(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】アトラクションゲーム実行装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/86 20140101AFI20240909BHJP
A63F 13/847 20140101ALI20240909BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240909BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240909BHJP
【FI】
A63F13/86
A63F13/847
A63F13/79
A63F13/69
(21)【出願番号】P 2023062858
(22)【出願日】2023-04-07
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391027310
【氏名又は名称】株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】松崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】松平 恒幸
(72)【発明者】
【氏名】焼田 真里子
(72)【発明者】
【氏名】長堀 真砂也
(72)【発明者】
【氏名】米澤 潤
(72)【発明者】
【氏名】首藤 響
(72)【発明者】
【氏名】辻郷 孔凡
【審査官】三村 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030511(JP,A)
【文献】特開2018-171283(JP,A)
【文献】特開2017-176635(JP,A)
【文献】特開2021-053179(JP,A)
【文献】特開2023-084399(JP,A)
【文献】特開2023-036650(JP,A)
【文献】特開2022-011069(JP,A)
【文献】特開2023-078314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0188780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A04N 7/10、7/14-7/173、7/20-7/56、21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム演出が提供された
仮想現実、拡張現実又は複合現実ではない現実空間内で1以上のプレーヤがプレイするゲームに、ネットワーク通信回線を介してゲーム応援者が参加するゲーム実行装置であって、
前記プレイ中に使用され且つ前記ゲームの攻略を有利に導くためのゲーム攻略アイテムを登録する登録手段であって、前記プレーヤからのゲーム攻略アイテム及び前記ゲーム応援者に要求して集めたゲーム攻略アイテムのそれぞれを登録する前記登録手段と、
前記ゲームをプレイ中の前記プレーヤから、登録された前記ゲーム攻略アイテムの中から使用したいゲーム攻略アイテムの要求を受付けるアイテム受付手段と、
受付けた前記ゲーム攻略アイテムに基づき、前記ゲームのプレイ開始前に前記ゲームの難易度を変化させる調整パラメータを制御する攻略度調整手段と、
を備えたゲーム実行装置。
【請求項2】
前記ゲーム攻略アイテムは、ゲーム攻略を有利にすすめる特性が割当てられたデジタルカードである、請求項1に記載のゲーム実行装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記ゲーム応援者からのゲーム攻略アイテムが所定数に達しなければ前記プレイ中に使用できるように登録されない、請求項1に記載のゲーム実行装置。
【請求項4】
前記攻略度調整手段は、前記ゲーム攻略アイテムの数及び特性に応じて前記調整パラメータを調整して前記ゲームの難易度を変化させる、請求項1に記載のゲーム実行装置。
【請求項5】
前記ゲーム攻略アイテムの特性は、前記ゲームをクリアするために課せられた制限時間並びに要求される知力、パワー、スピード、及びスキルの少なくとも何れかを含む、請求項3に記載のゲーム実行装置。
【請求項6】
前記ゲーム攻略アイテムは、前記プレーヤ又は前記ゲーム応援者により購入されることによって前記ゲームで使用可能である、請求項5に記載のゲーム実行装置。
【請求項7】
前記ゲーム応援者のゲーム攻略アイテムの使用状況に応じた所定の報酬が、前記ゲーム応援者に付与するリターン付与手段とを更に含む、請求項1又は2に記載のゲーム実行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体験型アトラクション施設で行われるゲームを制御するゲーム実行装置、方法、およびプログラムに関し、特に、アトラクション施設でゲームを実行するプレーヤと、当該ゲームにオンラインで介入する参加者とが協力しながらゲーム攻略を目指すアトラクションゲームを行うためのゲーム実行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「eスポーツ(Electronic Sports)」と称される、電子機器を使ってゲームなどの娯楽やスポーツなどの競技が国内のみならず世界的に急拡大しており、現時点ですでに数千億円の市場規模まで成長している。eスポーツには、ゲームのプレーヤが、プレーヤ以外の参加者からのサポートを受けながらゲームを進行するタイプのものがある。例えば、下記の特許文献1や特許文献2は、ゲームプレーヤが直接的にオンラインゲームを実行すると共に、プレーヤ以外の者が参加してオンラインゲームを間接的に関与する態様で記載されている。これは、仮想的なデジタル空間のオンラインゲームをゲームプレーヤ及びゲーム応援者が共にネットワーク回線経由でプレイしているものである。
【0003】
また、ゲームプレーヤがプレイするのが現実のアトラクション施設でプレイするゲームにネットワーク回線を介して遠隔リモートで参加するタイプのゲームがある。つまり、デジタルの仮想空間ではないリアル空間で動き回るプレーヤが実行するゲームに、ネットワーク回線経由でゲーム応援者が参加する態様である。ゲーム応援者は現実のアトラクション施設におらずネットワークのみで参加することから、以下では「オンラインプレーヤ」と称することとする。オンラインプレーヤと区別するため、以下ではリアル空間で動き回るプレーヤを「オフラインプレーヤ」と称することもある。このオフラインプレーヤとオンラインプレーヤの協働でゲームをプレイする例としては、例えば、下記の特許文献3や特許文献4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-023593公報
【文献】特開2022-010175公報
【文献】特開2021-074354公報
【文献】特許6722316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は体験型アトラクション施設で行われるゲームを制御し実行するゲーム実行装置であるため、特許文献1、2に記載の発明とは異なる。一方、特許文献3、4に記載の発明は、実存するアトラクション施設内で動きまわるオフラインプレーヤが存在するという点において本発明に類似するが、オフラインプレーヤはHMDを装着し、HMDに描画される動画のゲームを実行するものである。オフラインプレーヤがプレイ対象にしているのはアトラクション施設において現実にセッティングされたゲームのミッション(課題)を自分の手足を使って解決するものとは異なり、結局のところ、仮想的なデジタル空間のオンラインゲームをプレイしていることに大差ない。つまり、実存するアトラクション施設内のプレーヤがいるものの、実質的には特許文献1、2のようなオンラインゲームに相当するものといえる。
【0006】
本発明は、実存するアトラクション施設内で実施されるゲームをプレイするオフラインプレーヤのゲームにネットワーク回線を介してオンラインプレーヤが参加し、オフラインプレーヤ及びオンラインプレーヤからのゲーム攻略アイテムを必要に応じて使用しながらゲーム攻略が達成される体験型ゲームを実施するアトラクションゲーム実行装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るゲーム実行装置は、ゲーム演出が提供された現実空間内で1以上のプレーヤがプレイするゲームに、ネットワーク通信回線を介してゲーム応援者が参加するゲーム実行装置であって、前記プレイ中に使用され且つ前記ゲームの攻略を有利に導くためのゲーム攻略アイテムを登録する登録手段であって、前記プレーヤからのゲーム攻略アイテム及び前記ゲーム応援者に要求して集めたゲーム攻略アイテムのそれぞれを登録する前記登録手段と、前記ゲームをプレイ中の前記プレーヤから、登録された前記ゲーム攻略アイテムの中から使用したいゲーム攻略アイテムの要求を受付けるアイテム受付手段と、受付けた前記ゲーム攻略アイテムに基づき、前記ゲームのプレイ開始前に前記ゲームの難易度を変化させる調整パラメータを制御する攻略度調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記ゲーム攻略アイテムは、ゲーム攻略を有利にすすめる特性が割当てられたデジタルカードであり、前記登録手段は、前記ゲーム応援者からのゲーム攻略アイテムが所定数に達しなければ前記プレイ中に使用できるように登録されないことを特徴とする。
【0009】
また、前記攻略度調整手段は、前記ゲーム攻略アイテムの数及び特性に応じて前記調整パラメータを調整して前記ゲームの難易度を変化させ、前記ゲーム攻略アイテムの特性は、前記ゲームをクリアするために課せられた制限時間並びに要求される知力、パワー、スピード、及びスキルの少なくとも何れかを含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記ゲーム攻略アイテムの特性は、前記ゲームをクリアするために課せられた制限時間並びに要求される知力、パワー、スピード、及びスキルの少なくとも何れかを含み、前記ゲーム攻略アイテムは、前記プレーヤ又は前記ゲーム応援者により購入されることによって前記ゲームで使用可能であることを特徴とする。
さらに、前記ゲーム応援者のゲーム攻略アイテムの使用状況に応じた所定の報酬が、前記ゲーム応援者に付与するリターン付与手段とを更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るゲーム実行装置は、アトラクション施設というリアル空間にセッティングされたゲームを体験するプレーヤ(オフラインプレーヤ)と、ネットワーク回線を介してゲームを応援する参加者(オンラインプレーヤ)とが連携しながら協働でゲームを攻略できる仕組みを提供する。このため、アトラクション施設という閉鎖空間内のゲームでありながら、実際にプレイするプレーヤを超える大勢の者で同じゲームを攻略するという一体感を提供することができる。
【0012】
ネットワーク回線を介してゲームを応援する参加者は、ゲームの攻略を有利に導くための特性が割当てられたゲーム攻略アイテムの提供によってオフラインプレーヤを支援する。ゲーム攻略アイテムは複数種類あり、アトラクション施設のオフラインプレーヤが保有しりゲーム攻略アイテムのみならず、ゲームを応援する参加者であるオンラインプレーヤからのゲーム攻略アイテムにも基づきながら、ゲームの難易度を調整するパラメータが制御されたり、プレイ中の所望のタイミングでオンラインプレーヤのゲーム攻略アイテムを使用することができる。
そのため、ゲーム攻略アイテムの登録状況によってはプレーヤによるゲーム攻略が易しくなったり難しくなったりするという可変性を生じさせる。その結果、同じゲームを繰り返しても飽きのこない体験を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】アトラクション施設全体の一例を示す外観図である
【
図2】本実施形態のゲーム実行装置により提供されるアトラクションゲームに関与する関係者を説明するための図である。
【
図4】ゲーム実行装置により実行されるゲームの手順を示したフローチャートである。
【
図6】デジタルカードがもたらすスキル効果の一例を示した
図6である。
【
図7】オンラインプレーヤがゲーム攻略アイテムを購入する際に表示される画面例を示した図である。
【
図9】ゲーム実行装置とオンラインプレーヤがネットワークを介して接続されることを示した図である。
【
図10】ゲーム実行装置のサーバ構成を示す図である。
【
図11】ハンドへルドデバイスの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるゲーム実行装置100について説明する。下記に示す本実施形態に記載される事項は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態に記載されない事項は意識的に除外したものでもない。なお、ゲーム実行「装置」として示すが、「システム」又は「サーバ」に置き換えることができる。
【0015】
図1は、アトラクション施設全体を示した外観図である。アトラクション施設は複数の部屋(区画)に分けられており、各部屋ごとに異なる内容のゲームミッションが提供され、プレーヤは1つの部屋におけるミッションに基づくクエストをクリアすると次の部屋に誘導され、複数の部屋にわたるクエストを順次攻略していくものである。なお、クエストとは、プレーヤがゲームストーリー上で冒険を進める中、達成していくべき課題や目標のことを指すが、本願明細書においてミッションの意味と大差ないと解されたい。
【0016】
図2は、本実施形態のゲーム実行装置100により提供されるアトラクションゲームに関与するプレーヤを含む関係者を説明するための図である。リアルタイムで画像配信できる高速通信の確保の課題、及び配信によるプレーヤの肖像権又は著作権などの権利の帰属の課題があるため本実施形態では採用していないが、他の実施形態においてこれら課題が解決できていれば、オフラインプレーヤ1がアトラクション施設内のゲーム部屋というリアル空間でゲームプレイをしている状況は、ゲーム部屋内の動画としてゲーム実行装置の管理者が配信したり実況がされるようにしてもよい。つまり、オフラインプレーヤ1のリアルタイムの体験情報8がオンライン空間を形成して、これをオンラインプレーヤ2は視聴可能な端末画面で視聴することができる。オンラインプレーヤ2は、単に視聴するだけでなく、オンライン空間に介入することができる。介入とは、具体的には、ゲームミッションをクリアする上で直接的に働きかけるアイテムの提供であるが、その他にも、声援であったり、アドバイスを含むように「してもよい。そして、オンラインプレーヤ2によるオンライン空間への介入は、プレイ中のオフラインプレーヤ1の行動に反映できるようになっている。
なお、オンライン空間に介入することなくオンライン空間内のプレイ動画を視聴するだけの応援者5、及びアトラクション施設内の応援者4を含むこともある。
【0017】
各ゲーム部屋には、ゲームミッションに対応するゲーム装置、1以上のカメラ及びマイクが備えられている。ゲーム装置とは、部屋内に設けられた特定の仕掛け装置や、プレーヤのタッチ操作に感応するディスプレイ画面などを意味する。プレーヤはゲーム装置に実際に触れて操作するので、フィジカルなゲーム体験をすることになる。
また、ゲーム装置、カメラ、マイク、オンラインプレーヤ2及び応援者4,5が視聴する端末の各々を通信可能に接続して様々な情報の送受信を行うサーバ30が存在する。
【0018】
サーバ30は、ゲーム実行装置の制御を司っており、オフラインプレーヤ1の登録、各ゲーム部屋で実施されるゲームの進行、オンラインプレーヤによる参加の管理などを行う。サーバ30が備える主な機能を
図3に示す。本実施形態のサーバ30は、少なくとも、アカウント登録部31、ゲーム装置制御部32、ゲーム攻略アイテム登録部33、クエスト攻略判定部34、オンラインプレーヤ受付部35、ゲーム攻略アイテム効果制御部36、ゲームパラメータ制御部37、ポイント付与部38、ランキング生成部39を含む。
【0019】
<ゲーム内容について>
本実施形態におけるゲーム実行装置100によって提供されるゲームの一例として、監禁されている部屋に存在する謎を解きつつ当該部屋から脱出するという脱出ゲームが挙げられる。脱出ゲームは、例えば、部屋の種々の仕掛けを操作しながら仕掛けの謎解き等をすることで脱出に要するクエストをクリアするものである。クエストの一例として、必要な複数のアイテムを制限時間内に入手することや、モンスター退治や、各種パネルに表示されるイベントに応答するアクションなどがある。これらクエストは、部屋内に設けられたゲーム装置に対してプレーヤが実際に操作することで達成される。なお、提供されるゲームは脱出ゲームに限定されるものではなく、例えば、家庭用テレビゲームや、ゲームセンター等における業務用ゲームなどにも適用可能である。
【0020】
<ゲーム手順について>
図4は、本実施形態のゲーム実行装置100により実行されるゲームの手順を示したフローチャートである。
サーバ30のアカウント登録部31は、アトラクション施設を来訪したオフラインプレーヤ1が受付で申し出たプレーヤ数やプレーヤ識別子(例えば、名前やニックネームなど)を含むアカウント登録を行う(ステップS401)。アカウント登録の際、オフラインプレーヤ1のグループにハンドへルドデバイスが提供される(
図11参照)。ハンドへルドデバイスは、オフラインプレーヤ1がゲーム中に所持するNFC(近距離無線通信)機能が搭載された小型携帯端末であって、アトラクション施設全体を制御するサーバ30と通信可能に接続されている。オフラインプレーヤ1が各部屋に入室するときは入口扉の付近のリーダー機にハンドへルドデバイスを近づけ或いは接触させると、ハンドへルドデバイスに割当れられている信号がサーバ30に送信され、これによりサーバ30はオフラインプレーヤ1が現在プレイしている場所を把握できる。また、サーバ30は、ハンドへルドデバイスからの信号を受信した時刻を基にタイマーを開始させて、その部屋でのゲームクエストをクリアする制限時間を計測することができる。
【0021】
本実施形態では、複数のオフラインプレーヤ1が一のパーティ(グループ)を結成して登録し、パーティとして行動するものとする。したがって、パーティで行動する複数のプレーヤに1つのハンドへルドデバイスが貸出されることになる。ただし、これに限定されず、他の実施形態では、一人のオフラインプレーヤ1によるゲームプレイであってもよく、その場合は一人のオフラインプレーヤ1に1つのハンドへルドデバイスが貸出される。
【0022】
次に、オフラインプレーヤ1が受付時点でゲーム攻略アイテムを選択(購入)すると、ゲーム攻略アイテム登録部33はこれを登録して、いわゆるデッキを組む状態にする(ステップS402)。ゲーム攻略アイテムとは、各部屋でのゲームプレイ中に使用することができ、この使用によってゲームの攻略を有利に導くことを可能にするプレーヤの武器といえるものである。本実施形態においては、ゲーム攻略アイテムは
図5に示すようなデジタルカードを意味する。つまり、カードを使用したときの効果が表面に記載されたいわゆる紙製カードをデジタル化したものに相当し、プレーヤが所持する携帯端末に当該デジタルカードであるゲーム攻略アイテムを登録する。なお、他の実施形態では、プレーヤに貸出されるハンドへルドデバイスがゲーム攻略アイテムを登録する機能を併せて有するようにしてもよい。ゲーム攻略アイテムの詳細な内容については後述する。
【0023】
デジタルカードであるゲーム攻略アイテム(以下、「デジタルカード」という。)は、複数種類があらかじめ用意されていて、オフラインプレーヤ1は、パーティを結成した際に、各部屋におけるゲームを有利にすすめることができるデジタルカードを購入する。また、購入希望のデジタルカードを必ずしも入手できるとは限らず、ランダムに決定されたデジタルカードをオフラインプレーヤ1に提供する態様であってもよい。
本実施形態の場合、オフラインプレーヤ1が登録できるデジタルカードの枚数は3枚であるとする。なお、必ずしもデジタルカードを購入して登録しなければならないというものではなく、デジタルカード無しでプレイしてもよい。オフラインプレーヤ1は、プレイ前に登録したデジタルカードの特性が部屋の特性と一致した場合に、当該デジタルカードを自動的に使用できる。別の実施形態では、各部屋で特段の使用禁止が指定されていない限り、プレイ中に任意のタイミングで登録済のデジタルカードを使用することができるように設定してもよい。、オフラインプレーヤ1によるデジタルカードの使用があると、登録済のデジタルカードから削除され使用不可能な状態となる。
【0024】
なお、本実施形態では、登録可能なデジタルカードの枚数は3枚としたが、別の実施形態では、1枚、2枚、又は4枚以上であってもよいし、パーティを組んだグループ全体でデジタルカードを登録できる態様の他、それぞれのオフラインプレーヤ毎が所望のデジタルカードを購入・登録して、グループのために使用する態様であってもよい。
【0025】
ここで、デジタルカードの内容を説明する。
例えば、あるゲーム部屋におけるゲームミッションが「モンスター退治」という内容であり、オフラインプレーヤ1に課されるクエストが「剣で切り倒せ」であるとする。ゲーム装置のディスプレイ画面にモンスターが出現するので、オフラインプレーヤ1は部屋内の剣を使ってモンスターと戦うことになる。ゲーム部屋内にはオフラインプレーヤ1の位置を感知するセンサが配置されているので、ディスプレイ画面からオフラインプレーヤ1までの距離や方向を把握しながら、実際にオフラインプレーヤ1が持つ剣の動きに合わせてディスプレイ画面に映ったモンスターを切りつけたり、切りつけられるというゲームを行うことができる。
【0026】
いま、登録済みのデジタルカードの中に「俊敏性」を向上させる特性が割当てられているものが含まれているとする。オフラインプレーヤ1は、モンスターを倒すために、所持する携帯端末を操作することで「俊敏性」をアップさせるデジタルカードの使用要求をサーバ30に送信する。これを受けてデジタル攻略アイテム効果制御部36は「俊敏性」に対応するスキル効果を所定の対応表に基づき抽出し、例えばプレーヤが剣を振りかざしてから切りつけるまでのセンサが検出する実時間を所定の秒数間短縮させるようパラメータ制御部37に指示する。その結果、オフラインプレーヤ1にとって有利なスキル効果が奏されるようになる。また、デジタルカードが「投剣」の特性を有していれば、モンスターのサイズが大きく表示されるようゲーム装置制御部32に指令したりする。そして、クエスト攻略判定部34は、オフラインプレーヤ1の行動がモンスターを倒すことができたかをセンサや画像からのデータで判定する。
【0027】
クエストに対するデジタルカードがもたらすスキル効果の例の一部を表にして示したのが
図6である。デジタルカードは、主に、「知力」「俊敏性」「筋力」「投剣」などの特性を向上させる役割が付与されたスキル効果があり、いずれもオフラインプレーヤ1によるクエストの達成を容易にする。なお、クエスト及びスキル効果は一例であってこれに限定されるものではない。
【0028】
次に、オンラインプレーヤ2がゲームプレイに参加できることを説明する。
オンラインプレーヤ2とは、上述したように、アトラクション施設で実際にプレイしないが、ネットワーク回線経由でゲーム応援者としてゲームに参加する者である(
図9参照)。
パーティを結成して3枚のデジタルカードを登録したオフラインプレーヤ1は、デッキとして含まれていない他の種類のデジタルカードが不足するなど、更なるデジタルカードの登録のためにオンラインプレーヤ2に対してデジタルカードを募集することができる(
図4のステップS403)。オンラインプレーヤ受付部35がオンラインプレーヤ2の携帯端末等に募集受付画面を提示したとき、或いは任意のタイミングで、オンラインプレーヤ2はデジタルカードを購入する手続きができるようになる。募集受付画面を提示する場合であれば、例えば、オンラインプレーヤ受付部35は、
図7に示すような募集画面を表示させ、プレイに参加したいと思う者はオンラインプレーヤとして登録し、デジタルカードの購入をする。どのデジタルカードを購入するかは、図示のようにオンラインプレーヤ2が所望の効果を奏するデジタルカードを選択できるようにしてもよいし、或いはランダムで選択されることにしてもよい。また、デジタルカードの購入に関し本実施形態ではゲーム内通貨で支払うものとするが、法定通貨(円など)での支払いであってもよい。
ゲーム攻略アイテム登録部33は、購入されたオンラインプレーヤ2のデジタルカードを、オフラインプレーヤ1の登録済みデジタルカードに追加する形で登録する。
【0029】
したがって、登録されるデジタルカード数は、オフラインプレーヤ1からの最大3枚と、オンラインプレーヤ2に募集を呼びかけて集まった枚数を加算したものであるが、デジタルカードが一定数(例えば、10枚、100枚など)集まるとゲームプレイで使用できるようになる(ステップS404、405)。或いは、一定数集まらなかった場合は参加者不足としてオフラインプレーヤ1だけのプレイにするようにしてもよい。なお、オンラインプレーヤ2の参加を募集することなく、はじめからオフラインプレーヤ1のみでゲームプレイする態様にすることももちろん可能である。
【0030】
また、各デジタルカードは、クエスト攻略を有利にすすめる特定の特性が割り当てられているが、同じ種類のデジタルカードA(例えば、パワーアップ効果が生じる)がたくさん登録された場合は、体力勝負のクエストに対してはデジタルカードAを何枚も使用することでゲームパラメータ情報が調整され、ゲームを簡単に攻略することができる。。そのため、同じクエスト攻略であっても、登録されたデジタルカードの枚数及び特性種類が異なるとゲーム難易度がその都度変わるので、同じ者が繰り返しアトラクション施設を来訪してプレイしても飽きることなく楽しむことが可能である。このようなゲーム難易度に関連するパラメータ調整を通じて、ゲームのバリエーションを無限にすることができる。
【0031】
図7は、調整されるパラメータについても一例を示している。例えば、クエストが特定のモンスターを襲撃するというシューティングゲームの場合、ターゲットであるモンスターの大きさ、障害物の動くスピード、モンスターの見える範囲、倒す必要のある数(ノルマ数)、モンスターの攻撃力などを調整する。当然ながら、デジタルカードの数が多いほど、モンスターのサイズが大きくなったり、障害物の動きが遅くなったりしてオフラインプレイヤーによるプレイ攻略が簡単にすることもできるようになる。
なお、デジタルカード及び調整されるパラメータは、ゲーム内容を難しくするために使用するようにしてもよい。
【0032】
準備が整うと、オフラインプレーヤが第1番目の部屋に移動してゲームのプレイを開始する(
図4のステップS407)。また、ゲームプレイにネットワークを介して参加したオンラインプレーヤ2は、オフラインプレーヤ1が事前にプレイ映像をオンラインプレーヤ2に配信してもよいという許諾を得ていれば、自分の携帯端末やPCでオフラインプレーヤがプレイする様子を視聴することができる。オンラインプレーヤ2にとってみれば、リアルタイムでプレイの状況を視聴できるのであればデジタルカードを購入して応援したいという気持ちになる。したがって、デジタルカードの購入によってゲームに間接的に参加し、そのデジタルカードがオフラインプレーヤ1のフィジカル体験に影響を及ぼす様子を楽しむことができるようにしてもよい。
また、別の実施形態では、サーバ30がオンラインプレーヤ2からの実際のコメントや応援を受信し、これをゲーム部屋内のマイク又はディスプレイ画面を介してオフラインプレーヤ1に伝達するようにしてもよい。
【0033】
オフラインプレーヤ1は、登録済みのデジタルカードの中から必要に応じて対戦を有利に運ぶデジタルカードを使用しながらクエストを達成する(ステップS408、ステップS409)。最初の部屋のクエストが達成できた場合(ステップS410のYes)、当該部屋を出て第2番目の部屋に入る。このとき、所持するハンドへルドデバイスを入口付近のリーダー機にかざして、サーバ30に対して第2番目の部屋に入る信号を送信させる。これを順次繰り返し(ステップS411)、最後の部屋のクエストを達成できた場合に、プレイは終了する(ステップS411のNo)。
【0034】
また、プレイ終了した時点で、オンラインプレーヤ2が購入したデジタルカードがプレイ中に使用された場合、サーバ30のポイント付与部38は当該オンラインプレーヤ2にポイント等の報酬を付与する。また、オンラインプレーヤ2のデジタルカードが使用されなかった場合は、別のプレイに使用可能である。
【0035】
ランキング生成部39は、プレイ結果を
図8に示すようなランキング表として公表する。採点方法は、例えば、プレイ毎に達成したクエストの数、クリアタイム(残時間)、ファインプレイ要素、応援者数、使用したデジタルカードの内容などで採点する。これを例えば1か月間や半年の期間において、積算したり或いはプレイ毎に判定して順位をつける。また、プレイ動画は、オフラインプレーヤのパーティ登録時に配信許諾に同意してあれば、配信するようにしてもよい。
アトラクション施設のサイト上やSNSなどを通じてランキング表や動画が公開されると、オフラインプレーヤが知り合い又は著名人である場合はオンラインプレーヤの参加が増え、本発明のアトラクションゲームの認知度が上がることが期待できる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、オフラインプレーヤ1及びオンラインプレーヤ2は、プレイ開始前にデジタルカードを購入してデッキを組むとして説明した。必ずしもプレイ開始前に限定するわけではなく、例えば、部屋に入ってプレイしている最中、又は次の部屋に入る前に追加でデジタルカードを購入するようにしてもよい。
【0037】
<本実施形態のゲーム実行装置のハードウェア構成>
ゲーム実行装置100のサーバ30は、
図10に示すように、バス20上に制御部40、通信回線50、および記憶部60を備える。
制御部40は、CPU11、ROM(フラッシュメモリ)12、RAM13、画像プロセッサ14、音声プロセッサ15、および操作部16を備える。
CPU11は、各部屋内のゲーム装置の動きを含むゲーム進行全体を制御する。ROM12には、ゲームプログラムを実行するための基本プログラムなどが記憶されている。RAM13には、CPU11がゲームプログラムを実行する際に使用されるワークエリアが設定される。ワークエリアには、ゲーム進行に伴って発生する各種パラメータなどが含まれる。
画像プロセッサ14は、ゲーム画面を生成可能なGPU(Graphics Processing Unit)を備える。画像プロセッサ14には、ビデオRAM(VRAM)17が接続されている。このVRAM17には各部屋内のディスプレイ画面である表示部21が接続されている。画像プロセッサ14は、CPU11の指示に従って表示部21上にゲーム画面を生成する。
【0038】
音声プロセッサ15は、ゲーム音声を生成するDSP(Digital Signal Processor)を備える。この音声プロセッサ15は、生成したゲーム音声等を、D/Aコンバータ含むアンプ22に送信する。アンプ22は、この音声信号を増幅して各部屋内のスピーカ24に送信する。
操作部16には、各部屋内のコントローラ23が接続されている。コントローラ23は、十字ボタン、プッシュスイッチ、ジョイスティック、マウス、キーボードおよびタッチパネルなどを含む。また、操作部16は、オフラインプレーヤによるコントローラ23を介した操作信号を検出し、その操作信号をCPU11に送信する。
【0039】
通信回線50は、インターネット回線9などを介してデータ通信を行う。制御部40は、データ通信によって各部屋内のゲーム装置とサーバ30との間で通信、及びオンラインプレーヤ2の端末との間の通信を行う。このプレーヤ2の端末は、インターネットなどに接続されたコンピュータであるが、具体的には、例えばPC(Personal Computer)、携帯電話やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット、ウェアラブル(Wearable)端末等が挙げられる。
【0040】
記憶部60は、ハードディスクまたはメモリーカードなどである。制御部11は、例えば、予めゲームプログラムおよび楽曲データを記憶部60に記憶するほか、ROM12からのゲームプログラムなどを記憶する。また、このゲームプログラムには、プログラム自体のほか、ゲーム進行に必要なオブジェクト画像などの様々なゲームデータが含まれる。
【0041】
本発明は、CD-ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードしたプログラム、及びこれら記憶媒体を発明の範疇として含む。
【0042】
本実施形態において上位概念化して記載された事項は、本実施形態に記載されていない当業者において公知であるものも含み、さらに出願時点において存在し得ないものも含む。また、フローチャートの処理手順について、本実施形態に限定されるものではなく、各処理を実行する手段および手順などは適宜選択し得るものである。
【符号の説明】
【0043】
1 オフラインプレーヤ
2 オンラインプレーヤ
30 サーバ
31 アカウント登録部
32 ゲーム装置制御部
33 ゲーム攻略アイテム登録部
34 クエスト攻略判定部
35 オンラインプレーヤ受付部
36 ゲーム攻略アイテム効果制御部
37 ゲームパラメータ制御部
38 ポイント付与部
39 ランキング生成部
100 ゲーム実行装置100
【要約】
【課題】アトラクション施設内で実施されるゲームをプレイするオフラインプレーヤのゲームにネットワーク回線を介してオンラインプレーヤが参加し、オフラインプレーヤ及びオンラインプレーヤからのゲーム攻略アイテムを必要に応じて使用しながらゲーム攻略が達成される体験型ゲームを実施するアトラクションゲーム実行装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るゲーム実行装置は、アトラクション施設というリアル空間にセッティングされたゲームを体験するプレーヤ(オフラインプレーヤ)と、ネットワーク回線を介してゲームを応援する参加者(オンラインプレーヤ)とを連携しながら協働でゲームを攻略できる仕組みを提供する。このため、アトラクション施設という閉鎖空間内のゲームでありながら、実際にプレイするプレーヤを超える大勢の者で同じゲームを攻略するという一体感を提供することができる。
【選択図】
図1