。半透過型電極は厚さが薄くなるほど光の透過率が高くなるが抵抗が高くなり、厚さが厚くなるほど光の透過率が低下する。
【0179】
また、半透過型及び反射型電極は金属又は金属の合金からなった金属層と金属層上に積層された透明導電性酸化物(TCO)層を含む多層構造に形成されることができる。
【0180】
共通電極813上に封止層850が配置される。封止層850は、一つ以上の無機膜851、853及び一つ以上の有機膜852を含む。また、封止層850は無機膜851、853と有機膜852が交互に積層された構造を有する。ここで、無機膜851が最下部に配置される。すなわち、無機膜851が有機発光素子810に一番近く配置される。
【0181】
封止層850は二つの無機膜851、853と一つの有機膜852を含んでいるが、本
発明の一実施形態がこれに限定されるものではない。
【0182】
無機膜851、または無機膜853は、Al、TiO、ZrO、SiO、AlON、AlN、SiON、Si、ZnO、及びTaの1種以上の無機物を含んでなる。無機膜851、853は化学気相蒸着法(chemical vapor deposition、CVD)又は原子層蒸着法(atomic layer depostion、ALD)によって形成される。しかし、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではなく、無機膜851、853は当該技術分野の当業者に公知となった多様な方法によって形成されることができる。
【0183】
有機膜852は高分子(polymer)系の素材からなる。ここで、高分子系の素材は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド、及びポリエチレンなどを含む。また、有機膜852は熱蒸着工程によって形成される。そして、有機膜852を形成するための熱蒸着工程は有機発光素子810を損傷させない温度範囲内で進行される。しかし、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではなく、有機膜852は当該技術分野の当業者に公知となった多様な方法で形成されることができる。
【0184】
薄膜の密度が緻密に形成された無機膜851、853が主に水分又は酸素の浸透を抑制する。大部分の水分及び酸素は無機膜851、853によって有機発光素子810への浸透が遮断される。
【0185】
封止層850は10μm以下の厚さで形成されることができる。よって、表示パネルの総厚さが非常に薄く形成されることができる。このように封止層850が適用されることにより、表示パネルのフレキシブルな特性が極大化することができる。
【0186】
基板710の下部には保護フィルム400が配置される。保護フィルム400は粘着剤(図示せず)を介して基板710の下部に付着されることができる。保護フィルム400は表示パネルの強度を向上させ、表示パネルの損傷を防止する役割をすることができる。
【0187】
保護フィルム400はフレキシブルなプラスチック物質からなることができる。また、保護フィルム400はヤング率(Young’s modulus)によって多様な厚さを有することができる。本発明の一実施形態による保護フィルム400は基板710と実質的に同じ形態を有することができる。
【0188】
図19は本発明の実施形態による両眼分離型表示パネルの展開図である。
【0189】
図19(a)に示したように、表示パネル200は、平面部210及び平面部210の両側、例えば左右側又は上下側に配置された曲面部220を含む。図19(b)に示したように、一実施形態において、表示パネルは、平面部210及び平面部210の左右側及び上下側に配置された曲面部220を含むことができる。平面部210及び曲面部220はマトリックス状の複数の画素PXを含む。
【0190】
図19に示したように、本発明の一実施形態による表示パネル200は、曲面部220の解像度が平面部210の解像度より高い。ここで、解像度は単位面積又は単位長さ当たり画素PXの数を意味し得る。よって、曲面部220にはピクセルがより密集している。
【0191】
本発明の一実施形態によると、曲面部220の左右方向への解像度(左右方向への単位長さ当たり画素PXの数)が平面部210の解像度より高い。また、本発明の一実施形態によると、曲面部220の上下方向への解像度(上下方向の単位長さ当たり画素PXの数)が平面部210の解像度より高い。
【0192】
平面部210の解像度(R1)に対する曲面部220の解像度(R2)の比率R2/R1は図4図8を参照して説明した映像縮小比率の逆数に相当する。すなわち、解像度が高いほど表示される映像が次第に縮小する。よって、解像度の比率R2/R1についての具体的説明は省略する。
【0193】
一方、図17及び図18を参照して説明したように、表示パネル200は、例えば左右方向に伸びるゲートライン751と、上下方向に伸びるデータライン771とを含むことができる。一つの画素はいずれか一つのゲートライン751及びいずれか一つのデータライン771によって連結され、これらのライン751、771によって定義されることができる。
【0194】
一実施形態において、図19(a)に示した表示パネル200の左右曲面部220において上下方向に平行に伸びたデータライン771間の間隔は平面部210から遠くなるほど減少する。よって、曲面部220に表示される映像は平面部210から遠くなるほど左右方向に次第に縮小する。
【0195】
一実施形態において、図19(a)に示した表示パネル200の左右曲面部220において左右方向に伸びたゲートライン751間の間隔は平面部210から遠くなるほど減少する。よって、平面部210の中央(視点420に一番近い地点)を通るゲートライン751は曲面部220においても直線状に伸びるが、平面部210の上下側を通るゲートライン751は曲面部220において平面部210から遠くなるほど中央を通るゲートライン751側に曲がることができる。よって、曲面部220に表示される映像は平面部210から遠くなるほど上下方向に次第に縮小する。
【0196】
一方、図19(b)に示した上下側の曲面部220に配置されたゲートライン751とデータライン771はそれぞれ左右側曲面部220に配置されたデータライン771とゲートライン751と同様に配置される。
【0197】
すなわち、上下曲面部220において左右方向に平行に伸びたゲートライン751間の間隔が平面部210から遠くなるほど減少する。また、上下側曲面部220において上下方向に伸びたデータライン771間の間隔は平面部210から遠くなるほど減少する。よって、平面部210の中央(視点420に一番近い地点)を通るデータライン771は曲面部220においても直線状に伸びるが、平面部210の左右側を通るデータライン771は曲面部220において平面部210から遠くなるほど中央を通るデータライン771側に曲がることができる。
【0198】
また、前述したように、ゲートライン751間の間隔及びデータライン771間の間隔が減少するほど、画素PXの面積も減少することができる。すなわち、曲面部220に配置された画素PXはその位置が平面部210から遠くなるほど面積が減少することができる。
【0199】
したがって、本実施形態によると、制御部30による映像変換(部分的縮小)なしに曲面部220に縮小した映像を表示することができる。
【0200】
一方、図19に示した実施形態は両眼分離型表示パネルを例として挙げているが、前述した実施形態は両眼統合型表示パネルの左眼用表示領域及び右眼用表示領域にも適用することができる。
【0201】
以上、添付図面に基づいて本発明の一実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野
で通常の知識を有する者であれば本発明の技術的思想又は必須の特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施することができるというのが理解可能であろう。したがって、以上で記述した一実施形態は全ての面で例示的なもので、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0202】
100 ケース部
200 表示パネル
210 平面部
220 曲面部
230 仮想平面
231 等価領域
240 両眼分離型表示パネル
270、280 ドーム型表示パネル
300 クッション部
350 ストラップ部
400 光学系
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図15a
図15b
図16
図17
図18
図19