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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240909BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240909BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240909BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240909BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240909BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
B01D53/14 200
C01B32/50
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023081561
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2022126094の分割
【原出願日】2022-08-08
(65)【公開番号】P2024023131
(43)【公開日】2024-02-21
【審査請求日】2023-05-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名:公益社団法人 全国都市清掃会議 刊行物名:都市清掃、第75巻、第365号、第64頁 発行年月日:令和4年1月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤川 宗治
(72)【発明者】
【氏名】宍田 健一
(72)【発明者】
【氏名】藤平 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜生
(72)【発明者】
【氏名】釼持 恭平
(72)【発明者】
【氏名】西畑 遥
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 滋敏
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-030222(JP,A)
【文献】特開2009-126737(JP,A)
【文献】特開2012-037180(JP,A)
【文献】特開平07-241440(JP,A)
【文献】特開2013-000694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/00-53/96
C01B32/50
F23J15/00-15/08
B01D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記吸収液を収容し、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収液を収容し、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔と、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とを接続する吸収液供給管及び吸収液還流管と、
前記吸収塔から前記再生塔に向かって前記吸収液供給管を流れる前記吸収液を、前記再生塔から前記吸収塔に向かって前記吸収液還流管を流れる前記吸収液との熱交換によって昇温させる昇温器と、
前記吸収液供給管を流れる、前記昇温器で昇温された後の前記吸収液を、除塵処理された排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱する加熱器と、
を備え
前記除塵処理された後に湿式処理にて洗浄された排ガスが前記二酸化炭素含有ガスとして前記吸収塔に送り込まれ、
前記加熱器は、前記湿式処理される前の排ガスとの間で熱交換を行う二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記加熱器は、排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される、耐腐食性の材料で構成される伝熱管を備え、前記伝熱管の外側表面温度が排ガスの露点以下となるまで熱交換を行う請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記加熱器は、さらに、排ガス中の水分の凝縮温度以下まで熱交換を行う請求項2に記載の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱することによって二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の回収方法として、例えば、塩基性化合物による反応吸収を利用する化学吸収法が知られている。化学吸収法において、ガスに含まれる二酸化炭素とアミン系の吸収液とを吸収塔で接触させ、二酸化炭素を吸収した吸収液を吸収塔から再生塔へと送り、再生塔で吸収液から二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載された二酸化炭素回収装置において、再生塔の下部にはスチームを熱源とするリボイラが設けられており、リボイラにより吸収液が加熱されることによって吸収液から二酸化炭素が放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-267442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の二酸化炭素回収装置において、二酸化炭素の放散は、スチームを熱源とするリボイラによる加熱によって行われるため、スチームを発生させるのに要する熱エネルギー、吸収液の温度上昇に要する熱エネルギー、吸収液から二酸化炭素を放散させるのに要する熱エネルギー、吸収液の水分蒸発による熱損失を補うための熱エネルギー等が必要である。従って、吸収した二酸化炭素の放散に要するエネルギーが大きく、エネルギーコストが嵩むという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、エネルギーコストを低く抑えることができる二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素回収装置の特徴構成は、
二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記吸収液を収容する処理塔と、
前記吸収液を、排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱する加熱器と、
を備えることにある。
【0008】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、吸収した二酸化炭素を40~90℃で放散可能な吸収液が用いられ、排ガスとの熱交換により、当該吸収液が加熱器によって加熱される。ここで、排ガスは、通常は大気放出されて廃棄されるが、廃棄される際の排ガス温度は140~170℃程度である。このように、吸収液の二酸化炭素を放散可能な温度(40~90℃)と、廃棄される際の排ガス温度(140~170℃)との間に十分な温度差があるため、吸収液を排ガスとの熱交換で加熱器により40~90℃に加熱することができ、処理塔において吸収液から二酸化炭素を放散させて回収することができる。従って、通常は大気放出されて廃棄されている排ガスの廃熱によっても二酸化炭素を回収することができ、廃熱の有効利用によってエネルギーコストを低く抑えることができる。
【0009】
本発明に係る二酸化炭素回収装置において、
前記処理塔は、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔とを含み、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とが接続されるとともに、前記吸収塔から前記再生塔に供給される前記吸収液を加熱するように前記加熱器が配設されることが好ましい。
【0010】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、吸収塔及び再生塔によって二酸化炭素の吸収及び放散が連続的に行われるとともに、吸収塔から再生塔に供給される吸収液が、排ガスの廃熱を熱源とする加熱器によって加熱されるので、吸収した二酸化炭素の放散に要するエネルギーを低く抑えつつ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る二酸化炭素回収装置において、
前記処理塔は、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔とを含み、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とが接続されるとともに、前記再生塔と前記加熱器との間で前記吸収液が循環されるように前記再生塔と前記加熱器とが接続されることが好ましい。
【0012】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、吸収塔及び再生塔によって二酸化炭素の吸収及び放散が連続的に行われるとともに、再生塔と加熱器との間で循環される吸収液が、排ガスの廃熱を熱源とする加熱器によって加熱されるので、吸収した二酸化炭素の放散に要するエネルギーを低く抑えつつ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る二酸化炭素回収装置において、
前記再生塔内を減圧する減圧手段を備えることが好ましい。
【0014】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、吸収液に対する加熱器による加熱と、吸収液に対する減圧手段による減圧との相乗効果により、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができるとともに、二酸化炭素を十分に吸収できる状態に吸収液を再生することができる。
【0015】
本発明に係る二酸化炭素回収装置において、
前記加熱器は、前記排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される伝熱管を備え、
前記伝熱管の外側表面温度が前記排ガスの露点よりも高くなるように設定されることが好ましい。
【0016】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、伝熱管の外側表面温度が排ガスの露点よりも高くなるように設定されるので、伝熱管の外側表面付近は排ガスとの接触による腐食性成分の蒸発が支配的な雰囲気となり、結露による腐食性成分含有液滴が発生するのを未然に防ぐことができる。従って、加熱器のケーシング等への腐食対策(例えば、耐腐食塗装やフッ素樹脂ライニング等)が不要又は簡略化できるという利点がある。
【0017】
本発明に係る二酸化炭素回収装置において、
前記加熱器は、前記排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される伝熱管を備え、
前記伝熱管は、耐腐食性の材料で構成され、
前記伝熱管の外側表面温度が前記排ガスの露点以下となるように設定されることが好ましい。
【0018】
本構成の二酸化炭素回収装置によれば、耐腐食性の材料を用いて露点以下の温度まで熱回収を行うことができるため、二酸化炭素回収装置における熱媒(水蒸気等)の使用量を大幅に減少させることができる。さらに、排ガス中の水分の凝縮温度以下まで熱回収を行うことで水の潜熱分の熱エネルギーも回収することができ、効果がより大きくなる。
【0019】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素回収方法の特徴構成は、
二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収工程と、
前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を、排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する回収工程と、
を包含することにある。
【0020】
本構成の二酸化炭素回収方法によれば、吸収工程において吸収した二酸化炭素を40~90℃で放散可能な吸収液が用いられ、排ガスとの熱交換により、当該吸収液が回収工程において加熱される。ここで、排ガスは、通常は大気放出されて廃棄されるが、廃棄される際の排ガス温度は140~170℃程度である。このように、吸収液の二酸化炭素を放散可能な温度(40~90℃)と、廃棄される際の排ガス温度(140~170℃)との間に十分な温度差があるため、回収工程において吸収液を排ガスとの熱交換で40~90℃に加熱することができ、吸収液から二酸化炭素を放散させて回収することができる。従って、通常は大気放出されて廃棄されている排ガスの廃熱によっても二酸化炭素を回収することができ、廃熱の有効利用によってエネルギーコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第二実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第三実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の第四実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の第五実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図6図6は、本発明の第六実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の第七実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、バイオマス発電施設における排ガス処理設備で処理された排ガスから二酸化炭素を回収する例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。なお、バイオマス発電施設において燃焼させるバイオマス燃料とは、化石燃料以外の植物や農産物等の自然界の有機性資源から抽出した生物由来の燃料である。具体的には、バイオマス燃料として、例えば、廃棄木材、間伐材、流木、草類、生活廃棄物、汚泥、家畜の糞尿、エネルギー作物(農作物)、これらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)等が挙げられる。
【0023】
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Aの概略構成を示すブロック図である。図1に示す二酸化炭素回収装置1Aは、バイオマス発電施設において排ガス処理設備200で処理された排ガス(二酸化炭素含有ガス)に含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱することによって二酸化炭素を放散させて回収するように構成されている。
【0024】
<排ガス処理設備>
排ガス処理設備200は、バグフィルタや誘引通風機等を含む設備である。排ガス処理設備200においては、燃焼炉でのバイオマス燃料の燃焼に伴い発生した排ガスが、誘引通風機による誘引作用によりバグフィルタに導入されて除塵処理される。
【0025】
<吸収液>
吸収液は、吸収した二酸化炭素を、40~90℃で放散することができるものであればよく、特に限定されものではないが、例えば、特開2021-154236号公報や、特開2021-154237号公報に開示された非水系の二酸化炭素吸収液を用いることができる。
【0026】
<二酸化炭素回収装置>
図1に示すように、二酸化炭素回収装置1Aは、吸収液を収容する処理塔10を備えている。
【0027】
<処理塔>
処理塔10は、二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔3と、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔5とを含む。
【0028】
<吸収塔>
吸収塔3は、二酸化炭素を吸収液に吸収させることができる構造のものであればよく、特に限定されるものではなく、公知の構造のものを用いることができる。吸収塔3において、下部にはガス導入口11が設けられ、頂部にはガス排出口13が設けられ、底部には吸収液排出口15が設けられ、上部には吸収液導入口17が設けられている。
【0029】
<再生塔>
再生塔5は、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させることができる構造のものであればよく、特に限定されるものではなく、公知の構造のものを用いることができる。再生塔5において、上部には吸収液導入口21が設けられ、底部には、吸収液排出口23が設けられ、頂部にはガス排出口25が設けられている。
【0030】
吸収塔3のガス導入口11と排ガス処理設備200とは、排ガス供給管31によって接続されている。吸収塔3のガス排出口13には、ガス排出管33が接続されている。再生塔5のガス排出口25には、ガス排出管35が接続されている。
【0031】
吸収塔3の吸収液排出口15と再生塔5の吸収液導入口21とは、吸収液供給管41によって接続されている。吸収塔3の吸収液導入口17と再生塔5の吸収液排出口23とは、吸収液還流管43によって接続されている。こうして、吸収塔3と再生塔5との間で吸収液が循環されるように吸収塔3と再生塔5とが吸収液供給管41及び吸収液還流管43によって接続される。
【0032】
排ガス供給管31の途中には、前処理設備45が配設されている。前処理設備45は、薬剤を添加した洗浄水と排ガスとの気液接触により、排ガスを湿式処理にて洗浄するように構成されている。前処理設備45において、排ガス中の硫黄酸化物や酸性ガス成分、ダイオキシン、重金属類等の有害物質の殆どは、洗浄水によって排ガスから分離・除去されるとともに、排ガスが二酸化炭素の吸収に適した温度にまで減温される。なお、前処理設備45において、噴霧後にpHが弱酸性になった洗浄水を中和してから再度噴霧して気液接触により酸性ガスの除去を行うようにしてもよい。
【0033】
吸収液供給管41には、ポンプ51が介設されている。吸収塔3に収容されている吸収液は、ポンプ51の作動により、吸収液供給管41を介して再生塔5に供給される。吸収液還流管43には、ポンプ53が介設されている。再生塔5に収容されている吸収液は、ポンプ53の作動により、吸収液還流管43を介して吸収塔3に環流される。
【0034】
<減圧手段>
ガス排出管35には、本発明の減圧手段として機能するポンプ55が介設されている。再生塔5の内部は、ポンプ55の作動により、減圧される。
【0035】
二酸化炭素回収装置1Aは、吸収塔3から再生塔5に供給される吸収液を昇温する昇温器60、及び昇温器60によって昇温された吸収液を加熱する加熱器65Aをさらに備えている。
【0036】
<昇温器>
昇温器60は、吸収液供給管41に介設される第1熱交換器71と、吸収液還流管43に介設される第2熱交換器72とを備えている。昇温器60においては、第1熱交換器71と第2熱交換器72との間で熱媒(例えば、空気や水等)が通流することにより、吸収液供給管41を流れる吸収液と、吸収液還流管43を流れる吸収液との間で熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる吸収液が昇温されるように構成されている。
【0037】
<加熱器>
加熱器65Aは、吸収液供給管41における第1熱交換器71の吸収液流れ下流側に介設される第3熱交換器73と、排ガス供給管31における前処理設備45の排ガス流れ上流側に介設される第4熱交換器74とを備えている。加熱器65Aにおいては、第3熱交換器73と第4熱交換器74との間で熱媒(例えば、空気や水等)が通流することにより、吸収液供給管41を流れる吸収液と、排ガス供給管31を流れる排ガスとの間で熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる、昇温器60(第1熱交換器71)で昇温された後の吸収液が加熱されるように構成されている。
【0038】
第4熱交換器74は、排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される伝熱管を備えて構成されている。第4熱交換器74においては、排ガス量や排ガス温度の変動域で排ガス量が最も少ない、及び/又は排ガス温度が最も低い、という条件においても、伝熱管における排ガスと接触する伝熱管の外側表面温度が露点よりも高くなるように、伝熱管の長さ、管径、厚さ、材質等が設定されている。ここで、露点とは、特に、硫酸ガスが硫酸となって結露する温度のことである。
【0039】
第4熱交換器74においては、伝熱管の外側表面温度が排ガスの露点よりも高くなるように設定されるので、伝熱管の外側表面付近は排ガスとの接触による腐食性成分の蒸発が支配的な雰囲気となり、結露による腐食性成分含有液滴が発生するのを未然に防ぐことができる。従って、第4熱交換器74のケーシング等への腐食対策(例えば、耐腐食塗装やフッ素樹脂ライニング等)が不要又は簡略化できるという利点がある。
【0040】
第4熱交換器74における伝熱管の材料としては、例えばステンレス、ハステロイ、インコネル等の耐腐食金属や、例えばフッ素樹脂等の非金属材料が挙げられる。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。
【0041】
伝熱管として用いられるフッ素樹脂チューブの厚みは、0.5~2.0mmであることが好ましく、1.0~1.5mmであることがより好ましい。フッ素樹脂チューブの厚みが上記数値範囲内であれば、伝熱管の高い伝熱性能を維持することができる。
【0042】
フッ素樹脂チューブの外径は、熱媒が気体である場合はφ10~φ100mmであることが好ましく、φ18~φ30mmあることがより好ましい。また、熱媒が液体である場合は、φ4~φ15mmであることが好ましく、φ8~φ13mmであることがより好ましい。外径が上記数値範囲内であれば、圧力損失の影響を受けにくく、伝熱管は良好な耐圧強度を有するものとなる。
【0043】
以上に述べたように構成される二酸化炭素回収装置1Aにおいては、吸収塔3での吸収工程と、再生塔5での回収工程とが連続的に行われるとともに、回収工程の実施に際して昇温工程及び加熱工程が行われる。
【0044】
<吸収工程>
排ガス処理設備200から送り出される除塵処理された排ガスは、前処理設備45に送り込まれ、前処理設備45で有害物質が除去された後に、排ガス供給管31を介して吸収塔3の内部に送り込まれる。吸収塔3の内部に送り込まれた排ガスは、吸収液と気液接触する。これにより、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収される。二酸化炭素を吸収した処理液は、吸収塔3の下部に貯留される。一方、二酸化炭素が除去された排ガスは、ガス排出管33を介して吸収塔3の外部に排出される。なお、「二酸化炭素が除去された排ガス」とは、「含まれている二酸化炭素の全部が取り除かれた排ガス」と、「含まれている二酸化炭素の一部が取り除かれた排ガス」との両方を包含するものである。
【0045】
<昇温工程、加熱工程>
吸収塔3の下部に貯留されている吸収液は、ポンプ51の作動により、吸収液供給管41を介して再生塔5に供給される。この際、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液は、昇温器60(第1熱交換器71)によって昇温された後、加熱器65Aによって40~90℃に加熱される。こうして、後述する再生工程を実施する前段階において、処理液を加熱することにより、再生工程での二酸化炭素の放散効率を向上することができる。
【0046】
<再生工程>
再生塔5の内部は、減圧手段として機能するポンプ55によって減圧されている(減圧工程)。加熱器65Aによって加熱された吸収液は、減圧下にある再生塔5の内部に供給される。再生塔5においては、吸収液に対する加熱器65Aによる加熱と、吸収液に対する減圧手段(ポンプ55)による減圧との相乗効果により、吸収液から二酸化炭素が効率よく放散される。こうして、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができるとともに、二酸化炭素を十分に吸収できる状態に吸収液を再生することができる。
【0047】
再生工程において、二酸化炭素が放散されて二酸化炭素を十分に吸収できる状態に再生された再生塔5内の吸収液は、ポンプ53の作動により、吸収液還流管43を介して吸収塔3に環流される。この際、第1熱交換器71と第2熱交換器72との間においては、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液と、再生塔5から吸収塔3に向かって吸収液還流管43を流れる吸収液との間で熱交換が行われる。これにより、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液が冷熱源となって、再生塔5から吸収塔3に向かって吸収液還流管43を流れる吸収液が第2熱交換器72によって冷却される。
【0048】
第一実施形態の二酸化炭素回収装置1Aによれば、吸収した二酸化炭素を40~90℃で放散可能な吸収液が用いられ、排ガスとの熱交換により、当該吸収液が加熱器65Aによって加熱される。ここで、排ガスは、通常は大気放出されて廃棄されるが、廃棄される際の排ガス温度は140~170℃程度である。このように、吸収液の二酸化炭素を放散可能な温度(40~90℃)と、廃棄される際の排ガス温度(140~170℃)との間に十分な温度差があるため、吸収液を排ガスとの熱交換で加熱器65Aにより40~90℃に加熱することができ、再生塔5において吸収液から二酸化炭素を放散させて回収することができる。従って、通常は大気放出されて廃棄されている排ガスの廃熱によっても二酸化炭素を回収することができ、廃熱の有効利用によってエネルギーコストを低く抑えることができる。
【0049】
また、二酸化炭素回収装置1Aによれば、吸収塔3及び再生塔5によって二酸化炭素の吸収及び放散が連続的に行われるとともに、吸収塔3から再生塔5に供給される吸収液が、排ガスの廃熱を熱源とする加熱器65Aによって加熱されるので、吸収した二酸化炭素の放散に要するエネルギーを低く抑えつつ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0050】
〔第二実施形態〕
図2は、本発明の第二実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Bの概略構成を示すブロック図である。第二実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明は省略し、以下においては、第二実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0051】
第二実施形態の二酸化炭素回収装置1Bにおいて、加熱器65Bは、再生塔5に付設されるリボイラ80を備えている。リボイラ80には、吸収液抜き管81及び吸収液戻し管83が接続されている。吸収液抜き管81は、吸収液還流管43から分岐する形態でリボイラ80に接続されるように配設されている。吸収液戻し管83は、リボイラ80と再生塔5の下部とを接続するように配設されている。また、リボイラ80には、排ガス処理設備200から送り出される除塵処理された排ガスが導入・導出されるように接続されている。加熱器65Bにおいては、吸収液抜き管81を介してリボイラ80に導入された吸収液と、排ガス供給管31を介してリボイラ80に導入された排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱を吸収した吸収液が吸収液戻し管83を介して再生塔5の内部に戻されることにより、再生塔5内の吸収液を加熱するように構成されている。
【0052】
以上に述べたように構成される二酸化炭素回収装置1Bにおいては、吸収塔3での吸収工程と、再生塔5での回収工程とが連続的に行われるとともに、回収工程の実施に際して昇温工程及び加熱工程が行われる。
【0053】
<吸収工程>
排ガス処理設備200から送り出される除塵処理された排ガスは、リボイラ80を経由して前処理設備45に送り込まれ、前処理設備45で有害物質が除去された後に、排ガス供給管31を介して吸収塔3の内部に送り込まれる。吸収塔3の内部に送り込まれた排ガスは、吸収液と気液接触する。これにより、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収される。二酸化炭素を吸収した処理液は、吸収塔3の下部に貯留される。一方、二酸化炭素が除去された排ガスは、ガス排出管33を介して吸収塔3の外部に排出される。
【0054】
<昇温工程、加熱工程>
吸収塔3の下部に貯留されている吸収液は、ポンプ51の作動により、吸収液供給管41を介して再生塔5に供給される。この際、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液は、昇温器60(第1熱交換器71)によって昇温された後、再生塔5の内部に送り込まれる。再生塔5の内部の吸収液は、加熱器65Bによって40~90℃に加熱される。こうして、後述する再生工程を実施する前段階において、処理液を加熱することにより、再生工程での二酸化炭素の放散効率を向上することができる。
【0055】
<再生工程>
再生塔5の内部は、減圧手段として機能するポンプ55によって減圧されている(減圧工程)。再生塔5においては、吸収液に対する加熱器65Bによる加熱と、吸収液に対する減圧手段(ポンプ55)による減圧との相乗効果により、吸収液から二酸化炭素が効率よく放散される。こうして、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができるとともに、二酸化炭素を十分に吸収できる状態に吸収液を再生することができる。
【0056】
再生工程において、二酸化炭素が放散されて二酸化炭素を十分に吸収できる状態に再生された再生塔5の内部の吸収液は、ポンプ53の作動により、吸収液還流管43を介して吸収塔3に環流される。この際、第1熱交換器71と第2熱交換器72との間においては、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液と、再生塔5から吸収塔3に向かって吸収液還流管43を流れる吸収液との間で熱交換が行われる。これにより、吸収塔3から再生塔5に向かって吸収液供給管41を流れる吸収液が冷熱源となって、再生塔5から吸収塔3に向かって吸収液還流管43を流れる吸収液が第2熱交換器72によって冷却される。
【0057】
第二実施形態の二酸化炭素回収装置1Bにおいても、第一実施形態の二酸化炭素回収装置1Aと同様に、吸収した二酸化炭素を40~90℃で放散可能な吸収液が用いられ、排ガスとの熱交換により、当該吸収液が加熱器65Bによって40~90℃に加熱される。従って、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、廃熱の有効利用によってエネルギーコストを低く抑えることができる。
【0058】
〔第三実施形態〕
図3は、本発明の第三実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Cの概略構成を示すブロック図である。第三実施形態において、第二実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明は省略し、以下においては、第三実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0059】
第三実施形態の二酸化炭素回収装置1Cにおいて、加熱器65Cは、再生塔5の下部に装着される伝熱ジャケット85を備えている。伝熱ジャケット85には、排ガス処理設備200から送り出される除塵処理された排ガスが導入・導出されるように排ガス供給管31が接続されている。加熱器65Cにおいては、伝熱ジャケット85の内部を排ガスが通って出ていく間に、再生塔5の内部の吸収液と再生塔5の伝熱ジャケット85に導入された排ガスとの間で熱交換が行われ、再生塔5の内部の吸収液を加熱するように構成されている。
【0060】
第三実施形態の二酸化炭素回収装置1Cにおいては、加熱器65Cの構造が第二実施形態の二酸化炭素回収装置1Bにおける加熱器65Bと異なるのみで、それ以外については二酸化炭素回収装置1Bと基本的に同様の構成である。従って、第三実施形態によっても、第二実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
〔第四実施形態〕
図4は、本発明の第四実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Dの概略構成を示すブロック図である。第四実施形態において、上記各実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付しており、上記各実施形態と重複する部分については説明を省略することとする。
【0062】
図4に示すように、第四実施形態の二酸化炭素回収装置1Dは、吸収液を収容する単塔式の処理塔100を備えている。処理塔100においては、当該処理塔100の内部において吸収液と排ガスとの接触が行われ、二酸化炭素の回収が、当該処理塔100の内部での吸収液に対する二酸化炭素の吸収/放散を利用して行われるように構成されている。
【0063】
<処理塔>
処理塔100は、吸収液を循環させずに吸収液に対する二酸化炭素の吸収/放散を単一の塔内でバッチ処理できる構造のものであればよく、特に限定されるものではなく、公知の構造のものを用いることができる。処理塔100において、下部にはガス導入口101が設けられ、頂部にはガス排出口103が設けられている。底部には吸収液排出口105が設けられ、下部にはガス導入口101と相反する位置に吸収液導入口107が設けられている。
【0064】
処理塔100のガス導入口101と排ガス処理設備200とは、排ガス供給管31によって接続されている。処理塔100のガス排出口103には、ガス排出管35が接続されている。
【0065】
第四実施形態の二酸化炭素回収装置1Dにおいて、加熱器65Dは、再生塔5に付設されるリボイラ80を備えている。リボイラ80には、吸収液抜き管81及び吸収液戻し管83が接続されている。吸収液抜き管81は、吸収液排出口105とリボイラ80とを接続するように配設されている。吸収液戻し管83は、リボイラ80と吸収液導入口107とを接続するように配設されている。また、リボイラ80には、排ガス処理設備200から送り出される除塵処理された排ガスが排ガス流路切替手段110を介して導入・導出されるように接続されている。加熱器65Dにおいては、吸収液抜き管81を介してリボイラ80に導入された吸収液と、排ガス供給管31を介してリボイラ80に導入された排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱を吸収した吸収液が吸収液戻し管83を介して処理塔100の内部に戻されることにより、処理塔100の内部の吸収液を加熱するように構成されている。
【0066】
図示による詳細説明は省略するが、図4に示す排ガス流路切替手段110は、排ガス供給管31に適宜に組み込まれる所要の開閉弁の開閉状態の組み合わせにより、排ガス処理設備200から送り出される除塵後の排ガスを、処理塔100へと供給する状態と、リボイラ80に対し導入・導出する状態とを切り替えるように構成されている。
【0067】
以上に述べたように構成される二酸化炭素回収装置1Dにおいては、単塔式の処理塔100において、吸収工程と回収工程とが交互に行われる。
【0068】
<吸収工程>
吸収工程は、排ガス流路切替手段110により、排ガス処理設備200から送り出される排ガスを処理塔100へと供給するように切り替えられた状態で行われる。排ガス処理設備200から送り出される除塵処理後の排ガスは、前処理設備45での前処理を経て排ガス供給管31を介して吸収塔3の内部に送り込まれる。吸収塔3の内部に送り込まれた排ガスは、吸収液と気液接触する。これにより、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収される。一方、二酸化炭素が除去された排ガスは、ポンプ55の作動により、ガス排出管35を介して処理塔100の外部に排出される。
【0069】
<再生工程(減圧工程、加熱工程)>
吸収工程は、排ガス流路切替手段110により、排ガス処理設備200から送り出される排ガスをリボイラ80に対し導入・導出するように切り替えられた状態で行われる。処理塔100の内部は、減圧手段として機能するポンプ55によって減圧されている(減圧工程)。処理塔100の内部の吸収液は、加熱器65Dによって40~90℃に加熱される。こうして、処理塔100においては、吸収液に対する加熱器65Dによる加熱と、吸収液に対する減圧手段(ポンプ55)による減圧との相乗効果により、吸収液から二酸化炭素が効率よく放散される。こうして、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができるとともに、二酸化炭素を十分に吸収できる状態に吸収液を再生することができる。
【0070】
第四実施形態の二酸化炭素回収装置1Dによれば、単塔式の処理塔100を用いたバッチ処理により、上記二酸化炭素回収装置1A~1Cよりも簡易な構成で二酸化炭素を回収することができる。
【0071】
〔第五実施形態〕
図5は、本発明の第五実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Eの概略構成を示すブロック図である。第五実施形態において、第四実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明は省略し、以下においては、第五実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0072】
第五実施形態の二酸化炭素回収装置1Eにおいて、加熱器65Eは、処理塔100の下部に装着される伝熱ジャケット85を備えている。排ガス流路切替手段110は、排ガス処理設備200から送り出される除塵後の排ガスを、処理塔100へと供給する状態と、伝熱ジャケット85に対し導入・導出する状態とを切り替えるように構成されている。
【0073】
第五実施形態の二酸化炭素回収装置1Eにおいては、加熱器65Eの構造が第四実施形態の二酸化炭素回収装置1Dにおける加熱器65Dと異なるのみで、それ以外については二酸化炭素回収装置1Dと基本的に同様の構成である。従って、第五実施形態によっても、第四実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
〔第六実施形態〕
図6は、本発明の第六実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Fの概略構成を示すブロック図である。第六実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明は省略し、以下においては、第六実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0075】
図1に示すように、第一実施形態の二酸化炭素回収装置1Aにおいて、昇温器60は、第1熱交換器71と第2熱交換器72との2つの熱交換器を備え、第1熱交換器71と第2熱交換器72との間で熱媒(例えば、空気や水等)が通流することにより、吸収液供給管41を流れる吸収液と、吸収液還流管43を流れる吸収液との間で熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる吸収液が昇温されるように構成されている。これに対し、図6に示すように、第六実施形態の二酸化炭素回収装置1Fにおいて、昇温器60は、吸収液供給管41と吸収液還流管43との間で熱交換可能にそれら吸収液供給管41及び吸収液還流管43に介設される単一の熱交換器70を備えている。この熱交換器70においては、吸収液供給管41を流れる吸収液と、吸収液還流管43を流れる吸収液との間で直接的に熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる吸収液が昇温されるように構成されている。このような第六実施形態の二酸化炭素回収装置1Fによっても、第一実施形態の二酸化炭素回収装置1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
〔第七実施形態〕
図7は、本発明の第七実施形態に係る二酸化炭素回収装置1Gの概略構成を示すブロック図である。第七実施形態において、第六実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明は省略し、以下においては、第七実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0077】
図6に示すように、第六実施形態の二酸化炭素回収装置1Fにおいて、加熱器65Aは、第3熱交換器73と第4熱交換器74との2つの熱交換器を備え、第3熱交換器73と第4熱交換器74との間で熱媒(例えば、空気や水等)が通流することにより、吸収液供給管41を流れる吸収液と、排ガス供給管31を流れる排ガスとの間で熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる、昇温器60(熱交換器70)で昇温された後の吸収液が加熱されるように構成されている。これに対し、図7に示すように、第七実施形態の二酸化炭素回収装置1Gにおいて、加熱器65Aは、吸収液供給管41と排ガス供給管31との間で熱交換可能にそれら吸収液供給管41及び排ガス供給管31に介設される単一の熱交換器75を備えている。この熱交換器75においては、吸収液供給管41を流れる吸収液と、排ガス供給管31を流れる排ガスとの間で直接的に熱交換が行われ、吸収液供給管41を流れる、昇温器60(熱交換器70)で昇温された後の吸収液が加熱されるように構成されている。このような第七実施形態の二酸化炭素回収装置1Gによっても、第六実施形態の二酸化炭素回収装置1Fと同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
以上、本発明の二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0079】
上記各実施形態において、本発明の減圧手段として機能するポンプ55を省略する態様もある。
【0080】
第一実施形態においては、第4熱交換器74における伝熱管の外側表面温度が排ガスの露点よりも高くなるように設定される例を示したが、第4熱交換器74において、排ガスの露点以下の温度になるまで熱交換を行う態様もある。この場合、伝熱管としては、耐腐食性の材料で構成されるものを用いるのが好ましい。耐腐食性の材料を用いて露点以下の温度まで熱回収を行うことで二酸化炭素回収装置1Aにおける熱媒(水蒸気等)の使用量を大幅に減少させることができる。さらに、排ガス中の水分の凝縮温度以下まで熱回収を行うことで水の潜熱分の熱エネルギーも回収することができ、効果がより大きくなる。また、排ガス処理設備200から前処理設備45へと導入される排ガスから十分に熱回収していない場合、前処理設備45での湿式処理による排ガスの冷却に多くの冷却水が必要であるが、露点以下の温度まで熱回収を行うことで、前処理設備45で行われる湿式処理での負荷を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法は、例えば、火力発電施設、製鉄所、石油精製施設等において、化石燃料の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、水素製造施設において、オフガスの燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、一般廃棄物焼却施設において、廃棄物の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、バイオマス発電施設において、バイオマス燃料の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素等を分離回収する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1A~1G 二酸化炭素回収装置
3 吸収塔
5 再生塔
10 処理塔
55 減圧手段
65A~65E 加熱器
100 処理塔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7