(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240909BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
G03G15/20 530
G03G21/16 185
(21)【出願番号】P 2023069472
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2019008760の分割
【原出願日】2019-01-22
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舘澤 英和
(72)【発明者】
【氏名】筑後 陽一
(72)【発明者】
【氏名】武正 力也
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】津野 裕太郎
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049298(JP,A)
【文献】特開2017-215449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
記録材に形成された未定着トナー像を加熱可能な第1回転体を有する第1ユニットと、
前記第1回転体に当接し、前記第1回転体との間で記録材を搬送する定着ニップ部を形成する第2回転体を有する第2ユニットと、
前記第2ユニットは、前記第1ユニットとともに前記未定着トナー像を記録材に定着し、
前記第1ユニットを画像形成装置本体に対して着脱する場合に、前記第1ユニットを案内するガイドと、
前記第1回転体に非接触で、記録材の搬送方向において前記定着ニップ部よりも下流で、前記第1回転体から記録材を分離する分離部と、前記分離部を前記第1ユニットに対して位置決めする第1位置決め部と、を有する分離ユニットと、を備え、
前記分離部は、前記第1ユニットが前記画像形成装置本体に装着された状態で記録材を前記第1回転体から分離する位置である第1位置と、前記第1ユニットが前記画像形成装置本体から取り外された状態で位置する第2位置と、に移動可能であって、
前記第1ユニットは、前記第1位置決め部と係合
可能な係合部を有し、
前記係合部は、前記分離部が前記第1位置から前記第1位置よりも前記第2位置側の位置までの領域に位置するときに前記第1位置決め部と係合し、
前記第1ユニットが前記ガイドに案内されることで、前記第1ユニットを前記画像形成装置本体に装着する場合、
前記第1ユニットは前記分離部が前記第2位置から前記第1位置に到達する前に前記第1位置決め部への係合を完了し、前記係合部と前記第1位置決め部が係合した状態
で前記分離ユニットが前記第1ユニットによって押されることで、前記分離部は前記第2位置から前記第1位置に移動する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2位置は、前記第1位置よりも前記搬送方向の上流であり、
前記ガイドは、前記第1ユニットを前記画像形成装置本体に装着する場合に前記搬送方向の下流へ前記第1ユニットを案内する案内部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分離部は、分離板である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1回転体は、無端状のベルトである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1ユニットは、前記ベルトの内周面に当接し前記第2回転体とともに前記定着ニップ部を形成するパッドと、前記パッドを支持するステイと、を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ステイは、前記係合部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記係合部は、凹形状である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記分離ユニットは、前記分離部を前記第1回転体に対して位置決めする第2位置決め部を有し、
前記第1ユニットは、前記第2位置決め部と係合する第2係合部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1ユニットは、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向において、前記ステイの両端部を支持する一対のフレームを有し、
前記フレームは、前記係合部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記係合部は、凹形状である、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記分離ユニットは、前記第1位置から前記第2位置に向かって前記分離部を付勢する付勢部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1ユニットが前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記分離部は前記第1位置から前記第2位置に移動する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ガイドは、前記第1ユニットが前記画像形成装置本体に装着され、前記分離部が前記第1位置に位置した状態において、前記ステイの上部を覆い、前記第1ユニットの上方向への移動を規制する規制面を有する、
ことを特徴とする請求項5、6,9、10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記搬送方向と直交する記録材の幅方向と直交する断面において、前記係合部は、前記分離部が前記第2位置から前記第1位置に移動する移動方向と交差する方向に移動可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等の画像形成装置において記録材に転写したトナー画像を定着するための定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置では、像担持体としての感光ドラム上に形成された静電潜像を現像装置でトナーにより現像してトナー像を形成し、このトナー像を記録材に転写してから定着装置において記録材に定着している。定着装置は、例えば定着フィルムなどの加熱回転体(第1回転体)と、例えば加圧ローラなどの加圧回転体(第2回転体)とを有し、その間に定着ニップ部を形成し、定着ニップ部において記録材を加熱及び加圧して未定着のトナー画像を記録材に定着する。また、このような定着装置において、加熱回転体やヒータを有する加熱ユニットのシート搬送方向下流側に、定着ニップ部の通過後に加熱回転体に張り付いたシートを分離するための接触式又は非接触式の分離部材を設けることが知られている。
【0003】
このような分離部材は、一般的に加熱回転体に対して高精度に位置決めして取り付けられることが要求されるため、分離部材、または分離部材を含む分離ユニットを加熱ユニットに設けた定着装置が普及している。一方、コスト低減の観点から、加熱ユニットの外部、例えば定着装置の枠体等に分離ユニットを配置し、加熱ユニットの交換コストに分離部材のコストが計上されないような定着装置も普及している。この場合、加熱ユニットの交換時に分離部材が干渉しないように、加熱回転体、又は加圧回転体を交換する際に分離部材を各回転体から退避させた状態を維持できるようにした分離部材脱落防止手段などが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、分離ユニットによって加熱ユニットから記録材を分離する性能を高めるために、できるだけ分離ユニットの分離部材(例えば、分離板)を加熱回転体に近づけることが望まれる。その一方で、分離部材が加熱回転体に接触すると、加熱回転体が傷つくことで画質品位の低下につながるため、分離部材と加熱回転体とは非接触であることが好ましい。よって、分離部材と加熱回転体とが意図せず接触しないように、分離ユニットと加熱ユニットとの位置決めを精度よく行わなければならない。しかしながら、上述した特許文献1に記載の定着装置では、分離ユニットと加熱ユニットとのそれぞれが画像形成装置本体に配置されている。しかしながら、部品公差等によって、分離ユニットと加熱ユニットの距離を精度よく保つことが困難であった。分離ユニットと加熱ユニットの距離を精度よく保持できないことで、分離ユニットの分離性能の低下を招いていた。
【0006】
本発明は、分離ユニットと加熱ユニットとを精度よく位置決めすることによって、分離性能を向上できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置であって、記録材に形成された未定着トナー像を加熱可能な第1回転体を有する第1ユニットと、前記第1回転体に当接し、前記第1回転体との間で記録材を搬送する定着ニップ部を形成する第2回転体を有する第2ユニットと、前記第2ユニットは、前記第1ユニットとともに前記未定着トナー像を記録材に定着し、前記第1ユニットを画像形成装置本体に対して着脱する場合に、前記第1ユニットを案内するガイドと、前記第1回転体に非接触で、記録材の搬送方向において前記定着ニップ部よりも下流で、前記第1回転体から記録材を分離する分離部と、前記分離部を前記第1ユニットに対して位置決めする第1位置決め部と、を有する分離ユニットと、を備え、前記分離部は、前記第1ユニットが前記画像形成装置本体に装着された状態で記録材を前記第1回転体から分離する位置である第1位置と、前記第1ユニットが前記画像形成装置本体から取り外された状態で位置する第2位置と、に移動可能であって、前記第1ユニットは、前記第1位置決め部と係合可能な係合部を有し、前記係合部は、前記分離部が前記第1位置から前記第1位置よりも前記第2位置側の位置までの領域に位置するときに前記第1位置決め部と係合し、前記第1ユニットが前記ガイドに案内されることで、前記第1ユニットを前記画像形成装置本体に装着する場合、前記第1ユニットは前記分離部が前記第2位置から前記第1位置に到達する前に前記第1位置決め部への係合を完了し、前記係合部と前記第1位置決め部が係合した状態で前記分離ユニットが前記第1ユニットによって押されることで、前記分離部は前記第2位置から前記第1位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分離ユニットと加熱ユニットとを精度よく位置決めすることができる。これによって、分離ユニットの分離性能を向上でき、加熱ユニットが有する加熱回転体の表面性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る分離ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係る分離ユニットの他の一部を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態に係る加熱ユニット及び分離ユニットの位置決め部を示す側面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る筐体に装着する際の加熱ユニットの側面図であり、(a)は挿入開始位置に位置するとき、(b)は装着位置に位置するときである。
【
図8】加熱ユニット及び分離ユニットの当接部を示す側面図であり、(a)は第1の実施形態に係る定着装置、(b)は変形例に係る定着装置である。
【
図9】第1の実施形態に係る加熱ユニットを筐体に装着する際の加熱ユニット及び分離ユニットの当接部を示す側面図であり、(a)は挿入開始位置に位置するとき、(b)は装着位置に位置するときである。
【
図10】第2の実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
【
図11】第2の実施形態に係る分離ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図12】加熱ユニット及び分離ユニットの当接部を示す側面図であり、(a)は第2の実施形態に係る定着装置、(b)は変形例に係る定着装置である。
【
図13】第3の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図であり、(a)は定着装置を画像形成装置に取り付けた状態、(b)は定着装置を画像形成装置から取り外した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1~
図9を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成装置1の一例として、タンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置1に搭載されることには限られず、他の方式の画像形成装置に搭載されるものであってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。あるいは、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施することができる。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体10と、不図示のシート給送部と、画像形成部40と、制御部70とを備えている。画像形成装置1は、不図示の原稿読取装置やパーソナルコンピュータ等のホスト機器、あるいはデジタルカメラやスマートフォン等の外部機器からの画像信号に応じて、4色フルカラー画像を記録材に形成することができる。尚、記録材であるシートSは、トナー像が形成されるものであり、具体例として、普通紙、普通紙の代用品である合成樹脂製のシート、厚紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等がある。
【0012】
[画像形成部]
画像形成部40は、シート給送部から給送されたシートSに対して、画像情報に基づいて画像を未定着のトナー像として形成可能である。画像形成部40は、画像形成ユニット50y,50m,50c,50kと、トナーボトル41y,41m,41c,41kと、露光装置42y,42m,42c,42kと、中間転写ユニット44と、二次転写部45と、定着装置20とを備えている。尚、本実施形態の画像形成装置1は、フルカラーに対応するものであり、画像形成ユニット50y,50m,50c,50kは、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色それぞれに同様の構成で別個に設けられている。このため、
図1中では4色の各構成について同符号の後に色の識別子を付して示すが、明細書中では色の識別子を付さずに符号のみで説明する場合もある。
【0013】
画像形成ユニット50は、トナー像を担持して移動する感光ドラム51と、帯電ローラ52と、現像装置53と、不図示のクリーニングブレードと、を有している。画像形成ユニット50は、プロセスカートリッジとして一体にユニット化されて、装置本体10に対して着脱可能に構成され、後述する中間転写ベルト44bにトナー像を形成する。
【0014】
感光ドラム51は、回転可能であり、画像形成に用いられる静電潜像を担持する。感光ドラム51は、本実施形態では、外径30mmの負帯電性の有機感光体(OPC)であり、所定のプロセススピード(周速度)で矢印方向に、不図示のモータにより回転駆動される。帯電ローラ52y,52m,52c,52kは、各感光ドラム51の表面に接触し、従動して回転するゴムローラを用いており、感光ドラム51の表面を均一に帯電する。露光装置42は、レーザスキャナであり、制御部70から出力される分解色の画像情報に従って、レーザ光を発する。
【0015】
現像装置53y,53m,53c,53kは、現像スリーブ54y,54m,54c,54kを有し、現像バイアスが印加されることにより感光ドラム51に形成された静電潜像をトナーにより現像する。現像装置53は、トナーボトル41から供給された現像剤を収容すると共に、感光ドラム51上に形成された静電潜像を現像する。現像スリーブ54は、例えばアルミニウムや非磁性ステンレス等の非磁性材料で構成され、本実施形態ではアルミニウム製としている。現像スリーブ54の内側には、ローラ状のマグネットローラが、現像容器に対して非回転状態で固定設置されている。現像スリーブ54は、非磁性のトナー及び磁性のキャリアを有する現像剤を担持して、感光ドラム51に対向する現像領域に搬送する。
【0016】
感光ドラム51の表面上に現像されたトナー像は、中間転写ユニット44に対して一次転写される。即ち、感光ドラム51は、中間転写ベルト44bにトナーを供給することによりトナー像を担持させることができる。一次転写後、中間転写ユニット44に転写されずに感光ドラム51上に残留したトナーは、感光ドラム51に当接して設けられたクリーニングブレードによって除去され、次の作像工程に備える。
【0017】
中間転写ユニット44は、駆動ローラ44aや従動ローラ44d、一次転写ローラ47y,47m,47c,47k等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられ、トナー像を担持して移動する中間転写ベルト44bとを備えている。従動ローラ44dは、中間転写ベルト44bの張力を一定に制御するようにしたテンションローラである。従動ローラ44dは、不図示の付勢ばねの付勢力によって中間転写ベルト44bを表面側へ押し出すような力が加えられている。一次転写ローラ47y,47m,47c,47kは、感光ドラム51y,51m,51c,51kにそれぞれ対向して配置され、中間転写ベルト44bに当接し、感光ドラム51のトナー像を中間転写ベルト44bに一次転写する。即ち、中間転写ベルト44bは、トナー像を担持して移動(回転)する。
【0018】
中間転写ベルト44bは、感光ドラム51に当接して感光ドラム51との間で一次転写部を形成し、一次転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム51に形成されたトナー像を一次転写部で一次転写する。中間転写ベルト44bに一次転写ローラ47によって正極性の一次転写バイアスを印加することにより、感光ドラム51上のそれぞれの負極性を持つトナー像が中間転写ベルト44bに順次多重転写される。中間転写ベルト44bには、中間転写ベルト44b上の転写残トナーを清掃するベルトクリーニング装置56が設けられている。
【0019】
二次転写部45は、二次転写内ローラ45aと、二次転写外ローラ45bと、を備えている。二次転写外ローラ45bは、中間転写ベルト44bに当接し、中間転写ベルト44bとのニップ部においてトナーと逆極性の二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写外ローラ45bは、中間転写ベルト44bに担持されたトナー像を、ニップ部へ供給されたシートSに一括して二次転写する。
【0020】
定着装置20は、定着ベルト31及び加圧ローラ22を備えている。定着ベルト31と加圧ローラ22との間をシートSが挟持されシート搬送方向に搬送されることにより、画像形成部40で形成されシートSに転写されたトナー像は加熱及び加圧されてシートSに定着される。定着装置20は、定着装置20に収容された駆動モータM1(
図2参照)により駆動される。定着装置20の詳細については後述する。
【0021】
[制御部]
図2に示すように、制御部70はコンピュータにより構成され、例えばCPU71と、各部を制御するプログラムを記憶するROM72と、データを一時的に記憶するRAM73と、外部と信号を入出力する入出力回路(I/F)74とを備えている。CPU71は、画像形成装置1の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。CPU71は、入出力回路74を介して、操作部やシート給送部や画像形成部40等に接続され、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御する。制御部70には、定着装置20の駆動モータM1が接続されており、定着装置20の動作を制御可能である。ROM72には、シートSに画像を形成するための画像形成制御シーケンス等が記憶される。
【0022】
[画像形成動作]
次に、このように構成された画像形成装置1における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず感光ドラム51が回転して表面が帯電ローラ52により帯電される。そして、露光装置42により画像情報に基づいてレーザ光が感光ドラム51に対して発光され、感光ドラム51の表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像にトナーが付着することにより、現像されてトナー画像として可視化され、中間転写ベルト44bに転写される。
【0023】
一方、このようなトナー像の形成動作に並行してシートSが供給され、中間転写ベルト44bのトナー画像にタイミングを合わせて、搬送経路を介してシートSが二次転写部45に搬送される。更に、中間転写ベルト44bからシートSに画像が転写され、シートSは、定着装置20に搬送され、ここで未定着トナー像が加熱及び加圧されてシートSの表面に定着され、装置本体10から排出される。
【0024】
[定着装置]
次に、定着装置20について、
図3~
図9を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、定着装置20は、ベルト加熱方式の加熱装置であり、装置本体10(
図1参照)に対して着脱可能なカートリッジ状に形成されている。定着装置20は、筐体21と、加熱ユニット30と、第2回転体としての加圧ローラ22と、分離ユニット60と、を有している。加熱ユニット30は、無端状で回転可能な第1回転体としての定着ベルト31と、定着部材としての加圧パッド32と、加熱ローラ33と、ステアローラ34と、ステイ35と、これらをカートロッジ状に一体化するユニット側板36と、を有している。
【0025】
定着ベルト31は、シートSに当接して加熱可能であり、熱伝導性や耐熱性等を有する薄肉の円筒形状のベルト部材である。本実施形態においては、定着ベルト31は、基層、基層の外周に弾性層、その外周に離型性層を形成した3層構造である。基層は厚さ30μmで材質はポリイミド樹脂(PI)を用い、弾性層は厚さ300μmでシリコーンゴムを用い、離型性層は厚さ30μmでフッ素樹脂としてのPFAを用いている。定着ベルト31は、加圧パッド32と、加熱ローラ33と、ステアローラ34とによって張架されている。
【0026】
加圧パッド32は、定着ベルト31を挟んで、加圧ローラ22に押圧されている。定着ベルト31と加圧ローラ22との当接部により、定着ニップ部Nが形成されている。加圧パッド32と定着ベルト31の間には、潤滑シートや潤滑剤を介在させてあり、定着ベルト31は加圧パッド32に対して滑らかに摺動するようになっている。
【0027】
加熱ローラ33は厚み1mmのステンレス製パイプで、その内部に不図示のハロゲンヒータが配設されており、所定の温度まで発熱可能である。定着ベルト31は、加熱ローラ33よって加熱され、サーミスタによる温度検知に基づき、シート種に応じた所定の目標温度に制御される。また、加熱ローラ33は、回転軸線方向(以下、幅方向Wともいう)の一端部に不図示のギヤが固定されており、ギヤを介して駆動モータM1(
図2参照)に接続されて回転駆動される。定着ベルト31は、加熱ローラ33の回転に倣って従動回転する。尚、幅方向Wは、定着ニップ部Nを通過したシートSの搬送方向に直交する方向である。
【0028】
ステアローラ34は、回転軸線方向の一端部、又は中央部近傍に略鉛直方向の回動中心を有し、定着ベルト31に対して回動することで主走査方向に張力差を発生させ、定着ベルト31の主走査方向の位置を調整することができる。尚、ステアローラ34は加熱ユニット30のフレームによって支持された不図示の付勢ばねによって付勢されており、定着ベルト31に所定の張力を与えるテンションローラでもある。
【0029】
加圧パッド32の材質は液晶ポリマ(LCP)で、加圧パッド32は支持フレームとしてのステイ35に支持されている。ステイ35の材質はステンレスで、ステイ35は幅方向Wの両端部を定着装置20の筐体21の定着フレーム23によって支持されている。
【0030】
加圧ローラ22は、定着ベルト31に対向して当接し、定着ベルト31との間で加圧された定着ニップ部Nを形成する。加圧ローラ22は、軸の外周に弾性層を、その外周に離型性層を形成したローラである。軸にステンレスを用い、弾性層は厚さ3mmで導電シリコーンゴムを用い、離型性層は厚さ30μmでフッ素樹脂としてのPFAを用いている。加圧ローラ22は、定着装置20の筐体21の定着フレーム23によって軸支持されており、回転軸線方向の一端部にギヤが固定され、ギヤを介して駆動モータM1(
図2参照)に接続されて回転駆動される。
【0031】
定着ベルト31と加圧ローラ22との間に形成される定着ニップ部Nにおいて、トナー画像を担持したシートを挟持し、搬送しながらトナー画像を加熱する。このように、定着装置20は、シートを挟持搬送しながら、シートにトナー画像を定着させる。よって、熱や圧力を加えるという機能と、シートを搬送するという機能の両立が必要である。
【0032】
定着フレーム23は、幅方向Wに関して、筐体21の両側部に固定されて設けられ、それぞれガイド部24と、加圧フレーム25と、加圧ばね26とが設けられている。加熱ユニット30のステイ35は、ガイド部24に挿入され、不図示の固定手段によりガイド部24に固定される。ステイ35をガイド部24に固定した後、不図示の駆動源及びカムにより加圧フレーム25が加熱ユニット30の側に移動することで、加圧ローラ22が定着ベルト31を介して加圧パッド32に対して加圧される。
【0033】
ガイド部24は、支持面(支持部)24aと、位置決め面(位置決め部)24bと、摺動面24cとを有している。
図3では、加熱ユニット30は装着位置に位置している。支持面24aは、加圧ローラ22の対向側にシート搬送方向に沿って形成され、加熱ユニット30が装着位置に位置する場合に、定着ベルト31の内周側において定着ベルト31が加圧ローラ22から受けた反力を支持する。位置決め面24bは、ガイド部24の加熱ユニット30を挿入する方向の最奥部に略鉛直に形成され、加熱ユニット30が装着位置に位置する場合に、加熱ユニット30に対して挿入方向に当接して位置決めする。摺動面24cは、支持面24aに対向してシート搬送方向に沿って形成され、加熱ユニット30を挿抜する際にステイ35を摺動させて案内する。ガイド部24は、加熱ユニット30を筐体21に装着する際に、定着ベルト31が定着ニップ部Nに位置するように加熱ユニット30を挿入開始位置から装着位置に案内して装着させる。
【0034】
[分離ユニット]
次に、分離ユニット60について、
図4及び
図5を用いて詳細に説明する。分離ユニット60は加熱ユニット30の外部、例えば定着装置20の定着フレーム23内に設けられている(
図3参照)。本実施形態の分離ユニット60は、分離板(分離部材)61と、分離板支持部材62と、付勢手段としての引張ばね65と、分離板61の移動方向を規制する分離板規制部材63とを有している。分離板61は金属板からなり、摺動によるシートからのトナー付着や画像の損傷等を防ぐためにフッ素系テープが貼付されて形成されている。分離板支持部材62及び分離板61は、分離板締結ねじ66と圧縮ばね67とで締結されており、これらにより分離板61及び分離板支持部材62は幅方向Wの分離板61の先端の位置精度を調整することが可能となっている。
【0035】
分離板規制部材63は、分離板支持部材62及びねじ68により締結されており、分離ガイド部材64と共に分離板61の移動方向を規制する役割を有する。分離板規制部材63は、幅方向Wの両側部に、第1ガイド軸63aと、第2ガイド軸63bと、引張ばね65の一端を係止するばね掛け部63cとを有する。
【0036】
一方、分離ガイド部材64は、側面部63dと、第1ガイド軸63a及び第2ガイド軸63bと大まかに係合するガイド溝64aと、引張ばね65の他端を掛けるばね掛け部64bと、定着フレーム23との締結面である締結部64cとを有する。側面部63dは、幅方向Wの両端部において略鉛直に設けられている。第1ガイド軸63a及び第2ガイド軸63bは、側面部63dから外側に向けて幅方向Wを軸中心と一致させて設けられおり、シート搬送方向に並んで配置されている。
【0037】
分離板規制部材63の第1ガイド軸63a及び第2ガイド軸63bにより分離板61を移動させる方向は、分離ガイド部材64のガイド溝64aにより決定される。決定された移動方向と略同一の方向に引張ばね65を係止することで、分離ユニット60の移動方向を、加熱ユニット30の挿抜方向に対応させることが可能となる。尚、ここでは分離板付勢手段を引張ばねとしているが、これには限られず、例えば、トーションばねや圧縮ばねなどの他の付勢手段でも同等の効果を得られる。また、分離板付勢手段は分離ユニット60の外部、例えば定着フレーム23に設けられていてもよい。
【0038】
[加熱ユニットの分離位置決め部]
次に、加熱ユニット30に設けられた分離板61の位置決め形状について、
図6を用いて詳細に説明する。ステイ35及びユニット側板36には、それぞれ分離板61の位置決め形状として第1分離位置決め部37及び第2分離位置決め部38が設けられている。ステイ35に形成された分離ユニット60の第1分離位置決め部37は、分離ユニット60の第1ガイド軸63aに係合可能である。ユニット側板36に形成された分離ユニット60の第2分離位置決め部38は、分離ユニット60の第2ガイド軸63bに係合可能である。これらのそれぞれが係合することで、分離ユニット60の定着ベルト31に対する位置が決まる。具体的には、第1ガイド軸63aと第1分離位置決め部37と係合する箇所が突き当てとなり、第2ガイド軸63bと第2分離位置決め部38とが係合する箇所を回転止めとする。これにより、分離ユニット60とステイ35との位置決めが可能となる。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、分離ガイド部材64と側面部63dとの間に隙間が形成されている。この隙間に第1分離位置決め部37(
図6参照)が入り込むことで、第1ガイド軸63aに係合することができ、また、第2分離位置決め部38が(
図6参照)が入り込むことで、第2ガイド軸63bに係合することができる。尚、第1分離位置決め部37及び第1ガイド軸63aの係合の態様と、第2分離位置決め部38及び第2ガイド軸63bの係合の態様とは、いずれも上述の構成に限られるものではなく、適宜他の構成を適用することができる。
【0040】
[加熱ユニットの挿抜方向と分離板の移動方向]
次に、加熱ユニット30の挿抜方向と分離板の移動方向について、
図7(a)~
図8(b)を用いて詳細に説明する。
図7(a)に示す状態から
図7(b)に示す状態に加熱ユニット30をガイド部24に挿入する場合、又はその逆方向に引き出す場合、その挿抜方向は摺動面24c及び支持面24aにより規制される。この時の加熱ユニット30の挿入方向を加熱ユニット挿入方向D1とし、D1は摺動面24c及び支持面24aに平行であるものとする。
【0041】
図7(a)に示すように、加熱ユニット30のステイ35をガイド部24に挿入し、摺動面24cにより案内されて、第1分離位置決め部37と第1ガイド軸63aとが最初に突き当たった時の加熱ユニット30の位置を挿入開始位置とする。また、この時の分離板61の位置を、移動開始位置(第2位置)とする。
図7(b)に示すように、加熱ユニット30を移動させ、ステイ35が第2分離位置決め部38に突き当たり、定着装置20に加熱ユニット30が固定されたときの加熱ユニット30の位置を装着位置とする。また、この時の分離板61の位置を固定位置(第1位置)とする。尚、この時の移動開始位置と固定位置との第1ガイド軸63aの軌跡を結ぶ線が分離板61の移動方向であり、この方向を分離板挿入方向D2とする。即ち、分離板61は、固定位置と移動開始位置との間で移動可能である。そして、分離板61の固定位置は、分離板61が、加熱ユニット30が装着位置に位置する場合に定着ベルト31に対して近接又は当接して定着ニップ部Nを通過したシートSを定着ベルト31から分離する位置である。また、分離板61の移動開始位置は、分離板61が、加熱ユニット30が筐体21から離脱した場合に位置する固定位置から離隔した位置である。また、引張ばね65は、分離板61を固定位置から移動開始位置に向けて付勢する。
【0042】
加熱ユニット30を筐体21に装着する際は、加熱ユニット30のステイ35をガイド部24に挿入する。そして、
図7(a)に示すように、加熱ユニット30が挿入開始位置に位置して分離ユニット60に当接したら、分離板61を移動開始位置に付勢する引張ばね65に抗して加熱ユニット挿入方向D1に押し込み、分離板61を移動させる。これにより、分離板61は分離板挿入方向D2に押し込まれ、加熱ユニット30及び分離板61が一体になって移動する。即ち、分離板61は、加熱ユニット30が筐体21に装着される際に、加熱ユニット30が分離ユニット60の一部に当接した状態でガイド部24によって案内される。これにより、分離板61は、加熱ユニット30によって移動開始位置から固定位置に引張ばね65に抗して移動する。このため、分離板61は、加熱ユニット30に対して適切な間隔を保ったまま移動する。ステイ35が位置決め面24bに当接すると、加熱ユニット30は装着位置に位置し、分離板61は固定位置に位置し、加熱ユニット30は不図示の固定手段により固定される。
【0043】
一方、加熱ユニット30を筐体21から取り外す際は、不図示の固定手段を解除して、加熱ユニット30を装着位置から挿入開始位置に向けて引き出す。分離板61は、引張ばね65により固定位置から移動開始位置に向けて付勢されて移動する。加熱ユニット30が挿入開始位置を過ぎると、第1ガイド軸63aがガイド溝64a(
図5参照)に当接し、分離板61は移動開始位置で停止したままになる。その後、加熱ユニット30をガイド部24から完全に取り外し、筐体21から取り出す。
【0044】
尚、本実施形態では、分離ユニット60の移動方向が直線状で直線運動する場合について説明しているが、これには限られず、移動方向が曲線状であり回転運動するようにしてもよい。また、本実施形態では、第1分離位置決め部37に対して、第1ガイド軸63aが突き当たる構成である場合について説明しているが、これには限られず、例えば、軸と穴の関係が逆、または軸等でなくとも良い。更に、求める精度に応じて分離ユニット60を加圧パッド32やユニット側板36等に当接させる構成としてもよく、その場合も同等の効果を得ることができる。
【0045】
図8(a)、(b)は加熱ユニット挿入方向D1と分離板挿入方向D2の相対角を説明した図であり、
図8(a)は本実施形態で相対角0°の場合、
図8(b)は変形例で相対角10°の場合をそれぞれ示す。本実施形態では、
図8(a)に示すように、加熱ユニット挿入方向D1と分離板挿入方向D2とはシート搬送方向に沿って水平に設けられ、相対角0°になっている。ここで、
図8(b)に示すように、この相対角の範囲は±45°以内に設定すれば、相対角0°である場合と同等の効果を得ることができる。これに対し、分離ユニット60をステイ35により移動させる際に、方向D1及び方向D2の成す角が±45°を超えると、加熱ユニット30の挿入時の第1ガイド軸63aとガイド溝64aとの摺動抵抗が大きくなり過ぎてしまい、組立性が悪化する虞がある。また、摺動部の破損などを招いてしまう虞もある。このため、相対角の範囲は±45°以内に設定することが好ましい。即ち、本実施形態では、分離板61の固定位置及び移動開始位置の間の移動経路は、幅方向Wから視て直線状である。そして、ガイド部24は、加熱ユニット30を分離板61の移動方向と同方向に案内するか、又は、加熱ユニット30を分離板61の移動方向に対して45度以内の傾斜角を有した状態で案内する。
【0046】
[加熱ユニット挿抜規制距離と分離板揺動距離]
次に、加熱ユニット30の挿抜規制距離と分離板61の移動距離について、
図9(a)、(b)を用いて詳細に説明する。ここでは、支持面24aの加熱ユニット挿入方向D1の長さをL1とし、加熱ユニット30の着脱により分離板61が前述の移動開始位置(
図9(a))から固定位置(
図9(b))まで揺動した加熱ユニット挿入方向D1の距離をL2とする。この場合、加熱ユニット30の着脱時に分離板61を離間不要とするには、L1>L2となるような構成であることが望ましい。このため、ガイド部24により加熱ユニット30を加熱ユニット挿入方向D1に案内する距離L1は、位置決め面24bから少なくともL2を適用する。これにより、加熱ユニット30は、ガイド部24に装着される際に、挿入開始位置から装着位置に向けて案内され始めた以降に、分離ユニット60の一部に当接して移動させる。このため、分離ユニット60を事前に押し込んでおく必要がないので、作業性を向上することができる。
【0047】
上述したように、本実施形態の定着装置20によれば、分離ユニット60は、加熱ユニット30が筐体21に装着される際に、加熱ユニット30が分離ユニット60に当接した状態でガイド部24によって案内される。これにより、分離ユニット60は、加熱ユニット30によって移動開始位置から固定位置に引張ばね65に抗して移動する。このため、加熱ユニット30を筐体21に装着する際に分離板61を退避させる治具を使用することなく、また装着動作以外に特別な作業を行うことなく、分離板61との干渉を避けて加熱ユニット30を装着することができる。従って、加熱ユニット30に対する分離板61の位置精度を損なうことなく、部品点数や工数を抑制することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図10~
図12(b)を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、定着装置120の分離ユニット160に、定着ベルト131に直接当接して分離板161を移動させる当接部材169を有する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、
図10に示すように、加熱ユニット130は、無端状で回転可能な第1回転体としての定着ベルト131と、加熱ローラ133と、ステアローラ134と、これらをカートロッジ状に一体化する不図示のユニット側板と、を有している。定着ベルト131は、加熱ローラ133及びステアローラ134によって張架される。加熱ローラ133の内側には、不図示のハロゲンヒータが設けられている。また、加熱ローラ133に対向して、加圧ローラ122が設けられている。加圧ローラ122は、定着ベルト131を加熱ローラ133に押し付けて定着ニップ部Nを形成する。
【0050】
定着フレーム123には、ガイド部124と、加圧フレーム125と、加圧ばね126とが設けられている。ガイド部124に加熱ローラ133の端部を支持する軸受135が嵌合し、加熱ローラ133が定着フレーム123に位置決めされる。ガイド部124は、支持面(支持部)124aと、位置決め面(位置決め部)124bと、1摺動面24cとを有している。
【0051】
図11に示すように、分離ユニット160の分離板規制部材63には、定着ベルト131との当接部材169が設けられている。当接部材169は、加熱ローラ133に巻き回された定着ベルト131に当接可能に設けられている(
図10参照)。
【0052】
図10に示すように、加熱ユニット130を筐体21(
図3参照)に装着する際は、加熱ユニット130の軸受135をガイド部124に挿入する。そして、加熱ユニット130が挿入開始位置に位置して分離ユニット160の当接部材169に当接したら、分離板61を移動開始位置に付勢する引張ばね65(
図11参照)に抗して加熱ユニット挿入方向D1に押し込み、分離板61を移動させる。これにより、分離板61は分離板挿入方向D2に押し込まれ、加熱ユニット130及び分離板61が一体になって移動する。軸受135が位置決め面124bに当接すると、加熱ユニット130は装着位置に位置し、分離板61は固定位置に位置し、加熱ユニット130は不図示の固定手段により固定される。
【0053】
図12(a)、(b)は加熱ユニット挿入方向D1と分離板挿入方向D2の相対角を説明した図であり、
図12(a)は本実施形態で相対角0°の場合、
図12(b)は変形例で相対角10°の場合をそれぞれ示す。本実施形態では、
図12(a)に示すように、加熱ユニット挿入方向D1と分離板挿入方向D2とはシート搬送方向に沿って水平に設けられ、相対角0°になっている。ここで、
図12(b)に示すように、この相対角の範囲は±45°以内に設定すれば、相対角0°である場合と同等の効果を得ることができる。これに対し、分離ユニット160をステイ35により移動させる際に、方向D1及び方向D2の成す角が±45°を超えると、加熱ユニット130の挿入時の第1ガイド軸63aとガイド溝64aとの摺動抵抗が大きくなり過ぎて、組立性が悪化する虞がある。また、摺動部の破損などを招いてしまう虞もある。このため、相対角の範囲は±45°以内に設定することが好ましい。
【0054】
上述したように、本実施形態の定着装置120によれば、分離ユニット160は、加熱ユニット130が筐体21に装着される際に、加熱ユニット130が分離ユニット160に当接した状態でガイド部24によって案内される。これにより、分離ユニット160は、加熱ユニット130によって移動開始位置から固定位置に引張ばね65に抗して移動する。このため、加熱ユニット130を筐体21に装着する際に分離板61を退避させる治具を使用することなく、また装着動作以外に特別な作業を行うことなく、分離板61との干渉を避けて加熱ユニット130を装着することができる。従って、加熱ユニット130に対する分離板61の位置精度を損なうことなく、部品点数や工数を抑制することができる。
【0055】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、
図13(a)、(b)を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、定着装置220を画像形成装置1の外部に設けた点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、
図13(a)に示すように、中間転写ベルト44bまでを含む画像形成装置1と、定着装置220以降を含む後処理装置2とにより、画像形成システム100が構成されている。この定着装置220は、上述した第1及び第2の実施形態の定着装置20,120と同様の構成としている。この画像形成システム100では、後処理装置2の定着装置220の定着ユニットを交換する際は、
図13(b)に示すように、後処理装置2を画像形成装置1から取り外す。そして、後処理装置2と画像形成装置1との間に生じたスペースにおいて、定着装置220内の加熱ユニットを着脱することができる。
【0057】
上述したように、本実施形態の定着装置220によれば、後処理装置2において定着装置220手前側に引き出すことなく、加熱ユニットの交換作業を実現することができる。このため、後処理装置2の構造を簡素化することができる。
【0058】
尚、上述した各実施形態では、第1回転体として定着ベルトを適用した場合について説明したが、これには限られず定着ローラ等、他の構成を適用してもよい。また、第2回転体として加圧ローラを適用した場合について説明したが、これには限られず加圧ベルト等、他の構成を適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
20,120,220…定着装置、21…筐体、22,122…加圧ローラ(第2回転体)、24,124…ガイド部、24a…支持面(支持部)、24b…位置決め面(位置決め部)、30,130…加熱ユニット、31,131…定着ベルト(第1回転体)、35…ステイ(支持フレーム)、40…画像形成部、61…分離板(分離部材)、65…引張ばね(付勢手段)、135…軸受(支持フレーム)、N…定着ニップ部、S…シート(記録材)。